特許第6680558号(P6680558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6680558
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】チューブ・ジョイント組み付け治具
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/10 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   B25B27/10 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-26448(P2016-26448)
(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公開番号】特開2017-144499(P2017-144499A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】507369936
【氏名又は名称】ホンダ太陽株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(72)【発明者】
【氏名】藤内 芳郎
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02634858(FR,A1)
【文献】 特開平10−264050(JP,A)
【文献】 独国実用新案第29909883(DE,U1)
【文献】 国際公開第2009/069754(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02506670(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/10
F16L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者によってセットされたチューブをクランプするチューブクランプ部と、前記チューブクランプ部に対向して配置されると共に、前記チューブに組み付けられるジョイントが作業者によってセットされたとき、前記ジョイントを前記チューブの軸芯と同軸にクランプするジョイントクランプ部と、前記チューブクランプ部と前記ジョイントクランプ部の少なくともいずれかを前記チューブの軸芯方向に相対移動させ、よって前記チューブの端部に前記ジョイントを圧入して組み付ける組み付け手段とを備えたチューブ・ジョイント組み付け治具において、前記チューブクランプ部は前記チューブの前記端部を保持あるいは開放するように動作可能なチューブ端保持部を備えると共に、前記組み付け手段は、前記チューブが前記チューブクランプ部に作業者によって前記ジョイントに当接するようにセットされたとき、前記セットされたチューブの前記端部を圧入の直前まで保持する一方、前記端部に前記ジョイントを圧入するとき、前記端部を開放するように前記チューブ端保持部の動作を制御すると共に、前記チューブを固定するように前記チューブクランプ部の動作を制御することを特徴とするチューブ・ジョイント組み付け治具。
【請求項2】
前記チューブ端保持部は、クランプ力を供給されるとき、前記チューブの前記端部を保持する一方、前記クランプ力の供給が停止されるとき、前記チューブの前記端部を開放するように動作可能であると共に、前記組み付け手段は、前記チューブが前記チューブクランプ部にセットされたとき、前記クランプ力を供給して前記セットされたチューブの前記端部を圧入の直前まで保持する一方、前記端部に前記ジョイントを圧入するとき、前記クランプ力の供給を停止して前記端部を開放するように前記チューブ端保持部の動作を制御することを特徴とする請求項1記載のチューブ・ジョイント組み付け治具。
【請求項3】
前記組み付け手段は、前記チューブの前記端部が前記ジョイントクランプ部にセットされたジョイントに当接するように前記チューブクランプ部にセットされたとき、前記クランプ力を供給して前記端部を保持する一方、前記端部に前記ジョイントを圧入するとき、前記クランプ力の供給を停止して前記端部を開放するように前記チューブ端保持部の動作を制御することを特徴とする請求項2記載のチューブ・ジョイント組み付け治具。
【請求項4】
前記ジョイントクランプ部は、前記チューブクランプ部に対向する側に前記ジョイントの形状に相応する形状の凹部が穿設されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のチューブ・ジョイント組み付け治具。
