(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマー粒子が、ナイロン、熱可塑性エラストマー、ウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリウレタン、エンジニアリングプラスチック、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、これらの非晶質ポリマー、これらのブレンド、またはこれらのコアシェル複合体を含む、請求項1の複合粒状構築材料。
複合粒状構築材料を洗浄および乾燥させて、92重量%から99.5重量%のポリマー粒子と、ポリマー粒子の表面に埋設された0.5重量%から8重量%の補強用粒子を含む、粒状組成物をもたらすことをさらに含む、請求項9の方法。
補強用粒子がポリマー粒子の表面より下側に実質的に存在せず、ポリマー粒子の表面の10%から80%が補強用粒子の合計表面積によって覆われている、請求項14の材料セット。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本開示は、3次元(3D)印刷部品について、補強または付加的な強度、およびその他の改善された物性をもたらす複合粒状構築材料に関する。非球形の微小粒子(高いアスペクト比、例えば3:1から100:1であり、長軸に沿った粒径が約30μmまで)は典型的には、大きくより対称的な粒子の3D構築材料パウダーベッドにおいて、薄い層として均一に展開することが困難であるが、それは小さく非対称な粒子は、パウダーベッド印刷を行うのに備えて層ごとにブレードやローラーによって処理された場合に、均一に分散されたままとならないからである。こうした補強用添加剤をパウダー粒子表面に物理的に埋設または付着させることにより、補強用粒子は印刷部品の全体にわたってより均一に見出されうるようになるが、それはパウダー層形成のプロセス中に、補強用粒子がポリマー粒子から分離しないからである。かくして本開示はパウダーベッド3D印刷技術に関し、そこでは3D部品は向上された構造的特性をもって調製可能である。本質的に、可融性のポリマー(粒子またはパウダー)を含むことのできる複合粒状構築材料は、粒子表面に適用(例えば付着、埋設、または取着)された補強用粒子を含み、層ごとに、複合粒状構築材料を溶融させるためのインクまたは多色インクを受容する構成配置でもって展開されることができる。
【0004】
このことに応じて本開示は、10μmから150μmの平均粒径と2:1未満の平均アスペクト比を有するポリマー粒子を92重量%から99.5重量%含む複合粒状構築材料に向けられている。この複合粒状構築材料はさらに、ポリマー粒子の表面に適用され、0.1μmから20μmの平均粒径と3:1から100:1の平均アスペクト比を有する0.5重量%から8重量%の補強用粒子を含むことができる。「平均粒径」は粒子の長軸が測定されることに基づく粒径であり、粒径の分布が平均される。「アスペクト比」は粒子の短軸に対する粒子の長軸の比に基づいており、これは次いで粒子の分布にわたって平均化される。
【0005】
別の例では、複合粒状構築材料の作成方法が、10μmから150μmの平均粒径と2:1未満の平均アスペクト比を有するポリマー粒子を、0.1μmから20μmの平均粒径と3:1から100:1の平均アスペクト比を有する補強用粒子と、ポリマー膨潤性溶媒の存在下に混合することを含むことができる。付加的な工程は、ポリマー粒子の膨潤を許容することを含むことができ、それにより補強用粒子はポリマー粒子の表面上に埋設されて複合粒状構築材料が形成される。
【0006】
別の例では、3D印刷用の材料セットが、複合粒状構築材料および可融性インクを含むことができる。複合粒状構築材料は、10μmから150μmの平均粒径と2:1未満のアスペクト比を有するポリマー粒子92重量%から99.5重量%と、0.1μmから20μmの平均粒径と3:1から100:1の平均アスペクト比を有し、ポリマー粒子の表面に適用された補強用粒子0.5重量%から8重量%を含むことができる。可融性インクは、液体ビヒクルと、液体ビヒクル中に分散した電磁放射線吸収性固体を含むことができ、これは複合粒状構築材料と接触し電磁エネルギーを照射された場合に、エネルギー源から電磁エネルギーを受け取り、複合粒状構築材料と共に溶融するのに適したものである。
【0007】
本開示においては、複合粒状構築材料、その方法、または材料セットについて記載する場合に、それらの記載の各々はそれらの例示の各々に対して、それらが当該例示の文脈において明示的に記載されていると否とを問わず、適用可能と考えられることに留意されたい。したがって例えば、複合粒状構築材料それ自体の詳細について記載するに当たっては、その記載はまた、方法または材料セットをも参照したものであり、逆もまたそうである。
【0008】
