(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、エレベータ及びエレベータ制動装置における一実施形態について、
図1〜
図12を参照しながら説明する。なお、各図(
図13及び
図14も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るエレベータ1は、ユーザが乗るためのかご1aと、一端部がかご1aに接続されるロープ1bと、ロープ1bの他端部に接続される釣合錘1cとを備えている。また、エレベータ1は、ロープ1bを駆動してかご1aを昇降させる巻上機2を備えている。
【0015】
巻上機2は、ロープ1bが外周に巻き掛けられる回転可能な綱車2aと、綱車2aに回転駆動を与える電動機2bと、電動機2bの駆動を綱車2aに伝える駆動軸2cとを備えている。また、
図2〜
図4に示すように、巻上機2は、綱車2aを制動するためのエレベータ制動装置(以下、単に「制動装置」ともいう)3を備えている。
【0016】
制動装置3は、綱車2aと一体となって回転する回転体4と、綱車2aを制動するために、回転体4を制動する制動体5と、制動体5を移動させる駆動部6とを備えている。そして、制動体5は、駆動部6によって、回転体4を制動するために回転体4に接する制動位置と、回転体4から離れる待機位置と、の間で移動する。
【0017】
制動装置3は、制動体5が待機位置へ向かう際に、制動体5に接近される本体7と、制動体5の動作を検出する検出部10とを備えている。本実施形態においては、制動体5は、待機位置に位置している際に、本体7に接している。なお、斯かる構成に限られず、制動体5は、待機位置に位置している際に、本体7から離れている、という構成でもよい。
【0018】
回転体4は、駆動軸2cに連結される円板状の回転本体部4aと、回転本体部4aの外周部から環状で且つフランジ状に突出し、制動体5に接触される接触部4bとを備えている。そして、制動体5は、回転体4を制動するために、回転体4の接触部4bに接する制動部5aを備えている。なお、回転体4は、回転ドラムとも呼ばれる。
【0019】
本実施形態においては、制動部5aの制動面5bは、接触部4bの内周面に配置される接触面4cに接する。したがって、制動面5bは、凸状の湾曲面に形成されており、接触面4cは、制動面5bと密接するように、制動面5bの形状に対応して、凹状の湾曲面に形成されている。なお、斯かる構成に限られず、例えば、接触面4cが接触部4bの外周面に配置されており、制動面5bが凹状の湾曲面に形成されると共に、接触面4cが凸状の湾曲面に形成されている、という構成でもよい。
【0020】
また、制動体5は、制動部5aを支持する制動本体部5cと、制動本体部5cから突出し、本体7の内部に挿入される挿入部5dとを備えており、本体7は、制動体5の挿入部5dが挿入される挿入孔7aを備えている。そして、本体7は、制動体5を支持するために、制動本体部5cに接する平面状の支持面7bを備えており、制動本体部5cは、本体7の支持面7bに支持される平面状の被支持面5eを備えている。
【0021】
制動部5a及び制動本体部5cは、回転体4の接触部4bと本体7との間に配置されている。そして、制動体5が制動位置に位置する際には、制動体5の制動面5bは、回転体4の接触面4cと接する一方で、制動体5の被支持面5eは、本体7の支持面7bと離れて対面している。また、制動体5が待機位置に位置する際には、制動体5の被支持面5eは、本体7の支持面7bと接する一方で、制動体5の制動面5bは、回転体4の接触面4cと離れて対面している。
【0022】
駆動部6は、制動体5に、制動位置から待機位置へ向かう第1方向D4a(
図3及び
図4においては、左方向)の力を与える第1駆動源6aを備えている。また、駆動部6は、制動体5に、待機位置から制動位置へ向かう方向、即ち、第1方向D4aと反対方向の第2方向D4b(
図3及び
図4においては、右方向)の力を与える第2駆動源6bを備えている。
【0023】
本実施形態においては、第1駆動源6aは、電磁コイルである。そして、第1駆動源6aは、本体7の内部に配置されており、また、制動体5の一部(具体的には、挿入部5d)は、制動体5が第1駆動源6aから力を受けるために、磁性を有している。
【0024】
また、本実施形態においては、第2駆動源6bは、弦巻バネである。そして、第2駆動源6bは、制動体5と本体7との間に配置されている。また、第2駆動源6bが制動体5及び本体7に保持されるべく、第2駆動源6bの一端部は、制動体5の内部に挿入され、第2駆動源6bの他端部は、本体7の内部に挿入されている。
【0025】
そして、第1駆動源6aは、電気が供給された際に、制動体5に力を与え、第2駆動源6bは、常時、収縮弾性変形をすることで、制動体5に力を与えている。なお、第1駆動源6aが制動体5に与える力は、第2駆動源6bが制動体5に与える力よりも、大きくなっている。
