特許第6680604号(P6680604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6680604
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】車両用シェード装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/00 20060101AFI20200406BHJP
   B60Q 3/208 20170101ALI20200406BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20200406BHJP
   B60Q 3/57 20170101ALI20200406BHJP
   B60Q 3/60 20170101ALI20200406BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20200406BHJP
   B60Q 3/74 20170101ALI20200406BHJP
【FI】
   B60J3/00 H
   B60Q3/208
   B60Q3/217
   B60Q3/57
   B60Q3/60
   B60Q3/64
   B60Q3/74
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-85018(P2016-85018)
(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公開番号】特開2017-193265(P2017-193265A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩一
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−202726(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/042005(WO,A1)
【文献】 特開2015−113028(JP,A)
【文献】 特開2009−292297(JP,A)
【文献】 特開2005−338249(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0019391(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
B60Q 3/208
B60Q 3/217
B60Q 3/57
B60Q 3/60
B60Q 3/64
B60Q 3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容位置から遮蔽範囲に拡げることが可能で光の一部を通すスクリーン本体と、
該スクリーン本体を前記収容位置に収容するための収容部と、
前記遮蔽範囲に拡げられたスクリーン本体の車室内側面とは反対の裏面に光を照射するための光照射部と、を備え
拡げられた前記スクリーン本体に沿った方向であって前記スクリーン本体を拡げる方向と交差する方向を方向aとするとき、
前記光照射部は、前記収容部に組み込まれ、前記スクリーン本体の裏面に照射する光を出射するための出射部位が前記方向aに沿って配置されている、車両用シェード装置。
【請求項2】
収容位置から遮蔽範囲に拡げることが可能で光の一部を通すスクリーン本体と、
該スクリーン本体を前記収容位置に収容するための収容部と、
前記遮蔽範囲に拡げられたスクリーン本体の車室内側面とは反対の裏面に光を照射するための光照射部と、を備え、
前記スクリーン本体は、通った光が照射される内装部に光の模様が投影されるように形成された穴を有し、
前記光照射部から前記スクリーン本体の裏面に照射された光が該スクリーン本体の穴を通って該穴の模様に応じた光の模様が前記内装部に投影される、車両用シェード装置。
【請求項3】
収容位置から遮蔽範囲に拡げることが可能で光の一部を通すスクリーン本体と、
該スクリーン本体を前記収容位置に収容するための収容部と、
前記遮蔽範囲に拡げられたスクリーン本体の車室内側面とは反対の裏面に光を照射するための光照射部と、を備え、
前記スクリーン本体は、該スクリーン本体の裏面に入射した光を該スクリーン本体内において別の位置まで伝達させる光ファイバー当該スクリーン本体の裏面に入射した光のエネルギーを蓄積して該エネルギーにより発光する蓄光材、及び、当該スクリーン本体の裏面に入射した光を受けて光を発する蛍光材の群から選ばれる一以上を有する車両用シェード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いられるシェード装置として、サンシェード装置等が知られている。サンシェード装置は、巻取装置の巻取軸に巻き取られたスクリーンを引き出すことにより車両のウインドウガラスを覆うことが可能であり、防眩のために直射日光を遮ったり、室内のプライバシーを確保したりすることができる。
【0003】
特許文献1には、サンシェード本体を引き出し可能なサンシェードユニットがドアトリムとドアパネルとの間に設けられたサンシェード装置が開示されている。このサンシェード装置には、板状の照明部材を引き出し可能な照明ユニットがドアトリムとドアパネルとの間においてサンシェードユニットよりも車室内側に備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−202726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、光を放出する板状の照明部材がサンシェード本体よりも車室内側に配置されるため、板状の照明部材が目立ってしまう。
