特許第6679907号(P6679907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6679907ロードポート装置及びロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6679907
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】ロードポート装置及びロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20200406BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/68 T
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-242044(P2015-242044)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-108050(P2017-108050A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡部 勉
(72)【発明者】
【氏名】及川 光壱郎
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−019046(JP,A)
【文献】 特開2003−092345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを出し入れするための主開口が側面に形成された容器を載置する載置台と、
前記主開口を開閉するための開閉部と、
前記主開口から前記容器の内部に清浄化ガスを導入するガス導入部と、
前記主開口が閉じられた状態で、前記載置台に載置された前記容器の底面に形成された底孔の少なくとも1つに連通可能なボトムノズルの少なくとも1つから前記容器の内部に清浄化ガスが導入可能なボトムガス導入部と、
前記容器の前記底面のうち底面中央に比べて前記主開口から離間する位置に形成された前記底孔の少なくとも1つに連通可能な前記ボトムノズルの少なくとも1つから前記容器の内部の気体を前記容器の外部へ排出可能な気体排出部と、を有し、
前記ボトムガス導入部からの清浄化ガスの導入を停止し、前記開閉部により前記主開口を開放させた状態で、前記ガス導入部により前記主開口から前記容器の内部に清浄化ガスを導入させつつ、前記気体排出部により前記ボトムノズルを介して前記容器の内部の気体を前記容器の外部へ排出するように、前記ボトムガス導入部、前記開閉部、前記ガス導入部および前記気体排出部を制御することを特徴とするロードポート装置。
【請求項2】
前記気体排出部は、前記容器の内部の気体を強制的に排出する強制排出手段を有することを特徴とする請求項1に記載のロードポート装置。
【請求項3】
前記容器への清浄化ガスの導入時間、または、前記気体排出部によって前記容器の外部へ排出される気体の清浄度、を検出する手段を有する請求項1または請求項2に記載のロードポート装置。
【請求項4】
ウエハを出し入れするための主開口が側面に形成された容器を、ロードポート装置の載置台に載置する工程と、
前記主開口が閉じられた状態で、前記載置台に載置された前記容器の底面に形成された底孔に連通可能なボトムノズルの少なくとも1つから、前記容器の内部に清浄化ガスを導入する第1導入工程と、
前記主開口の開放および前記ボトムノズルからの清浄化ガスの導入の停止を行い、前記主開口から前記容器の内部に清浄化ガスを導入する第2導入工程と、を有し、
前記第2導入工程では、前記ボトムノズルのうち、前記容器の底面のうち底面中央に比べて前記主開口から離間する位置に形成された底孔に連通可能な少なくとも1つを介して、前記容器の内部の気体を前記容器の外部へ排出することを特徴とするロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法。
【請求項5】
前記第2導入工程において、前記容器の内部の気体を前記容器の外部へ排出する前記ボトムノズルは、前記容器の内部の気体を強制的に排出する強制排出手段に接続されており、前記強制排出手段は、前記容器の内部の気体を強制的に排出することを特徴とする請求項4に記載のロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法。
【請求項6】
