特許第6679639号(P6679639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6679639ポイント投資システム、及び投資ポイント管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6679639
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】ポイント投資システム、及び投資ポイント管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20200406BHJP
【FI】
   G06Q40/06
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-49709(P2018-49709)
(22)【出願日】2018年3月16日
(65)【公開番号】特開2019-160196(P2019-160196A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年8月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日: 平成29年11月8日 掲載アドレス: http://www.jreast.co.jp/press/2017/20171110.pdf 掲載年月日: 平成29年11月8日 掲載アドレス: http://news.money−design.com/2017−11−08 開催年月日: 平成29年11月17日 集会名: 「JR東日本スタートアッププログラム」発表会
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514081128
【氏名又は名称】株式会社お金のデザイン
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 仁
(72)【発明者】
【氏名】米村 康裕
【審査官】 久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−202129(JP,A)
【文献】 特開2004−321558(JP,A)
【文献】 特開2018−180853(JP,A)
【文献】 特開2018−092475(JP,A)
【文献】 稲毛 ゆか,新プロダクトX (130) product X,月刊消費者信用,日本,一般財団法人金融財政事情研究会,2017年 3月 1日,第35巻 第3号,33-37
【文献】 永久不滅ポイント運用サービス利用規定,永久不滅ポイント運用サービス利用規定,日本,[online],2017年11月,URL,https://www.saisoncard.co.jp/point/unyou/pdf/kikaku.pdf
【文献】 自己責任で選ぶ時代の丸わかり ファンドカタログ,今、この投信を買おう,株式会社実業之日本社 Jitsugyo No Nihon Sha Ltd.,2000年 6月30日
【文献】 勝手に増える! 3000円から始める ほったらかしマネー術 Make Your Money Make Money,日経トレンディ No.412,日経BP社 Nikkei Business Publications,Inc.,2017年 1月 4日
【文献】 ライブスター証券の無料ツールで一歩先行く銘柄探し 〜株式投資がもっと手軽で便利に〜,日経マネー No.422,日経BP社 Nikkei Business Publications,Inc.,2017年 6月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが保有するポイント残高を管理するための第1のデータベースを有するポイント管理システムと通信可能なポイント投資システムであって、
前記ポイント残高のうち前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数を管理するための第2のデータベースが格納される記憶部と、
所定の金融商品の価額に連動して前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増減させる運用処理部と、
前記ユーザが投資体験用のポイント数を指定したとき、指定された当該ポイント数を、前記第2のデータベースで管理されるポイント数に加算すると共に、前記第1のデータベースで管理されるポイント残高から減算させ、
前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数のうち残存するポイント数を前記ポイント残高に戻す解約処理の要求を受け付けたとき、前記解約処理の中で、前記残存するポイント数より前記ユーザが指定した総ポイント数の方が大きい場合、前記総ポイント数と前記残存するポイント数との差に対応する前記ユーザの損を補填するためのポイント数をポイント事業者が発行し、発行したポイント数を前記残存するポイント数に加算して、加算後のポイント数を前記第1のデータベースで管理されるポイント残高に加算させるポイント管理部と、
を有する、ポイント投資システム。
【請求項2】
前記ポイント管理部は、前記解約処理を要求されたとき、前記解約処理の中で、前記残存するポイント数が前記総ポイント数以上である場合に、前記残存するポイント数を前記第1のデータベースで管理されるポイント残高に加算させる、
請求項1に記載のポイント投資システム。
【請求項3】
ユーザが保有するポイント残高を管理するための第1のデータベースを有するポイント管理システムと通信可能なポイント投資システムの機能を提供するコンピュータが、
前記ポイント残高のうち前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数を管理するための第2のデータベースが格納される記憶部にアクセスし、所定の金融商品の価額に連動して前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増減させるステップと、
前記ユーザが投資体験用のポイント数を指定したとき、指定された当該ポイント数を、前記第2のデータベースで管理されるポイント数に加算すると共に、前記第1のデータベースで管理されるポイント残高から減算させるステップと、