尚、上述した問題は、トノカバー装置等、サンシェード装置以外のシェード装置にも存在することがある。
【0006】
本発明は、より良好な照明を車室に実現させる車両用シェード装置を提供する目的を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用シェード装置は、収容位置から遮蔽範囲に拡げることが可能で光の一部を通すスクリーン本体と、
該スクリーン本体を前記収容位置に収容するための収容部と、
前記遮蔽範囲に拡げられたスクリーン本体の車室内側面とは反対の裏面に光を照射するための光照射部と、を備え
拡げられた前記スクリーン本体に沿った方向であって前記スクリーン本体を拡げる方向と交差する方向を方向aとするとき、
前記光照射部は、前記収容部に組み込まれ、前記スクリーン本体の裏面に照射する光を出射するための出射部位が前記方向aに沿って配置されている、態様を有する。
【0008】
また、本発明の車両用シェード装置は、収容位置から遮蔽範囲に拡げることが可能で光の一部を通すスクリーン本体と、
該スクリーン本体を前記収容位置に収容するための収容部と、
前記遮蔽範囲に拡げられたスクリーン本体の車室内側面とは反対の裏面に光を照射するための光照射部と、を備え、
前記スクリーン本体は、通った光が照射される内装部に光の模様が投影されるように形成された穴を有し、
前記光照射部から前記スクリーン本体の裏面に照射された光が該スクリーン本体の穴を通って該穴の模様に応じた光の模様が前記内装部に投影される、態様を有する。
【0009】
さらに、本発明の車両用シェード装置は、収容位置から遮蔽範囲に拡げることが可能で光の一部を通すスクリーン本体と、
該スクリーン本体を前記収容位置に収容するための収容部と、
前記遮蔽範囲に拡げられたスクリーン本体の車室内側面とは反対の裏面に光を照射するための光照射部と、を備え、
前記スクリーン本体は、該スクリーン本体の裏面に入射した光を該スクリーン本体内において別の位置まで伝達させる光ファイバー、当該スクリーン本体の裏面に入射した光のエネルギーを蓄積して該エネルギーにより発光する蓄光材、及び、当該スクリーン本体の裏面に入射した光を受けて光を発する蛍光材の群から選ばれる一以上を有する、態様を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より良好な照明を車室に実現させる車両用シェード装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】シェード装置を組み付けた車両用ドアの例を車室側から模式的に示す斜視図。
図2】シェード装置の例を模式的に示す横断面図。
図3】シェード装置の例を模式的に示す図。
図4】スクリーン本体の例を模式的に示す図。
図5】光照射部の例を模式的に示す図。
図6】光照射時のシェード装置の例を模式的に示す図。
図7】内装部に光の模様を投影する例を模式的に示す図。
図8】光の模様が投影された内装部の例を模式的に示す図。
図9】内装部に光の模様が投影されるように形成された穴を有するスクリーン本体の例を模式的に示す図。
図10】スクリーン本体に光ファイバーを有するシェード装置の例を模式的に示す図。
図11】スクリーン本体に光ファイバーを有するシェード装置の別の例を模式的に示す図。
図12】スクリーン本体に反射材を有するシェード装置の例を模式的に示す図。
図13図13A及び図13Bはスクリーン本体に蓄光材を有するシェード装置の例を模式的に示す図。
図14図14A及び図14Bはスクリーン本体に蛍光材を有するシェード装置の例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0013】
(1)本技術の概要:
まず、図1〜14に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、図1〜14は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。
【0014】
[態様1]
本技術の一態様に係る車両用シェード装置1は、スクリーン本体3と、収容部4と、光照射部6と、を備える。前記スクリーン本体3は、収容位置P1から遮蔽範囲AR1に拡げることが可能で光LT0の一部を通す。前記収容部4は、前記スクリーン本体3を前記収容位置P1に収容可能である。前記光照射部6は、前記遮蔽範囲AR1に拡げられたスクリーン本体3の車室内側面3aとは反対の裏面3bに光LT0を照射可能である。
【0015】
上記態様1では、遮蔽範囲AR1に拡げられたスクリーン本体3の裏面3bに光LT0が照射されると、光LT0の一部が裏面3b側からスクリーン本体3を通り抜けて車室C1の内側に入る。一方で、車室C1にいる乗員から見て、光照射部6はスクリーン本体3に遮られて目立たない。このように光照射部6が目立たない一方で車室C1の照明が実現されるので、本態様は、より良好な照明を車室に実現させる車両用シェード装置を提供することができる。
【0016】
ここで、スクリーン本体を含むスクリーンは、シェード、ブラインド、シート、等を含む概念であり、透過光の一部を遮るものであればよく、日除け用に限定されない。スクリーンには、網目を有するスクリーン、網目の無いシート、等が含まれ、具体的には、サンシェード、トノカバー、カーテン、等が含まれる。
スクリーン本体の一部に光を通さない材料を付加することも、本技術に含まれる。
【0017】
[態様2]