前記第1導入工程における前記清浄化ガスの導入と、前記第2導入工程における前記気体の排出は、同一の前記ボトムノズルを介して行われることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法。
【請求項7】
前記第1導入工程による前記容器への清浄化ガスの導入時間が所定の時間に達したタイミング、または、前記第1導入工程において前記容器から排出される気体の清浄度が所定のレベルに達したことを検出したタイミングで、前記ボトムノズルからの清浄化ガスの導入の停止を行うことを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれかに記載のロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハに対して処理を実施する際に、ウエハを収納した容器が載置されるロードポート装置及びロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程では、プープ(FOUP)等と呼ばれる容器を用いて、各処理装置の間のウエハの搬送が行われる。ウエハに対して処理を実施する際、容器は、各処理装置に備えられるロードポート装置の載置台に載置され、ロードポート装置は、搬送容器内の空間と処理室の空間を連通させる。これにより、ロボットアーム等により搬送容器からウエハを取り出し、このウエハを処理室へ受け渡すことが可能となる。
【0003】
ここで、ウエハが収納される容器内の環境は、ウエハ表面を酸化や汚染から守るために、所定の状態を上回る不活性状態及び清浄度が保たれることが好ましい。搬送容器内の気体の不活性状態や清浄度を向上させる方法としては、搬送容器の底面に形成された底孔を介して、搬送容器に清浄化ガスを導入するロードポート装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−5607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体回路の微細化が進んだ結果、ウエハ表面を酸化や汚染から守るために、ウエハを収容する容器内の環境についても、より高い清浄度が求められている。ウエハ容器の環境を清浄に保つロードポートの開発を進める中で、処理直後のウエハから放出されるアウトガスが、容器に収容される処理前後のウエハの表面を汚染する問題があり、品質向上を妨げる一因となっていることが判明した。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、容器内の環境を清浄に保ち、ウエハ表面を酸化や汚染から守ることができるロードポート装置及びロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るロードポート装置は、
ウエハを出し入れするための主開口が側面に形成された容器を載置する載置台と、
前記主開口を開閉するための開閉部と、
前記主開口から前記容器の内部に清浄化ガスを導入するガス導入部と、
前記容器の底面のうち底面中央に比べて前記主開口から離間する位置に形成された底孔に連通可能なボトムノズルを有し、前記容器の内部の気体を前記容器の外部へ排出可能な気体排出部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るロードポート装置は、主開口から清浄化ガスを導入するガス導入部と、主開口から離間する底孔から容器内の気体を外部に排出可能な気体排出部とを有するため、容器内に清浄化ガスの気流が形成され、処理直後のウエハから放出されるアウトガスを効率的に容器の外部へ排出できる。したがって、このようなロードポート装置は、容器内の環境を清浄に保ち、ウエハ表面を酸化や汚染から守ることができる。
【0009】
また、例えば、前記気体排出部は、前記容器の内部の気体を強制的に排出する強制排出手段を有してもよい。
【0010】
気体排出部が、強制排出手段を有することにより、ウエハから放出されるアウトガスを、より効果的に容器の外部へ排出することができる。
【0011】
本発明に係るロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法では、ウエハを出し入れするための主開口が側面に形成された容器を、ロードポート装置の載置台に載置する工程と、
前記主開口が閉じられた状態で、前記載置台に載置された前記容器の底面に形成された底孔に連通可能なボトムノズルの少なくとも1つから、前記容器の内部に清浄化ガスを導入する第1導入工程と、
前記主開口の開放および前記ボトムノズルからの清浄化ガスの導入の停止を行い、前記主開口から前記容器の内部に清浄化ガスを導入する第2導入工程と、を有し、
