(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略平板形状をなし、平板の一面(以下「背面」という)をエレベーターのカゴ内の側壁面側に向けて、かつ、前記背面とは反対の面(以下「正面」という)が、当該側壁面と略平行となるように、当該カゴ内の上部に後付けされる筐体と、
前記筐体の正面に設けられ、前記カゴ内で当該カゴの乗員に対して広告を表示する表示画面と、
撮像素子および当該撮像素子に外光を導く光学系を備えた撮影ユニット、および、当該撮影ユニットと連結されて当該光学系の光軸方向に交差する方向に沿って延出する回動軸を備え、前記カゴ内を撮影する撮影部と、
前記筐体の正面に設けられたレンズ開口から、前記撮像素子に導く外光が入射する入射レンズを臨ませた状態で、前記筐体の内側において前記回動軸を軸心周りに回動可能な状態で保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記回動軸を固定する規制部と、
を備え、
前記規制部は、
前記筐体における前記背面および前記正面とは異なる面(以下「側面」という)を板厚方向に貫通するネジ孔と、当該ネジ孔に螺合されるネジと、を備え、当該ネジの先端を前記回動軸に当接させることによって前記回動軸の回動を規制することを特徴とする広告表示機能付き防犯カメラ装置。
前記ネジは、外周面にネジ山が設けられた軸部と、当該軸部の長さ方向における一端に設けられた頭部と、を備え、前記頭部には、所定形状の工具穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の広告表示機能付き防犯カメラ装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる広告表示機能付き防犯カメラ装置(以下「防犯カメラ装置」という)の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
(防犯カメラ装置の外観構成)
まず、防犯カメラ装置の外観構成について説明する。
図1〜
図4Aおよび
図4Bは、防犯カメラ装置の外観構成を示す説明図である。
図1においては防犯カメラ装置の正面図を示し、
図2においては背面図を示している。
図3においては、防犯カメラ装置の正面側からの斜視図を示している。また、
図4Aにおいては背面側からの斜視図を示し、
図4Bにおいては
図4AにおけるA矢視図を示している。
【0018】
図1〜
図4Aおよび
図4Bに示すように、防犯カメラ装置100は、たとえば、エレベーターのカゴ内に設置される。防犯カメラ装置100は、扁平な長方体形状(平板形状)をなす筐体101を備えている。筐体101は、当該筐体101の一面(以下「背面101a」という)側に設けられる背面カバー101Aと、背面101aとは反対の面(以下「正面101b」という)側に設けられるベゼル部材101Bと、によって構成される。
【0019】
防犯カメラ装置100は、筐体101の背面101a側(すなわち、背面カバー101A)をエレベーターのカゴ内の側壁面側に向けて、かつ、正面101b側(すなわち、ベゼル部材101B)が当該側壁面と略平行となるような状態で設置される(
図7を参照)。防犯カメラ装置100は、カゴ内の上部に後付けすることができる。
【0020】
防犯カメラ装置100の筐体101において、正面101bには、表示画面102が設けられている。防犯カメラ装置100は、表示画面102が、エレベーターのカゴの側壁面と略平行となるような状態で設置される。表示画面102は、たとえば、液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ、7セグメントディスプレイなどによって実現することができる。
【0021】
また、正面101bには、この発明にかかる入射レンズである正面レンズ103が配置されている。正面レンズ103は、
図1や
図3に示すように、筐体101における、表示画面102の左右のいずれか(
図1や
図3では、表示画面102に向かって右)の端部の外側に位置するように配置される。
【0022】
正面レンズ103は、正面用撮像素子(撮像素子)とともに、この発明にかかる撮影ユニットを実現する正面カメラ(
図6Aにおける符号601を参照)を構成する。正面カメラにおいては、入射レンズを介して入射した外光が正面用撮像素子において結像する。正面カメラにおいては、正面レンズ103や正面用撮像素子によって光学系が構成される。
【0023】
正面レンズ103は、1つだけ配置されていてもよく、筐体101における、表示画面102の左右の両方に配置されていてもよい。正面レンズ103は、筐体101における、表示画面102より鉛直方向下側に配置されていてもよい。また、正面レンズ103の数は、1つまたは2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0024】
正面カメラは、正面レンズ103と正面用撮像素子との間に1または複数のレンズや、当該複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズを光軸方向に沿って移動させる可動機構などを備えていてもよい。正面カメラは、具体的には、たとえば、コントラストAF(AutoFocus)や位相差AFなどのパッシブ方式により焦点を合わせるAFユニットによって実現される。
【0025】
また、正面レンズ103は、ベゼル部材101Bの正面101b側、すなわち、表示画面102がなす平面に対して、正面レンズ103の光軸が所定の角度(たとえば、20度)だけ下側を向くように構成されている。これにより、正面レンズ103に対して斜め下方から外光が入射する。そして、これによって、平板形状の筐体101を側壁面に取り付けて、表示画面102が、側壁面と平行になった場合であっても、カゴ内の下側の領域を確実に撮影することができる。
