(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6679654
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】仮設蓋
(51)【国際特許分類】
E02D 29/12 20060101AFI20200406BHJP
E02D 29/14 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
E02D29/12 B
E02D29/14 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-98139(P2018-98139)
(22)【出願日】2018年5月22日
(65)【公開番号】特開2019-203289(P2019-203289A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591003541
【氏名又は名称】中部美化企業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】服部 琢真
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正行
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−030142(JP,U)
【文献】
特開2002−266358(JP,A)
【文献】
特開平08−027824(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3026446(JP,U)
【文献】
特開平05−280066(JP,A)
【文献】
実開昭61−159834(JP,U)
【文献】
実開昭60−195342(JP,U)
【文献】
実開昭60−172860(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0058032(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/12
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの開口に嵌合可能な円盤状の蓋本体を有し、通気部と、ホース等を差し込み可能なホース差込部とが開口形成された仮設蓋であって、
前記ホース差込部には、前記ホース差込部内に少なくとも一部が侵入して前記ホース差込部を部分的に閉塞する第1の位置と、前記ホース差込部内から退避して前記ホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能な取手が設けられ、
前記取手は、前記ホース差込部を跨いで両端が前記蓋本体へ上下移動可能に連結され、下方への押し込み状態が前記第1の位置となり、上方への引き出し状態で前記第2の位置へ回転可能なコ字状の棒体であることを特徴とする仮設蓋。
【請求項2】
前記取手は、前記ホース差込部に前記ホース等を差し込んだ状態で、前記第1の位置より上側で前記ホース等に当接する第3の位置をさらに選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の仮設蓋。
【請求項3】
マンホールの開口に嵌合可能な円盤状の蓋本体を有し、通気部と、ホース等を差し込み可能なホース差込部とが開口形成された仮設蓋であって、
前記ホース差込部には、前記ホース差込部内に少なくとも一部が侵入して前記ホース差込部を部分的に閉塞する第1の位置と、前記ホース差込部内から退避して前記ホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能な取手が設けられ、
前記蓋本体の裏側に、前記ホース差込部を下方から閉塞する突出位置と、前記ホース差込部を開放する退避位置との間で前記裏面に沿ってスライド可能なスライド板が設けられ、前記取手は、前記スライド板の上面に設けられて、前記スライド板の突出位置で前記第1の位置が、前記退避位置で前記第2の位置がそれぞれ選択されることを特徴とする仮設蓋。
【請求項4】
マンホールの開口に嵌合可能な円盤状の蓋本体を有し、通気部と、ホース等を差し込み可能なホース差込部とが開口形成された仮設蓋であって、
前記ホース差込部には、前記ホース差込部内に少なくとも一部が侵入して前記ホース差込部を部分的に閉塞する第1の位置と、前記ホース差込部内から退避して前記ホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能な取手が設けられ、
