(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)内において、前記活性層(6)に隣接している前記導電性層(4,5)の前記層部分が、それぞれの導電性層(4,5)の全厚の50%以下である、請求項3又は4に記載のグレージング(1)。
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)が、銀、金、銅、ニッケル、クロム、タングステン、グラファイト、モリブデン、及び/又は、透明伝導性酸化物を含有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)が、それぞれ、20nm〜2μmの合計層厚を有している透明伝導性酸化物を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
前記活性層(6)が、少なくとも、前記第一導電性層(4)に隣接しているエレクトロクロミック層(6a)、前記エレクトロクロミック層(6a)に隣接している電解質(6b)、及び、前記電解質(6b)に隣接しており、かつ前記第二導電性層(5)に隣接している対向電極(6c)、を有しているエレクトロクロミック機能性要素である、請求項10に記載のグレージング(1)。
前記活性層(6)が、少なくとも、前記第一導電性層(4)に隣接しているエレクトロクロミック層(6a)、及び、前記エレクトロクロミック層(6a)に隣接しており、かつ前記第二導電性層(5)に隣接している対向電極(6c)、を有しているエレクトロクロミック機能性要素である、請求項10に記載のグレージング(1)。
請求項1〜13のいずれか一項に記載のグレージング(1)の、グレージングとしての使用、建物における使用、又は、陸上、空中、若しくは水上の移動のための輸送手段における使用。
【背景技術】
【0002】
切り替え可能又は制御可能な光学的特性を有しているグレージングは、現代的な、アクティブグレージングの一種である。そのようなグレージングにおいては、例えば、適用される電圧の関数として、光の透過性に能動的に影響を及ぼすことができる。使用者は、例えば、グレージングを透明から非透明状態に切り替えて、外部から空間がのぞき込まれることを防ぐことができる。他のグレージングでは、透過率を連続的に制御して、例えば、空間への太陽光エネルギーの進入を制御することができる。このようにして、建物又は乗り物内部の望ましくない加熱が回避され、かつ、空調装置によってもたらされるエネルギー消費又はCO
2排出が低減される。結果として、アクティブグレージングは、視覚的に魅力的なファサードのデザイン及びインテリアにおける感じの良い照明デザインのために機能するだけではなく、エネルギー及び生態学の観点からも、有利である。
【0003】
既知の切り替え可能又は制御可能グレージングは、様々な技術的な原則に基づいている。エレクトロクロミックグレージングが、例えば、米国特許出願公開第2012/0026573号明細書、及び国際公開第2012/007334号から知られている。
【0004】
本発明は、特にはエレクトロクロミックグレージングに向けられているが、それに制限されない。エレクトロクロミックグレージングは、少なくとも1つの電気化学的に活性な層を有しており、この層は、可逆的に電荷を保持することができる。保持状態及び放出状態における酸化状態が、それらの着色の点で異なっており、これらの状態のうちの1つが、透明である。保持反応は、外部から適用される電位差を介して制御可能である。したがって、エレクトロクロミックグレージングの基本構造は、少なくとも1つのエレクトロクロミック材料、例えば、タングステン酸化物を含有しており、これが、表面電極、及び、帯電源、例えばイオン伝導性電解質、の両方と接触している。さらに、エレクトロクロミック層構造は、対向電極を有しており、この対向電極は、同様に、可逆的にカチオンを保持することができ、かつ、イオン伝導性電解質、及び、対向電極に接続している別の表面電極に、接触している。表面電極が、外部電圧源に接続されており、それによって、活性層に適用される電圧が制御されうる。表面電極は、ほとんどの場合、導電性材料の薄層であり、多くの場合にはインジウムスズ酸化物(ITO)である。多くの場合、少なくと1つの表面電極が、複合ガラスの個々のペインのうちの1つの表面に、例えば、カソードスパッタリング(スパッタリング)によって、直接適用されている。
【0005】
スパッタリングプロセスは、コーティングされる表面の純度の観点で、細心の注意を要求し、かつ、真空において実行される必要がある。一連の層の内部における最小の不純物又は個々のチリの粒であっても、製品において可視的な欠陥をもたらしうる。層積層体における伝導性粒子は、例えば、2つの透明導電性層の短絡をもたらす。同様の効果が、また、ガラス基材における粒子によっても引き起こされ、これは、粒子それ自体によって導入される応力に起因して局所的な剥離をもたらす。層積層体における剥離領域の位置に応じて、この場合には、短絡も予期されなければならない。短絡によって引き起こされる可視的な欠陥部の空間的な範囲は、実際の欠陥を超えて、遠くに広がる。これは、なぜならば、電圧降下が、欠陥の近傍で起こるからである。電圧降下のこの領域は、観察者に、周囲から色の点で逸脱しているエレクトロクロミックグレージングの領域として、目に見える。
【0006】
欠陥部の修復のための一つの方法は、短絡を引き起こす欠陥部の、例えば、国際公開第2015032535号で開示されているようなレーザー切断方法による、単離である。ここでは、欠陥を、層構造の残りの部分から、単離分離ラインによって分離し、それによって、欠陥に関連する電圧降下が、もはや、周囲のコーティングに影響し得ないようになる。残留する欠陥は、多くの場合、非常に小さいので、それは、もはや、観察者にとって邪魔になる効果を及ぼさない。このレーザー方法は、複雑かつ高価であり、したがって、コーティングプロセスの不合格率を低減することには、限定的に適しているのみである。
【0007】
米国特許出願公開第2014/0022621号明細書は、導電性層と活性層との間に提供されている電気絶縁性バリア層を有しているエレクトロクロミック装置を開示している。外来性の粒子がコーティングプロセスにおいて存在している場合には、コーティングが、少なくとも部分的に、基材ではなくこの粒子に堆積される。この粒子は、いずれ、局所的な剥離を引き起こし、かつ、短絡を引き起こしうる。導電性層と活性層との間のバリア層が、米国特許出願公開第2014/0022621号明細書によれば、そのような短絡を防止する。しかしながら、これに該当するのは、2つの導電性層の間のバリア層が変化しないままであり、かつ、バリア層それ自体が剥離領域の一部ではないように、剥離が起こった場合のみである。活性層の直近に提供されているバリア層は、また、活性層で起こる酸化還元プロセスによる影響をできるだけ受けないように、十分に高い電気化学的な安定性を有している必要もある。したがって、米国特許出願公開第2014/0022621号明細書に従ったバリア層のために利用可能な材料は、限定されている。さらには、バリア層と活性層との間の接触抵抗が、望ましくないほどに高い。
【0008】
この背景に照らして、記載した不利な点を容認する必要なく、局所的な欠陥に対する、電気的に切り替え可能なグレージングの許容度を、改善することが、望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、電気的に切り替え可能な特性を有しているグレージングを含んでおり、ここで、少なくとも、第一基材、第一導電性層、活性層、及び第二導電性層が、この順序で、互いに対して面状に配置されている。導電性層の少なくとも1つ、換言すると、第一導電性層及び/又は第二導電性層が、以下において「電気絶縁性」バリア層として言及される、1又は複数のバリア層を有している。本発明に関して、電気絶縁性バリア層が、導電性層内に配置されている。換言すると、基材に対して平行に広がっているバリア層の2つの表面が、導電性層の材料によって、面状に完全に覆われている。例えば、第一導電性層が、第一導電性層内に面状に配置されている少なくとも1つのバリア層を有しており、電気絶縁性バリア層が、第一導電性層によって面状に完全に覆われている。代替的には、又は、第一導電性層に加えて、第二導電性層が、第二導電性層内に面状に配置されている少なくとも1つのバリア層を有しており、電気絶縁性バリア層が、第二導電性層によって、面状に完全に覆われている。
