特許第6680269号(P6680269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6680269エレベータ錘装置、エレベータかご装置、及びエレベータ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6680269
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】エレベータ錘装置、エレベータかご装置、及びエレベータ装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/00 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   B66B11/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-118364(P2017-118364)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-1619(P2019-1619A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2018年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 康司
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/176313(WO,A1)
【文献】 特開2001−348176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00 − 11/08
B66B 7/00
B66B 7/06 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に伸びる第1レールに案内される第1案内部と、
上下方向に伸びる第2レールに案内される第2案内部と、
ロープに掛けられる動滑車と、
前記第1及び第2案内部と前記動滑車とが固定される本体部と、
前記本体部に固定され、前記動滑車の回転軸と直交する横方向において、重心位置が前記動滑車の回転軸の位置である重り部と、を備え、
前記動滑車は、一つのみ備えられると共に、上下方向視において、外周端の位置が前記第1及び第2案内部間の中心位置に合うように、配置され、
前記動滑車の回転軸の位置は、前記第1及び第2案内部間の中心位置から横方向に離れており、
前記重り部は、前記動滑車の回転軸を含み且つ上下方向に平行な面に対して、対称となるように配置される、エレベータ錘装置。
【請求項2】
前記本体部は、上方側に配置される上ベース部と、下方側に配置される下ベース部と、前記上ベース部と前記下ベース部とを接続する三つの接続体と、を備え、
前記三つの接続体は、前記第1案内部側に配置される第1接続体と、前記第2案内部側に配置される第2接続体と、前記第1及び第2接続体間に配置される第3接続体と、を備え、
前記重り部は、前記第1及び第3接続体間のみに配置される、請求項1に記載のエレベータ錘装置。
【請求項3】
上下方向に伸びる第1レールに案内される第1案内部と、
上下方向に伸びる第2レールに案内される第2案内部と、
ロープに掛けられる動滑車と、
前記第1及び第2案内部と前記動滑車とが固定される本体部と、
前記本体部に固定される重り部と、を備え、
前記動滑車は、一つのみ備えられると共に、上下方向視において、外周端の位置が前記第1及び第2案内部間の中心位置に合うように、配置され、
前記動滑車の回転軸の位置は、前記回転軸と直交する横方向において、前記第1及び第2案内部間の中心位置から所定方向に離れており、
前記重り部は、前記回転軸と直交する横方向において、前記本体部の端部に配置され且つ前記動滑車よりも前記所定方向側に配置される、エレベータかご装置。
【請求項4】
前記重り部は、前記動滑車の回転軸の方向に沿って延びる、請求項3に記載のエレベータかご装置。
【請求項5】
前記第1及び第2案内部の少なくとも一方は、前記第1及び第2案内部が対面する方向と直交する方向において前記レールを挟むように配置され且つ前記レールにそれぞれ接する第1及び第2接触部を備え、
前記動滑車の回転軸は、前記第1及び第2案内部が対面する方向と平行である、請求項3又は4に記載のエレベータかご装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のエレベータ錘装置と、
前記エレベータ錘装置の前記動滑車に掛けられ、両端部が構造体に固定されるロープと、
前記ロープに掛けられる動滑車を有するエレベータかご装置と、を備えるエレベータ装置。
【請求項7】
請求項3〜5の何れか1項に記載のエレベータかご装置と、
前記エレベータかご装置の前記動滑車に掛けられ、両端部が構造体に固定されるロープと、