前記取手は、前記蓋本体の裏側で両端が前記裏面に沿ってスライド可能に支持され、前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動可能なコ字状の棒体であることを特徴とする仮設蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールの開口部に設置する仮設蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールに関する作業中に用いられるマンホール開口部の仮設蓋としては、特許文献1−3に開示されるように、蓋体の一部に、通気、採光可能なメッシュ状のグレーチングと、汲み上げポンプや送風ファン等に接続されたホースやダクト等を挿通するための挿通部と、を備えたものが知られている。また、特許文献4に開示されるように、グレーチングの代わりに蓋に複数孔を穿設したものや、特許文献5のように、挿通部の形状をスリット状とした発明も開示されている。
また、このような仮設蓋では、取り外しの際に使用する取手部を設けることがあり、特許文献4のように蓋部に形成された孔を利用するものや、特許文献5のように蓋部上部表面に突設させたものも開示されている。あるいは、特許文献1のように収納可能な取手を備えるものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5959869号公報
【特許文献2】特開2015−42816号公報
【特許文献3】特開2006−194055号公報
【特許文献4】特開2003−105789号公報
【特許文献5】特開2006−45963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マンホールの開口部に設置する仮設蓋に、送風ファンや汲み上げポンプ等に接続されたホースやダクト等が挿通される挿通部のような開口部が設けられていると、ホース等が挿通されない状態では、大きな開口部に足を引っかけたり物を落下させたりする可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、ホース差込部にホース等を挿通していない状態でも、そのホース挿通部を部分的に閉塞でき、大きな開口部を持たないようにして、マンホール周辺の作業員や通行人の障害や物の落下の発生を防ぐことができる仮設蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、通気、採光可能な通気部と、ホースやケーブル等を挿通させるホース差込部と、マンホールの開口に嵌合可能な円盤状の蓋本体を有する仮設蓋であって、ホース差込部には、ホース差込部に少なくとも一部が進入してホース差込部を部分的に閉塞する第1の位置と、ホース差込部内から退避してホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能な取手が設けられ
、取手は、ホース差込部を跨いで両端が蓋本体へ上下移動可能に連結され、下方への押し込み状態が第1の位置となり、上方への引き出し状態で第2の位置へ回転可能なコ字状の棒体であることを特徴とする。
ここで、「ホース等」とは、通水や通気用のホースの他、給電用のケーブルや吊り下げ用のワイヤ等、仮設蓋を使用した状態でマンホール内に引き込まれる長尺部材を指す。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、
取手は、ホース差込部にホース等を差し込んだ状態で、第1の位置より上側でホース等に当接する第3の位置をさらに選択可能であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、
通気、採光可能な通気部と、ホースやケーブル等を挿通させるホース差込部と、マンホールの開口に嵌合可能な円盤状の蓋本体を有する仮設蓋であって、ホース差込部には、ホース差込部に少なくとも一部が進入してホース差込部を部分的に閉塞する第1の位置と、ホース差込部内から退避してホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能な取手が設けられ、蓋本体の裏側に、ホース差込部を下方から閉塞する突出位置と、ホース差込部を開放する退避位置との間で蓋本体の裏面に沿ってスライド可能なスライド板が設けられ、スライド板の上面に取手が設けられて、スライド板の突出位置で第1の位置が、退避位置で第2の位置がそれぞれ選択されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、