前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数のうち残存するポイント数を前記ポイント残高に戻す解約処理の要求を受け付けたとき、前記解約処理の中で、前記残存するポイント数より前記ユーザが指定した総ポイント数の方が大きい場合、前記総ポイント数と前記残存するポイント数との差に対応する前記ユーザの損を補填するためのポイント数をポイント事業者が発行し、発行したポイント数を前記残存するポイント数に加算して、加算後のポイント数を前記第1のデータベースで管理されるポイント残高に加算させるステップと、
を実行する、投資ポイント管理方法。
【請求項4】
ユーザが保有するポイント残高を管理するための第1のデータベースを有するポイント管理システムと通信可能なポイント投資システムであって、
前記ポイント残高のうち前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数を管理するための第2のデータベースと、所定期間内に指定可能な上限ポイント数の情報と、が格納される記憶部と、
前記ユーザが投資体験用にポイント数を指定したとき、指定されたポイント数と前記上限ポイント数とを比較し、前記指定されたポイント数が前記上限ポイント数より小さい場合に、前記指定されたポイント数の分だけ、前記第1のデータベースで管理されるポイント残高を減少させ、前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増加させるポイント管理部と、
所定の金融商品の価額に連動して前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増減させる運用処理部と、
を有し、前記ポイント管理部は、前記指定されたポイント数の分だけ前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増加させることが可能な回数を所定回数以下に制限する、
ポイント投資システム。
【請求項5】
ユーザが保有するポイント残高を管理するための第1のデータベースを有するポイント管理システムと通信可能なポイント投資システムであって、
前記ポイント残高のうち前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数を管理するための第2のデータベースが格納される記憶部と、
所定の金融商品の価額に連動して前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増減させる運用処理部と、
前記ユーザが投資体験用のポイント数を指定したとき、指定された当該ポイント数を、前記第2のデータベースで管理されるポイント数に加算すると共に、前記第1のデータベースで管理されるポイント残高から減算させるポイント管理部と、
前記ポイント数の発行に伴って生じるコストを計算するヘッジ処理部と、を有し、
前記ヘッジ処理部は、前記第2のデータベースで管理される総ポイント数の変動に応じた前記コストの増減を計算し、前記金融商品の損益で前記コストの増減が相殺されるように前記金融商品を売買するための処理を実行する、
ポイント投資システム。
【請求項6】
ユーザが保有するポイント残高を管理するための第1のデータベースを有するポイント管理システムと通信可能なポイント投資システムの機能を提供するコンピュータが、
前記ポイント残高のうち前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数を管理するための第2のデータベースと、所定期間内に指定可能な上限ポイント数の情報と、が格納される記憶部にアクセスするステップと、
前記ユーザが投資体験用にポイント数を指定したとき、指定されたポイント数と前記上限ポイント数とを比較し、前記指定されたポイント数が前記上限ポイント数より小さい場合に、前記指定されたポイント数の分だけ、前記第1のデータベースで管理されるポイント残高を減少させ、前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増やすステップであって、当該ポイント数を増やすことが可能な回数が所定回数以下に制限される、ステップと、
所定の金融商品の価額に連動して前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増減させるステップと、
を実行する、投資ポイント管理方法。
【請求項7】
ユーザが保有するポイント残高を管理するための第1のデータベースを有するポイント管理システムと通信可能なポイント投資システムの機能を提供するコンピュータが、
前記ポイント残高のうち前記ユーザが投資体験用に指定したポイント数を管理するための第2のデータベースが格納される記憶部にアクセスするステップと、
所定の金融商品の価額に連動して前記第2のデータベースで管理されるポイント数を増減させるステップと、
前記ユーザが投資体験用のポイント数を指定したとき、指定された当該ポイント数を、前記第2のデータベースで管理されるポイント数に加算すると共に、前記第1のデータベースで管理されるポイント残高から減算させるステップと、
前記ポイント数の発行に伴って生じるコストを計算するステップと、
前記第2のデータベースで管理される総ポイント数の変動に応じた前記コストの増減を計算し、前記金融商品の損益で前記コストの増減が相殺されるように前記金融商品を売買するための処理を実行するステップと、
を実行する、投資ポイント管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント投資システム、及び投資ポイント管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人資産の運用に対する関心が高まる一方で、投資に対する教育が十分でなく、多くの個人が投資に踏み切れないでいる現状がある。このような現状を克服するため、効果的な投資教育の提供を目的とするシステムの実現が求められる。
【0003】
投資教育を目的とするシステムとしては、専門家からのアドバイスを受けながら、実際の資金を使わない仮想の投資体験を提供するシステムが提案されている(特許文献1参照)。なお、ポイントを利用した擬似的な投資に関するシステムとして、通信回線の利用料金に応じて付与されるポイントを換金して投資商品の運用に充てるシステムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−092340号公報
