特許第6680445号(P6680445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6680445
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20200406BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B13/18
【請求項の数】5
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-237737(P2017-237737)
(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公開番号】特開2019-105720(P2019-105720A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年10月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋治
(72)【発明者】
【氏名】深谷 尚生
(72)【発明者】
【氏名】久保田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】平野 整
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0009844(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0198786(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0241659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B21/02−21/04
G02B25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、第5レンズと、負の屈折力を有する第6レンズとから構成され、
前記第4レンズは、光軸からレンズ周辺部に向かうにつれて屈折力が強くなる形状に形成されるとともに、その像面側の面が、変曲点を有する非球面形状であって、近軸において凸形状に形成され、
前記第5レンズは、その像面側の面が、変曲点を有する非球面形状であって、近軸で凹形状となる形状に形成され、
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第1レンズと前記第2レンズとの間の光軸上の距離をD12としたとき、
0.05<D12/f<0.8
を満足する撮像レンズ。
【請求項2】
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第3レンズの焦点距離をf3としたとき、
0.5<f2/f3<3
を満足する請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第6レンズのアッベ数をν6としたとき、
10<ν6<40
を満足する請求項1または2に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記第5レンズの焦点距離をf5、前記第6レンズの焦点距離をf6としたとき、
0.3<|f5|/|f6|<1.5
を満足する請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
レンズ系全体の焦点距離をf、前記第6レンズの焦点距離をf6としたとき、
−5<f6/f<−0.5
を満足する請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズに係り、車載カメラ、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ネットワークカメラ、TV会議用カメラ、ファイバースコープ、カプセル内視鏡等の比較的小型のカメラへの組み込みが好適な撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
安全性や利便性の向上を目的として一部の車両には複数のカメラが搭載されている。例えば、車両の安全な後退をサポートするためのカメラとしてバックカメラがある。バックカメラが搭載された車両では、車両後退の際に車両後方の状況がモニタ上に映し出される。運転者は車両の影で見えない障害物等であってもモニタを通して目視することができるため、障害物等に接触することなく安全に車両を後退させることができる。こうした車両に搭載されるカメラ、いわゆる車載カメラは今後も需要の増加が見込まれている。
【0003】
車載カメラは、車両のバックドア、フロントグリル、サイドミラー、車両室内等の比較的狭いスペースに搭載される。このため、車載カメラに内蔵される撮像レンズには、撮像素子の高画素化に伴う高解像度への対応や、広い撮影範囲に対応するための広角化はもとより、限られたスペースに搭載するための小型化が強く求められる。しかしながら、撮像レンズの小型化に伴って一枚一枚のレンズの屈折力が強くなるため、諸収差の良好な補正が困難になる。撮像レンズの実際の設計に当たっては、諸収差の良好な補正、撮影画角の広角化、および小型化等の複数の課題をバランスよく達成することが重要になる。
【0004】
一方、音声通話主体の携帯電話機に代わり、音声通話機能に加えて様々なアプリケーションソフトウェアの実行を可能とする多機能携帯電話機、いわゆるスマートフォン(smartphone)が普及している。スマートフォンの製品ラインナップはビギナーモデルからハイエンドモデルまでと幅広く、ハードウェアの性能やカメラの光学性能等によって分類されることが多い。このうちハイエンドモデルの中には、2台の撮像レンズを搭載することにより新たな付加価値の創出を狙ったモデルがある。例えば、従来の一般的な画角の撮像レンズに加えて広角の撮像レンズが搭載されたモデルでは、これら撮像レンズからの画像がソフトウェア処理によって合成されて、スムーズなズームインやズームアウトが実現される。こうした用途に使用される撮像レンズに対しては、撮像レンズのより一層の小型化とともに、諸収差の良好な補正や広角化が上記車載カメラの撮像レンズと同様に求められる。
【0005】
