(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6679770
(24)【登録日】2020年3月23日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】テストケースの作成支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
G06F11/36 184
G06F11/36 176
G06F11/36 164
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-6917(P2019-6917)
(22)【出願日】2019年1月18日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】林 嘉史
(72)【発明者】
【氏名】望月 明
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真秀
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕子
【審査官】
北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−288831(JP,A)
【文献】
特開2016−51244(JP,A)
【文献】
特開2014−186407(JP,A)
【文献】
特開2010−113551(JP,A)
【文献】
特開2006−343951(JP,A)
【文献】
特開2009−163609(JP,A)
【文献】
特開2012−190063(JP,A)
【文献】
特開2014−26458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/28 − 11/36
G06F 8/00 − 8/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オールペア法を用いたテストケースの作成支援装置であって、
テスト対象となる複数の項目、及び前記各項目の値の入力を受け付ける第1受付部と、
2項目間の組み合わせ網羅率を設定する設定部と、
入力される前記複数の項目及び前記値に基づき、入力される前記項目及び前記値の全組み合わせをあらわす、全組み合わせのテストケース一覧を生成する第1生成部と、
前記テストケース一覧に基づき、テストケースごとの2項目間の組み合わせ網羅率を求めることで、前記テストケース一覧に示される1行目から最終行目までに含まれる2項目間の組み合わせ網羅率を算出する算出部と、
算出した前記2項目間の各組み合わせ網羅率と、各テストケース数とを対応付けた網羅率情報を生成する第2生成部と、
設定された前記2項目間の組み合わせ網羅率をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、設定された前記2項目間の組み合わせ網羅率に対応するテストケース数を特定し、特定した前記テストケース数に応じて、前記テストケース一覧に含まれるテストケースの数を調整する第2調整部と、
調整後の前記テストケース数を出力する第1出力部と、
テストケース数の入力を受け付ける第2受付部と、
入力される前記テストケース数をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、当該テストケース数に対応する前記2項目間の組み合わせ網羅率を特定し、特定した組み合わせ網羅率を出力する第2出力部と
を具備するテストケースの作成支援装置。
【請求項2】
オールペア法を用いたテストケースの作成支援装置であって、
テスト対象となる複数の項目、及び前記各項目の値の入力を受け付ける第1受付部と、
3項目間の組み合わせ網羅率を設定する設定部と、
入力される前記複数の項目及び前記値に基づき、入力される前記項目及び前記値の全組み合わせをあらわす、全組み合わせのテストケース一覧を生成する第1生成部と、
前記テストケース一覧に基づき、テストケースごとの3項目間の組み合わせ網羅率を求めることで、前記テストケース一覧に示される1行目から最終行目までに含まれる3項目間の組み合わせ網羅率を算出する算出部と、
算出した前記3項目間の各組み合わせ網羅率と、各テストケース数とを対応付けた網羅率情報を生成する第2生成部と、
設定された前記3項目間の組み合わせ網羅率をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、設定された前記3項目間の組み合わせ網羅率に対応するテストケース数を特定し、特定した前記テストケース数に応じて、前記テストケース一覧に含まれるテストケースの数を調整する第2調整部と、
調整後の前記テストケース数を出力する第1出力部と、
テストケース数の入力を受け付ける第2受付部と、
入力される前記テストケース数をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、当該テストケース数に対応する前記3項目間の組み合わせ網羅率を特定し、特定した組み合わせ網羅率を出力する第2出力部と
を具備するテストケースの作成支援装置。
【請求項3】
入力される前記テストケース数に応じて、前記テストケース一覧に含まれるテストケースの数を調整する、第1調整部をさらに具備する、請求項1または2に記載のテストケースの作成支援装置。
【請求項4】
オールペア法を用いたテストケースの作成を支援するコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
テスト対象となる複数の項目、及び前記各項目の値の入力を受け付ける第1受付部と、
2項目間の組み合わせ網羅率を設定する設定部と、
入力される前記複数の項目及び前記値に基づき、入力される前記項目及び前記値の全組み合わせをあらわす、全組み合わせのテストケース一覧を生成する第1生成部と、