【特許文献2】特開2018−013823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載のシステムでは自己の資金が全く利用されないため、リアリティが低い投資体験となる。上記の特許文献2に記載のシステムは、ポイントによる擬似的な投資体験を提供するが、投資教育が目的ではない。但し、ポイントを換金して運用に充て、運用成績に応じて口座に現金が振り込まれるため、リアリティが高い。
【0006】
しかし、上記のポイントには金銭的価値があり、実際の運用成績に応じて損益が発生するため、ユーザの射幸心を煽り依存傾向を生じさせるリスクがある。特に、射幸心は、損を取り返そうとする心理によって強くなるようである。こうした理由から、上記のようなリスクを抑制したリアリティの高い投資体験を提供するシステムが望まれる。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明の1つの観点によれば、本発明の目的は、リアリティの高い安全な投資体験を提供することが可能なポイント投資システム、及び投資ポイント管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ユーザが保有するポイント残高を管理するための第1のデータベースを有するポイント管理システムと通信可能なポイント投資システムが提供される。ポイント投資システムは、ポイント残高のうちユーザが投資体験用に指定したポイント数を管理するための第2のデータベースが格納される記憶部と、所定の金融商品の価額に連動して第2のデータベースで管理されるポイント数を増減させる運用処理部と、ユーザが投資体験用のポイント数を指定したとき、指定された当該ポイント数を、第2のデータベースで管理されるポイント数に加算すると共に、第1のデータベースで管理されるポイント残高から減算させ、ユーザが投資体験用に指定したポイント数のうち残存するポイント数をポイント残高に戻す解約処理の要求を受け付けたとき、残存するポイント数よりユーザが指定した総ポイント数の方が大きい場合に、解約処理の中で、総ポイント数を第1のデータベースで管理されるポイント残高に加算させるポイント管理部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
リアリティの高い安全な投資体験を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る各種システムの一例を示した図である。
図2】本発明の一実施形態に係るポイント事業者システム及びポイント投資システム等の機能を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を示したブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係るポイント事業者システムが有する機能の一例を示したブロック図である。
図4】(A)は残高データベースについて説明するための図表であり、(B)は取引データベースについて説明するための図表である。
図5】本発明の一実施形態に係るポイント投資システムが有する機能の一例を示したブロック図である。
図6】(A)は投資ポイントデータベースについて説明するための図表であり、(B)は履歴データベースについて説明するための図表である。
図7】本発明の一実施形態に係るポイント事業者システム及びポイント投資システムが実行する処理の一例を示した第1のフロー図である。
図8】本発明の一実施形態に係るポイント事業者システム及びポイント投資システムが実行する処理の一例を示した第2のフロー図である。
図9】本発明の一実施形態に係るポイント運用処理の流れを示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書及び図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0012】
[1.システム構成]
図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係るポイント投資サービスを提供可能なシステム構成の一例について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る各種システムの一例を示した図である。なお、ここでは各システムの機能について概要を説明し、その詳細については後段において説明する。
【0013】
上記のポイント投資サービスは、ユーザが保有するポイントを投資ポイントとして指定すると、指定した投資ポイントが特定の金融商品に連動して増減し、金融商品による擬似的な投資を体験できるようにするサービスである。
【0014】
上記のポイント投資サービスで利用されるポイントは、商品やサービスと交換できるポイントである。このポイントは、例えば、ポイントカードやクレジットカードなどに加入したとき、或いは、商品やサービスを購入したときなどに無償で付与されるポイント(事業者によってはポイントをマイルと称する場合もある)などである。
【0015】
上記特定の金融商品は、投資信託などの金融商品である。この金融商品としては、投資信託に限定されず、例えば、個別銘柄の株式、日経225などのインデックス、国債、金利、為替、オイル、穀物などのレート、これらに関するスワップやオプションの価格など、金融市場での取引がある金融商品を適用しうる。但し、以下では、理解の容易さなどの観点から、投資経験がない又は少ないユーザに好適な投資信託を例に説明する。
【0016】
図1には、ポイント投資サービスを提供可能なシステム構成例として、ポイント事業者システム10、ポイント投資システム20、顧客端末30、投信販売証券会社のシステム41、及び投信運用会社のシステム42を含む構成が示されている。
【0017】
なお、図1に例示した各システムの一部又は全部を他のシステムと統合することや、1つのシステムを複数のシステムに分割して新たなシステムに組み替えることなどの変形は可能であり、このような変形例についても本実施形態の技術的範囲に属する。
【0018】
ポイント事業者システム10は、ユーザが保有するポイントの残高を確認する処理や、ポイントと商品などとの引き替えを申し込む処理などを含むポイントサービスを提供するためのWebサイト(ポイント管理サイト11)を管理する。
【0019】
また、ポイント事業者システム10は、ポイント投資システム20が管理するWebサイト(後述するポイント投資サイト21)へ誘導するためのWebサイト(ポイント投資ポータル12)を管理する。
【0020】