撮影画角の広い広角の撮像レンズとしては、例えば特許文献1に記載の撮像レンズが知られている。当該撮像レンズは物体側から順に、像面側に凹面を有する負の第1レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカスレンズの第2レンズと、光軸近傍で両凸形状を有する正の第3レンズと、絞りと、負の第4レンズと、正の第5レンズと、少なくとも一面が非球面形状の第6レンズとから構成される。広角の撮像レンズにあっては、第1レンズの外形が大きくなる傾向にある。この点、特許文献1に記載の撮像レンズによれば、広角でありながらも第1レンズの大型化が抑制され、像面湾曲の良好な補正が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−037119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の撮像レンズはレンズ枚数が6枚と少ないながらも撮影画角が広く、加えて比較的良好に収差が補正される。しかしながら、焦点距離に対してレンズ系の全長が長いため、近年の小型化への要求を満足するものではなく、撮像レンズの小型化と良好な収差補正との両立を図ることが困難であった。なお、こうした問題は車載カメラやスマートフォンに搭載される撮像レンズに限ったものではなく、携帯電話機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ネットワークカメラ、TV会議用カメラ、ファイバースコープ、およびカプセル内視鏡等の比較的小型のカメラに搭載される撮像レンズにおいて共通の問題である。
【0008】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型でありながらも撮影画角が広く、諸収差を良好に補正することのできる撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の撮像レンズは物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、第5レンズと、負の屈折力を有する第6レンズとから構成され、第4レンズは、光軸からレンズ周辺部に向かうにつれて屈折力が強くなる形状に形成されるとともに、その像面側の面が、変曲点を有する非球面形状であって、近軸において凸形状に形成され、第5レンズは、その像面側の面が、変曲点を有する非球面形状であって、近軸で凹形状となる形状に形成される。
【0010】
撮像レンズの広角化では像面湾曲の補正が重要になる。本発明に係る撮像レンズでは、物体側から順に4枚のレンズの屈折力配列が「負正正負」となっており、バランスのよい屈折力の配列となっている。このため、第1レンズで発生した諸収差は正の屈折力を有する2枚のレンズと負の屈折力を有する第4レンズとによって好適に補正される。また、本発明の撮像レンズの第4レンズは、その像面側の面が近軸において凸形状、すなわち像面側の面の曲率半径が負となる形状である。第4レンズのこのような形状により、撮像レンズの小型化が図られるとともに像面湾曲が良好に補正される。ちなみに、第4レンズの像面側の面が近軸において凹形状に形成される場合には、バックフォーカス(backfocus)の確保が困難になるとともに、結像面の周辺部が物体側に湾曲して像面湾曲が補正不足になり、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0011】
広角の撮像レンズでは画像周辺部において倍率色収差が発生し易くなる。撮像レンズの解像度の向上を図るには、この周辺部に発生する倍率色収差の補正が重要になる。本発明の撮像レンズでは、第1レンズで発生した諸収差は、第2レンズおよび第3レンズからなる2枚の正レンズと負の第4レンズで補正される。第5レンズおよび第6レンズは、第2レンズから第4レンズまでの各レンズで補正しきれなかった諸収差をさらに補正する役割を担う。
【0012】
上記構成において第4レンズを、光軸からレンズ周辺部に向かうにつれて屈折力が強くなる形状に形成することにより、レンズ中心部から周辺部にかけて屈折力が強くなる形状になるため、画像中心部から周辺部にかけて色収差が良好に補正される。また、第4レンズの像面側の面は、変曲点を有する非球面形状であって、近軸で凸形状となる形状であるため、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度が主光線角度(CRA:Chief Ray Angle)の範囲内に好適に抑制される。
【0013】
上記構成の撮像レンズにおいて第5レンズは、その像面側の面が、変曲点を有する非球面形状であって、近軸で凹形状となる形状に形成される。第5レンズのこのような形状によれば、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度がCRAの範囲内に好適に抑制されるとともに非点収差および像面湾曲が良好に補正される。
【0014】
上記構成の撮像レンズにおいて、第1レンズはその像面側の面が凹形状に形成され、第4レンズは物体側に凹面を向けたメニスカス形状のレンズに形成されることが望ましい。第1レンズおよび第4レンズのこのような形状により、広角の撮像レンズで発生し易い歪曲収差および像面湾曲が良好に補正される。なお、本明細書においてメニスカス形状のレンズとは、レンズの概形がメニスカス形状であるレンズを指し、近軸においてメニスカスレンズとなる形状はもちろんのこと、近軸で両凹レンズとなる形状、平凹レンズとなる形状、あるいは近軸では屈折力のない形状であっても、レンズの概形がメニスカス形状であれば、そのレンズはメニスカス形状のレンズに含まれるものとする。
【0015】
上記構成の撮像レンズにおいて第5レンズは、その物体側の面が、変曲点を有する非球面形状であって、近軸で凸形状となる形状に形成されることが望ましい。第5レンズのこのような形状によれば、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度はCRAの範囲内に好適に抑制されるとともに倍率色収差が良好に補正される。
【0017】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、および第4レンズの合成焦点距離をF1としたとき、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
0<F1 (1)
【0018】
条件式(1)は撮像レンズの小型化を図りつつ、非点収差、歪曲収差、および色収差を良好に補正するための条件である。合成焦点距離F1の値が条件式(1)から外れて負になると、第5レンズおよび第6レンズの合成屈折力が正となってその屈折力が強くなるため、撮像レンズの小型化が困難になる。また、歪曲収差が負方向に増大するとともに軸上色収差が補正過剰(基準波長の焦点位置に対して短波長の焦点位置が像面側に移動)になる。倍率色収差については補正不足(基準波長の結像点に対して短波長の結像点が光軸に近づく方向に移動)となる。よって、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0019】