前記テストケース一覧に基づき、テストケースごとの2項目間の組み合わせ網羅率を求めることで、前記テストケース一覧に示される1行目から最終行目までに含まれる2項目間の組み合わせ網羅率を算出する算出部と、
算出した前記2項目間の各組み合わせ網羅率と、各テストケース数とを対応付けた網羅率情報を生成する第2生成部と、
設定された前記2項目間の組み合わせ網羅率をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、設定された前記2項目間の組み合わせ網羅率に対応するテストケース数を特定し、特定した前記テストケース数に応じて、前記テストケース一覧に含まれるテストケースの数を調整する第2調整部と、
調整後の前記テストケース数を出力する第1出力部と、
テストケース数の入力を受け付ける第2受付部と、
入力される前記テストケース数をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、当該テストケース数に対応する前記2項目間の組み合わせ網羅率を特定し、特定した組み合わせ網羅率を出力する第2出力部として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
オールペア法を用いたテストケースの作成を支援するコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
テスト対象となる複数の項目、及び前記各項目の値の入力を受け付ける第1受付部と、
3項目間の組み合わせ網羅率を設定する設定部と、
入力される前記複数の項目及び前記値に基づき、入力される前記項目及び前記値の全組み合わせをあらわす、全組み合わせのテストケース一覧を生成する第1生成部と、
前記テストケース一覧に基づき、テストケースごとの3項目間の組み合わせ網羅率を求めることで、前記テストケース一覧に示される1行目から最終行目までに含まれる3項目間の組み合わせ網羅率を算出する算出部と、
算出した前記3項目間の各組み合わせ網羅率と、各テストケース数とを対応付けた網羅率情報を生成する第2生成部と、
設定された前記3項目間の組み合わせ網羅率をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、設定された前記3項目間の組み合わせ網羅率に対応するテストケース数を特定し、特定した前記テストケース数に応じて、前記テストケース一覧に含まれるテストケースの数を調整する第2調整部と、
調整後の前記テストケース数を出力する第1出力部と、
テストケース数の入力を受け付ける第2受付部と、
入力される前記テストケース数をキーとして、前記網羅率情報を検索することにより、当該テストケース数に対応する前記3項目間の組み合わせ網羅率を特定し、特定した組み合わせ網羅率を出力する第2出力部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テストケースの作成を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プログラム製品は、出荷前に様々なテストを行い、動作検証を行う。検証結果に応じてプログラムを適宜修正し、正常に動作することを確認した上で、出荷を行う。例えば、入力値をデータベースアクセスのパラメータとするプログラム製品の場合には、入力される可能性のある全ての入力値の組み合わせを作成し、当該全ての入力値についてテストを繰り返し実行する。
【0003】
しかしながら、入力値の全ての組合せを作成してテストすると、組合せの数が膨大になり、テスト実行に要する時間が増大する等の問題が生じる。
【0004】
かかる問題を解消するべく、テストケースの組み合わせを削減する手法として、オールペア法が知られている(例えば、特許文献1参照)。オールペア法を利用した場合、例えば、3個のパラメータ(項目)が、それぞれ2値を取る場合に、全組み合わせのパターンは8通り(=2×2×2)になるが、このうちいずれか任意の2個の項目の組み合わせを考えると、半分の4通りとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−227958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した方法を用いてテストケース数を削減したとしても、すべてのテストケースについて、テストを実行することは工数的に難しい。このため、設定された工数に収まる範囲でテストケースを抜粋し、テストを行っている。
【0007】
現状では、テストを行う担当者(以下、オペレータ)が、手動でテストケースを抜粋しているが、抜粋したテストケースの組み合わせ網羅率(例えば、2項目間の組み合わせ網羅率など)を把握できず、最終的にはオペレータがテスト品質に問題がないか否かを判断し、属人的な経験やスキルに頼らざるを得ない、という問題があった。
【0008】
本発明は、以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、テスト品質の指標となる組み合わせ網羅率を提示することが可能なテストケースの作成を支援する技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一形態に係るテストケースの作成支援装置は、オールペア法を用いたテストケースの作成支援装置であって、テスト対象となる複数の項目、及び前記各項目の値の入力を受け付ける第1受付部と、入力される前記複数の項目及び前記値に基づき、テストケース一覧を生成する第1生成部と、前記テストケース一覧に基づき、1テストケースあたりのL項目間(L≧2)の組み合わせ網羅率を算出する算出部と、算出した前記L項目間の組み合わせ網羅率と、テストケース数とを対応付けた網羅率情報を生成する第2生成部と、テストケース数の入力を受け付ける第2受付部と、前記網羅率情報をもとに、入力される前記テストケース数での前記L項目間の網羅率を特定し、特定した網羅率を出力する出力部とを具備することを要旨とする。
