(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6680794
(24)【登録日】2020年3月24日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】電気化学セル装置及びその使用
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0282 20160101AFI20200406BHJP
H01M 8/2432 20160101ALI20200406BHJP
H01M 8/0247 20160101ALI20200406BHJP
H01M 8/2404 20160101ALI20200406BHJP
H01M 8/0202 20160101ALI20200406BHJP
C25B 1/04 20060101ALI20200406BHJP
F16J 15/00 20060101ALI20200406BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20200406BHJP
【FI】
H01M8/0282
H01M8/2432
H01M8/0247
H01M8/2404
H01M8/0202
C25B1/04
F16J15/00 Z
!H01M8/12 101
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-550800(P2017-550800)
(86)(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公表番号】特表2018-516429(P2018-516429A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】EP2016056360
(87)【国際公開番号】WO2016156145
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】102015205728.3
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102015205944.8
(32)【優先日】2015年4月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】メゲル シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シャド ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】クスネゾフ ミハイルス
(72)【発明者】
【氏名】シリム ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】トロフィメンコ ニコライ
【審査官】
高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−312818(JP,A)
【文献】
特表2008−535149(JP,A)
【文献】
実開平06−015262(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0165729(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に形成された凹部(410)と、前記凹部(410)の外周側に設けられたガス通過のための開口部とを有するインターコネクタ(400)と、
カソード(120)、電解質(110)、アノード(130)がこの順序で形成され、前記凹部(410)内に配置された電気化学セル(100)と、
前記カソード(120)の外側の面に配置されたカソード側接触要素(200)と、
前記アノード(130)の外側の面に配置されたアノード側接触要素(300)と、
をそれぞれ備える複数の繰り返しユニットが上下に配置され、互いに電気的に導通する電気化学セル装置であって、
個々の平面の電気化学セル(100)の面積は、いずれも個々の前記インターコネクタ(400)の面積よりも小さく、
前記凹部(410)内の電解質(110)の上面は、いずれの場合も前記インターコネクタ(400)の前記表面の平面と同一平面に仕上げられ、
いずれの場合も前記インターコネクタ(400)の前記表面に取り付けられるのは、前記電解質(110)と前記インターコネクタ(400)の前記凹部(410)の側面との間のギャップ(内部接合)及び2つの隣接する前記インターコネクタ(400)のガス通過のための前記開口部間のギャップ(外部接合)をシールするための、一定の厚さを有するガラスはんだの単一のシール層(500)であり、
隣接する前記繰り返しユニットの2つの対向する表面上にそれぞれ1つずつ配置された、2つのガラスはんだシートを重ねて配置することにより、一定の厚さを有する前記シール層(500)を形成して、前記繰り返しユニット間の接合を形成する、
装置。
【請求項2】
