(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましくは、超音波への暴露中の押出物の温度は、超音波の周波数範囲で、ゴム混合物のガラス転移範囲よりも上である。典型的には、押出物の温度は、少なくとも100℃である。
【0014】
好ましくは、超音波への暴露中の押出物の圧力は、少なくとも10バールである。
【0015】
好ましくは、5〜7MHzの周波数範囲の超音波が用いられる。測定は、1つもしくは複数の周波数fの超音波を用いて行うことができる。周波数スペクトルへの暴露の場合に、例えば、5〜7MHzの範囲の超音波の使用は、典型的には、放出超音波周波数fで、超音波振幅または超音波強度が最大値の50%である、制限周波数(すなわち、下方周波数および上方周波数)の算術平均が5〜7MHzであるようなものと理解されるべきである。
【0016】
本発明との関連では、シラン化の試験は、充填材のシラン化の定性的測定およびシラン化度の定量的測定の両方が含まれ得る。
【0017】
押出物は典型的には、好ましくはいかなる架橋剤をも含有しない未架橋ゴム混合物である。
【0018】
とりわけ好適であるゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレン−イソブチレンゴム(IIR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(XNBR)、水素化カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HXNBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フルオロゴム(FKM)、過フッ素化フルオロゴム(FFKM)、アクリレート−エチレンゴム(AEM)、アクリレートゴム(ACM)、エチレン−メチルアクリレートゴム(EMA)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVA)、シリコーンゴム、フルオロ−シリコーンゴム、エチレン−エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エピクロロヒドリンゴム(CO)および/またはポリウレタン(PU)が挙げられる。天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)が特に好ましい。
【0019】
本発明との関連で好ましい明色充填材は、雲母、カオリン、ケイ質土、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカ、チョークおよびタルク、より好ましくはシリカ、最も好ましくは沈澱シリカである。本発明の具体的な実施形態においては、明色充填材として二重相充填材と呼ばれるものを使用することが可能である。これらは、当業者に公知である、5%超のシリカの割合を有するカーボンブラック粒子である。
【0020】
ゴム混合物中の充填材の割合は典型的には、50〜250phr、好ましくは60〜150phr、より好ましくは70〜100phrである。
【0021】
本発明の方法の一実施形態においては、押出物は、超音波振動子の、少なくとも1つのペアを使って、好ましくは少なくとも2つのペアの少なくとも1つの検出バンドを使って分析される。ペアのそれぞれの振動子は、互いに向かい合っており;ペアは、互いに並行して直列に配置される。ペアの振動子間の距離は好ましくは、5mm超〜30mm、より好ましくは10〜25mm、最も好ましくは15〜20mmである。
【0022】
ペアの1つの超音波振動子はエミッターとして、他の振動子は超音波信号のレシーバーとして機能する。エミッターにおいて、試験エレクトロニクスで発生する電圧パルスは、圧電効果の助けを借りて超音波に変換される。典型的には、電圧パルスは、エミッターの励起で、方形パルスまたはニードルパルスの形態を取る。好ましくは、少なくとも2つの電圧パルス(バースト信号)が引き続いて使用され、0.01μ秒以上だけ分離され;より好ましくは少なくとも7つの電圧パルス、最も好ましくは少なくとも14の電圧パルスが使用される。より好ましくは、バースト信号の電圧パルス間の時間内相互分離は、使用される超音波振動子の内在周波数に相当する。単一電圧パルスからまたはバースト信号からなる超音波信号の放出は、少なくとも1Hz、より好ましくは少なくとも10Hzの周波数で好ましくは繰り返される。レシーバーにおいて、超音波は、ゴム混合物透過後に押出中に電圧信号に変換し戻され、迅速に(1分未満内に)評価することができる。
【0023】