【0010】
本開示の他の形態に係るプログラムは、オールペア法を用いたテストケースの作成を支援するコンピュータによって実行されるプログラムであって、前記コンピュータを、テスト対象となる複数の項目、及び前記各項目の値の入力を受け付ける第1受付部と、入力される前記複数の項目及び前記値に基づき、テストケース一覧を生成する第1生成部と、
前記テストケース一覧に基づき、1テストケースあたりのL項目間(L≧2)の組み合わせ網羅率を算出する算出部と、算出した前記L項目間の組み合わせ網羅率と、テストケース数とを対応付けた網羅率情報を生成する第2生成部と、テストケース数の入力を受け付ける第2受付部と、前記網羅率情報をもとに、入力される前記テストケース数での前記L項目間の網羅率を特定し、特定した網羅率を出力する出力部として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、テスト品質の指標となる組み合わせ網羅率を提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る情報処理装置の構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るテストケースの作成支援処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図5】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図6】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図7】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図8】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図9】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図10】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図11】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図12】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図13】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図14】各処理ステップの動作を説明する説明図である。
【
図15】変形例に係るテストケースの作成支援処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
A.本実施形態
A−1.構成
図1は、オールペア法によるテストケースの作成支援プログラムP1を実行する情報処理装置10の構成を示す図である。
情報処理装置(テストケースの作成支援装置)10は、例えばパーソナルコンピュータ等によって構成され、制御装置11と、メモリ12と、入出力装置13と、通信I/F14との協働により、本実施形態に記載される機能、及び/又は方法を実現する。
【0015】
制御装置11は、メモリ12等に記憶されるプログラムに含まれるコードまたは命令によって実現する機能、および/または、方法を実行する。制御装置11は、例えば、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含む。
【0016】
メモリ12は、各種データやプログラムなどを記憶し、制御装置11に対して作業領域を提供する。メモリ12には、制御装置11がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのほか、HDD(Hard Disk Drive)などの補助記憶装置を含む。メモリ12には、本実施形態に係るテストケースの作成支援プログラムP1が格納されている。
【0017】
入出力装置13は、情報処理装置10に対する各種操作を入力する入力デバイス(キーボード、タッチパネル、マウス、マイク等)、および、情報処理装置10で処理された処理結果を出力する出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)を含む。
【0018】
通信I/F14は、通信ネットワークを介して各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0019】
A−2.動作
図2は、制御装置11がメモリ12に記憶されたテストケースの作成支援プログラムP1を実行することにより実現される機能構成を示すブロック図である。制御装置11は、項目・値受付部110、網羅率設定部120、テストケース一覧生成部130、網羅率算出部140、網羅率情報生成部150、テストケース数受付部160、テストケース調整部170、網羅率出力部180を有している。以下、これら各部の詳細について説明する。
【0020】
図3は、情報処理装置10によって実行されるテストケースの作成支援処理の流れを示すフローチャートであり、
図4〜
図14は、各処理ステップの動作を説明する説明図である。
ステップS1において、項目・値受付部(第1受付部)110は、オペレータによって入力される、テスト対象の項目を受け付けるとともに(
図4参照)、各項目の値を受け付ける(
図5参照)。
【0021】
図6は、項目・値一覧L1を例示した図である。