【0026】
なお、正面カメラの構成部品のうち、少なくとも正面レンズ103が、筐体101における、筐体101における、表示画面102の左右のいずれかの端部の外側に位置、または、表示画面102より鉛直方向下側に配置されていればよく、筐体101の形状や筐体101内の部品の配置によっては、正面レンズ103以外の構成部品は、必ずしも表示画面102の左右のいずれかに配置されていなくてもよい。
【0027】
また、正面101bには、スピーカー104やステータス表示LED(Light Emitting Diode)105が設けられている。スピーカー104は、音声信号である電気信号によって振動板を振動させて音を発生させる。スピーカー104は、表示画面102の左右(カゴ内に設置された状態における左右)にそれぞれ設けられている。スピーカー104は、音声信号を出力する出力端子であってもよく、当該出力端子に外部スピーカーを接続して、音を発生させるようにしてもよい。接続する外部スピーカーは、1台であってもよく、2台以上であってもよい。スピーカー104の設置位置も、表示画面の左右には限定されない。
【0028】
ステータス表示LED105は、防犯カメラ装置100の動作状態を示す。具体的に、ステータス表示LED105は、たとえば、電源のON/OFF状態、リンクアップ状態、データ送受信の有無、エラー発生の有無、注意を促す警告などを示す。ステータス表示LED105は、複数のLEDランプ105aによって構成されている。複数のLEDランプ105aは、それぞれが異なる色で発光するものであってもよく、それぞれが複数色を適宜切り替えて発光するものであってもよい。ステータス表示LED105は、各LEDランプ105aの点灯の有無や発光色によって防犯カメラ装置100の動作状態を示す。
【0029】
背面101aには、電源ボタン201および操作ボタン202が設けられている。電源ボタン201は、操作されるごとに、防犯カメラ装置100の電源のON/OFFを切り替える。操作ボタン202は、複数のボタン202a〜202fによって構成されている。
【0030】
具体的に、ボタン202a、202bは、たとえば、スピーカー104から出力される音声の音量の調整操作を受け付ける。ボタン202c、202dは、たとえば、防犯カメラ装置100の起動時に表示画面102に表示される設定画面に表示される複数の操作メニューの中から所望の操作メニューを選択する操作を受け付ける。ボタン202eは、選択された操作メニューの決定を受け付ける。
【0031】
ボタン202eは、防犯カメラ装置100の起動中に操作されることにより、表示画面102における表示内容の切り替え操作を受け付けてもよい。具体的には、防犯カメラ装置100の起動中におけるボタン202eの操作により、たとえば、広告などの表示内容を設定画面に切り替えることができる。
【0032】
ボタン202fは、防犯カメラ装置100の起動中に操作されることにより、撮影開始を受け付ける。正面カメラ(
図6における符号601を参照)および背面カメラ(
図6における符号613を参照)のいずれによって撮影をおこなうかは、ボタン202a〜202eの操作によって選択することができる。
【0033】
電源ボタン201および操作ボタン202は、少なくとも一方が背面101aに設けられていればよい。具体的には、たとえば、電源ボタン201を背面101aに設け、操作ボタン202を筐体101の側面(背面101aおよび正面101b以外の面)や正面101bに設けてもよい。また、表示画面102にタッチパネルを積層し、当該タッチパネルと表示画面102に表示する画像とによってソフトウェア的に再現されるソフトキーによって操作ボタン202を実現してもよい。
【0034】
また、背面101aには、背面蓋203、背面レンズ204、ポート用電源スイッチ205、外部アンテナ取付穴206、複数のビス穴207、AC電源コネクタ208、および、AC電源ケーブル固定用部材209が設けられている。背面蓋203は、筐体101に対して取り外し可能に取り付けられている。背面蓋203は、ネジなどを用いて筐体101に固定されている。
【0035】
背面蓋203を筐体101に固定するネジは、汎用的な工具では操作することができない特殊ネジを用いることが好ましい。また、背面蓋203は、少なくとも両脇の2ヵ所を含む複数箇所に設けることが好ましい。背面蓋203は、筐体101に取り付けられた状態において、背面101aに設けられたポートやスロット(いずれも図示を省略)を覆う。
【0036】
ポートは、防犯カメラ装置100の外部とのデータの入出力を担い、具体的には、たとえば、USB Type−Aポートによって実現することができる。ポートは、複数設けられていてもよい。ポートを複数設ける場合、たとえば、1つをエレベーターの遠隔監視装置などの外部装置とのインタフェースとして用い、別の1つを防犯カメラ機能により撮影したカゴ内の画像を記録(録画)するUSBメモリなどの記憶装置とのインタフェースとして用いることができる。これにより、外部装置と連携して動作しつつ、カゴ内の画像を記録(録画)することができる。スロットは、拡張ボードやメモリカードなどの挿入を受け付け、具体的には、たとえば、SIMカードスロットやMicroSDカードスロットによって実現することができる。
【0037】
背面蓋203には、スリット203aが設けられている。これにより、ポートおよびポートと端子との接続を保護しつつ、ポートを介して防犯カメラ装置100と外部装置などとを接続するケーブル(
