(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中継器は、前記バイタルデータに加えて、前記センサーの位置情報、時間情報、及び前記行動者又は前記センサーの識別情報の少なくとも1つを取得して前記低消費電力長距離無線通信によって送信し、
前記収集サーバは、前記中継器から送信されてきた前記バイタルデータと、前記センサーの位置情報、時間情報、及び前記行動者又は前記センサーの識別情報の少なくとも1つとを収集する、
請求項1又は請求項2記載のバイタルデータ収集システム。
前記第1中継器及び前記第2中継器は、前記バイタルデータに加えて、前記センサーの位置情報、時間情報、及び前記行動者又は前記センサーの識別情報の少なくとも1つを送信する、請求項5又は請求項6記載のバイタルデータ中継システム。
前記第1送信ステップ及び前記第2送信ステップは、前記取得ステップで取得された前記バイタルデータと、前記センサーの位置情報、時間情報、及び前記行動者又は前記センサーの識別情報の少なくとも1つとを送信するステップであり、
前記収集ステップは、前記中継器から送信された前記バイタルデータと、前記センサーの位置情報、時間情報、及び前記行動者又は前記センサーの識別情報の少なくとも1つとを収集するステップである、
請求項8記載のデータ収集方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
[バイタルデータ収集システムの全体構成]
以下、バイタルデータ収集システム1の全体構成について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システム1の全体構成を示す構成図である。図示するように、バイタルデータ収集システム1は、ヘルスウォッチ10と、無線搭載センサー11と、近距離無線通信路15と、スマートフォン20と、携帯電話通信網25と、近距離無線通信路26と、通信変換ルータ30と、低消費電力長距離無線通信路35と、ゲートウェイ40と、携帯電話通信網45と、クラウドサーバ50と、通信ネットワーク55と、他システム60と、を含んで構成される。
【0027】
本実施形態に係るバイタルデータ収集システム1は、主に、特殊環境で働く作業者の健康状態の把握、当該作業者の勤怠管理、及び、特殊環境における作業の工程管理を目的とした、クラウドコンピューティングによって実現されるシステムである。
なお、
図1においては、1人の作業者が装着・所持する端末群のみを記載しているが、実際には作業エリアには複数の作業者が存在し、各作業者がそれぞれ上記端末群を装着・所持している。
【0028】
なお、ここで言うクラウドコンピューティングとは、例えば、以下のURL(Uniform Resource Locator)で特定される文書に記載されている定義(米国国立標準技術研究所によって推奨される定義)に合致するものである。
http://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/Legacy/SP/nistspecialpublication800−145.pdf
https://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf
【0029】
ヘルスウォッチ10は、特殊環境で働く作業者の手首に装着される腕時計型のウェアラブルデバイスである。ヘルスウォッチ10は、各種センサーを備えており、当該センサーによって作業者に対するバイタルサインセンシングを行うことができる。なお、ここで言うバイタルサインセンシングとは、各種センサーによって、体温、脈拍数、血圧、運動量、体位、心拍数、心電、及び血中酸素濃度などを測定する技術である。
【0030】
また、ヘルスウォッチ10は、バイタルサインセンシングに用いられるセンサー以外にも、加速度センサーや、GPS(Global Positioning System)やGLONASS(Global Navigation Satellite System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System;全地球測位システム)の電波を受信する受信機なども備えており、作業者の動きや位置などを測定することもできる。
【0031】
また、ヘルスウォッチ10は、通信機能を備えており、近距離無線通信路15を介してスマートフォン20と通信接続することができる。ヘルスウォッチ10は、例えば、スマートフォン20に対し、位置情報を含む測定データ、時間情報データ、作業者又はヘルスウォッチ10の識別情報の送信などを行う。
なお、ヘルスウォッチ10は、上記バイタルセンシングなどを行うことができ、かつスマートフォン20と通信可能なウェアラブルデバイスであるならば、腕時計型ではなくても構わない。
【0032】
無線搭載センサー11は、特殊環境で働く作業者に装着されるセンサーである。無線搭載センサー11は、例えば、装着用のバンドやシールなどによって、作業者の衣類に、又は、作業者の皮膚に直接貼り付けられる。無線搭載センサー11も、ヘルスウォッチ10と同様に、作業者に対するバイタルサインセンシングなどを行う。また、無線搭載センサー11も、ヘルスウォッチ10と同様、通信機能を備えており、近距離無線通信路15を介してスマートフォン20と通信接続することができ、当該スマートフォンへの測定データの送信を行う。
【0033】
なお、1人の作業者に対して、例えば種類の異なる複数の無線搭載センサー11が装着されていてもよい。なお、無線搭載センサー11は、ヘルスウォッチ10の機能を補足する位置付けのデバイスであり、ヘルスウォッチ10では測定することができないバイタルサインの測定などを行うためのデバイスである。そのため、ヘルスウォッチ10のみで所望のデータが全て取得可能であるならば、無線搭載センサー11が無い構成であっても構わない。
【0034】
なお、以下の説明においては、ヘルスウォッチ10と無線搭載センサー11とを総称して「ヘルスウォッチ10など」ということがある。
また、以下の説明においては、ヘルスウォッチ10などによって測定された各種の測定データ(具体的には、体温、脈拍数、血圧、運動量、体位、心拍数、心電、及び血中酸素濃度などの測定データ)を総称して「バイタルデータ」という。
【0035】
近距離無線通信路15は、近距離無線通信が行われる通信路である。ここで言う近距離無線通信とは、例えば、Bluetooth(登録商標)、又はWi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)などである。
