(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6680451
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】無人飛行体用給電システムおよび無人給電車両
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20200406BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20200406BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20200406BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20200406BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20200406BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20200406BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20200406BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20200406BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20200406BHJP
B64F 3/02 20060101ALN20200406BHJP
【FI】
H02J50/20
B64C27/08
B64C39/02
B64F1/36
B64D27/24
B66F9/24 Z
H02J7/00 301D
H02J50/80
H02J50/90
!B64F3/02
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-35701(P2019-35701)
(22)【出願日】2019年2月28日
【審査請求日】2019年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】
右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−093216(JP,A)
【文献】
特開2017−088358(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0200438(US,A1)
【文献】
特表2017−517466(JP,A)
【文献】
国際公開第2018/150678(WO,A1)
【文献】
特開2017−036102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/20
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/24
B64F 1/36
B66F 9/24
H02J 7/00
H02J 50/80
H02J 50/90
B64F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役の支援を行う無人飛行体と、
前記無人飛行体のバッテリに対して給電を行う無人給電車両とを備え、
前記無人給電車両は、前記無人飛行体による荷役の支援を受けて所定の荷物を所定の荷積場所から所定の荷降場所まで搬送する荷役を行い、当該荷役を行っていない間に前記バッテリに対して無線で給電を行う
ことを特徴とする無人飛行体用給電システム。
【請求項2】
前記無人給電車両は、前記無人飛行体に追従して移動しながら前記バッテリに対して無線で給電を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の無人飛行体用給電システム。
【請求項3】
荷役の支援を行う無人飛行体のバッテリに対して給電を行う無人給電車両において、
前記無人飛行体による荷役の支援を受けて所定の荷物を所定の荷積場所から所定の荷降場所まで搬送する荷役を行い、当該荷役を行っていない間に前記バッテリに対して無線で給電を行う
ことを特徴とする無人給電車両。
【請求項4】
前記無人飛行体に追従して移動しながら前記バッテリに対して無線で給電を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の無人給電車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体に対して給電する無人飛行体用給電システムおよび無人給電車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フォークリフト等の荷役車両は、所定の荷積場所まで走行する動作、荷積場所で荷物を取る動作、荷物を支持した状態で荷積場所から所定の荷降場所まで走行する動作、および、荷降場所で荷物を置く動作を行う。
【0003】
また、荷役車両の動作を支援するように構成された小型の無人飛行体の研究開発が行われている。荷役車両の動作を支援する無人飛行体として、例えば特許文献1には、荷物を取る動作を支援するための撮像装置を備えたものが記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、荷役車両であるフォークリフト上に無人飛行体が待機するように構成し、待機中の無人飛行体のバッテリに対して給電することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−36102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の構成では、バッテリの蓄電量を回復させるためには、無人飛行体が荷役車両に着地する必要があるため、無人飛行体は長時間にわたって飛行することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、無人飛行体の稼働時間を向上できる無人飛行体用給電システムおよび無人給電車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は
、荷役の支援を行う無人飛行体と、前記無人飛行体のバッテリに対して給電を行う無人給電車両とを備え、前記無人給電車両は、