【0013】
本発明に係る切り替え可能グレージングは、バリア層の使用を通して、局所的な欠陥に対する高い許容度を有している。これは、なぜならば、剥離後でさえも、このバリア層が、第一伝導性層と第二伝導性層を、互いから分離しているからである。このようにして、欠陥の近傍における電圧降下が最小化される。なぜならば、層積層体に垂直な伝導率が、バリア層によって大幅に低減されているからである。剥離後に、導電性層の部分がバリア層の上(すなわち、もとの層積層体におけるバリア層と活性層の間)に残っている場合には、残っている部分の層厚が、バリア層を除いた伝導性層の合計層厚よりも比較的小さい。したがって、導電性層のこの残っている比較的薄い部分のシート抵抗が、実質的に比較的高い。これは、なぜならば、シート抵抗は、層厚に反比例して増加するからである。比較的高い抵抗は、第一導電性層と第二導電性層との間における比較的低い短絡電流を伴い、それによって、剥離が製品品質に及ぼす影響が、本発明に従って低減される。したがって、導電性層内におけるバリア層の本発明に係る配置は、複数の層部分への伝導性層の分割に起因して、特に有利となる。バリアが残らないように剥離が起こる場合には、電流強度は、残っている導電性層の低い厚み、及び、付随する電極の低い横方向の伝導性によって、制限される。剥離の場所は、製品において可視可能なままであるが、しかしながら、視覚的に目立たない。これは、なぜならば、短絡、及び付随する広範囲の可視可能な電圧降下が、完全に回避され、又は、少なくとも実質的に低減されるからである。
【0014】
好ましい実施態様では、導電性層の層部分が、活性層と直接に接触している。活性層が導電性層の直近に提供されているので、低減された接触抵抗が、(バリア層及び伝導性層からなる)表面電極と活性層との間に起こる。また、電気絶縁性バリア層の材料の選択の観点から、比較的大きい柔軟性がある。なぜならば、バリア層が、活性層と直接に接触しておらず、したがって、そのために必要な電気化学的安定性を有している必要がないからである。欠陥場所の外では、電気的に切り替え可能なグレージングの接触抵抗は、バリア層の使用によって阻害されていない。なぜならば、活性層が、良好な導電性を有している導電性層と直接に接触しているからであり、したがって、伝導性層から活性層への十分な電子移動が確保されているからである。欠陥に関連する短絡は、関係する層の伝導性が高いほど、大きい。他方で、活性層の近傍の表面電極の一定の最小限の伝導率が必要であり、なぜならば、さもなければ、グレージングの機能が制限されるからである。機能の制限は、例えば、切り替え速度における減少、又は、切り替えられた状態における均一性の劣化によってさえも、確認される。活性層の近傍におけるこの伝導性は、活性層並びに第一導電性層及び/又は第二導電性層が、互いに直接に接触している場合に、改善されうる。
【0015】
本発明の代替的な実施態様では、バリア層のうちの少なくとも1層が、第一及び/又は第二導電性層内に配置されており、かつ、別のバリア層が、導電性層と活性層の間において、活性層に直接隣接して、提供されている。この実施態様は、さらには、剥離が起こったときに、改善された動作を有する。なぜならば、少なくとも1層の伝導性層が、バリア層によって複数の層部分に分割されているからである。
【0016】
第一導電性層及びこの層に配置されている電気絶縁性バリア層が、電気的に切り替え可能なグレージングの第一表面電極として機能し、一方で、第二導電性層及びそれに導入されているバリア層が、第二表面電極として使用される。第一表面電極及び第二表面電極は、好ましくは、透明である。これは、日中の光に対してグレージングが透明であり、必要な場合には、光の色が影響を受けることがない、という利点を有している。
【0017】
1又は複数のバリア層が通過している導電性層は、その導電性の観点で、異方性を呈しており、水平伝導率が、垂直伝導率よりも、実質的に比較的高い。この場合において、「水平伝導率」は、それぞれの層に平行である第一導電性層及び第二導電性層の伝導率として定義される。一方で、「垂直伝導率」は、層積層体に垂直な伝導率に対応する。この場合に、バリア層を含む導電性層の全体の層構造が考慮される。本発明に関して、水平伝導率は、可能な限り高く、それによって、活性層の良好な電気的接触を達成している。一方で、垂直伝導率は、電気的に切り替え可能なペインの制限されない機能性のために、正確に必要な高さである必要がある。本発明に係る高い欠陥許容性が、垂直伝導率におけるまさにこの低減によって、達成される。
【0018】
本発明に関して、1又は複数の電気絶縁性バリア層が、導電性層のうちの1つの内に導入されている。これらのバリア層及びそれぞれの周囲の導電性層が、それぞれ、切り替え可能なグレージングの表面電極を形成している。導電性層のうちの1つの内における単層のバリア層で、すでに、電気的に切り替え可能なグレージングの欠陥許容性の本発明に係る改善を達成するのに、十分である。さらなる改善が、2つの導電性層それぞれへの少なくとも1つのバリア層の導入によって、達成されうる。
【0019】
1つの導電性層のみにおいて1又は複数のバリア層を有しており、その一方で、他方の導電性層がバリア層を全く含有していない構造は、比較的低い製造コストの観点からだけではなく、層の接着の向上及び層積層体内に発生する応力の低減の観点からも、有利である。したがって、例えば、対応する導電性層がバリア層を有していない場合には、その層の強化は、必ずしも必要ではない。
【0020】
欠陥の非対称的な発生が頻繁に観察されるので、少なくとも1つのバリア層を有している第二導電性層を少なくとも備えていることが、実際上、合理的であることが証明されている。ここで、層積層体が、以下の順番:第一導電性層、活性層、及び第二導電性層、で第一基材に堆積される。したがって、第二導電性層は、導電性層のうちの1つであり、第一基材から最も離れているものである。バリア層を有していない第一導電性層の堆積の後、又は、この第一導電性層への活性層の堆積の後に、剥離が起こった場合には、結果として起こる短絡が、第二導電性層におけるバリア層によって、低減されうる。第一導電性層又は活性層を堆積する間における剥離は、比較的頻繁に起こる影響のうちの一つである。この場合には、剥離粒子が、第二導電性層の堆積の前に、完全に分離される可能性が高い。何パーセントの第一導電性層が剥がれ落ちるかは、それぞれの欠陥構造に依存する。このようにして、第二導電性層は、剥離領域に堆積され、それによって、第一導電性層の残っている部分と第二導電性層との間に、短絡が作り出される。したがって、仮に、コストの理由から、及び方法の単純化のために、バリア層が導電性層のうちの1つの内にのみ導入される場合には、第二導電層にバリア層を導入することが有利である。なぜならば、第二導電性層は、剥離しない可能性が最も高いからである。
【0021】
第一層が、第二層の上に面状に配置される場合には、本発明に関して、これは、第一層が、最も近い基材から、第二層よりも、離れて配置されていることを意味している。第一層が、第二層の下に配置される場合には、本発明に関して、これは、第二層が、最も近い基材から、第一層よりも、離れて配置されていることを意味している。
【0022】
本発明に関して、層は、1種の材料からできていてよい。しかしながら、層は、異なる材料の2以上の別個の層を含んでいてもよい。
【0023】