押出物は、超音波振動子間の間隙中にある。好ましくは、超音波振動子と押出物との間の直接接触がある。間隙は好ましくは、側面に制限され、5mm以上の高さの、より好ましくは10mm以上の高さの、最も好ましくは20mm以上の高さの流路を生じさせる。好ましくは、流路の幅は、20mm以上、より好ましくは50mm以上、最も好ましくは100mm以上である。押出物は、好ましくは0.1m/分以上、より好ましくは1m/分以上、最も好ましくは10m/分以上の速度で検出バンドを通過する。この目的のために押出機を用いることが好ましい。この場合には、ゴム混合物の一部、押出ゴム混合物の、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上、とりわけ好ましくは100%が、超音波を使って分析される。このようにして、ゴム混合物の、ランダムサンプリングによってだけでなく、代表的な品質管理が可能である。
【0024】
本発明の一実施形態においては、電圧信号に変換される音波の振幅は、エミッターにおける音波信号の放出以降に経過した時間の関数として測定される。これらは、Aスキャンと呼ばれ、時間の関数として正式に記録される。
【0025】
本発明の一実施形態においては、Aスキャンの超音波信号からの超音波の信号強度は、超音波振幅、好ましくは最大超音波振幅の値を測定し、そして超音波振幅の対数を時間tに対してプロットすることによって定量化される。
【0026】
好ましくは、Aスキャンの超音波信号が評価され、超音波信号のエコーは評価されない。
【0027】
本発明のさらなる実施形態においては、超音波強度iが、超音波振幅aを二乗することによって求められ、超音波強度iの対数が時間tに対してプロットされる。
【0028】
好ましくは、相対減衰係数α
相対は、超音波振幅aおよび対照の超音波振幅a
対照ならびに超音波振動子間の距離xから式(1a)
α
相対=(ln a
対照−ln a)/x=(ln i
対照−ln i)/2x (1a)
によって求められる。あるいは、相対減衰係数α
相対は、超音波強度i、対照の超音波強度i
相対および超音波振動子間の距離xから求めることができる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態においては、超音波信号の値が二乗され、次に積分され、それ故に積分超音波強度Iが求められる。あるいは、積分超音波振幅Aは、超音波強度Iの平方根から求めることができる。
【0030】
より好ましくは、相対減衰係数α
相対は、積分超音波強度Iおよび/または積分超音波振幅Aを用いて式(1b)
α
相対=(ln A
対照−ln A)/x=(ln I
対照−ln I)/2x (1b)
によって求められる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態においては、高速Fourier(フーリエ)変換(FFT)を用いて、超音波振幅の周波数スペクトルa(f)または超音波強度i(f)が求められる。
【0032】
好ましくは、相対減衰係数α
相対は、超音波振幅a及び対照の超音波振幅a
対照から、または、超音波強度i、対照の超音波強度i
対照、および超音波振動子間の距離xから式(1c)
α
相対(f)=(ln a
対照(f)−ln a(f))/2x=(ln i
対照(f)−ln i(f))/2x (1c)
によって周波数の関数として求められる。
【0033】
本発明の特に好ましい実施形態においては、周波数スペクトルは、f
最小の最小周波数および最大周波数f
最大を有する周波数範囲へと分割され、積分される。好ましくは、これらの周波数範囲は、超音波振幅または超音波強度の最大値を含有する。
【0034】
好ましくは、相対減衰係数α
相対は、超音波振幅a、対照の超音波振幅a
対照、および超音波振動子間の距離xから式(1d):
α
相対(f
最小,f
最大.)=(ln A
対照(f
最小,f
最大.)−ln A(f
最小,f
最大))/x=(ln I
対照(f
最小,f
最大.)−ln I(f
最小,f
最大.))/2x (1d)
によって、f
最小〜f
最大(両方を含む)の周波数範囲の関数として求められる。
【0035】
あるいは、相対減衰係数α
相対は、式(1b)によって、超音波強度i、対照の超音波強度i
相対および距離xから求めることができる。
【0036】
好ましくは、相対減衰係数α
相対は、超音波振動子の内在周波数で測定される。
【0037】
