特許第6680162号(P6680162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6680162
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】作動油タンク
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20200406BHJP
   F15B 1/26 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   E02F9/00 Q
   F15B1/26
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-184222(P2016-184222)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-48478(P2018-48478A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅蔭 朋彦
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−021803(JP,A)
【文献】 実開昭48−066301(JP,U)
【文献】 実開昭53−030502(JP,U)
【文献】 国際公開第2006/048976(WO,A1)
【文献】 特開2005−282805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
F15B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオイルフィルタを内部に収容し、内部に作動油が流入するフィルタ室と、
前記フィルタ室の下方に設けられ、前記オイルフィルタでろ過された前記作動油が内部に導入される貯留室と、
を有し、
前記フィルタ室は、
複数の平面を備え、前記複数のオイルフィルタの各々の上部を収容する上部室と、
前記上部室の下方において前記複数のオイルフィルタ毎に設けられ、それぞれが筒状に形成されて前記オイルフィルタの下部を収容するとともに、それぞれが前記貯留室に接続された複数の下部室と、
を有することを特徴とする作動油タンク。
【請求項2】
前記複数の下部室は、上下方向の長さが互いに異なる前記下部室を含むことを特徴とする請求項1に記載の作動油タンク。
【請求項3】
前記下部室の上端が、前記上部室の下面よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作動油タンク。
【請求項4】
前記フィルタ室の側面に接続され、前記フィルタ室に流入する前記作動油が通過する流入配管を有し、
前記流入配管に最も近い前記下部室が、前記上部室の内部に配置されて前記流入配管に対向する壁面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作動油タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧回路を循環する作動油に混入した汚損物を除去するオイルフィルタが設けられた作動油タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
作動油タンクは、油圧式の作業機械に設けられ、油圧回路の一部を構成している。作動油タンクには、油圧回路を循環する作動油に混入した汚損物を除去するオイルフィルタが交換可能に設けられる。
【0003】
特許文献1には、直方体状のフィルタケースをタンク本体内に設け、このフィルタケースに複数のオイルフィルタを収容した作動油タンクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−21803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のものは、フィルタケースが直方体形状であるため、フィルタケースに内圧がかかった場合に、フィルタケースを構成する長方形状の平面の長辺中央部に最大応力が生じる。つまり、平面の長辺中央部が強度的に弱い。収容するオイルフィルタのサイズを大きくするほど、フィルタケースの大きさは大きくなる。その結果、平面の長辺中央部に生じる最大応力が大きくなり、フィルタケースの強度が弱くなるので、フィルタケースが破損する危険性が大きくなる。