前記ロープに掛けられる動滑車を有するエレベータ錘装置と、を備えるエレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープに掛けられる動滑車を備えるエレベータ錘装置に関する。また、本発明は、ロープに掛けられる動滑車を備えるエレベータかご装置に関する。また、本発明は、エレベータ錘装置及びエレベータかご装置を備えるエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ装置として、2対1ローピング方式のエレベータ装置が、知られている(例えば、特許文献1)。斯かるエレベータ装置は、両端部が構造体に固定されるロープと、ロープに掛けられる一つの動滑車を有するエレベータ錘装置と、ロープに掛けられる一つの動滑車を有するエレベータかご装置とを備えている。
【0003】
ところで、特許文献1に係るエレベータ装置においては、ロープが上下方向に対して傾斜している。これにより、例えば、エレベータ錘装置及びエレベータかご装置が傾くことで、エレベータ錘装置及びエレベータかご装置が昇降する際に、エレベータ錘装置及びエレベータかご装置に、揺れが生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−216458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、ロープが上下方向に対して平行になるエレベータ錘装置、エレベータかご装置、及びエレベータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータ錘装置は、上下方向に伸びる第1レールに案内される第1案内部と、上下方向に伸びる第2レールに案内される第2案内部と、ロープに掛けられる動滑車と、を備え、前記動滑車は、一つのみ備えられると共に、上下方向視において、外周端の位置が前記第1及び第2案内部間の中心位置に合うように、配置される。
【0007】
また、エレベータ錘装置は、前記第1及び第2案内部と前記動滑車とが固定される本体部と、前記本体部に固定され、前記動滑車の回転軸と直交する方向において、重心位置が前記動滑車の回転軸の位置である重り部と、を備える、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータ錘装置においては、前記重り部は、前記動滑車の回転軸を含み且つ上下方向に平行な面に対して、対称となるように配置される、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータかご装置は、上下方向に伸びる第1レールに案内される第1案内部と、上下方向に伸びる第2レールに案内される第2案内部と、ロープに掛けられる動滑車と、を備え、前記動滑車は、一つのみ備えられると共に、上下方向視において、外周端の位置が前記第1及び第2案内部間の中心位置に合うように、配置される。
【0010】
また、エレベータかご装置においては、前記第1及び第2案内部の少なくとも一方は、前記第1及び第2案内部が対面する方向と直交する方向において前記レールを挟むように配置され且つ前記レールにそれぞれ接する第1及び第2接触部を備え、前記動滑車の回転軸は、前記第1及び第2案内部が対面する方向と平行である、という構成でもよい。
【0011】
また、エレベータかご装置は、前記第1及び第2案内部と前記動滑車とが固定される本体部と、前記本体部に固定される重り部と、を備え、前記重り部は、前記動滑車の回転軸と直交する方向において、前記本体部の端部に配置される、という構成でもよい。
【0012】
また、エレベータ装置は、前記のエレベータ錘装置と、前記エレベータ錘装置の前記動滑車に掛けられ、両端部が構造体に固定されるロープと、前記ロープに掛けられる動滑車を有するエレベータかご装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るエレベータ装置の正面図である。
図2図2は、同実施形態に係るエレベータ装置の側面図である。
図3図3は、同実施形態に係るエレベータ錘装置の正面図である。
図4図4は、同実施形態に係るエレベータ錘装置の側面図である。
図5図5は、同実施形態に係るエレベータ錘装置の平面図である。
図6図6は、同実施形態に係るエレベータかご装置の側面図である。
図7図7は、同実施形態に係るエレベータかご装置の正面図である。
図8図8は、同実施形態に係るエレベータかご装置の平面図である。
図9図9は、同実施形態に係るエレベータ装置に改修する前のエレベータ装置の正面図である。
図10図10は、同実施形態に係るエレベータ装置に改修する前のエレベータ装置の側面図である。
図11図11は、他の実施形態に係るエレベータ錘装置の正面図である。