図5における符号502を参照)をスリット203aから外部に引き出すことができる。そして、これにより、外部機器との接続の自由度を確保することができる。
【0038】
背面レンズ204は、背面用撮像素子とともに、背面カメラを構成する。背面カメラは、防犯カメラ装置100の設置に際して、設置対象となるエレベーターに貼り付けてある物件コード(図示を省略する)の読み込みに用いる。物件コードは、たとえば、エレベーターのカゴの内壁面に貼り付けられた二次元コードによって実現することができる。背面カメラによる二次元コードの読み込みは、防犯カメラ装置100の設置時のみおこなってもよく、設置後も定期的あるいは所定の条件が整った場合におこなってもよい。
【0039】
防犯カメラ装置100の設置後に定期的あるいは所定の条件が整った場合に、背面カメラによる二次元コードの読み込みをおこなうことにより、防犯カメラ装置100が正規の位置に取り付けられていることを確認することができ、防犯カメラ装置100の不正な持ち出しを抑制することができる。
【0040】
ポート用電源スイッチ205は、操作されることにより、ポートの電源のON/OFFを切り替える。これにより、ポートを使わない場合は電源をOFFすることによって、省電力化を図ることができる。防犯カメラ装置100が複数のポートを備える場合、ポートごとにポート用電源スイッチ205を設けてもよい。これにより、ポートごとに電源のON/OFFを切り替えることができ、一層の省電力化を図ることができる。
【0041】
外部アンテナ取付穴206は、防犯カメラ装置100とは別体の外部アンテナの取り付けに用いる。具体的に、外部アンテナ取付穴206は、たとえば、F型コネクタによって実現することができる。F型コネクタは、筐体101の内部において、図示を省略する受信回路に接続されている。
【0042】
ビス穴207には、防犯カメラ装置100をカゴの内壁面に固定するためのビスが螺合される。防犯カメラ装置100は、ビスによって、カゴの内壁面に直接固定されるものであってもよく、カゴの内壁面に固定されるステーを介してカゴの内壁面に固定されるものであってもよい。
【0043】
AC電源コネクタ208は、電源供給用プラグ(
図5における符号501を参照)を挿抜可能であって、電源に接続された電源供給用プラグが挿入されることによって電力の供給を受け付ける。AC電源コネクタ208は、たとえば、AC(Alternating Current)アダプターなどと称される、AC電源(商用電源)より入力される交流から所定の直流電力を取り出す機器が備える電源供給用プラグの挿入を受け付ける。AC電源コネクタ208は、この発明にかかる電源コネクタを実現する。
【0044】
ACアダプターにおいて、電源供給用プラグは、AC電源に接続され、AC電源の交流から所定の直流電力を取り出す変圧回路、整流回路、安定化回路などによって構成される本体部に接続される。ACアダプターを介して給電を受けることにより、半導体素子を利用して動作する防犯カメラ装置100自体が、交流を直流に変換する回路を搭載していなくても動作することができる。これにより、防犯カメラ装置100の軽量化、低コスト化を図ることができる。なお、防犯カメラ装置100自体が、変圧回路、整流回路、安定化回路などの、交流を直流に変換する回路を備えていてもよい。ACアダプターは、AC電源に常態的に接続されているものに限らず、コンセントに挿入されることによって給電を受けるコンセントプラグを備えていてもよい。
【0045】
AC電源ケーブル固定用部材209は、AC電源コネクタ208に挿入(接続)された電源供給用プラグに連続するケーブルの位置の固定に用いる。具体的に、AC電源ケーブル固定用部材209は、長さ方向における両端が背面101aに接して設けられた円弧形状をなし、円弧形状の内周面と背面101aとによって孔を形成する。
【0046】
AC電源ケーブル固定用部材209は、少なくとも長さ方向における一端が背面101aに固定されている。AC電源ケーブル固定用部材209の長さ方向における他端は、背面101aに固定されていなくてもよく、背面101aから離間していてもよい。AC電源ケーブル固定用部材209を利用したケーブルの固定方法については、後述する(
図5を参照)。
【0047】
さらに、防犯カメラ装置100がカゴ内に設置された状態における、筐体101の下部には、図示を省略する別のポートが設けられている。別のポートは、防犯カメラ装置100の外部とのデータの入出力を担い、具体的には、たとえば、上記のポートと同様に、USB Type−Aポートによって実現することができる。別のポートは、たとえば、防犯カメラ装置100が撮影した画像データ(防犯カメラ録画データ)を外部装置にエクスポートする際に使用する。別のポートを筐体101の下部に設けることにより、防犯カメラ装置100をカゴの内壁面から取り外したり、背面蓋203を筐体101から取り外したりすることなく、画像データを外部装置にエクスポートすることができる。
【0048】
筐体101には、別のポートを覆うカバー210が設けられていてもよい。このカバー210は、ネジなどを用いて筐体101に固定されていてもよい。カバー210を固定するネジも、上述した背面蓋203を固定するネジと同様に、特殊ネジを用いることが好ましい。これにより、良好な操作性を確保するために、筐体101の下部にポートを設ける場合にも、画像データが不正にエクスポートされることを防止できる。
【0049】
筐体101における背面および正面とは異なる面(以下「側面」という)101cには、当該側面101cを板厚方向に貫通するネジ孔401が設けられている。ネジ孔401は、筐体101における側面であって、正面レンズ103(正面カメラ)の近傍に設けられている。この実施の形態において、ネジ孔401は、表示画面102に向かって右側に位置する側面101cに設けられている。