本開示の例においては、この技術はピエゾ(圧電)印刷システムまたはサーマルインクジェット印刷システムを含む、多種多様な印刷アーキテクチャについて使用可能である。一つの例では、HP(ヒューレットパッカード)社の、革新的なページ幅サーマルインクジェット(TIJ)印刷技術を使用してよいマルチジェットフュージョン(Multi Jet Fusion)技術を使用可能であり、かくしてドロップオンデマンド式のデジタルパターン化の利点を享受し、印刷領域中の任意の位置において高い空間的解像度で印刷することが可能になる。高い空間的解像度と「すべての点でアドレス指定可能」であることにより、さまざまなインクを複合粒状構築材料の中へまたは上へと、ボクセル単位の大きさで分配することが可能である。例えば3D印刷プロセスの一般的な例は、パウダーまたは粒子(本開示における複合粒状構築材料)の薄い層をプリンターの作業領域に適用することから始まる。次いで、パウダーまたは粒子層の表面は、典型的には電磁エネルギー吸収性インク(例えばIR吸収性インク)またはエネルギーを加えずに単に乾燥によって凝結をもたらすことができるインクでパターン化される。エネルギー吸収性インクの場合には、パターン化が行われたならば、パウダー層は、電磁エネルギー吸収性インクが活性化される周波数に合致しまたはそれと重なる、高エネルギーの光エネルギー源に曝露される。例えば吸収性インクについては、IR吸収性インクで印刷された領域を選択的に溶融させる赤外光エネルギー源を使用することができ、非印刷領域は変化なしに残される。非溶融パウダーは次いで除去可能であり(直ちに、但しより典型的にはプロセスの終了時に)、3Dパターンが後に残される。この層ごとのプロセスは、最終的な3D部材を生成するのに所望とするだけ何度でも繰り返すことができる。
【0009】
複合粒状構築材料それ自体に関しては、一般的に、ポリマー粒子と、その表面に適用された補強用粒子とがある。
図1においては複合粒状構築材料が10で示されており、これは複数の複合粒子を含んでいる。粒子は、その表面に補強用粒子が付着されたポリマー粒子12を含んでおり、補強用粒子はこの例ではマイカ粒子14のような板状構造である。
図2は同様に複合粒状構築材料を20で示しており、これは複数の複合粒子を含んでいる。粒子は、その表面に補強用粒子が付着されたポリマー粒子22を含んでおり、補強用粒子はこの例ではガラス繊維のような繊維24である。
【0010】
ポリマー粒子に使用することができるポリマーの種類には、一般的に、ナイロン、熱可塑性エラストマー、ウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアクリレート、サーマルポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、エンジニアリングプラスチック、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、これらの非晶質ポリマー、これらのブレンド、これらのコアシェル複合体などが含まれる。一つの具体例では、粒状ポリマーはポリアミド(または「PA」)、例えばナイロン11(PA−11)、ナイロン12(PA−12)、ナイロン6(PA−6)、ナイロン8(PA−8)、ナイロン9(PA−9)、ナイロン11(PA−11)、ナイロン66(PA−66)、ナイロン612(PA−612)、ナイロン612(PA−612)、ナイロン812(PA−812)、ナイロン912(PA−912)その他であることができる。ある例では、複合ポリマー構築材料のポリマー粒子は、約70℃から約350℃の融点または軟化点を有することができる。さらなる例においては、ポリマー粒子は約150℃から約200℃の融点または軟化点を有することができる。別の例では、複合体のポリマー粒子は、適度に低い融点(<200℃)、または200℃から500℃の範囲のより高い融点を有するポリマーの集合から選択することができる。特定の例では、粒状ポリマーはナイロン12であることができ、これは約175℃から約200℃の融点を有することができる。別の特定的な例では、粒状ポリマーは熱可塑性ポリウレタンであることができる。
【0011】
粒状ポリマーの表面に適用することのできる補強用粒子に関しては、ポリマー粒子よりも小さく、より大きなアスペクト比を有する粒子を使用して、印刷された3D部品が溶融された場合に、その部品に強度を付加することができる。前述したように、3:1から100:1の範囲にあるアスペクト比を使用することができる。他のアスペクト比としては、5:1から90:1、10:1から75:1、または20:1から60:1であることができる。使用可能な材料の例には、マイカ(雲母)、タルク、またはガラスが含まれうる。そして形状は、ガラス繊維のような細長い繊維構造、またはマイカやタルクのような平坦な板状構造であることができる。典型的には、補強用粒子はポリマー粒子の表面より下側には実質的に存在せず、例えばそれらは表面に埋設されるが典型的にはポリマー粒子の表面によって覆われることはない。ある例では、ポリマー粒子の表面の10%から80%が補強用粒子の合計表面積によって覆われる。他の例では、ポリマー粒子の表面の20%から60%が補強用粒子によって覆われる。他の例では、ポリマー粒子の表面上に補強用粒子が存在している場合でも、複合粒状構築材料は自由流動性粒子の形態であることができ、3D印刷用のパウダーベッド構築材料として用いるのに適している。
【0012】
複合ポリマー構築材料に関するさらなる詳細については、ポリマー粒子は10μmから150μm、20μmから90μm、または30μmから70μmの平均粒径を有することができ、そしてその表面に補強用粒子が取着または埋設された場合でも粒径は実質的に増大することはなく、例えば幾つかの例では約20%以下の増大、または約40%以下の増大である。複合粒状構築材料は、実質的に球形の粒子、または平均アスペクト比が2:1(長軸対短軸)までの実質的に楕円形または不規則形状の粒子といった、種々の形状を有することができる。幾つかの例では、複合粒状構築材料は、10μmから150μmの解像度において、3D印刷部品へと形成されることができる。本願で使用するところでは、「解像度」は、3D印刷部品上に形成することのできる最小の造作の寸法を参照している。ポリマーパウダーは約10μmから150μmの厚さの層、またはより厚い層を形成することができ、印刷部品の凝結された層がほぼ同じ厚さを有することを可能にする。これはz軸方向に、約10μmから150μmの解像度をもたらすことができる。複合ポリマー構築材料はまた、x軸およびy軸に沿って約10μmから150μmの解像度をもたらすために、十分に小さな粒径と十分に規則的な粒子形状を有することができる。