本発明の有利な実施態様では、第一導電性層及び/又は第二導電性層が、均一である。すなわち、それは、1つの同一の材料でできている。したがって、上述の少なくとも1層のバリア層は、導電性層を、同一の材料からできている2つの層部分に分割する。ここで、両方の層部分が、バリア層に直接に隣接していること(直接接触)が好ましい。複数のバリア層の場合にも、これが適用され、ここでは、導電性層が、同一の材料でできている複数の層区画に分割され、ここで、同一の材料でできている2つの層区画が、それぞれのバリア層に直接に隣接していることが、好ましい。
【0024】
本発明の別の実施態様では、第一導電性層、活性層、第二導電性層、及び少なくとも1つのバリア層が、同一の面積伸展を有している。すなわち、それらが、層端部において同一平面上で終わっている。
【0025】
第一層が、第二層の上又は下に配置される場合には、本発明に関して、これは、必ずしも、第一及び第二層が、互いに直接に接触して配置されていることを意味しない。明示的にそのことが排除されていない限りは、1又は複数の追加的な層が、第一と第二層との間に配置されうる。第一及び第二層が直接的に隣接している場合には、第一と第二層の間に追加的な層が位置しておらず、かつ、それらが、面状に直接に接触している。
【0026】
第一層が第二層内に提供される場合には、第一層が、第二層によって取り囲まれ、それにより、第一層の表面が、第二層によって完全に覆われているようになっている。本発明に関してこれが意味しているのは、導電性層内に配置されている電気絶縁性バリア層が、周囲の導電性層によって面状に完全に覆われているということである。したがって、表面電極内において、導電性層の層区画及び電気絶縁性バリア層の、一連の交互の層が存在し、外側層が、常に、導電性層によって形成されている。この定義は、層の面状の配置のみに基づいている。基材の端部において、又は、無コーティング領域との境界において、バリア層は、好ましくは、曝露されており、かつ導電性層によって取り囲まれていない。
【0027】
随意に、伝導性層内に配置されているバリア層に加えて、導電性層内に配置されていない他のバリア層が、層積層体に含まれていてよい。
【0028】
第一導電性層、活性層、及び第二導電性層を含んでいる層積層体は、好ましくは、基材の全表面にわたって延在している;しかしながら、代替的には、基材の表面の部分のみにわたって、延在している。
【0029】
導電性層を、基材の表面に直接に適用してよい。あるいは、導電性層及び活性層を、基材に接着的に結合されているキャリアフィルム又はキャリアガラスに適用してよい。
【0030】
本発明に係るグレージングの好ましい実施態様では、電気絶縁性バリア層が、第一導電性層及び/又は第二導電性層を通過しており、それにより、それぞれの導電性層の全厚の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%の層部分が、電気絶縁性バリア層と活性層との間に配置されている。このようにして、導電性層が、1又は複数のバリア層によって、複数の別個の層に分割され、伝導性層及びバリア層の一連の交互になったものが形成され、かつ、伝導性層によって、層積層体が終わっている。少なくとも1%の導電性層の部分が、バリア層の上に(バリア層と活性層の間に)存在している場合には、活性層の直近における伝導性が改善され、それによって、低減された接触抵抗が層移行部に存在するようになる。さらなる改善が、最上部のバリア層の上における少なくとも5%の導電性層の層部分の場合に、顕著となる。ここで、バリア層の上における導電性層の全厚の1%の層部分とは、以下のように解釈される:すべての導電性層の全厚の99%の厚みを有している導電性層が、この基材に存在しており、電気絶縁性バリア層が、これに続き、これの上において、導電性層の全厚に基づいて1%の厚みを有している別の導電性層が、この基材に提供されている。基材における導電性層の全厚は、基材上にあってバリア層によって互いから分離されているすべての別個の導電性層の厚みの合計に、等しい。第一基材に続く導電性層の層積層体は、随意にバリア層によって分離されており、第一導電性層を生じている。第一導電性層は、そこに存在し得るバリア層とともに、その全体として、第一表面電極を構成している。活性層が、第一導電性層に堆積されており、かつ、第二導電性層が、その上に配置されている。第二導電性層は、随意に、バリア層も有しており、これが、第二導電性層の別個の層断片を、互いから分離している。これらのバリア層及び第二導電性層の層区画が、その全体として、第二表面電極を生じている。
【0031】
第一導電性層及び/又は第二導電性層は、可能的な実施態様では、それぞれ、1〜20、好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜6の電気絶縁性バリア層を有している。バリア層の数が高い程、電気的に切り替え可能なグレージングの欠陥許容性が、比較的高い。欠陥の発生の後でさえも短絡を防ぐためには、電気絶縁性バリア層が、第一導電性層と第二導電性層との間に取得される必要がある。しかしながら、実際上は、層積層体のどの部分が損傷するのかは、信頼性良く予測可能ではない。なぜならば、様々な機構が欠陥の発生をもたらし、かつ、結果として発生する剥離領域の形状は、完全に予測することができないからである。導電性層内における増加した数のバリア層によって、少なくとも1つのバリア層が剥離後に残っているであろう可能性が、増加する。剥離後に、2つの異なる欠陥シナリオが考えられうる。一方では、剥離が、バリア層まで起こる可能性があり、そして、このバリア層が、第一伝導性層の残りの部分と第二伝導性層の間に位置し、その場合には、非常に小さい、欠陥によって引き起こされる短絡電流のみが流れる。この残留している欠陥によって引き起こされる短絡電流のサイズは、主に、バリア層の伝導性によって決定される。他方で、第一導電性層の層部分が、バリア層の上に残る可能性があり、それによって、短絡が、第一導電性層のこの層部分と第二導電性層との間に、発生する。しかしながら、本発明によって、導電性層のうちの少なくとも1つが、複数の(少なくとも2つの)別個の層に分割されており、そのシート抵抗が、層厚の減少に伴って増加しており、かつ、これらの層が、バリア層によって離されている。バリア層の上に(バリア層と、異極性の他の導電性層との間に)残っている導電性層が薄いほど、そのシート抵抗が比較的高く、かつ、作り出される短絡電流が、比較的小さい。本発明に係る、短絡電流におけるこの減少によって、観察者にとって光学的に可視的である電気的に切り替え可能なグレージングの欠陥も、最小限化される。導電性層当たりのバリア層の数が増加するのに伴って、別個の層区画の層厚が減少し、一方で、導電性層の全厚は一定のままである。このようにして、剥離後に、伝導性層の最小限の層部分が、最上部バリア層の上に残っており、又は、残っていないことを確保することが可能である。したがって、導電性層当たりの複数のバリア層の使用は、活性層を有しているグレージングの欠陥許容性をさらに向上させる。しかしながら、製造プロセスの間に適用されるバリア層の数とともに、製造コストも増加する。生産物のコスト効果が高い生産性と、電気的に切り替え可能なグレージングの欠陥許容性との間の、特に良好な関係が、導電性層の少なくとも1つの内における2〜6の電気絶縁性バリア層によって、得られる。
【0032】
好ましい実施態様では、活性層に隣接している第一導電性層及び/又は第二導電性層の層部分が、それぞれの導電性層の全厚に基づいて、50%以下である。したがって、導電性層の少なくとも半分が、バリア層よりも下に位置しており、かつ、起こり得る短絡の点で、バリア層によって保護されている。バリア層によって個々の導電性層の厚みを半分にすることは、バリア層を有しておらず同一の全厚を有している導電性層と比較して、シート抵抗が二倍になる結果となる。バリア層の上に位置している導電性層の部分は、50%を超えるべきではない。なぜならば、剥離が起こった場合に、導電性層のこの上部部分は、影響を受ける可能性が最も高いからである。短絡が起こった場合に、発生する短絡電流は、可能な限り小さく保たれる必要がある。すなわち、影響を受ける導電性層のシート抵抗が、可能な限り高い必要がある。これは、本発明に従った、バリア層よりも上に位置している50%以下の部分及びバリア層よりも下に位置している50%以上の部分への、導電性層の分割を通して、達成される。