【0050】
(AC電源コネクタ208と電源供給用プラグとの接続状態)
つぎに、AC電源コネクタ208と電源供給用プラグとの接続状態について説明する。
図5は、AC電源コネクタ208と電源供給用プラグとの接続状態を示す説明図である。防犯カメラ装置100は、
図5に示すように、AC電源コネクタ208に、AC電源に接続された電源供給用プラグ501が挿入(接続)されることによって給電され、動作することができる。
【0051】
電源供給用プラグ501に接続されたケーブル502は、たとえば、電源供給用プラグ501をAC電源コネクタ208に挿入(接続)した後、ケーブル502の断線防止や周囲の部材との干渉防止などを考慮した任意の位置に引き回す。そして、引き回したケーブル502が断線しないことや、当該ケーブル502が周囲の部材に干渉しないことなどを確認してから、当該ケーブル502を、結束バンドなどを用いてAC電源ケーブル固定用部材209に固定する。
【0052】
これにより、AC電源コネクタ208と電源供給用プラグ501との位置関係がある程度固定され、AC電源コネクタ208に対して電源供給用プラグ501が自由に移動することが抑制され、エレベーターのカゴが昇降することによる振動などに起因して不用意に給電が停止することを防止できる。また、ケーブル502の位置を固定することにより、ケーブル502が垂れ下がって美観を損ねたり、ケーブル502を引っ張って給電を停止させるなどの悪戯を防止することができる。
【0053】
(撮影部の取付状態)
つぎに、撮影部の取付状態について説明する。
図6Aおよび
図6Bは、撮影部の取付状態を示す説明図である。
図6Aおよび
図6Bに示すように、撮影部600は、正面カメラ601と、回動軸602と、によって構成される。撮影部600は、筐体101の正面側をなす、ベゼル部材101Bに固定されている。
【0054】
回動軸602は、正面カメラ601に連結されている。回動軸602は、正面カメラ602における光学系の光軸方向(正面レンズ103の光軸方向)に交差する方向に沿って延出している。具体的に、回動軸602は、防犯カメラ装置100をエレベーターのカゴ内に設置した状態において、軸心方向を鉛直方向と平行にして配置されるように設けられている。
【0055】
ベゼル部材101Bの背面側には、筐体101の正面から正面レンズ103を臨ませるレンズ開口603と、回動軸602を嵌め込むことが可能な溝604と、を備えた保持部605が設けられている。溝604は、たとえば、ベゼル部材101Bの背面側に、回動軸602の直径と略同一の間隔で設けられたリブによって実現することができる。正面カメラ601は、レンズ開口603を介して正面レンズ103を筐体101の外部に臨ませる。
【0056】
回動軸602は、溝604に嵌め込まれており、溝604に嵌め込まれた状態で、軸心周りに回動可能に設けられている。回動軸602を軸心周りに回動させることにより、正面カメラ601も回動軸602の軸心周りに回動する。これにより、正面カメラ601による撮影範囲を調整することができる。
【0057】
回動軸602には、所定角度以上の回動軸の回動を規制するための規制用リブ606が設けられている。回動軸602は、たとえば、正面レンズ103を正面101b側に向けて配置した状態から、水平方向において、左右に20度ずつ回動することができる。回動軸602の回動角度は、水平方向において、左右に20度ずつに限定されるものではなく、20度未満、あるいは、20度よりも大きい角度であってもよい。
【0058】
撮影部600が、レンズ開口603を介して正面レンズ103を筐体101の外部に臨ませ、回動軸602が溝に嵌め込まれた状態において、回動軸602は、支持部材607によって、定位置に支持されている。支持部材607は、略アーチ形状をなし、両端に一対のネジ孔(貫通孔)608を備えている。支持部材607は、ネジによってベゼル部材101Bの背面側に固定されている。
【0059】
また、ベゼル部材101Bの背面側には、表示画面102、正面カメラ601、背面カメラ613、その他防犯カメラ装置100が備える各部を駆動制御する基板609や、当該基板609と各部とを接続する配線(プリント配線)610、などが設けられている。基板609には、LSI(Large−scale Integrated Circuit)611やコンデンサ612などが搭載されている。背面カメラ613は、正面カメラ601と同様に、配線614を介して基板609に接続されている。
【0060】
側面101cは、ベゼル部材101Bのリブ上に起立した周縁部615によって実現することができる。側面101c(周縁部615)を板厚方向に貫通するネジ孔401は、側面101cの外側から溝604の内側まで連通している。溝604を構成するリブのうちの側面101c側のリブと、側面101cの内面と、の間はカラー状部材616によって連結されており、ネジ孔401は、側面101c(周縁部615)を板厚方向に貫通する孔と、カラー状部材616の内周側の貫通孔と、溝604を構成するリブのうちの側面101c側のリブを板厚方向に貫通する孔と、によって実現される。
【0061】
ネジ孔401の内周面には、ネジ山(雌ネジ)が設けられている。ネジ孔401には、ネジ617が螺合される。ネジ617は、外周面にネジ山が設けられた軸部と、当該軸部の長さ方向における一端に設けられた頭部と、を備えている。ネジ617の頭部には、所定形状の工具穴(リセス)が形成されている。工具穴は、ネジを締めたり緩めたりする際に使用する工具と噛み合う部分であって、具体的には、たとえば、プラスドライバーと噛み合う十字穴、マイナスドライバーと噛み合うすりわり、六角棒レンチと噛み合う六角穴などによって実現することができる。