上記構成の撮像レンズは、第5レンズおよび第6レンズの合成焦点距離をF2としたとき、次の条件式(2)を満足することが望ましい。
0<F2 (2)
【0020】
条件式(2)は撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差、非点収差および歪曲収差を良好に補正するための条件である。合成焦点距離F2の値が条件式(2)から外れると、歪曲収差の補正には有利となるものの軸上色収差が補正不足(基準波長の焦点位置に対して短波長の焦点位置が物体側に移動)になる。倍率色収差については補正過剰(基準波長の結像点に対して短波長の結像点が光軸から遠ざかる方向に移動)となる。また、非点収差のサジタル像面が物体側に湾曲して非点隔差が増大するため、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0021】
上記構成の撮像レンズでは、第1レンズと第2レンズとの間に開口絞りが配置されることが望ましい。なお、本明細書において第1レンズと第2レンズとの間とは、第1レンズの物体側の面の頂点接平面から第2レンズの像面側の面の頂点接平面までの間のことを指す。開口絞りをこのような位置に配置することにより、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度がCRAの範囲内に好適に抑制されるとともに諸収差が良好に補正される。
【0022】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズと第2レンズとの間の光軸上の距離をD12としたとき、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
0.05<D12/f<0.8 (3)
【0023】
条件式(3)は撮像レンズの小型化を図りつつ、像面湾曲および非点収差を良好に補正するための条件である。上限値「0.8」を超えると、非点収差のサジタル像面が像面側に湾曲して非点隔差が増大する。また、結像面が像面側に湾曲して像面湾曲が補正過剰になる。一方、下限値「0.05」を下回ると、撮像レンズの小型化には有利となるものの、非点収差のサジタル像面が物体側に湾曲して非点隔差が増大するとともに像面湾曲が補正不足になる。いずれの場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0024】
上記構成の撮像レンズは、第2レンズの焦点距離をf2、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.5<f2/f3<3 (4)
【0025】
条件式(4)は撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差、非点収差、および像面湾曲を良好に補正するための条件である。上限値「3」を超えると、撮像レンズの小型化が困難になるとともに、軸外光に対する倍率色収差が補正不足になる。また、非点収差のサジタル像面が像面側に湾曲して非点隔差が増大するとともに像面湾曲が補正過剰になる。一方、下限値「0.5」を下回ると、撮像レンズの小型化には有利となるものの、バックフォーカスの確保が困難になる。また、非点収差のサジタル像面が物体側に湾曲して非点隔差が増大するとともに像面湾曲が補正不足になる。いずれの場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0026】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第2レンズおよび第3レンズの合成焦点距離をf23としたとき、次の条件式(5)を満足することが望ましい。
0.3<f23/f<1.2 (5)
【0027】
条件式(5)は撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差、非点収差、および像面湾曲を良好に補正するための条件である。上限値「1.2」を超えると、倍率色収差が補正不足になる。また、非点収差のサジタル像面が物体側に湾曲して非点隔差が増大するとともに像面湾曲が補正不足になる。一方、下限値「0.3」を下回ると、撮像レンズの小型化には有利となるものの、軸上色収差が補正過剰になるとともに像面湾曲が補正過剰となる。よって、いずれの場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0028】
上記構成の撮像レンズは諸収差をより良好に補正するために次の条件式(5A)を満足することが望ましい。
0.3<f23/f<1.0 (5A)
【0029】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズのアッベ数をν1、第2レンズのアッベ数をν2、第3レンズのアッベ数をν3としたとき、次の条件式(6)〜(8)を満足することが望ましい。
40<ν1<75 (6)
40<ν2<75 (7)
40<ν3<75 (8)
【0030】
条件式(6)〜(8)は色収差を良好に補正するための条件である。物体側から3枚のレンズを低分散の材料で形成することにより、撮像レンズにおける色収差の発生が好適に抑制される。上限値「75」を超えると、軸上色収差および倍率色収差が共に補正過剰となり、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「40」を下回ると、軸上色収差および倍率色収差が共に補正不足となり、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0031】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第4レンズの焦点距離をf4としたとき、次の条件式(9)を満足することが望ましい。
−4<f4/f<−0.4 (9)
【0032】
条件式(9)は色収差および非点収差を良好に補正するための条件である。上限値「−0.4」を超えると、色収差の補正には有利となるものの、画像周辺部で非点隔差が増大するため良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「−4」を下回ると、倍率色収差が補正過剰になる。また、非点収差のサジタル像面が像面側に湾曲して非点隔差が増大するとともに像面湾曲が補正過剰になる。よって、いずれの場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0033】