前記第2導入工程では、前記ボトムノズルのうち、前記容器の底面のうち底面中央に比べて前記主開口から離間する位置に形成された底孔に連通可能な少なくとも1つを介して、前記容器の内部の気体を前記容器の外部へ排出することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法は、主開口の開放前は、容器の底孔から清浄化ガスを導入するが、主開口を開放した後は、底孔からの清浄化ガスの導入を停止し、主開口からの清浄化ガスの導入を行う。これにより、主開口の開放前においても容器の内部の環境を清浄にするとともに、主開口の開放後は、容器内に清浄化ガスの気流を形成し、処理直後のウエハから放出されるアウトガスを効率的に容器の外部へ排出できる。したがって、このようなロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法によれば、容器内の環境を清浄に保ち、ウエハ表面を酸化や汚染から守ることができる。
【0013】
また、たとえば、前記第2導入工程において、前記容器の内部の気体を前記容器の外部へ排出する前記ボトムノズルは、前記容器の内部の気体を強制的に排出する強制排出手段に接続されていてもよく、前記強制排出手段は、前記容器の内部の気体を強制的に排出してもよい。
【0014】
強制排出手段が、前記容器の内部の気体を強制的に排出することにより、容器内部により強い気流が形成されるため、ウエハから放出されるアウトガスを効果的に容器の外部へ排出することができる。
【0015】
また、例えば、前記第1導入工程における前記清浄化ガスの導入と、前記第2導入工程における前記気体の排出は、同一の前記ボトムノズルを介して行われてもよい。
【0016】
同一のボトムノズルで清浄化ガスの導入と、容器からの気体の排出を行うことにより、第1導入工程における清浄化ガスの導入経路を増加させることができるので、主開口開放前に、素早く容器内を清浄化することができる。また、底孔やボトムノズルの数を減らして、容器やロードポート装置の構造を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の一実施形態に係るロードポート装置及びその周辺装置の概略図である。
図2図2は、図1に示すロードポート装置の載置台付近を示す要部斜視図である。
図3図3は、図1に示すロードポート装置のドア付近を示す要部斜視図である。
図4図4は、容器の主開口が閉じられた状態におけるロードポート装置の状態を表す概念図である。
図5図5は、容器の主開口が開放された状態におけるロードポート装置の状態を表す概念図である。
図6図6は、第2実施形態に係るロードポート装置の状態を表す概念図である。
図7図7は、第1に示すロードポート装置における容器内への清浄化ガス導入方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るロードポート装置10は、半導体処理装置のフロントエンドモジュールであるイーフェム(EFEM)50の一部を構成する。イーフェム50は、ロードポート装置10の他に、ウエハ1を搬送する容器としてのフープ(FOUP)2と処理室(不図示)とを連結する空間であるミニエンバイロメント52や、ミニエンバイロメント52内に配置される搬送ロボット54等を有する。
【0019】
ロードポート装置10は、フープ2を載置する載置台14と、フープ2の主開口2bを開閉するための開閉部18と、主開口2bからフープ2の内部に清浄化ガスを導入するフロントガス導入部17とを有する。また、図4に示すように、ロードポート装置10は、フープ2に形成された第1の底孔5を介してフープ2の内部の気体をフープ2の外部へ排出可能な気体排出部20と、フープ2に形成された第2の底孔6を介してフープ2の内部に清浄化ガスを導入するボトムガス導入部30と、を有する。
【0020】
図1に示すように、ロードポート装置10の載置台14は、固定台12の上に設けられており、その固定台12に対して、Y軸方向に移動可能である。なお、図面において、Y軸が載置台14の移動方向を示し、Z軸が鉛直方向の上下方向を示し、X軸がこれらのY軸およびZ軸に垂直な方向を示す。
【0021】
載置台14のZ軸方向の上部には、収容物としての複数のウエハ1を密封して保管及び搬送するフープ2が、着脱自在に載置可能になっている。フープ2の内部には、ウエハ1を内部に収めるための空間が形成されている。フープ2は、フープ2の内部に対して水平方向に位置する複数の側面と、上下方向に位置する上面と底面2fとを有する箱状の形状を有している。フープ2が有する複数の側面の一つである第1側面2dには、フープ2の内部に収容したウエハ1を出し入れする主開口2bが形成されている。