通気、採光可能な通気部と、ホースやケーブル等を挿通させるホース差込部と、マンホールの開口に嵌合可能な円盤状の蓋本体を有する仮設蓋であって、ホース差込部には、ホース差込部に少なくとも一部が進入してホース差込部を部分的に閉塞する第1の位置と、ホース差込部内から退避してホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能な取手が設けられ、取手は、蓋本体の裏側で両端が蓋本体の裏面に沿ってスライド可能に支持され、第1の位置と第2の位置との間で移動可能なコ字状の棒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、仮設蓋の取手は、ホース差込部内に少なくとも一部が進入してホース差込部を部分的に閉塞する第1の位置と、ホース差込部内から退避してホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能であって、取手が、第1の位置でホース差込部を部分的に閉塞することで、大きな開口部を持たないように機能するため、マンホール周辺の作業員や通行人の障害や物の落下の発生を防ぐことができる。
また、取手が把持しやすい上、第1の位置と第2の位置との間の移動が容易となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
ホース差込部にホース等を挿通した際、取手を第3の位置に移動させれば、上方からホース等を押さえる形となるため、ホース差込部に挿通されたホース等の蓋本体上への突出量が抑えられ、ホース等を挿通させた状態でも障害になりにくい。
請求項3に記載の発明によれば、
ホース差込部非使用時において、スライド板がホース差込部を閉塞し、物の落下や足を引っかける等の障害を解消できる。
請求項4に記載の発明によれば、
ホース差込部非使用時には、蓋体上方へ取手が突出しないため、物の落下や足を引っかける等のおそれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)は仮設蓋の平面図、(B)は側面図である。
【
図2】ホース差込部の説明図で、(A)は非使用時、(B)は使用時、(C)はホース挿入時をそれぞれ示す。
【
図4】(A)は変更例2の仮設蓋の平面図、(B)は側面図である。
【
図5】変更例2のホース差込部の説明図で、(A)は非使用時、(B)は使用時をそれぞれ示す。
【
図6】(A)は変更例3の仮設蓋の平面図、(B)は側面図である。
【
図7】変更例3のホース差込部の説明図で、(A)は非使用時、(B)は使用時をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、マンホールの仮設蓋の例を示す説明図である。この仮設蓋1は、平面視が円盤状で、マンホールに仮設蓋1を嵌合する際に、仮設蓋1を支持するフランジ2を有する蓋本体1aを備えている。フランジ2の内周部には、一定の間隔で同方向へ配列して設けられたベアリングバー3と、ベアリングバー3と格子を成すように一定の間隔で同方向に配列されたクロスバー4からなる通気部5が形成されている。
仮設蓋1には、ホース等(図示せず)を挿通するためのホース差込部6が、外周縁から半径方向に、先端に半円部を伴って切込形成され、ホース差込部6を跨ぐようにコ字状の棒体からなる収納式の取手7が備えられている。さらに、ホース差込部6と対向する位置に、もう一つのコ字状の棒体からなる収納式の取手8が、いずれも通気部5内に備えられている。ホース差込部6の両側には凹型の取手収納部9及び取手挿通孔10が設けられ、取手7の両端が挿入、収納されている。また、取手8は、両端が取手挿通孔11に挿通され、凹型の取手収納部12に収納されている。
【0010】
図2は、ホース差込部6の使用時及び非使用時における取手7の説明図である。取手7は、側面視がL字状に形成されている。取手7及び8は、使用時には通気部5より上方へ引き出され、取手7の短手部7a及びストッパー13、取手8は下端のストッパー16が通気部5の裏面に係止することで、仮設蓋1を持ち上げて移動させることができる。
一方、取手7及び8を使用しない際は、それぞれ自重により取手収納部9及び12に収納される。この時、それぞれの取手収納部9及び12が、取手7及び8が通気部5から突出しない深さで形成されているため、取手7及び8が仮設蓋1の上方へ突出することがない。そのため、マンホール周辺の作業員や通行人が、取手7および8に足を引っかけて転倒することがない。
【0011】
ホース差込部6を使用しない際、
図2(A)に示すように、取手収納部9に収納された取手7は、ホース差込部6を横切るため、ホース差込部6の開口部Hの開口面積を小さく保つことができ、マンホール周辺の作業員や通行人が、開口部Hから物を落下させたり、足を引っかけて転倒することを回避できる。
一方、ホース差込部6の使用時は、取手7を仮設蓋1の上方へ引き上げた後、半径方向へ倒すことで、