図12図12は、さらに他の実施形態に係る動滑車の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、エレベータ錘装置、エレベータかご装置、及びエレベータ装置における一実施形態について、図1図10を参照しながら説明する。なお、各図(図11及び図12も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るエレベータ装置1は、錘動滑車21を有するエレベータ錘装置(以下、「錘装置」ともいう)2と、かご動滑車31を有するエレベータかご装置(以下、「かご装置」ともいう)3と、各動滑車21,31の外周に掛けられ、両端部4a,4bが構造体10に固定されるロープ4とを備えている。即ち、エレベータ装置1は、2対1ローピング方式のエレベータ装置1である。
【0016】
エレベータ装置1は、ロープ4を駆動して錘装置2及びかご装置3を昇降させる巻上機5を備えている。また、エレベータ装置1は、錘装置2を上下方向D3に沿って案内するために、上下方向D3に伸びる第1及び第2錘レール6a,6bと、かご装置3を上下方向D3に沿って案内するために、上下方向D3に伸びる第1及び第2かごレール7a,7bとを備えている。
【0017】
構造体10は、昇降路や機械室を構成するために、コンクリート等で形成される躯体10aと、躯体10aに固定され、巻上機5を支持する台座10bとを備えている。そして、ロープ4は、躯体10aの内部を通過し、ロープ4の両端部4a,4bは、それぞれ台座10bに固定されている。なお、ロープ4の両端部4a,4bは、躯体10aに固定されている、という構成でもよい。
【0018】
巻上機5は、ロープ4が外周に掛けられる綱車5aと、ロープ4が外周に掛けられる反らせ車5bとを備えている。そして、綱車5aが、駆動源(例えば、電動機であって、図示していない)の駆動力により回転することで、錘装置2及びかご装置3は、昇降する。
【0019】
第1及び第2錘レール6a,6bは、第1横方向D1で離れて、対面するように配置されている。また、第1及び第2かごレール7a,7bは、第1横方向D1で離れて、対面するように配置されている。したがって、第1及び第2錘レール6a,6bが対面する方向D1は、第1及び第2かごレール7a,7bが対面する方向D1と、同じ方向である。
【0020】
図3図5に示すように、錘装置2は、第1錘レール6aに案内される第1錘案内部22,22と、第2錘レール6bに案内される第2錘案内部23,23とを備えている。また、錘装置2は、錘動滑車21及び錘案内部22,23が固定される錘本体部24と、錘本体部24に固定される重り部25とを備えている。
【0021】
錘動滑車21は、一つのみ備えられている。そして、錘動滑車21は、錘本体部24に回転可能に支持される回転軸21aと、回転軸21aに固定され、ロープ4が外周に掛けられる車部21bとを備えている。本実施形態においては、一つの回転軸21aに対して、一つの車部21bが備えられている。
【0022】
錘動滑車21(車部21b)においては、回転軸21aと直交する方向D1の寸法は、回転軸21aが伸びる方向D2の寸法よりも、大きくなっている。そして、回転軸21a(具体的には、回転軸21aが伸びる方向)は、第1横方向D1と直交する第2横方向D2と、平行になっている。さらに、錘動滑車21は、第1横方向D1及び第2横方向D2において錘本体部24から外方に突出することを防止するように、配置されている。
【0023】
第1横方向D1において、錘動滑車21の回転軸21aの位置(具体的には、回転軸21aの中心の位置)P1は、第1及び第2錘案内部22,23間の中心位置P2に対して、所定距離W1だけ離れている。そして、当該所定距離W1は、錘動滑車21(車部21b)の半径と同じである。
【0024】
これにより、上下方向D3視(図5参照)において、錘動滑車21(車部21b)の外周端21cの位置は、第1及び第2錘案内部22,23間の中心位置P2に合っている(完全に一致だけでなく、略一致も含む)。したがって、ロープ4は、第1及び第2錘レール6a,6b間の中心位置を通過し、錘動滑車21の外周に掛けられることで、上下方向D3に対して平行になる。その結果、錘装置2が昇降する際に、錘装置2に、揺れが生じることを抑制することができる。
【0025】
第1錘案内部22,22は、二つ備えられており、錘本体部24の上部と下部とにそれぞれ配置されている。また、第2錘案内部23,23は、二つ備えられており、錘本体部24の上部と下部とにそれぞれ配置されている。そして、錘案内部22(23)は、錘レール6a(6b)に接する第1及び第2接触部22a,22b(23a,23b)を備えている。
【0026】
第1及び第2接触部22a,22b(23a,23b)は、第2横方向D2において、錘レール6a(6b)を挟むように配置されている。本実施形態においては、接触部22a,22b,23a,23bは、錘レール6a,6b上をスライドする平面で形成されている。なお、接触部22a,22b,23a,23bは、錘レール6a,6b上を転動するローラで形成されていてもよい。