【請求項5】
前記チューブクランプ部と前記ジョイントクランプ部は、クランプ力を付与されるとき、前記セットされたチューブとジョイントとをクランプ可能であると共に、前記組み付け手段は、前記チューブクランプ部と前記ジョイントクランプ部に前記チューブとジョイントがセットされたことを検出する検出手段を備え、前記検出手段によって前記チューブクランプ部と前記ジョイントクランプ部に前記チューブとジョイントがセットされたことが検出されたとき、前記クランプ力を付与して前記セットされたチューブと前記ジョイントをクランプさせることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のチューブ・ジョイント組み付け治具。
【請求項6】
前記組み付け手段は、前記検出手段によって前記ジョイントクランプ部に前記ジョイントがセットされたことが検出されてから所定時間が経過したとき、前記クランプ力を付与して前記セットされたジョイントをクランプさせることを特徴とする請求項5記載のチューブ・ジョイント組み付け治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はチューブ・ジョイント組み付け治具に関し、より具体的にはチューブの端部にジョイントを圧入して組み付けるための治具に関する。
【背景技術】
【0002】
チューブ・ジョイント組み付け治具としては、特許文献1,2記載の技術が知られている。特許文献1記載の技術は、セットされたチューブをクランプするチューブクランプ部と、それに対向して配置されると共に、チューブに組み付けられるジョイント(継ぎ手)がセットされたとき、ジョイントをチューブの軸芯と同軸にクランプするジョイントクランプ部とを備えると共に、作業者の手動操作を介してジョイントクランプ部をチューブクランプ部に向けて相対移動させ、よってチューブの端部にジョイントを圧入して組み付けるように構成している。
【0003】
特許文献2記載の技術も同様に、チューブクランプ部とジョイントクランプ部とを備え、作業者の手動操作を介してチューブクランプ部をジョイントクランプ部に向けて相対移動させてチューブの端部にジョイントを圧入して組み付けると共に、組み付けるとき、チューブの内部にエアを供給してチューブを拡径させるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−139054号公報
【特許文献2】特開2014−079825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2記載の技術では、チューブが比較的硬い素材から製作される場合、チューブとジョイントを組み付けるときに位置ずれを生じて作業効率が低下する不都合があった。また、両手の使用に支障のある作業者にとって片手で作業するのが困難であった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、チューブが比較的硬い素材から製作される場合であってもジョイントを容易に組み付けることができて作業効率を向上させると共に、作業者が片手でも作業可能なようにしたチューブ・ジョイント組み付け治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、作業者によってセットされたチューブをクランプするチューブクランプ部と、前記チューブクランプ部に対向して配置されると共に、前記チューブに組み付けられるジョイントが作業者によってセットされたとき、前記ジョイントを前記チューブの軸芯と同軸にクランプするジョイントクランプ部と、前記チューブクランプ部と前記ジョイントクランプ部の少なくともいずれかを前記チューブの軸芯方向に相対移動させ、よって前記チューブの端部に前記ジョイントを圧入して組み付ける組み付け手段とを備えたチューブ・ジョイント組み付け治具において、前記チューブクランプ部は前記チューブの前記端部を保持あるいは開放するように動作可能なチューブ端保持部を備えると共に、前記組み付け手段は、前記チューブが前記チューブクランプ部に作業者によって前記ジョイントに当接するようにセットされたとき、前記セットされたチューブの前記端部を圧入の直前まで保持する一方、前記端部に前記ジョイントを圧入するとき、前記端部を開放するように前記チューブ端保持部の動作を制御すると共に、前記チューブを固定するように前記チューブクランプ部の動作を制御する如く構成した。