【0013】
複合ポリマー構築材料に関するさらなる詳細について、一般的には、パウダーベッド全体またはパウダーベッドの一部分を、ポリマーパウダーの融点または軟化点未満の温度へと予備加熱することができる。一例では、予備加熱の温度は、融点または軟化点よりも約10℃から約70℃低いことができる。別の例では、予備加熱の温度は、融点または軟化点から50℃の範囲内であることができる。特定の例では、予備加熱の温度は約160℃から約170℃であることができ、ポリマーパウダーはナイロン12パウダー(170℃より高い融点、例えば175℃から200℃を有する)であることができる。別の例では、予備加熱の温度は約90℃から約100℃であることができ、そしてポリマーパウダーは熱可塑性ポリウレタンであることができる。予備加熱は、一つまたはより多くのランプ、オーブン、加熱支持ベッド、または他の種類のヒーターで達成することができる。幾つかの例では、パウダーベッドの全体が、実質的に一様な温度に加熱されることができる。
【0014】
さて本願で記載する3D部品を構築するための種々の技術、並びに3D部品を構築するための材料セットについて見てみると、
図3には本件技術の特定の例が提示されている。
図3にはこの技術の側面を例証するための4つの工程が示されているが(a〜d)、これは本件技術を記述するため単に便宜上提示されたものであることに注意すべきである。特定の用途に所望とされるところに応じて、より少ないまたはより多い数の工程を行うことができる。加えて、4つの工程(a〜d)の各々に示されている同様の構造については、参照番号は一回か二回だけ付されているが、図の参酌および理解を行う場合、そうした参照番号は明確化のため、
図3の全体にわたって適用可能なものである。
【0015】
図3を具体的に参照すると、a)は基材または構築台36を示しており、これは複合粒状構築材料の薄い層を有している。この場合、この層はポリマー粒子32を含んでおり、その上には補強用粒子34が堆積されている。言い換えると、この例における複合粒状構築材料は、構築台の上に薄く広げられている。補強用粒子はポリマー粒子の表面上に適用されていることから、粒子の薄い層が展開ローラーまたはナイフを用いて構築台または構築材料層の上に広げられる場合に、それらが大きな粒子から離脱することはない。次にb)は、可融性インクの微小液滴38a、並びに複合粒状構築材料の一部分の中に既に堆積された可融性インク38bを示している。かくして可融性インクは構築材料と混合し、次いで電磁放射線に曝露されるが、この電磁放射線は可融性インクとの組み合わせにおいて、構築材料の層および可融性インクを共に溶融または形成するのに適しており(IRエネルギー源40からのIRエネルギーを使用した場合のように)、3D構造の層42を形成する。ひとたびこの層が形成されたなら、このプロセスは繰り返されて、d)において概略的に示されているように、追加の層(単数または複数)が付加されるといった具合である。
【0016】
一つの例では、複合粒状構築材料のパウダーベッドは、可融性インクがそこに、またはその中に(パウダー層の内部に)適用された後に、800nmから1400nmの波長で発光するように構成された溶融ランプで照射されることができる。選択される波長は、少なくとも部分的には、溶融材料またはインクに使用される電磁波受容体またはアンテナ材料に依存することができる。例えばカーボンブラック顔料は、幅広いIR電磁放射線スペクトルについて良好に作用する。他の材料も、他の種類の電磁放射線について良好に作用しうる。この文脈において、適切な溶融ランプには、市販の赤外線ランプおよびハロゲンランプが含まれうる。溶融ランプは固定のランプでも、可動のランプでもよい。例えばランプはトラック上に設置して、パウダーベッドを横断して水平方向に移動するようにすることができる。こうした溶融ランプは、印刷層の各々を凝結させるのに必要な曝露量に応じて、ベッド上で多数回のパスを行うことができる。溶融ランプは、実質的に均一な量のエネルギーでもって、パウダーベッドの全体を照射するように構成することができる。
【0017】
さて本開示で使用することのできる可融性インクについて見ると、インクは、液体ビヒクルと、液体ビヒクル中に分散された電磁放射線吸収性固体とを備えたインクジェットインクでありうることが留意され、電磁放射線吸収性固体は、複合粒状構築材料と接触され電磁エネルギーが照射された場合に、エネルギー源からの電磁エネルギーを受け取り、複合粒状構築材料と共に溶融するのに適したものである。電磁放射線吸収性固体は、電磁エネルギーを受け取り、本願に記載の複合粒状構築材料と共に溶融するのに適した、任意の固体であることができる。このインクはまた、インクに対して可視色を付与する、顔料着色剤または染料着色剤のような着色剤をも含有することができ、幾つかの例では着色剤は電磁放射線吸収性固体と全く同じものであることができる。すなわちその顔料は、着色と、ポリマー層の溶融に使用されるエネルギー吸収特性の両者を提供する。そうした着色剤の例はカーボンブラックであり、それは黒く着色された部品をもたらし、またIR溶融ランプから幅広いIR放射線スペクトルを受け取るための、適切なアンテナをもたらす。幾つかの例では、着色剤はインク中に0.1重量%から10重量%の量で存在することができる。一つの例では、着色剤は0.5重量%から5重量%の量で存在することができる。別の例では、着色剤は5重量%から10重量%の量で存在することができる。しかしながら着色剤は任意選択であり、幾つかの例ではインクは、溶融のために受け入れ可能な電磁放射線吸収特性を提供する他の固体が存在するという条件で、添加される着色剤を何も含まないことができる。
