(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、燃料電池セル301の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、燃料電池セル301の斜視図である。
図2は、
図1のA−A断面図である。
【0010】
燃料電池セル301は、長手方向(x軸方向)に延びる板状に形成される。本実施形態に係る燃料電池セル301は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。燃料電池セル301は、複数の発電素子部10と、支持基板20と、複数のインターコネクタ31とを備える。
【0011】
[支持基板20]
支持基板20は、支持基板20の長手方向(x軸方向)に沿って延びる複数のガス流路21を内部に有する。各ガス流路21は、互いに実質的に平行に延びる。
【0012】
図2に示すように、支持基板20は、第1主面22と、複数の凹部23と、第2主面24とを有する。本実施形態に係る燃料電池セル301では、支持基板20の第1主面22側と第2主面24側とが同様に構成されているため、以下においては第1主面22側の構成について主に説明する。
【0013】
各凹部23は、第1主面22に形成される。各凹部23は、支持基板20の長手方向において、互いに間隔をあけて配置される。各凹部23は、支持基板20の幅方向(y軸方向)の両端部には形成されない。
【0014】
支持基板20は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板20は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板20は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とY
2O
3(イットリア)とから構成さてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3とから構成されてもよいし、MgOとMgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板20の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
【0015】
支持基板20は、Zr(ジルコニア)を含有していてもよいし、Zrを含有していなくてもよい。支持基板20がZrを含有する場合、支持基板20における平均Zr濃度は、後述する固体電解質5における平均Zr濃度より低くてもよく、燃料極活性部42における平均Zr濃度より低くてもよい。支持基板20における平均Zr濃度は特に制限されないが、例えば0.1質量%〜70質量%とすることができる。支持基板20における平均Zr濃度は、
図2に示す断面において、ガス流路21の内表面から第1主面22までを5等分する4点でZr濃度を測定し、得られたZr濃度を算術平均することによって得られる。Zr濃度は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、SU3500)とエネルギー分散型X線分析装置(AMETEK社製、EDAX Apollo)を用いて測定される、全カチオン質量に対するZr質量の割合である。
【0016】
[発電素子部10]
燃料電池セル301は、支持基板20の第1主面22側に配置された4つの発電素子部10と、第2主面24側に配置された4つの発電素子部10とを備える。
図2では、支持基板20の第1主面22側に配置された3つの発電素子部10と、第2主面24側に配置された2つの発電素子部10とが図示されている。
【0017】
各発電素子部10は、支持基板20に支持される。各発電素子部10は、支持基板20の長手方向において、互いに間隔をあけて配置される。長手方向に隣り合う発電素子部10は、インターコネクタ31によって互いに電気的に接続される。
【0018】
各発電素子部10は、燃料極4、固体電解質5、空気極6、及び反応防止膜7を有する。燃料極4、固体電解質5、反応防止膜7及び空気極6は、支持基板20側からこの順で配置される。各発電素子部10は、互いに同様の構成を有する。
【0019】
[燃料極4]
燃料極4は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極4は、燃料極集電部41と燃料極活性部42とを有する。
【0020】
[燃料極集電部41]
燃料極集電部41は、凹部23内に配置される。詳細には、燃料極集電部41は、凹部23内に充填されており、凹部23と同様の外形を有する。各燃料極集電部41は、第2主面411を有する。本実施形態において、第2主面411は、支持基板20の第1主面22と実質的に同一面上にある。すなわち、支持基板20の第1主面22と、各燃料極集電部41の第2主面411とによって、一つの平面が構成される。ただし、第2主面411は、第1主面22と完全に同一面上になくてもよい。例えば、第1主面22と第2主面411との間に、20μm以下程度の段差があってもよい。第2主面411は平坦面を構成しており、第2主面411上に凹部は形成されていない。
【0021】
燃料極集電部41は、電子伝導性を有する。燃料極集電部41は、燃料極活性部42よりも高い電子伝導性を有していることが好ましい。燃料極集電部41は、酸化物イオン(酸素イオン)伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0022】
燃料極集電部41は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部41は、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部41の厚さ、及び凹部23の深さは、50〜500μm程度である。