図2(B)に示すように、開口部Hから退避する第2の位置へ移動させることができるため、ホース等の挿通を妨げることがない。この時、取手7は短手部7aの先端にストッパー13が備えられているため、取手挿通孔10から抜けてしまうことはない。さらに、
図2(C)に示すように、ホース17の挿通後、取手7を外周方向へ起こし、取手7がホース17に当接するまで仮設蓋1の下方へ押し込むことで、ホース17が押さえられ、マンホール内へ挿通させたホース17の蓋本体1a上への突出量が抑えられ、ホース等を挿通させた状態でも障害になりにくい。
【0012】
このように、上記形態の仮設蓋1によれば、ホース差込部6に、ホース差込部6に一部が進入してホース差込部6を部分的に閉塞する第1の位置と、ホース差込部6から退避してホース17の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能な取手7を設けたことで、ホース差込部6にホース17を挿通していない状態でも、第1の位置とした取手7を利用してホース差込部6を部分的に閉塞でき、大きな開口部を持たないようにすることができる。よって、マンホール周辺の作業員や通行人の障害や物の落下の発生が防止可能となる。
特にここでは、取手7は、ホース差込部6を跨いで両端が蓋本体1aへ上下移動可能に連結され、下方への押し込み状態が第1の位置となり、上方への引き出し状態で第2の位置へ回転可能なコ字状の棒体としているので、取手7が把持しやすい上、第1の位置と第2の位置との間の移動が容易に行える。
また、取手7は、ホース差込部6にホース17を差し込んだ状態で、第1の位置より上側でホース17に当接する第3の位置を更に選択可能であるため、ホース差込部に挿通されたホース17の蓋本体1a上への突出量が抑えられ、ホース17を挿通させた状態でも障害になりにくくなる。
【0013】
図3は、本発明の実施の形態の変形例1を示す説明図である。但し、
図1,2と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
この仮設蓋21の蓋本体21aには、ホース等(図示せず)を挿通するためのホース差込部6がそれぞれ対向する位置に2つ、外周縁から半径方向に先端に半円部を伴って切込形成され、ホース差込部6を跨ぐように収納式取手7が、通気部5内に設けられている。ホース差込部6の両側には凹型の取手収納部9及び取手挿通孔10が設けられ、取手7が挿入、収納されている。本変形例1では、ホース差込部を2つ設けたことで、上述の効果に加え、マンホール内へ挿通するホース等を増設可能となり、作業の幅を拡大することができる。
【0014】
図4は、本発明の実施の形態の変形例2を示す説明図である。但し、
図1,2と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
この仮設蓋31の蓋本体31aには、ホース等(図示せず)を挿通するためのホース差込部36が平面視長方形状に形成され、ホース差込部36を下方から塞ぐようにスライド型収納式取手37が、さらに、ホース差込部36と対向する位置に収納式取手8が、いずれも通気部5内に備えられている。スライド型収納式取手37は、取手部37a、スライド板37b及びスライド板37bの両端で上側に折り返し形成された倒U字状の爪部37cから構成され、スライド板37bは、通気部5の下方側に備えられた一対のレール35a,35aを爪部37cが把持することで仮設蓋31の半径方向へ摺動可能に、装着されている。さらに、ホース差込部36と対向する位置に、コ字状の取手8が、取手挿通孔11に挿通され、凹型の取手収納部12に収納されている。
【0015】
図5は、ホース差込部36の使用時及び非使用時におけるスライド型収納式取手37の説明図である。ホース差込部36を使用しない際は、
図5(A)に示すように、スライド型収納式取手37を爪部37cがフランジ2と当接する第1の位置(突出位置)まで引き出す。この時、スライド板37bがホース差込部36の開口部Hを塞ぐことができるため、マンホール周辺の作業員や通行人が、開口部Hから物を落下させたり、足を引っかけて転倒することがない。
一方、ホース差込部36の使用時は、
図5(B)に示すように、スライド型収納式取手37を仮設蓋31の半径方向へ、取手部37aが通気部5との接触面35bと当接する第2の位置(退避位置)までスライドさせることで、開口部Hから退避させることができるため、ホース等の挿通を妨げることがない。
【0016】
スライド型収納式取手37が開口部Hを塞いだ状態で、取手8を通気部5より上方へ引き出し、スライド型収納式取手37及びストッパー16により通気部5の裏面に係止させることで、仮設蓋1を持ち上げて移動させることができる。