本発明の一実施形態においては、対照の超音波信号の信号強度は、押出中の匹敵する処理および測定条件下での少なくとも1kgのゴム混合物の押出によって測定される。押出および測定中の匹敵する処理および測定条件は、処理量の変化が10%未満であり、超音波振動子間での押出物および超音波振動子の温度の変化が±5K未満であり、超音波振動子間での押出物の圧力pの変化が±5バール未満である場合に存在する。処理量の変化が5%未満であり、超音波振動子間での押出物および超音波振動子の温度の変化が±2K未満であり、超音波振動子間での押出物の圧力の変化が±2バール未満である場合の処理および測定条件が好ましい。処理量の変化が2%未満であり、超音波振動子間での押出物および超音波振動子の温度の変化が±1K未満であり、超音波振動子間での押出物の圧力の変化が±1バール未満である場合の処理および測定条件が特に好ましい。
【0038】
対照混合物として、調べられるべきゴム混合物と同じ組成を有するゴム混合物であって、シラン化が対照混合物において最適な方法で行われているゴム混合物を使用することが特に好ましい。
【0039】
好ましい実施形態においては、超音波振動子間の距離xは、0.1mmよりも良好な精度を有する内径カリパスを用いて測定される。
【0040】
本発明のさらなる実施形態においては、加えて、超音波振幅または超音波強度の対数の変動係数(CV)が求められる。1000よりも少ない測定、より好ましくは100よりも少ない測定、最も好ましくは10よりも少ない測定を用いることがここでは好ましい。
【0041】
好ましい実施形態においては、相対減衰係数と同様に、相対減衰係数の標準偏差σも測定される。1000よりも少ない測定、より好ましくは100よりも少ない測定、最も好ましくは10よりも少ない測定を用いることが好ましい。
【0042】
さらなる実施形態においては、相対減衰係数と同様に、押出物中の音速V
Sは、式(2)
V
S=x/(t
oF−t
US) (2)
によって求められる。
【0043】
期間t
oFは、エミッターにおける放出の時間からレシーバーにおける受け取りまでに超音波信号によって必要とされる。期間t
USは、超音波振動子において超音波信号によって必要とされる。期間t
USは、押出中のものに匹敵する超音波振動子についての温度で測定される。期間t
USは、超音波振動子間の各種距離xでt
oFを測定することによって求められる。超音波振動子間に対照混合物を使用することがここでは好ましい。好ましくは、5mm〜30mmの範囲の少なくとも4つの距離が設定される。期間t
USは、超音波振動子間の距離xに対するt
oFのプロットの線形回帰の軸切片から得られる。
【0044】
不十分にシラン化された明色充填材は、レシーバーでの超音波振幅aの、または超音波強度iの低下を、および相対減衰率α
相対の増加をもたらす。音速V
sは変化しないままである。相対音波減衰係数α
相対の変動係数CVまたは標準偏差σは、ゴム混合物の均質性を反映している。
【0045】
好ましい実施形態においては、ゴムは、流路の全体幅にわたって配置された1つもしくは複数の超音波センサーペアからなる検出バンドを通過する。
【0046】
特に好ましい実施形態においては、ゴム混合物は、互いにわずかにオフセットされた2つの検出バンドを通過する。これは、全部のゴム混合物が分析されることを確実にする。
【0047】
本発明の装置の好ましい実施形態は、
図1〜
図3に示されている。
図1は、例として、上面図における、超音波センサーペア(4)、すなわち、各ペアについて1つのトランスミッターおよび1つのレシーバーと、流路(5)とからなる検出バンドを表し;
図2は、側面図で
図1の配置を示す。
図3は、押出機(1)と、超音波振動子ペア(4)からなる検出バンドおよび流路(5)と、超音波センサーエレクトロニクス(2)と、評価装置としてのコンピューター(3)とからなる配置を示す。
【0048】
本発明はさらに、シラン化された明色充填材を含むゴム混合物の製造方法であって、少なくとも1つの明色充填材が少なくとも1つのゴムおよび少なくとも1つのシラン化剤と混合され、シラン化され、そして得られたゴム混合物の少なくとも一部がシラン化の試験のための本発明の方法によって試験される方法を提供する。得られたゴム混合物の好ましくは1容積%超、より好ましくは10容積%超、最も好ましくは100容積%が、シラン化の試験のための本発明の方法によって試験される。本発明の方法は、連続的にまたはバッチ式方法として、好ましくは連続的に行うことができる。
【0049】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態においては、押出機が同時に、本発明の試験方法によるゴム混合物の製造、ならびにその場シラン化のための、そして押出物の製造のための混合装置として用いられる。この場合には、少なくとも1つの明色充填材、1つのシラン化剤および1つのゴムがそれぞれ、押出機に供給され、その中でシラン化された充填材がシラン化剤と明色充填材とから形成される。