【0033】
本発明の特に好ましい実施態様では、第一導電性層及び/又は第二導電性層が、少なくとも2つの電気絶縁性バリア層を有している。このようにして、改善された欠陥許容性が達成される。なぜならば、バリア層のうちの1つが剥離の間に除去された場合でさえも、別のバリア層が存在しているからであり、さらには、導電性層が、比較的高いシート抵抗を有している比較的薄い別個の層に分割されているからである。これは、粒子の剥離が起こる層深度に係わらず、2つの導電性層の短絡から生じる電流を可能な限り最小限にするために、特に有利である。
【0034】
好ましくは、第一導電性層及び/又は第二導電性層が、少なくとも2つの電気絶縁性バリア層を有しており、ここで、導電性層の全厚に対する、導電性の個々の層の層割合が、最も近い基材から活性層の方向へと、減少している。第二導電性層に続いて第二基材がない場合には、それでも、この場合に、観察は、この面から出発して活性層の方向に行われる。したがって、導電性層の最大の割合が、基材の直近に配置され、バリア層、導電性層の別の層部分、並びに、少なくとも1つのさらなるバリア層及び少なくとも1つのさらなる導電性層の層部分が、これに続く。粒子の剥離の後に特定の層部分が露出される確率は、活性層の方向における基材に対する層の位置に依存して、増加する。層区画が活性層に近いほど、剥離が起こったときにそれの上に位置している層が失われ、かつ、導電性層の露出した部分が短絡に関与する可能性が、比較的高い。したがって、導電性の個々の層の基材から活性層の方向への厚みを、減少させること、かつ、これにより、同じ方向における個々の層のシート抵抗を増加させることが、有利である。
【0035】
本発明に係る有利な実施態様では、第一導電性層及び第二導電性層が、それぞれ、2つの電気絶縁性バリア層を有しており、ここで、層構造が、以下のようになっている:
− 第一基材、
− 2つのバリア層を有している第一導電性層、ここで、第一導電性層の合計層厚に基づいて少なくとも50%の層部分が、第一基材の直近に配置されており、かつ、ここに、バリア層、第一導電性層の別の区画、別のバリア層、及び、最後に、5%〜25%、好ましくは10%〜20%の層厚を有している第一導電性層の区画が、続いている、
− 活性層、
− 2つのバリア層を有している第二導電性層、ここで、5%〜25%、好ましくは10%〜20%の層厚を有している第二導電性層の区画が、活性層の直近に存在しており、かつ、ここに、バリア層、第二導電性層の別の区画、別のバリア層、及び、最後に、第二導電性層の合計層厚に基づいて少なくとも50%の層厚を有している第二導電性層の区画が、続いている。
【0036】
そのような配置は、特に有利であることが証明されている。なぜならば、この配置は、高い欠陥許容性、及び導電性層の近傍における十分な伝導性の両方を有しているからである。随意に、第二基材が、第二導電性層に適用されている。
【0037】
導電性層は、好ましくは透明である。導電性層は、好ましくは、少なくとも金属、金属合金、又は透明伝導性酸化物(TCO)を有している。導電性層は、特に好ましくは、銀、金、銅、ニッケル、クロム、タングステン、グラファイト、モリブデン、及び/又は透明伝導性酸化物、好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素でドープされているスズ酸化物(SnO
2:F)、アンチモンでドープされているスズ酸化物、アルミニウムでドープされている亜鉛酸化物、ホウ素でドープされている亜鉛酸化物、若しくはガリウムでドープされている亜鉛酸化物を含有している。
【0038】
第一の好ましい実施態様では、金属が、導電性層の材料として選択されており、第一導電性層及び/又は第二導電性層が、それぞれ、1nm〜50nm、好ましくは2nm〜30nm、特に好ましくは3nm〜15nmの合計層厚を有している。バリア層によって離されている、第一導電性層及び第二導電性層の個々の層部分の厚みが、全体で、それぞれ、合計層厚を生じる。このようにして、活性層の有利な電気的接触及び層の良好な水平伝導率が達成される。
【0039】
第二の好ましい実施態様では、導電性層が、透明伝導性酸化物を有しており、第一導電性層及び第二導電性層が、20nm〜2μm、特に好ましくは50nm〜1μm、最も特に好ましくは100nm〜600nm、特には300nm〜500nmの全厚を有している。このようにして、活性層の有利な電気的接触及び層の良好な水平伝導率が達成される。
【0040】
バリア層によって分割されている導電性層の区画も、それらの組成において、互いに異なっていてもよい。これは有利であり、なぜならば、そのような実施態様では、活性層と直接接触している導電性層の上方区画の材料組成のみを、活性層の材料に適合させる必要があるからである。導電性層の他の層区画に関して使用可能な材料の、実質的に比較的大きい柔軟性が存在する。したがって、例えば、活性層から離れて面している層区画が、比較的高価でない材料からできていてよく、一方で、活性層に隣接している導電性層の区画が、比較的高い品質の材料であって相応の比較的良好な特性を有している材料から、作られている。第一導電性層及び第二導電性層それ自体の材料組成も、互いに異なっていてもよい。
【0041】
電気絶縁性バリア層を有している導電性層は、それ自体として知られているやり方で、少なくとも1つの外部電圧源に電気的に接続されることが意図されており、それによって、電気的に切り替え可能な特性を有しているグレージングの表面電極として機能する。電気的な接続が、適切な接続ケーブル、例えば、箔伝導体によって行われ、これらが、随意に、導電性層が接続されているいわゆるバスバー、例えば、導電性材料のストリップ、又は導電性インプリントを介して、導電性層に接続されている。導電性層への接続ケーブルの取り付けは、例えば、はんだ付け、接着、又は挿入によって行ってよい。
【0042】
電気絶縁性バリア層は、周囲の導電性層よりも実質的に比較的低い伝導率を有しており、それにより、伝導性層及びバリア層からなる全層構造の垂直伝導率が、バリア層の導入によって低減されるようになっている。それにもかかわらず、電気絶縁性バリア層は、特定の伝導率を有している必要があり、なぜならば、電気的に切り替え可能な要素が制限されずに機能するために、活性層への電子移動が必要だからである。したがって、本発明によれば、用語「電気絶縁性バリア層」は、低い導電率を有しているバリア層を意味しており、この導電率が、導電性層のそれよりも、実質的に比較的低い。
【0043】
異なる伝導率の材料を、適切なバリア層の実現のために使用してよく、バリア層の層厚が、材料の導電率の増加に伴って増加する。材料の実効的な垂直伝導率が高いほど、より厚いバリア層を選択する必要があり、それによって、バリア層の所望の電気絶縁性効果が取得される。したがって、電気絶縁性バリア層のための材料として適切なものは、特には、ドープされている若しくはドープされていない金属酸化物及び/若しくは窒化物、好ましくは酸化タンタル、チタン酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、イットリウム酸化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、ケイ素窒化物、並びに/又はそれらの混合物である。ドープされている金属酸化物又は窒化物は、それらの比較的高い伝導率に起因して、ドープされていない金属酸化物又は窒化物よりも、比較的高い層厚で使用される。
【0044】