一方、スライド型収納式取手37及び取手8を使用しない際は、取手部37a及び取手8の収納部12は、取手部37a及び取手8が通気部35から突出しないように形成されているため、取手部37a及び取手8が仮設蓋31の上方へ突出することがない。そのため、マンホール周辺の作業員や通行人が、取手部37aおよび収納式取手8に足を引っかけて転倒することがない。
【0017】
このように、上記形態の仮設蓋31によれば、蓋本体31aの裏側に、ホース差込部36を下方から閉塞する突出位置と、ホース差込部36を開放する退避位置との間で蓋本体31aの裏面に沿ってスライド可能なスライド型収納式取手37が設けられたことで、スライド板37bの突出位置で、ホース差込部36を閉塞できるため、開口部を持たないようにすることができる。よって、マンホール周辺の作業員や通行人の障害や物の落下が防止可能となる。
【0018】
図6は、本発明の実施の形態の変形例3を示す説明図である。但し、
図1,2と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
この仮設蓋41の蓋本体41aには、ホース等(図示せず)を挿通するためのホース差込部46が形成され、ホース差込部46を跨ぐようにスライド型収納式取手47が、さらに、ホース差込部46と対向する位置に収納式取手8が、いずれも通気部5内に備えられている。スライド型収納式取手47は、取手部47aと、挿通部47b、ストッパー47cから構成される平面視コ字状の棒体で、挿通部47bは、通気部5の下方側であってホース差込部46の両側に設けられた筒状の取手挿通部40に挿通されることで、仮設蓋41の半径方向へ摺動可能に、通気部5に装着されている。さらに、外周方向へ引き出した際には、ストッパー47cが取手挿通部40の内側端部40aに引っかかり、抜け落ちることはない。また、取手8は、取手挿通孔11に挿通され、凹型の取手収納部12に収納されている。
【0019】
図7は、ホース差込部46の使用時及び非使用時におけるスライド型収納式取手47の説明図である。ホース差込部46を使用しない際は、
図7(A)に示すように、スライド型収納式取手47をストッパー47cが取手挿通部40の内側端部40aと当接する第1の位置まで引き出す。この時、取手部47aがホース差込部46の開口部Hを横切るため、ホース差込部46の開口部Hの開口面積を小さく保つことができ、マンホール周辺の作業員や通行人が、開口部Hから物を落下させたり、足を引っかけて転倒することがない。
一方、ホース差込部46の使用時は、
図7(B)に示すように、スライド型収納式取手47を仮設蓋41の半径方向へ、取手部47aが取手挿通部40の外側端部40bと当接する位置までスライドさせることで、開口部Hから退避させることができるため、ホース等の挿通を妨げることがない。
【0020】
スライド型収納式取手47がホース差込部46を横切った状態で、取手8を通気部5より上方へ引き出し、スライド型収納式取手47及びストッパー16により通気部5の裏面に係止させることで、仮設蓋41を持ち上げて移動させることができる。
一方、スライド型収納式取手47及び取手8を使用しない際は、スライド型収納式取手47が通気部5の下方側に設けられると共に、取手8の収納部12は、取手8が通気部5から突出しないように形成されているため、スライド型収納式取手47及び取手8が仮設蓋41から突出することがない。そのため、マンホール周辺の作業員や通行人が、スライド型収納式取手47および収納式取手8に足を引っかけて転倒することがない。
【0021】
このように、上記形態の仮設蓋41によれば、ホース差込部46にホース差込部46に一部が進入してホース差込部46を部分的に閉塞する第1の位置と、ホース差込部46から退避して、ホース等の差し込みを許容する第2の位置との間で移動可能なスライド型収納式取手47を設けたことで、ホース差込部46にホース等を挿通していない状態でも、第1の位置としたスライド型収納式取手47を利用してホース差込部46を部分的に閉塞でき、大きな開口部を持たないようにすることができる。よって、マンホール周辺の作業員や通行人の障害や物の落下が防止可能となる。
【0022】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、ホース差込部の数は、例示した1つあるいは2つに限らず、複数形成することもでき、ホース差込部の形状は、例示したものに限らず、先端が半円状でないものや単に開口形成されたもの等、任意の形状をとることもできる。また、いくつかの違う構成の収納式取手の組み合わせであってもよい。さらに、通気部は、通気、採光可能であれば、複数孔を備えた板状のものであってもよく、またさらに、フランジと通気部は一体のものであってもよい。
【符号の説明】
【0023】
1・・仮設蓋、1a・・蓋本体、2・・フランジ、5・・通気部、6・・ホース差込部、7・・収納式取手、9・・取手収納部、H・・開口部。