(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から請求項3記載のいずれか1項に記載のページめくり装置と、前記冊子のページに所定の情報を印字する印字機構部または印字された前記所定の情報を読み取る冊子読取部の少なくともいずれか1つとを有し、前記冊子を前記ページめくり装置へと受け渡す冊子搬送手段、
を備えることを特徴とする冊子処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、自動取引装置(ATM)である。
図1に示すように、自動取引装置(ATM)1には、冊子処理装置101が搭載されており、挿入口102より挿入される冊子を処理することができる。この冊子処理装置101は、挿入された冊子類を読み取り、印字等の処理を行う装置である。そして、挿入口102から挿入した冊子に対して、どのような処理を行うかを指令するために、人間が操作するための操作盤2が備わっている。
【0014】
図2は、冊子ページめくり装置が搭載される冊子処理装置の構成図である。
図2に示すように、冊子処理装置101には、本実施形態に係るページめくり部106(冊子ページめくり装置)が搭載されている。
【0015】
また、冊子処理装置101は、冊子を挿入および排出する挿入口102、冊子を搬送する搬送路103、冊子の読み取りを行う冊子読取部104、冊子のページに印字する印字機構部105、冊子のページめくりを行うページめくり部106、これらの機構部の制御を行う制御部107などを備えて構成されている。なお、冊子の読み取りとは、冊子のマグネットストライプの読み取りやバーコードの読み取り、冊子の画像を読み取ることである。
【0016】
挿入口102は、冊子処理装置101の筺体の正面側に設けられ、冊子が投入されたことを検知する図示しないセンサが設けられている。なお、冊子は、例えば、複数枚の紙葉類を綴じた用紙束であり、表紙および裏表紙は紙厚が厚いため、硬く(剛性の高い)、表紙と裏表紙との間には柔らかい(剛性の低い)紙が用いられている。
【0017】
搬送路103は、挿入口102とページめくり部106との間で冊子をガイドする下側搬送ガイド113(第1のガイド部)と上側搬送ガイド114(第2のガイド部)とを備えている。また、搬送路103は、冊子を搬送させる複数の搬送ローラ115a〜115hを備えている。
【0018】
搬送ローラ115a、115bは、上下に対向して配置され、搬送ローラ115c、115dは、上下に対向して配置されている。搬送ローラ115a、115bと搬送ローラ115c、115dとの間に冊子読取部104が設置されている。
【0019】
搬送ローラ115e、115fは、上下に対向して配置され、搬送ローラ115g、115hは、上下に対向して配置されている。搬送ローラ115e、115fと搬送ローラ115g、115hとの間に印字機構部105が設置されている。
【0020】
搬送ローラ115b、115d、115f、115hは、駆動ローラであり、従動側の搬送ローラ115a、115c、115e、115gが搬送ローラ115b、115d、115f、115hに圧接するように構成されている。
【0021】
この冊子処理装置101において、挿入口102より挿入された冊子を搬送ローラ115a、115c、115e、115gによって搬送し、冊子ページめくり装置106へと受け渡す。
【0022】
図3は、冊子ページめくり装置の側面図である。
図3に示すように、冊子ページめくり装置は、冊子205を搬送するための対向する一対ローラ軸で構成されるローラ2組202a、202b、202c、202dの間に構成される。各搬送ローラ対202a、202b、および202c、202dは、いずれか一方のローラがモータなどによる駆動力を与えられている駆動ローラとなっている。また、いずれか一方のローラは、ばね等によって、押圧力が付与され、もう一方のローラ側に圧接されている。さらに、これらの搬送ローラは、表面にゴム状の弾性層を有する。このローラの弾性層の変形と前記したばね等により押圧されているローラの動きで、厚さの異なる冊子でも、安定な搬送を実現することができる。
【0023】
また、ローラ対202a、202b、および202c、202dの間の間隔W1は、搬送する冊子205の搬送方向幅W2より数mm〜数十mm程度(5〜15mm程度)短い間隔に配置され、常にどちらか一方のローラ対によりニップされた状態となっており、冊子が装置の搬送路内においてどの位置にあっても搬送することができるようになっている。
【0024】
また、冊子205をページめくり規定位置(図示する位置)に搬送する際は、下側搬送ガイド113と冊子開き側の先端を押えるための先端押え手段201a、201bと搬送路の1面を開放することのできる経路開放ガイド203a、203bにより形成される冊子搬送路103内にて搬送される。本実施例では、部品点数及び装置コスト削減のために、冊子開き側の先端を押えるための先端押え手段が上側搬送ガイドとして兼用しているが、先端押え手段とは別に上側搬送ガイドを設けてもよい。
【0025】
なお、ここで言うページめくり規定位置とは、冊子205の綴じ側を一方の搬送ローラ対にてニップしており、且つ、冊子205がもう一方のローラ対にニップされず、冊子開き側の先端が冊子開き側の先端を押えるための先端押え手段201bの下面に位置する状態をいう(図参照)。ページめくり規定位置へ搬送された冊子205は、冊子205が反っている場合は、
図3に示すように、その開き側先端が、上側搬送ガイド201bと接触するような状態となる。
【0026】