【0027】
錘本体部24は、上方側に配置される上ベース部24aと、下方側に配置される下ベース部24bと、上下方向D3に沿って伸び、上ベース部24aと下ベース部24bとを接続する複数の接続体24c,24d,24eを備えている。本実施形態においては、錘本体部24は、三つの接続体24c,24d,24eを備えている。
【0028】
第1接続体24cは、第1錘案内部22側に配置され、第2接続体24dは、第2錘案内部23側に配置され、第3接続体24eは、第1接続体24cと第2接続体24dとの間に配置されている。なお、第3接続体24eは、第1及び第2接続体24c,24d間の中心位置よりも、第2接続体24d寄りに配置されている。
【0029】
上方側の第1及び第2錘案内部22,23は、それぞれ上ベース部24aの第1横方向D1の端部に固定されており、下方側の第1及び第2錘案内部22,23は、それぞれ下ベース部24bの第1横方向D1の端部に固定されている。また、錘動滑車21は、上ベース部24aに固定されている。具体的には、錘動滑車21は、上ベース部24aの第1錘案内部22寄りに固定されている。
【0030】
そして、第1横方向D1において、錘本体部24の重心位置は、錘動滑車21の回転軸21aの位置P1から離れている。具体的には、第1横方向D1において、錘本体部24の重心位置は、第1及び第2錘案内部22,23間の中心位置P2の近傍である。
【0031】
重り部25は、平板状の重り片25aを複数備えており、複数の重り片25aは、上下方向D3に積まれている。そして、複数の重り片25aは、第1横方向D1の両側で第1及び第3接続体24c,24eに保持されることで、錘本体部24に固定されている。
【0032】
これにより、重り部25は、第1横方向D1において、第1接続体24cと第3接続体24eとの間にのみ配置されている。即ち、エレベータ錘装置2は、第1横方向D1において、第1及び第3接続体24c,24e間の領域であって、重り部25を有する領域と、第2及び第3接続体24d,24e間の領域であって、重り部25を有していない領域とを備えている。
【0033】
そして、重り部25は、錘動滑車21の回転軸21aを含み且つ上下方向D3に平行な面(仮想面)S1に対して、対称となるように配置されている。これにより、第1横方向D1において、重り部25の重心位置は、当該面S1の位置、即ち、錘動滑車21の回転軸21aの位置P1となる。
【0034】
そして、重り部25の重量が、錘本体部24の重量よりも大きいため、錘装置2の重心位置は、錘動滑車21の回転軸21aの位置P1に略一致している。その結果、錘装置2が昇降する際に、錘装置2に揺れが生じることを抑制することができる。
【0035】
図6図8に示すように、かご装置3は、第1かごレール7aに案内される第1かご案内部32,32と、第2かごレール7bに案内される第2かご案内部33,33とを備えている。また、かご装置3は、かご動滑車31及びかご案内部32,33が固定されるかご本体部34と、かご本体部34に固定されるかご重り部35とを備えている。
【0036】
かご動滑車31は、一つのみ備えられている。そして、かご動滑車31は、かご本体部34に回転可能に支持される回転軸31aと、回転軸31aに固定され、ロープ4が外周に掛けられる車部31bとを備えている。本実施形態においては、一つの回転軸31aに対して、一つの車部31bが備えられている。なお、回転軸31aは、第1横方向D1と平行である。
【0037】
第2横方向D2において、かご動滑車31の回転軸31aの位置(具体的には、回転軸31aの中心の位置)P3は、第1及び第2かご案内部32,33間の中心位置P4に対して、所定距離W2だけ離れている。そして、当該所定距離W2は、かご動滑車31(車部31b)の半径と同じである。
【0038】
これにより、上下方向D3視(図8参照)において、かご動滑車31(車部31b)の外周端31cの位置は、第1及び第2かご案内部32,33間の中心位置P4に合っている(完全に一致だけでなく、略一致も含む)。したがって、ロープ4は、第1及び第2かごレール7a,7b間の中心位置を通過し、かご動滑車31の外周に掛けられることで、上下方向D3に対して平行になる。その結果、かご装置3が昇降する際に、かご装置3に、揺れが生じることを抑制することができる。
【0039】
第1かご案内部32,32は、二つ備えられており、かご本体部34の上部と下部とにそれぞれ配置されている。また、第2かご案内部33,33は、二つ備えられており、かご本体部34の上部と下部とにそれぞれ配置されている。そして、かご案内部32(33)は、かごレール7a(7b)に接する第1及び第2接触部32a,32b(33a,33b)を備えている。