【0036】
スマートフォン20(第1中継器)は、特殊環境で働く作業者が所持する携帯型の情報端末である。スマートフォン20は、ヘルスウォッチ10などとペアリングを行い、ヘルスウォッチ10などから、近距離無線通信路15を介してバイタルデータ、ヘルスウォッチ10などの位置情報、時間情報、作業者又はヘルスウォッチ10などの識別情報(ID)を取得することができる。また、スマートフォン20は、携帯電話通信網25を介してクラウドサーバ50と通信接続することができる。また、スマートフォン20は、近距離無線通信路26を介して通信変換ルータ31と通信接続することができる。
【0037】
スマートフォン20は、携帯電話通信網25を介して通信接続することができる場合(すなわち、自己のスマートフォン20が携帯電話基地局との間で無線通信が可能な場合)、ヘルスウォッチ10などから取得したバイタルデータを、携帯電話通信網25を介して(携帯電話基地局を介して)クラウドサーバ50へ送信する。
また、スマートフォン20は、携帯電話通信網25を介して通信接続することができない場合(すなわち、自己のスマートフォン20が携帯電話基地局との間で無線通信が可能でない場合)、ヘルスウォッチ10などから取得したバイタルデータを、近距離無線通信路26を介して通信変換ルータ31へ送信する。
【0038】
スマートフォン20からクラウドサーバ50又は通信変換ルータ31に対し、バイタルデータとともに、上記の位置情報、時間情報、識別情報の少なくとも1つが送信されても良い。なお、以下では、冗長な記載を避けるために、スマートフォン20から「バイタルデータ」が送信され、クラウドサーバ50に「バイタルデータ」が収集されると記載するが、これは、バイタルデータのみが送信される場合のみならず、及びバイタルデータと上記の位置情報、時間情報、識別情報の少なくとも1つとが送信、収集される場合も含まれる点に注意されたい。
【0039】
携帯電話通信網25は、携帯電話通信が行われる通信網である。ここで言う携帯電話通信とは、例えば、LTE(Long Term Evolution)、又は3G(第3世代移動通信システム)などの通信規格に準拠した無線通信である。
【0040】
近距離無線通信路26は、近距離無線通信が行われる通信路である。ここで言う近距離無線通信とは、例えば、Bluetooth(登録商標)、又はWi−Fi(登録商標)などの通信規格に準拠した無線通信である。
【0041】
通信変換ルータ30(第2中継器)は、近距離無線通信路26を介してスマートフォン20と通信接続することができる。通信変換ルータ30は、スマートフォン20から送信されたバイタルデータを、近距離無線通信路26を介して取得する。
また、通信変換ルータ30は、低消費電力長距離無線通信路35を介してゲートウェイ40と通信接続することができる。通信変換ルータ30は、スマートフォン20から取得したバイタルデータを、低消費電力長距離無線通信路35を介してゲートウェイ40へ送信する。
すなわち、通信変換ルータ30は、近距離無線通信によって取得したバイタルデータを、低消費電力長距離無線通信によって送信するバイタルデータ中継器である。
【0042】
低消費電力長距離無線通信路35は、低消費電力で長距離無線通信が可能な通信が行われる通信路(LPWAN;Low Power Wide Area Network)である。ここで言う低消費電力長距離無線通信とは、例えば、LoRa(登録商標)などの通信規格に準拠した無線通信である。
【0043】
図1に図示するように、特殊環境で働く作業者は、ヘルスウォッチ10及び無線搭載センサー11を装着し、スマートフォン20及び通信変換ルータ30を所持した状態で作業を行う。
【0044】
ゲートウェイ40は、低消費電力長距離無線通信路35を介して通信変換ルータ30と通信接続することができる。ゲートウェイ40は、通信変換ルータ30から送信されたバイタルデータを、低消費電力長距離無線通信路35を介して取得する。
また、ゲートウェイ40は、携帯電話通信網45を介してクラウドサーバ50と通信接続することができる。ゲートウェイ40は、通信変換ルータ30から取得したバイタルデータを、携帯電話通信網45を介してクラウドサーバ50へ送信する。
すなわち、ゲートウェイ40は、低消費電力長距離無線通信によって取得したバイタルデータを、携帯電話通信によって送信する。
【0045】
なお、ゲートウェイ40は、作業エリア内の、携帯電話通信網45を介して通信接続することができる地点(すなわち、携帯電話の利用圏内の地点)に設置される。携帯電話の利用圏外の地点に位置する作業者の通信変換ルータ30は、低消費電力長距離無線通信路35を介して、携帯電話通信が可能なゲートウェイ40へバイタルデータを送信し、ゲートウェイ40を介してバイタルデータをクラウドサーバへ送信する。
【0046】
なお、作業エリアは、例えば、数キロメートルから数十キロメートル四方の広大なエリアであり、作業者からゲートウェイ40までの距離は数十キロメートル離れている場合もある。そのため作業者が所持する端末(通信変換ルータ30)とゲートウェイ40との間の通信には、数十キロメートル離れていても基地局や中継器などを用いることなく低消費電力で通信が可能な、LoRa(登録商標)などの低消費電力長距離無線通信が用いられる。
【0047】
携帯電話通信網45は、携帯電話通信が行われる通信網である。ここで言う携帯電話通信とは、例えば、LTE又は3Gなどの通信規格に準拠した無線通信である。
【0048】
クラウドサーバ50は、スマートフォン20から送信されたバイタルデータを、携帯電話通信網25を介して取得する。又は、クラウドサーバ50は、ゲートウェイ40から送信されたバイタルデータを、携帯電話通信網45を介して取得し、管理する。
また、クラウドサーバ50は、通信ネットワーク55を介して他システム60と通信接続することができる。クラウドサーバ50は、他システム60から送信された各種データを、通信ネットワーク55を介して取得する。
【0049】
通信ネットワーク55は、例えば、インターネット、各種の閉域網(例えば、専用線、又はVPN(Virtual Private Network;仮想プライベートネットワーク)なそ)、又はそれらの通信ネットワークの組み合わせによって構成される。なお、通信ネットワーク55は、有線の通信ネットワークであってもよいし、一部又は全部が無線の通信ネットワークであってもよい。
【0050】
他システム60は、例えば、勤怠管理システム、ERP(企業資源計画)システム、及び気象システムなどのシステムである。なお、本説明においては、それら複数のシステムを総称して「他システム60」と呼ぶものとする。