【0022】
また、フープ2は、主開口2bを密閉するための蓋4を備えている。さらに、フープ2の内部には、水平に保持された複数のウエハ1を、鉛直方向に重ねるための棚(不図示)が配置されており、ここに載置されるウエハ1各々はその間隔を一定としてフープ2の内部に収容される。また、フープ2の底面2fには、第1の底孔5と、第2の底孔6とが形成されている。第1の底孔5及び第2の底孔6の構造及び機能については、後ほど述べる。
【0023】
ロードポート装置10は、図1に示すようなフープ(Front Opening Unified Pod)2のための装置であるが、フープ2と同様に側面にウエハ1を出し入れする開口が形成された構造を有する密封搬送容器に対しても適用可能である。イーフェム50は、ロードポート装置10を用いてフープ2の側面に形成された主開口2bを開放し、さらに、搬送ロボット54を用いてフープ2の内部に収容してあるウエハ1を、クリーン状態に維持するミニエンバイロメント52を介して、処理室の内部に移動させることができる。また、イーフェム50は、処理室において処理が終了したウエハ1を、搬送ロボット54を用いて処理室からフープ2の内部に移動させたのち、ロードポート装置10を用いて主開口2bを閉鎖し、フープ2内に処理後のウエハ1を収容させることができる。
【0024】
なお、イーフェム50は、ミニエンバイロメント52をクリーン状態に維持するための空気清浄化装置(不図示)を有する。空気清浄化装置は、例えば、ミニエンバイロメント52に供給する空気又は気体に含まれる塵埃や化学物質を除去するためのフィルタや、フィルタが配置される流路を通過してミニエンバイロメント52内に空気又は気体が供給されるように気体を流動させるためのファン等を有するが、特に限定されない。
【0025】
図2は、ロードポート装置10における載置台14付近を示す要部斜視図である。載置台14の上面14aには、1つ以上(好ましくは3つ)の位置決めピン16が埋設されている。位置決めピン16は、フープ2の底面2fに設けられた位置決め部(不図示)に嵌合する。これにより、フープ2と載置台14とのX軸−Y軸位置関係が一義的に決定される。
【0026】
また、載置台14の上面14aには、各位置決めピン16の近くに、位置検出センサ19が設置してある。位置検出センサ19は、フープ2が載置台14の上面14aでX−Y軸方向に所定の位置に位置決めされて配置されているか否かを検出する。位置検出センサ19としては、特に限定されず、接触式位置検出センサでも非接触式位置検出センサでも良い。また、載置台14の上面14aには、フープ2をロックするためのロック機構15が備えられている。
【0027】
図3は、ロードポート装置10における開閉部18付近を示す要部斜視図である。ロードポート装置10の開閉部18は、ドア18aとドア駆動部18bとを有する。ドア18aは、載置台14とミニエンバイロメント52を隔てる壁部材11に形成されている受渡口13を閉鎖することができる。ドア18aは、受渡口13に入り込んだフープ2の蓋4に係合することができる。
【0028】
図5に示すように、開閉部18は、蓋4に係合したドア18aを、ドア駆動部18bを用いてミニエンバイロメント52の内部に移動させることにより、フープ2の主開口2bを開放することができる。なお、開閉部18は、ドア駆動部18bを用いてドア18aを開放時と逆方向に移動させることにより蓋4をフープ2の第1側面2dに戻すことにより、蓋4で主開口2bを閉鎖することができる。蓋4によって主開口2bが閉鎖された後、ドア18aと蓋4の係合は解除される。
【0029】
図3に示すように、フロントガス導入部17は、壁部材11におけるミニエンバイロメント52側の面である内面11aに設けられている。また、フロントガス導入部17は、壁部材11に形成された受渡口13を挟むX軸方向の両側に設けられている。
【0030】
フロントガス導入部17には、フロントガス導入部17に清浄化ガスを供給するための供給路17bが接続されている。また、フロントガス導入部17には、受渡口13側を向く放出ノズル17aが形成されている。図5に示すように、フープ2の主開口2bが下方され、ミニエンバイロメント52に連通している状態において、フロントガス導入部17の放出ノズル17aから放出された清浄化ガスは、主開口2bを介してフープ2の内部に導入される。
【0031】