【0050】
使用されるシラン化剤は好ましくは、少なくとも1つのシランである。本発明との関連でシランは、ケイ素および水素、ならびにまた他の化学元素のさらなる原子を含有する化合物である。トリアルコキシシリル基を持ったシランが好ましい。1つの官能基が明色充填材の表面と反応することができる、例えばトリアルコキシシリル基であり、他の官能基がゴムの架橋反応に関与することができる、例えばビニル、チオールまたはポリスルファン基である二官能性シランが好ましい。
【0051】
次のシラン:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si75)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si266)、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン(Si264)、VP Si 363(登録商標)(Evonik Industries製)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、ガンマ−クロロプロピルトリエトキシシラン、トリス(1−メトキシエトキシ−プロピル−2−オキシ)ビニルシランが非常に特に好ましい。
【0052】
シラン化は、明色充填材の表面へのシランの化学的付加(chemical attachment)である。この付加は、使用されるシランの加水分解性基と、充填材の表面上の化学基との間の縮合反応によって達成される。明色充填材のシラン化は好ましくは、140℃〜160℃の範囲の温度でゴム混合物において行われる(その場シラン化)。この目的のために、各場合に、少なくとも1つのゴムと、シランと明色充填材とが混合され、上に明記された範囲内の温度にさらされる。
【0053】
ゴム混合物は典型的には、明色充填材の全割合を基準として5重量%〜15重量%のシラン化剤をここでは含有する。
【0054】
ゴム混合物は、さらなる充填材、さらなる添加剤、例えば老化安定剤、可塑剤など、架橋剤、加硫促進剤および/もしくは加硫遅延剤ならびに/またはさらなる補助剤をここでは含んでもよい。
【0055】
さらなる充填材は、例えば、炭素系充填材、例えばカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、および磁化可能な充填材、例えばカルボニル鉄粉、酸化鉄、フェライトならびに/または繊維、例えばアラミド繊維パルプおよび炭素繊維である。
【0056】
好適な老化安定剤は、着色および非着色老化安定剤、例えば、パラフェニレンジアミン、イソプロピルフェニルパラフェニレンジアミン(IPPD)、パラ−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N−ジトリル−p−フェニレンジアミン(DTPD)など、アミン、例えば、トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、(フェニル)アミン]−1,4−ナフタレンジオン(PAN)、ビス(4−オクチルフェニル)アミン(ODPA)、スチレン化ジフェニルアミン(SDPA)、モノ−およびビスフェノール類、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(BPH)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)(NKF)、2,2’−ジシクロベンタジエニルビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(SKF)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)(ZKF)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)、置換フェノール(DS)、スチレン化フェノール(SPH)、メルカプトベンズイミダゾール、例えば2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール(MMBI)、亜鉛4−および5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール(ZMMBI)である。
【0057】
可塑剤は、例えば、チオエステル、フタル酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、ジベンジルエーテルなどの、長鎖エステルおよび/もしくはエーテル、ならびに/または鉱油(パラフィン系、芳香族、ナフテン系もしくは合成油)である。