【0062】
ネジ孔401に螺合するネジ617は、特殊ネジであることが好ましい。特殊ネジは、市販のドライバーや市販のレンチなどの市販の工具で操作することができず、専用の工具を用いて操作することができる。
【0063】
ネジ617は、筐体101の外側からネジ孔401に挿入され、ドライバーなどの工具を用いて締め込まれることにより、先端が筐体101の内側に進むようにして、ネジ孔401に設けられたネジ山(雌ネジ)と螺合する。ネジ617は、ネジ孔401に螺合されて締め込まれることにより、側面101cを貫通し、先端(軸部における頭部とは反対側の端部)が筐体101の内側に位置づけられる。
【0064】
ネジ617は、先端を回動軸602に当接させることによって、回動軸602の回動を固定することができる。具体的に、ネジ617は、先端と回動軸602との摩擦によって、回動軸602の回動を規制し、回動軸602の位置を固定することができる。ネジ孔401およびネジ617は、固定部618を構成する。
【0065】
(防犯カメラ装置100の設置例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100の設置例について説明する。
図7は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100の設置例を示す説明図である。
図7においては、エレベーターのカゴ内の様子を示している。
【0066】
図7に示すように、エレベーターのカゴ701は、乗員が乗るための空間を内側に備え、当該空間と外部とを開閉し、カゴ701に対して乗員が出入りする出入り口部分の扉702を備えている。カゴ701内の側壁面には、カゴ701に搭乗した乗員が操作する操作盤703が設けられている。操作盤703は、たとえば、行先階ボタン、扉開閉ボタン、非常ボタンなどを含む操作ボタン群や、カゴ701が位置する階床などを表示する表示器を備えている。操作盤703は、カゴ701の内面であって、扉702と同じ面に設けられている。
【0067】
図7において、防犯カメラ装置100は、扉702および操作盤703が設けられている側壁面と同じ側壁面であって、操作盤703より上側の天井近くに設置されている。これは、カゴ701内の乗員が、扉702側の側壁面を向いて立つことが一般的であることを想定している。
【0068】
すなわち、通常、乗員は、カゴ701内に入った後、扉702側の側壁面を向いて立つことが多く、このような位置に防犯カメラ装置100を設けることによって、カゴ701内の乗員が、表示画面102に表示される広告を容易に見ることができる。これにより、防犯カメラ装置100を介した高い広告効果を発揮させることができる。
【0069】
防犯カメラ装置100は、たとえば、正面カメラによって乗員の表情を撮影する。防犯カメラ装置100を天井近くに設置することにより、正面カメラによって乗員の表情を容易に撮影することができる。また、正面カメラは、カゴ701から降りる際の乗員の表情を撮影することができる。
【0070】
また、防犯カメラ装置100を、天井付近などのカゴ701内の上部に設置することにより、乗員は、通常の状態で手を伸ばしても防犯カメラ装置100に容易に触れることができない。したがって、乗員により、不用意に防犯カメラ装置100に触れられたり、不正に操作されたり、壊されたりすることを防止することができる。
【0071】
図示を省略するが、防犯カメラ装置100は、扉702および操作盤703が設けられている側壁面に対向する側壁面(カゴ701の奥側の側壁面)に、それぞれ設けるようにしてもよい。カゴ701の奥側の側壁面に設けることによって、乗員は、カゴ701内に入ってくる際に、防犯カメラ装置100(の表示画面102)を見ることができる。
【0072】
さらに、扉702および操作盤703が設けられている側壁面と、その側壁面に対向する側壁面(カゴ701の奥側の側壁面)とに、それぞれ防犯カメラ装置100を設けることにより、乗員は、カゴ701内に入る際、および、カゴ701内から出る際に、防犯カメラ装置100(の表示画面102)を見ることができる。
【0073】
また、防犯カメラ装置100は、扉702および操作盤703が設けられている側壁面と同一の側壁面の上側に代えて、扉702および操作盤703が設けられている側壁面および当該側壁面に対向する側壁面(カゴ701の奥側の側壁面)とは異なる側壁面に設けるようにしてもよい。この場合、防犯カメラ装置100は、カゴ701の側壁面において、天井に近い上側の位置に設けることが好ましい。また、防犯カメラ装置100は、カゴ701の隅のコーナー位置に設置してもよい。このように、防犯カメラ装置100は、カゴ701内の扉702の上端よりも上側の位置のどの位置に設置してもよい。
【0074】
防犯カメラ装置100は、エレベーターの設置後に、後付けすることができる。防犯カメラ装置100は、カゴ701の広さ(定員数)、カゴ701の天井の高さ、カゴ701の形状(床が正方形あるいは長方形など)、エレベーターの種類(シースルー型、壁面に鏡の有り無し)、外扉の種類(窓の有り無し)などを勘案した最適な位置に設置することができる。また、防犯カメラ装置100は、防犯カメラ装置100の設置後に、自由にその設置位置を変更できるようにしてもよい。
【0075】
防犯カメラ装置100は、たとえば、側壁面へのネジ止めにより設置することができる。防犯カメラ装置100を側壁面にネジ止めすることにより、落下を確実に防止することができる。ネジ止めは、側壁面に限らず、ステーなどを介してカゴ701の天井に施してもよい。防犯カメラ装置100は、ネジ止め以外の方法(たとえばマグネットなどを使用するなど)によって設置してもよい。