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係るチューブ・ジョイント組み付け治具にあっては、作業者によってセットされたチューブのジョイントが圧入される端部を保持あるいは開放するように動作可能なチューブ端保持部を備えると共に、チューブがチューブクランプ部に作業者によって前記ジョイントに当接するようにセットされたとき、セットされたチューブの端部を圧入の直前まで保持する一方、端部にジョイントを圧入するとき、端部を開放する前記端部を開放するように前記チューブ端保持部の動作を制御すると共に、前記チューブを固定するように前記チューブクランプ部の動作を制御する如く構成したので、圧入の直前までチューブの圧入される端部を確実に保持することができ、チューブが比較的硬い素材から製作される場合であっても、チューブクランプ部においてチューブに位置ずれを生じることがなくクランプすることができ、よってジョイントを容易に組み付けることができて作業効率を向上させることができる。
【0009】
また、チューブクランプ部とジョイントクランプ部の少なくともいずれかを相対移動させてチューブの端部にジョイントを圧入して組み付ける組み付け手段を備えることで、クランプ部の移動などに作業者の手動操作を必要とせず、さらにチューブのジョイントが圧入される端部を保持あるいは開放するように動作可能なチューブ端保持部を備えることで、両手の使用に支障がある作業者でも片手で容易に作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施形態に係るチューブ・ジョイント組み付け治具を全体的に示す概略図である。
図2図1に示すチューブ・ジョイント組み付け治具の平面図である。
図3図1に示すチューブ・ジョイント組み付け治具が対象とするチューブとジョイントの説明図である。
図4図1に示すチューブ・ジョイント組み付け治具の動作を示すフロー・チャートである。
図5図4フロー・チャートの動作を説明するチューブ・ジョイント組み付け治具の平面図である。
図6】同様に図4フロー・チャートの動作を説明するチューブ・ジョイント組み付け治具の平面図である。
図7】同様に図4フロー・チャートの動作を説明するチューブ・ジョイント組み付け治具の平面図である。
図8】同様に図4フロー・チャートの動作を説明するチューブ・ジョイント組み付け治具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に即してこの発明に係るチューブ・ジョイント組み付け治具を実施するための形態について説明する。
【0012】
図1はこの発明の実施形態に係るチューブ・ジョイント組み付け治具を全体的に示す概略図、図2はその平面図、図3図1に示すチューブ・ジョイント組み付け治具が対象とするチューブとジョイントの説明図である。
【0013】
図示の如く、この発明の実施形態に係るチューブ・ジョイント組み付け治具(以下「治具」という)1は、プラットフォーム10の上に設置され、作業者によってセット(投入)されたチューブ12をクランプするチューブクランプ部14と、チューブクランプ部14に対向して配置されると共に、チューブ12に組み付けられるジョイント16が作業者によってセットされたとき、ジョイント16をチューブ12の軸芯と同軸にクランプするジョイントクランプ部20と、チューブクランプ部14とジョイントクランプ部20の少なくともいずれか、より具体的にはジョイントクランプ部20をチューブ12の軸芯方向に相対移動させ、よってチューブ12の端部12a、より具体的にはその先端12a1にジョイント16を圧入して組み付ける組み付け手段22とを備える。
【0014】
図3に示す如く、チューブ12は軸芯12bを有する中空の管からなり、この実施形態では比較的硬い素材、例えばゴムなどの素材から製作される。ジョイント16はL字状を呈し、チューブ12の端部12a、より具体的にはその先端12a1に圧入されると共に、軸芯16a1を有する管16aと、管16aにジョイント部16bを介して大略直角に接続される管16cとを備える。ジョイント16は比較的硬い素材、例えば樹脂などから製作される。
【0015】
組み付け手段22は、プラットフォーム10上に設置されるスライドシリンダ22aと、エア供給源22bと、エア供給源22bから送られるエアをスライドシリンダ22aに供給あるいは供給停止するエア供給回路22cと、エア供給回路22cの動作を制御するECU(Electronic Control Unit。電子制御ユニット)22dを備える。ECU22dはCPU,ROM,RAM,I/Oなどを備えたマイクロコンピュータを備える。