【0006】
そこで、フィルタケースの板厚を厚くすることが考えられるが、作動油タンクの質量が大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、作動油タンクの質量を増加させることなくフィルタケースの強度を向上させることが可能な作動油タンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のオイルフィルタを内部に収容し、内部に作動油が流入するフィルタ室と、前記フィルタ室の下方に設けられ、前記オイルフィルタでろ過された前記作動油が内部に導入される貯留室と、を有し、前記フィルタ室は、複数の平面を備え、前記複数のオイルフィルタの各々の上部を収容する上部室と、前記上部室の下方において前記複数のオイルフィルタ毎に設けられ、それぞれが筒状に形成されて前記オイルフィルタの下部を収容するとともに、それぞれが前記貯留室に接続された複数の下部室と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、複数のオイルフィルタを内部に収容するフィルタ室が、複数のオイルフィルタの各々の上部を収容する上部室と、複数のオイルフィルタ毎に設けられてそれぞれがオイルフィルタの下部を収容する複数の下部室と、で構成されている。フィルタ室を、上部室と複数の下部室とで構成することにより、上部室を構成する平面の面積は、フィルタ室のすべてを複数の平面で構成した場合の平面の面積よりも小さくなる。よって、上部室を構成する平面の中央部に生じる最大応力を小さく抑えることができる。また、下部室は筒状であるため、内圧に対する強度が上部室よりも強い。これにより、作動油タンクの質量を増加させることなく、フィルタ室の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】作動油タンクの透過斜視図である。
図2】作動油タンクの要部断面図である。
図3】上部室を上方から見た断面図である。
図4】従来構造のフィルタ室を上方から見た断面図である。
図5】オイルフィルタの配置が異なる従来構造のフィルタ室を上方から見た断面図である。
図6】複数の円筒で構成されたフィルタ室を上方から見た断面図である。
図7】変形例における上部室を上方から見た断面図である。
図8】他の変形例における上部室を上方から見た断面図である。
図9】変形例における作動油タンクの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
(作動油タンクの構成)
本発明の実施形態による作動油タンク1は、透過斜視図である図1に示すように、直方体の容器である。作動油タンク1は、クレーンや油圧ショベルといった、油圧式の作業機械に設けられ、油圧ポンプおよび油圧アクチュエータを含む油圧回路の一部を構成している。作動油タンク1内の作動油は、油圧ポンプ(図示せず)に吸い込まれて加圧され、油圧シリンダ(図示せず)や油圧モータ(図示せず)といった油圧アクチュエータに供給される。油圧アクチュエータからの戻り油は、オイルクーラ(図示せず)等を経て作動油タンク1内に還流される。なお、作動油タンク1は、油圧式の作業機械に設けられる構成に限定されない。
【0013】
作動油タンク1は、フィルタ室(フィルタケース)2と、貯留室3と、を有している。フィルタ室2は、作動油タンク1の最上部に設けられている。フィルタ室2の上面は、作動油タンク1の上面を兼ねている。フィルタ室2の側面の一部は、作動油タンク1の側面を兼ねている。貯留室3は、フィルタ室2の下方に設けられている。
【0014】
フィルタ室2の側面(作動油タンク1の側面でもある)には、流入配管4が接続されている。この流入配管4を通ってフィルタ室2の内部に作動油が流入する。フィルタ室2は、複数のオイルフィルタ(図示せず)を交換可能に内部に収容している。本実施形態において、フィルタ室2は、2本のオイルフィルタを内部に収容しているが、フィルタ室2が収容するオイルフィルタの数はこれに限定されない。オイルフィルタは、汚損物が混入した作動油をろ過する。フィルタ室2の上面(作動油タンク1の上面でもある)には、オイルフィルタの交換時に開閉されるカバー5が設けられている。
【0015】
貯留室3は、流出配管6を備えている。流出配管6は、オイルフィルタの内部スペースに接続する。オイルフィルタでろ過された作動油は、流出配管6を介して貯留室3の内部に導入される。
【0016】
(フィルタ室の構成)