前記無人飛行体による荷役の支援を受けて所定の荷物を所定の荷積場所から所定の荷降場所まで搬送する荷役を行い、当該荷役を行っていない間に前記バッテリに対して無線で給電を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無人飛行体用給電システムにおいて、前記無人給電車両は、前記無人飛行体に追従して移動しながら前記バッテリに対して無線で給電を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、
荷役の支援を行う無人飛行体のバッテリに対して給電を行う無人給電車両において、
前記無人飛行体による荷役の支援を受けて所定の荷物を所定の荷積場所から所定の荷降場所まで搬送する荷役を行い、当該荷役を行っていない間に前記バッテリに対して無線で給電を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無人給電車両において、前記無人飛行体に追従して移動しながら前記バッテリに対して無線で給電を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無人飛行体の稼働時間を向上できる無人飛行体用給電システムおよび無人給電車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る無人飛行体用給電システムを示す概要図である。
【
図2】同実施形態に係る天井に設けられたマーカーの一例を示す模式図である。
【
図3】同実施形態に係る無人飛行体の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】同実施形態に係る無人給電車両の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、無人搬送システム1および無人飛行体用給電システム2の概略構成を示している。
図1に示すように、無人搬送システム1は、少なくとも1台の無人搬送車両10(以下、「搬送車両10」)と、複数台のドローン30と、少なくとも1台の無人給電車両50(以下、「給電車両50」)とにより構成されている。また、無人飛行体用給電システム2は、ドローン30と給電車両50とにより構成されている。
【0015】
搬送車両10は、フォークFとレーザースキャナSとを備えたレーザー誘導式無人フォークリフトであって、所定の荷物を所定の荷積場所から所定の荷降場所まで搬送する荷役を行う荷役車両である。レーザースキャナSは、レーザーを水平に360°回転しながら送信し、反射板Rで反射されたレーザーを受信する。搬送車両10は、レーザースキャナSによるレーザーの受信結果に基づいて、レーザーを反射した3つ以上の反射板Rを認識し、レーザースキャナSから反射板Rまでの距離と反射板Rの方角(方位)とを算出する。また、搬送車両10は、ドローン30と無線で通信し、ドローン30の位置情報を受信する。そして、搬送車両10は、反射板Rまでの距離および反射板Rの方角の算出結果と、その反射板Rを備えているドローン30の位置情報とに基づいて、屋内における搬送車両10の位置を推定し、搬送車両10の位置の推定結果(搬送車両10の位置情報)に基づいて、所定の経路に沿って移動する。
【0016】
ドローン30は、搬送車両10による荷役の支援を行う無人飛行体であり、内部電源としてのバッテリ31(
図3参照)を備えている。ドローン30は、レーザーを反射する反射板Rを備えており、反射板Rが所定の高さに配置されるように、所定の高さを維持しながら飛行する。また、ドローン30は、天井Cに設けられたマーカーM(
図2参照)を撮影するカメラ(図示略)を備えており、マーカーMの認識結果に基づいて、ドローン30の位置を推定し、ドローン30の位置の推定結果(ドローン30の位置情報)を送信する。ドローン30の詳しい構成は、
図3を参照して説明する。
【0017】
給電車両50は、搬送車両10と同様にフォークFを備えた画像認識方式の無人フォークリフトであり、かつ、ドローン30のバッテリ31に対して給電を行う車両である。すなわち、給電車両50は、荷役車両である無人搬送車両を兼ねており、所定の荷物を所定の荷積場所から所定の荷降場所まで搬送する荷役を行う。そして、給電車両50は、荷役を行っていない間は、ドローン30に追従して移動するとともに、当該ドローン30のバッテリ31に対して無線で給電する。給電車両50は、天井Cに設けられたマーカーM(
図2参照)を撮影するカメラ(図示略)を備えており、マーカーMの認識結果に基づいて、給電車両50の位置を推定し、給電車両50の位置の推定結果(給電車両50の位置情報)を送信する。給電車両50の詳しい構成は、
図4を参照して説明する。
【0018】
図2は、天井Cに設けられたマーカーMの一例を示している。
図2に示すように、複数のマーカーMは、直交するX方向およびY方向において、互いに間隔をあけて設けられており、異なる形状(外形)および模様を有している。すなわち、屋内における位置に応じてマーカーMの各々は特徴を有しており、各マーカーMは、屋内における位置情報を示している。
【0019】
図3は、ドローン30の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ドローン30は、バッテリ31と、受電部32と、飛行体位置推定部33と、無線通信部34と、飛行制御部35とを備えている。
【0020】
バッテリ31は、充電可能な二次電池により構成されており、ドローン30の各部に電力を供給する。バッテリ31の蓄電量は、ドローン30の各部へ電力を供給することによって減り、給電車両50から供給された電力を蓄えることによって増える。
【0021】
受電部32は、給電車両50から送られたマイクロ波を受けるレクテナ(図示略)と、当該レクテナで受けたマイクロ波を直流電流に変換してバッテリ31に供給する回路(図示略)とにより構成されている。すなわち、受電部32は、給電車両50から無線により供給された電力を受電する。
【0022】
飛行体位置推定部33は、ドローン30の上方の撮影結果に基づいて、ドローン30の上方に位置するマーカーMを認識し、そのマーカーMの特徴的情報(例えば形状、模様、周囲の他のマーカーMまでの距離等)に基づいて、屋内におけるドローン30の位置を推定する。
【0023】