【0076】
カゴ701には、ACアダプターが備えるコンセントプラグの挿入を受け付けるプラグソケット704が設けられている。プラグソケット704は、ACアダプターが備えるコンセントプラグが挿入されることによって当該コンセントプラグとともに配線用差込接続器を構成する。具体的には、たとえば、日本において汎用的に用いられているAタイプのプラグソケットを用いることができる。
【0077】
プラグソケット704は、Aタイプに限るものではない。具体的には、たとえば、インドやインドネシアなどにおいて広く用いられているB3タイプやCタイプのプラグソケットを用いてもよく、香港などにおいて広く用いられているBFタイプのプラグソケットを用いてもよい。
【0078】
あるいは、韓国などにおいて広く用いられているSEタイプのプラグソケットを用いてもよく、台湾などにおいて広く用いられているOタイプのプラグソケットを用いてもよい。中国など、複数タイプのプラグソケットが普及している国や地域においては、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプ、B3タイプ、BFタイプ、SEタイプ、Oタイプなど様々なタイプの中から、エレベーターを設置する地域に応じた任意のタイプのプラグソケットを用いることが好ましい。
【0079】
プラグソケット704は、カゴ上ボックスが収容する基板の電気回路に電気的に接続されている。これにより、プラグソケット704やACアダプターを介して防犯カメラ装置100に給電することができる。プラグソケット704は、カゴ上ボックスが収容する基板の電気回路の端子に直接結線されているものに限らず、当該端子に接続された電力線に接続されていてもよい。このような電力線にプラグソケット704を接続する場合、当該電力線に分岐用のコネクタを設け、当該コネクタにプラグソケット704を接続することができる。
【0080】
上述した特許文献1に記載された従来の技術は、情報処理装置において長時間にわたって画像を表示するためには、当該情報処理装置に対する常時給電が必須であるものの、仮に、情報処理装置に対して給電用のケーブル502を接続する場合、カゴ701に給電用のケーブル502を通すための孔を空けなくてはならず、作業が煩雑であって時間がかかるという問題があった。
【0081】
また、カゴ701に給電用のケーブル502を通すための孔を空けた場合、エレベーターの設置後にカゴ701内に取り付けた防犯カメラ装置100を撤去する際には、ケーブル502を通すためにカゴ701に空けた孔が露出した状態となることで美観を損ねるなどの不具合を回避するため、当該孔を塞ぐ補修作業をおこなう必要がある。このため、作業が煩雑であって時間がかかり、エレベーターを利用できない時間が長くなって、利用者の利便性に劣るという問題があった。
【0082】
これに対し、
図7に示すエレベーターにおいては、カゴ701にプラグソケット704が設けられているため、カゴ701に給電用のケーブル502を挿通するための孔を別途空けることなく防犯カメラ装置100に対して給電することができる。これにより、作業者に負担をかけることなく、防犯カメラ装置100を容易かつ速やかに設置することができ、電力不足によって停止させることなく、常時稼動させることができる。また、表示画面に広告などを表示する場合も、電力不足によって停止させてしまうことなく、安定して稼動させることができる。また、防犯カメラ装置100の設置にかかる作業時間の短縮を図り、エレベーターの利用者、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0083】
また、カゴ701にプラグソケット704が設けられているため、カゴ701に給電用のケーブル502を挿通するための貫通孔を埋め戻す作業が不要になり、撤去作業にかかる作業者の負担軽減を図ることができる。さらに、防犯カメラ装置100を撤去した後のカゴ701内の美観を確保することができる。
【0084】
なお、プラグソケット704がカゴ701内に露出している場合、当該プラグソケット704は、
図7に示すように、カゴ701内の高い位置に配置することが好ましい。具体的には、
図7に示すように、プラグソケット704は、カゴ701の側面や天井面に設けることが好ましい。このように、カゴ701内に露出したプラグソケット704をカゴ701内の高い位置に配置することにより、雨天時に傘や衣服から飛んだ水滴が付着することを防止でき、また、盗電や子供などによる悪戯をしにくくすることができる。
【0085】
プラグソケット704は、1つのカゴ701に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ701に複数個設けられていてもよい。1つのカゴ701に複数のプラグソケット704を設ける場合、当該複数のプラグソケット704を並べて配置してもよく、複数箇所に分散して配置してもよい。プラグソケット704は、たとえば、当該プラグソケット704がカゴ701の内壁面(天井面)と同一面内に位置するように配置するとよい。
【0086】
また、カゴ701には、プラグソケット704に代えて、図示を省略する、接栓座を設けるようにしてもよい。接栓座は、図示を省略するカゴ上ボックスが収容する電気回路から供給される電源を、当該接栓座に接続された防犯カメラ装置100に対して供給する機能を備える。具体的には、たとえば、電源供給用の配線を備えたレセクタブルを用いることによって、接栓座に接続された電気機器に対して電源を供給することができる。なお、レセクタブルは、電源供給用の配線に加えて、信号伝送用の配線を備えていてもよい。