伝導性層内において、この伝導性層に導入されるバリア層は、それらの組成及び層厚の点で互いに異なっていてよい。特に効果的な電気的絶縁を得るために、ケイ素酸化物製の1つのバリア層及びケイ素窒化物製の2つのバリア層、又は、ケイ素酸化物製の2つのバリア層及びケイ素窒化物製の1つのバリア層を、使用してよい。バリア層は、好ましくは、バリア層の材料の一連の交互になったものが作り出されるように、配置される。
【0045】
ドープされていない金属酸化物又は窒化物の使用の場合には、これらは、好ましくは、それぞれ、最大で100nm、好ましくは2nm〜50nm、特に好ましくは5nm〜30nmの層厚で使用される。ここで、導電性層内に導入されるすべてのバリア層の全厚は、10nm〜500nm、好ましくは20nm〜300nmである。したがって、ドープされていない金属酸化物又は窒化物では、比較的薄い層の堆積で、すでに、良好な電気絶縁性効果を得るために、十分である。しかしながら、電気絶縁性バリア層の再現性のある残留伝導率が望まれるので、堆積プロセスの間に、バリア層に管理された欠陥が導入される。これらは、バリア層の伝導率を増加させ、それにより、活性層が、電気的に十分に接続される。
【0046】
あるいは、ドープされている金属酸化物又は窒化物が、バリア層として使用される。これらは、比較的高い伝導率を有しており、かつ、ドープされていない層よりも、比較的大きい層厚で堆積される。この場合には、バリア層の所望の伝導率が、ドープのレベルによって調節される。これは、特に有利であり、なぜならば、このパラメータは、コーティングプロセスにおいて非常に容易に制御することができるからである。電気絶縁性バリア層は、この場合には、それぞれ、10nm〜1000nm、好ましくは50nm〜500nm、特に好ましくは100nm〜300nmの厚みを有しており、ここで、導電性層内に導入されるすべての電気絶縁性バリア層の全厚が、10nm〜3000nm、好ましくは100nm〜1000nmである。これらの範囲は、層構造に垂直な十分な残留伝導率を確保するために適していることが証明されている。
【0047】
バリア層として非常に良好に適しているドープされている金属酸化物の例は、金でドープされている酸化タンタルである。
【0048】
第一表面電極が、第一導電性層、及び、随意に、少なくとも1つのバリア層を有しており、かつ、第二表面電極が、第二導電性層、及び、随意に、少なくとも1つのバリア層を有している。本発明によれば、少なくとも1つのバリア層が、切り替え可能なグレージングに存在している。第一表面電極及び第二表面電極のシート抵抗は、合計で、好ましくは、0.01Ω
□〜100Ω
□、特に好ましくは、0.1Ω
□〜20Ω
□、最も特に好ましくは、0.5Ω
□〜5Ω
□である。この範囲では、切り替え可能なグレージングの電極の間において十分に大きな電流が確保され、活性層の最適な機能性が可能となる。示されている値範囲は、第一表面電極又は第二表面電極のみが1又は複数のバリア層を有している実施態様のためにも、かつ、両方の電極がバリア層を備えている場合にも、適用される。
【0049】
バリア層を有している表面電極に関しては、層積層体に平行な電気伝導率(水平伝導率)は、層積層体に横向きの伝導率(垂直伝導率)よりも、100〜1000倍大きく、本発明に係る表面電極の異方性伝導率が生み出されている。
【0050】
導電性層の層抵抗は、それぞれの導電性層の個々の層区画の層抵抗から生じる。導電性層が、例えば、2つのバリア層によって、抵抗R
1、R
2,及びR
3を有している3つの層区画に分割される場合には、結果として生じる導電性層の層抵抗が、以下である。
【0052】
好ましくは、個々の電気絶縁性バリア層に関する、固有抵抗と層厚との積が、それぞれ、10
7Ωm×nmと10
13Ωm×nmの間、特に好ましくは、10
8Ωm×nmと10
12Ωm×nmの間、特には、10
9Ωm×nmと10
11Ωm×nmの間である。当業者は、これから、バリア層として所望される材料のために必要な層厚を計算することができ、又は、所与の層厚において、使用される材料がどれぐらいの固有抵抗を有している必要があるのかを決定することもできる。
【0053】
本発明に係るグレージングの実際の切り替え可能な機能性要素は、原則として、当業者に知られている任意の、電気的に切り替え可能な光学的特性を有している機能性要素であってよい。活性層の構成は、機能性要素の性質によって決定される。
【0054】
本発明に係るグレージングの活性層は、当業者に知られている任意の機能性要素であってよい。本発明は、特には、広面積の切り替え可能要素を目的としており、ここで、ピクセルに基づいている表示媒体(ディスプレイメディア)は、特別に排除される。グレージングの切り替え可能な面積は、好ましくは、少なくとも1mm
2である。好ましくは、活性層が、直流によって作動する機能性要素であり、特に好ましくは、エレクトロクロミック機能性要素である。言及されているバリア層の構成は、直流によって作動する機能性要素との組み合わせにおいて、特に適している。しかしながら、交流に基づいている技術、例えば、SPD(懸濁粒子装置)及びPDLC(ポリマー分散液晶)と組み合わせての使用を考えることができる。バリア層の対応する適合は、当業者にとって、簡単な実験によって可能である。
【0055】
本発明の特に有利な実施態様では、グレージングが、エレクトロクロミック機能性要素を有している。ここで、活性層は、好ましくは、第一導電性層に隣接して配置されているエレクトロクロミック層、エレクトロクロミック層に隣接している電解質、並びに、電解質及び第二導電性層に隣接している対向電極を有している。可視光の透過率が、エレクトロクロミック層におけるイオン保持レベルに依存しており、ここで、イオンが、対向電極から、電解質を通って、エレクトロクロミック層に移動する。第一導電性層及び第二導電性層に適用される電圧によって、透過率に、影響を及ぼすことができる。この電圧は、イオンのこの移動を、引き起こす。適切なエレクトロクロミック層としては、例えば、少なくともタングステン酸化物又はバナジウム酸化物が挙げられる。エレクトロクロミック機能性要素は、例えば、国際公開第2012/0007334号、米国特許出願公開第2012/0026573号明細書,国際公開第2010/147494号,及び欧州特許出願公開第1862849号明細書から知られている。
【0056】
代替的な実施態様では、活性層が、電解質を有しておらず、エレクトロクロミック層それ自体が、電解質として機能する。したがって、例えば、タングステン酸化物が、その酸化状態に応じて、電解質の機能を担うことができる。そのような構成が、例えば、米国特許出願公開第2014/0022621号明細書において開示されている。特には、米国特許出願公開第2014/0022621号明細書の
図4Fへの言及を行う。
【0057】
活性層、及び、電気絶縁性バリア層を有している導電性層の他に、グレージングは、無論、それ自体として知られている他の層、例えば、反射防止若しくは反射層、防護層、及び/又は平滑層を有していることができる。
【0058】
バリア層を有している導電性層及び活性層の層積層体は、基材上に、直接的に又は間接的に適用されてよく、好ましくは間接的に適用されてよい。
【0059】
本発明に係るグレージングの代替的な実施態様では、導電性層が、ポリマー性フィルムを介して基材の一つの面に直接的に接続されている。ポリマー性フィルムは、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリウレタンを含有している。好ましい実施態様では、導電性層が、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムに配置され、その後に、接着性フィルムによって積層加工される。そして、複層複合体が、ペインの1つの面に配置され、かつ、例えば、接着性フィルムによって接着される。本発明に係る接着性フィルムは、例えば、ポリウレタンを含有している。これは、感受性の高い導電性層が、複層複合体によって安定化され、かつ、機械的影響に対して防護されるという特に有利な点を有している。複層複合体は、特に簡便でかつ経済的なやり方で処理することができる。