【0018】
幾つかの例では、着色剤は染料であることができる。染料は、ノニオン染料、カチオン染料、アニオン染料、またはノニオン染料、カチオン染料、および/またはアニオン染料の混合物であってよい。使用することのできる染料の具体的な例には、限定するものではないが、スルホローダミンB、アシッドブルー113、アシッドブルー29、アシッドレッド4、ローズベンガル、アシッドイエロー17、アシッドイエロー29、アシッドイエロー42、アクリジンイエローG、アシッドイエロー23、アシッドブルー9、ニトロブルーテトラゾリウムクロリドモノハイドレートまたはニトロBT、ローダミン6G、ローダミン123、ローダミンB、ローダミンBイソシアネート、サフラニンO、アズールB、およびアズールBエオシネートが含まれ、これらはSigma-Aldrich社(ミズーリ州セントルイス)から入手可能である。アニオン性水溶性染料の例には、限定するものではないが、ダイレクトイエロー132、ダイレクトブルー199、マゼンタ377(スイス国のIlford社から入手可能)単独またはアシッドレッド52との組み合わせが含まれる。水不溶性の染料の例には、アゾ染料、キサンテン染料、メチン染料、ポリメチン染料、およびアントラキノン染料が含まれる。水不溶性染料の具体例には、Ciba-Geigy社から入手可能なOrasol
登録商標ブルーGN染料、Orasol
登録商標ピンク染料、およびOrasol
登録商標イエロー染料が含まれる。ブラック染料には、限定するものではないが、ダイレクトブラック154、ダイレクトブラック168、ファストブラック2、ダイレクトブラック171、ダイレクトブラック19、アシッドブラック1、アシッドブラック191、モベイ(Mobay)ブラックSP、およびアシッドブラック2が含まれてよい。
【0019】
他の例では、着色剤は顔料であることができる。顔料はポリマー、オリゴマー、または小分子と共に自己分散性であることができ、または別個の分散剤で分散することができる。適切な顔料には、限定するものではないが、BASF社から入手可能な以下の顔料:Paliogen
登録商標オレンジ、Heliogen
登録商標ブルーL6901F、Heliogen
登録商標ブルーNBD7010、Heliogen
登録商標ブルーK7090、Heliogen
登録商標ブルーL7101F、Paliogen
登録商標ブルーL6470、Heliogen
登録商標グリーンK8683、およびHeliogen
登録商標グリーンL9140が含まれる。以下のブラック顔料はCabot社から入手可能である:Monarch
登録商標1400、Monarch
登録商標1300、Monarch
登録商標1100、Monarch
登録商標1000、Monarch
登録商標900、Monarch
登録商標880、Monarch
登録商標800、およびMonarch
登録商標700。以下の顔料はCIBA社から入手可能である:Chromophtal
登録商標イエロー3G、Chromophtal
登録商標イエローGR、Chromophtal
登録商標イエロー8G、Igrazin
登録商標イエロー5GT、Igralite
登録商標ルビン4BL、Monastral
登録商標マゼンタ、Monastral
登録商標スカーレット、Monastral
登録商標バイオレットR、Monastral
登録商標レッドB、およびMonastral
登録商標バイオレットマルーンB。以下の顔料はDegussa社から入手可能である:Printex
登録商標U、Printex
登録商標V、Printex
登録商標140U、Printex
登録商標140V、カラーブラックFW200、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW1、カラーブラックFW18、カラーブラックS160、カラーブラックS170、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、およびスペシャルブラック4。以下の顔料はDuPont社から入手可能である:Tipure
登録商標R−101。以下の顔料はHeubach社から入手可能である:Dalamar
登録商標イエローYT−858−DおよびHeucophthalブルーGXBT−583D。以下の顔料はClariant社から入手可能である:パーマネントイエローGR、パーマネントイエローG、パーマネントイエローDHG、パーマネントイエローNCG−71、パーマネントイエローGG、ハンザイエローRA、ハンザブリリアントイエロー5GX−02、ハンザイエロー−X、Novoperm
登録商標イエローHR、Novoperm
登録商標イエローFGL、ハンザブリリアントイエロー10GX、パーマネントイエローG3R−01、Hostaperm
登録商標イエローH4G、Hostaperm
登録商標イエローH3G、Hostaperm
登録商標オレンジGR、Hostaperm
登録商標スカーレットGO、およびパーマネントルビンF6B。以下の顔料はMobay社から入手可能である:Quindo
登録商標マゼンタ、Indofast