【0040】
第1及び第2接触部32a,32b(33a,33b)は、第2横方向D2において、かごレール7a(7b)を挟むように配置されている。本実施形態においては、接触部32a,32b,33a,33bは、かごレール7a,7b上をスライドする平面で形成されている。なお、接触部32a,32b,33a,33bは、かごレール7a,7b上を転動するローラで形成されていてもよい。
【0041】
ところで、かご装置3は、かご動滑車31の回転軸31aを中心に揺れようとする。それに対して、かご動滑車31の回転軸31a(具体的には、回転軸31aが伸びる方向)は、第1横方向D1と平行である。これにより、かご装置3が揺れようとしても、第1及び第2接触部32a,32b(33a,33b)がかごレール7a(7b)に両側からそれぞれ接触する(即ち、両方の接触部32a,32b(33a,33b)がかごレール7a(7b)に当たる)ため、かご装置3が揺れることを抑制することができる。
【0042】
かご本体部34は、矩形状に形成されて上下方向D3に沿って配置される主フレーム34aと、主フレーム34aの下部に固定され、第2横方向D2に沿って伸びる一対のベースフレーム34b,34bとを備えている。また、かご本体部34は、ベースフレーム34b,34bに跨ってベースフレーム34b,34b上に固定される箱状のかご部34cと、主フレーム34aの上部に固定され、かご動滑車31を回転可能に支持する支持フレーム34d,34dとを備えている。
【0043】
第2横方向D2において、かご本体部34の重心位置は、かご動滑車31の回転軸31aの位置P3から離れている。具体的には、かご本体部34の重心位置は、第1及び第2かご案内部32,33間の中心位置P4である。そして、かご装置3のうち、かご重り部35を除く構成の重心位置は、第1及び第2かご案内部32,33間の中心位置P4の近傍である。
【0044】
それに対して、第2横方向D2において、かご重り部35がかご動滑車31よりも外側に配置されているため、かご重り部35とかご案内部32(33)との間に、かご動滑車31の回転軸31aが配置されている。これにより、第2横方向D2において、かご装置3の重心位置は、かご動滑車31の回転軸31aの位置P3に略一致している。その結果、かご装置3が昇降する際に、かご装置3に揺れが生じることを抑制することができる。
【0045】
しかも、かご重り部35は、かご本体部34の第2横方向D2の端部に配置されている。さらに、かご動滑車31がかご本体部34の上部に配置されていることに対して、かご重り部35は、かご本体部34の下部に配置されている。具体的には、かご重り部35は、第1横方向D1に沿って伸びており、一対のベースフレーム34b,34bの端部に跨って配置されている。
【0046】
したがって、かご重り部35は、かご本体部34のうち、かご動滑車31の回転軸31aに対して、最も遠い位置に配置されている。これにより、かご重り部35がかご動滑車31の回転軸31aに近い位置に配置される構成と比較して、かご装置3の重心位置を調整するために必要となる、かご重り部35の重量が小さくなる。しかも、かご装置3自身の重量も小さくすることができる。
【0047】
以上のような本実施形態に係るエレベータ装置1は、例えば、図9及び図10に示すような1対1ローピング方式の旧エレベータ装置100から、2対1ローピング方式のエレベータ装置1に改修する際に、採用される。なお、エレベータ装置1は、斯かる方式の改修だけでなく、他の方式の改修に採用されてもよく、また、新設する際に採用されてもよい。
【0048】
図9及び図10に係る旧エレベータ装置100においては、旧ロープ40の一方側は、旧巻上機50から垂れ下がり、第1及び第2錘レール6a,6b間の中心位置を通過し、旧ロープ40の端部40aは、旧錘装置20に固定されている。また、旧ロープ40の他方側は、旧巻上機50から垂れ下がり、第1及び第2かごレール7a,7b間の中心位置を通過し、旧ロープ40の端部40bは、旧かご装置30に固定されている。
【0049】
そして、旧錘装置20、旧かご装置30、旧ロープ40、及び旧巻上機50を、図1及び図2に示すように、錘装置2、かご装置3、ロープ4、巻上機5と交換する。具体的には、ロープ4は、錘装置2の錘動滑車21及びかご装置3のかご動滑車31に掛けられ、躯体10aに新設された貫通孔(図示していない)の内部に挿入された後に、ロープ4の両端部4a,4bは、それぞれ台座10bに固定される。
【0050】
これにより、巻上機5から錘装置2に垂れ下がるロープ4が通過する位置は、第1及び第2錘レール6a,6b間の中心位置であるため、改修前後で同じである。また、巻上機5からかご装置3に垂れ下がるロープ4が通過する位置は、第1及び第2かごレール7a,7b間の中心位置であるため、改修前後で同じである。
【0051】