上記構成の撮像レンズは、第4レンズの像面側の面の有効径をφ4B、第5レンズの物体側の面の有効径をφ5Aとしたとき、次の条件式(10)を満足することが望ましい。
1<φ5A/φ4B<2 (10)
【0034】
条件式(10)は撮像レンズの小型化および広角化を図りつつ、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に好適に抑制するための条件である。上限値「2」を超えると、有効径φ4Bと有効径φ5Aとの差が大きくなり、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度が大きくなり、当該入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。一方、下限値「1」を下回ると、上記入射角度をCRAの範囲内に抑制し易くなるものの、撮像レンズの小型化および広角化を図ることが困難になる。
【0035】
上記構成の撮像レンズは、第5レンズの焦点距離をf5、第6レンズの焦点距離をf6としたとき、次の条件式(11)を満足することが望ましい。
0.3<|f5|/|f6|<1.5 (11)
【0036】
条件式(11)は、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制しつつ、色収差、非点収差、および像面湾曲を良好に補正するための条件である。上限値「1.5」を超えると、軸上色収差が補正不足になるとともに倍率色収差が補正過剰になる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。一方、下限値「0.3」を下回ると、上記入射角度をCRAの範囲内に抑制し易くなるものの、非点収差のサジタル像面が像面側に湾曲して非点隔差が増大するとともに像面湾曲が補正過剰となる。したがって、いずれの場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0037】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第6レンズの焦点距離をf6としたとき、次の条件式(12)を満足することが望ましい。
−5<f6/f<−0.5 (12)
【0038】
条件式(12)は撮像レンズの小型化を図りつつ色収差を良好に補正するための条件である。また、条件式(12)は、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に好適に抑制するための条件でもある。上限値「−0.5」を超えると、撮像レンズの小型化には有利となるものの、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。また、画像周辺部においては倍率色収差が補正過剰になるため、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「−5」を下回ると、軸外光束に対する倍率色収差が補正不足になるため、この場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0039】
上記構成の撮像レンズは、第6レンズのアッベ数をν6としたとき、次の条件式(13)を満足することが望ましい。
10<ν6<40 (13)
【0040】
条件式(13)は色収差を良好に補正するための条件である。上限値「40」を超えると、軸上色収差および倍率色収差が補正不足になる。一方、下限値「10」を下回ると、軸上色収差および倍率色収差が補正過剰になる。よって、いずれの場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0041】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズと第2レンズとの間の光軸上の距離をD12、第5レンズと第6レンズとの間の光軸上の距離をD56としたとき、次の条件式(14)を満足することが望ましい。
D56<D12 (14)
【0042】
条件式(14)はバックフォーカスを確保しつつコマ収差および非点収差を良好に補正するための条件である。条件式(14)を満足しない場合には、バックフォーカスの確保が困難になる。また、非点隔差が増大するとともに軸外光束に対して外方コマ収差が増大するため、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0043】
上記構成の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第5レンズと第6レンズとの間の光軸上の距離をD56としたとき、次の条件式(15)を満足することが望ましい。
0.05<D56/f<0.35 (15)
【0044】
条件式(15)はバックフォーカスを確保しつつ色収差を良好に補正するための条件である。上限値「0.35」を超えると、色収差を補正し易くなるものの、バックフォーカスの確保が困難になる。一方、下限値「0.05」を下回ると、バックフォーカスを確保し易くなるものの、軸上色収差および倍率色収差が共に補正過剰となるため良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0045】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズの物体側の面の有効径をφ1A、第6レンズの像面側の面の有効径をφ6Bとしたとき、次の条件式(16)を満足することが望ましい。
φ1A<φ6B (16)
【0046】
最も物体側に配置された第1レンズの物体側の面は、水等の液体に晒される等、過酷な環境下に置かれることがある。従来の広角の撮像レンズでは一般的に第1レンズが大きく、例えば車載カメラとして車両に取り付けられる際には、その第1レンズの大きさが問題になることがある。また、こうした第1レンズの物体側の面には耐環境性を得るために光学薄膜が成膜されることが多い。条件式(16)を満足することにより、広角の撮像レンズでありながらも、周囲環境と接する第1レンズの露出面積を小さくすることができる。第1レンズの直径が小さくなることにより、上記光学薄膜に要するコストも抑制され、ひいては撮像レンズの製造コストが好適に抑制される。
【0047】