ここで、ページめくり規定位置へ正しく冊子205を搬送することは、ページめくりを安定的に行う上で重要となる。そのため、ページめくり規定位置へ冊子205を正しく搬送するために、冊子位置検出手段を設けてもよい。その冊子位置検出手段により、冊子位置を検出し、その情報を元に搬送ローラ202a、202b、202c、202dを制御し、冊子205を搬送することで、ページめくり動作の安定性を向上させることができる。
【0027】
また、冊子ページめくり装置では、搬送路103から冊子表面ページを引出すページ引出し手段204を設けている。このページ引き出し手段は、図示しない駆動源により上下動することができ、ページを引出す際は、冊子205に向かってページ引き出し手段を下ろし、冊子205と接触させて吸着力を発生させる。吸着力を発生させる手段としては、負圧、粘着、または静電気といった手段を用い、更にその吸着力のON/OFFを制御できることが望ましい。吸着力のON/OFF制御ができない場合は、吸着力を発生させる手段と吸着力を剥がす手段を有する必要がある。
【0028】
更に、冊子ページめくり装置は、順方向と逆方向のいずれの方向にもページめくりを行うことが可能となるよう、左右対称な形状となっている。
【0029】
図4は、冊子ページめくり装置の経路開放時の側面図である。
図4に示すように、ページめくりを行う際は、図示しない駆動源により、経路開放ガイド203a、203bを先端押え手段201a、201bの内部方向に移動させる。この動作により、搬送路の上面が開放され、ページめくり空間が確保される。この際、経路開放ガイド203a、203bは、
図3のように冊子205の搬送方向に移動して経路の上面を開放する。このように、経路開放ガイド203a、203bが扉状となっており、冊子205の搬送方向に移動することで、ページめくり空間を大きく確保することができ、ページをめくり返す動作の邪魔にならない。そして、その動作により、先端押え手段201a、201bがページめくり空間に露出してむき出しの状態となる(図参照)。
【0030】
また、先端押え手段201a、201bは、冊子205が反っている場合に、その先端部を抑えるため、下面(搬送路側面)の先端が搬送ローラ対のニップ点より15〜20mm程度の長さD1分内側となるように配置するのが望ましい。さらに、本実施例では、下面(搬送路側面)の先端の上(ページめくり空間側の斜め上方)にページ引き上げ分離点301a、301bがあり、先端押え手段201a、201bが、ページ引き上げ分離点301a、301bから搬送路面に向かって、ページ引き上げ分離点301aとページ引き上げ分離点301bとの間隔である開放間隔D2が少し広くなるように傾斜する形状となっている。すなわち、上記下面(搬送路側面)の先端よりもページ引き上げ分離点301a、301bがページめくり空間側に突出する形状となっており、上記下面(搬送路側面)の先端とページ引き上げ分離点301a、301bとの間で傾斜部S1が形成されている。
【0031】
ページを引き上げる際、この傾斜部S1にページ先端が擦れるようにして引き上げられることで、表面ページと次ページの分離をより安定にすることができる。このように本実施例では、部品点数及び装置コスト削減のために、ページ引出し手段204により持ち上げたページを保持することができ、且つ、残りの冊子と分離する分離手段を兼ねるページ保持分離部材となっているが、先端押え手段とは別にページ保持分離部を設けてもよい。
【0032】
また、ページ引き上げ分離点301a、301bの搬送路面からの高さは、冊子205が反っている場合においても分離が確実に行えるよう、先端押え手段201a、201bの下面(搬送路側面)より5mm程度高い位置にあることが望ましい。
【0033】
そして、本実施例では、先端押え手段201a、201bがページめくり動作の際、ページをめくり返すためのガイドを兼用するため、上方向に向かってページめくり空間が広くなるように傾斜部S2が形成されている。ページめくり動作時には、ページ引出し手段204によって引き出されたページを、この傾斜部S2に載せ、冊子開き側へと搬送することでページをめくり返す。したがって、先端押え手段201a、201bの傾斜部S2の傾斜角度は、ページの巻き込み防止の観点からページめくり空間に上側搬送ローラがむき出しとならず、且つ、ページを緩やかにめくり返すために、45〜60度程度であることが望ましい。以上のように、本実施例における先端押え手段201a、201bは、ページ引出し手段により持ち上げたページを保持することができ、且つ、残りの冊子と分離する分離手段を兼ねるページ保持分離部材であり、くの字形状を有する。
【0034】
次に、通帳表紙のページめくり動作手順について、
図5(A)〜(F)を適宜参照して説明する。
【0035】
初めに、
図5(A)に示すように、冊子処理装置101の挿入口102より挿入された冊子205を前述したページめくり規定位置へ搬送ローラ202a、202b、および202c、202dにより搬送路103上を搬送し、停止させる。
【0036】
次に、
図5(B)に示すように、図示しない駆動源により、経路開放ガイド203a、203bを冊子搬送方向へ移動させ、ページめくり空間を確保する。
【0037】
そして、
図5(C)に示すように、図示しない駆動源によりページ引出し手段204を搬送面方向へ移動させ、冊子205と接触させる。そして、表面ページに対して吸着力を発生させる。
【0038】
その後、
