【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、請求項1に記載された方法によって解決される。
本発明の好ましい実施形態が従属請求項において定義される。
【0010】
請求項1によれば、本発明は、生物由来廃棄物を嫌気的発酵させる方法であって、
a) 廃棄物を含有する発酵材料を液体と混合し、こうして得られた発酵材料懸濁液を発酵槽内で嫌気的発酵させ、そして
b) 発酵材料懸濁液の発酵に際して発生する消化液を脱水装置によって脱水し、圧搾水の分離によって、消化液に対して高められた乾燥物質比率を有する圧搾ケーキを得る
ステップを含む形式のものに関する。
【0011】
本発明によれば、この方法は、
c) 圧搾水に固形物分離を施し、圧搾水に対して低減された、最大でも15重量%の乾燥物質比率を有する残余液を得、そして
d) 残余液を、a)に記載の混合のために少なくとも部分的に使用する、
付加的なステップを含む。
従って、従来技術において公知の方法とは異なり、脱水時に得られた圧搾水から、この圧搾水を発酵槽内へ戻す前に、さらなる固形分が分離され、そして固形物質比率は、定義された最大値15重量%の範囲まで低減される。
【0012】
このために使用することができる固形物分離器についてはさらに以下で詳述する。
特に好ましい実施形態によれば、ステップc)に記載の固形物分離のために、振動篩及び/又は揺動篩が使用される。
従って、本発明によれば、発酵槽から導出された水の大部分は、相応の処理後に再び発酵槽内に戻される。
これにより一方では、導入されるべき新鮮水の所要量を、他方では、廃棄されるべき排水量を低減することができる。
【0013】
本発明の文脈において、脱水ステップにおいて発酵懸濁液から引き抜かれる液体分を圧搾水と呼び、しかも液体が消化液から実際に能動的圧搾によって分離されるか、或いは受動的滴下によって分離されるかとは無関係に圧搾水と呼ぶ。
本発明の技術的な背景との関連において既に述べたように、圧搾水は比較的高い有機物質含量を有しており、通常はスラッジ状である。
圧搾水の乾燥物質比率は通常、15〜20重量%の範囲内にあるが、しかし脱水もしくは脱水のために使用される脱水装置の種類に応じて、多少これよりも低い場合もある。
脱水装置としては、例えばスクリュプレスを使用することができる。
【0014】
圧搾水に固形物分離を施し、圧搾水に対して低減された、最大でも15重量%の乾燥物質比率を有する残余液を得ることにより、続いて残余液と発酵材料とを混合すると最適に搬送可能な発酵材料懸濁液を得ること、そしてこれとともにエネルギー的に低価値の物質の戻り量を最小限に抑えることが保証される。
従って、圧搾水と同様に残余液も水性懸濁液から成る。
しかし、主に有機浮遊物から成る乾燥物質の比率は、圧搾水中よりも残余液中において小さい。
上記のように、残余液の乾燥物質比率は最大でも15重量%であり、特に好ましくは5〜10重量%の範囲にある。
最も好ましい実施形態によれば、乾燥物質比率は5重量%よりも高く、10重量%よりも低い。
【0015】
ステップc)に基づいて定義された最大値15重量%まで乾燥物質比率を低下させるには、コンベンショナルな脱水装置では十分でない。
従って、さらに1つの固形物分離器を使用する。
上記のように、固形物分離のために好ましくは篩を使用する。
この篩は特に好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの篩過段を有する。
これに関しては、固形物分離は振動篩及び/又は揺動篩を使用して行われることがさらに好ましい。
【0016】
「乾燥物質比率」とは、本発明の文脈では、それぞれの物質の総重量を基準とした乾燥物質の重量比率もしくは乾燥物質の重量を意味する。
乾燥物質比率を割り出す方法は当業者に知られており、例えば、炉内で物質の液体分を引き出し、残留する乾燥物質の重量を割り出すように行うことができる。
【0017】
残余液を戻すことは、本発明によれば何よりも先ず、発酵材料を希釈すること、そして最適に搬送可能な発酵材料懸濁液を調製することという目的を有する。
本発明は従って、特許文献4で述べられた方法とは根本的に異なる。
特許文献4によれば、比較的高い乾燥物質比率を有しバクテリアを含有する圧搾水は、発酵させるべき廃棄物のための接種材料として使用される。