【0026】
したがって、第1駆動源6aへの通電が実施されている際には、第1駆動源6aの力が、第2駆動源6bの力よりも大きいため、制動体5は、第1方向D4aの力を受けることによって、第1方向D4aに移動し、本体7に当たって、停止する。これにより、制動体5は、回転体4から離れて本体7と接する位置、即ち、待機位置に位置する。
【0027】
一方、第1駆動源6aへの通電が停止されている際には、第2駆動源6bの力だけが制動体5に与えられるため、制動体5は、第2方向D4bの力を受けることによって、第2方向D4bに移動し、回転体4に当たって、停止する。これにより、制動体5は、本体7から離れて回転体4と接する位置、即ち、制動位置に位置する。
【0028】
このように、制動体5は、駆動部6から力を受けることで、制動部5a及び接触部4b(具体的には、制動面5b及び接触面4c)が対面する方向D4a,D4bで、回転体4に対して移動する。そして、制動体5は、駆動部6から力を受けることで、回転体4に接する制動位置と回転体4から離れる待機位置との間で移動する。
【0029】
図5に示すように、制動体5は、検出部10に動作を検出される被検出部5fを備えている。なお、被検出部5fは、例えば図示していない締結手段(ボルト等)によって、制動本体部5cに固定されている。そして、被検出部5fは、制動本体部5cから突出している。具体的には、被検出部5fは、被支持面5eから本体7側に突出している。
【0030】
図5及び
図6に示すように、検出部10は、制動体5から力を受けることで回動する回動部11と、回動部11の回動角度によってオンオフするスイッチ部12とを備えている。また、検出部10は、回動部11を経由して制動体5から力を受けることで移動する可動部13と、可動部13が移動することを規制する規制部14とを備えている。
【0031】
回動部11は、第1接続部15によって、本体7に回動可能に接続されている。具体的には、回動部11は、貫通孔11aを備えており、そして、第1接続部15は、貫通孔11aに挿通される挿通部15aを、中間部に備えると共に、本体7に固定される固定部15bを、一端部に備えている。また、第1接続部15は、回動部11が挿通部15aから抜けることを防止するために、貫通孔11aよりも大きく形成される抜止部15cを、他端部に備えている。
【0032】
回動部11は、第1接続部15で接続されている位置(貫通孔11a)を境界として、長さが短い短尺部11bと、長さが長い長尺部11cとを備えている。なお、長尺部11cの長さは、例えば、短尺部11bの長さの2倍〜20倍であり、好ましくは、5倍〜15倍であり、より好ましくは、8倍〜12倍である。
【0033】
回動部11は、円滑に回動できるように、第1接続部15及び本体7と接する部分に低摩擦部11dを備えている。第1接続部15及び本体7に対する低摩擦部11dの摩擦係数は、第1接続部15及び本体7に対する回動部11の他の部分の摩擦係数よりも、小さくなっている。例えば、低摩擦部11dは、硬質樹脂で形成されており、そして、例えば、回動部11の他の部分及び第1接続部15は、金属で形成されている。
【0034】
回動部11は、可動部13との位置関係を表示する表示部11eを備えている。例えば、表示部11eとして、目盛りが挙げられる。これにより、回動部11に対する可動部13の位置を目視により把握することができる。なお、表示部11eは、本体7に固定されている、という構成でもよい。
【0035】
スイッチ部12は、例えば図示していない締結手段(ボルト等)によって、本体7に固定されているスイッチ本体部12aと、スイッチ本体部12aに対して可動であり、回動部11の長尺部11cに接触されるスイッチ可動部12bとを備えている。そして、スイッチ可動部12bがスイッチ本体部12aに対して設定量を超えて移動することにより、スイッチ部12は、オンオフ状態を切り替える(オン状態からオフ状態に、又は、オフ状態からオン状態に切り替える)。
【0036】
可動部13は、第2接続部16によって、本体7に回動可能に接続されている。具体的には、可動部13は、貫通孔13aを備えており、そして、第2接続部16は、貫通孔13aに挿通される挿通部16aを、中間部に備えると共に、第1接続部15に固定される固定部16bを、一端部に備えている。
【0037】
これにより、可動部13は、本体7に、回動部11と同じ位置で回動可能に接続されている。したがって、可動部13の回動中心位置は、回動部11の回動中心位置と、同じである。また、第2接続部16は、可動部13が挿通部16aから抜けることを防止するために、貫通孔13aよりも大きく形成される抜止部16cを、他端部に備えている。
【0038】