【0051】
クラウドサーバ50は、スマートフォン20又は通信変換ルータ30から取得したバイタルデータと、他システム60から取得した各種データ(例えば、勤怠管理データ、ERPデータ、及び気象データなど)を用いて、各種クラウドサービスを提供する。
ここで言う「クラウドサービス」とは、例えば、特殊環境で働く作業者を管理する管理者に対して提供される、作業者健康管理サービス、及び作業工程管理サービスなどである。なお、これらクラウドサービスの詳細については、後に説明する。
【0052】
[通信変換ルータのハードウェア構成]
以下、通信変換ルータ30のハードウェア構成について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システム1の通信変換ルータ30のハードウェア構成を示す概略図である。図示するように、通信変換ルータ30は、無線Aアンテナ301と、無線Bアンテナ302と、リチウムイオンバッテリー303と、充電部304と、を含んで構成される。
【0053】
無線Aアンテナ301は、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi−Fi(登録商標)など)の電波を送受信するアンテナである。
無線Bアンテナ302は、低消費電力長距離無線通信(例えば、LoRa(登録商標)など)の電波を送受信するアンテナである。なお、無線Aアンテナ301及び無線Bアンテナ302は、通信変換ルータ30を所持する作業者が行う作業の邪魔にならないよう、通信変換ルータ30の筐体に内蔵されたアンテナであることが好ましい。
【0054】
リチウムイオンバッテリー303は、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することにより充電及び放電が可能な、繰り返し使用することができる(例えば、1000回程度の充電が可能である)二次電池である。なお、リチウムイオンバッテリー303は、例えば、作業者の1日の作業時間(例えば、8時間)にわたって連続使用が可能な、軽量かつ薄型のリチウムイオンバッテリーであり、過充電防止機能を備えていることが好ましい。なお、リチウムイオンバッテリーの代わりに、マグネシウム電池などの他の二次電池が用いられても構わない。
【0055】
充電部304は、商用電源から充電用の直流電流を作り出す電源装置(図示せず)とリチウムイオンバッテリー303の充電を制御する充電制御回路(図示せず)とを含んで構成される。なお、様々な環境において作業者が充電を行いやすいように、充電部304は、例えば、スマートフォン20の充電方法と同様の汎用的な充電方法によって充電可能に構成されることが好ましい。なお、汎用的な充電方法とは、例えば、市販のUSB(Universal Serial Bus)ケーブルや、市販のAC(Alternating Current)アダプタによって、商用電源より交流電力を入力する充電方法などである。
【0056】
なお、作業者が行う作業の邪魔にならないよう、通信変換ルータ30は、小型(例えば、作業着のポケットに収まるように厚さが1センチメートル未満であり)で、軽量(例えば、500グラム未満)の機器であることが好ましい。
【0057】
なお、通信変換ルータ30は、例えば、鉱山、山岳地域、海洋上、及び建設現場などのような特殊環境において用いられることから、防水機能及び防塵機能を備えた(例えば、IEC(International Electrotechnical Commission;国際電気標準会議)によって規定されているIP67に対応した)構成であることが好ましい。なお、防爆指定エリアにおいても使用される場合には、通信変換ルータ30は、防爆機能を備えていることが好ましい。
【0058】
なお、通信変換ルータ30の電源ボタンは、他の物体と接触するなどして作業中に意図せず押下されてしまうことが無いように、例えば、通信変換ルータ30の側面の押下されにくい位置に配置されることが好ましい。また、例えば、通信状態(又は、通信変換ルータ30の稼働状態)を表示するLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)ランプが、作業中であっても作業者が通信状態を確認しやすいように、通信変換ルータ30の側面に配置されることが好ましい。
【0059】
[通信変換ルータの機能構成]
以下、通信変換ルータ30の機能構成について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システム1の通信変換ルータ30の機能構成を示すブロック図である。図示するように、バイタルデータ収集システム1は、無線Aアンテナ301と、無線Bアンテナ302と、無線A通信部305と、無線B通信部306と、通信変換部307と、を含んで構成される。
【0060】
無線Aアンテナ301は、無線A通信部305による制御のもと近距離無線通信の電波の送受信を行う。なお上述したように、近距離無線通信とは、例えば、Bluetooth(登録商標)、又はWi−Fi(登録商標)などである。
無線Bアンテナ302は、無線B通信部306による制御のもと低消費電力長距離無線通信の電波の送受信を行う。なお、低消費電力長距離無線通信は、例えば、上述したLoRa(登録商標)である。あるいは、低消費電力長距離無線通信は、例えば、Sigfox(登録商標)、NB−IoT(Narrow Band−IoT;狭帯域IoT、ZigBee(登録商標)、Z−Wave(登録商標)などであってもよい。
【0061】
無線A通信部305は、無線Aアンテナ301を介してスマートフォン20との間の近距離無線通信における信号の送受信を制御する。
無線B通信部306は、無線Bアンテナ302を介してゲートウェイ40との間の低消費電力長距離無線通信における信号の送受信を制御する。
通信変換部307は、無線A通信部305から近距離無線通信の信号を取得し、取得された信号を低消費電力長距離無線通信の信号に変換して、無線B通信部306へ出力する。また、通信変換部307は、無線B通信部306から低消費電力長距離無線通信の信号を取得し、取得された信号を近距離無線通信の信号に変換して、無線A通信部305へ出力する。
【0062】
[作業者側の利用プロセス]
以下、バイタルデータ収集システム1の作業者側の利用プロセスの一例について説明する。
・予め作業者(又は管理者)は、インターネットに通信接続可能な環境において、クラウドサーバ50上のクラウドサービスにアクセスし、ログインID(Identifier;識別子)及びパスワードを設定する。なお、ログインIDは、例えば、電子メールアドレスや携帯電話の電話番号などでもよい。