【0016】
スライドシリンダ22aはエア供給源22bからエア供給回路22cを介してエアを供給されるとき、対向して配置されるチューブクランプ部14にクランプされるチューブ12の軸芯12bの方向に移動すると共に、エアの供給を停止されるとき、適宜な復帰手段(図示せず)を介して初期位置(図1,2に示す位置)に復帰するように構成される。
【0017】
ジョイントクランプ部20は、スライドシリンダ22aの上に設置されるベース20aに取り付けられると共に、クランプされるジョイント16の管16aの軸芯16a1の延長線を境として平面視において左右両側に分割されて相互変位可能なクランプ片20b,20cを備える。クランプ片20b,20cの間には空隙20dが形成される。
【0018】
ジョイントクランプ部20は、作業者によってジョイント16がクランプ片20b,20cの間の空隙20dにセットされたとき、クランプ片20b,20cを相互に接近させてジョイント16、より具体的にはその管16aの軸芯16a1を、後でチューブ12がセットとされるとき、その軸芯12bと同軸にクランプするように構成される。
【0019】
図示は省略するが、ジョイントクランプ部20はエア供給回路22cを介してエア供給源22bに接続され、ECU22dによってエア供給源22bからエア供給回路22cを介してエア(クランプ力)を供給されるとき、クランプ片20b,20cを変位させて作業者によって空隙20dにセットされたジョイント16を両側から押圧してクランプ(固定)すると共に、エアの供給を停止されるとき、適宜な復帰手段(図示せず)を介してクランプ片20b,20cを初期位置(図2に示す位置)に復帰するようにベース20aに取り付けられる。
【0020】
ジョイントクランプ部20は、図2に良く示す如く、チューブクランプ部14に対向する側において空隙20dを形成するクランプ片20b,20cにジョイント16の形状に相応する形状の凹部20eが穿設され、作業者がジョイント16を空隙20dにセットするときの作業を容易にすると共に、両側からクランプ片20b,20cで押圧してクランプするとき、ジョイント16の管16aの軸芯16a1をチューブ12の軸芯12bと同軸に確実にクランプするように構成される。
【0021】
チューブクランプ部14は、プラットフォーム10の上に設置されたベース14aと、ベース14aに隣接して同様にプラットフォーム10の上に設置されたチューブ受け部14bを備える。
【0022】
チューブ受け部14bはチューブクランプ部14の空隙14eに連通する固定幅の溝14b1を有し、作業者がチューブ12をチューブクランプ部14の空隙14eとチューブ受け部14bの溝14b1にセット可能なように構成される。
【0023】
チューブクランプ部14は、クランプされるチューブ12の軸芯12bを境として平面視において左右両側に分割されて相互変位可能なクランプ片14c,14dを備えるように構成される。
【0024】
図示は省略するが、チューブクランプ部14もエア供給回路22cを介してエア供給源22bに接続され、ECU22dによってエア供給源22bからエア供給回路22cを介してエア(クランプ力)を供給されるとき、クランプ片14c,14dを変位させて作業者によって空隙14eにセットされたチューブ12を両側から押圧してクランプ(固定)すると共に、エアの供給を停止されるとき、適宜な復帰手段(図示せず)を介してクランプ片14c,14dを初期位置(図2に示す位置)に復帰するようにベース14aに取り付けられる。
【0025】
また、チューブクランプ部14は、チューブ12の端部12aを保持あるいは開放するように動作可能なチューブ端保持部24を備える。
【0026】
チューブ端保持部24は、チューブクランプ部14に隣接してプラットフォーム10の上に設置されたベース14aに取り付けられると共に、チューブクランプ部14と同様、保持されるチューブ12の軸芯12bを境として平面視において左右両側に分割されて相互変位可能な保持片24a,24bを備え、作業者によってチューブ12が保持片24a,24bの間に形成される空隙24cにセットされたとき、保持片24a,24bを相互に接近させてチューブ12、より具体的にはその端部12aを保持するように構成される。
【0027】