可動部13は、貫通孔13aを有する板状の可動本体部13bと、可動本体部13bから厚み方向に突出し、回動部11の長尺部11cと接する当接部13cとを備えている。そして、当接部13cは、回動部11が第1回動方向(
図5においては、反時計回り方向)D5aに回動した場合にのみ回動部11の長尺部11cと接するように、回動部11の長尺部11cに対して回動部11の第1回動方向D5a側に配置されている。
【0039】
規制部14は、可動部13が回動することに対して摩擦力を生じさせる摩擦部14aを備えている。そして、摩擦部14aは、可動部13と一体となるように形成されていると共に、可動部13と第2接続部16との間に配置されている。これにより、摩擦部14aは、可動部13の回動方向に関わらず、可動部13が回動することに対して第2接続部16との間に、摩擦力を生じさせる。
【0040】
なお、第2接続部16に対する摩擦部14aの摩擦係数は、第2接続部16に対する可動部13の摩擦係数よりも、大きくなっている。例えば、可動部13は、硬質樹脂で形成され、例えば、第2接続部16は、金属で形成され、そして、例えば、摩擦部14aは、ゴムで形成されている。
【0041】
ここで、検出部10の動作について説明する。
【0042】
まず、制動体5が第1方向D4aに移動する際には、被検出部5fが短尺部11bに接することで、回動体11は、第1回動方向D5aに回動する。なお、回動体11が所定角度以上回動することで、長尺部11cは、スイッチ部12に接する。
【0043】
そして、回動部11が第1回動方向D5aに回動する際には、当接部13cは、長尺部11cに接触される。このとき、可動部13が回動部11から受ける力が、摩擦部14aで生じる摩擦力よりも大きいため、可動部13は、第1移動方向(
図5においては、反時計回り方向)D6aに回動する。
【0044】
なお、回動部11の回動中心位置が、可動部13の回動中心位置と同じであるため、可動部13は、回動部11と一体となって回動することができる。これにより、可動部13の第1移動方向D6aが、回動部11の第1回動方向D5aと同じ方向であるため、可動部13は、回動部11からの力が効率よく伝達されるため、円滑に回動できる。
【0045】
また、制動体5が第2方向D4bに移動する際には、回動体11は、自重により、第1回動方向D5aと反対方向の第2回動方向(
図5においては、時計回り方向)D5bに回動する。そして、回動部11は、外力を受けていない際には、自重によって、鉛直方向に沿う位置(
図5の位置)に戻る。
【0046】
そして、回動部11が第2回動方向D5bに回動する際には、可動部13は、回動部11から力を受けていない。これにより、可動部13は、摩擦部14aによって、第1移動方向D6aと反対方向の第2移動方向(
図5においては、時計回り方向)D6bに移動することを規制されている。
【0047】
なお、本実施形態においては、摩擦部14aは、可動部13が回動するために、各接続部15,16の抜止部15c,16cとの間に隙間を設けている。しかしながら、斯かる構成に限られず、例えば、摩擦部14aは、可動部13が回動できる程度に、各接続部15,16の抜止部15c,16cと接していてもよい。斯かる構成によれば、可動部13は、摩擦部14aによって、第2移動方向D6bに移動することを確実に規制される。
【0048】
本実施形態に係るエレベータ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る制動装置3の動作について、
図7〜
図12を参照しながら説明する。
【0049】
第1駆動源6a(
図7〜
図12においては、図示していない)への通電が停止されている際には、
図7及び
図8に示すように、制動体5は、制動位置に位置し、回転体4に接している。このとき、制動体5は、本体7から離れており、また、制動体5の被検出部5fは、回動部11から離れている。
【0050】
ところで、
図7に示すように、制動体5は、制動部5aと制動本体部5cとの間に、スペーサ5gを備えている場合がある。該スペーサ5gは、例えば、制動部5a及び制動本体部5cの製造誤差や組立誤差を補うことで、制動部5aの制動面5bと回転体4の接触面4cとを面接触させるための調整材である。
【0051】
そして、制動体5が制動位置に位置している際には、スペーサ5gの存在が起因して、制動体5の被支持面5eと本体7の支持面7bとは、平行ではなく、傾斜して交差するように配置されている。なお、斯かる事象は、スペーサ5gの存在以外にも、例えば、各構成4,5,7の製造誤差及び組立誤差や、制動部5aの摩耗等により、発生する事象である。
【0052】
斯かる状態から、第1駆動源6aへの通電が実施されると、制動体5は、第1方向D4aに移動する。そして、
図9及び
図10に示すように、制動体5の被検出部5fが、回動部11の短尺部11bに接し、回動部11の短尺部11bを第1方向D4aに押す。これにより、回動部11は、制動体5から力を受けるため、制動体5の移動量に応じた角度だけ第1回動方向D5aに回動する。