【0063】
・作業者は、業務に使用するスマートフォン20から、OS(Operating System)ベンダー(例えば、Apple社又はGoogle社など)のウェブサイト、あるいは専用のアプリケーションストアのウェブサイトにアクセスする。作業者は、クラウドサービスの専用アプリケーションをスマートフォン20にダウンロードして(あるいは、モバイルデバイス管理アプリケーションソフト経由で配信された専用アプリケーションを取得して)、当該専用アプリケーションをインストールする。
【0064】
・作業者は、ヘルスウォッチ10とスマートフォン20とをそれぞれペアリングモードに設定する。これにより、ヘルスウォッチ10とスマートフォン20とが無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)など)によってペアリング(デバイス間の関連付け)され、ヘルスウォッチ10とスマートフォン20との間のデータの送受信が可能となる。
【0065】
・作業者は、スマートフォン20において、上記インストールした専用アプリケーションを起動してログインし、例えば当該専用アプリケーション上に表示された「デバイス登録ボタン」をタップすることによって、ヘルスウォッチ10を、クラウドサービスにおいて利用されるセンサー(バイタルデータ収集の対象となるセンサー)の1つとして登録する。登録がなされると、クラウドサービスによって、作業者の電子メールアドレス及び管理者のメールアドレスへ、クラウドサービスの利用開始案内などの情報が含まれる電子メールが送信される。
【0066】
・作業者は、ヘルスウォッチ10とスマートフォン20とがペアリングされている状態のヘルスウォッチ10を手首に装着し、スマートフォン20上の専用アプリケーションにおいて、転倒検知機能及び異常検知機能を有効にするための初期設定を行う。なお、ここで言う転倒検知機能とは、作業者が転倒したことをクラウドサービスが検知する機能であり、ここで言う異常検知機能とは作業者が動作していない(動作が変化しない)ことをクラウドサービスが検知する機能である。上記初期設定には、加速度センサーが用いられ、作業者が腕を自然な状態で下ろした状態を基準として当該基準からの角度変化が一定時間継続した場合に転倒あるいは異常と判定されるように初期設定がなされる。
【0067】
・作業者は、作業エリアにおいて勤務を開始する際に、ヘルスウォッチ10において勤務開始を示す操作入力(例えば、操作メニューをヘルスウォッチ10の画面に表示させ、ヘルスウォッチ10の側面に設けられたボタンを操作して、操作メニューから勤務開始を選択するなど)を行う。ヘルスウォッチ10において勤務開始を示す操作入力が行われると、勤務開始時刻を示す情報が、スマートフォン20を介してクラウドサーバ50上のクラウドサービスへ送信される。
【0068】
また、勤務開始を示す操作入力が行われると、設定されている間隔(例えば、1秒ごと、10秒ごと、30秒ごと、1分ごと、又は5分ごとの中から選択された間隔、なお設定がなされていない場合には初期設定状態である1分ごと)で、ヘルスウォッチ10によって測定された各種測定値を示すデータが、スマートフォン20を介してクラウドサーバ50上のクラウドサービスへ送信される。なお、ここで言う各種測定値を示すデータとは、例えば、体温、脈拍数、血圧、運動量、体位、加速度、及び位置などのバイタルデータである。
【0069】
・作業者は、作業エリアにおいて作業を休憩する際に、休憩開始を示す操作入力(例えば、操作メニューをヘルスウォッチ10の画面に表示させ、ヘルスウォッチ10の側面に設けられたボタンを操作して、操作メニューから休憩開始を選択するなど)を行う。この操作により、休憩時間中における作業者の全てのバイタルデータが(あるいは、位置情報などのプライバシーに関わる特定のバイタルデータのみが)、クラウドサーバによって収集されないようになるため、作業者のプライバシーが保護される。
【0070】
・作業者は、休憩を終了する際に、休憩終了を示す操作入力(例えば、操作メニューをヘルスウォッチ10の画面に表示させ、ヘルスウォッチ10の側面に設けられたボタンを操作して、操作メニューから休憩終了を選択するなど)を行う。この操作により、一時停止されていたヘルスウォッチ10によるバイタルデータの収集が再開される。
【0071】
・作業者は、作業エリアにおいて勤務を終了する際に、ヘルスウォッチ10において勤務終了を示す操作入力(例えば、操作メニューをヘルスウォッチ10の画面に表示させ、ヘルスウォッチ10の側面に設けられたボタンを操作して、操作メニューから勤務終了を選択するなど)を行う。ヘルスウォッチ10において勤務終了を示す操作入力が行われると、勤務終了時刻を示す情報が、スマートフォン20を介してクラウドサーバ50上のクラウドサービスへ送信される。なお、作業者が勤務終了を示す操作入力をし忘れた場合でも、勤務終了時刻をクラウドサービスへ事後登録できるように構成されていてもよい。
また、勤務終了を示す操作入力が行われることにより、ヘルスウォッチ10によって一定間隔で行われていた、作業者の全てのバイタルデータの収集が停止される。
【0072】
・なお、クラウドサーバ50が、気象システムなどの他システム60と連携することにより、クラウドサービスが、作業者のスマートフォン20に対して(或いは、作業者のスマートフォン20を経由して無線で接続されているヘルスウォッチ10に対して)、気象情報に関わるメッセージを送信するような構成にしてもよい。ここで言う気象情報に関わるメッセージとは、例えば、「10分後に雷雨が発生する恐れがあるため、作業を一時中断すること」などの作業者への指示、あるいはレコメンド情報を示す通知メッセージである。なお、気象情報とヘルスウォッチ10などから送信された情報(例えば、勤務開始時刻や健康状態を示す情報など)とに基づいて、クラウドサービスが、作業者に対して水分の補給や休憩の取得を促すようなレコメンド情報を示すメッセージを、スマートフォン20へ送信するような構成にしてもよい。
【0073】
[スマートフォンに表示される利用画面の画面例]
以下、スマートフォン20に表示される、クラウドサービスの専用アプリケーションの利用画面の一例について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システム1のスマートフォン20に表示される画面の一例を示す概略図である。
【0074】