例えば、ポイント管理サイト11の中にポイント投資ポータル12へ遷移するためのリンクが設けられ、ユーザは、そのリンクを辿って、ポイント投資サービスをプロモーションするポイント投資ポータル12へ誘導される。ポイント投資ポータル12でユーザがポイント投資サービスの利用を開始する旨の操作を行うと、例えば、ポイント投資ポータル12に利用規約などが表示され、ユーザに対して利用開始の合意確認が行われる。
【0021】
ポイント事業者システム10は、各ユーザが保有するポイントの残高を管理する(ポイント残高管理13)。また、ポイント事業者システム10は、ポイント事業者が投信販売証券会社に保有する法人口座(事業者口座41a)を管理する(口座管理14)。口座管理14は、ポイント投資サービスの運用に伴うリスクをヘッジするために投資信託が実際に売買される状況を管理する機能である。この機能については後述する。
【0022】
ポイント投資システム20は、ポイント投資サービスに利用するポイント(投資ポイント)に関する操作を行うためのWebサイト(ポイント投資サイト21)を管理する。ポイント投資サイト21は、振替21a、引出・解約21b、及び照会21cの操作をユーザが行えるようにする。
【0023】
振替21aは、ポイント残高管理13で管理されるポイント残高から指定した数量のポイント数を投資ポイントに振り替える操作(振替)である。引出・解約21bは、投資ポイントの一部又は全部を上記ポイント残高に戻す操作である。以下では、投資ポイントの運用中に投資ポイントをポイント残高に戻す操作を「引出」、投資ポイントの運用を終了して全ての投資ポイントをポイント残高に戻す操作を「解約」と呼ぶ。
【0024】
照会21cは、運用中の投資ポイント数を照会する操作である。
【0025】
ポイント投資システム20は、投資ポイントの残高を管理する(投資残高管理22)。また、ポイント投資システム20は、バックエンド機能23を有する。
【0026】
バックエンド機能23は、投資信託の基準価額を取り込む機能(基準価額取込23a)、及び基準価額から各ユーザの投資ポイントの残高を計算する機能(残高換算23b)を含む。また、バックエンド機能23は、投資ポイントの総残高、及び、ヘッジ用に売買した投資信託の売買状況をポイント事業者システム10に報告するための報告データを作成する機能(報告データ作成23c)、及び、投資信託の売買を指示する機能(投信売買指示23d)を有する。
【0027】
顧客端末30は、ポイントサービスを利用するユーザのコンピュータである。例えば、顧客端末30は、スマートフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer)などの通信機能を有するコンピュータである。顧客端末30は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などのネットワークNWを介して、ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20に接続する。
【0028】
以上、ポイント投資サービスを提供可能なシステム構成の一例について説明した。
【0029】
[2.ハードウェア構成]
図2を参照しながら、ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20等の機能を実現可能な情報処理装置70のハードウェアについて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るポイント事業者システム及びポイント投資システム等の機能を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を示したブロック図である。
【0030】
ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20等の機能は、例えば、図2に示す情報処理装置70のハードウェア資源を用いて実現することが可能である。つまり、ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20等の機能は、コンピュータプログラムを用いて図2に示すハードウェアを制御することにより実現されうる。
【0031】
図2に示すように、情報処理装置70は、プロセッサ70a、メモリ70b、表示I/F(Interface)70c、通信I/F70d、及び接続I/F70eを有する。
【0032】
プロセッサ70aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などである。プロセッサ70aは、シングルプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサ又はマルチコアプロセッサであってもよい。
【0033】
メモリ70bは、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置である。なお、メモリ70bに代えて、或いは、メモリ70bと組み合わせて、情報処理装置70に接続される外部メモリ、又は、クラウドストレージなどを適用することも可能である。
【0034】
表示I/F70cは、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro-Luminescence Display)などのディスプレイデバイスを接続するためのインターフェースである。例えば、表示I/F70cは、プロセッサ70aや表示I/F70cに搭載されたGPU(Graphic Processing Unit)により表示制御を実施する。
【0035】
通信I/F70dは、有線及び/又は無線のネットワークに接続するためのインターフェースである。通信I/F70dは、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、光通信ネットワーク、携帯電話ネットワークなどに接続される。
【0036】
接続I/F70eは、外部デバイスを接続するためのインターフェースである。接続I/F70eは、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)などである。
【0037】
接続I/F70eには、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッドなどの入力インターフェースが接続されうる。また、接続I/F70eには、可搬性の記録媒体70fに格納されたデータ及びコンピュータプログラムを読み取るためのリーダ/ライタが接続されうる。リーダ/ライタに接続される記録媒体70fは、例えば、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどである。