【0058】
本発明との関連で架橋剤は、網状構造節形成剤である。網状構造節形成剤は、2つの個別のポリマー鎖を互いに連結することができる分子、例えば
− 硫黄(可溶性もしくは不溶性)および/または硫黄供与体、例えば、ジチオモルホリン(DTDM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、ホスホリルポリスルフィド、例えばRhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenocure(登録商標)SDT/S、ならびに/または
− 過酸化物、例えばジ−tert−ブチルペルオキシド、ジ(tert−ブチルペルオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジメチル−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン、ジ(tert−ブチルペルオキシ)吉草酸ブチル、
− レゾルシノール、アルデヒド−アミン縮合生成物、例えばヘキサメチレンテトラミン、レゾルシノール−ホルムアルデヒドプレ縮合物および/または加硫樹脂、例えばハロメチルフェノール樹脂、
− キノンジオキシム、
− ビスフェノール類
である。
【0059】
加硫促進剤は、例えば:
− カルバメートまたはトリアジン類、例えばヘキサメチレンジアミンカルバメート(HMDC)、有機トリアジン類、
− チアゾール類、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール(ZnMBT)、チアジアゾール類(TDD)、
− シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、ジシクロヘキシル−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)、2−(4−モルホリニルメルカプト)ベンゾチアゾール(MBS)などのスルフェンアミド類、
− テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラ(ヘキサ)スルフィド(DPTT)などの、チウラム類、
− Znジメチルジチオカルバメート(ZDMC)、Cuジメチルジチオカルバメート、Biジメチルジチオカルバメート、Znジエチルジチオカルバメート(ZDEC)、テルルジエチルジチオカルバメート(TDEC)、Znジブチルジチオカルバメート(ZDBC)、Znエチルフェニルジチオカルバメート(ZEPC)、Znジベンジルジチオカルバメート(ZBEC)、Niジブチルジチオカルバメート(NBC)、セレンジエチルジチオカルバメート(SeEDC)、セレンジメチルジチオカルバメート(SeDMC)、テルルジエチルジチオカルバメート(TeEDC)などの、ジチオカルバメート、
− チオホスフェートおよびジチオホスフェート、例えば亜鉛O,O−ジ−n−ブチルジチオホスフェート(ZBDP)、亜鉛O−ブチル−O−ヘキシルジチオホスフェート、亜鉛O,O−ジイソオクチルジチオホスフェート(ZOPD)、ドデシルアンモニウムジイソオクチルジチオホスフェート(AOPD)、例えばRhein Chemie Rheinau GmbH製のRhenogran(登録商標)ZDT、ZAT、ZBOP製品、
− 尿素/チオ尿素、例えばエチレンチオ尿素(ETU)、N,N,N’N’−テトラメチルチオ尿素(TMTU)、ジエチルチオ尿素(DETU)、ジブチルチオ尿素(DBTU)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(Diuron)など、ならびに/または
− キサントゲン酸塩加硫促進剤、例えばイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(ZIX)、
− グアニジン類、例えばジフェニルグアニジン(DPG)および/もしくはN’,N−ジ−オルト−トリルグアニジン(DOTG)ならびにグアニジンを含まない代わりの加硫促進剤、例えばRhenogran(登録商標)XLA 60など
である。
【0060】
加硫遅延剤は、例えば、N−ニトロソジフェニルアミン、N−シクロヘキシルシクロヘキシルチオフタルイミド(CPT)、例えばVulkalent(登録商標)G)、スルホンアミド誘導体(例えばVulkalent(登録商標)E/C)、無水フタル酸(例えばVulkalent(登録商標)B/C)、または安息香酸無水物である。
【0061】