【0060】
本発明の別の代替的な実施態様では、導電性層が、キャリアガラスを介して、基材の一つの面に間接的に接続している。キャリアガラスは、例えば、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス、又はホウケイ酸ガラスを含有しており、かつ、その組成において、基材とは異なっていてよく、しかしながら、同一の組成を有していてもよい。好ましい実施態様では、導電性層が、キャリアガラスに堆積され、かつ、その後に、接着性フィルムによって積層される。そして、複層複合体が、基材の一つの面に配置され、かつ、例えば、接着性フィルムによって接着される。本発明に係る接着性フィルムは、例えば、ポリウレタンを有している。これは、感受性の高い導電性層が、複層複合体によって安定化され、かつ、機械的な影響に対して防護されるという特に有利な点を有している。複層複合体は、特に簡便でかつ経済的なやり方で、処理することができる。
【0061】
基材は、好ましくは、ガラス、特に好ましくは、平坦ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、又は、クリアプラスチック、特に好ましくは、剛性クリアプラスチック、例えば、ポリカーボネート若しくはポリメチルメタクリレートを含有している。基材は、クリアかつ透明であってよく、又はさらには、色づいていてよく、若しくは着色されていてよい。基材の厚みは、広範囲で変化してよく、そのようにして、別個の場合における要件に適合してよい。それぞれの基材の厚みは、好ましくは、0.1mm〜15mm、特に好ましくは0.5mm〜5mmである。グレージングは、任意の三次元形状を有していてよい。グレージングは、好ましくは、平坦であり、又は、1若しくは複数の空間的な方向において、わずかに若しくは大きく湾曲していてよい。
【0062】
本発明に係るグレージングは、1つの基材、及び、さらには、複数の基材を有していてよい。これらは、例えば、複合ペインとして、又はさらには、絶縁性グレージングユニットとして、実施されていてよく、それらのペインが、スペーサーを介して接続されている。そのような構造は、当業者に十分によく知られている。一般的に言って、構造は、エレクトロクロミック機能性要素が内部的に実施され、かつそのようにして防護されるように、選択される。
【0063】
本発明は、さらに、電気的に切り替え可能な特性を有しているグレージング、特には本発明に係るグレージングを製造するための、少なくとも以下である方法を含んでいる:
(a) 第一基材を提供する、
(b) 第一導電性層を適用する、
(c) 活性層を適用する、かつ
(d) 第二導電性層を適用する、
ここで、工程(b)及び/又は(d)において、少なくとも1つの電気絶縁性バリア膜を、第一導電性層及び/又は第二導電性層内に適用する。
【0064】
好ましくは、工程(b)及び/又は(d)における第一導電性層及び/又は第二導電性層の堆積を、電気絶縁性バリア層の堆積と交互に行う。
【0065】
導電性層及び/又はバリア層は、物理的蒸気堆積(PVD)又は化学気相成長(CVD)、好ましくはカソードスパッタリング、特に好ましくは磁気強化型カソードスパッタリング(マグネトロンスパッタリング)によって、基材に、又は、前に堆積された層に、適用される。適切なプロセスパラメータが、当業者に良く知られている。
【0066】
あるいは、導電性層及び/又はバリア層を、基材に、ナノ粒子の形態で印刷し、その後に焼結してもよく、それによって、均一な層を取得する。
【0067】
活性層を堆積するための方法は、それらの設計に依存して変化する。すでに、活性層の、可能性のある設計において、当業者にすでに知られている、そのような層を堆積するための適切な方法を含んでいる様々な公開物への言及が、なされている。
【0068】
方法の好ましい実施態様では、エレクトロクロミック機能性要素が、活性層として適用され、ここで、第一、エレクトロクロミック層、随意に、電解質、及びその後に、対向電極が、堆積される。
【0069】
本発明を、図面を参照して以下で説明する。図面は、純粋に概略的な表現であり、かつ、縮尺通りではない。図面は、決して、本発明を限定しない。
【0070】
図1は、活性層6としてのエレクトロクロミック機能性要素及び2つの導電性層4,5を有している本発明に係るグレージング1を描写しており、ここで、それぞれの場合に、電気絶縁性バリア層7が、それぞれの導電性層4,5に導入されている。バリア層7は、それぞれの導電性層4,5とともに、グレージングの表面電極を形成している。インジウムスズ酸化物(ITO)製であり全厚400nmを有している第一導電性層4が、ソーダ石灰ガラス製であり2.1mmの厚みを有している第一基材2に堆積されている。第一導電性層4が、ドープされている酸化タンタル製であり20nmの厚みを有している電気絶縁性バリア層7を有しており、ここで、第一導電性層4の90%が、基材の直近において、バリア層7の下に位置しており、バリア層7が、この上に続いており、かつ、第一導電性層4の残りの部分(全厚の10%)が、バリア層上に続いている。したがって、360nmの厚み(全厚の90%)を有している第一導電性層4の区画、及び、40nmの厚み(全厚の10%)を有している第一導電性層4の区画が、第一基材2に配置されている。第一導電性層4のこの比較的薄い区画に直接接触しているのが、活性層6であり、これは、350nmの厚みを有しており酸化タングステン(WO
3)製であるカソードエレクトロクロミック材料のエレクトロクロミック層6a、100nmの厚みを有しており水和酸化タンタルの層と、やはり10nmの厚みを有している水和酸化アンチモンの層とでできている、2層の電解質6b、及び、およそ50nmの厚みを有しており水和酸化イリジウムIrO
xのアノードエレクトロクロミック材料を有している対向電極6cからなる。対向電極6cに直接的に隣接して、インジウムスズ酸化物(ITO)製である第二導電性層5が、活性層6に続いている。活性層6のこの面にも、本発明によれば、導電性層との直接的な接触があり、これによって、活性層6の良好な電気的接触、及び、これによる、電気的に切り替え可能なグレージング1の誤作動のない機能が、確保される。対向電極6cと直接接触している第二導電性層5の部分が、400nmの第二導電性層の全厚に基づいて10%の厚み(40nm)を有している。第二導電性層のこの比較的薄い区画に続いて、20nmの厚みを有しておりドープされている酸化タンタル製である電気絶縁性バリア層7が、導電性層に導入されており、これに、360nmの厚み(全厚の90%)を有している第二導電性層5の残りの層部分が、続いている。層積層体は、2.1mmの厚みを有しておりソーダ石灰ガラス製である第二基材3で終わっており、これが、積層フィルム(図示されていない)を介して、層積層体に接続されている。
【0071】
本発明に係るこの構造は、実際上、特に有利であることが証明されている。電気絶縁性バリア層7を有している導電性層4,5は、異方性伝導率を有しており、ここで、水平伝導率(層に平行)が、良好な電気的接触を確保するために可能な限り高い必要があり、かつ、垂直伝導率(層に垂直)が、活性層6の制限されない機能のために必要なだけ高い必要がある。活性層6のそのような誤作動のない機能性に必要なのは、第一導電性層4とエレクトロクロミック層6aとの間における、又は、第二導電性層5と対向電極6cとの間における、直接的な電気的接触、及び、これらの層移行部における、低い接触抵抗である。これらが、本発明に従って、提供される。導電性層4、5が、バリア層7によって複数の層部分に分割されており、これらのシート抵抗が、比較的低い厚みの層への本発明に係るこの分割によって、増加している。個々の層のシート抵抗が(バリア層のない全層と比較して)増加しているので、異極性の層部分を有しているこの個々の層の短絡のときに、比較的小さい短絡電流が発生する。したがって、欠陥は、観察者にとって、比較的はるかに見えにくく、かつ、視覚的に、比較的気づきにくい。試験は、欠陥に起因して販売できないグレージングの数が、本発明に係る解決策によって、従来技術のグレージングと比較して、90%減少し得ることを示している。