図4に示すように、載置台14のZ軸方向の下部には、気体排出部20が設けられている。気体排出部20は、フープ2の底面2fのうち底面中央Cに比べて主開口2bから離間する位置に形成された第1の底孔5に連通可能な第1のボトムノズル21を有している。図2に示すように、気体排出部20は、2つの第1のボトムノズル21を有しており、図4に示すように、それぞれの第1のボトムノズル21は、フープ2の底面2fに形成された2つの第1の底孔5に対して、それぞれ連通することができる。ここで、図4に示す底面中央Cは、フープ2において蓋4が配置される第1側面2dと、第1側面2dに対向する第2側面2eから等距離にある位置を意味する。
【0032】
第1のボトムノズル21は、Z軸方向に沿って上下に移動することが可能であり、フープ2が載置台14に設置されていない状態では、載置台14に収納されている。図4に示すように、第1のボトムノズル21は、載置台14にフープ2が固定されたのちにZ軸方向の上方に上昇し、載置台14の上面14aから突出することにより、フープ2の第1の底孔5に接続する。フープ2の第1の底孔5には、第1の底孔5を開閉する不図示の弁が取り付けられており、第1のボトムノズル21が第1の底孔5に接続すると弁が開放され、第1のボトムノズル21と第1の底孔5とが連通する。
【0033】
気体排出部20は、第1のボトムノズル21に接続する第1配管部22と、第1配管部22に備えられる強制排出手段24を有する。第1配管部22の一方の端部は第1のボトムノズル21に接続されており、他方の端部はロードポート装置10の外部に開口する排出口22aに接続されている。
【0034】
強制排出手段24は、フープ2の内部の気体を吸引し、第1の底孔5及び第1のボトムノズル21を介して、フープ2の内部の気体を強制的に排出する。強制排出手段24としては、フープ2の内部の気体を吸引できるものであれば特に限定されないが、例えば吸引ポンプや、送風ファンなどを用いることができる。なお、強制的な排出とは、フープ2の内部の気体を、第1配管部22へ積極的に吸引する排出を意味する。
【0035】
載置台14のZ軸方向の下部には、気体排出部20の他に、ボトムガス導入部30が設けられている。ボトムガス導入部30は、フープ2の底面2fのうち底面中央Cに比べて主開口2bに近接する位置に形成された第2の底孔6に連通可能な第2のボトムノズル31を有している。図2に示すように、ボトムガス導入部20は、載置台14から露出可能な2つの第2のボトムノズル31を有しており、図4に示すように、それぞれの第2のボトムノズル31は、フープ2の底面2fに形成された2つの第2の底孔6に対して、それぞれ連通することができる。
【0036】
第2のボトムノズル31も、第1のボトムノズル21と同様に、Z軸方向に沿って上下に移動することが可能である。また、フープ2の第2の底孔6に、第2の底孔6を開閉する不図示の弁が取り付けられている点も、第1の底孔5と同様である。
【0037】
ボトムガス導入部30は、第2のボトムノズル31に接続する第2配管部32を有している。第2のボトムノズル31には、第2配管部32を介して清浄化ガスが供給される。ボトムガス導入部30は、フープ2の第2の底孔6及び第2の底孔6に連通した第2のボトムノズル31を介して、フープ2の内部に清浄化ガスを導入する。
【0038】
フロントガス導入部17及びボトムガス導入部30から、フープ2内に導入される清浄化ガスとしては特に限定されないが、例えば、窒素ガスやその他の不活性ガス、又はフィルタ等で塵埃を除去した清浄空気等を用いることができる。
【0039】
図7は、図1に示すロードポート装置10で実施されるフープ2の内部への清浄化ガスの導入工程を表すフローチャートである。以下、図7等を用いて、フープ2の内部への清浄化ガスの導入工程を説明する。
【0040】
図7に示すステップS001では、処理前のウエハ1を収容したフープ2が、ロードポート装置10の載置台14に載置される。フープ2は、例えば天井搬送システム等によって、自動的にロードポート装置10の載置台14に搬送されるが、フープ2の搬送方法については特に限定されない。
【0041】
ステップS001に示すフープ2の載置工程において、ロードポート装置10は、図2に示す位置検出センサ19により、フープ2が適切な位置に載置されたことを確認した後、ロック機構15を動作させ、フープ2を載置台14に固定する。
【0042】
フープ2を載置台14に載置した後(ステップS001)、ステップS002(図7参照)で示す工程に進み、ロードポート装置10は、フープ2の第2の底孔6から、フープ2の内部に清浄化ガスを導入する。