【0053】
また、回動部11の長尺部11cが、可動部13の当接部13cに接し、可動部13の当接部13cを押す。これにより、可動部13は、回動部11から力を受けるため、回動部11と一体となって、第1回動方向D5aと同じ方向である第1移動方向D6aに回動する。そして、可動部13は、回動部11の回転角度に応じた量(即ち、同じ回転角度)だけ第1移動方向D6aに回動する。したがって、可動部13は、制動体5の移動量に応じた量(即ち、回転角度)だけ第1移動方向D6aに回動する。
【0054】
なお、回動部11が第1回動方向D5aに回動することで、回動部11の長尺部11cは、スイッチ部12のスイッチ可動部12bに接している。そして、スイッチ可動部12bがスイッチ本体部12aに対して移動することで、スイッチ部12は、オフ状態からオン状態に切り替えられる。
【0055】
このとき、制動体5の被支持面5eが、本体7の支持面7bと、互いに一部で接しているため、
図11及び
図12に示すように、制動体5が揺動するような動作(
図11において、一点鎖線矢印方向への移動)をする。なお、斯かる動作は、瞬間的な動作であるため、目視で確認することは非常に難しい。そして、制動体5の被支持面5eが、本体7の支持面7bと、互いに全体で接することで、制動体5の動作が停止し、制動体5は、待機位置に位置する。
【0056】
これにより、制動体5の被検出部5fが、少しだけ第2方向D4bに移動するため、回動部11は、自重によって、第2回動方向D5bに回動する。このとき、被検出部5fが短尺部11bに接しているため、回動部11は、制動体5の移動量に応じた角度だけ第2回動方向D5bに回動している。
【0057】
それに対して、可動部13が、規制部14によって、第2移動方向D6bに回動することを規制されており、そして、回動部11が第2回動方向D5bに回動することで、回動部11の長尺部11cが、可動部13の当接部13cから離れていく。これにより、可動部13は、回動部11が第1回動方向D5aに最も回動した位置、即ち、制動体5が第1方向D4aに最も移動した位置に対応した位置で、停止している。
【0058】
したがって、制動体5が制動位置で停止している際に、回動部11の長尺部11cと可動部13の当接部13cとの間に隙間が存在している。このように、制動体5の被検出部5fが、第1方向D4aに最も移動した位置に瞬間的にだけ移動した場合でも、回動部11に対する可動部13の停止位置によって、制動体5が第1方向D4aに最も移動した位置を検出することができる。
【0059】
その後、第1駆動源6aへの通電が停止されると、制動体5が第2方向D4bに移動するため、回動部11は、第2回動方向D5bに回動する。そして、制動体5の被検出部5fが、回動部11の短尺部11bから離れることで、回動部11は、自重によって、鉛直方向に沿う位置に戻る(
図5参照)。
【0060】
ところで、
図11及び
図12に示すように、制動体5が揺動するような動作をすることで、回動部11が第2回動方向D5bに回動する。これにより、回動部11の長尺部11cに接触されているスイッチ可動部12bは、スイッチ本体部12aに対して移動する。このとき、スイッチ部12がオン状態を維持していれば問題ないが、例えば、スイッチ部12がオン状態からオフ状態に戻り、オフ状態が維持される場合も考えられる。
【0061】
斯かる場合においては、スイッチ部12が瞬間的にだけオン状態に切り替わったので、スイッチ部12の故障(チャタリング)による現象と勘違いしてしまう可能性がある。しかしながら、回動部11に対する可動部13の停止位置を確認することで、制動体5の動作による現象と把握することができる。
【0062】
なお、上記のように、制動体5が制動位置から待機位置に移動した際に、スイッチ部12が瞬間的にだけオン状態に切り替わってその後オフ状態が続いた場合には、物理的に、制動体5が待機位置に位置している状態であるにも関わらず、制御的に、制動体5が待機位置に位置していないと判断される。これにより、かご1a(
図1参照)の昇降は停止され、休止状態となる。
【0063】
したがって、斯かる現象が発生すると、エレベータ1が正常に稼働しないという問題が生じる。それに対して、検出器10によって、制動体5の動作による現象であると早期に把握することができるため、例えば、スペーサ5gを調整することで、斯かる現象に起因する問題を早期に解消することができる。
【0064】