【0038】
プロセッサ70aは、記録媒体70fに格納されたコンピュータプログラムを読み出してメモリ70bに格納しうる。また、プロセッサ70aは、メモリ70bから読み出したプログラムに従って情報処理装置70の動作を制御しうる。なお、情報処理装置70の動作を制御するコンピュータプログラムは、メモリ70bに予め格納されていてもよいし、通信I/F70dを介してネットワークからダウンロードされてもよい。
【0039】
以上、情報処理装置70のハードウェアについて説明した。
【0040】
なお、ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20の機能は、1台の情報処理装置70又はネットワーク等を介して接続された複数台の情報処理装置70を利用して実現されうる。また、顧客端末30の機能、投信販売証券会社のシステム41、投信運用会社のシステム42についても、図2に例示した情報処理装置70の機能を利用して実現されうる。また、情報処理装置70の一部要素が省略されてもよい。
【0041】
[3.システムの機能]
以下、ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20の機能について、さらに説明する。
【0042】
(3−1.ポイント事業者システム)
図3を参照しながら、ポイント事業者システム10の機能について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るポイント事業者システムが有する機能の一例を示したブロック図である。
【0043】
図3に示すように、ポイント事業者システム10は、記憶部101、サイト運営部102、ポイント管理部103、及びコスト管理部104を有する。
【0044】
記憶部101の機能は、上述したメモリ70bを用いて実現可能である。サイト運営部102、ポイント管理部103、及びコスト管理部104の機能は、上述したプロセッサ70aを用いて実現可能である。
【0045】
記憶部101には、残高データベース111、及び取引データベース112が格納される。なお、図中ではデータベースをDBと略記する場合がある。残高データベース111は、各ユーザが保有するポイント残高を管理するためのデータベースである。取引データベース112は、ポイント数の増加に伴うコスト増をヘッジするために売買される投資信託の取引状況を管理するためのデータベースである。
【0046】
残高データベース111は、例えば、図4(A)のような情報を含む。また、取引データベース112は、例えば、図4(B)のような情報を含む。図4は、本発明の一実施形態に係る残高データベース及び取引データベースについて説明するための図表である。
【0047】
図4(A)の例では、残高データベース111には、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(UserID)と、そのユーザが保有するポイント残高とが対応付けて格納される。残高データベース111は、新たなポイントの付与、ポイントの消費(商品への交換など)、投資ポイントへの振替、投資ポイントの引出及び解約などに応じて更新される。
【0048】
図4(B)の例では、取引データベース112には、投資信託の取引日と、総投資ポイント数と、取引の内容(売り/買い)と、売買数量とが対応付けて格納される。例えば、取引日の時点における総投資ポイント数、取引の内容、その日に行った売買の数量(口数)がポイント投資システム20から日次報告され、これに応じて取引データベース112が更新される。
【0049】
サイト運営部102は、ポイント管理サイト11及びポイント投資ポータル12を運営する機能である。例えば、ポイント管理サイト11でポイント残高の照会要求を受け付けたとき、サイト運営部102は、残高データベース111を参照してポイント残高を表示する。また、サイト運営部102は、ポイント投資ポータル12でポイント投資サイト21への遷移要求を受け付けたとき、ポイント投資サービスの利用規約や利用開始の合意確認を求めるオブジェクトなどを表示する。
【0050】
ポイント管理部103は、上述したポイント残高管理13に関する機能を提供し、各ユーザが保有するポイントの増減に応じて残高データベース111を更新する。
【0051】
例えば、ユーザが投資ポイントへの振替を行うとき、ポイント管理部103は、ポイント投資システム20からの要求に応じて、投資ポイントに振り替えるポイント数(振替ポイント数)分のポイントを残高データベース111のポイント残高から減算する。なお、振替ポイント数は、ユーザにより指定される。
【0052】
また、ユーザが投資ポイントの引出を行うとき、ポイント管理部103は、ポイント投資システム20からの要求に応じて、投資ポイントからポイント残高に戻すポイント数(引出ポイント数)分のポイントを残高データベース111のポイント残高に加算する。なお、引出ポイント数は、ユーザにより指定される。
【0053】
また、ユーザが解約を行うとき、ポイント管理部103は、ポイント投資システム20からの要求に応じて、投資ポイントからポイント残高に戻すポイント数(返還ポイント数)分のポイントを残高データベース111のポイント残高に加算する。なお、返還ポイント数の計算方法については、後述する処理の流れについての説明の中で述べる。
【0054】
コスト管理部104は、ポイント投資システム20からの報告に応じて取引データベース112を更新する。また、コスト管理部104は、ポイント投資システム20からの報告内容に基づいて、投信販売証券会社にある事業者口座41aに対する入出金の処理を実行する。なお、図1に示したシステム構成例では投信売買指示23dをポイント投資システム20で実施するが、コスト管理部104が投資信託の売買指示を実行するように変形してもよい。
【0055】
以上、ポイント事業者システム10の機能について説明した。
【0056】
(3−2.ポイント投資システム)
次に、図5を参照しながら、ポイント投資システム20の機能について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るポイント投資システムが有する機能の一例を示したブロック図である。