【0043】
図4に示すように、ステップS002において、ロードポート装置10は、ボトムガス導入部30の第2のボトムノズル31を上昇させることにより、2つの第2のボトムノズル31を、フープ2に設けられた2つの第2の底孔6に、それぞれ連通させる。さらに、ロードポート装置10は、ボトムガス導入部30の第2配管部32から第2のボトムノズル31へ清浄化ガスを供給し、第2の底孔6を介してフープ2の内部に清浄化ガスを導入する第1導入工程を実施する。
【0044】
また、ステップS002において、ロードポート装置10は、第2のボトムノズル31の上昇と同時若しくは第2のボトムノズル31の上昇と前後して、気体排出部20の第1のボトムノズル21を上昇させ、フープ2に設けられた2つの第1の底孔5に連通させる。これにより、フープ2の内部の気体が、第1のボトムノズル21を介してフープ2の外部へ排出されるようになり、第2のボトムノズル31からフープ2への清浄化ガスの導入が、より円滑に行われる。
【0045】
ステップS002における清浄化ガスの導入は、フープ2の主開口2bが、蓋4により閉鎖されている状態で実施される。ただし、第2のボトムノズル31を用いたフープ2への清浄化ガスの導入は、フープ2の主開口2bが開放された後であっても、フロントガス導入部17からフープ2の内部への清浄化ガスの導入(ステップS005)が開始されるまでの間は、継続されてもよい。
【0046】
次に、ステップS003(図7参照)では、ロードポート装置10は、第2の底孔6及びボトムガス導入部30を介したフープ2の内部への清浄化ガスの導入を停止する。ロードポート装置10は、第2配管部32から第2のボトムノズル31への清浄化ガスの供給を停止することにより、フープ2への清浄化ガスの導入を停止する。なお、第2のボトムノズル31と第2の底孔6の連通状態は、第2のボトムノズル31が下降して解除されてもよいが、清浄化ガス導入中と同様に維持されてもよい。第1のボトムノズル21と第1の底孔5との連通状態についても同様である。
【0047】
ステップS003を実施するタイミングは特に限定されないが、例えば、第2のボトムノズル31からの清浄化ガスの導入時間が所定の時間に達したタイミングや、フープ2から排出される気体の清浄度が所定のレベルに達したことを検出したタイミングとすることができる。
【0048】
なお、ステップS002やステップS003に示す清浄化ガスの導入・停止工程と並行して、または、清浄化ガスの導入前又は停止後に、ロードポート装置10は、載置台14をY軸方向(正方向)に動かすことにより、載置台14に固定されているフープ2を、フープ2の第1側面2dが受渡口13に入り込む位置まで移動させる(図5参照)。
【0049】
ステップS004(図7参照)では、ロードポート装置10は、フープ2の主開口2bを開放する。ステップS004において、ロードポート装置10は、あらかじめ図5に示す位置まで移動したフープ2の蓋4に対して、開閉部18のドア18aを係合させる。さらにドア18aをドア駆動部18bによって移動させることにより、蓋4をフープ2のウエハ収納部分から取り外し、主開口2bを開放する。取り外された蓋4は、ドア18aとともに、搬送ロボット54によるウエハ1の搬送を阻害しない位置まで移動される。
【0050】
次に、ステップS005(図7参照)では、ロードポート装置10は、主開口2bからフープ2の内部に清浄化ガスを導入するとともに、フープ2の内部の気体を、底面中央Cに比べて主開口2bから離間する位置に形成された第1の底孔5を介して排出する第2導入工程を実施する。図5に示すように、ロードポート装置10は、フロントガス導入部17の放出ノズル17aから、清浄化ガスを主開口2bに向けて噴出することにより、清浄化ガスをフープ2の内部に導入する。
【0051】
また、ステップS005において、ロードポート装置10の気体排出部20は、第1のボトムノズル21を、フープ2における第1の底孔5と連通状態としておくことにより、フープ2の内部の気体を第1の底孔5を介して排出する。なお、先のステップS003で、第1のボトムノズル21と第1の底孔5との連通状態が解除されていた場合は、ステップS005において、再度第1のボトムノズル21を上昇させ、第1のボトムノズル21を第1の底孔5と連通させる。
【0052】
さらに、ステップS005において、ロードポート装置10は、気体排出部20の強制排出手段24を作動させることにより、フープ2の内部の気体を強制的に排出することができる。強制的な排出を行うか、あるいは、主開口2bから導入された清浄化ガスによってフープ2の内部の気体が第1の底孔5から押し出される自然排出を行うかは、ウエハ1から発生するおそれのあるアウトガスの種類又は量、フープ2におけるウエハ1の収納数などに応じて選択することができる。