ところで、図3,5等に例示するように、拡げられた前記スクリーン本体3に沿った方向であって前記スクリーン本体3を拡げる方向(例えば引出方向D22)と交差する方向を方向a(例えば軸方向D1)とするとき、前記光照射部6は、前記収容部4に組み込まれ、前記スクリーン本体3の裏面3bに照射する光LT0を出射するための出射部位65が前記方向aに沿って配置されてもよい。この態様は、ユニット化に好適な車両用シェード装置を提供することができる。例えば、拡げられたスクリーン本体3を前記方向aに沿って帯状に照らすことにより、間接照明等として好適な車両用シェード装置を提供することができる。
尚、出射部位が前記方向aに沿って配置されていない場合も、本技術に含まれる。
【0018】
[態様3]
図7〜9に例示するように、前記スクリーン本体3は、通った光LT0が照射される内装部8に光LT0の模様PT0が投影されるように形成された穴3hを有してもよい。この態様は、光照射時の車室の見た目を向上させることが可能な車両用シェード装置を提供することができる。
ここで、内装部は、スクリーン本体を通った光の照射対象であればよく、ルーフトリム、座席、ウィンドウ、等を含む。
尚、内装部に光の模様が投影されるような穴がスクリーン本体に形成されていない場合も、本技術に含まれる。
【0019】
[態様4]
図10〜14に例示するように、前記スクリーン本体3は、(A)該スクリーン本体3に入射した光LT0を該スクリーン本体3内において別の位置まで伝達させる材料(例えば光ファイバー32)、(B)反射材33、(C)蓄光材34、及び、(D)蛍光材35の群から選ばれる一以上を有してもよい。図10,11に例示するように、材料(A)がスクリーン本体3にある場合、スクリーン本体3において光LT0が入射しない部分からも光LT0を出すことができる。図12に例示するように、反射材33(B)がスクリーン本体3の一部にある場合、光LT0が照射されたスクリーン本体3に明暗を表現することができる。図13A及び図13Bに例示するように、蓄光材34(C)がスクリーン本体3にある場合、光LT0の照射を止めてもスクリーン本体3から発光させることができる。図14A及び図14Bに例示するように、蛍光材35(D)がスクリーン本体3にある場合、光LT0が照射されたスクリーン本体3に鮮やかさを表現することができる。従って、本態様は、スクリーン本体を高機能化させることが可能な車両用シェード装置を提供することができる。
【0020】
[態様5]
図10,11に例示するように、本技術の別の態様に係る車両用シェード装置1は、スクリーン本体3と、収容部4と、光照射部6と、を備える。前記スクリーン本体3は、収容位置P1から遮蔽範囲AR1に拡げることが可能である。前記収容部4は、前記スクリーン本体3を前記収容位置P1に収容可能である。前記光照射部6は、前記遮蔽範囲AR1に拡げられたスクリーン本体3の入射用位置36に光LT0を照射可能である。前記スクリーン本体3は、前記入射用位置36に入射した光LT0を当該スクリーン本体3内において出射用位置37まで伝達させる材料(例えば光ファイバー32)を有する。
【0021】
上記態様5では、遮蔽範囲AR1に拡げられたスクリーン本体3の入射用位置36に光LT0が照射されると、前記材料(32)によりスクリーン本体3内において出射用位置37まで光LT0が伝達される。これにより、スクリーン本体3において光LT0が入射しない部分からも光LT0を出すことができる。従って、本態様は、より良好な照明を車室に実現させる車両用シェード装置を提供することができる。
【0022】
[態様6]
図12〜14に例示するように、本技術の別の態様に係る車両用シェード装置1は、スクリーン本体3と、収容部4と、光照射部6と、を備える。前記スクリーン本体3は、収容位置P1から遮蔽範囲AR1に拡げることが可能である。前記収容部4は、前記スクリーン本体3を前記収容位置P1に収容可能である。前記光照射部6は、前記遮蔽範囲AR1に拡げられたスクリーン本体3に光LT0を照射可能である。前記スクリーン本体3は、反射材33、蓄光材34、及び、蛍光材35の群から選ばれる一以上を有する。
【0023】
図12に例示するように、反射材33がスクリーン本体3の一部にある場合、光LT0が照射されたスクリーン本体3に明暗を表現することができる。図13A及び図13Bに例示するように、蓄光材34がスクリーン本体3にある場合、光LT0の照射を止めてもスクリーン本体3から発光させることができる。図14A及び図14Bに例示するように、蛍光材35がスクリーン本体3にある場合、光LT0が照射されたスクリーン本体3に鮮やかさを表現することができる。従って、本態様は、より良好な照明を車室に実現させる車両用シェード装置を提供することができる。
【0024】
(2)車両用シェード装置の第一具体例:
図1は、車両用シェード装置1としてサンシェード装置が組み付けられた自動車の室内の例を模式的に示し、ドアトリム805の上部を切断してシェード装置1を示している。図1では、サンシェード装置が組み付けられたドア802としてサイドドアの例を模式的に示しているが、ドア802は、後部ドア、ルーフドア、等でもよい。図1に示す自動車800は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車とされ、前席及び後席を囲む車室C1が形成された乗用自動車とされている。車室C1の側面部には、ドア802及びピラー803が配置されている。図1に示すシェード装置1は、収容部4から引き出されたスクリーン本体3により開閉可能なサイドウィンドウ(ドアウィンドウ806)をほぼ覆うことが可能である。スクリーン本体3に覆われる範囲を遮蔽範囲AR1とする。尚、サンシェード装置を取付可能な部位は、ドアに限定されず、開閉不能な天井部等でもよい。シェード装置は、遮蔽装置やブラインド装置や巻取装置と呼ばれるものを含む。