【0057】
図5に示すように、ポイント投資システム20は、記憶部201、投資サイト運営部202、投資ポイント管理部203、ポイント運用部204、売買指示部205、及び残高報告部206を有する。
【0058】
記憶部201の機能は、上述したメモリ70bを用いて実現可能である。投資サイト運営部202、投資ポイント管理部203、ポイント運用部204、売買指示部205、及び残高報告部206の機能は、上述したプロセッサ70aを用いて実現可能である。
【0059】
記憶部201には、投資ポイントデータベース211、履歴データベース212、及び換算レート213が格納される。
【0060】
投資ポイントデータベース211は、各ユーザが保有する投資ポイント(運用中のポイント)を管理するためのデータベースである。履歴データベース212は、各ユーザが行った投資ポイントに対する操作(振込、引出、解約)の履歴を管理するためのデータベースである。換算レート213は、ユーザのポイント残高が1ポイント増加した場合にポイント事業者に生じるコスト負担の金額を示す値である。
【0061】
投資ポイントデータベース211は、例えば、図6(A)のような情報を含む。履歴データベース212は、例えば、図6(B)のような情報を含む。図6は、本発明の一実施形態に係る投資ポイントデータベース及び履歴データベースについて説明するための図表である。
【0062】
図6(A)の例では、投資ポイントデータベース211は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(UserID)と、そのユーザが保有する投資ポイント残高とが対応付けて格納される。投資ポイントデータベース211は、投資信託の基準価額に基づく投資ポイント数の更新、及び、振替、引出、解約の各操作に応じて更新される。
【0063】
図6(B)の例では、履歴データベース212は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(UserID)と、操作内容(振替、引出、解約)と、操作対象のポイント数(振替ポイント数、引出ポイント数、返還ポイント数)とが対応付けて格納される。なお、引出ポイント数及び返還ポイント数は、引出/返還ポイント数の欄に記載される。履歴データベース212は、振替、引出、解約の各操作に応じて更新される。
【0064】
投資サイト運営部202は、ポイント投資サイト21を管理する。例えば、投資サイト運営部202は、ポイント投資サイト21を介して、振替、引出、解約の各操作を受け付ける。また、投資サイト運営部202は、ポイント投資サイト21を介して、運用状況の照会を受け付けたとき、投資ポイントデータベース211を参照して、投資ポイント残高や運用実績などの情報をユーザに表示する。
【0065】
投資ポイント管理部203は、振替、引出、解約の各操作を受け付けたとき、受け付けた操作の内容を履歴データベース212に記載する。
【0066】
また、受け付けた操作が振込である場合、投資ポイント管理部203は、振込ポイント数の分だけ残高データベース111のポイント残高を減算するようにポイント事業者システム10に依頼する。また、投資ポイント管理部203は、振込ポイント数の分だけ投資ポイントデータベース211の投資ポイント残高を増加させる。
【0067】
また、受け付けた操作が引出である場合、投資ポイント管理部203は、引出ポイント数の分だけ残高データベース111のポイント残高を増加させるようにポイント事業者システム10に依頼する。また、投資ポイント管理部203は、引出ポイント数の分だけ投資ポイントデータベース211の投資ポイント残高を減少させる。
【0068】
また、受け付けた操作が解約である場合、投資ポイント管理部203は、返還ポイント数の分だけ残高データベース111のポイント残高を増加させるようにポイント事業者システム10に依頼する。また、投資ポイント管理部203は、投資ポイントデータベース211にある解約対象ユーザのレコードを削除する。なお、変形例として、投資ポイント管理部203は、解約対象ユーザのレコードを残しておき、投資ポイント残高を0にしてもよい。
【0069】
ポイント運用部204は、例えば、投信運用会社のシステム42にアクセスし、投信運用会社から公表される投資信託の基準価額を取り込む。投資信託の場合には1日に1つの基準価額が公表されるため、ポイント運用部204は、日次で基準価額の取込を実施する。また、ポイント運用部204は、取り込んだ基準価額に基づいて投資ポイントデータベース211に記載されている各ユーザの投資ポイント残高を更新する。
【0070】
例えば、ポイント運用部204は、前日の基準価額に対する当日の基準価額の増加率(100%未満の場合には減少)を計算し、計算した増加率を各ユーザの投資ポイント残高に掛けた値を更新後の投資ポイント残高とする。
【0071】
なお、上記の更新方法は一例であり、他のロジックで投資ポイント数を基準価額に連動させてもよい。例えば、増加率に重み付けする方法、1回分の増加率や増加する投資ポイント数に上限値を設ける方法、或いは、増加する場合に一定のポイント数を加算し、減少する場合に一定のポイント数を減算する方法などが適用できる。
【0072】
売買指示部205は、ポイント運用部204による投資ポイントデータベース211の更新前後で、投資ポイントデータベース211に記載されている投資ポイント数の合計(総投資ポイント数)を計算する。また、売買指示部205は、更新前後における総投資ポイント数の差分を計算し、換算レート213に基づいて、計算した差分を金額(売買予定金額)に換算する。
【0073】
上記総投資ポイント数の差分は、ポイント事業者がポイント投資サービス以外で発行した総ポイント数と、ユーザが利用できる総ポイント数(残高データベース111のポイント残高+投資ポイント残高)との差分に相当する。つまり、この差分は、ポイントの運用により増減してしまう発行済みポイント数を表している。
【0074】
売買指示部205は、上記の差分がプラスである場合(総投資ポイント数が増加した場合)、上記の売買予定金額分の投資信託を購入するための処理(投信販売証券会社のシステム41に対する買いの指示)を実行する。一方、上記の差分がマイナスである場合(総投資ポイント数が減少した場合)、売買指示部205は、上記の売買予定金額分の投資信託を売却するための処理(投信販売証券会社のシステム41に対する売りの指示)を実行する。
【0075】