【0053】
ロードポート装置10がステップS005に示す工程を行っている間、図1に示すイーフェム50は、搬送ロボット54のアーム54aを操作し、処理前のウエハ1をフープ2から取り出し、ミニエンバイロメント52を介して処理室に搬送する。また、イーフェム50は、搬送ロボット54のアーム54aを操作し、処理室で処理が終わったウエハ1を、ミニエンバイロメント52を介してフープ2に搬送する。
【0054】
全ての処理後のウエハ1がフープ2に戻された後、ロードポート装置10は、主開口2bからの清浄化ガスの導入及び第1の底孔5からの気体の排出を停止する(ステップS006)。ロードポート装置10は、放出ノズル17aからの清浄化ガスの放出を停止することにより、主開口2bからの清浄化ガスの導入を停止する。また、ロードポート装置10は、ステップS005において強制的な排出をおこなっていた場合は、強制排出手段24を停止することにより、第1の底孔5からの気体の排出を停止する。なお、ステップS005において自然排出を行っていた場合は、主開口2bからの清浄化ガスの導入を停止することにより、第1の底孔5からの気体の排出も停止する。
【0055】
ステップS007(図7参照)では、ロードポート装置10の開閉部18は、フープ2の主開口2bを閉鎖する。ロードポート装置10は、図5に示すドア駆動部18bによりドア18aを移動させ、ドア18aに係合する蓋4を、フープ2の第1側面2dに戻すことにより、主開口2bを閉鎖する。蓋4が主開口2bを閉鎖した後、ドア18aと蓋4の係合は解除される。ステップS007の後、ロードポート装置10は、載置台14をY軸方向(負方向)に動かすことにより、処理後のウエハ1を収納したフープ2を、図3に示す載置工程(ステップS001)の位置に戻す。
【0056】
以上のように、ロードポート装置10は、主開口2bを開放した状態において、フロントガス導入部17によりウエハ1を出し入れするフープ2の主開口2bから清浄化ガスを導入するとともに、主開口2bから離間した第1の底孔5に気体排出部20の第1のボトムノズル21を接続し、フープ2の内部の気体を排出する。これにより、ロードポート装置10は、主開口2bを介してウエハ1が搬出・搬入されている間も、処理後のウエハ1から放出されるアウトガスを、効果的にフープ2の外部に排出することができる。すなわち、主開口2bは開口面積が広いため、フープ2の内部への清浄化ガスの効率的な導入が可能である。また、主開口2bから離間した第1の底孔5からフープ2の内部の気体が排出されるため、ウエハ1が収納されるフープ2の内部全体に、主開口2bから第1の底孔5へ向かう気流が形成される。そして、フープ2に形成された気流がウエハ1の表面近傍を通過することにより、アウトガスの排出が促進される。これにより、ロードポート装置10は、フープ2内のウエハ1が、処理後のウエハ1から生じるアウトガスにより酸化又は汚染される問題を防止できる。
【0057】
なお、フープ2の内部の気体が排出される第1の底孔5は、フープ2の内部全体にアウトガスを排出する気流を形成する観点から、なるべく主開口2bから離間した位置に形成されていることが好ましい。したがって、第1の底孔5から主開口2bまでの距離は、収納されるウエハ1の直径の3分の2以上であることが好ましく、ウエハ1の直径以上であることがさらに好ましい。
【0058】
また、上述したロードポート装置10による清浄化ガスの導入方法では、フープ2の第2の底孔6から清浄化ガスを導入する第1導入工程(ステップS003)を行うことにより、主開口2bを閉鎖した状態においてもフープ2の内部を清浄化することが可能であり、ウエハ1を酸化や汚染から効果的に保護できる。また、主開口2bから清浄化ガスの導入を行う第2導入工程(ステップS005)は、第2の底孔6からの清浄化ガスの導入を停止させた状態で行うことにより、主開口2bからの清浄化ガスの取り込み量を多くして、フープ2の内部全体に、アウトガスの排出のためのより好適な気流が形成できる。
【0059】
また、ロードポート装置10は、強制排出手段24によってフープ2の内部の気体を排出することにより、主開口2bから効果的に清浄化ガスを導入することができ、また、フープ2の内部に気流を形成することにより、処理後のウエハ1が発生するアウトガスを、効果的に排出できる。
【0060】