上記構成の撮像レンズは、第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離をLa、像面の最大像高をHmaxとしたとき、次の条件式(17)を満足することが望ましい。
0.2<La/Hmax<1.5 (17)
【0048】
薄型のスマートフォン等に内蔵される撮像レンズにおいては、限られたスペース内に撮像レンズを収納する必要があることから、撮像レンズの全長について厳しい制約が課される。また、撮像レンズの広角化に伴い、単に小型であるだけでなく、像面の大きさに対する撮像レンズの全長の比を如何に小さくするか、すなわち如何に低背化するかが重要な要素になりつつある。上記条件式(17)を満足することにより、撮像レンズの低背化が好適に図られる。なお、撮像レンズと像面との間には通常、赤外線カットフィルターやカバーガラス等の挿入物が配置されることが多いが、本明細書ではこれら挿入物の光軸上の距離については空気換算長を用いている。
【0049】
本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第6レンズまでの各レンズが、空気間隔を隔てて配列されることが望ましい。各レンズが空気間隔を隔てて配列されることにより、本発明の撮像レンズは接合レンズを一枚も含まないレンズ構成になる。このようなレンズ構成では、撮像レンズを構成する6枚のレンズの全てをプラスチック材料から形成することが容易になるため、撮像レンズの製造コストを好適に抑制することが可能となる。
【0050】
ところで、カメラの性能向上を目的として高画素の撮像素子が撮像レンズと組み合わせられることが多くなってきた。こうした高画素の撮像素子では各画素の受光面積が減少するため、撮影した画像が暗くなる傾向にある。これを補正するための方法として、電気回路を用いて撮像素子の受光感度を向上させる方法がある。しかし、受光感度が上がると画像の形成に直接寄与しないノイズ成分も増幅されてしまうため、新たにノイズ低減のための回路が必要になる。そこで、電気回路等を設けなくても十分に明るい画像を得るために、上記構成の撮像レンズにおいては、レンズ系全体の焦点距離をf、撮像レンズの入射瞳径をDepとしたとき、次の条件式(18)を満足することが望ましい。
f/Dep<2.6 (18)
【0051】
本発明の撮像レンズは、画角を2ωとしたとき、120°≦2ωを満足することが望ましい。本条件式を満足することにより、撮像レンズの広角化が図られ、撮像レンズの小型化と広角化との両立が好適に図られる。
【0052】
本発明においては、上述のようにレンズの形状を曲率半径の符号を用いて特定している。曲率半径が正か負かは一般的な定義、すなわち光の進行方向を正として、曲率半径の中心がレンズ面からみて像面側にある場合には曲率半径を正とし、物体側にある場合には曲率半径を負とする定義に従っている。よって、「曲率半径が正となる物体側の面」とは、物体側の面が凸形状であることを指し、「曲率半径が負となる物体側の面」とは、物体側の面が凹形状であることを指す。また、「曲率半径が正となる像面側の面」とは、像面側の面が凹形状であることを指し、「曲率半径が負となる像面側の面」とは、像面側の面が凸形状であることを指す。なお、本明細書での曲率半径は近軸の曲率半径を指しており、レンズ断面図におけるレンズの概形にそぐわない場合がある。
【発明の効果】
【0053】
本発明の撮像レンズによれば、諸収差が良好に補正された高い解像度を有しながらも、小型のカメラへの組込みに特に適した広角の撮像レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】数値実施例1に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図2図1に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図3図1に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図4】数値実施例2に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図5図4に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図6図4に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図7】数値実施例3に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図8図7に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図9図7に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図10】数値実施例4に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図11図10に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図12図10に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図13】数値実施例5に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図14図13に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図15図13に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図16】数値実施例6に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図17図16に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図18図16に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
図19】数値実施例7に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
図20図19に示す撮像レンズの横収差を示す収差図である。
図21図19に示す撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
図1図4図7図10図13図16、および図19は、本実施の形態の数値実施例1〜7に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。いずれの数値実施例も基本的なレンズ構成は同一であるため、ここでは数値実施例1の概略断面図を参照しながら、本実施の形態に係る撮像レンズについて説明する。