換算レート213が1ポイント発行に伴うコスト負担の金額であるため、上記の売買予定金額に基づく投資信託の売買により発行済みポイント数の増減に伴うコスト負担の増減リスクをヘッジすることができる。残高報告部206は、更新後の総投資ポイント数、及び、投資信託の売買取引についての情報をポイント事業者システム10に報告する。
【0076】
以上、ポイント投資システム20の機能について説明した。
【0077】
[4.処理の流れ]
上述したポイント事業者システム10及びポイント投資システム20の機能を適用することで、リアリティの高い投資体験を提供するポイント投資サービスが実現できる。
【0078】
但し、ポイント自体に商品などとの交換価値があるため、ユーザによる過剰利用が懸念される。また、あくまでの投資体験を提供する趣旨から、ユーザの射幸心が高まり過ぎないように抑制する仕組みを設けることが好ましい。こうした事情に配慮したポイント事業者システム10及びポイント投資システム20の動作例を以下に示す。
【0079】
(4−1.システム全体の処理フロー)
図7及び図8を参照しながら、ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20が実行する処理の流れについて説明する。
【0080】
図7は、本発明の一実施形態に係るポイント事業者システム及びポイント投資システムが実行する処理の一例を示した第1のフロー図である。図8は、本発明の一実施形態に係るポイント事業者システム及びポイント投資システムが実行する処理の一例を示した第2のフロー図である。
【0081】
ユーザは、ポイント投資ポータル12及びポイント投資サイト21に順次アクセスして投資体験を開始する。このとき、ユーザは、振替ポイント数を指定する(S101)。投資ポイント管理部203は、振替ポイント数を残高データベース111のポイント残高から減算するようにポイント事業者システム10に依頼する(S102)。この依頼に応じて、ポイント管理部103がポイント残高の減算を実行する。
【0082】
投資ポイント管理部203は、投資ポイントデータベース211及び履歴データベース212に該当ユーザのレコードを登録し、振替ポイント数を投資ポイントデータベース211の投資ポイント数に加算する(S103)。なお、S102、S103の処理は順序を入れ替えてもよいし、並行して実行されてもよい。ポイント運用部204は、該当ユーザのポイント運用を開始する(S104)。なお、ポイント運用に関する処理の流れについては後述する。
【0083】
投資ポイント管理部203は、振込、引出、解約の操作に関する処理要求を受け付けたか否かを判定する(S105)。処理要求を受け付けた場合、処理はS106へと進む。一方、処理要求を受け付けていない場合、処理はS105へと戻る(ポイント運用の継続)。
【0084】
処理がS106へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、受け付けた処理要求が引出の要求であるか否かを判定する(S106)。引出の要求である場合、処理はS107へと進む。一方、引出の要求でない場合、処理はS109へと進む。
【0085】
処理がS107へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、引出ポイント数を投資ポイントデータベース211の投資ポイント数から減算する(S107)。また、投資ポイント管理部203は、引出ポイント数を残高データベース111のポイント残高に加算するようにポイント事業者システム10に依頼する(S108)。この依頼に応じて、ポイント管理部103がポイント残高の加算を実行する。S108の処理が完了すると、処理はS105へと戻る(ポイント運用の継続)。
【0086】
処理がS109へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、受け付けた処理要求が追加的な振替(追加振替)の要求であるか否かを判定する(S109)。追加振替の要求である場合、処理はS110へと進む。一方、追加振替の要求でない場合、処理はS113へと進む。
【0087】
処理がS110へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、履歴データベース212を参照し、該当ユーザが所定期間(例えば、1ヶ月など)に振り替えたポイント数の累計(振替ポイントの累計)を計算し、振替ポイント累計が所定の上限ポイント数(例えば、5000ポイントなど)以下であるか否かを判定する(S110)。
【0088】
振替ポイント累計が上限ポイント数以下である場合、処理はS111へと進む。一方、振替ポイント累計が上限ポイント数以下でない場合、上限ポイント数の超過を通知するメッセージを出力し、処理はS105へと戻る(ポイント運用の継続)。
【0089】
上記のように、振替ポイント累計に上限を設けることで、ユーザの過剰利用を防止できる。なお、振替ポイント累計から引出ポイント累計を差し引いた累計ポイント数を上限ポイント数と比較するように変形してもよい。また、所定期間の振替回数に上限(例えば、60回など)を設け、振替回数が上限を超えた場合に更なる振替を抑制する仕組みに変形してもよい。また、上記の例では所定期間内の振替ポイント累計と上限ポイント数とを比較しているが、1回当たりに振替できるポイント数に上限を設ける仕組みや、投資ポイントの全体ポイント数を対象に上限を設ける仕組みに変形してもよい。
【0090】
処理がS111へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、振替ポイント数を残高データベース111のポイント残高から減算するようにポイント事業者システム10に依頼する(S111)。この依頼に応じて、ポイント管理部103がポイント残高の減算を実行する。また、投資ポイント管理部203は、振替ポイント数を投資ポイントデータベース211の投資ポイント数に加算する(S112)。S112の処理が完了すると、処理はS105へと戻る(ポイント運用の継続)。
【0091】
処理がS113へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、受け付けた処理要求が解約の要求であるか否かを判定する(S113)。解約の要求である場合、処理はS115へと進む。一方、解約の要求でない場合、投資ポイント管理部203は、処理要求に応じた処理を実行し(S114)、処理をS105へと戻す(ポイント運用の継続)。
【0092】