そして、1対1ローピング方式が2対1ローピング方式に変更されるため、改修前に対して、ロープ4にかかる荷重が半分に変更される。これにより、改修前に対して、巻上機5に必要とされる駆動力が半分になるため、巻上機5の定格出力を小さくすることができる。なお、例えば、錘装置2やかご装置3は、旧錘装置20や旧かご装置30を改修することで、形成されてもよい。また、例えば、巻上機5は、交換せずに、旧巻上機50を再使用してもよい。
【0052】
以上より、本実施形態に係るエレベータ装置1は、動滑車21を有するエレベータ錘装置2と、前記エレベータ錘装置2の前記動滑車21に掛けられ、両端部4a,4bが構造体10に固定されるロープ4と、前記ロープ4に掛けられる動滑車31を有するエレベータかご装置3と、を備える。
【0053】
また、本実施形態に係るエレベータ錘装置2は、上下方向D3に伸びる第1レール6aに案内される第1案内部22と、上下方向D3に伸びる第2レール6bに案内される第2案内部23と、ロープ4に掛けられる動滑車21と、を備え、前記動滑車21は、一つのみ備えられると共に、上下方向D3視において、外周端21cの位置が前記第1及び第2案内部22,23間の中心位置P2に合うように、配置される。
【0054】
斯かる構成によれば、動滑車21は、一つのみ備えられている。そして、上下方向D3視において、動滑車21の外周端21cの位置が、第1及び第2案内部22,23間の中心位置P2に合っている(完全に一致だけでなく、略一致も含む)。これにより、ロープ4は、第1及び第2レール6a,6b間の中心位置を通り、動滑車21の外周に掛けられることで、上下方向D3に対して平行になる。
【0055】
また、本実施形態に係るエレベータ錘装置2は、前記第1及び第2案内部22,23と前記動滑車21とが固定される本体部24と、前記本体部24に固定され、前記動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、重心位置が前記動滑車21の回転軸21aの位置P1である重り部25と、を備える、という構成である。
【0056】
斯かる構成によれば、第1及び第2案内部22,23と動滑車21とは、本体部24に固定されており、重り部25は、本体部24に固定されている。そして、重り部25の重心位置は、動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、動滑車21の回転軸21aの位置P1である。これにより、動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、エレベータ錘装置2の重心位置が、動滑車21の回転軸21aの位置P1に合う(完全に一致だけでなく、略一致も含む)。
【0057】
また、本実施形態に係るエレベータ錘装置2においては、前記重り部25は、前記動滑車21の回転軸21aを含み且つ上下方向D3に平行な面S1に対して、対称となるように配置される、という構成である。
【0058】
斯かる構成によれば、動滑車21の回転軸21aを含み且つ上下方向D3に平行な面S1に対して、重り部25が対称となるように配置されているため、重り部25の重心は、当該面S1の位置になる。これにより、動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、重り部25の重心位置は、確実に、動滑車21の回転軸21aの位置P1になる。
【0059】
また、本実施形態に係るエレベータかご装置3は、上下方向D3に伸びる第1レール7aに案内される第1案内部32と、上下方向D3に伸びる第2レール7bに案内される第2案内部33と、ロープ4に掛けられる動滑車31と、を備え、前記動滑車31は、一つのみ備えられると共に、上下方向D3視において、外周端31cの位置が前記第1及び第2案内部32,33間の中心位置P4に合うように、配置される。
【0060】
斯かる構成によれば、動滑車31は、一つのみ備えられている。そして、上下方向D3視において、動滑車31の外周端31cの位置が、第1及び第2案内部32,33間の中心位置P4に合っている(完全に一致だけでなく、略一致も含む)。これにより、ロープ4は、第1及び第2レール7a,7b間の中心位置を通り、動滑車31の外周に掛けられることで、上下方向D3に対して平行になる。
【0061】
また、本実施形態に係るエレベータかご装置3においては、前記第1及び第2案内部32,33の少なくとも一方(本実施形態においては、第1及び第2案内部32,33)は、前記第1及び第2案内部32,33が対面する方向D1と直交する方向D2において前記レール7a(7b)を挟むように配置され且つ前記レール7a(7b)にそれぞれ接する第1及び第2接触部32a,32b(33a,33b)を備え、前記動滑車31の回転軸31aは、前記第1及び第2案内部32,33が対面する方向D1と平行である、という構成である。