【0025】
ドア802には、ドアパネル804、ドアトリム805、ドアウィンドウ806、フック部810、等が設けられている。ドアパネル804は、鋼板製といった金属製の車体パネルの一種である。ウィンドウ806は、透明材料、例えば、ガラスで形成される。トリム805は、パネル804の車室側に装着される内装材であり、熱可塑性樹脂といった樹脂材料を射出成形等により成形した成形品、樹脂材料の内装基材に不織布、織物、編物、といった表皮材を積層したもの、等を用いることができる。図1に示すトリム805は、乗員が姿勢を楽に保つために肘を掛けることが可能な形状のアームレスト807が設けられている。このアームレスト807よりも上側においてトリム805の裏面にシェード装置1が配置されている。図1に示すドア802には、ウィンドウ806よりも上側においてフック部810が前側と後側とに取り付けられている。
【0026】
図1は、スクリーン本体3が巻取部50に巻き取られている(収容されている)状態(収容位置P1)を模式的に例示し、スクリーン本体3が上方に引き出された(遮蔽範囲AR1に拡げられた)状態(引出位置P2)を二点鎖線で例示している。図2は、シェード装置1の横断面を模式的に例示している。図3は、シェード装置1を模式的に例示し、巻取部50の要部を拡大した縦断面も例示している。図4は、スクリーン本体3を模式的に例示している。図5は、光照射部6を模式的に例示している。尚、符号AX1は筒状部51の回転軸を示し、符号D1は筒状部51の軸方向を示し、符号D11はトリム805からケース40に向かうケース方向を示し、符号D12はケース40からトリム805に向かうトリム方向を示し、符号D21はスクリーン本体3の収容方向を示し、符号D22はスクリーン本体3の引出方向を示している。収容方向D21と引出方向D22とは互いに反対の方向であり、図1,2に示す例では、収容方向D21が略下方、引出方向D22が略上方となる。ここで、引出方向D22は、拡げられたスクリーン本体3に沿った方向であってスクリーン本体3を拡げる方向の例である。軸方向D1は、引出方向D22と交差する方向aの例であり、図1,2に示す例では引出方向D22と略直交する方向である。尚、略直交とは、厳密な直交、及び、厳密な直交から若干ずれた向きを含み、2方向のなす角度が75°以上105°以下である場合を意味するものとする。また、方向aと引出方向D22とのなす角度は、45°以上135°以下、好ましくは、60°以上120°以下でもよい。
【0027】
スクリーン2は、遮蔽シート、ブラインドシート、等とも呼ばれ、透過光の一部を遮る。スクリーン2のスクリーン本体3は、巻取部50の筒状部51の外周面上に巻取可能な柔軟性を有する薄い材料で形成され、可撓性を有する軟質材料を所要の形状に裁断することにより形成される。これにより、スクリーン本体3は、所定の収容位置P1から所定の引出位置P2まで引き出し可能である。スクリーン2の引出端20には、スクリーン本体3よりも硬質、且つ、肉厚のガーニッシュ21が形成されている。スクリーン本体3においてガーニッシュ21とは反対側となる基端縁は、例えば両面テープにより筒状部51の外側面に留められる。
【0028】
スクリーン本体3は、光の一部を遮ることができればよく、網目を有する材料でもよいし、網目の無いシート状材料でもよく、ポリエステル織物といった布、樹脂材料を用いたレザー、樹脂材料を成形したシート、等を用いることができる。スクリーン本体3の遮光率(JIS L1055:2009A法)は、50〜80%が好ましく、60〜75%がより好ましい。遮光率を前述の下限以上にすることにより、好適な防眩性が得られ、プライバシーの保護や駐車時の防犯の点でも好適となるうえ、スクリーン本体3の裏面3b側にある光照射部6が好適に隠される。遮光率を前述の上限以下にすると、自動車として車室C1からの好適な視認性が得られるうえ、スクリーン本体の裏面3b側にある光照射部6からの光LT0により良好な照明が車室C1に実現される。スクリーン本体3は、遮光率が100%未満であるので、光LT0の一部を通す。
【0029】
図4に示すスクリーン本体3には、厚さ方向(図4の紙面に対して垂直な方向)へ貫通した多数の穴3hが形成されている。スクリーン本体3に対する全穴3hの面積比は、特に限定されないが、例えば10〜40%とすることができる。前記面積比を大きくすると遮光率を下げることができ、前記面積比を小さくすると遮光率を上げることができる。円形にする場合の穴3hの直径は、特に限定されないが、例えば0.5〜3mmとすることができる。
【0030】
ガーニッシュ21は、軸方向D1に沿った長手方向の中間部に操作部25を有し、この操作部25を挟む二箇所に引掛部22を有している。ガーニッシュ21には、棒状の部材、筒状の部材、板状の部材、等を用いることができ、合成樹脂の射出成形品といった成形品等を用いることができる。例えば、スクリーン本体3が収容位置P1にある状態で操作部25を手で摘む等して収容部4からスクリーン本体3を引き出し、ドア802のフック部810にガーニッシュ21の引掛部22を引っ掛けると、ドアウィンドウ806がスクリーン本体3でほぼ覆われる。また、スクリーン本体3が引出位置P2にある状態で操作部25を手で摘む等してドア802のフック部810からガーニッシュ21の引掛部22を外すと、スクリーン本体3を巻取部50に巻き取らせることができる。
【0031】