【0057】
本実施の形態に係る撮像レンズは物体側から像面側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズL1と、正の屈折力を有する第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、負の屈折力を有する第4レンズL4と、第5レンズL5と、負の屈折力を有する第6レンズL6とから構成される。第1レンズL1と第2レンズL2との間には開口絞りSTが配置される。本実施の形態に係る撮像レンズでは、第2レンズL2の物体側の面に開口絞りSTを設けている。また、第6レンズL6と撮像素子の像面IMとの間にはフィルタ10が配置される。このフィルタ10は割愛することも可能である。
【0058】
第1レンズL1はその像面側の面が凹形状となる形状に形成される。本数値実施例1に係る撮像レンズにおいて第1レンズL1は、物体側の面の曲率半径r1および像面側の面の曲率半径r2が共に正となる形状であり、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成されている。なお、当該第1レンズL1の近軸における形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第1レンズL1の形状は、曲率半径r1が負となり、曲率半径r2が正となる形状であって、近軸において両凹レンズとなる形状でもよい。数値実施例3の第1レンズL1は、近軸において両凹レンズとなる形状の例である。第1レンズL1の形状は像面側の面の曲率半径r2が正となる形状であればよい。
【0059】
第2レンズL2は、物体側の面の曲率半径r3および像面側の面の曲率半径r4が共に正となる形状であり、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成される。なお、第2レンズL2の近軸における形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。第2レンズL2の形状は、曲率半径r3が正となり、曲率半径r4が負となる形状、すなわち近軸において両凸レンズとなる形状でもよい。数値実施例3、6、および7の第2レンズL2は、近軸において両凸レンズとなる形状の例である。第2レンズL2の形状は物体側の面の曲率半径r3が正となる形状であればよい。
【0060】
第3レンズL3は、物体側の面の曲率半径r5が正となり、像面側の面の曲率半径r6が負となる形状であって、近軸において両凸レンズとなる形状に形成される。なお、第3レンズL3の近軸における形状は本数値実施例1に係る形状に限定されず、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状、または近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。
【0061】
第4レンズL4は、物体側の面の曲率半径r7および像面側の面の曲率半径r8が共に負となる形状であって、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成される。この第4レンズL4はまた、光軸Xからレンズ周辺部に向かうにつれて屈折力が強くなる形状に形成される。第4レンズL4の像面側の面は、変曲点を有する非球面形状であって、近軸において凸形状となる形状に形成されている。なお、第4レンズL4の近軸における形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。例えば、近軸において両凹レンズとなる形状や、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状でもよい。諸収差をより良好に補正する観点からは、第4レンズL4の概形が物体側に凹面を向けたメニスカス形状になることが望ましい。
【0062】
第5レンズL5は、その物体側の面が近軸において凸形状となる形状に形成されるとともに、その像面側の面が近軸において凹形状となる形状に形成される。本数値実施例1に係る撮像レンズにおいて第5レンズL5は、物体側の面の曲率半径r9および像面側の面の曲率半径r10が共に正となる形状であって、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成されている。また、当該第5レンズL5は、物体側の面および像面側の面の両面が変曲点を有する非球面形状に形成されている。なお、第5レンズL5の近軸における形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。
【0063】
第6レンズL6は、物体側の面の曲率半径r11および像面側の面の曲率半径r12が共に正となる形状であって、近軸において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成される。第6レンズL6の像面側の面は、変曲点を有する非球面形状に形成される。第6レンズL6の近軸における形状は本数値実施例1に係る形状に限定されない。数値実施例3および4の第6レンズL6は、近軸において両凹レンズとなる形状の例である。一方、数値実施例7の第6レンズL6は、近軸において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状の例である。
【0064】
本実施の形態に係る撮像レンズは、以下に示す条件式(1)〜(18)を満足する。
0<F1 (1)
0<F2 (2)
0.05<D12/f<0.8 (3)
0.5<f2/f3<3 (4)
0.3<f23/f<1.2 (5)
0.3<f23/f<1.0 (5A)
40<ν1<75 (6)
40<ν2<75 (7)
40<ν3<75 (8)
−4<f4/f<−0.4 (9)
1<φ5A/φ4B<2 (10)
0.3<|f5|/|f6|<1.5 (11)
−5<f6/f<−0.5 (12)
10<ν6<40 (13)
D56<D12 (14)
0.05<D56/f<0.35 (15)
φ1A<φ6B (16)
0.2<La/Hmax<1.5 (17)
f/Dep<2.6 (18)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f4:第4レンズL4の焦点距離
f5:第5レンズL5の焦点距離
f6:第6レンズL6の焦点距離