チューブ端保持部24の空隙24cはチューブクランプ部14の空隙14eとチューブ受け部14bの溝14b1と連通し、作業者がチューブ12をチューブクランプ部14にセットするとき、チューブ12を空隙24cとチューブクランプ部14の空隙14eとチューブ受け部14bの溝14b1に収容するように構成される。
【0028】
図示は省略するが、チューブ端保持部24もエア供給回路22cを介してエア供給源22bに接続され、ECU22dによってエア供給源22bからエア供給回路22cを介してエアを供給されるとき、保持片24a,24bを変位させて作業者によって空隙24cにセットされたチューブ12の端部12aを両側から押圧してクランプすると共に、エアの供給を停止されるとき、適宜な復帰手段(図示せず)を介してクランプ片20b,20cを初期位置(図2に示す位置)に復帰するようにベース14aに取り付けられる。
【0029】
尚、チューブ端保持部24の空隙24cの閉じ幅(チューブ12をガイドするときの保持片24a,24bの離間距離)は、チューブ端保持部24を圧入時のチューブ12のガイドとして機能させるため、チューブ12の外径よりも僅かに大きい程度とする。
【0030】
他方、チューブクランプ部14の空隙14eの閉じ幅(チューブ12を両側から押圧してクランプするときのクランプ片14c,14dの離間距離)は、チューブクランプ部14を圧入時のチューブ12をガイド、即ち、クランプすることで固定してガイドする手段として機能させるため、チューブ12の外径よりも僅かに小さい程度とする。
【0031】
図1の説明に戻ると、チューブクランプ部14のチューブ受け部14bの溝14b1と、ジョイントクランプ部20の空隙20dには発光素子と受光素子を備える光センサ(検出手段)30がそれぞれ配置される。
【0032】
光センサ30は、発光素子から受光素子に向けて投光された光が作業者によってセットされたチューブ12あるいはジョイント16によって遮断されるとき、オン信号(チューブ12あるいはジョイント16がセットされたことを示す)を出力すると共に、それ以外のときはオフ信号を出力する。
【0033】
光センサ30の出力(信号)は前記したECU22dに送出される。ECU22dは光センサ30の出力に基づき、上記したようにエア供給回路22cの動作を制御してチューブクランプ部14とジョイントクランプ部20とチューブ端保持部24とスライドシリンダ22aの動作を制御する。
【0034】
次いで、図4フロー・チャートを参照して図1などに示すこの実施形態に係る治具1の動作を説明する。この動作は具体的にはECU22dの行う動作(処理)である。
【0035】
図示のプログラムは作業者によってメインスイッチ(図1で図示省略)がオンされると共に、ECU22dに動作電源が供給されると処理が開始される。
【0036】
以下説明すると、S10において光センサ30の出力に基づき、作業者によってジョイント16がジョイントクランプ部20にセット(投入)されたか否か判断する。
【0037】
S10で否定されるときは上記した判断を繰り返す一方、肯定されるときはS12に進み、所定時間(例えば1.0sec)が経過したか、即ち、ジョイントクランプ部20にジョイント16がセットされたことが検出されてから所定時間が経過したか否か判断する。
【0038】
S12で否定されるときは上記した判断を繰り返す一方、肯定されるときはS14に進み、ジョイントクランプ部20を作動させる。即ち、光センサ30によってジョイントクランプ部20にジョイント16がセットされたことが検出されてから所定時間が経過したとき、エアを付与してセットされたジョイント16をクランプさせる。
【0039】
図5はS10の処理、図6はS12からS14までの処理のときの治具1の状態を示す平面図である。
【0040】
前記した如く、ジョイントクランプ部20はチューブクランプ部14に対向する側の空隙20dを形成するクランプ片20b,20cにジョイント16の形状に相応する形状の凹部20eが穿設されることから、作業者のジョイント16を空隙20d(凹部20e)にセットするときの作業が容易にされると共に、ジョイント16を所期の位置で確実にクランプすることができる。
【0041】
図4フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS16に進み、光センサ30の出力に基づき、作業者によってチューブ12がチューブクランプ部14にセットされたか否か判断する。図7はS16(および後述のS18)の処理のときの治具1の状態を示す平面図である。
【0042】