図3等に示す収容部4は、長手方向(軸方向D1)における両端部に壁部41,42を有するハーフケース40を備え、スクリーン本体3を収容位置P1に収容する。図2に示すケース40は、開口部47が形成された側面部46を有し、車室C1側にドアトリム805が合わせられることにより、スクリーン本体3を引き出すためのスリット48(引出口の例)に繋がる内部空間SP1を形成する。尚、「側面」には角柱、円柱、等の底面以外の面という意味があるように、側面部46はケース40において筒状部51の周りにある部位を意味する。図2,3に示すケース40は、一方の壁部41に巻取部50の支軸部53を回転可能に支持する軸受部41aが形成され、他方の壁部42に巻取部50の端部51bが固定されている。スリット48は、スクリーン本体3の収容時に肉厚のガーニッシュ21が入る。スリット48の底面部は、スリット48に入った肉厚のガーニッシュ21を受ける受け面49とされている。受け面49は、側面部46の内面46cに繋がっており、スクリーン本体3の裏面3b側にある。ケース40には、合成樹脂の射出成形品といった成形品等を用いることができる。
【0032】
図2,3に示す巻取部50は、筒状部51、支軸部53、軸受部52、ばね56(付勢部55の例)、を有し、ばね56の付勢力によりスクリーン本体3を巻取可能である。
図3に示す筒状部51は、両端が開口した長尺な部材であり、内部空間SP1において回転軸AX1を中心として回転可能に配置され、外周面上にスクリーン本体3を巻取可能である。尚、筒状部51は、バレル部材等とも呼ばれる。スクリーン本体を外周面上に巻き取るための部材は、筒状部51のように円筒状といった筒状でもよいし、円柱状といった棒状でもよい。筒状体の材質には、アルミニウムといった金属、熱可塑性樹脂といった合成樹脂、等を用いることができる。円筒状の筒状部の大きさは、特に限定されず、例えば、内径を4〜20mm程度、外径を6〜30mm程度とすることができる。
【0033】
支軸部53は、巻取部50の一端(端部51a)に配置された部材であり、筒状部51の一方の開口端に対して回転しないように嵌め込まれ、端部51aがケース40の壁部41の軸受部41aに対して回転可能に挿入されている。従って、支軸部53は、壁部41に対して回転可能に支持されている。支軸部53には、合成樹脂の射出成形品といった成形品等を用いることができる。軸受部52は、巻取部50の他端(端部51b)に配置された部材であり、筒状部51の他方の開口端に嵌め込まれ、端部51bがケース40の壁部42に固定されている。支軸部53が嵌め込まれた筒状部51は、軸受部52を介して壁部42に対して回転可能に支持される。筒状部51の開口部に挿入された部分の軸受部52には、コイルばねであるばね56の一端が固定されている。コイルばねは、コイルスプリング、つる巻きばね、等とも呼ばれる。ばね56の他端は、掛止部51cに固定されている。この掛止部51cは、筒状部51に対して相対回転不能に挿入された部材である。ばね56は、スクリーン2を収容方向D21へ付勢する。通常、付勢部55を有する巻取部50は、ケース40にスクリーン本体3が収容されてもスクリーン本体3に巻取方向DR1への付勢力を加える状態でケース40に取り付けられる。
【0034】
尚、付勢部は、筒状部51の内周側に配置される以外にも、筒状部の外周側、筒状部の長手方向における端部の外側、等に配置されてもよい。付勢部は、筒状部から独立したユニットでもよく、筒状部に挿入される内ばねユニットでもよいし、筒状部の外側に取り付けられる外ばねユニットでもよい。付勢部は、渦巻きばね、エラストマーやゴムといった弾性部材、等でもよい。
また、モーター駆動によりスクリーン本体の引き出しや巻き取りを行う電動タイプ、巻取軸に付勢機構が無く手動でスクリーン本体を巻き取る場合、等も、本技術に含まれる。
【0035】
図2に示す光照射部6は、スクリーン本体3から裏面3b側においてケース40(収容部4)に組み込まれ、遮蔽範囲AR1に拡げられたスクリーン本体の裏面3bに光LT0を照射する。光照射部6がスクリーン本体3の裏面3b側にあるので、本具体例は、光照射部が直接見えることを防ぐことができる。図2,3に示す出射部位65は、受け面49に配置され、軸方向D1(方向a)に沿って配置されている。このような長尺状の出射部位65を実現する例を図5に示している。図5は、長尺な導光体62を介して光源61からの光LT0をスクリーン本体3に照射する光照射部の例を模式的に示している。図5に示す導光体62は、略四角柱状の棒状部材であり、長手方向を軸方向D1に向けて配置されている。導光体62における長手方向の端面62cは、光源61からの光LT0が入射する部位である。少なくとも端面62c及び出射部位65は、反射及び拡散が抑制されるように正透過性を有する面とされている。導光体62の反射面62bには、端面62cから入射した光LT0を出射部位65の方へ反射させるための凹部63が長手方向D1へ間隔を空けて複数形成されている。従って、軸方向D1に沿った出射部位65から光LT0が出射する。尚、導光体62における長手方向の端面62dからも別の光源からの光を入射させてもよい。
【0036】
導光体62には、透明材料を射出成形といった公知の方法により成形した透明の成形品等を用いることができる。前記透明材料には、アクリル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、シリコーン(SI)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。
尚、導光体62の各面(面65,62b,62c,62d等)は、平面のみならず、一部又は全部が曲面に形成されてもよい。また、導光体62は、直線状に延びた形状のみならず、一部又は全部が曲線状に延びた形状でもよい。