図4(A)に示す画面sm1は、デバイス登録時にスマートフォン20上に表示される専用アプリケーションのデバイス登録画面である。作業者は、自身が業務で使用するスマートフォン20が備えるカメラによって、ヘルスウォッチ10に添付されたQRコード(登録商標)(あるいは、ヘルスウォッチ10の画面に表示されたQRコード(登録商標))の読み取りを行う。QRコード(登録商標)の読み取りが行われると、例えば、専用アプリケーションの画面には対象のヘルスウォッチを示す情報と「デバイス登録ボタン」が表示され、作業者がデバイス登録ボタンをタップすることにより、ヘルスウォッチ10が、クラウドサービスにおいて利用されるセンサーの1つとして登録される。
なお、ヘルスウォッチ10を、クラウドサービスにおいて登録する方法としては、上記のQRコード(登録商標)を用いて登録する方法以外に、Bluetooth(登録商標)、又はWi−Fi(登録商標)なとの近距離無線通信を通じて、スマートフォン20とヘルスウォッチ10とをペアリングする方法を用いることができる。
【0075】
図4(B)に示す画面sm2は、上記のデバイス登録がなされた後、登録されたセンサーの情報を表示させる操作がなされた際に、スマートフォン20上に表示される専用アプリケーションのセンサー情報表示画面である。図示するように、画面sm2には、上記のデバイス登録がなされたヘルスウォッチ10の名称、画像、及び当該ヘルスウォッチ10とスマートフォン20とが通信接続中であることを示す「接続中」という文言などが表示される。また、画面sm2には、「加速度」、「高度」、「カロリー」、「移動距離」、及び「北の方向」などの、作業者のバイタルデータやヘルスウォッチ10の状態を示す情報が表示される。また、画面sm2内の右上の領域には、設定ボタンを示すアイコン画像ic1が表示される。
【0076】
図4(C)に示す画面sm3は、
図4(B)に示す画面sm2内に表示されたアイコン画像ic1の領域がタップされた際に表示される設定画面である。図示するように、画面sm3には、上記登録されたデバイスのデバイスID(すなわち、デバイス登録されたヘルスウォッチ10を識別する識別子)を示すデバイス情報が表示される。また、図示するように、画面sm3には、上記デバイス情報に表示されたデバイスIDに対応するデバイス(ヘルスウォッチ10)とスマートフォン20とのペアリング状態を示す情報が表示される。
【0077】
また、図示するように、画面sm3には、センサー情報取得間隔及びセンサー情報送信間隔を示すセンサー情報がそれぞれ表示される。なお、センサー情報取得間隔とは、センサー(ヘルスウォッチ10)によって測定された測定値を示すバイタルデータを、スマートフォン20がセンサーから定期的に取得する間隔を示す。また、センサー情報送信間隔とは、スマートフォン20が、センサー(ヘルスウォッチ10)から取得したバイタルデータを、クラウドサーバ50へ定期的に送信する間隔を示す。
【0078】
図4(D)に示す画面sm4は、
図4(C)に示す画面sm3における「センサー情報」の表示領域において「センサー情報取得間隔」と表示された領域ar1がタップされた際に表示される設定画面である。この設定画面は、スマートフォン20がセンサー(ヘルスウォッチ10)からバイタルデータを取得する間隔を、作業者が設定するための設定画面である。図示するように、画面sm4において、「30秒」と表示された領域の右側の領域にチェックマークが表示されている。すなわち、スマートフォン20がセンサーからバイタルデータを30秒間隔で取得するように設定がなされていることを示す。作業者は、「1秒」、「10秒」、「30秒」、「1分」、及び「5分」と表示された領域をタップすることによって、センサー情報取得間隔を所望の間隔に設定することができる。
【0079】
[ヘルスウォッチに表示される利用画面の画面例]
以下、ヘルスウォッチ10に表示される利用画面の一例について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システム1のヘルスウォッチ10に表示される画面の一例を示す概略図である。
【0080】
図5(A)に示す画面hw1は、ヘルスウォッチ10とスマートフォン20とが無線でペアリングされた際に、ヘルスウォッチ10上に表示される作業開始確認画面である。図示するように、画面hw1には、作業者に対して作業開始確認を促す「作業を開始するにはStartボタンを押してください。」という文言が表示されており、作業者は、例えばヘルスウォッチ10の側面に備えられたスタートボタン(図示せず)を押下する(勤務開始を示す操作入力をする)ことにより、勤務開始時刻を示す情報が、スマートフォン20を介してクラウドサーバ50上のクラウドサービスへ送信され、また、ヘルスウォッチ10による定期的なバイタルデータの収集が開始される。
【0081】
図5(B)に示す画面hw2は、
図5(A)に示す画面hw1が表示されている際に、スタートボタン(図示せず)が押下された(勤務開始を示す操作入力がなされた)場合に表示される時計画面である。すなわち、画面hw2は、ヘルスウォッチ10によって定期的なバイタルデータの収集がなされている際の(作業者の勤務時間中の)デフォルト画面である。図示するように、画面hw2には、現在時刻のほか、日付、ヘルスウォッチ10がスマートフォン20とペアリングされていることを示す「Connected」の文言、及びヘルスウォッチ10の充電残量などが表示される。
【0082】
図5(C)に示す画面hw3は、
図5(B)に示す画面hw2が表示されている際に、例えばスタートボタン(図示せず)が押下された場合に表示されるセンサー情報表示画面である。図示するように、画面hw3には、ヘルスウォッチ10が作業者から測定した心拍数を示す情報のほか、ヘルスウォッチ10がスマートフォン20とペアリングされていることを示す「Connected」の文言が表示される。なお、この画面hw3が表示されている際に、例えばヘルスウォッチ10の側面に備えられたネクスト(Next)ボタン(図示せず)を作業者が押下することにより、心拍数以外のバイタルデータ(例えば、体温、血圧など)の表示に切り替わる。
なお、この画面hw3が表示されている際に、例えばヘルスウォッチ10の側面に備えられたバック(Back)ボタン(図示せず)を作業者が押下することにより、
図5(B)に示した画面hw2(時計画面(デフォルト画面))の表示に再び戻る。
【0083】
図5(D)に示す画面hw4は、