【0062】
斯かる構成によれば、第1及び第2接触部32a,32b(33a,33b)は、第1及び第2案内部32,33が対面する方向D1と直交する方向D2において、レール7a(7b)を挟むように配置されている。そして、第1及び第2接触部32a,32b(33a,33b)は、レール7a(7b)にそれぞれ接する。
【0063】
また、動滑車31の回転軸31aが、第1及び第2案内部32,33が対面する方向D1と平行である。これにより、エレベータかご装置3が動滑車31の回転軸31aを中心に揺れる場合に、第1及び第2接触部32a,32b(33a,33b)がレール7a(7b)に両側から接触する。
【0064】
また、本実施形態に係るエレベータかご装置3は、前記第1及び第2案内部32,33と前記動滑車31とが固定される本体部34と、前記本体部34に固定される重り部35と、を備え、前記重り部35は、前記動滑車31の回転軸31aと直交する方向D2において、前記本体部34の端部に配置される、という構成である。
【0065】
斯かる構成によれば、第1及び第2案内部32,33と動滑車31とは、本体部34に固定されており、重り部35は、本体部34に固定されている。これにより、動滑車31の回転軸31aと直交する方向D2において、エレベータかご装置3の重心位置が、動滑車31の回転軸31aの位置P3に合う(完全に一致だけでなく、略一致も含む)。
【0066】
しかも、重り部35は、本体部34の端部に配置されているため、動滑車31の回転軸31aの位置から離れている。これにより、重り部35の重量が軽くても、エレベータかご装置3の重心位置を調整することができる。
【0067】
なお、エレベータ装置1、エレベータ錘装置2、及びエレベータかご装置3は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ装置1、エレベータ錘装置2、及びエレベータかご装置3は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0068】
(1)上記実施形態に係るエレベータ錘装置2においては、錘動滑車21の回転軸21aは、第1及び第2錘案内部22,23が対面する方向D1と直交する方向D2と、平行である、という構成である。しかしながら、エレベータ錘装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、錘動滑車21の回転軸21aは、第1及び第2錘案内部22,23が対面する方向D1と、平行である、という構成でもよい。
【0069】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ錘装置2においては、重り部25の重心位置は、錘動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、錘動滑車21の回転軸21aの位置P1である、という構成である。しかしながら、エレベータ錘装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、重り部25の重心位置は、錘動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、錘動滑車21の回転軸21aの位置P1から離れている、という構成でもよい。
【0070】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ錘装置2においては、エレベータ錘装置2の重心位置が、錘動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、錘動滑車21の回転軸21aの位置P1に合う、という構成である。しかしながら、エレベータ錘装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ錘装置2の重心位置は、錘動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、錘動滑車21の回転軸21aの位置P1から離れている、という構成でもよい。
【0071】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ錘装置2においては、重り部25は、錘動滑車21の回転軸21aを含み且つ上下方向D3に平行な面S1に対して、対称となるように配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータ錘装置2は、斯かる構成に限られない。
【0072】
例えば、図11に示すように、重り部25は、錘動滑車21の回転軸21aを含み且つ上下方向D3に平行な面S1に対して、非対称となるように配置されている、という構成でもよい。なお、図11に係る重り部25の重心位置は、錘動滑車21の回転軸21aと直交する方向D1において、錘動滑車21の回転軸21aの位置となっている。