補助剤は、例えば、分散補助剤、例えば脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、活性剤、例えば酸化亜鉛、酸化鉛、酸化ビスマス、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムおよび/または水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモンなどの難燃剤などである。
【0062】
前述の充填材、添加剤、可塑剤、架橋剤、加硫促進剤および/もしくは加硫遅延剤、補助剤などは、当業者におなじみであり、顆粒形態で、例えばポリマー結合添加剤としてまたは欧州特許出願公開第2314442号明細書に記載されている架橋剤マスターバッチとしてまた使用することができる。
【0063】
ゴム混合物は、さらに処理して、例えばマスターバッチ、ベース混合物および架橋性ゴム混合物を得ることができる。
【0064】
マスターバッチは典型的には、ゴムを基準として高い割合の添加剤を有し、例えば:
2.5重量%〜90重量%のゴム
0重量%〜50重量%の可塑剤
2重量%〜80重量%のシラン化された明色充填材
0重量%〜20重量%の分散補助剤
0重量%〜10重量%のシラン
を含有する。
【0065】
ベース混合物は、それに架橋剤と任意選択的に加硫促進剤とが実用の前にさらに添加されなければならないゴム混合物であり、例えば:
100phrのゴム
0〜100phrの可塑剤
その少なくとも10重量%がシラン化された明色充填材である、0〜200phrの充填材
0〜30phrの補助剤および
0〜10phrの老化安定剤
である。
【0066】
架橋性ゴム混合物は、0.01〜20phrの架橋剤と、任意選択的に架橋促進剤および架橋遅延剤とをさらに含有するゴム混合物である。
【0067】
とりわけ、30〜110phrのカーボンブラックおよび沈澱シリカと、3〜9phrのシランと、2〜7phrの酸化亜鉛と0.5phr〜4phrの硫黄と1〜5phrの加硫促進剤とを含有する架橋性ゴム混合物が特に好ましい。
【0068】
本発明はまた、シラン化された明色充填材を含む架橋性ゴム混合物の製造方法であって、混合物中に1つもしくは複数の架橋剤が、本発明のゴム混合物の製造前、製造中および/または製造後に添加される方法を包含する。架橋剤はしたがって、明色充填材とシラン化剤およびゴムとの混合前に、混合中におよび/または混合後に添加することができる。
【0069】
マスターバッチ、ベース混合物および架橋性ゴム混合物は好ましくは、例えば、PCT/欧州特許出願公開第2009/058041号明細書に記載されているような当業者におなじみの方法によって製造される。充填材、補助剤、架橋剤および/または老化安定剤が、混合装置でゴムと一緒にここでは混合される。好適な混合装置は、例えば、内部ミキサー、ロールシステム、押出機である。出口押出機付きの内部ミキサーが特に好適である。
【0070】
本発明のさらなる実施形態においては、第1工程において、ベース混合物が混合装置で製造される。140℃超〜160℃の温度をここでは達成することができる。第2製造工程において、ベース混合物が130℃未満の温度に冷却された後に、架橋剤が、さらなる混合装置でベース混合物に添加される。架橋剤、加硫促進剤および/もしくは加硫遅延剤のいくつかは、第1製造工程においてベース混合物に既に添加されていてもよい。
【0071】
さらなる好ましい実施形態においては、ベース混合物は、第1工程において混合装置で製造される。140℃超〜160℃の温度をここでは達成することができる。第2工程において、混合物は均質化される。140℃超〜160℃の温度に達することが同様にここでは可能である。第3製造工程において、ベース混合物が130℃未満の温度に冷却された後に、架橋剤が、さらなる混合装置でベース混合物に添加される。架橋剤、加硫促進剤および/もしくは加硫遅延剤のいくつかは、第1または第2製造工程においてベース混合物に既に添加されていてもよい。
【0072】
マスターバッチ、ベース混合物あるいは架橋性ゴム混合物が、1つもしくは複数の押出機を使って1つもしくは複数のプロセス工程において製造される連続プロセスが特に好ましい。
【0073】
架橋性ゴム混合物について独国特許出願公開第102008040138号明細書に記載されている製造方法であって、ベース混合物が少なくとも1つのバッチ式混練機法で製造され、記載された欧州特許出願公開第2314442号明細書に記載されている架橋剤マスターバッチの形態での架橋剤がベース混合物に添加され、架橋剤マスターバッチが押出機を使った連続プロセスでベース混合物と混合される方法が非常に特に好ましい。
【0074】
本発明はさらに、シラン化された明色充填材を含む架橋性ゴム混合物の本発明製造と、100℃〜200℃の範囲の温度でのその後の加硫とを含む加硫物の製造方法に関する。