登録商標ブリリアントスカーレット、Quindo
登録商標レッドR6700、Quindo
登録商標レッドR6713、およびIndofast
登録商標バイオレット。以下の顔料はSun Chemical社から入手可能である:L74−1357イエロー、L75−1331イエロー、およびL75−2577イエロー。以下の顔料はColumbian社から入手可能である:Raven
登録商標7000、Raven
登録商標5750、Raven
登録商標5250、Raven
登録商標5000、およびRaven
登録商標3500。以下の顔料はSun Chemical社から入手可能である:LHD9303ブラック。凝結性インクおよび/または最終的には印刷部品の色を変更するのに有用な、任意の他の顔料および/または染料を使用することができる。
【0020】
着色剤はインクに含有させて、印刷オブジェクトに対して色を付与し、および/または可融性インクがパウダーベッド上へと噴射された場合にIRその他のエネルギー源の下でインクを溶融させることができる。しかしながら幾つかの例では、色の異なるインクのセットを使用して、多色印刷を行うことができる。例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク(および/または任意の他の色)、無色インク、ホワイトインク、および/またはブラックインクの任意の組み合わせを含むインクセットを使用して、オブジェクトをフルカラーで印刷することができる。代替的に、または付加的に、無色インクを着色を行うためのカラーインクのセットと組み合わせて使用することができる。幾つかの例では、ポリマーパウダーを凝結または溶融させるために無色インクを使用することができ、着色を行うためにカラーインクまたはブラックインク若しくはホワイトインクの別個のセットを使用することができる。
【0021】
本願に記載するインクはまた、液体ビヒクルを含んでいる。幾つかの例では、液体ビヒクルの配合処方は、噴射アーキテクチャに応じて、水、または水と合計で1重量%から50重量%(の共溶媒)で存在する一つまたはより多くの共溶媒であることができる。さらに、任意選択的に、一つまたはより多くのノニオン性、カチオン性、および/またはアニオン性界面活性剤が、0.01重量%から20重量%の範囲で存在することができる。一つの例では、界面活性剤は5重量%から20重量%の量で存在することができる。液体ビヒクルはまた、分散剤を5重量%から20重量%の量で含むことができる。水に加えて、配合処方の残部は、殺生物剤、粘度調節剤、pH調節用材料、金属イオン封鎖剤、保存剤、その他のような他のビヒクル成分であることができる。一つの例では、液体ビヒクルは大部分が水であることができる。幾つかの例では、水性ビヒクルと共に水分散性のポリマーを使用することができる。幾つかの例では、インクは有機溶媒を実質的に含有しないことができる。しかしながら他の例では、染料または顔料の溶解または分散を助けるために、またはインクの噴射特性を改善するために、または他の目的で、共溶媒を使用することができる。さらに別の例においては、非水性のビヒクルを使用することができる。
【0022】
使用可能な共溶媒の種類には、有機共溶媒が含まれうるものであり、これには脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、および長鎖アルコールが含まれる。そうした化合物の例には、一級脂肪族アルコール、二級脂肪族アルコール、1,2−アルコール、1,3−アルコール、1,5−アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの高級同族体(C
6〜C
12)、N−アルキルカプロラクタム、未置換カプロラクタム、置換および未置換の両方のホルムアミド、置換および未置換の両方のアセトアミド、その他が含まれる。使用可能な溶媒の特定の例には、限定するものではないが、2−ピロリジノン、N−メチルピロリドン、2−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールが含まれる。
【0023】
ある例においては、共溶媒または液体ビヒクルは一般的に、高い蒸気圧を有するように処方することができる。そうした例では、高い蒸気圧のビヒクルまたはビヒクル成分は、かくして迅速に揮発するように処方可能であり、粒状構築材料上に分配された場合に、DEHはポリマー粒子上に乗ったまま残される。
【0024】
アルキルポリエチレンオキシド、アルキルフェニルポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドブロックコポリマー、アセチレンポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド(ジ)エステル、ポリエチレンオキシドアミン、プロトン化ポリエチレンオキシドアミン、プロトン化ポリエチレンオキシドアミド、ジメチコーンコポリオール、置換アミンオキシド、その他のような、一つまたはより多くの界面活性剤を使用することができる。本開示の配合処方に添加される界面活性剤の量は、0.01重量%から20重量%の範囲にあってよい。適切な界面活性剤には、限定するものではないがDow Chemical社から入手可能なTergitol
TM15−S−12、Tergitol
TM15−S−7のようなリポニック(liponic)エステル、LEG−1およびLEG−7;Dow Chemical社から入手可能なTriton
TMX−100、Triton
TMX−405;およびドデシル硫酸ナトリウムが含まれる。