以上より、本実施形態に係るエレベータ1は、エレベータ制動装置3を備える。そして、本実施形態に係るエレベータ制動装置3は、回転体4を制動するために前記回転体4に接する制動位置と、前記回転体4から離れる待機位置と、の間で移動する制動体5と、前記制動体5の動作を検出する検出部10と、を備え、前記検出部10は、前記制動体5が第1方向D4aに移動する際に、前記制動体5の移動量に応じた量だけ第1移動方向D6aに移動する可動部13と、前記制動体5が前記第1方向D4aと反対方向の第2方向D4bに移動する際に、前記可動部13が前記第1移動方向D6aと反対方向の第2移動方向D6bに移動することを規制する規制部14と、を備える。
【0065】
斯かる構成によれば、制動体5が第1方向D4aに移動する際に、可動部13は、制動体5の移動量に応じた量だけ第1移動方向D6aに移動する。そして、制動体5が、第1方向D4aと反対方向の第2方向D4bに移動する際に、可動部13は、規制部14によって、第1移動方向D6aと反対方向の第2移動方向D6bに移動することを規制される。これにより、制動体5の動作を確認することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るエレベータ制動装置3は、前記制動体5が前記待機位置へ向かう際に、前記制動体5に接近される本体7を備え、前記検出部10は、前記本体7及び前記制動体5の何れか一方(本実施形態においては、本体7)に回動可能に接続される回動部11を備え、前記回動部11は、前記制動体5が前記待機位置へ向かう前記第1方向D4aに移動する際に、前記本体7及び前記制動体5の何れか他方(本実施形態においては、制動体5)から力を受けることで、前記制動体5の移動量に応じた角度だけ第1回動方向D5aに回動すると共に、前記制動体5が前記制動位置へ向かう前記第2方向D4bに移動することで、前記第1回動方向D5aと反対方向の第2回動方向D5bに回動し、前記可動部13は、前記回動部11が前記第1回動方向D5aに回動する際に、前記回動部11から力を受けることで、前記回動部11の回転角度に応じた量だけ前記第1移動方向D6aに移動し、前記規制部14は、前記回動部11が前記第2回動方向D5bに回動する際に、前記可動部13が前記第2移動方向D6bに移動することを規制する、という構成でもよい。
【0067】
斯かる構成によれば、制動体5は、制動位置に位置する際に、回転体4に接すると共に、待機位置に位置する際に、本体7と接している。また、回動部11は、本体7及び制動体5の何れか一方(本実施形態においては、本体7)に回動可能に接続されている。
【0068】
ところで、制動体5が待機位置へ向かう第1方向D4aに移動する際に、回動部11は、本体7及び制動体5の何れか他方(本実施形態位においては、制動体5)から力を受けることで、制動体5の移動量に応じた角度だけ第1回動方向D5aに回動する。そして、回動部11が第1回動方向D5aに回動する際に、可動部13は、回動部11から力を受けることで、回動部11の回転角度に応じた量だけ第1移動方向D6aに移動する。
【0069】
また、制動体5が制動位置へ向かう第2方向D4bに移動することで、回動部11は、第1回動方向D5aと反対方向の第2回動方向D5bに回動する。そして、回動部11が第2回動方向D5bに回動する際に、可動部13は、規制部14によって、第2移動方向D6bに移動することを規制される。
【0070】
また、本実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、前記可動部13は、前記本体7及び前記制動体5の何れか一方(本実施形態においては、本体7)に、前記回動部11と同じ位置で回動可能に接続される、という構成である。
【0071】
斯かる構成によれば、可動部13が、本体7及び制動体5の何れか一方(本実施形態においては、本体7)に、回動部11と同じ位置で回動可能に接続されているため、可動部13の回動中心位置は、回動部11の回動中心位置と、同じになる。これにより、可動部13が移動する移動方向D6aは、回動部11が回動する回動方向D5aと同じになる。
【0072】
また、本実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、前記規制部14は、前記可動部13が前記第2移動方向D6bに移動することを規制するために、前記可動部13が前記第2移動方向D6bに移動することに対して摩擦力を生じさせる摩擦部14aを備える、という構成である。
【0073】
斯かる構成によれば、摩擦部14aは、可動部13が第2移動方向D6bに移動することに対して摩擦力を生じさせる。これにより、可動部13は、摩擦部14aによって、第2移動方向D6bに移動することを規制される。
【0074】
なお、エレベータ1及びエレベータ制動装置3は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及びエレベータ制動装置3は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0075】