無線通信部34は、搬送車両10および給電車両50と無線で通信し、各種の情報を送受信する。具体的には、例えば、無線通信部34は、ドローン30の位置の推定結果をドローン30の位置情報として搬送車両10および給電車両50に送信し、バッテリ31の蓄電量の情報を給電車両50に送信する。また、ドローン30が備える無線通信部34は、他のドローン30と無線で通信し、ドローン30の位置の推定結果をドローン30の位置情報として他のドローン30に送信し、他のドローン30の位置情報を受信する。
【0024】
飛行制御部35は、ドローン30の位置の推定結果と、他のドローン30の位置情報とに基づいて、ドローン30の飛行を制御する。具体的には、飛行制御部35は、ドローン30同士が衝突しないようにドローン30を制御する。
【0025】
図4は、給電車両50の概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、給電車両50は、給電部51と、車両位置推定部52と、無線通信部53と、荷役情報記憶部54と、走行制御部55とを備えている。
【0026】
給電部51は、マイクロ波を送る送電アンテナ(図示略)により構成されており、バッテリ31に対して無線により給電する。給電部51は、給電車両50が荷役を行っていないときに、バッテリ31の蓄電量が所定量(例えば最大蓄電量の20%)未満になっているドローン30に向けてマイクロ波による送電を開始し、バッテリ31の蓄電量が所定量(例えば最大蓄電量の90%)以上になったときに送電を停止する。
【0027】
車両位置推定部52は、給電車両50の上方の撮影結果に基づいて、給電車両50の上方に位置するマーカーMを認識し、そのマーカーMの特徴的情報(例えば形状、模様、周囲の他のマーカーMまでの距離等)に基づいて、屋内における給電車両50の位置を推定する。
【0028】
無線通信部53は、ドローン30と無線で通信し、各種の情報を送受信する。具体的には、例えば、無線通信部53は、ドローン30の位置情報およびバッテリ31の蓄電量の情報を受信する。また、無線通信部53は、管理装置(図示略)と無線で通信し、各種の情報を送受信する。具体的には、例えば、無線通信部53は、給電車両50が行う荷役の情報である荷役スケジュールを受信し、当該荷役スケジュールの進捗状況を管理装置に送信する。
【0029】
荷役情報記憶部54は、管理装置から受信した荷役スケジュールを記憶するメモリにより構成されている。荷役スケジュールには、荷積場所および荷降場所の情報が含まれている。
【0030】
走行制御部55は、給電車両50の位置の推定結果と荷役スケジュールとに基づいて、荷役を行うように給電車両50の走行を制御する。具体的には、走行制御部55は、荷物を取るために荷積場所まで移動し、荷物を取る動作を完了するまで荷積場所で待機し、荷物を支持した状態で荷積場所から荷降場所まで移動し、荷物を置く動作を完了するまで荷降場所で待機するように給電車両50を制御する。
【0031】
また、走行制御部55は、荷役スケジュールに含まれる荷役を給電車両50が完了しているときには、給電車両50の位置の推定結果とドローン30の位置情報とに基づいて、バッテリ31に給電するために給電車両50の走行を制御する。具体的には、走行制御部55は、給電対象のバッテリ31を備えたドローン30に追従して移動するように給電車両50を制御する。
【0032】
本実施形態においては以下の効果が得られる。
(1)給電車両50は、荷物を荷積場所から荷降場所まで搬送する荷役を行い、当該荷役を行っていない間にドローン30のバッテリ31に対して無線で給電を行う。この構成によれば、飛行中のドローン30のバッテリ31の蓄電量を回復させることができるため、ドローン30の稼働時間を向上できる。また、給電車両50は、荷役を行う荷役車両を兼ねているため、給電車両50が荷役を行わない構成に比べて、荷役の作業効率を向上できる。
【0033】
(2)給電車両50は、ドローン30に追従して移動するため、移動中のドローン30の近傍からマイクロ波を送ることができ、より効率良く給電できる。
【0034】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を適宜組み合わせてもよい。
【0035】
・マーカーMを天井C以外の場所に設けてもよい。また、飛行体位置推定部33がGPSを用いてドローン30の位置を推定するように構成してもよい。同様に、車両位置推定部52がGPSを用いて給電車両50の位置を推定するように構成してもよい。すなわち、ドローン30の位置を推定することができるのであれば、飛行体位置推定部33を適宜変更してもよく、給電車両50の位置を推定することができるのであれば、車両位置推定部52を適宜変更してもよい。
【0036】
・搬送車両10に代えて、レーザー誘導式無人フォークリフト以外の荷役車両を採用してもよい。すなわち、荷役車両は、例えば、フォークF以外の移載装置を備えた無人搬送車両や、移載装置を備えていない無人搬送車両であってもよく、磁気誘導式または画像認識方式の無人搬送車両であってもよい。同様に、無人給電車両として、無人フォークリフト以外の荷役車両を採用してもよく、無人給電車両は、画像認識方式以外の無人搬送車両であってもよい。
【0037】
・ドローン30によって荷役の支援を受ける搬送車両10が、給電車両50の機能を備えていてもよい。すなわち、無人給電車両は、この無人給電車両による荷役を支援するドローン30のバッテリ31に対して給電を行ってもよい。
【0038】
・ドローン30に代えて、荷役を行うドローンを採用してもよい。すなわち、無人飛行体が荷役の支援を行うのではなく、無人飛行体自身が荷役を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 無人搬送システム
2 無人飛行体用給電システム
10 無人搬送車両
30 ドローン(無人飛行体)
31 バッテリ
50 無人給電車両
【要約】
【課題】無人飛行体の稼働時間を向上できる無人飛行体用給電システムおよび無人給電車両を提供する。
【解決手段】無人飛行体用給電システム2は、無人飛行体であるドローン30と、ドローン30のバッテリに対して給電を行う無人給電車両50とを備える。無人給電車両50は、所定の荷物を所定の荷積場所から所定の荷降場所まで搬送する荷役を行い、当該荷役を行っていない間にバッテリに対して無線で給電を行う。
【選択図】
図1