作動油タンク1の要部断面図である図2に示すように、フィルタ室2は、上部室11と、上部室11の下方に設けられた下部室12と、を有している。
【0017】
上部室11の側面(作動油タンク1の側面でもある)には、上述した流入配管4が接続されている。上部室11は、複数のオイルフィルタ21の各々の上部を収容している。オイルフィルタ21は、円筒状であり、上部にリリーフ弁22を有している。上部室11の上面(作動油タンク1の上面でもある)には、上述したカバー5が設けられている。カバー5とオイルフィルタ21との間には、オイルフィルタ21を下部室12の底面に押し付けるばね13が設けられている。
【0018】
上部室11を上方から見た断面図である図3に示すように、上部室11の断面形状は長方形である。上部室11は、長方形状の複数の平面で構成されている。平面の長辺は、水平方向に平行であり、平面の短辺は、垂直方向に平行である。なお、平面は長方形状に限定されず、正方形状であってもよい。
【0019】
図2に戻って、下部室12は、複数のオイルフィルタ21毎に設けられている。複数の下部室12は、それぞれが円筒状に形成されて、オイルフィルタ21の下部を収容している。下部室12の下面には、上述した流出配管6が接続されている。複数の下部室12は、それぞれが流出配管6を介して貯留室3に接続されている。なお、下部室12は、円筒状に限定されず、角筒状であってもよい。また、下部室12の径は互いに同じである必要はなく、互いに異なっていてもよい。
【0020】
ここで、すべてが複数の平面で構成された従来構造のフィルタ室(フィルタケース)102について考える。従来構造のフィルタ室102は、本実施形態のフィルタ室2とは異なり、上部室11と下部室12とで構成されていない。また、オイルフィルタ21を3本収容する構成について考える。
【0021】
従来構造のフィルタ室102を上方から見た断面図である図4に示すように、フィルタ室102の断面形状は長方形である。フィルタ室102は、長方形状の複数の平面で構成されている。平面の長辺は、水平方向に平行であり、平面の短辺は、垂直方向に平行である。なお、図4において、3本のオイルフィルタ21は直線状に並んで配置されている。
【0022】
フィルタ室102に流入する作動油により、フィルタ室102に内圧がかかった場合に、矢印で示すように、フィルタ室102を構成する長方形状の平面の長辺中央部に最大応力が生じる。つまり、平面の長辺中央部が強度的に弱い。この応力は、次式(1)で表され、平面の短辺の長さaを平面の板厚hで除した値の2乗に比例して大きくなる。そして、平面の短辺の長さaはオイルフィルタ21の高さに制約されるため、平面の短辺の長さaを小さい寸法に抑制するのは困難である。
σmax=βpa2/h2 ・・・式(1)
【0023】
ここで、σmaxは最大曲げ応力、βは応力係数、pは圧力、aは平面の短辺の長さ、hは平面の板厚である。
【0024】
また、図4に示すように、フィルタ室102の断面形状が長方形であると、矢印で示すように、断面の長辺中央部に最大応力が生じる。よって、断面の長辺を構成する平面が破損しやすくなる。そして、断面の短辺の長さはオイルフィルタ21の本数に制約されるため、断面の短辺の長さを小さい寸法に抑制するのは困難である。なお、断面の長辺は、図中左右方向に平行であり、断面の短辺は、図中上下方向に平行である。
【0025】
オイルフィルタ21の配置が異なる従来構造のフィルタ室102を上方から見た断面図を図5に示す。図5において、3本のオイルフィルタ21は三角形状に配置されている。このように、オイルフィルタ21の配置を工夫しても、矢印で示すように、長方形状の平面の長辺中央部に最大応力が生じる。
【0026】
そして、収容するオイルフィルタ21のサイズを大きくするほど、フィルタ室102の大きさは大きくなり、フィルタ室102を構成する長方形状の平面の短辺の長さaが長くなる。その結果、平面の長辺中央部に生じる最大応力が大きくなり、フィルタ室102の強度が弱くなるので、フィルタ室102が破損する危険性が大きくなる。また、収容するオイルフィルタ21の数を増やすほど、フィルタ室102の大きさは大きくなり、断面視において、断面の短辺の長さが長くなる。その結果、断面の長辺中央部に生じる最大応力が大きくなり、フィルタ室102の強度が弱くなるので、フィルタ室102が破損する危険性が大きくなる。
【0027】