前記装置は、一端側のトッププレート(700)と、他端側のベースプレート(800)とで閉鎖されていることを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シール層は、前記カソード側接触要素(200)又は前記アノード側接触要素(300)が配置される領域、また、酸化剤又は燃料を供給するための、又は、ガラスはんだのオフガスを除去するための前記開口部により形成されるチャネルが形成される領域から離れている、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記シール層(500)は、前記繰り返しユニットの、少なくとも1つの表面上に一定の厚さで形成されていることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記シール層(500)は、20%の最大厚さ偏差を有することを特徴とする、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
個々の前記繰り返しユニットに対向して配置された表面上の前記シール層(500)は、それぞれ異なる厚さを有し、個々の前記シール層(500)の厚さが一定であり、前記繰り返しユニットの対向する表面上に形成された前記シール層(500)は、焼結につながる熱処理の前に、それぞれの厚さが≦20%の偏差を有する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ガラスはんだシートは、前記凹部(410)を囲むように配置された、前記シール層(500)を形成する4つのガラスはんだシート要素(510、520、530、540)を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
4つの前記ガラスはんだシート要素(510、520、530、540)は、各接合部で直接接触することを特徴とする、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
隣接する前記繰り返しユニットの2つの対向する表面上にそれぞれ1つずつ配置された、前記ガラスはんだシートは形状が同一であり、互いに180°回転して配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
燃料電池及び/又は電解槽としての、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セル装置及びその使用に関し、特に、電解セル及び/又は燃料電池、特に固体酸化物形燃料電池(SOFCs)又は固体酸化物形電解セル(SOECs)で用いられる平面セルスタックとして、コスト効率よく、且つ、自動化可能に製造できる、電気化学セルの接合要素及び接触要素に関する。本発明はさらに、電気化学セルのような隣接する繰り返しユニットの組み立て、及び、接合工程において電気化学セルの電極と金属バイポーラプレートとの間の接触を実現するための、ガラスからなるシートの効率的な使用に関する。本発明はさらに、電流及び熱を生産するためのSOFCスタック、並びに、水素及び/又は合成ガスを高効率で生成するためのSOECスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー変換及び水素製造に使用するための平面セルスタックは、従来技術から知られている。一般に、複数の平面セルが接合され、カソード−電解質−アノードアセンブリ(「セル」として知られている)、バイポーラプレート(「インターコネクタ」として知られている)、接合要素及び接触要素からなる個々の繰返しユニットが積層方向に沿って互いに続く、セルスタックが形成される。個々の繰り返しユニット間の電気的接触は、熱処理(接合工程として知られる)によって達成される。インターコネクタ配置による個々のセルのこの電気的接続は、セルを電気的に直列に配置し、セルスタックを必要な電力までスケールアップすることを可能にする。
【0003】
繰り返しユニットは、ここでは、個々の構成要素(セル、インターコネクタ、接合要素及び接触要素)から室温で組み立てられ、スタック構築の次のステップで用いられるスタック要素として定義される。燃料電池の用途において、典型的には、セルの空気側はカソード側(酸素還元が行われる)と呼ばれ、燃焼ガス側はアノード側(水素酸化が行われる)と呼ばれる。電解槽の用途において、空気側はアノード側(酸素の酸化が起こる)になり、燃焼ガス側はカソード側(水蒸気からの水素の還元が起こる)になる。
【0004】
先行技術は、燃料電池として適用するための、このような繰り返しユニットの構築のための多くの変形を開示している(米国特許出願公開第2003/0235746号明細書、独国特許発明第10330476号明細書、独国特許発明第10350478号明細書、欧州特許第2132814号明細書、国際公開2008/022638号)。これらの変形例では、インターコネクタへのセルの融合した気密接続(内部接合(internal joining)として知られている)と、個々の繰り返しユニットの接続(外部接合(external joining))における燃焼ガス空間、及び、場合によっては空気空間(マニホールド)の封止(sealing)とは、これらの記述及び関連する文献において別々に考慮される。
【0005】
前述の明細書の分析は、米国特許出願公開第2003/0235746号明細書が、本質的に、セルのマルチ層ンターコネクタ(内部接合)との一体化を記載していることを示している。インターコネクタは、ここでは4つの金属フレームからなる。それぞれのセルは、ガラスはんだによってフレームに接続されている。この構成には、(支柱(struts)の形態の)カソード及びアノード接触要素が設けられ、これにより繰り返しユニットを形成する。繰り返しユニットのガス空間は、さらなるガラスはんだ層(外部接合)によって封止される。従って、この構成では、厚さの異なる、異なる積層面における2つのガラスはんだ層が必要とされ、そのような繰り返しユニットの費用対効果の高い製造を行うことがより困難になる。