f23:第2レンズL2および第3レンズL3の合成焦点距離
F1:第1レンズL1〜第4レンズL4の合成焦点距離
F2:第5レンズL5および第6レンズL6の合成焦点距離
φ1A:第1レンズL1の物体側の面の有効径
φ4B:第4レンズL4の像面側の面の有効径
φ5A:第5レンズL5の物体側の面の有効径
φ6B:第6レンズL6の像面側の面の有効径
D12:第1レンズL1と第2レンズL2との間の光軸上の距離
D56:第5レンズL5と第6レンズL6との間の光軸上の距離
La:第1レンズL1の物体側の面から像面IMまでの光軸上の距離
(フィルター10は空気換算長)
ν1:第1レンズL1のアッベ数
ν2:第2レンズL2のアッベ数
ν3:第3レンズL3のアッベ数
ν6:第6レンズL6のアッベ数
Hmax:像面IMの最大像高
Dep:入射瞳径
【0065】
なお、上記各条件式の全てを満たす必要はなく、上記各条件式のそれぞれを単独に満たすことにより、各条件式に対応する作用効果をそれぞれ得ることができる。
【0066】
本実施の形態に係る撮像レンズを構成するレンズは全てプラスチック材料から形成されている。プラスチック材料は軽量であってコストも安いため、近年、スマートフォン等の携帯機器に搭載される撮像レンズのレンズ材料として使用されている。プラスチックレンズの成形過程には、溶かされたプラスチック材料が金型に流し込まれる工程が一般的である。このため、所望のレンズ形状に成形するためにはプラスチック材料の流動性が非常に重要となる。
【0067】
そこで、レンズ成形時の流動性を確保しつつ、撮像レンズの小型化と諸収差の良好な補正との両立を図るため、第4レンズL4は次の条件式を満足することが望ましい。本実施の形態に係る撮像レンズは当該条件式を満足する。
1.5<E4/T4<3
但し
T4:第4レンズL4の光軸上の厚さ
E4:第4レンズL4の物体側の面の有効径における光軸に沿ったエッジ厚さ
【0068】
本実施の形態では、第1レンズL1から第6レンズL6までの各レンズのレンズ面が必要に応じて非球面で形成されている。これら非球面の非球面式を次式に示す。
【数1】

但し、
Z:光軸方向の距離
H:光軸に直交する方向の光軸からの距離
C:近軸曲率(=1/r、r:近軸曲率半径)
k:円錐定数
An:第n次の非球面係数
【0069】
次に、本実施の形態に係る撮像レンズの数値実施例を示す。各数値実施例において、fはレンズ系全体の焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角を示す。iは物体側より数えた面番号、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、nはe線の屈折率、νはe線のアッベ数を示す。なお、*(アスタリスク)の符号が付加された面番号は非球面であることを示す。
【0070】
数値実施例1
基本的なレンズデータ
【表1】
【0071】
F1=3.529mm
F2=4.934mm
f23=1.192mm
E4=0.457mm
T4=0.251mm
φ1A=2.800mm
φ4B=1.724mm
φ5A=2.447mm
φ6B=3.383mm
La=4.632mm
Hmax=9.637mm
Dep=0.798mm
【表2】
【0072】
各条件式の値を以下に示す。
D12/f=0.380
f2/f3=1.506
f23/f=0.701
f4/f=-1.709
φ5A/φ4B=1.419
|f5|/|f6|=0.626
f6/f=-2.722
D56/f=0.184
La/Hmax=0.481
f/Dep=2.130
このように、本数値実施例1に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0073】
図2は、半画角ωに対応する横収差をタンジェンシャル方向とサジタル方向とに分けて示した収差図である(図5図8図11図14図17、および図20においても同じ)。また、図3は、球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示した収差図である。このうち非点収差図においてSはサジタル像面を、Tはタンジェンシャル像面をそれぞれ示す(図6図9図12図15図18、および図21においても同じ)。図2および図3に示されるように、本数値実施例1に係る撮像レンズによれば諸収差が良好に補正される。
【0074】
数値実施例2
基本的なレンズデータ
【表3】
【0075】
F1=3.707mm
F2=5.156mm
f23=1.201mm
E4=0.458mm
T4=0.248mm
φ1A=2.800mm
φ4B=1.735mm
φ5A=2.423mm
φ6B=3.392mm
La=4.710mm
Hmax=6.643mm
Dep=0.805mm
【表4】
【0076】
各条件式の値を以下に示す。
D12/f=0.360
f2/f3=1.501
f23/f=0.675
f4/f=-1.594
φ5A/φ4B=1.397
|f5|/|f6|=0.645
f6/f=-2.590
D56/f=0.182
La/Hmax=0.709
f/Dep=2.211
このように、本数値実施例2に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0077】
図5は半画角ωに対応する横収差を示したものであり、図6は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。図5および図6に示されるように、本数値実施例2に係る撮像レンズによっても諸収差が良好に補正される。
【0078】
数値実施例3
基本的なレンズデータ
【表5】
【0079】
F1=3.379mm
F2=17.974mm
f23=1.403mm
E4=0.396mm
T4=0.250mm
φ1A=2.800mm
φ4B=1.748mm
φ5A=2.175mm
φ6B=3.275mm
La=4.728mm
Hmax=6.161mm
Dep=0.893mm
【表6】
【0080】
各条件式の値を以下に示す。
D12/f=0.271
f2/f3=1.112
f23/f=0.626
f4/f=-1.873
φ5A/φ4B=1.244
|f5|/|f6|=1.096
f6/f=-1.537
D56/f=0.175
La/Hmax=0.767
f/Dep=2.508
このように、本数値実施例3に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0081】