【0037】
図5に示す光源61には、点灯と消灯とを切り替えるためのスイッチSW1が接続されている。スイッチSW1には、乗員からの操作を受け付ける操作スイッチ、ドアが開いているか否かに応じて切り替わるドア開検出スイッチ、ドアがロックされているか否かに応じて切り替わるドアロック検出スイッチ、イグニッションがオンであるか否かに応じて切り替わるイグニッションスイッチ、これらの組合せ、等を適用することができる。
光源61には、LED(発光ダイオード)、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることができる。LEDは、軽量かつ超寿命で、省電力、省スペース、等の点で好ましい。光源の発光色には白、赤、緑、青、等、種々の色を採用することができ、異なる発光色の光源を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
図示していないが、導光体を使用せず、軸方向D1に沿って間隔を空けて複数の光源を受け面49に配置してもよい。この場合も、出射部位65が方向aに沿って配置されることになる。
【0039】
次に、第一具体例の作用及び効果を説明する。
スクリーン本体3が遮蔽範囲AR1に拡げられ、光源61が点灯するようにスイッチSW1が切り替わると、図2に示すように、出射部位65からの光LT0がスクリーン本体3の裏面3bに照射される。この光LT0の一部は、裏面3b側からスクリーン本体3を通り抜けて車室C1の内側に入る。図2に示すようにスクリーン本体3の裏面3bを軸方向D1に沿って帯状に照らすと、図6に示すように、スクリーン本体3の車室内側面3aが軸方向に沿って帯状に明るくなる。出射部位65がケース40にある場合、図6に示すように、スクリーン本体の車室内側面3aの内、ケース40側の帯状部位が引出端20側の部位よりも明るくなる。一方で、車室C1にいる乗員から見て、光照射部6はスクリーン本体3に遮られて目立たない。このように光照射部6が目立たない一方で車室C1の好適な間接照明が実現されるので、本具体例は、良好な間接照明を車室に実現させることができる。
【0040】
(3)車両用シェード装置の第二具体例:
図7は、拡げられたスクリーン本体3を通り抜けた光LT0の模様を自動車800の内装部8に投影する第二具体例を模式的に示している。尚、本第二具体例以降において、上述した例と類似する構成要素は、同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0041】
図7に示すシェード装置1は、スクリーン本体3を通り抜けた光LT0がルーフトリム(内装部8の例)に照射されるように設計されている。ルーフトリムは、車室C1の天井部を装飾する内装材である。スクリーン本体3に図9に例示するような穴3hといった模様がある場合、この模様に応じた光LT0の模様PT0が内装部8に投影される。図8は、光LT0の模様PT0が投影された内装部8を模式的に例示している。図9は、内装部8に光LT0の模様PT0が投影されるように形成された穴3hを有するスクリーン本体3を模式的に例示している。図9の下部には、穴3hを含むスクリーン本体3の要部の拡大図を模式的に例示している。
【0042】
内装部8に光LT0の模様PT0を鮮明に形成するためには、出射部位65から指向性の高い光LT0を出射するように光照射部6を設計すればよい。
【0043】
また、拡げられたスクリーン本体3を通り抜ける光LT0の光軸(図7に示す一点鎖線)がスクリーン本体3と直交しない場合、光LT0の光軸とスクリーン本体3とのなす角度に応じて穴3hの形状を設計すればよい。例えば、図8に示すように前後方向(軸方向D1)と比べて車幅方向D2の方が長い菱形の模様PT0を内装部8に投影する場合、図9に示すように対角線の長さの比を変えた菱形の穴3hをスクリーン本体3に形成すればよい。
【0044】
本具体例は、裏面3b側からスクリーン本体3を通り抜けて車室C1の内側に入った光LT0の模様PT0が内装部8に投影されるので、光照射時の車室の見た目を向上させることができる。また、スクリーン本体3の穴3hの模様を変えるだけで内装部8に投影される光LT0の模様PT0を変えることができる。
尚、穴3hにより光LT0の一部が裏面3b側からスクリーン本体3を通り抜けて車室C1の内側に入るので、本具体例は、スクリーン本体3において穴3h以外の部分が光を通さない場合にも適用可能である。
【0045】
(4)車両用シェード装置の第三具体例:
図10は、スクリーン本体3に機能材料31を有する第三具体例を模式的に示している。図10の右側には、車室C1の内側から見たスクリーン2の要部を模式的に例示し、光ファイバー32の両端部32a,32bを黒丸で示している。図10に示す機能材料31は、遮蔽範囲AR1に拡げられたスクリーン本体3の入射用位置36から光LT0をスクリーン本体3内において出射用位置37まで伝達させる材料である光ファイバー32とされている。図10に示す入射用位置36は、スクリーン本体3のうち光LT0の出射部位65に近い下側に設定されている。光ファイバー32のうち出射部位65からの光LT0が入射する端部32aは、スクリーン本体3の入射用位置36において裏面3bの方に向いている。図10に示す出射用位置37は、スクリーン本体3の入射用位置36よりも光LT0の出射部位65から遠い上側に設定されている。光ファイバー32のうち伝達された光LT0が出射する端部32bは、スクリーン本体3の出射用位置37において車室内側面3aの方に向いている。
【0046】