むしろ接種のためには、本発明の好ましい実施形態によれば、さらに下で詳述するように、消化液の一部、ステップb)で得られた圧搾ケーキの一部、ステップc)で分離された残余固形物の一部、又はこれらの混合物の一部を使用する。
【0018】
特許文献4と同様に、特許文献5においても、圧搾水に対して低減された、最大でも15重量%の乾燥物質比率を有する残余液を得るための固形物分離は開示されていない。
むしろ特許文献5においても、発生したプロセス水はスラリー化もしくは接種のために使用され、このことは特許文献4の事例と同様に、比較的高い乾燥物質比率を必要とする。
【0019】
やはり、さらに以下で詳述するように、ステップa)に記載された混合のために残余液を戻すことは、直接又は間接に、特に残余液の中間貯蔵のための1つ又は2つ以上のタンクを介して行われる。
【0020】
通常、本発明による方法は、連続的又は準連続的に行われる。
これにより、本発明による方法はさらに、例えば特許文献1に開示されているようなバッチ動作式の方法とは異なる。
「準連続的」とは、連続的に動作させられる方法であって、しかし発酵材料の添加が中断なしに行われるのではなく、時間間隔を置いて行われる方法を意味する。
加えて、本発明による方法における発酵は、特許文献1とは大きく異なり、やはりさらに以下で詳述するように、好ましくは水平方向に配向された発酵槽内で行われる。
【0021】
特に好ましい実施形態によれば、ステップc)に基づく固形物分離は、濾過によって且つ/又は篩過によって行われる。
従って残余液は、濾過の濾液によって、もしくは篩過の貫流液によって形成される。
さらに、ステップb)で得られた圧搾水及び/又はステップc)で得られた残余液、特に濾液をそれぞれの後続のステップの前に中間貯蔵することが好ましい場合がある。
これは、添加されるべき残余液の量を正確且つ適時に調量し、ひいては現存の発酵材料もしくはその乾燥物質比率に適合させるのを可能にする。
このことは、供給されたばかりの新鮮な発酵材料が不均質であることを考えると重要である。
【0022】
通常、前記こうして得られた発酵材料懸濁液を発酵槽内に導入する前に、発酵材料を残余液と混合装置内で混合する。
従ってこのような実施形態によれば、発酵材料懸濁液はこれが発酵槽内に導入される前に、発酵槽の外部で前混合される。
或いは、混合が発酵槽内で行われること、特に混合装置が発酵槽の一部であることも可能である。
必要に応じて、使用される残余液に加えて、任意のさらなる水を供給することができる。
この水は本発明の文脈において、残余液の再循環された水と区別するために、新鮮水と呼ぶ。
【0023】
発酵材料懸濁液中の乾燥物質比率が25〜35重量%となるように、ステップa)に記載の発酵材料を希釈することが好ましい。
従って、液体比率は、最適な搬送可能性を保証するのに充分に高い。
これとともに、乾燥物質比率は、発酵材料処理量を最大化するのに充分に高い。
【0024】
上記のように、残余液、特に濾液を戻すことは何よりも先ず、発酵材料の希釈に役立つのであって、接種に役立つのではない。
接種は好ましくは、消化液、ステップb)に記載の脱水時に得られた圧搾ケーキ、及び/又はステップc)の固形物分離時に得られた残余固形物を接種材料として部分的に戻すことによって達成される。
これに関しては、少なくとも2種のこのような部分の混合物を接種材料として戻すことも考えられる。
【0025】
残余液、特に濾液を戻す目的は何よりも先ず、希釈のために役立つものの、場合によっては、下記パラメータ、すなわち
− pH値、
− 緩衝能、
− H
2S含量
− アンモニウムイオン含量又はアンモニア含量、
− 脂肪酸の含量、及び
− 短鎖カルボン酸の含量
のうちの1つ又は2つ以上のパラメータを割り出し、そしてここから出発してパラメータを所望の値に調節することが適切な場合がある。
【0026】
従って所望の値を得るために、残余液に次の補助材料又は添加材料、すなわち、
− 酸、
− アルカリ溶液、
− 緩衝剤、
− 微量栄養素又は微量元素、及び
− 主要栄養素
を単独で、又は混合物として添加することが好ましい場合がある。
従って、残余液の種々様々なパラメータをこのように調節することによって、発酵材料懸濁液を、発酵槽内で進行する発酵プロセスに最適に調和させることができる。
【0027】
上記のように、ステップc)に記載された固形物分離は濾過によって実施することができる。
これに関しては、濾過は、鉛直方向に配向されたフィルタ装置を用いて行うことができる。