【0075】
本発明は同様に、本発明の試験方法のための、一般にゴム混合物、特に架橋性ゴム混合物の本発明製造方法のための、4〜10MHz、好ましくは5〜7MHzの範囲の1つもしくは複数の周波数の超音波振幅a、積分超音波振幅Aおよび/または超音波強度i、積分超音波強度Iの測定用測定装置の使用を包含する。これは好ましくはまた、上述の方法での相対減数係数α
相対の測定について述べられた測定装置の使用を包含する。
【0076】
本発明はしたがって、シラン化の検証方法であって、明色充填材、とりわけ沈澱シリカのその場シラン化のインライン監視を可能にする方法を提供する。これは、シラン化された明色充填材を含有するゴム混合物の製造において連続その場シラン化、および製造条件下でのゴム混合物の代表的な監視を可能にする。本方法はさらに非破壊的であり、ゴム混合物の追加の構成成分としてのカーボンブラックに対する高い耐性を有する。
【0077】
次に来る実施例、イラストレーションおよび図は、本発明を例示するのに役立ち、いかなる限定効果をも持たない。
【実施例】
【0078】
表1によるタイヤ・トレッド用の典型的なゴム混合物の構成要素が提供された。
【0079】
【表1】
【0080】
これらの構成要素を、様々なバッチにおいて表2の混合方法に従って混合した。
【0081】
【表2】
【0082】
バッチR1M1〜R5M2の場合に、速度および供給温度という混合パラメータを表3に従って変えた。
【0083】
【表3】
【0084】
混合物は、表3に明記されているように、5分間Gumix S.A.製の1.5リットルの内部ミキサー(互いにかみ合う)で混合する。ゴム混合物は、とりわけシリカおよびシランと、少しのカーボンブラックとをここでは含有する。
【0085】
シランは、140℃よりも上でシリカ表面と反応する。140℃よりも下で、反応はまったく起こらない。異なる混合パラメータの結果として、射出温度T
Aについての異なる値が140℃よりも下(バッチR2M1〜R4M1)でおよび140℃よりも上(バッチR1M1およびR5M2)で達成される。バッチR5M2はさらに、反応を完了させるために内部ミキサーで第2時間混合された(R5M2)。これは、タイヤ業界におけるその場シラン化のための典型的な方法に相当する。内部ミキサーでの混合プロセス後に、混合物バッチを、50℃の温度で(左側で3回、右側で3回切り込みが入れられた)Rubicon Gummitechnik und Maschinentechnik GmbH製の双ローラーシステム上で均質化し、ドローオフして混合シートを得た。ストリップをシートから切り取った。ストリップを、低い混合作用のRubicon Gummitechnik und Maschinentechnik GmbH製のEEK32.12L単一軸押出機に供給した。押出機出口に、10mmだけ離された2つの向かい合った超音波振動子を備えたセンサーヘッドと、さらに混合物流れおよび圧力/温度センサー中へ突き出ている探触子付きの温度センサーT1とがある。温度センサーは、ゴム/金属界面での圧力pおよび温度T2を測定する。センサーヘッドにおける流路は、20mmの幅および10mmの高さを有する。超音波振動子の直径は8mmである。センサーヘッドおよび押出機を、120℃の制御温度に保った。スクリュー速度は20rpmであった。これは、10分当たり約1kgのゴム混合物の処理量に相当する。
【0086】
インライン品質管理は、透過でのGE Sensing & Inspection Technologies GmbH製のペアのK6V1超音波振動子を使って行った。超音波振動子を、Inoson GmbH製のPCM 100LAN試験エレクトロニクスと作動させた。1秒当たり10〜40の超音波パルスを、圧電効果の助けを借りて超音波振動子において発生させた。超音波振動子は、電圧パルスを超音波信号に変換する。超音波振動子を、6MHzの超音波振動子の内在周波数での7バーストでここでは励起させた。トランスミッターの超音波パルスは、押出ゴム混合物を通って移動し、ゴム混合物によって減衰させられる。超音波信号の振動振幅aは低下させられる。レシーバーは、音波信号を受け取り、それを電圧信号に変換する。電圧信号は、32.45dBでのPCM100LANのハードウェアによって増幅させられ、コンピューターに通される。コンピューターの助けを借りて、Aスキャンの第1音波パルスが、高速Fourier変換(FFT)と呼ばれるものによって評価される。超音波周波数fの関数としてこのようにして得られた振幅スペクトルa(f)は、5つの異なる周波数範囲(表4を参照されたい)で積分され、対数が形成された。対数へ変換された積分についてこのようにして得られたln A(f