【0087】
接栓座を実現するレセクタブルは、当該レセクタブルに接続されている防犯カメラ装置100の動作中に抜き差しすることができるホットプラグによって実現することが好ましい。接栓座を実現するレセクタブルは、さらに、図示を省略する制御回路を介して防犯カメラ装置100への給電をおこなうようにしてもよい。
【0088】
また、接栓座は、たとえば、USBコネクタによって実現してもよい。接栓座を実現するレセクタブルとしてのUSBコネクタは、たとえば、USB Type−Aコネクタ、Micro USBコネクタ、Micro USB Type−Bコネクタ、USB Type−Cコネクタなど公知の各種のUSBコネクタのレセクタブルによって実現することができる。
【0089】
また、接栓座を実現するレセクタブルは、USBインタフェースのコネクタ(レセクタブル)に限るものではなく、たとえば、IEEE 1394コネクタ、PS/2コネクタ、D−Subコネクタ、DINコネクタ、同軸コネクタ、その他公知の各種の通信用のコネクタによって実現されるものであってもよい。
【0090】
接栓座を実現するレセクタブルは、1つのカゴ701に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ701に複数設けられていてもよい。1つのカゴ701に複数の接栓座を実現するレセクタブルを設ける場合、通信I/Fのコネクタは1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
【0091】
接栓座を実現するレセクタブルは、たとえば、当該レセクタブルの端部がカゴ701の内壁面と同一面内に位置するように配置することができる。また、接栓座を実現するレセクタブルは、たとえば、当該レセクタブルの端部がカゴ701の内壁面よりもカゴ701の内側に飛び出していてもよく、カゴ701の内壁面から凹んだ位置に配置してもよい。
【0092】
(防犯カメラ装置100の外観)
つぎに、防犯カメラ装置100の外観について説明する。
図8は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100の外観の一例を示す説明図である。
図8に示すように、防犯カメラ装置100の表示画面102は、横方向に長い長方形をなし、筐体101に囲まれている。
【0093】
表示画面102は、防犯カメラ映像表示領域801、管理情報表示領域802、各種情報表示領域803、広告表示領域(広告エリア)804などのように複数(この実施の形態においては4つ)の領域から構成されるものであってもよい。このように、4つの領域に区切って表示することによって、各種情報を効率よく乗員に伝えることができる。
【0094】
表示画面102の左下側の長方形の広告表示領域804を囲むように、上側から右側にかけて、防犯カメラ映像表示領域801、管理情報表示領域802、各種情報表示領域803が逆「L」字状に設けられている。防犯カメラ映像表示領域801は、左側に設けられ、それに続いて、管理情報表示領域802が横長に設けられる。防犯カメラ映像表示領域801には、正面カメラによって撮影された映像をリアルタイムで表示するようにしてもよい。
【0095】
また、この管理情報表示領域802では、長いメッセージである場合は、右側から左側に流れるようにメッセージが表示される。管理情報表示領域802を表示画面102の上側に設けたのは、表示画面102の上側は、乗員にとっては視認しやすく、それ故に、比較的重要な管理情報を確実に乗員に伝えることができる。
【0096】
また、右側の側面には、縦長に各種情報表示領域803が設けられており、
図8に示すような天気予報や、交通情報、ニュースなど、エレベーターの乗員に通知したい各種情報を表示する。各種情報表示領域803では、多くの情報を表示する場合は、下側から上側へ流れるように表示するようにしてもよい。具体的には、たとえば、各地域の天気予報を表示する場合は、新しい地域の情報は、順次下から表示され、古い地域の情報は上側へ移動してから、消去するようにしてもよい。また、その逆に、上側から、下側へ流れるように表示してもよい。また、左右どちらかへ流れるように表示してもよい。このように、各種情報表示領域803では、表示する情報の内容によって、表示形態を変えることができる。
【0097】
管理情報表示領域802と、各種情報表示領域803とでは、その境に明確な区切りはなくてもよい。これにより、表示する状況に応じて、管理情報表示領域802を右側に長くしたり、また、各種情報表示領域803を上側に長くしたりすることができる。また、表示する情報によっては、管理情報表示領域802と、各種情報表示領域803とを、一続きとして、使用することもできる。
【0098】
このように、表示画面102をレイアウトすることで、広告情報を表示しながら、それ以外の情報も同時に、乗員に伝えることができる。表示画面102は、通常は、
図8に示すようなレイアウトであるが、状況によって、このレイアウトを変更してもよい。たとえば、エレベーターの故障などの緊急事態が生じた場合は、広告エリアを消去して、必要な情報を表示するようにしてもよい。また、広告の表示演出として、表示画面102の全面を広告表示としてもよい。
【0099】
(防犯カメラ装置100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100のハードウエア構成について説明する。