作業者は、図7に示す如く、チューブ12をチューブクランプ部14にセットするとき、チューブ12の端部12a、より具体的にはその先端12a1がジョイントクランプ部20にセットされたジョイント16に当接するようにセットし、よって続いて行われるチューブ12への圧入が容易かつ確実となるように作業指示される。
【0043】
S16で否定されるときは上記した判断を繰り返す一方、肯定されるときはS18に進み、チューブ端保持部24を保持側に作動させる。即ち、(作業者によって)チューブ12の端部12aがジョイントクランプ部20にセットされたジョイント16に当接するようにチューブクランプ部14にセットされたとき、エア(クランプ力)を供給してチューブ12の端部12aを保持する。
【0044】
図4フロー・チャートにあっては次いでS20に進み、エアの供給を停止してチューブ端保持部24を開放側に作動させると共に、エアを供給してチューブクランプ部14を作動させつつ、スライドシリンダ22aにエアを供給してジョイントクランプ部20をチューブクランプ部14に向けて移動させ、チューブ12の端部12a、より具体的にはその先端12a1にジョイント16の管16aを圧入する。
【0045】
図8はS20の処理のときの治具1の状態を示す平面図である。
【0046】
次いでS22に進み、光センサ30の出力に基づき、チューブ12にジョイント16が圧入されることで製作されるチューブ・ジョイント組み付け体がチューブクランプ部14とジョイントクランプ部20から作業者によって取り出されたか否か判断する。
【0047】
S22で否定されるときは上記した判断を繰り返す一方、肯定されるときはプログラムを終了する。
【0048】
上記した如く、この実施形態にあっては、作業者によってセットされたチューブ12をクランプするチューブクランプ部14と、前記チューブクランプ部14に対向して配置されると共に、前記チューブ12に組み付けられるジョイント16が作業者によってセットされたとき、前記ジョイント16を前記チューブ12の軸芯12bと同軸にクランプするジョイントクランプ部20と、前記チューブクランプ部14と前記ジョイントクランプ部20の少なくともいずれか、具体的にはジョイントクランプ部20を前記チューブ12の軸芯方向(軸芯12bの方向)に相対移動させ、よって前記チューブ12の端部12a、より具体的にはその先端12a1に前記ジョイント16を圧入して組み付ける組み付け手段(スライドシリンダ22a、エア供給源22b、エア供給回路22c、ECU22d)とを備えたチューブ・ジョイント組み付け治具1において、前記チューブクランプ部14は前記チューブ12の前記端部12aを保持あるいは開放するように動作可能なチューブ端保持部24を備えると共に、前記組み付け手段は、前記チューブ12が前記チューブクランプ部14に作業者によって前記ジョイントに当接するようにセットされたとき、前記セットされたチューブ12の前記端部12aを圧入の直前まで保持する一方、前記端部12aに前記ジョイント16を圧入するとき、前記端部12aを開放するように前記チューブ端保持部24の動作を制御すると共に、前記チューブ12を固定するように前記チューブクランプ部の動作を制御する(S10からS20)如く構成した。

【0049】
これにより、圧入の直前までチューブ12の圧入される端部12aを確実に保持することができ、チューブ12が比較的硬い素材から製作される場合であっても、チューブクランプ部14においてチューブ12に位置ずれを生じることがなくクランプすることができ、よってジョイント16を容易に組み付けることができて作業効率を向上させることができる。
【0050】
また、チューブクランプ部14とジョイントクランプ部20の少なくともいずれかを相対移動させてチューブ12の端部12aにジョイント16を圧入して組み付けるスライドシリンダ22aなどの組み付け手段22を備えることで、チューブクランプ部14、ジョイントクランプ部20などの移動などに作業者の手動操作を必要とせず、さらにチューブ12のジョイント16が圧入される端部12aを保持あるいは開放するように動作可能なチューブ端保持部24を備えることで、両手の使用に支障がある作業者でも片手で容易に作業することができる。
【0051】