さらに、上述したロードポート装置10では、第1のボトムノズル21を有する気体排出部20は、第2の底孔6から清浄化ガスの導入を行う第1導入工程(ステップS003)でも、主開口2bから清浄化ガスの導入を行う第2導入工程(ステップS005)でも、いずれの場合でもフープ2から気体を排出する排出流路となる。したがって、ロードポート装置10は、方式の異なる2種類の清浄化工程を、シンプルな構造で実現することができる。
【0061】
以上のように、実施形態を示して本発明を説明したが、上述したロードポート装置10およびロードポート装置10における容器への清浄化ガスの導入方法は、本発明の一実施形態にすぎず、これ以外の様々な変形例が、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
例えば、ロードポート装置10では、気体排出部20は2つの第1の底孔5に連通可能な2つの第1のボトムノズル21を有しているが、気体排出部20が有する第1のボトムノズル21の数および第1のボトムノズル21が接続可能な第1の底孔5の数は特に限定されない。ボトムガス導入部30が有する第2のボトムノズル31の数及び第2のボトムノズル31が接続可能な第2の底孔6の数も、特に限定されない。
【0063】
また、気体排出部20が有する第1のボトムノズル21の一方は、ステップS002における清浄化ガス導入工程(第1導入工程)において、第1の底孔5から清浄化ガスを導入可能であり、かつ、ステップS005における清浄化ガス導入工程(第2導入工程)において、第1の底孔5からフープ2の内部の気体を排出可能であってもよい。このような第1のボトムノズル21を有する気体排出部は、第1のボトムノズル21が第1配管部22に接続される状態と、第1のボトムノズル21が第2配管部32に接続される状態とを切換可能な弁142(図6参照)を有する。このような気体排出部を有するロードポート装置は、第1導入工程における清浄化ガスの導入経路を増加させることができるので、主開口2bを開放する前に、素早くフープ2の内部を清浄化することができる。また、フープ2へのガスの導入と、フープ2からの気体の排出との双方が、同一の第1のボトムノズル21によって可能であるため、底孔やボトムノズルの数を減らして、フープやロードポート装置の構造を簡略化できる。
【0064】
図6は、本発明の他の実施形態に係るロードポート装置100を含むイーフェム150を表す概略断面図である。イーフェム150は、ミニエンバイロメント152内に清浄空気のダウンフローを形成するファン146と、ミニエンバイロメント52の上方であってファン146の下方に配置されるフィルタ144を有する。イーフェム150は、ファン146によってミニエンバイロメント152および経路154に気流を形成して、フィルタ144を通過させながら空気を循環させることにより、ミニエンバイロメント152内を清浄に保つことができる。
【0065】
ロードポート装置100は、ミニエンバイロメント152に形成された清浄空気のダウンフローを、フープ102の主開口102bを介してフープ102の内部に導入する整流板140を有している。このように、第2導入工程(ステップS005)における清浄化ガスの導入は、放出ノズル17aが形成されたフロントガス導入部17だけでなく、図6に示すような整流板140を用いて行われてもよい。
【0066】
また、ロードポート装置100における第2導入工程では、第1の底孔5からフープ2の内部に直立しており、Z軸方向に断続的又は連続的に排出ノズルが形成されている排出ノズル123を介して、フープ2の内部からの気体の排出が行われる。このような第2導入工程では、フープ2内に収納されたウエハ1の表面に沿った気流が形成されることにより、特定のウエハ1から放出されたアウトガスが、上下方向の他のウエハ1の表面を汚染等する問題を、効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
1… ウエハ
2… フープ
2f… 底面
4… 蓋
5… 第1の底孔
6… 第2の底孔
10、100…ロードポート装置
11…壁部材
14…載置台
17…フロントガス導入部
17a…放出ノズル
18…開閉部
18a…ドア
20…気体排出部
21…第1のボトムノズル
22…第1配管部
24…強制排出手段
30…ボトムガス導入部
31…第2のボトムノズル
32…第2配管部
140…整流板
142…弁
50、150…イーフェム
52、152…ミニエンバイロメント
C…底面中央
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7