【0025】
本開示の配合処方と矛盾するものでなければ、種々の他の添加剤を用いて、特定の用途に対して所望のインク特性を提供することができる。それらの添加剤の例は、有害な微生物の成育を阻止するために添加されるものが挙げられる。こうした添加剤は、殺生物剤、殺菌剤、および他の微生物用剤であってよく、これらはインク配合処方において日常的に使用されている。適切な微生物用剤の例には、限定するものではないが、NUOSEPT
登録商標(Nudex社)、UCARCIDE
TM(Union Carbide社)、VANCIDE
登録商標(R.T. Vanderbilt社)、PROXEL
登録商標(ICI America社)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0026】
EDTA(エチレンジアミン四酢酸)のような金属イオン封鎖剤は、重金属不純物の有害な影響を排除するために包含させてよく、そしてインクのpHを調節するために、緩衝溶液を使用してよい。例えば、0.01重量%から2重量%を使用することができる。粘度調節剤およびバッファ、およびインクの特性を所望に応じて変化させるためのその他の添加剤も存在させてよい。そうした添加剤は、0.01重量%から20重量%で存在させることができる。
【0027】
可融性インクの配合処方の例を、以下のように表1に示す:
【0029】
図4によれば、複合粒状構築材料を作成するための方法100は、10μmから150μmの平均粒径と2:1未満のアスペクト比を有するポリマー粒子を、0.1μmから20μmの平均粒径と3:1から100:1の平均アスペクト比を有する補強用粒子と、ポリマー膨潤性溶媒の存在下に混合すること110を含むことができる。追加的な工程として、ポリマー粒子を膨潤させて補強用粒子をポリマー粒子表面に埋設させ、複合粒状構築材料を形成すること120を含むことができる。この方法はさらに、複合粒状構築材料を洗浄および乾燥させて、92重量%から99.5重量%のポリマー粒子と、ポリマー粒子の表面に埋設された0.5重量%から8重量%の補強用粒子を含む、粒状組成物をもたらすことを含むことができる。別の例では、混合工程は、最初にポリマー粒子と補強用粒子を混合し、次いで膨潤性溶媒を添加することを含むことができる。代替的な例においては、混合工程は、最初に膨潤性溶媒と補強用粒子を混合し、次いでポリマー粒子を添加することを含むことができる。別の例では、混合工程は、最初にポリマー粒子とポリマー膨潤性溶媒を混合し、次いで補強用粒子を添加することを含むことができる。
【0030】
最初にポリマー粒子と補強用粒子が混合され、次いでポリマーが膨潤されてポリマー粒子表面で補強用粒子が埋設される一例によれば、以下が使用可能な、または容易に採用可能な一般的手順である。例としてPA−12(ナイロン12)およびマイカパウダーが使用されるが、同じ手順は他の熱可塑性ポリマーおよび/または補強用粒子、例えばタルク、ガラス繊維その他について使用することができる。最初に粒状混合物が、ナイロン粒子とマイカパウダーをそれぞれについて予め決められた混合重量、例えばマイカについて0.5重量%から8重量%、残部がナイロン粒子であるように、秤量することによって調製される。次に、圧密化された部分をほぐすために、視覚的その他によって均一性が確認されるまで、これらの粒子は高速、例えば3500rpmにおいて、高速ミキサー中で混合することができる。少量のポリマー膨潤性溶媒、例えば1.5重量%のm−クレゾールを添加することを目標として、添加の間に短い混合時間を置きながら、この溶媒は少量ずつ、例えば一回に20〜25滴ずつ(バッチの大きさにもよるが、約0.3〜0.4グラム)添加される。バッチがひとたび混合されたならば、ナイロンは膨潤され、マイカ粒子はナイロンの表面に埋設されたようになる。他の方法も同様にして実行することができる。
【0031】
本開示は、本願に開示された特定のプロセス工程や材料に限定されないことは理解されるであろう。なぜならそうしたプロセス工程や材料は幾らか変更されてよいからである。また、本願で使用される用語は特定の例を記述する目的でのみ使用されていることが理解されるであろう。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ制限されることが意図されており、それらの用語は限定を行うことを意図したものではない。
【0032】
この明細書および特許請求の範囲において使用するところでは、単数形「ある」、「あの」および「その」は、文脈が明らかに他のことを意図しているのでない限り、複数物への参照を含んでいることが留意されよう。
【0033】
本願で使用するところでは、「液体ビヒクル」または「インクビヒクル」は、添加物を入れてインクまたはインクジェット可能な流体が形成される液状流体を参照している。本開示のシステムおよび方法については、多種多様のインクビヒクルを使用してよい。そうしたインクビヒクルには、界面活性剤、溶媒、共溶媒、抗コゲーション剤、バッファ、殺生物剤、金属イオン封鎖剤、粘度調節剤、表面活性剤、水、その他を含む、種々の異なる剤の混合物が含まれてよい。液体ビヒクルそれ自体の一部ではないが、添加してよい着色剤および/またはポリマーに加えて、液体ビヒクルは、ポリマー、ラテックス、UV硬化性材料、可塑剤、塩、その他といった固体添加剤を担持することができる。幾つかの例では、液体ビヒクルによって担持される添加剤は、本願で記載するような感光性ドーパントであることができる。
【0034】
本願で使用するところでは、「着色剤」は染料および/または顔料を含むことができる。