出射部位65からスクリーン本体3の裏面3bの入射用位置36に光LT0が照射されると、この光LT0の一部は、端部32aから光ファイバー32に入り、光ファイバー32に伝達されて、出射用位置37にある端部32bから車室C1の内側へ放出される。これにより、スクリーン本体3において光LT0が入射しない出射用位置37からも光LT0を出すことができる。また、光ファイバー32の端部32aに入らなかった光LT0は、裏面3bからスクリーン本体3を通り抜けて車室C1の内側に入る。従って、本具体例は、スクリーン本体3の一部である入射用位置36に光LT0を照射するだけで光LT0が照射されない出射用位置37を含めてスクリーン本体3の広い範囲(例えば全体)から光LT0を車室C1の内側に出すことができる。従って、本具体例は、良好な間接照明を車室に実現させることができる。
【0047】
尚、光ファイバー32の入射端部32aが車室内側面3aの方に向いていれば、図11に例示するように光LT0の出射部位65が車室C1の内側の方にあっても出射用位置37から光LT0を放出することができる。図11に示す光照射部6は、ドアトリム805に組み込まれ、スクリーン本体3の入射用位置36の車室内側面3aに出射部位65から光LT0を照射する。この出射部位65も、例えば、軸方向D1に沿って配置される。この光LT0の一部は、端部32aから光ファイバー32に入り、光ファイバー32に伝達されて、出射用位置37にある端部32bから車室C1の内側へ放出される。従って、本変形例も、良好な間接照明を車室に実現させることができる。
さらに、光照射部6は、スクリーン本体の裏面3bに光を照射する出射部位と、スクリーン本体の車室内側面3aに光を照射する出射部位と、の両方を有してもよい。
【0048】
さらに、光LT0が入射用位置36とは異なる出射用位置37から出ることにより車室の照明が実現されるので、本具体例は、スクリーン本体が光を通さない場合にも適用可能である。
【0049】
(5)車両用シェード装置の第四具体例:
図12は、スクリーン本体3に反射材33を機能材料31として有する第四具体例を模式的に示している。図12の下部には、穴3hを含むスクリーン本体3の要部の拡大図を模式的に例示している。図12に示す反射材33は、光照射部6の出射部位65から照射された光LT0を反射させる。反射材33には、金属や微小ガラスビーズ等、スクリーン本体3のうち反射材でない部分の反射率よりも高い反射率の各種材料を用いることができる。図12に示すように反射材33がスクリーン本体3の一部にある場合、光LT0が照射されたスクリーン本体3に明暗が表現される。
【0050】
例えば、光LT0の出射部位65が図11で示したようにスクリーン本体3よりも車室C1の内側の方にある場合、出射部位65からの光LT0が反射材33で車室C1の内側の方へ反射する。光が入射した方向の反対に近い方向に戻される再帰反射材を反射材33に用いる場合、反射材33による反射光が車室C1にいる乗員の方へ向かわないようにすることができるので、良好な照明が車室に実現される。
【0051】
光LT0の出射部位65が図10で示したようにスクリーン本体3の裏面3b側にある場合には、出射部位65からの光LT0が反射材33で車室C1の外側の方へ反射する。この場合、スクリーン本体3の内、反射材33の無い部分は光LT0の一部が裏面3b側からスクリーン本体3を通り抜けて車室C1に入り、反射材33のある部分は光LT0の通り抜けが遮断される。その結果、光照射時に模様がスクリーン本体3に現れるので、良好な照明が車室に実現される。この場合の反射材33も、再帰反射材を用いてもよい。
【0052】
尚、光照射部6は、スクリーン本体の裏面3bに光を照射する出射部位と、スクリーン本体の車室内側面3aに光を照射する出射部位と、の両方を有してもよい。
さらに、光LT0が反射材33で反射することによりスクリーン本体の照明としての外観が向上するので、本具体例は、スクリーン本体が光を通さない場合にも適用可能である。
【0053】
(6)車両用シェード装置の第五具体例:
図13A及び図13Bは、スクリーン本体3に蓄光材34を機能材料31として有する第五具体例を模式的に示している。図13A及び図13Bに示す蓄光材34は、光を受けると光エネルギーを蓄積して光が断たれても蓄積されたエネルギーにより発光する材料である。蓄光材34には、例えば、酸化アルミニウムにストロンチウムや希土類元素が結合した材料といった各種材料等を用いることができる。
【0054】
図13Aに示すように光照射部6の出射部位65から光LT0をスクリーン本体3に照射すると、スクリーン本体3自体は明るくなって間接照明が車室C1に実現される。光LT0の出射部位65は、図10で示したようにスクリーン本体3の裏面3b側にあってもよいし、図11で示したようにスクリーン本体3よりも車室C1の内側の方にあってもよいし、裏面3b側と車室C1の内側の両方にあってもよい。光照射時、スクリーン本体3に配置された蓄光材34は、光LT0のエネルギーを蓄積する。蓄光材34は、蓄積された光エネルギーにより発光するが、出射部位65からの光LT0が照射されている状態では目立たない。この状態で光源61(図5参照)が消灯するようにスイッチSW1が切り替わると、スクリーン本体3は暗くなるが、図13Bに示すように、蓄光材34は、蓄積された光エネルギーにより発光する。従って、本具体例は、光LT0の照射を止めてもスクリーン本体3から発光させることができ、良好な照明を車室に実現させることができる。図13Bに示すように蓄光材34がスクリーン本体3の一部にある場合、蓄光材34は、スクリーン本体3において蓄光材34の無い部分よりも明るい模様を浮かび上がらせる。
【0055】