そこで、フィルタ室102を複数の平面で構成するのではなく、複数の円筒で構成することが考えられる。複数の円筒で構成されたフィルタ室202を上方から見た断面図を図6に示す。複数の円筒は、それぞれがオイルフィルタ21を収容しており、円筒同士は流路で連通されている。
【0028】
円筒は、直方体よりも内圧に対する強度が強い。円筒に生じる最大応力は、次式(2)で表され、半径rを板厚hで除した値に比例する。
σz=rPa/2h ・・・式(2)
ここで、σzは軸応力、Paは内圧である。
【0029】
流入配管4からフィルタ室202に流入した作動油は、まず上流側の円筒内を流れ、その後、流路を通って下流側の円筒内を流れる。しかし、このような構成では、作動油に圧力損失が生じ、上流側のオイルフィルタ21を流れる作動油の流量が多くなり、下流側のオイルフィルタ21を流れる作動油の流量が少なくなる。また、このようなフィルタ室202は、複数の平面で構成されたフィルタ室102に比べて、製作しにくい。
【0030】
そこで、本実施形態においては、図2に示すように、フィルタ室2を、上部室11と複数の下部室12とで構成している。上述したように、下部室12は円筒状である。
【0031】
フィルタ室2を、上部室11と複数の下部室12とで構成することにより、上部室11を構成する平面の面積は、フィルタ室2のすべてを複数の平面で構成した場合の平面の面積よりも小さくなる。よって、平面の短辺の長さaを小さく抑えることができるので、上部室11を構成する平面の長辺中央部に生じる最大応力を小さく抑えることができる。また、下部室12は円筒状であるため、内圧に対する強度が上部室11よりも強い。これにより、作動油タンク1の質量を増加させることなく、フィルタ室2の強度を向上させることができる。
【0032】
なお、上部室11を構成する平面の長辺中央部に生じる最大応力を小さく抑えるために、上部室11の上下方向の幅(短辺の長さ)は、できるだけ小さい方が望ましい。上部室11の上下方向の幅は、流入配管4の管径よりも若干長いぐらいであってよい。
【0033】
また、上部室11は、複数の平面を備えていれば、その断面形状は長方形に限定されない。上部室11を上方から見た断面図である図7に示すように、上部室11の断面形状は多角形であってもよい。また、上部室11を上方から見た断面図である図8に示すように、上部室11の断面形状は半円形を含む形状であってもよい。また、上部室11の断面形状は半円形であってもよい。
【0034】
図2に戻って、本実施形態において、複数の下部室12は、上下方向の長さが互いに異なる下部室12を含んでいる。具体的には、図中右側の下部室12は、図中左側の下部室12よりも上下方向の長さが短い。よって、上下方向の長さが互いに異なるオイルフィルタ21を併用することができる。なお、複数の下部室12は、上下方向の長さが互いに同じであってもよい。
【0035】
ここで、オイルフィルタ21には、上下方向の長さが異なることで、ろ過面積が異なる種類が複数存在する。そして、オイルフィルタ21が汚損物を捕える上で、作動油がオイルフィルタ21を通過する速度が速くなり過ぎないろ過面積となるように、複数種類のオイルフィルタ21が組み合わされて使用される。
【0036】
フィルタ室2に流入する作動油の流量をQ、この作動油の流速をv、複数のオイルフィルタ21による総ろ過面積をAとすると、v=Q÷Aの関係にある。また、オイルフィルタ21単品のろ過面積をα、オイルフィルタ21の使用本数をNとすると、総ろ過面積A=α×Nの関係にある。
【0037】
上下方向の長さが異なる下部室12を設けることで、複数種類のオイルフィルタ21を併用することができる。ある種類のオイルフィルタ21単品のろ過面積をα1、このオイルフィルタ21の使用本数をN1、他の種類のオイルフィルタ21単品のろ過面積をα2、このオイルフィルタ21の使用本数をN2とすると、総ろ過面積A=α1×N1+α2×N2となる。複数種類のオイルフィルタ21を併用することで、オイルフィルタ21を通過する作動油の流速を最適化することができる。
【0038】
また、下部室12の上端12aは、上部室11の下面11aよりも上方に配置されている。上部室11の下面11aには、汚損物が溜まる。オイルフィルタ21の交換時に、オイルフィルタ21を下部室12の下面から持ち上げると、フィルタ室2内に残存する作動油が流出配管6を介して貯留室3に流れ落ちる。このとき、上部室11の下面11aに溜まった汚損物が、貯留室3に流れ落ちる作動油の流れに乗って、貯留室3に流れ落ちる。貯留室3に汚損物が流れ落ちると、汚損物がポンプで吸い上げられて、作業機械の油圧回路全体に汚損物が流出していくことになり、故障の原因になる。