【0006】
独国特許発明第10330476号明細書、特に
図2は、厚さの異なる少なくとも2つのガラスはんだ部分が繰り返しユニットの片側に塗布されることが求められる繰り返しユニット構造を記載している。これには、異なる厚さのガラスはんだシートの使用が必要であり、少なくとも2つの塗布工程が必要である。
【0007】
独国特許発明第10350478号明細書は、セルを金属ハウジング上で焼結する(セルのインターコネクタへの焼結による内部結合)構造を記載している。その後、接触要素及び接合要素を生成された部品に適用して、繰り返しユニットを形成する。この解決策の実質的な欠点は、金属ハウジング上へのセルの焼結のための追加の熱処理工程にある。
【0008】
欧州特許第2132814号明細書は、セルをインターコネクタに効率的に接触させる(内部接合)方法を記載しており、内部接合は、ガラスはんだ部品をインターコネクタの一方の側にのみ配置することを必要とする。このケースでは、外部接合は記載されていない。ガラスはんだ部品の片側塗布は、特に、厚い接合要素(厚さ>0.4mm)の場合に問題であり、ガラスはんだシートの複数の連続的な塗装又は複数の連続的な積層が必要となり、追加コストがかかる。
【0009】
国際公開第2008/022638号パンフレットは、電解質のサイズ及び形状が金属フレームのサイズと同じであるため、内部接合及び外部接合を同時に実現することができる、セルのマルチ層インターコネクタとの一体化を本質的に記載している。この構成の外形寸法の拡張性は、電解質材料及び金属インターコネクタの熱膨張の差によって制限される。一般に、セルの大きさ(セルの大きさはセルの外寸によって決定される)は、金属インターコネクタのサイズよりも小さい。
【0010】
この従来技術に基づいて、平面セルの面積のそれぞれの大きさがインターコネクタの面積よりも小さい、繰り返しユニットの構造を最適化する必要が引き続き存在する。これは、特に、使用される接合部品の数、及び、当該部品の適用及び接続に必要なステップ数に関連する。繰り返しユニットの最終的な厚さに関わらず、均一な厚さのガラスはんだ部品が外部及び内部接合に使用できる場合、この目的には理想的である。ここでの利点は、これらの部品を両方のインターコネクタ領域に対称的に適用できることである(均一な塗布技術)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0235746号明細書
【特許文献2】独国特許発明第10330476号明細書
【特許文献3】独国特許発明第10350478号明細書
【特許文献4】欧州特許第2132814号明細書
【特許文献5】国際公開2008/022638号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、電気化学セル装置の製造、特に組み立て及び接合を単純化し、周囲雰囲気に対して高いレベルの気密性を持続的に達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する装置によって達成される。請求項12に使用が規定される。本発明の有利な実施形態及び発展は、従属請求項に特定された特徴によって実現され得る。
【0014】
上下に配置され、互いに電気的に導通する本発明の電気化学セル装置は、繰り返しユニットを用いて形成される。繰り返しユニットは、少なくとも1つのインターコネクタ、いずれもカソード、電解質及びアノードの順に形成される電気化学セルからなる。インターコネクタにはガス通路ための開口部が形成されている。繰り返しユニットのさらなる要素は、アノード側及びカソード側の接触要素である。
【0015】
電解質は、それぞれ、各インターコネクタの表面の平面と同一平面に仕上げられている。一定の厚さを有するガラスはんだの単一のシール層が、いずれの場合もインターコネクタの表面に取り付けられる。この単一のシール層により、内部接合と呼ばれる電解質とインターコネクタの間のギャップをシールし、外部接合として知られる2つの隣接するインターコネクタのガス通過のためのギャップをシールすることが可能である。
【0016】
従って、本発明の場合には、個々のインターコネクタの表面上に形成された、一定の厚さを有するガラスはんだの単一のシール層のみで、外部接合及び内部接合を達成することができる。
【0017】
装置は、一端側のトッププレートと、他端側のベースプレートとで閉鎖されている。
【0018】
さらに、電気化学セルの個々の電解質の外縁部は、インターコネクタの表面に形成されたカソード凹部の縁部と面一に仕上げることができる。
【0019】
密封される表面には、ガスの通過、特に酸化剤(例えば空気)及び燃料(例えば水素)の供給及びオフガスの除去のためのチャネルが形成される領域が形成され、電気化学セルの電極の一つの接触要素が配置されている領域は、ガラスはんだから離しておかなければならない。
【0020】
以下では、燃料電池(カソード側=空気側、アノード側=燃焼ガス側)として電気化学的に適用するためのセルスタックの構成例を用いて本発明を説明する。セルスタックは、電解のためにも使用することができ、この場合、空気側がアノード側になり、燃焼ガス側がカソード側になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】繰り返しユニットの基本構成を斜視図及び断面図で示す。
【
図2】繰り返しユニットの基本構成を斜視図及び断面図で示す。