【0072】
図2は、活性層6としてのエレクトロクロミック機能性要素及び2つの導電性層4,5を有している、本発明に係るグレージング1を描写しており、ここで、それぞれの場合に、2つの電気絶縁性バリア層7が、それぞれの導電性層4,5に導入されている。基本的な構造は、
図1に描写されているものに対応しており、ここで、
図2によれば、それぞれの場合に、2つの電気絶縁性バリア層7が、それぞれの導電性層4,5に導入されている。これは、第一基材2、2つのバリア層7を有している第一導電性層4、活性層6、2つのバリア層7を有している第二導電性層5、及び、第二基材3からなる一連の層を生じる。第一基材2に続いているのが、200nmの厚み(全厚の50%)を有している第一導電性層4の区画、20nmの厚みを有している電気絶縁性バリア層7、120nmの厚み(全厚の30%)を有している第一導電性層4の区画、20nmの厚みを有している別の電気絶縁性バリア層7、及び、80nmの厚み(全厚の20%)を有している第一導電性層4の区画である。これに続いているのが、活性層6であり、最後に言及した第一導電性層4の部分と直接に接触している。活性層6の組成が、
図1に記載されているものに対応している。活性層6に続いているのが、80nmの厚み(全厚の20%)を有している第一導電性層5の区画、20nmの厚みを有している電気絶縁性バリア層7、120nmの厚み(全厚の30%)を有している第一導電性層5の区画、20nmの厚みを有している別の電気絶縁性バリア層7、及び、200nmの厚み(全厚の50%)を有している第一導電性層5の区画であり、ここで、導電性層の最初に言及した区画(80nm厚)が、活性層6と直接に電気的に接触している。層積層体は、第二基材3で終わっており、これが、積層フィルム(図示されない)を介して層積層体に接続している。
【0073】
本発明に係るこの実施態様は、
図1に描写されている構造の別の改良を表現している。2つのバリア層7が導電性層4,5ごとに存在しているので、バリア層の上に位置している層が剥離領域の部分である場合には、さらなるバリア層が存在している点において、グレージングの欠陥許容性が、既に増加している。さらには、使用されているバリア層の数の増加に伴って、導電性層が、益々比較的薄い別個の層に分割されている。これらの層のシート抵抗は、層厚に反比例しており、その結果として、個々の層のシート抵抗が、導電性層に導入されているバリア層の数の増加に伴って、増加する。シート抵抗におけるこの増加は、短絡の場合における短絡電流の低減の観点から、有利である。バリア層は、導電性層を、同一の層厚の別個の層へと、又はさらには、
図2における場合のように、異なる厚みの複数の層へと、分割することができる。活性層6から出発してそれぞれ最も近い基材2,3の方向において、導電性の個々の層の厚みが増加していることが特に有利であることが、示されている。層断片が活性層に近いほど、この断片が局所的な剥離によって影響を受ける可能性が、比較的高い。したがって、活性層6の方向において導電性の個々の層の層厚を低減し、かつ、それによって、同じ方向におけるシート抵抗を増加させることが、望ましい。
【0074】
図3は、活性層6としてのエレクトロクロミック機能性要素及び2つの導電性層4,5を有している本発明に係るグレージング1を描写しており、ここで、それぞれの場合に、3つの電気絶縁性バリア層7が、それぞれの導電性層4,5に導入されている。基本構造は、
図1において描写されているものに対応しており、ここで、
図3によれば、それぞれ、3つの電気絶縁性バリア層7が、それぞれの導電性層4,5に導入されている。第一基材2に続いているのが、100nmの厚み(全厚の25%)を有している第一導電性層4の区画、20nmの厚みを有している電気絶縁性バリア層7、100nmの厚み(全厚の25%)を有している第一導電性層4の区画、20nmの厚みを有している別の電気絶縁性バリア層7、100nmの厚み(全厚の25%)を有している第一導電性層4の区画、20nmの厚みを有している別の電気絶縁性バリア層7、及び、100nmの厚み(全厚の25%)を有している第一導電性層4の区画である。これに続いているのが、活性層6であり、これが、第一導電性層4の最後に言及した部分と直接に接触している。活性層6の組成が、
図1において記載されているものに対応している。活性層6に続いているのが、3つの電気絶縁性バリア層7を有している第二導電性層5であり、ここで、層構造が、第一導電性層4のたった今記載された構造に対応しており、かつ、第二導電性層5が、バリア層7によって、同一サイズの4つの別個の層に分割されている。活性層6に最も近い導電性層5の区画が、活性層6と直接に接触している。層積層体が、第二基材3で終わっている。
【0075】
本発明に係るグレージング1の許容度が、追加的なバリア層を導入することによって、さらに改善されうる。
【0076】
図4は、活性層6としてのエレクトロクロミック機能性要素、及び2つの導電性層4,5を有している、本発明に係るグレージングを描写しており、ここで、それぞれの場合に、2つの電気絶縁性バリア層7が、それぞれの導電性層4,5に導入されている。これによって、第一基材2、2つのバリア層7を有している第一導電性層4、活性層6、及び2つのバリア層7を有している第二導電性層5からなる、一連の層が生じる。基本構造は、
図2に描写されているものに対応しており、ここで、
図4によれば、第二基材が、層積層体の最後として存在しておらず、かつ、層の構造が、以下で記載するように異なっている。
図4のグレージングは、例えば、絶縁性グレージングにおいて使用されてよく、ここで、第二導電性層が、絶縁性グレージングのグレージング内部を向いており、かつ、そのようにして、環境の影響に対して防護されている。あるいは、
図2において描写されている配置に類似している第二基材が、適用されてよい。
図4によると、第一基材2に続いているのが、300nmの厚み(全厚のおよそ61.2%)及び層抵抗R
□=10Ωを有しているZnO:Al製の第一導電性層4の区画、10nmの厚みを有しているSiO
2製の電気絶縁性バリア層7、150nmの厚み(全厚のおよそ30.6%)及び層抵抗R
□=20Ωを有しているZnO:Al製の第一導電層4の区画、10nmの厚みを有しているSiO
2製の別の電気絶縁性バリア層7、並びに、40nmの厚み(全厚のおよそ8.2%)及び層抵抗R
□=40Ωを有しているITO製の第一導電性層(4)の区画である。これに続いているのが、活性層6であり、これが、第一導電性層4の最後に言及した部分と直接に接触している。活性層6の組成が、
図1に記載されているものに対応している。活性層6に続いているのが、40nmの厚み(全厚のおよそ8.2%)及び層抵抗R
□=40Ωを有しているITO製の第一導電性層5の区画、10nmの厚みを有しているSiO
2製の電気絶縁性バリア層7、150nmの厚み(全厚のおよそ30.6%)及び層抵抗R
□=20Ωを有しておりZnO:Al製である第一導電性層5の区画、10nmの厚みを有しているSiO
2製の別の電気絶縁性バリア層7、並びに、300nmの厚み(全厚のおよそ61.2%)及び層抵抗R
□=10Ωを有しておりZnO:Al製である第一導電性層5の区画であり、ここで、40nmの厚みを有している導電性層5の最初に言及した区画が、活性層6に直接に電気的に接触している。SiO
2製のバリア層の固有抵抗は、10
9Ωmである。個々の層の層抵抗は、導電性層及び関連するバリア層からできている表面電極それぞれに関して、R
□=5.7Ωの抵抗を生じる。
【0077】
本発明に係るこの実施態様は、
図2で描写されている実施態様のさらなる改善を表現している。そこで説明されている利点に加えて、