図8は半画角ωに対応する横収差を示したものであり、図9は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。図8および図9に示されるように、本数値実施例3に係る撮像レンズによっても諸収差が良好に補正される。
【0082】
数値実施例4
基本的なレンズデータ
【表7】
【0083】
F1=3.667mm
F2=10.467mm
f23=1.440mm
E4=0.398mm
T4=0.250mm
φ1A=2.800mm
φ4B=1.775mm
φ5A=2.411mm
φ6B=3.361mm
La=4.728mm
Hmax=4.624mm
Dep=0.892mm
【表8】
【0084】
各条件式の値を以下に示す。
D12/f=0.300
f2/f3=1.208
f23/f=0.670
f4/f=-1.922
φ5A/φ4B=1.358
|f5|/|f6|=1.002
f6/f=-1.522
D56/f=0.211
La/Hmax=1.022
f/Dep=2.410
このように、本数値実施例4に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0085】
図11は半画角ωに対応する横収差を示したものであり、図12は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。図11および図12に示されるように、本数値実施例4に係る撮像レンズによっても諸収差が良好に補正される。
【0086】
数値実施例5
基本的なレンズデータ
【表9】
【0087】
F1=5.724mm
F2=3.550mm
f23=1.168mm
E4=0.459mm
T4=0.266mm
φ1A=2.900mm
φ4B=1.650mm
φ5A=2.200mm
φ6B=3.270mm
La=4.630mm
Hmax=10.605mm
Dep=0.824mm
【表10】
【0088】
各条件式の値を以下に示す。
D12/f=0.367
f2/f3=2.249
f23/f=0.625
f4/f=-1.011
φ5A/φ4B=1.333
|f5|/|f6|=0.547
f6/f=-2.389
D56/f=0.204
La/Hmax=0.437
f/Dep=2.269
このように、本数値実施例5に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0089】
図14は半画角ωに対応する横収差を示したものであり、図15は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。図14および図15に示されるように、本数値実施例5に係る撮像レンズによっても諸収差が良好に補正される。
【0090】
数値実施例6
基本的なレンズデータ
【表11】
【0091】
F1=3.068mm
F2=34.844mm
f23=1.211mm
E4=0.415mm
T4=0.249mm
φ1A=2.994mm
φ4B=1.764mm
φ5A=2.218mm
φ6B=3.313mm
La=4.737mm
Hmax=6.111mm
Dep=0.932mm
【表12】
【0092】
各条件式の値を以下に示す。
D12/f=0.364
f2/f3=0.763
f23/f=0.545
f4/f=-0.955
φ5A/φ4B=1.257
|f5|/|f6|=1.054
f6/f=-3.218
D56/f=0.171
La/Hmax=0.775
f/Dep=2.382
このように、本数値実施例6に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0093】
図17は半画角ωに対応する横収差を示したものであり、図18は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。図17および図18に示されるように、本数値実施例6に係る撮像レンズによっても諸収差が良好に補正される。
【0094】
数値実施例7
基本的なレンズデータ
【表13】
【0095】
F1=2.794mm
F2=15.410mm
f23=1.316mm
E4=0.459mm
T4=0.260mm
φ1A=3.046mm
φ4B=1.863mm
φ5A=2.460mm
φ6B=3.581mm
La=4.544mm
Hmax=10.364mm
Dep=0.913mm
【表14】
【0096】
各条件式の値を以下に示す。
D12/f=0.384
f2/f3=1.221
f23/f=0.723
f4/f=-2.290
φ5A/φ4B=1.320
|f5|/|f6|=1.114
f6/f=-1.610
D56/f=0.219
La/Hmax=0.438
f/Dep=1.993
このように、本数値実施例7に係る撮像レンズは上記各条件式を満足する。
【0097】
図20は半画角ωに対応する横収差を示したものであり、図21は球面収差(mm)、非点収差(mm)、および歪曲収差(%)をそれぞれ示したものである。図20および図21に示されるように、本数値実施例7に係る撮像レンズによっても諸収差が良好に補正される。
【0098】
以上説明した本実施の形態に係る撮像レンズは、120°以上の非常に広い画角(2ω)を有する。本実施の形態に係る撮像レンズによれば、従来の撮像レンズよりも小型でありながらも広い範囲を撮影することが可能となる。
【0099】
また、本実施の形態に係る撮像レンズのFnoは2.0〜2.5と小さな値になっている。本実施の形態に係る撮像レンズによれば、撮像素子においてノイズ低減用の電気回路等を設けなくても十分に明るい画像を得ることができる。
【0100】
したがって、上記実施の形態に係る撮像レンズを車載カメラ、スマートフォン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ネットワークカメラ、TV会議用カメラ、ファイバースコープ、カプセル内視鏡等の撮像光学系に適用した場合、当該カメラの高機能化と小型化の両立を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、車載カメラ、スマートフォンや携帯電話機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ネットワークカメラ、TV会議用カメラ、ファイバースコープ、カプセル内視鏡等の比較的小型のカメラに組み込まれる撮像レンズに適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
10 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21