(1)上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、可動部13は、本体7に回動可能に接続されており、そして、可動部13の移動方向D6aは、回動方向である、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、
図13及び
図14に示すように、可動部13の移動方向D6aは、直線方向である、という構成でもよい。
【0076】
以下に、
図13及び
図14に係る検出部10の構成について説明する。
【0077】
可動部13は、第2接続部16,16によってスイッチ部12に接続されることで、本体7に接続されている。具体的には、可動部13は、所定方向にそれぞれ延びる一対の貫通孔13a,13aを備えており、そして、第2接続部16は、貫通孔13aに挿通される挿通部16aを、中間部に備えると共に、スイッチ部12に固定される固定部16bを、一端部に備えている。また、第2接続部16は、可動部13が挿通部16aから抜けることを防止するために、貫通孔13aよりも大きく形成される抜止部16cを、他端部に備えている。
【0078】
可動部13は、貫通孔13aを有する板状の可動本体部13bと、可動本体部13bから厚み方向に突出し、回動部11の長尺部11cと接する当接部13cとを備えている。そして、当接部13cは、回動部11が第1回動方向(
図13においては、反時計回り方向)D5aに回動した場合にのみ回動部11の長尺部11cと接するように、回動部11の長尺部11cに対して回動部11の第1回動方向D5a側に配置されている。
【0079】
規制部14は、可動部13が移動することに対して摩擦力を生じさせる摩擦部14aを備えている。そして、摩擦部14aは、可動部13の可動本体部13bとスイッチ部12のスイッチ本体部12aとの間に配置されている。これにより、摩擦部14aは、可動部13の移動方向に関わらず、可動部13が移動することに対して可動部13との間に、摩擦力を生じさせる。
【0080】
なお、可動部13に対する摩擦部14aの摩擦係数は、可動部13に対するスイッチ本体部12aの摩擦係数よりも、大きくなっている。例えば、可動部13は、硬質樹脂で形成され、例えば、スイッチ本体部12aは、硬質樹脂や金属で形成され、そして、例えば、摩擦部14aは、ゴムで形成されている。
【0081】
次に、
図13及び
図14に係る検出部10の動作について説明する。
【0082】
まず、制動体5が第1方向D4a(
図13においては、左方向)に移動する際には、被検出部5fが短尺部11bに接することで、回動体11は、第1回動方向D5aに回動する。そして、回動部11が第1回動方向D5aに回動する際には、当接部13cは、長尺部11cに接触される。このとき、可動部13が回動部11から受ける力が、摩擦部14aで生じる摩擦力よりも大きいため、可動部13は、第1移動方向(
図13においては、右方向)D6aに移動する。
【0083】
また、制動体5が第2方向D4b(
図13においては、右方向)に移動する際には、回動体11は、自重により、第2回動方向(
図13においては、時計回り方向)D5bに回動する。そして、回動部11が第2回動方向D5bに回動する際には、可動部13は、回動部11から力を受けない。これにより、可動部13は、摩擦部14aによって、第2移動方向(
図13においては、左方向)D6bに移動することを規制される。
【0084】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、回動部11は、本体7に接続され、制動体5から力を受けることで回動している、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、回動部11は、制動体5に接続され、本体7から力を受けることで回動している、という構成でもよい。また、例えば、回動部11は、回転体4に対して変位しない不動な別部材(例えば、回転体4を支持する架台)に接続され、制動体5から力を受けることで回動している、という構成でもよい。
【0085】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、可動部13は、回動部11から力を受けることで、移動する、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。
【0086】
例えば、可動部13は、本体7に接続されており、制動体5と接して制動体5から直接に力を受けることで、移動する、という構成でもよい。また、例えば、可動部13は、制動体5に接続されており、本体7と接して本体7から直接に力を受けることで、移動する、という構成でもよい。また、例えば、可動部13は、回転体4に対して変位しない不動な別部材(例えば、回転体4を支持する架台)に接続されており、制動体5と接して制動体5から直接に力を受けることで、移動する、という構成でもよい。