また、前記チューブ端保持部24は、クランプ力(エア)を供給されるとき、前記チューブ12の前記端部12aを保持する一方、前記クランプ力の供給が停止されるとき、前記チューブ12の前記端部12aを開放するように動作可能であると共に、前記組み付け手段は、前記チューブ12が前記チューブクランプ部14にセットされたとき、前記クランプ力を供給して前記セットされたチューブ12の前記端部12aを保持する一方、前記端部12aに前記ジョイント16を圧入するとき、前記クランプ力の供給を停止して前記端部12aを開放するように前記チューブ端保持部24の動作を制御する如く構成したので、圧入の直前までチューブ12の圧入される端部12aを一層確実に保持でき、チューブ12が比較的硬い素材から製作される場合であっても、チューブ12に位置ずれを生じることがなくクランプすることができ、よって作業効率を向上させることができる。
【0052】
また、前記組み付け手段は、前記チューブ12の前記端部12aが前記ジョイントクランプ部20にセットされたジョイント16に当接するように前記チューブクランプ部14にセットされたとき、前記クランプ力(エア)を供給して前記端部12aを保持する一方、前記端部12aに前記ジョイント16を圧入するとき、前記クランプ力の供給を停止して前記端部12aを開放するように前記チューブ端保持部24の動作を制御する如く構成したので、チューブ12が比較的硬い素材から製作される場合であっても、チューブ12に位置ずれを生じることがなくクランプすることができ、作業効率を向上させることができる。
【0053】
また、前記ジョイントクランプ部20は、前記チューブクランプ部14に対向する側に前記ジョイント16の形状に相応する形状の凹部が穿設される如く構成したので、上記した効果に加え、作業者がジョイント16を空隙20dにセットするときの作業を容易にすると共に、両側からクランプ片20b,20cで押圧してクランプするとき、ジョイント16の管16aの軸芯16a1をチューブ12の軸芯12bと同軸に確実にクランプすることができる。
【0054】
また、前記チューブクランプ部14と前記ジョイントクランプ部20は、クランプ力を付与されるとき、前記セットされたチューブ12とジョイント16とをクランプ可能であると共に、前記組み付け手段は、前記チューブクランプ部14と前記ジョイントクランプ部20に前記チューブ12とジョイント16がセットされたことを検出する検出手段(光センサ)30を備え、前記検出手段によって前記チューブクランプ部14と前記ジョイントクランプ部20に前記チューブ12とジョイント16がセットされたことが検出されたとき、前記クランプ力を付与して前記セットされたチューブ12と前記ジョイント16をクランプさせる(S10からS20)如く構成したので、上記した効果に加え、チューブ12にジョイント16を精度良くかつ確実に圧入することができ、よって作業効率を向上させることができる。
【0055】
また、前記組み付け手段は、前記検出手段(光センサ)30によって前記ジョイントクランプ部20に前記ジョイント16がセットされたことが検出されてから所定時間が経過したとき、前記クランプ力を付与して前記セットされたジョイント16をクランプさせる(S10からS12)如く構成したので、上記した効果に加え、チューブ12にジョイント16を一層精度良くかつ確実に圧入することができ、よって作業効率を向上させることができる。
【0056】
尚、上記においてスライドシリンダ22aあるいはチューブクランプ部14などの駆動源としてエアを用いたが、それに限定されるものではなく、例えば電気、油圧などを用いても良い。
【0057】
また、チューブクランプ部14とジョイントクランプ部20のうち、ジョイントクランプ部20を移動させるようにしたが、チューブクランプ部14を移動させるようにしても良い。
【0058】
また、チューブ12とジョイント16の形状あるいは素材は例示であって、それに限定されるものでないことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 チューブ・ジョイント組み付け治具(治具)、10 プラットフォーム、12 チューブ、12a 端部、12a1 先端、12b 軸芯、14 チューブクランプ部、14a ベース、14b チューブ受け部、14c,14d クランプ片、14e 空隙、16 ジョイント、16a 管、16a1 軸芯、16b ジョイント部、16c 管、20 ジョイントクランプ部、22 組み付け手段(22a スライドシリンダ、22b エア供給源、22c エア供給回路、22d ECU)、24 チューブ端保持部、24a,24b 保持片、24c 空隙、30 検出手段(光センサ)
図1
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図8