【
図3】シール層が形成される繰り返しユニットの2つの対向して配置された表面上に、グリーン状態のガラスはんだシート要素を有する、繰り返しユニットの基本的な構成の斜視図及び断面図である。
【
図4】繰り返しユニットの表面上の平面内のガラスはんだシート要素の可能な実施形態及び配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び
図2は、本発明の内容において使用され得る既知の種類の繰り返しユニットの構成を示す。インターコネクタ400は、間に適切な電解質110が配置されている、カソード120及びアノード130で形成されたユニットより大きな面積を有している。 インターコネクタ400のカソード−電解質−アノードアセンブリ(CEA)の領域には、少なくとも電解質110がインターコネクタ材料上の外側端部側に載るように、CEAを挿入することができるカソード凹部410が形成されている。カソード凹部410の領域では、隆起部及びくぼみは、酸化剤がカソード120に到達することができるガスチャネルを形成する。
【0023】
図1及び
図2の斜視図には、カソード凹部410に加えて、チャネルを形成し、これを用いて酸化剤(より詳しくは空気)又は燃料の供給、及び/又は、オフガスの除去を行うことができる、符号が付されていない切欠きが示されている。
【0024】
さらに、
図2は、インターコネクタ400の表面にシール層500がどのように形成され、当該表面に接続されているかを示すことを意図している。この場合のシール層500は、アノード130及び酸化剤、燃料及びオフガスのためのチャネルにそれぞれアクセスすることができる切欠きを有する。
【0025】
図4を参照すると、インターコネクタ
400の2つの対向する表面上に融着接続されるシール層は、複数のガラスはんだシート要素510、520、530、540で形成され得ることが明らかになる。これらのガラスはんだシート要素510、520、530、540は、端面によって互いに当接し、アノード130及びチャネルの周りに途切れのないシール層500を形成する。
【0026】
ガラスはんだシート要素510、520、530、540の可能な幾何学的形状及び配置が、
図4に示されている。
【0027】
本発明の装置の一例が
図5の部分断面図に示される。この場合、3つの繰り返しユニットは、一端側のトッププレート700と、反対側に配置された端側のベースプレート800とに挟まれており、これにより、トッププレート700とベースプレート800とで流体密閉を達成することができる。両方のプレート700、800は、導電性材料からなりうる。
【0028】
さらに、繰り返しユニット間の封止は、いずれの場合も、シール層500を有する繰り返しユニットのインターコネクタ400の表面に直接隣接する繰り返しユニットのインターコネクタ400の表面に融着接続された1つのシール層500によって達成できることが明らかになる。
【0029】
図5及び
図6から、電気化学セルの面積、換言すればCEAの面積は、インターコネクタ400の面積よりも小さいこともまた明らかになる。
【0030】
図6は、それぞれのインターコネクタ400のそれぞれの表面に融着接続された、隣接する繰り返しユニット間にそれぞれ焼結されたシール層550を有する、熱処理後に得られた完成した装置を示す。また、酸化剤及び燃料が電極120、130に到達することができるガス供給構造によって流れる電流が、電極120及び130からそれぞれのインターコネクタ400に達する、カソード側接触要素200及びアノード側接触要素300を認識することができる。
【0031】
ガラスはんだシート要素510〜540の均一な全体厚さは、2つの平らな平面領域が互いに接続される場合にのみ利用することができる。本発明の根底をなす解決策は、セル100の電解質110の表面がインターコネクタ表面の1つと同一面の平面を形成するような方法で起こる、インターコネクタ400への電気化学セル100の接続も含む(
図1の例を参照)。この目的のために、それぞれのカソード接触要素300、カソード
120及び電解質110は、それぞれのインターコネクタ400のカソード側の切欠き410に収容されてもよい。インターコネクタ400の対向する面には切欠きがなく、ガラスはんだシート要素510〜540は、アノード側接触要素300とアノード
130の厚さ(この場合、<50μm)とをブリッジするだけでよい。薄いアノード側接触要素
300(<100μm)の場合、例えば、スクリーン印刷又はマスク印刷を、接合のために、インターコネクタ400の対向面に均一な厚さでガラスはんだを塗布するのに利用することができる。
【0032】
要素へのガラスはんだシートの塗布において、完成したガラスはんだシート部品を手動でインターコネクタの表面又は電気化学セルの表面に接着するために、補助剤を使用することが現在行われている。この工程では、幾何学的に正確な配置は困難であり、通常、補助剤又は適切な厚さの非常に硬いガラスはんだシートのみで達成することができ、これは非常に時間がかかる。本発明の内容において、ガラスはんだシート要素510〜540の適用は、打ち抜き工程及び塗布を連続して行うことができる半自動機械によって行うことができる。ガラスはんだシート要素510〜540の打ち抜きとパンチのダイへの固定の結果、ガラスはんだシート要素510〜540は形状及び位置の非常に高い精度を有する。塗布工程は、打ち抜きに利用される半自動又は好ましくは自動的に動作する機械の部分に直接接続された、プログラムされたロボットグリッパ(robot gripper)によって行うことができるので、ガラスはんだシート要素510〜540の位置決め又はマガジン加工(magazining)の必要はない。結果として、ガラスはんだシート要素510〜540をマイクロメータ精度で位置決めすることができる。これにより、打ち抜かれたガラスはんだシートの追加の取り扱いによって生じる欠点の全てを回避することが可能になる。