図4に係る追加的な利点は、導電性層4,5の様々な区画の材料の選択から生じる。活性層6に隣接している導電性層4,5の区画は、インジウムスズ酸化物(ITO)製であり、これは、活性層6の材料との非常に良好な適合性を有している。また、ITOは、活性層6の堆積のために非常に良好に適しているベースであり、それにより、堆積プロセスにおける活性層6の清浄な成長が確保されるようになっている。活性層6に接触していない導電性層4,5の層区画は、アルミニウムでドープされている亜鉛酸化物(ZnO:Al)製である。これは、ITOよりも実質的に比較的経済的であり、かつ、なおも、透過性及び伝導性などの特性の観点で、良好な妥協である。
本発明の態様は、以下のとおりである:
〈態様1〉
面状に順に配置されている、
− 第一基材(2)、
− 第一導電性層(4)、
− 活性層(6)、及び
− 第二導電性層(5)、
を少なくとも有しており、
ここで、前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)が、少なくとも1つの電気絶縁性バリア層(7)を有しており、このバリア層が、前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)内に面状に配置されており、かつ、前記絶縁性バリア層(7)が、前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)によって、面状に完全に覆われている、電気的に切り替え可能な特性を有しているグレージング(1)。
〈態様2〉
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)が、前記活性層(6)に直接に隣接している、請求項1に記載のグレージング(1)。
〈態様3〉
前記電気絶縁性バリア層(7)が、前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)を通過しており、それにより、前記導電性層(4,5)の、全厚の少なくとも1%、好ましくは全厚の少なくとも5%の層部分が、前記電気絶縁性バリア層(7)と前記活性層(6)との間に配置されるようになっている、請求項1又は2に記載のグレージング(1)。
〈態様4〉
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)が、それぞれ、1〜20、好ましくは2〜15、特に好ましくは2〜6の電気絶縁性バリア層(7)を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
〈態様5〉
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)内において、前記活性層(6)に隣接している前記導電性層(4,5)の前記層部分が、それぞれの導電性層(4,5)の全厚の50%以下である、請求項3又は4に記載のグレージング(1)。
〈態様6〉
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)が、銀、金、銅、ニッケル、クロム、タングステン、グラファイト、モリブデン、及び/又は、透明伝導性酸化物、好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素でドープされているスズ酸化物(SnO2:F)、アンチモンでドープされているスズ酸化物、ホウ素でドープされている亜鉛酸化物、アルミニウムでドープされている亜鉛酸化物、若しくはガリウムでドープされている亜鉛酸化物を含有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
〈態様7〉
前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)が、それぞれ、20nm〜2μm、好ましくは50nm〜1μm、特に好ましくは100nm〜600nmの合計層厚を有している透明伝導性酸化物を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
〈態様8〉
前記電気絶縁性バリア層(7)が、ドープされていない金属酸化物若しくは金属窒化物、好ましくは酸化タンタル、スズ酸化物、チタン酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、イットリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素窒化物、及び/又はそれらの混合物を含有しており、かつ、それぞれ、最大で100nm、好ましくは2nm〜50nm、特に好ましくは5nm〜30nmの厚みを有している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
〈態様9〉
前記電気絶縁性バリア層(7)が、ドープされている金属酸化物若しくは金属窒化物、好ましくは酸化タンタル、スズ酸化物、チタン酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、イットリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素窒化物及び/又はそれらの混合物を含有しており、かつ、それぞれ、最大で1000nm、好ましくは50nm〜500nm、特に好ましくは100nm〜300nmの厚みを有している、請求項1〜7のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
〈態様10〉
前記活性層(6)が、エレクトロクロミック機能性要素である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
〈態様11〉
前記活性層(6)が、少なくとも、前記第一導電性層(4)に隣接しているエレクトロクロミック層(6a)、随意に、前記エレクトロクロミック層(6a)に隣接している電解質(6b)、及び、前記電解質(6b)又は前記エレクトロクロミック層(6a)のいずれかに隣接しており、かつ前記第二導電性層(5)に隣接している対向電極(6c)、を有しているエレクトロクロミック機能性要素である、請求項10に記載のグレージング(1)。
〈態様12〉
前記第一基材(2)及び前記第二基材(3)が、ガラス、好ましくは、平坦ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、又は、ポリマー、好ましくは、ポリカーボネート若しくはポリメチルメタクリレートを含有している、請求項1〜11のいずれか一項に記載のグレージング(1)。
〈態様13〉
少なくとも以下の工程を有している、電気的に切り替え可能な特性を有しているグレージングを製造するための方法:
(a) 第一基材(2)を提供すること、
(b) 第一導電性層(4)を適用すること、
(c) 活性層(6)を適用すること、及び、
(d) 第二導電性層(5)を適用すること、
ここで、前記工程(b)及び/又は前記工程(d)において、少なくとも1つの電気絶縁性バリア層(7)が、前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)内に適用される。
〈態様14〉
前記工程(b)及び/又は前記工程(d)において、前記第一導電性層(4)及び/又は前記第二導電性層(5)の堆積が、前記電気絶縁性バリア層(7)の堆積と交互に行われる、請求項13に記載の方法。
〈態様15〉
請求項1〜12のいずれか一項に記載のグレージング(1)の、グレージングとしての使用、特には建物における使用、特にはアクセスエリア若しくはウィンドウエリアにおける使用、例えば、絶縁性グレージングユニットにおける及び/若しくはガラスファサードの要素としての使用、又は、陸上、空中、若しくは水上の移動のための輸送手段における使用、特には、列車、船、航空機、及び自動車における使用、例えば、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、及び/若しくはルーフパネルとしての使用。