【0035】
本願で使用するところでは、「染料」は電磁放射線またはその所定の波長を吸収する化合物または分子を参照している。染料は、その染料が可視スペクトルにおいて波長を吸収する場合には、インクに対して可視色を付与することができる。
【0036】
本願で使用するところでは、「顔料」は一般に、顔料着色剤、不透明粒子、磁性粒子、アルミナ、シリカ、および/または他のセラミック、有機金属化合物、ナノ粒子、ナノワイヤ、またはナノチューブを、それらの粒子が色を付与すると否とにかかわらず包含する。したがって本願の記述は基本的に、顔料着色剤の使用を例示しているが、用語「顔料」はより一般的に、顔料着色剤だけではなく、有機金属化合物、フェライト、セラミック等の他の顔料をも記述するように使用することができる。しかしながら一つの特定的な側面においては、顔料は顔料着色剤である。
【0037】
本願で使用するところでは、「噴射」、「噴射可能」、「噴射性」などは、インクジェットアーキテクチャのような噴射性アーキテクチャから射出される組成物を参照している。インクジェットアーキテクチャは、サーマルまたはピエゾアーキテクチャを含むことができる。加えて、こうしたアーキテクチャは、10ピコリットル未満、20ピコリットル未満、30ピコリットル未満、40ピコリットル未満、50ピコリットル未満等といった、種々の液滴寸法で印刷を行うように構成可能である。
【0038】
本願で使用するところでは、用語「実質的」または「実質的に」は、材料の数または量に関して使用される場合、またはその特定の性質について使用される場合、その材料や特性が提供することを意図していた効果をもたらすのに十分な量を参照している。同様に、組成物が「実質的に」存在しない場合、それは単なる痕跡量または組成物のいかなる機能も事実上奏されることのない量を参照している。逸脱が許容される正確な度合いは、幾つかの場合には、特定の文脈に依存しうる。
【0039】
本願で使用するところでは、用語「約」は、ある所与の値が端点よりも「少し上」でもまたは「少し下」でもよいと規定することにより、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。この用語の柔軟性の度合いは、具体的な変数によって定まる可能性があり、また本願における関連記載に基づき決定されうる。
【0040】
本願で使用するところでは、便宜上、複数の品目、構成要素、組成要素、および/または物質は、一般的なリストで提示されてよい。しかしながらこうしたリストは、羅列された各々の要素が別々に、唯一の要素として個々に識別されているかのように解釈されるべきである。よって、逆の表示がなければ、こうしたリストの個々の要素のどれ一つも、それらが共通の群に提示されていることのみをもって、同じリストの任意の他の要素の事実上の均等物として解釈されるべきではない。
【0041】
本願において、濃度、量、および他の数値データは、範囲形式で表現または提示されてよい。そうした範囲形式は、単に便宜上と簡潔さのために使用されるものであり、よって範囲の限界として明確に示された数値だけでなく、その範囲内に包含される全ての個々の数値または部分範囲をも、あたかも各々の数値および部分範囲が明示的に示されているかのようにして含むよう、柔軟に解釈されるべきであることが理解されよう。例を示せば、「約1重量%から約5重量%」の数値範囲は、明示的に示された約1重量%から約5重量%の値だけを含むようにではなく、個々の値や部分範囲をも含むように解釈されるべきである。かくしてこの数値範囲には、2、3.5、および4といった個々の値、ならびに1〜3、2〜4、そして3〜5等といった部分範囲が含まれる。これと同じ原則は、値を一つだけ示す範囲にも適用される。さらにまた、こうした解釈は、範囲の広さや記述されている特性とは無関係に適用されるべきである。
【実施例】
【0042】
以下では本開示の幾つかの例が説明される。しかしながら理解されるように、以下は本開示の原理の適用について、単に例示的なものである。数多くの変更および代替的組成物、方法、およびシステムを、本開示の思想および範囲から逸脱することなしに想到しうる。添付の請求項は、そうした変更および修正を包含することを意図したものである。
例1−複合粒状構築材料(マイカ付きナイロン)の調製
2:1未満の平均アスペクト比(例えば約1:1)と約50μmの平均粒径を有するナイロン粒子(フランス国コロンブのArkema社からのPA−12)が、最長アスペクト比に沿って約15μmから20μmと見積もられる平均粒径を有する約7.5重量%(全粒子含有量に基づく)のMagnapearl
登録商標1000マイカ粒子(BASF社からの板状構造)と混合されて、均一な混合物とされた。これに対してm−クレゾールがポリマー膨潤性溶媒として、組成物の約1.5重量%まで滴下により添加された。ナイロン粒子は膨潤するようにされた。SEM下で観察したところ、ナイロン粒子の表面上に被覆されたマイカは、約20から35%と見積もられる表面積に存在していたことが判明した。幾つかのマイカ粒子はナイロン粒子と同程度の大きさであったことから、特にそれらの僅かな大粒子はナイロン粒子の表面に付着しなかった。
例2−複合粒状構築材料(マイカ付きナイロン)の調製
最長アスペクト比に沿って約3μmから5μmと見積もられる平均粒径を有するMagnapearl