図5(B)に示す画面hw2が表示されている際に、例えばバックボタン(図示せず)が押下された場合に表示される作業終了確認画面である。図示するように、画面hw4には、作業者に対して作業終了確認を促す「作業を終了します。よろしいですか?」という文言が表示されており、「はい」又は「いいえ」のいずれかの選択を作業者に促す表示となっている。この画面hw4が表示されている際に、作業者によって「はい」を選択する操作入力(勤務終了を示す操作入力)がなされた場合には、勤務終了時刻を示す情報が、スマートフォン20を介してクラウドサーバ50上のクラウドサービスへ送信され、また、ヘルスウォッチ10による定期的なバイタルデータの収集が終了する。
【0084】
[システム管理者画面の画面例]
以下、クラウドサーバ50上で動作するクラウドサービスによって、管理者(例えば、現場監督者、遠隔地にいる管理者など)に対して提供されるシステム管理者画面の一例について、図面を参照しながら説明する。
図6及び
図7は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システム1のクラウドサーバ50によって生成されるシステム管理者画面の一例を示す概略図である。
【0085】
図6に示すシステム管理者画面cl1は、管理者が各管轄現場の作業進捗状況を確認するために参照する作業進捗管理画面である。システム管理者画面cl1は、例えば、管理者がクラウドサービスにログインした際に、最初に表示される画面(デフォルト画面)である。
図示するように、システム管理者画面cl1には、作業現場(作業エリア)ごとに、作業工程開始からの日数、作業工程の終了予定日、現時点の作業進捗率、現時点の作業計画に対する遅延日数などの作業進捗状況に関する情報が表示される。また、システム管理者画面cl1には、当該作業進捗状に対する、作業者に対する勤怠管理の変更案、及び作業工程予定表の見直し案などが表示される。
システム管理者画面cl1により、管理者は、各管轄現場の作業進捗状況及びそれに対する対策案を一覧で確認することができる。
【0086】
なお、上記各管轄現場の作業進捗状況及びそれに対する対策案を示す情報は、ヘルスウォッチ10などによって得られるバイタルデータに基づく各作業者の健康状態と、勤怠管理システム及び作業工程管理システムなどの他システム60から取得する情報とに基づいて、クラウドサーバ50上のクラウドサービスにより生成される。
なお、上記対策案を示す情報の生成は、例えば、クラウドサービスに人工知能の機能を搭載することによって実現するようにしてもよい。
【0087】
図7に示すシステム管理者画面cl2は、管理者が各管轄現場における作業者の状況を監視するために参照する監視画面である。システム管理者画面cl2は、例えば、
図6に示したシステム管理者画面cl1において、作業エリア名(例えば、「作業現場A」、「作業現場B」、又は「作業現場C」)と表示された領域を管理者が選択する(例えば、PCであるならばカーソルcs1を当該領域に位置づけた状態でマウスをクリックする、あるいは、スマートフォンであるならば当該領域をタップする)ことによって表示される。
【0088】
図示するように、システム管理者画面cl2には、作業エリア(例えば、作業現場A)の地図、各作業者の位置情報、気温や天気などの天候情報、各作業者に関するバイタルデータ(健康状態などの情報)、及び管理者が業務遂行上に管理すべき数値指標であるKPI(Key Performance Indicator;重要業績評価指標)などが表示される。
【0089】
図示するように、システム管理者画面cl2において、作業エリアの地図上には、各作業者の現在位置を示す人型のアイコン画像ic2が表示される。なお、作業エリアの地図上における各アイコン画像ic2の位置は、実際の作業エリアにおける作業者の移動に伴って、逐次更新さえる。なお、作業エリアの地図上における各アイコン画像ic2の位置は、例えば、クラウドサーバ50が定期的に取得するバイタルデータに含まれる、ヘルスウォッチ10(スマートフォン20でもよい)に内蔵されたGPSやGLONASSなどのGNSS(全地球測位システム)の電波を受信する受信機によって測定された現在位置を示す位置情報などに基づいて更新される。
【0090】
システム管理者画面cl2において、作業エリアの地図上に表示される作業者の現在位置を示すアイコン画像ic2は、作業者の健康状態などに応じて色を変えて表示される。例えば、健康状態などに問題がない作業者を示すアイコン画像ic2は緑色の人型の絵によって表示され、後述する条件に基づき、健康状態などに問題が発生している作業者を示すアイコン画像ic2は当該問題の程度に応じて黄色や赤色などの人型の絵によって表示される。
【0091】
図7に図示するように、例えば、システム管理者画面cl2において、作業エリアの地図上に表示されるアイコン画像ic2が表示された領域の近傍にカーソルcs1が位置づけられると、当該アイコン画像ic2に対応する作業者に関する詳細情報を示す詳細情報ウィンドウ画像md1がポップアップ表示される。
詳細情報ウィンドウ画像md1には、例えば、作業者の顔写真、各種バイタルデータ(例えば、体温、脈拍数、心拍数、血圧、運動量、体位、加速度、及び位置情報など)、勤務開始時刻、勤務終了時刻、及び連絡先(例えば、スマートフォン20の電話番号、及び電子メールアドレスなど)を示す情報が含まれる。
【0092】
なお、アイコン画像ic2の表示色は、例えば、上記のバイタルデータに応じて決定される。例えば、心拍数が50回/分より少ない又は120回/分より多い状態、血圧が80mmHgより低い又は160mmHgより高い状態、運動量(歩数)が12000歩を超えている状態、体温が37度を超えている状態、又は、体位が「横」の状態のまま一定時間が経過している状態のいずれかに該当する作業者(以下、「異常作業者」と言う)が発生した場合、異常作業者を示すアイコン画像ic2の表示色が赤色に表示され、管理者に対して注意喚起がなされる。なお、アイコン画像ic2の表示色を変える上記のような基準値は、管理者によって任意に設定ができるように構成されることが好ましい。
【0093】
なお、異常作業者が発生すると、例えば、クラウドサーバ50上のクラウドサービスは、管理者のスマートフォン20にインストールされたアプリケーション、又は電子メールアドレスなどに対して、異常発生者が発生したことを示すメッセージを送信する。
【0094】
なお、異常作業者に該当する作業者の詳細情報を示す詳細情報ウィンドウ画像md1には、例えば、「了解」という文言が記載されたボタン画像(図示せず)、及び「電話する」という文言が記載されたボタン画像(図示せず)が含まれる。管理者が、例えば、「了解」という文言が記載されたボタン画像(図示せず)が表示された領域の近傍にカーソルcs1を位置づけてマウスをクリックした場合、異常状態を示す各種の表示が正常状態を示す表示に更新される。例えば、異常作業者を示すアイコン画像ic2の表示色が、赤色から緑色に更新される。