図6に示すように、本実施形態では、5つの項目「往復/片道」、「出発地」、「到着地」、「搭乗クラス」、「決済方法」が入力され、それぞれの項目に対して2つの値(例えば、「往復」及び「片道」)または4つの値(例えば、「大阪」、「東京」、「福岡」、「名古屋」)が入力される場合を例に説明するが、入力される項目や値の数はこれらに限る趣旨ではない。
【0022】
ステップS2において、網羅率設定部(設定部)120は、オペレータによる入力に従い、3項目間の組み合わせ網羅率を設定する(後述)。なお、オペレータが3項目間の組み合わせ網羅率を設定しない場合には、3項目間の所定の組み合わせ網羅率(例えば、74%)を、網羅率設定部120が自動設定してもよい。
【0023】
ステップS3に進むと、テストケース一覧生成部(第1生成部)130は、オペレータによって入力されるテストケース一覧の生成指示に従い、入力された項目及び値の全組み合わせをあらわす、全組み合わせのテストケース一覧L2を生成する(
図7参照)。なお、本実施例では、128通りのテストケースが生成される。
【0024】
ステップS4に進むと、テストケース一覧生成部130は、入力された項目及び値に基づき、オールペア法による2項目間の組み合わせ網羅率が100%となるテストケース一覧(以下、2項目間100%のテストケース一覧という。)L3を生成する(
図8に示すA参照)。さらに、テストケース一覧生成部130は、入力された項目及び値に基づき、2項目間の組み合わせ網羅率が100%となる組み合わせの総数(以下、2項目間100%の組み合わせ総数という。)を求める。なお、本実施例では、2項目間100%の組み合わせ総数は、76通りとなる(
図8に示すB参照)。
【0025】
ステップS5に進むと、テストケース一覧生成部130は、ステップS4で生成した2項目間100%のテストケース一覧をもとに、3項目間の組み合わせ網羅率が100%となるテストケース一覧(以下、3項目間100%のテストケース一覧という。)L4を追加生成する(
図9に示すA参照)。さらに、テストケース一覧生成部130は、入力された項目及び値に基づき、3項目間の組み合わせ網羅率が100%となる組み合わせの総数(以下、3項目間100%の組み合わせ総数という。)を求める。なお、本実施例では、3項目間100%の組み合わせ総数は、160通りとなる(
図9に示すB参照)。
【0026】
ステップS6に進むと、網羅率算出部(算出部)140は、テストケースごとの組み合わせ網羅率を算出する。詳述すると、まず、網羅率算出部140は、テストケース一覧L2に示される1行目のテストケースにつき、2項目間の組み合わせ数を算出する(
図10に示すA参照)。ここでは、1ケースあたりの2項目間の組み合わせ数は「10通り」であるのに対し、2項目間100%の組み合わせ総数は、「76通り」であることから、1行目の1ケースあたりの2項目間の組み合わせ網羅率は、13.16%(=100%×10/76)となる。網羅率算出部140は、テストケース一覧L2に示される1行目から最終行目(例えばN行目)まで、上記処理を繰り返し実行することにより(
図10に示すB参照)、1行目からN行目までに含まれる2項目間の組み合わせ網羅率を算出する。
【0027】
同様に、網羅率算出部140は、テストケース一覧L2に示される1行目のテストケースにつき、3項目間の組み合わせ数を算出する(
図11に示すA参照)。ここでは、1ケースあたりの3項目間の組み合わせ数は「10通り」であるのに対し、3項目間100%の組み合わせ総数は、「160通り」であることから、1行目の1ケースあたりの3項目間の組み合わせ網羅率は、6.25%(=100%×10/160)となる。網羅率算出部140は、テストケース一覧L2に示される1行目から最終行目(例えばN行目)まで、上記処理を繰り返し実行することにより(
図11に示すB参照)、1行目からN行目までに含まれる3項目間の組み合わせ網羅率を算出する。
【0028】
ステップS7に進むと、網羅率情報生成部(第2生成部)150は、網羅率算出部140が算出した1行目からN行目(例えばN=50)までの2項目間の組み合わせ網羅率、及び3項目間の組み合わせ網羅率をあらわす網羅率情報IF1を生成するとともに(
図12参照)、メモリ12に格納する。
【0029】
ステップS8に進むと、テストケース調整部(第2調整部)170は、ステップS2において設定された3項目間の組み合わせ網羅率(例えば、74%)をもとに、テストケース数を調整する。詳述すると、テストケース調整部(出力部)170は、設定された3項目間の組み合わせ網羅率をキーとして、メモリ12に格納されている網羅率情報IF1を検索し、網羅率情報IF1に含まれる3項目間の組み合わせ網羅率の中から、設定された3項目間の組み合わせ網羅率に最も近い3項目間の組み合わせ網羅率を特定する。
図13の例では、3項目間の組み合わせ網羅率「74.7%」が、設定された3項目間の組み合わせ網羅率に最も近いことから、テストケース調整部170は、3項目間の組み合わせ網羅率「74.7%」に対応するテストケースの行数(ここでは、34行目)までを残し、それ以降のテストケースを、テストケース一覧(ここでは、3項目間100%のテストケース一覧)から削除する。なお、テストケース調整部(出力部)170は、調整後のテストケース数などを表示パネルに表示するなどして、オペレータに提示する。
【0030】
一方、ステップS9に進むと、テストケース数受付部(第2受付部)160は、オペレータによるテストケース数(例えば18ケース)の入力を受け付ける。
【0031】
ステップS10に進むと、網羅率出力部180は、入力されたテストケース数をキーとして、メモリ12に格納されている網羅率情報IF1を検索し、当該テストケース数(例えば、18ケース)に対応する2項目間の組み合わせ網羅率、及び3項目間の組み合わせ網羅率を取得する。
図14の例では、テストケース数「18」に対応する3項目間の組み合わせ網羅率「93.61%」、及び3項目間の組み合わせ網羅率「48.26%」が、網羅率出力部180によって取得される。網羅率出力部180は、取得した2項目間の組み合わせ網羅率、及び3項目間の組み合わせ網羅率を表示パネルに表示する。