【0023】
燃料極集電部41は、Zrを含有していてもよいし、Zrを含有していなくてもよい。燃料極集電部41がZrを含有する場合、燃料極集電部41における平均Zr濃度は、固体電解質5における平均Zr濃度より低く、かつ、燃料極活性部42における平均Zr濃度より低い。燃料極集電部41における平均Zr濃度は特に制限されないが、例えば10質量%〜70質量%とすることができる。燃料極集電部41における平均Zr濃度は、
図2に示す断面において、燃料極集電部41を厚み方向(z軸方向)に5等分する4点でZr濃度を測定し、得られたZr濃度を算術平均することによって得られる。Zr濃度は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、SU3500)とエネルギー分散型X線分析装置(AMETEK社製、EDAX Apollo)を用いて測定される、全カチオン質量に対するZr質量の割合である。
【0024】
[燃料極活性部42]
燃料極活性部42は、燃料極集電部41に埋設されていない。燃料極活性部42は、燃料極集電部41の第2主面411と支持基板20の第1主面22とに跨って配置されている。すなわち、長手方向(x軸方向)において、燃料極活性部42の一端縁は、燃料極集電部41の一端縁の外側に延ばされている。
【0025】
詳細には、燃料極活性部42は、燃料極集電部41と固体電解質5との間に配置される第1部分42aと、燃料極集電部41から露出する第2部分42bとを有する。
【0026】
第1部分42aは、燃料極活性部42のうち燃料極集電部41と固体電解質5とに挟まれた領域である。第1部分42aは、燃料極集電部41及び固体電解質5のそれぞれと接触する。
【0027】
第2部分42bは、燃料極活性部42のうち燃料極集電部41の一端縁の外側に延ばされた領域である。第2部分42bは、支持基板20と固体電解質5との間に配置される。第2部分42bは、支持基板20及び固体電解質5のそれぞれと接触し、燃料極集電部41とは接触しない。このような第2部分42bを設けることによって、燃料極集電部41が固体電解質5と接触する領域を少なくすることができる。
【0028】
ここで、燃料極活性部42における平均Zr濃度は、固体電解質5における平均Zr濃度より低く、かつ、燃料極集電部41における平均Zr濃度より高い。従って、燃料極活性部42と固体電解質5とZr濃度差は、燃料極集電部41と固体電解質5とのZr濃度差より小さい。従って、燃料極活性部42は、燃料極集電部41に比べて、材料組成的に固体電解質5と高い親和性を有する。燃料極活性部42における平均Zr濃度は特に制限されないが、例えば10質量%〜70質量%とすることができる。燃料極活性部42における平均Zr濃度は、
図2に示す断面において、燃料極集電部41を厚み方向(z軸方向)に5等分する4点でZr濃度を測定し、得られたZr濃度を算術平均することによって得られる。Zr濃度は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、SU3500)とエネルギー分散型X線分析装置(AMETEK社製、EDAX Apollo)を用いて測定される、全カチオン質量に対するZr質量の割合である。
【0029】
このように、固体電解質5と高い親和性のある燃料極活性部42に第2部分42bを設けることによって、燃料極集電部41と固体電解質5との接触領域を少なくすることができるため、燃料極集電部41と固体電解質5との接触領域に剥離が生じることを抑制できる。
【0030】
[固体電解質5]
固体電解質5は、燃料極4を覆うように配置される。詳細には、固体電解質5は、あるインターコネクタ31から他のインターコネクタ31まで支持基板20の長手方向(x軸方向)に延びる。支持基板20の長手方向において交互に配置される固体電解質5とインターコネクタ31とによって、ガスバリア層が構成される。
【0031】
固体電解質5は、酸化物イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される。固体電解質5は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。固体電解質5の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0032】
固体電解質5における平均Zr濃度は、燃料極活性部42における平均Zr濃度より高く、かつ、燃料極集電部41における平均Zr濃度より高い。燃料極活性部42と固体電解質5とZr濃度差は、燃料極集電部41と固体電解質5とZr濃度差より小さい。従って、固体電解質5は、燃料極集電部41に比べて、材料組成的に燃料極活性部42と高い親和性を有する。固体電解質5における平均Zr濃度は特に制限されないが、例えば80質量%〜95質量%とすることができる。固体電解質5における平均Zr濃度は、
図2に示す断面において、固体電解質5を厚み方向(z軸方向)に5等分する4点でZr濃度を測定し、得られたZr濃度を算術平均することによって得られる。Zr濃度は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、SU3500)とエネルギー分散型X線分析装置(AMETEK社製、EDAX Apollo)を用いて測定される、全カチオン質量に対するZr質量の割合である。
【0033】
[反応防止膜7]
反応防止膜7は、緻密な材料から構成される。反応防止膜7は、固体電解質5と後述する空気極活性部61との間に配置される。反応防止膜7は、固体電解質5内のYSZと空気極活性部61内のSrとが反応して電気抵抗の大きい反応層が形成されることを抑制するために設けられる。反応防止膜7は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜7の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。本実施形態において、反応防止膜7は、固体電解質5と後述する空気極集電部62との間にも配置されているが、固体電解質5と空気極集電部62との間には配置されていなくてもよい。