尚、消灯時に蓄光材34が発光することにより照明を車室に実現させるので、本具体例は、スクリーン本体が光を通さない場合にも適用可能である。
【0056】
(7)車両用シェード装置の第六具体例:
図14A及び図14Bは、スクリーン本体3に蛍光材35を機能材料31として有する第六具体例を模式的に示している。図14A及び図14Bに示す蛍光材35は、光を受けると減衰時間の短い光を発する材料である。蛍光材35には、例えば、各種無機蛍光材料や各種有機蛍光材料を用いることができる。
【0057】
光源61(図5参照)が消灯するようにスイッチSW1が切り替わると、発光の減衰時間が短い蛍光材35は、図14Aに示すように、速やかに暗くなる。光源61が点灯するようにスイッチSW1が切り替わると、スクリーン本体3自体は明るくなって間接照明が車室C1に実現される。光LT0の出射部位65は、図10で示したようにスクリーン本体3の裏面3b側にあってもよいし、図11で示したようにスクリーン本体3よりも車室C1の内側の方にあってもよいし、裏面3b側と車室C1の内側の両方にあってもよい。光照射時、スクリーン本体3に配置された蛍光材35は、減衰時間の短い光を発することによりスクリーン本体3に鮮やかさを付与する。従って、本具体例は、光LT0が照射されたスクリーン本体3に鮮やかさを表現することができ、良好な照明を車室に実現させることができる。図14Bに示すように蛍光材35がスクリーン本体3の一部にある場合、蛍光材35は、スクリーン本体3において蛍光材35の無い部分よりも鮮やかな模様を浮かび上がらせる。
【0058】
尚、光照射部6が照射する光は、可視光線に限定されず、ブラックライトといった不可視光線でもよい。ブラックライトは、波長320〜400nm程度の近紫外線(波長の長い紫外線)である。蛍光材35を有するスクリーン本体3にブラックライトを照射すると、スクリーン本体3において蛍光材35の無い部分は明るくならない一方、スクリーン本体3において蛍光材35のある部分が明るく浮かび上がる。従って、この変形例も、良好な照明を車室に実現させることができる。
また、光照射部6が照射する光には、可視光線と不可視光線の両方が含まれてもよい。
【0059】
さらに、光照射時に蛍光材35がスクリーン本体3に鮮やかさを付与するので、本具体例は、スクリーン本体が光を通さない場合にも適用可能である。
【0060】
加えて、第二具体例、第三具体例、第四具体例、第五具体例、及び、第六具体例から任意に選ばれる2以上の具体例を組み合わせることも可能である。例えば、スクリーン本体3が図9で示したような穴3hと図10で示したような光ファイバー32とを有するとする。この場合、図8で示したように光LT0の模様PT0が内装部8に投影され、且つ、スクリーン本体3の広い範囲から光LT0が車室C1の内側に放出される。従って、さらに良好な照明が車室に実現される。また、スクリーン本体3が図13Aで示したような蓄光材34と図14Aで示したような蛍光材35とを有するとする。この場合、光照射時には図14Bで示したように蛍光材35による鮮やかな模様が浮かび上がり、消灯時には図13Bで示したように蓄光材34により発光した模様が浮かび上がる。
【0061】
(8)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
サンシェード装置としてのシェード装置の設置箇所は、サイドウィンドウ以外にも、リヤウィンドウ、ルーフウィンドウ、等でもよい。シェード装置は、トノカバー装置、カーテン装置、等でもよく、また、スクリーンを巻き取る方式の巻取装置に限定されない。スクリーンを拡げる方向は、上方以外にも、下方、水平方向、等でもよい。
スクリーンは、上述したガーニッシュとスクリーン本体とで形成する以外にも、ガーニッシュ及びスクリーン本体以外の材料を併用して形成してもよい。例えば、スクリーン本体3において引出端20と基端縁とを結ぶ縁部、すなわち、軸方向D1における両端部の少なくとも一方に、軟質樹脂といった軟質の縁部補強材を付加してもよい。
スクリーン本体を収容するための収容部は、ハーフケース以外にも、収容されるスクリーン本体のほぼ全周を囲むケースでもよいし、ドアトリムといったトリムでもよい。
【0062】
(9)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、より良好な照明を車室に実現させる車両用シェード装置等の技術を提供することができる。むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…シェード装置、
2…スクリーン、3…スクリーン本体、3a…車室内側面、3b…裏面、3h…穴、
4…収容部、6…光照射部、8…内装部、
20…引出端、21…ガーニッシュ、22…引掛部、25…操作部、
31…機能材料、32…光ファイバー、33…反射材、34…蓄光材、35…蛍光材、
36…入射用位置、37…出射用位置、
40…ケース、41,42…壁部、46…側面部、48…スリット、49…受け面、
50…巻取部、51…筒状部、52…軸受部、53…支軸部、55…付勢部、
61…光源、62…導光体、62b…反射面、63…凹部、65…出射部位、
800…自動車、802…ドア、805…トリム、806…ウィンドウ、
AR1…遮蔽範囲、AX1…回転軸、C1…車室、
D1…軸方向(方向aの例)、D2…車幅方向、D21…収容方向、
D22…引出方向(スクリーン本体を拡げる方向の例)、DR1…巻取方向、
LT0…光、
P1…収容位置、P2…引出位置、PT0…模様。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14