【0033】
一般に、アノード側接触要素300の厚さは、0.3mm〜0.5mmである。1つの選択された例では、アノード側接触要素
300の厚さは、接合後の電気化学セル100の全体の厚さを最終的に画定する。 相互に接合される要素は、焼結前に約50%の収縮を考慮して、非焼結(又は「グリーン」)状態で約0.6〜1.0mmの全体厚さを有する。この厚さの範囲内で、接合のためにガラスはんだシートを使用することが有用である。原理的には、テープキャスティングによって厚さの大きさの順にガラスはんだシート要素510〜540を製造することは技術的に可能である。しかし、乾燥した状態で約±10μmの許容厚さ公差を達成することはほぼ不可能である。このため、ガラスはんだシート要素510〜540をテープキャスティングにより0.25mm〜最大0.45mmの厚さで製造し、それらを互いに積層する方がコスト的に有利である。片面塗布の場合、個々のガラスはんだシートを互いに接続する2〜4の積層工程が必要となる。この努力及び複雑さを回避するために、ガラスはんだシート要素510〜540をインターコネクタ400の対向する表面上に対称的に配置することができる(
図2、
図3参照)。ここで、異なるバッチのテープキャスティングのプロセスで生じる、相互に逸脱した(又は、「相補的な」)厚さ公差を有するガラスはんだシート要素510〜540を使用することができ、ガラスはんだシート製造における不良率をかなり低減することができる。さらに、ガラスはんだシートは、単純な構成要素から構成することができるので、接合すべき部品の打ち抜き時の不良率を低減することができる。
【0034】
図4は、アノード側の接触の厚さが350μmであり、アノードの厚さが50μmのときに、シール層500に使用することができるガラスはんだシート要素510、520、530、540の形状及び厚さを示す。ガラスはんだシート要素510、520、530、540は、厚さ350±20μmのグリーンガラスシートから打ち抜かれ、次のステップで、予め組み立てられた繰り返しユニット(
図3)の表面上に自動的に配置される。ガラスはんだシート要素510、520、530、540は、事前に測定され、厚さのクラスに予め分類され、2つの対向する面上の共通の接合平面内に、互いに重ねて配置されたガラスはんだシート要素の合計厚さが700±20μmとなる。
【0035】
解決策が提示されると、個々のガラスはんだシート要素510、520、530、540の間で接合が起こり、その後の接合工程でガラスはんだの粘性流れによってこれらの接合部を閉じることができる状況が生じる。ここでは、予め組み立てられた繰り返しユニットの他方の側に同じガラスはんだシート要素510、520、530、540を配置する前に、インターコネクタ400を180°回転させることが有利であろう。その結果、インターコネクタ400の対向する面上のガラスはんだシート要素の接合部は、上下に配置されず(
図5)、接合工程中により容易に閉じることができる。
【0036】
インターコネクタ400の表面へのガラスはんだシート要素510、520、530、540の半自動又は自動塗布は、異なる特性(非常に柔らかいシートを含む)を有するガラスはんだシートでの塗装が、効率的かつ高品質で行われることを可能にする。進行中の工程では、それぞれの電気化学セル100は、その
アノード接触によってインターコネクタ400の反対側に配置された表面に塗布される。ガラスはんだシート要素510〜540の第2の層は、180°の回転オフセットで、半自動又は自動のガラスはんだシート塗布装置を用いて、このアセンブリに塗布される。このアセンブリへのガラスはんだシートの手動塗布は、技術的理由及び時間的理由から、半自動又は完全自動方式で有利に行うことができる。これらの工程により、インターコネクタ400及びガラスはんだシート要素510〜540用のカセットを利用することによって、ガラスはんだシートの完全自動塗布が可能である。
【0037】
繰り返しユニットは上下に積み重ねられ、トッププレート700及びベースプレート800(
図5)を備えている。その後、セルスタックは、ガラスはんだを利用して、熱処理によって不浸透的かつ融合的に接合される。この工程の過程で、
図6に示すように、セル100のアノード
130と
アノード側接触要素300との間で、セル100を互いに直列に接続するのと同様に、接触が達成される。電気化学的初期化手順に続いて、上下に配置された複数の繰り返しユニットで形成されたセルスタックは、燃料電池又は電解槽として使用する準備が整う。
【符号の説明】
【0038】
100 電気化学セル
110 電解質
120 カソード
130 アノード
200 カソード/空気側接触要素
300 アノード/ガス側接触要素
400 保護層有/無インターコネクタ
410 カソード凹部
500 グリーン状態のガラスはんだのシール層
510 ガラスはんだシート要素
520 ガラスはんだシート要素
530 ガラスはんだシート要素
540 ガラスはんだシート要素
550 組み立て状態のシール層
600 小さいインサートプレート
700 トッププレート
800 ベースプレート