図5(D)に示すように、ページ引出し手段204により、発生させた吸着力により冊子205の表面ページを保持しつつ、ページ引出し手段204を、搬送面とは逆の方向へ移動させることによって、持ち上げる。この時、ページの先端がページ分離点301a、301bよりも高い位置となるまで持ち上げる。
【0039】
そして、
図5(E)に示すように、ページ引出し手段204の吸着力を解除する。この際、引き上げられたページは、吸着力が解除されると、ページ分離手段を兼ねる先端押え手段201a、201bの上に乗る。そして、ページを先端押え手段201a、201bの上に乗せたまま、搬送ローラ202a、202bによって残りの冊子205を冊子開き側へ搬送する。
【0040】
最後に、
図5(F)に示すように、冊子205に対する冊子開き側への搬送を、搬送ローラ202a、202b、および202c、202dによって続けることで、先端押え手段201a、201bの上に乗せたページがめくり返され、冊子205のページめくりを完了する。
【0041】
ここで、
図3にて示したように、冊子ページめくり装置が左右対称な構造のため、同様の動作を行うことで、
図5で示したページめくりの向きと逆側にページをめくることも可能である。
【0042】
このように、本実施例では、冊子をページめくりするページめくり装置を構成するページめくり部106において、冊子の表面または裏面を押える第1のガイド部である下側搬送ガイド113または上側搬送ガイド114と上記第1のガイド部とは異なる面を押える第2のガイド部である上側搬送ガイド114または下側搬送ガイド113とにより冊子の搬送路103を形成する搬送ガイドと、冊子を搬送する不図示の搬送手段と、を備え、上記搬送ガイドは、上記第1のガイド部または上記第2のガイド部のいずれかに、上記搬送路の一面を開放させる開放手段である経路開放ガイド203a、203bと、開き側の冊子のページの先端を押えるための先端押え手段である先端押え手段201a、201bとを有し、上記先端押え手段により先端が押えられた冊子のページを上記開放手段により形成される開放空間であるページめくり空間に引出すページ引出し手段204を備えている。このため、ページを大きく座屈させることなく、且つ冊子が、例えば凸状等に反っているといった場合でも正しくページめくりできるようになる。
【0043】
また、上記開放手段は、冊子の搬送方向に可動する扉であるため、搬送方向以外の方向に開閉する開閉式の扉の場合と比べて、扉を開閉するための空間を必要とすることがなくなり、コンパクトな構成とすることができる。
【0044】
また、上記先端押え手段は、上記ページ引出し手段により持ち上げられたページを保持し、且つ、保持したページとそのページ以外のページにより構成される残りの冊子とを分離する分離手段を兼ねるページ保持分離部であるページ保持分離部材を有するので、確実にページを分離することができる。
【0045】
また、上記保持分離部は、上記開放空間に突出し、持ち上げられたページを残りの冊子から分離する引き上げ分離点を有するので、様々な形状の上記保持分離部において形成される当該分離点で確実にページを分離することができる。
【0046】
また、上記保持分離部は、引き上げ分離点の上下方向に傾斜したくの字形状を有するので、分離したページの保持とページの分離とを1つの部材で確実に実現することができる。
【0047】
上記のようなページめくり装置と、冊子のページに所定の情報を印字する冊子プリンタ等から構成される印字機構部または印字された前記所定の情報を読み取る冊子スキャナ等から構成される冊子読取部の少なくともいずれか1つとを有し、冊子をページめくり装置へと受け渡す搬送ローラや搬送モータから構成される冊子搬送手段を備える冊子処理装置101に適用してもよい。この場合、冊子処理装置はページめくり装置で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、上記冊子処理装置と、その冊子処理装置に冊子に関する処理の実行を受け付けるタッチパネルから構成される操作部である操作盤2を備えた自動取引装置(ATM)に適用してもよい。この場合、自動取引装置(ATM)はページめくり装置や冊子処理装置で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0049】
すなわち、搬送経路から表面ページに対して吸着力を発生させ冊子表面ページを引出すページ引出し手段により、ページを大きく座屈させることなくめくりページを分離することが可能となる。その後、分離したページを、冊子を搬送することによってめくり返し、ページをめくる。
【0050】
また、該搬送ガイド上に搬送路の1面を開放することのできる経路開放ガイドにより、冊子が凸状に反っている状態や開き癖や閉じ癖がついている状態等といった冊子の状態が悪い場合に対しても、冊子を、ページめくりをするための位置に正しくセットすることができる。そして、冊子開き側の先端を押えるための先端押え手段により、経路開放ガイドにより冊子の上面が開放され、ページをめくる段階においても、冊子の状態をページめくりのために適正に保つことが可能となる。
【0051】
以上のように、簡易な構造により、紙を大きく座屈させることなく、且つ、冊子状態が悪い場合(冊子が凸状に反っている状態や開き癖や閉じ癖がついている状態等)でもページをめくることが可能となる冊子ページめくり装置およびそれを用いた冊子処理装置および自動取引装置(ATM)を提供することができる。
【0052】
本発明の範囲はこれらに限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々変更することが可能である。