登録商標3000マイカ粒子(BASFから入手可能な板状構造)の混合物が、ポリマー膨潤性溶媒であるm−クレゾールと混合された。次いで、2:1未満の平均アスペクト比(例えば約1:1)と約50μmの平均粒径を有するナイロン粒子(フランス国コロンブのArkema社からのPA−12)が、マイカが約7.5重量%(全粒子含有量に基づく)で存在するようにして、溶媒/マイカ組成物と混合された。組成物の全重量を基礎として、添加された溶媒の濃度は約1.5重量%であった。マイカ粒子が表面に付着されうるように、ナイロン粒子は膨潤するようにされた。SEM下で観察したところ、マイカの幾らかがナイロン粒子の表面に被覆されていることが判明した。しかしながらマイカの幾らかはナイロン粒子の間で凝集していた。したがって幾らかの被覆は生じたが、幾らかの粒子はポリマー粒子上には被覆されなかった。この被覆方法は、例1および例3に記載した方法ほど有効ではなかったが、被覆粒子は依然として生成された。
例3−複合粒状構築材料(マイカ付きナイロン)の調製
2:1未満の平均アスペクト比(例えば約1:1)と約50μmの平均粒径を有するナイロン粒子(フランス国コロンブのArkema社からのPA−12)の混合物が、ポリマー膨潤性溶媒であるm−クレゾールと混合され、ポリマー膨潤性溶媒は約1.5重量%のm−クレゾールが存在するようになるまで(最終生成物の合計含有量に基づいて)、混合と交互になるよう滴下により添加された。次に最長アスペクト比に沿って約3μmから5μmと見積もられる平均粒径を有するMagnapearl
登録商標3000マイカ粒子(板状構造)が、マイカが固形分含量に基づき約7.5重量%で存在するようにして、溶媒/ポリマー組成物と混合された。次いでナイロン粒子は膨潤するようにされた。SEM下で観察したところ、ナイロン粒子の表面上に被覆されたマイカは、約35から50%と見積もられる表面積に存在していたことが判明した。例1におけるナイロン粒子に対するマイカ粒子の適用方法、およびこの例では、マイカの適用または表面埋設に関して大体同等の成功がもたらされた。しかしながら、Magnapearl
登録商標1000(例1のもの)はより大きな粒子を有していたことから(幾つかはナイロン粒子と同程度に大きい)、ナイロン粒子表面に埋設状態とならない幾つかの大粒子があった。したがって50μmのナイロン粒子を被覆するためには、Magnapearl
登録商標3000マイカ粒子(一般的により小さく、本例において使用)がさらに良好に合致すると判定された。それゆえ幾つかの例においては、より大きなポリマー粒子(本例の50μm粒子と比較して)を使用した場合は、両者とも受け入れ可能ではあるが、表面上により多くのマイカ粒子を埋設し、一緒に分散されたままの大粒子をより少なくすることが目標であるならば、Magnapearl
登録商標1000マイカ粒子の方が良好に作用するであろう。
例4−複合粒状構築材料(マイカ付きナイロン)の調製
2:1未満の平均アスペクト比(例えば約1:1)と約50μmの平均粒径を有するナイロン粒子(フランス国コロンブのArkema社からのPA−12)の均一な混合物が、最長アスペクト比に沿って約3μmから5μmの平均粒径を有する約5重量%のMagnapearl
登録商標3000マイカ粒子(板状構造)と混合された。これに対して、約1.5重量%のm−クレゾールがポリマー膨潤性溶媒として添加された。ポリマーは膨潤により、その表面にマイカ粒子が付着することを許容した。例1において記載されたナイロン粒子に付着したマイカ粒子の表面積と比較して、より大きな表面積被覆を達成可能であるが、それは本例では、例1で使用された比較的大きなマイカ粒子に比べて、マイカ粒子が小さいからである。
例5−複合粒状構築材料(ガラス繊維付きナイロン)の調製
2:1未満の平均アスペクト比(例えば約1:1)と約50μmの平均粒径を有するナイロン粒子(フランス国コロンブのArkema社からのPA−12)の均一な混合物が、平均繊維長約20μmを有する約7.5重量%のガラス繊維(繊維構造)と混合された。これに対して、約1.5重量%のm−クレゾールがポリマー膨潤性溶媒として添加された。膨潤するナイロン粒子は、繊維が表面に付着または埋設状態となることを許容する。
例6−物性の比較
比較のために、二つの構築材料が調製された。最初の構築材料は、例4に記載したと同様にして調製し、二番目の構築材料は、例4のナイロンPA−12を使用したが、その表面にマイカを適用しなかった。両方の構築材料を使用し、以下の表2に示す可融性インクを用いて3Dオブジェクトを形成した。
【0043】
【表2】
【0044】
可融性インクが適用されたなら、赤外エネルギーが適切な周波数で構築材料および可融性インクに適用され、固体部品が形成された。可融性インクの適用前から適用中にかけてパウダーを加熱するのに使用した温度範囲は、約130℃から約170℃であった。以下の表3は、ナイロン粒子表面上に被覆されたマイカを使用することによる物性の改良に関する比較データである。
【0045】
【表3】
【0046】
表1に示すように、マイカをナイロン粒子の表面に適用することにより、強度が26%増大したが、これは予期しないことであった。またヤング率(剛性)においても90%の増大が見られた。このような低い充填率(〜5重量%)において、強度および剛性におけるこのように大きな増大が達成されるということは、予期しないことであった。比較の目的であるが、剛性を二倍にするためには、通常は約40重量%のガラスビーズが必要とされる。上に示すように
、密度もまた増大された。
【0047】
本開示は所定の例を参照して記述してきたが、当業者は、本開示の思想から逸脱することなしに、種々の修正、変更、省略、および代替を行いうることを理解するであろう。したがって、本開示は、以下の請求項の範囲のみによって限定されることを意図したものである。