処理がS115へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、履歴データベース212を参照し、該当ユーザが投資体験を開始してから現時点までの通算の振替ポイント数及び通算の引出ポイント数を計算する。また、投資ポイント管理部203は、通算の振替ポイント数と通算の引出ポイント数との差分を計算する(S115)。また、投資ポイント管理部203は、投資ポイントデータベース211から、現在の投資ポイント残高を取得する(S116)。
【0093】
また、投資ポイント管理部203は、S115で計算した差分が、S116で取得した投資ポイント残高以上であるか否かを判定する(S117)。この差分は、ユーザがポイント残高から投資ポイントに振り替えた正味のポイント数に相当する。一方、投資ポイント残高は、運用による増減後の残高に相当する。差分が投資ポイント残高以上であればユーザに損が生じているか又は損も得もしておらず、差分が投資ポイント残高未満であればユーザに損が生じていない
【0094】
上記差分が投資ポイント残高以上である場合(ユーザが損しているか又は損も得もしていない場合)、処理はS118へと進む。一方、上記差分が投資ポイント残高未満である場合(ユーザが損していない場合)、処理はS120へと進む。
【0095】
処理がS118へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、上記差分から投資ポイント残高を差し引いたポイント数の絶対値(通算損ポイント数)を計算する(S118)。また、投資ポイント管理部203は、返還ポイント数として、投資ポイント残高に通算損ポイント数を加算したポイント数を計算する(S119)。S119の処理が完了すると、処理はS121へと進む。
【0096】
処理がS120へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、投資ポイント残高を返還ポイント数に設定し(S120)、処理をS121へと進める。
【0097】
処理がS121へと進んだ場合、投資ポイント管理部203は、返還ポイント数を残高データベース111のポイント残高に加算するようにポイント事業者システム10に依頼する(S121)。この依頼に応じてポイント管理部103がポイント残高の加算を実行する。また、投資ポイント管理部203は、該当ユーザのレコードを投資ポイントデータベース211から削除する(S122)。S122の処理が完了すると、図7及び図8に示した一連の処理は終了する。
【0098】
(4−2.ポイント運用に関する処理フロー)
ここで、図9を参照しながら、ポイント運用処理の流れについて説明する。図9は、本発明の一実施形態に係るポイント運用処理の流れを示したフロー図である。
【0099】
ポイント運用部204は、投資ポイント数の更新タイミングが到来したか否かを判定する(S131)。例えば、ポイント運用部204は、日次の基準価額が公表されるタイミングで投資ポイントデータベース211の投資ポイント数を更新する。投資ポイント数の更新タイミングが到来した場合に処理がS132へと進む。
【0100】
処理がS132へと進んだ場合、ポイント運用部204は、投信運用会社のシステム42にアクセスして投資信託の基準価額を取り込む(S132)。次いで、ポイント運用部204は、現在の基準価額に基づいて投資ポイントデータベース211を更新する(S133)。次いで、売買指示部205は、投資ポイント残高の増減に応じて、投資信託の売買を指示する(S134)。
【0101】
次いで、残高報告部206は、総投資ポイント残高及び売買指示部205による投信取引の状況を示す報告データをポイント事業者システム10に出力する(S135)。この報告データに応じて、コスト管理部104は、残高データベース111及び取引データベース112を更新する(S136)。S136の処理が完了すると、処理はS131へと戻る(ポイント運用の継続)。
【0102】
以上、ポイント事業者システム10及びポイント投資システム20が実行する処理の流れについて説明した。
【0103】
上記のように、振替ポイント累計が上限ポイント数を超えた場合に振替が抑制されることでユーザによる過剰利用が防止される。また、解約時に損が生じている場合には通算損ポイント数がポイント投資システム20で補填されるため、損しない仕組みが実現され、損を取り返そうとしてユーザがポイント投資にのめり込むリスクを低減できる。また、総投資ポイント数の変動に応じて実際に投信の売買が実施されるため、投信の運用成績に応じて発行済みポイント数が実質的に変動するリスクを抑制できる。
【0104】
[5.変形例]
上記の説明では、ユーザがWebサイトを通じてポイント投資サービスを受ける方式を紹介したが、顧客端末30にインストールされるポイント投資サービス用のアプリケーションソフトウェアや専用端末などが利用される方式に変形できる。また、振替頻度や振替ポイント数の累計が閾値を超えた場合にユーザに警告メッセージが表示される方式に変形できる。
【0105】
また、これまで投資信託を例に説明したが、投資信託以外の金融商品、或いは、複数の金融商品の組合せの価値指標にポイントを連動させる方式に変形できる。また、価値指標の更新間隔が短い金融商品の場合、1日より短い間隔(1時間、30分、数分など)で投資ポイント数を更新する方式に変形できる。
【0106】
また、投資ポイント残高の一部を運用中に引き出す操作(引出)を制限又は禁止する方式や、解約時にユーザの利益が出ないように返還ポイント数を調整する方式に変形してもよい。また、通算損ポイント数を補填する代わりに、通算損ポイント数に相当する商品やサービスなどをユーザに還元する方式に変形してもよい。このような変形についても当然に本実施形態の技術的範囲に属する。
【0107】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【符号の説明】
【0108】
10 ポイント事業者システム
20 ポイント投資システム
101、201 記憶部
102 サイト運営部
103 ポイント管理部
104 コスト管理部
111 残高データベース
112 取引データベース
202 投資サイト運営部
203 投資ポイント管理部
204 ポイント運用部
205 売買指示部
206 残高報告部
211 投資ポイントデータベース
212 履歴データベース
213 換算レート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9