最小,f
最大)値を、時間tの関数として様々な混合物バッチR1M1〜R4M1およびR5M2についてプロットする。これは、混合物が押出機の出口でセンサーヘッドから出る前に行われる。センサーヘッドにおける混合物の滞留時間は1分未満であった。周波数範囲f
r最小=5.2MHz〜f
r最大=6.9MHzの結果を
図4〜10において各混合物バッチについて示す。加えて、変動係数CVをまた、50の測定ポイントに関する値ln A(f
最小,f
最大)について示す。変動係数CVは、混合の質の尺度である。
【0087】
ln A(f
最小,f
最大)についての値を、Beer−Lambert(ランベルト・ベール)の法則によって相対減衰係数α
相対(f
最小,f
最大)を計算するために使用する。
α
相対(f
最小,f
最大)=(ln A
対照(f
最小,f
最大)−ln A(f
最小,f
最大)/x (1d)
【0088】
この式中、xは、超音波振動子間の距離である。式(1d)中、対照混合物R5M2(標準的な混合方法)のln A
対照(f
最小,f
最大)の平均値は、Δt=5分の押出のための継続時間に関するものである。表4は、各混合物バッチについて押出のためのΔt=4分〜Δt=8分の期間に関する相対減衰係数α
相対(f
最小,f
最大)についての平均値を示す。加えて、相対減衰係数α
相対(f
最小,f
最大)の標準偏差σを式(1d)に従って求めた。加えて、圧力センサーpの平均値および探触子付き温度センサーT1および/または探触子なしのT2についての平均値を報告する。音速V
Sは、距離xおよび第1電圧振幅前の時間t
oFから求める。式(2)に従って超音波振動子に入口内の超音波信号の時間t
US=4.6μ秒を考慮することがここでは必要である。
V
S=x/(t
oF−t
US) (2)
【0089】
超音波インデックスに加えて、Mooney粘度ML1+4(100℃)を非代表的なオフライン標準品質管理として測定した。
【0090】
【表4】
【0091】
表4において、バッチR1M1についての4MHz超およびそれよりも上での相対音波減衰α相対についての値が有意にバッチR2D1、R3M1およびR4M1についての値未満であることを理解することができる(
図10)。バッチR1M1の射出温度TAは140℃よりも上であり、したがってシラン化反応は起こることができた。バッチR2M1、R3M1およびR4M1の射出温度TAは140℃よりも下であり、したがってシラン化反応はまったく起こることができなかった。4MHzよりも下で、相対音波減衰係数σ
相対(f
最小,f
最大)についての値の標準偏差σに関連した差は比較的低く、したがって明らかな結論はまったく可能ではない。
【0092】
R3M1およびR4M1と比べてR1M1についてのおよびR5M2についての低い値は、A.Schroeder、L.Graeff、L.Wawrzinski、Kautschuk Gummi Kunststoffe,67(2015),11に記載されているように、充填材(ここでは:シリカ)の向上した分散のせいにすることはできない。超音波振幅は、充填材分散を増加させるとともにそのときに増加し;同時に、変動係数CVは減少する。対照的に、混合物R1M1およびR5M2の変動係数CV(
図4および
図8における)は、0.2%よりも上の値を取る。混合物R3M1およびR4M1の変動係数についての値は、対照的に、すべて0.2%未満である。バッチR3M1およびR4M1についての混練プロセス中のより高いエネルギー入力は、より低い温度のために、向上した充填材分散をもたらす。それにもかかわらず、バッチR3M1およびR4M1のln A(f
最小,f
最大)についての値は、R1M1およびR5M2についてよりも低い。同じ組成のバッチが使用され、かつ、測定条件(p、T1、およびT2について同一の値)の有意な変化はインライン品質管理においてまったく観察されなかったので、異なる相対音波減衰係数α
相対(f
最小,f
最大)は、シリカ表面とシランとの化学反応によってようやく説明することができる。
【0093】
さらに、シラン化が第2混合工程において標準方法σに従って完了する場合、相対音波減衰係数α
相対(f
最小,f
最大)のさらなる降下がある(R1M1とR5M2との比較)。4MHz以上の周波数での相対音波減衰係数α
相対(f
最小,f
最大)についての値は、未架橋ゴム混合物の品質管理のためのオフライン標準方法としてのMooney粘度ML1+4(100℃)についての値と相関している(
図7)。これは、その場シラン化の質が相対音波減衰係数α
相対(f
最小,f
最大)の測定を用いて測定できることを明らかに示す。