【0034】
[空気極6]
空気極6は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される。空気極6は、固体電解質5を介して、燃料極4と反対側に配置される。空気極6は、空気極活性部61と空気極集電部62とを有する。
【0035】
[空気極活性部61]
空気極活性部61は、反応防止膜7上に配置される。空気極活性部61は、酸化物イオン伝導性を有するとともに、電子伝導性を有する。空気極活性部61は、空気極集電部62よりも酸化物イオン伝導性を有する物質の含有率が大きい。詳細には、空気極活性部61における、気孔部分を除いた全体積に対する酸化物イオン伝導性を有する物質の体積割合は、空気極集電部62における、気孔部分を除いた全体積に対する酸化物イオン伝導性を有する物質の体積割合よりも大きい。
【0036】
空気極活性部61は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極活性部61は、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極活性部61は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極活性部61の厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0037】
[空気極集電部62]
空気極集電部62は、空気極活性部61上に配置される。空気極集電部62は、空気極活性部61から、隣の発電素子部10に向かって延びる。空気極集電部62は、インターコネクタ31を覆うように配置される。本実施形態において、空気極集電部62は、インターコネクタ31の全体を覆うように配置されているが、インターコネクタ31の一部のみを覆っていてもよい。
【0038】
空気極集電部62は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される。空気極集電部62は、空気極活性部61よりも高い電子伝導性を有していることが好ましい。空気極集電部62は、酸化物イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0039】
空気極集電部62は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部62は、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部62は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部62の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0040】
[インターコネクタ31]
インターコネクタ31は、支持基板20の長手方向(x軸方向)において隣り合う2つの発電素子部10を電気的に接続するように構成される。詳細には、インターコネクタ31は、一方の発電素子部10の燃料極集電部41と、他方の発電素子部10の空気極集電部62とを電気的に接続する。
【0041】
インターコネクタ31は、燃料極集電部41の第2主面411上に配置される。すなわち、インターコネクタ31は、燃料極集電部41に埋設されていない。インターコネクタ31は、第2主面411上において、燃料極活性部42と間隔をあけて配置される。
【0042】
インターコネクタ31は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される。インターコネクタ31は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ31は、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。
【0043】
インターコネクタ31の厚さは特に制限されないが、例えば、10〜100μmである。インターコネクタ31の気孔率は、例えば、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
【0044】
[燃料電池セル301の製造方法]
次に、上述したように構成された燃料電池セル301の製造方法について説明する。
図3から
図9において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が焼成前であることを示している。
【0045】
まず、
図3に示すように、支持基板の成形体20gを作製する。この支持基板の成形体20gは、例えば、支持基板20の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等を添加して得られる坏土を用いて、押し出し成形、及び切削等の手法を利用して作製され得る。
【0046】
支持基板の成形体20gが作製されると、次に、
図4に示すように、支持基板の成形体20gの上下面における各凹部23に、燃料極集電部の成形体41gを充填する。燃料極集電部の成形体41gは、例えば、上述した燃料極集電部41の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって作製される。
【0047】
次に、
図5に示すように、燃料極集電部の成形体41gと支持基板の成形体20gとに跨るように、燃料極活性部の成形膜42gを形成する。この成形膜42gは、例えば、上述した燃料極活性部42の材料の粉末にバインダーなどを添加して得られるスラリーを用いて、印刷法などによって形成される。