【0039】
そこで、下部室12の上端12aを、上部室11の下面11aよりも上方に配置することで、オイルフィルタ21の交換時に、上部室11の下面11aに溜まった汚損物が下部室12に流れ落ちるのを抑制することができる。
【0040】
また、オイルフィルタ21の交換時に、フィルタ室2内に残存する作動油の油面が、上部室11の下面11aよりも低く下部室12の下面よりも高い高さcまで下がっている場合、上部室11の下面11aに溜まった汚損物は、貯留室3に流れ落ちる作動油の流れに乗って貯留室3に流れ落ちない。なお、この場合であっても、下部室12の下面に溜まった汚損物は、貯留室3に流れ落ちる作動油の流れに乗って貯留室3に流れ落ちる。しかし、上部室11の下面11aに溜まった汚損物が貯留室3に流れ落ちないので、貯留室3に流れ込む汚損物を最小化することができる。
【0041】
また、カバー5と上部室11の下面11aとの距離が近いため、上部室11の下面11aに溜まった汚損物は、カバー5を開けて開放された開口から容易に取り除くことができる。
【0042】
(変形例)
なお、作動油タンク1の要部断面図である図9に示すように、流入配管4に最も近い(図中左側の)下部室12が、壁面12bを有していてもよい。この壁面12bは、上部室11の内部に配置されて流入配管4に対向している。この壁面12bにより、流入配管4から上部室11に流入した作動油がオイルフィルタ21に直接当たらないようにすることができる。これにより、作動油がオイルフィルタ21に直接当たることでオイルフィルタ21の濾材が破れて破損するのを防止することができる。
【0043】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作動油タンク1によると、複数のオイルフィルタ21を内部に収容するフィルタ室2が、複数のオイルフィルタ21の各々の上部を収容する上部室11と、複数のオイルフィルタ21毎に設けられてそれぞれがオイルフィルタ21の下部を収容する複数の下部室12と、で構成されている。フィルタ室2を、上部室11と複数の下部室12とで構成することにより、上部室11を構成する平面の面積は、フィルタ室2のすべてを複数の平面で構成した場合の平面の面積よりも小さくなる。よって、上部室11を構成する平面の中央部に生じる最大応力を小さく抑えることができる。また、下部室12は筒状であるため、内圧に対する強度が上部室11よりも強い。これにより、作動油タンク1の質量を増加させることなく、フィルタ室2の強度を向上させることができる。
【0044】
また、複数の下部室12が、上下方向の長さが互いに異なる下部室12を含んでいる。よって、上下方向の長さが互いに異なるオイルフィルタ21を併用することができる。ここで、オイルフィルタ21には、上下方向の長さが異なることで、ろ過面積が異なる種類が複数存在する。そして、オイルフィルタ21が汚損物を捕える上で、作動油がオイルフィルタ21を通過する速度が速くなり過ぎないろ過面積となるように、複数種類のオイルフィルタ21が組み合わされて使用される。上下方向の長さが異なる下部室12を設けることで、複数種類のオイルフィルタ21を併用することができるので、オイルフィルタ21を通過する作動油の流速を最適化することができる。
【0045】
また、下部室12の上端12aを、上部室11の下面11aよりも上方に配置することで、オイルフィルタ21の交換時に、上部室11の下面11aに溜まった汚損物が下部室12に流れ落ちるのを抑制することができる。
【0046】
また、流入配管4に最も近い下部室12が、上部室11の内部に配置されて流入配管4に対向する壁面12bを有する。この壁面12bにより、流入配管4から上部室11に流入した作動油がオイルフィルタ21に直接当たらないようにすることができる。これにより、作動油がオイルフィルタ21に直接当たることでオイルフィルタ21の濾材が破れて破損するのを防止することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 作動油タンク
2 フィルタ室
3 貯留室
4 流入配管
5 カバー
6 流出配管
11 上部室
11a 下面
12 下部室
12a 上端
12b 壁面
13 ばね
21 オイルフィルタ
22 リリーフ弁
102,202 フィルタ室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9