【0095】
また、管理者が、例えば、上記「電話する」という文言が記載されたボタン画像(図示せず)が表示された領域の近傍にカーソルcs1を位置づけてマウスをクリックした場合、該当する作業者のスマートフォン20の携帯電話番号に対して発呼される。これにより、管理者は、異常作業者に該当する作業者に対して、すみやかに連絡を取り、状況を確認することができる。
【0096】
なお、「了解」という文言が記載されたボタン画像(図示せず)、又は「電話する」という文言が記載されたボタン画像(図示せず)がクリックされると、クリックされた時刻が、管理者が異常状態の通知を確認した時間を示す確認時刻としてクラウドサービスにおいて記録される。
【0097】
また、
図7に図示するように、システム管理者画面cl2内の左側の領域には、管理者が業務遂行上に管理すべき数値指標であるKPIなどが表示される。図示するように、システム管理者画面cl2には、例えば、当日に発生した作業警告の種類ごとの作業警告数が、円グラフch1によって表示される。また、図示するように、システム管理者画面cl2には、例えば、当日発生した異常作業者数(例えば、欠席した作業者の人数、及び怪我を負った作業者の人数など)が表示される。
システム管理者画面cl2により、管理者は、各管轄現場の作業者の状況、及びKPIなどの数値指標の状況などを、リアルタイムに確認することができる。
【0098】
[経営者向け機能の例]
クラウドサーバ50上で動作するクラウドサービスは、管理者(例えば、現場監督者、遠隔地にいる管理者など)に対して、作業エリアにおける作業者の状態及び作業工程の進捗状況などの情報を提供するだけでなく、経営者に対して情報を提供する経営者向け機能を有する。
【0099】
例えば、クラウドサービスは、週ごと又は月ごとに、バイタルデータ収集システム1によって得られるバイタルデータなどの情報に基づく、作業者の健康管理及び勤怠管理に関する情報を示す実績レポートを自動生成し、当該実績レポートを経営者の電子メールアドレスに送信する。なお、実績レポートには、バイタルデータなどの定量データに基づく情報だけでなく、現場作業の働き方の改善提案のほか、社会保険などのレコメンド情報が含まれるようにしてもよい。
【0100】
上記の実績レポートによって得られる情報を、経営者は、例えば、作業者や管理者の人事評価において活用したり、健全な作業環境を達成した部隊に対して報償を支給するような施策の実施に活用したり、外部監査時の対応などのコンプライアンス関連の対応時に提出する情報として活用したりすることができる。
【0101】
[通信変換ルータの動作]
図8は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システム1の通信変換ルータ30の動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、スマートフォン20から近距離無線通信路26を介して通信変換ルータ30へバイタルデータが送信された際に開始する。
【0102】
(ステップS001)通信変換ルータ30の無線A通信部305は、スマートフォン20から近距離無線通信路26及び無線Aアンテナ301を介してバイタルデータを取得する。無線A通信部305は、取得された近距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを通信変換部307へ出力する。その後、ステップS002へ進む。
【0103】
(ステップS002)通信変換ルータ30の通信変換部307は、無線A通信部305から出力された近距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを取得する。通信変換部307は、取得された近距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを、低消費電力長距離無線通信の信号に基づくバイタルデータに変換する。通信変換部307は、変換された低消費電力長距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを無線B通信部306へ出力する。その後、ステップS003へ進む。
【0104】
(ステップS003)通信変換ルータ30の無線B通信部306は、通信変換部307から出力された低消費電力長距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを取得する。無線B通信部306は、取得された低消費電力長距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを、無線Bアンテナ302及び低消費電力長距離無線通信路35を介してゲートウェイ40へ送信する。
以上で本フローチャートの処理が終了する。
【0105】
<実施形態の変形例>
以下、本発明の実施形態の変形例について説明する。
上述した実施形態においては、ヘルスウォッチ10によって測定された測定値を示すバイタルデータが、携帯電話通信網25が利用可能な場合には、スマートフォン20を介してクラウドサーバ50へ送信され、携帯電話通信網25が利用可能でない場合には、スマートフォン20、通信変換ルータ30、及びゲートウェイ40を介してクラウドサーバ50へ送信される構成であった。上記のような構成により、作業者は既存の(市販の)スマートフォン20を用いることができるため、作業者が所持するデバイスに係る費用を抑えることができる。
【0106】
しかしながら、上記の構成によれば、作業者は、ヘルスウォッチ10や無線搭載センサー11などを装着した上で、さらにスマートフォン20及び通信変換ルータ30を所持して作業する必要がある。作業者が所持しなければならないデバイスの数が多いことから、場合によっては、作業の妨げになることが考えられる。したがって、例えば、作業者が、スマートフォン20と通信変換ルータ30とをそれぞれ所持するのではなく、スマートフォン20の機能と通信変換ルータ30の機能とを併せ持つ機器(以下、「中継器」と言う)を所持するような構成にしてもよい。
【0107】
[中継器の動作]
以下、上記中継器(図示せず)の動作について図面を参照しながら説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係るバイタルデータ収集システムの中継器の動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、ヘルスウォッチ10などから近距離無線通信路15を介して、中継器(図示せず)へバイタルデータが送信された際に開始する。