【0073】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ錘装置2においては、錘動滑車21は、一つの回転軸21aに対して、一つの車部21bを備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ錘装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、図12に示すように、錘動滑車21は、一つの回転軸21aに対して、複数の車部21bを備えている、という構成でもよい。なお、同様に、かご動滑車31も、一つの回転軸31aに対して、複数の車部31bを備えている、という構成でもよい。
【0074】
(6)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置3においては、かご動滑車31の回転軸31aは、第1及び第2錘案内部22,23が対面する方向D1と、平行である、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、かご動滑車31の回転軸31aは、第1及び第2錘案内部22,23が対面する方向D1と直交する方向D2と、平行である、という構成でもよい。
【0075】
(7)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置3においては、エレベータかご装置3の重心位置が、かご動滑車31の回転軸31aと直交する方向D2において、かご動滑車31の回転軸31aの位置P3に合う、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータかご装置3の重心位置は、かご動滑車31の回転軸31aと直交する方向D2において、かご動滑車31の回転軸31aの位置P3から離れている、という構成でもよい。
【0076】
(8)また、上記実施形態に係るエレベータかご装置3においては、かご重り部35は、かご動滑車31の回転軸31aと直交する方向D2において、かご本体部34の端部に配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータかご装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、かご重り部35は、かご動滑車31の回転軸31aと直交する方向D2において、かご本体部34の端部から離れた位置に配置されている、という構成でもよい。
【0077】
(9)また、上記実施形態に係るエレベータ装置1においては、エレベータ錘装置2及びエレベータかご装置3のそれぞれの動滑車21,31は、上下方向D3視において、外周端21c,31cの位置が第1及び第2案内部22,23,32,33間の中心位置P2,P4に合うように、配置されている、という構成である。しかしながら、例えば、エレベータ錘装置2の動滑車21のみが、斯かる構成であってもよく、また、例えば、エレベータかご装置3の動滑車31のみが、斯かる構成であってもよい。
【0078】
(10)また、上記実施形態に係るエレベータ装置1においては、ロープ4は、上下方向D3に対して平行になって、エレベータ錘装置2及びエレベータかご装置3のそれぞれの動滑車21,31に掛けられる、という構成である。しかしながら、例えば、ロープ4は、上下方向D3に対して平行となるように、一方の動滑車21(31)に掛けられる一方、上下方向D3に対して傾斜するように、他方の動滑車31(21)に掛けられる、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…エレベータ装置、2…エレベータ錘装置、3…エレベータかご装置、4…ロープ、4a…端部、4b…端部、5…巻上機、5a…綱車、5b…反らせ車、6a…第1錘レール、6b…第2錘レール、7a…第1かごレール、7b…第2かごレール、10…構造体、10a…躯体、10b…台座、21…錘動滑車、21a…回転軸、21b…車部、21c…外周端、22…第1錘案内部、22a…第1接触部、22b…第2接触部、23…第2錘案内部、23a…第1接触部、23b…第2接触部、24…錘本体部、24a…上ベース部、24b…下ベース部、24c…第1接続体、24d…第2接続体、24e…第3接続体、25…重り部、25a…重り片、31…かご動滑車、31a…回転軸、31b…車部、31c…外周端、32…第1かご案内部、32a…第1接触部、32b…第2接触部、33…第2かご案内部、33a…第1接触部、33b…第2接触部、34…かご本体部、34a…主フレーム、34b…ベースフレーム、34c…かご部、34d…支持フレーム、35…かご重り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図12