フィルタ装置は、有孔シリンダ外套面を備えた中空円筒状のフィルタ柱と、フィルタ柱に同軸的に配置された、シリンダ軸線を中心として軸線方向に回転するスクリュコンベアと、濾液を吸引するための負圧が生成される、フィルタシリンダの外側に配置された濾液室とを含んでいる。
このようなフィルタ装置内で、圧搾水は、スクリュコンベアの下端部からフィルタ柱の内面に沿って上方に向かって固形物放出部の方向に搬送され、そして濾液は、フィルタ開口を通って負圧下にある濾液室内に吸引される。
このようなフィルタ装置の一例は例えばヘリカル・フィルタである。
【0028】
しかしながら、得られる濾液の効率及び特性に関しては、ステップc)に記載された固形物分離は篩によって、特に振動篩及び/又は揺動篩によって行われることが特に有利である。
通常、振動篩は、2つ又は3つ以上の篩ステージ、すなわちメッシュ・サイズが互いに異なる2つの篩ライニングを有している。
第1の篩過ステージc1)では、固形成分の粗粒分が圧搾水から分離され、そして残余液が得られるように、ステージc1)から篩貫流液として残された懸濁液から、後続の第2の篩ステージc2)で細粒分が分離される。
篩容器の振動運動は、偏心的に配置された駆動軸によって、もしくは駆動軸に偏心的に配置されたフライホイール質量(Schwungmasse)によって得られるのが典型的である。
【0029】
驚くべきことに、上記振動篩によって、最大でも15重量%という残余液中の乾燥物質比率を容易に達成し得ることが明らかになっている。
このような実施形態に基づいて使用されるべき振動篩は特に、非運動型の薄膜フィルタよりも固形物分離器として優れている。
それというのも篩ライニングの目詰まりが有効に阻止され、ひいては装置の連続的な動作を保証し得るからである。
加えて、この方法の効率、及び残余液の特性に関して、特にその乾燥物質比率に関して、振動篩を用いるとヘリカル・フィルタよりも良好な結果さえ得られる。
【0030】
上記方法とは別に、本発明はさらにこの方法を実施する装置に関する。
方法の上記説明と同様に、装置は、
A) 嫌気的発酵を行うための発酵槽と、
B) 消化液供給導管を介して発酵槽と接続された、消化液を脱水するための脱水装置と
を含む。
【0031】
本発明によれば、装置がさらに、
C) 圧搾水供給導管を介して脱水装置と接続された、脱水装置内で得られた圧搾水から残余固形物を分離するための固形物分離器を含み、固形物分離器が、ここで得られる残余液の乾燥物質比率が最大でも15重量%であるように構成されており、
そして装置がさらに、
D) 残余液を発酵槽内に少なくとも部分的に戻すための残余液供給導管を含む。
【0032】
やはり上記のように、固形物分離器は特に好ましい実施形態によれば、濾過装置及び/又は篩であり、濾過装置及び/又は篩は、ここで得られる濾液もしくはここで得られる篩貫流液の乾燥物質比率が最大でも15重量%であるように構成されている。
【0033】
本発明による方法に関する上記実施態様と同様に、本発明による装置も、特許文献4に記載された装置、すなわち圧搾水を接種材料として使用するように構成され、ひいては固形分離器C)を含まない装置とは異なる。
【0034】
さらに、発酵槽が少なくともほぼ水平方向に配向されていることが好ましい。
これにより、発酵槽は、バッチ動作式の方法に指向された、特許文献1に開示された発酵槽とは極めて明らかに異なる。
【0035】
さらに、残余液供給導管が、発酵材料を液体と混合するための混合装置内に開口しており、混合装置は供給導管を介して発酵槽と接続されていることが好ましい。
従って前混合は、装置のこのような好ましい実施形態において、発酵槽とは別個の装置内で行われる。
従って発酵槽内への戻しは直接ではなく、上記混合装置を介して間接に行われる。
【0036】
固形物分離器が濾過装置である上記事例の場合、濾過装置は好ましくは、
C1) 有孔シリンダ外套面を備えた中空円筒状のフィルタ柱と、
C2) フィルタ柱内に同軸的に配置された、シリンダ軸線を中心として軸線方向に回転するスクリュコンベアと、
C3) 濾液を吸引するための負圧を生成する手段が対応配置された、フィルタシリンダの外側に配置された濾液室と
を含んでいる。
【0037】
上記のように、このような濾過装置によって、特にヘリカル・フィルタによって、本発明の目的のために特に有利な濾液を比較的容易に得ることができる。
【0038】
図面に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。