【0108】
(ステップS011)中継器(図示せず)は、ヘルスウォッチ10などから近距離無線通信路15を介して、近距離無線通信の信号にバイタルデータを取得する。その後、ステップS012へ進む。
【0109】
(ステップS012)中継器(図示せず)が、携帯電話基地局への通信接続が可能である場合、ステップS013へ進む。そうでない場合(すなわち、携帯電話基地局への通信接続が可能でない場合)、ステップS014へ進む。
【0110】
(ステップS013)中継器(図示せず)は、ステップS011において取得されたバイタルデータを、携帯電話通信網25を介してクラウドサーバへ送信する。以上で本フローチャートの処理が終了する。
【0111】
(ステップS014)中継器(図示せず)は、ステップS011において取得された近距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを、低消費電力長距離無線通信の信号に基づくバイタルデータに変換する。その後、ステップS015へ進む。
【0112】
(ステップS015)中継器(図示せず)は、ステップS014において変換された低消費電力長距離無線通信の信号に基づくバイタルデータを、低消費電力長距離無線通信路35を介してゲートウェイ40へ送信する。
以上で本フローチャートの処理が終了する。
【0113】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るバイタルデータ収集システムは、携帯電話通信網を介した通信が困難な特殊環境下で行動する行動者のバイタルデータを収集するバイタルデータ収集システムであって、前記行動者に携帯され、センサーで計測された前記行動者のバイタルデータを取得し、取得した前記バイタルデータを低消費電力長距離無線通信によって送信する中継器と、前記中継器から送信された前記バイタルデータを収集する収集サーバと、を備える。
上記の構成により、バイタルデータ収集システム1は、特殊環境においても、コストを抑えつつ市販の端末(例えば、スマートフォンやセンサー)を活用してデータの伝送を行うことができる。
【0114】
また、本発明の実施形態に係るバイタルデータ収集システム1は、広範な作業範囲で気候などの影響を受けやすい場合が多い特殊環境において、携帯電話の電波が届かない状況で、安価かつポータブルサイズで軽量の通信変換ルータ30を用いて、中継器の数を減らし、効率よくクラウドサーバ50にバイタルデータを収集することができる。また、通信変換ルータ30は、市販のスマートフォン20から、当該スマートフォン20に標準搭載されている無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi−Fi(登録商標)など)によってバイタルデータを取得して、長距離無線伝送可能なLoRa(登録商標)へ変換して出力することができる。
【0115】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、本発明は、プラントで働く作業者のみならず、その他の様々な環境における人物の健康管理、勤怠管理、及び工程管理に対して適用可能である。例えば、本発明は、鉱山における露天堀り、坑道作業、海洋上における作業、山岳登山、レスキュー活動、及び建設現場作業においても適用可能である。
【0116】
また、上述した実施形態に係るバイタルデータ収集システム1は、クラウドコンピューティングによって構成可能であるため、各作業内容への対応が容易であり、少人数による利用から大人数(例えば、1000人以上)による利用までスケーラビリティの変更に対して柔軟に対応することができるとともに、初期投資を抑えつつ導入することができる。
また、バイタルデータ収集システム1は、クラウドコンピューティングによって構成可能であるため、API(Application Programming Interface)を介して他の業務システムとのシステム連携が容易であり、更なる業務効率化を図ることが可能である。
【0117】
例えば、建設現場作業においては、建設作業工程スケジュールが事前に設定され、それに基づいて人員の割り当てがなされており、勤怠管理なども含めた全体業務の効率化が求められている。バイタルデータ収集システム1によれば、例えば、作業者に対して、バイタルセンシングにより適切な作業のレコメンデーションを行うことができる。またバイタルデータ収集システム1によれば、例えば、管理者に対して、作業者の健康状態の把握を通じて適切な作業工程管理の提案を行うことができる。またバイタルデータ収集システム1によれば、例えば、経営者に対して、社員と下請け会社の作業者の適切な作業管理によりコンプライアンス対策の支援を行うことができる。
【0118】
また、本発明に係るバイタルデータ収集システム1において、作業者のバイタルデータを匿名化することにより、経営者は、匿名化されたバイタルデータをヘルスケア機器メーカ及び保険会社などに有償で提供するような事業にバイタルデータ収集システム1を活用することも可能である。また、これにより、ヘルスケア機器メーカは、例えばヘルスケア機器の機能の向上などを図ることができ、保険会社は、例えば特殊環境における作業者向けの労災保険の新規商品開発などを行うことができる。
【0119】
なお、上述した実施形態におけるバイタルデータ収集システム1の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムの一部又は全部をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
【0120】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、バイタルデータ収集システム1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
【0121】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0122】
また、上述した実施形態におけるバイタルデータ収集システム1の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路として実現してもよい。バイタルデータ収集システム1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。