【0087】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、可動部13は、制動体5が待機位置へ向かう方向に移動する際に、第1移動方向D6aに移動する一方で、制動体5が制動位置へ向かう方向に移動する際に、規制部14によって、第2移動方向D6bに移動することを規制される、という構成である。即ち、制動体5の第1方向D4aが待機位置へ向かう方向であり、制動体5の第2方向D4bが制動位置へ向かう方向である、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。
【0088】
例えば、可動部13は、制動体5が制動位置へ向かう方向に移動する際に、第1移動方向D6aに移動する一方で、制動体5が待機位置へ向かう方向に移動する際に、規制部14によって、第2移動方向D6bに移動することを規制される、という構成でもよい。即ち、制動体5の第1方向D4aが制動位置へ向かう方向であり、制動体5の第2方向D4bが待機位置へ向かう方向である、という構成でもよい。斯かる構成の一例として、例えば、回動部11及び可動部13は、回転体4に対して変位しない不動な別部材(例えば、回転体4を支持する架台)に接続され、制動体5が制動位置へ向かう方向に移動する際に、制動体5から力を受けることで回動する、という構成が挙げられる。
【0089】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、可動部13の回動中心位置は、回動部11の回動中心位置と、同じである、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、可動部13の回動中心位置は、回動部11の回動中心位置と、異なる、という構成でもよい。
【0090】
(6)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、回動部11は、外力を受けていない際には、自重によって、鉛直方向に沿う位置に戻る、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、検出部10は、回動部11に、第2回動方向D5bの力を加える加力部を備え、制動体5が第2方向D4bに移動する際に、加力部から加えられる力によって、回動部11が第2回動方向D5bに回動する、という構成でもよい。例えば、加力部として、弾性力による力を回動部11に加えるバネや、磁力による力を回動部11に加える磁石が挙げられる。
【0091】
(7)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、規制部14は、可動部13が第2移動方向D6bに移動することに対して摩擦力を生じさせる摩擦部14aを備えている、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、規制部14は、可動部13が第2移動方向D6bに移動することを規制するラチェット機構やワンウェイクラッチ機構を備えている、という構成でもよい。
【0092】
(8)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、摩擦部14aは、可動部13が第2移動方向D6bに移動することに対して摩擦力を生じさせるために、可動部13と異なる材質で形成されている、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、摩擦部14aは、当該摩擦力を生じさせるために、可動部13と同じ材質で形成されている一方で、第2接続部16の挿通部16aに嵌め込められて加圧接触するように形成されている、という構成でもよい。
【0093】
(9)また、上記実施形態に係るエレベータ制動装置3においては、回動部11は、制動体5に接することで、制動体5から力を受けて回動する、という構成である。しかしながら、エレベータ制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、回動部11は、制動体5とそれぞれ回動可能に接続されるリンクで接続されており、制動体5に接することなく当該リンクを経由して、制動体5から力を受けて回動する、という構成でもよい。
【0094】
(10)また、エレベータ制動装置3においては、例えば、可動部13は、常時、本体7に接続されている、という構成でもよい。また、例えば、可動部13は、本体7に対して着脱可能に構成され、制動体5の動作を確認する時にのみ、本体7に装着される、という構成でもよい。斯かる構成の一例として、第2接続部16の固定部16bが雄ネジ形状であって、第2接続部16が第1接続部15に対して着脱可能である、という構成が挙げられる。