【0048】
また、各燃料極集電部の成形体41g上に、インターコネクタの成形膜31gを形成する。各インターコネクタの成形膜31gは、例えば、上述したインターコネクタ31の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
【0049】
次に、
図6に示すように、燃料極活性部の成形膜42g上に、固体電解質の成形膜5gを形成する。詳細には、隣り合うインターコネクタの成形膜31gの間に固体電解質の成形膜5gを形成する。これによって、燃料極集電部の成形体41gと燃料極活性部の成形膜42gとが形成された状態の支持基板の成形体20gは、インターコネクタの成形膜31gと固体電解質の成形膜5gとによって覆われる。固体電解質の成形膜5gは、例えば、上述した固体電解質5の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法、又はディッピング法等によって形成される。
【0050】
次に、
図7に示すように、固体電解質膜の成形膜5g上に、反応防止膜の成形膜7gを形成する。各反応防止膜の成形膜7gは、例えば、上述した反応防止膜7の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
【0051】
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体20gを、空気中にて1000〜1500℃程度で1〜5時間程度焼成する。これにより、空気極6が形成されていない状態の燃料電池セルが得られる。
【0052】
次に、
図8に示すように、各反応防止膜7上に、空気極活性部の成形膜61gを形成する。各空気極活性部の成形膜61gは、例えば、上述した空気極活性部61の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
【0053】
次に、
図9に示すように、空気極活性部の成形膜61gと、隣の発電素子部のインターコネクタ31とを跨ぐように、空気極集電部の成形膜62gを形成する。すなわち、空気極集電部の成形膜62gは、空気極活性部の成形膜61g、固体電解質5及びインターコネクタ31上に形成される。各空気極集電部の成形膜62gは、例えば、上述した空気極集電部62の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
【0054】
そして、このように空気極の成形膜61g、62gが形成された状態の支持基板20を、空気中にて800〜1200℃程度で1〜5時間程度焼成する。これによって、燃料電池セル301が完成する。
【0055】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0056】
上記実施形態では、本発明に係る燃料極活性部を横縞型の燃料電池セルに適用した場合について説明したが、本発明に係る燃料極活性部は種々の燃料電池セルに適用可能である。
【0057】
変形例1
本発明に係る燃料極活性部は、
図10に示すように、電解質支持型の燃料電池セル302に適用可能である。燃料電池セル302は、固体電解質100、燃料極活性部101、燃料極集電部102、及び空気極103を有する。各部材の構成材料などは、上記実施形態に記載したのと同様である。
【0058】
固体電解質100は、第1主面100Sと第2主面100Tとを有する。固体電解質100は、燃料電池セル302の支持基板である。燃料極活性部101は、固体電解質100の第1主面100S上に配置される。燃料極集電部102は、燃料極活性部101上に配置される。空気極103は、固体電解質100の第2主面100T上に配置される。
【0059】
燃料極活性部101は、燃料極集電部102と固体電解質100との間に配置される第1部分101aと、燃料極集電部102から露出する第2部分101bとを有する。また、燃料極活性部101における平均Zr濃度は、固体電解質100における平均Zr濃度より低く、かつ、燃料極集電部102における平均Zr濃度より高い。このように、固体電解質100と高い親和性のある燃料極活性部101に第2部分101bを設けることによって、燃料極集電部102と固体電解質100との接触領域を少なくすることができるため、燃料極集電部102と固体電解質100との接触領域に剥離が生じることを抑制できる。
【0060】
変形例2
本発明に係る燃料極活性部は、
図11に示すように、カソード支持型の燃料電池セル303に適用可能である。燃料電池セル303は、空気極104、固体電解質105、燃料極活性部106、及び燃料極集電部107を有する。各部材の構成材料などは、上記実施形態に記載したのと同様である。
【0061】
空気極104は、第1主面104Sと第2主面104Tとを有する。空気極104は、燃料電池セル303の支持基板である。固体電解質105は、空気極104の第1主面104S上に配置される。固体電解質105は、空気極104の第1主面104S上に形成された膜である。固体電解質105は、主面105Sを有する。燃料極活性部106は、固体電解質105の主面105S上に配置される。燃料極集電部107は、燃料極活性部106上に配置される。
【0062】
燃料極活性部106は、燃料極集電部107と固体電解質105との間に配置される第1部分106aと、燃料極集電部107から露出する第2部分106bとを有する。また、燃料極活性部106における平均Zr濃度は、固体電解質105における平均Zr濃度より低く、かつ、燃料極集電部107における平均Zr濃度より高い。このように、固体電解質105と高い親和性のある燃料極活性部106に第2部分106bを設けることによって、燃料極集電部107と固体電解質105との接触領域を少なくすることができるため、燃料極集電部107と固体電解質105との接触領域に剥離が生じることを抑制できる。