【0032】
一方、テストケース調整部(第1調整部)170は、ステップS11に進むと、オペレータが指定したテストケース数(すなわち、テストケースの行数)までを残し、それ以降のテストケースを、テストケース一覧(ここでは、3項目間100%のテストケース一覧)から削除し、以上説明した処理を終了する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、オールペア法を用いて組み合わせテストを行う際に、テストケースごとの組み合わせ網羅率を導出し、オペレータに提示する。オペレータは、提示された組み合わせ網羅率(例えば、3項目間の組み合わせ網羅率「74.7%」など)を確認し、テストケース数を調整することで、テスト品質を一定に保持しつつ、テストケースを効率的に削減することが可能となる。
また、組み合わせ網羅率を事前に指定しておくことで(例えば、3項目間の組み合わせ網羅率「60%」など)、テストケース数が自動調整されるため、テストケースを効率的に削減することが可能となる。
【0034】
B.変形例
本発明は、上述した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。
【0035】
図15は、変形例に係るテストケースの作成支援処理の流れを示すフローチャートであり、
図3に示す作成支援処理とは、テストケース数の入力を受け付けるタイミングが異なる。具体的には、テストケース数の入力を受け付けるステップS9を、テスト対象の項目及び値の入力を受け付けるステップS1と、3項目間の組み合わせ網羅率の設定を行うステップS3との間に設けている。その他のステップは、
図3に示す作成支援処理と同様であるため、対応するステップには同一符号を付し、詳細な説明は割愛する。
【0036】
ステップS1からステップS9に進むと、テストケース数受付部160は、オペレータによるテストケース数(例えば18ケース)の入力を受け付ける。その後、ステップS3→ステップS4…→ステップS10と進むと、網羅率出力部180は、ステップS9において入力されたテストケース数をキーとして、メモリ12に格納されている網羅率情報IF1を検索し、当該テストケース数(例えば、18ケース)に対応する2項目間の組み合わせ網羅率、及び3項目間の組み合わせ網羅率を取得する。
【0037】
網羅率出力部180は、取得した2項目間の組み合わせ網羅率、及び3項目間の組み合わせ網羅率を表示パネルに表示する一方、テストケース調整部170は、ステップS11に進み、オペレータが指定したテストケース数(すなわち、テストケースの行数)までを残し、それ以降のテストケースを、テストケース一覧(ここでは、3項目間100%のテストケース一覧)から削除し、以上説明した処理を終了する。
【0038】
上記変形例によれば、テストケース一覧が生成される前に、テストケース数の入力を受け付けることで、当該テストケース数での組み合わせ網羅率を迅速に把握することが可能となる。
【0039】
なお、上述した実施形態及び変形例では、3項目間の組み合わせ網羅率を手動で(または自動で)設定し、設定された網羅率にあわせてテストケース数を調整する構成を例示したが、かかる構成を省いてもよい。
【0040】
また、本明細書において、「部」とは、単に物理的構成を意味するものではなく、その「部」が実行する処理をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」が実行する処理を2つ以上の物理的構成や装置により実現されても、2つ以上の「部」が実行する処理を1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【0041】
本明細書において説明したテストケースの作成支援プログラムP1は、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、情報処理装置10を構成するコンピュータに、上記プログラムをインストールすることができる。ここで、上記プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体は特に限定されないが、例えば、CD−ROM等の記録媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
10…情報処理装置、11…制御装置、12…メモリ、P1…テストケースの作成支援プログラム、13…入出力装置、14…通信I/F、110…項目・値受付部、120…網羅率設定部、130…テストケース一覧生成部、140…網羅率算出部、150…網羅率情報生成部、160…テストケース数受付部、170…テストケース調整部、180…網羅率出力部、L1…項目・値一覧、L2…全組み合わせのテストケース一覧、L3…2項目間100%のテストケース一覧、L4…3項目間100%のテストケース一覧
【要約】 (修正有)
【課題】テスト品質の指標となる組み合わせ網羅率を提示することが可能なテストケースの作成を支援する技術を提供する。
【解決手段】制御装置11は、オールペア法を用いたテストケースの作成支援装置であって、テスト対象となる複数の項目及び各項目の値の入力を受け付ける第1受付部110と、入力される複数の項目及び値に基づき、テストケース一覧を生成する第1生成部130と、テストケース一覧に基づき、1テストケースあたりのL項目間(L≧2)の組み合わせ網羅率を算出する算出部140と、算出したN項目間の組み合わせ網羅率と、テストケース数とを対応付けた網羅率情報を生成する第2生成部150と、テストケース数の入力を受け付ける第2受付部160と、網羅率情報をもとに、入力されるテストケース数でのN項目間の網羅率を特定し、特定した網羅率を出力する出力部180とを具備する。
【選択図】
図2