図9は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、防犯カメラ装置100は、CPU901と、メモリ902と、正面カメラ601と、背面カメラ613と、通信インタフェース(I/F)905と、表示画面(ディスプレイ)102と、スピーカー104と、マイク906と、振動センサ907と、照度センサ908と、電源制御ユニット909と、電源ボタン201と、操作ボタン202と、を備えている。各構成部102,104,201,202,601,613,901〜909は、バス900によって接続されている。
【0100】
CPU901は、メモリ902に記憶されたプログラムを実行することによって、防犯カメラ装置100の装置全体の制御をつかさどる。メモリ902は、CPU901が実行するプログラムを含む各種情報を記憶することができる。また、メモリ902は、表示画面102に表示する広告情報や、正面カメラ601や背面カメラ613が撮影した画像データおよび撮影した日時に関する情報などを記憶していてもよい。メモリ902は、ハードディスクメモリのほか、ICメモリ、SSD(Solid State Drive)などであってもよい。
【0101】
また、メモリ902は、防犯カメラ装置100に対して、防犯カメラ装置100に設けられたカードスロットを介して着脱可能なメモリカードであってもよい。メモリカードは、たとえば、SD(Secure Digital)メモリカードなどのICカードによってその機能を実現することができる。メモリカードは、外付けハードディスク、USBメモリ、SSDなどによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0102】
正面カメラ601は、正面用撮像素子を備え、正面用撮像素子が正面レンズ103を通して受光した光を電気信号に変換することによって、画像情報(撮影データ)を取得する。正面カメラ601は、静止画を撮影するものであってもよく、動画を撮影するものであってもよい。動画は、所定時間間隔で撮影された静止画を連続して再生するものを含む。画像情報は、所定の動画・音声データの圧縮方式の標準規格(たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)など)によって圧縮されたものであってもよい。
【0103】
背面カメラ613は、背面用撮像素子を備え、背面用撮像素子が背面レンズ204を通して受光した光を電気信号に変換することによって、画像情報(撮影データ)を取得する。背面カメラ613は、たとえば、静止画を撮影する。画像情報は、正面カメラ601と同様に、所定の動画・音声データの圧縮方式の標準規格(たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)など)によって圧縮されたものであってもよい。
【0104】
通信I/F905は、通信回線を通じて防犯カメラ装置100とインターネットなどのネットワークNとを接続するインタフェースであって、ネットワークNと防犯カメラ装置100の内部とのインタフェースをつかさどり、外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。
【0105】
CPU901は、通信I/F905を制御して、図示を省略する広告配信サーバあるいは広告主の情報端末装置から、ネットワークNを介して、広告情報を取得してもよい。また、CPU901は、通信I/F905を制御して、エレベーターの乗員が携行するスマートフォンなどの情報端末装置から広告情報を受信するようにしてもよい。
【0106】
通信I/F905は、たとえば、Wi−Fi(登録商標)による無線インタフェースである。また、通信I/F905は、携帯電話回線(たとえばLTE(Long Term Evolution))、PHS(Personal Handy−phone System)などの無線通信のインタフェースであってもよく、また、モデムやLANアダプターなどの有線通信のインタフェースを採用することができる。また、エレベーターが遠隔監視などのために有しているネットワークに接続し、そのネットワークを介して、情報の送受信をおこなうようにしてもよい。また、通信I/F905は、たとえば、USBインタフェースによって実現してもよい。
【0107】
表示画面102は、CPU901によって駆動制御されて、広告などを表示する。表示画面102は、メンテナンス予定などのエレベーターの管理情報を表示してもよい。管理情報は、たとえば、防犯カメラ装置100の管理者などによって適宜防犯カメラ装置100に送信される。広告情報や管理情報は、表示画面102に表示する期間(表示開始日時や表示終了日時など)を示す情報を含んでいてもよい。
【0108】
スピーカー104は、音声信号である電気信号によって振動板を振動させて音を発生させる。また、スピーカー104は、音声信号を出力する出力端子であってもよく、当該出力端子に外部スピーカー104を接続して、音を発生させるようにしてもよい。
【0109】
マイク906は、カゴ701内の音声を集音する。振動センサ907は、カゴ701の振動を検出する。振動センサ907は、たとえば、加速度センサなどによって実現することができる。照度センサ908は、カゴ701内の照度(明るさ)を検出する。照度センサ908は、たとえば、フォトトランジスタやフォトダイオードを用いて実現することができる。
【0110】
電源制御ユニット909は、たとえば、コンセントプラグやケーブル502を介して供給を受けたAC電源の電圧を調整する電圧調整部(電源ICなど)によって実現することができる。電源制御ユニット909は、具体的には、たとえば、コンセントプラグ、当該コンセントプラグに接続されたケーブル502、および、コンセントプラグを介して供給を受けたAC電源から所定の直流電力を取り出す変圧回路、整流回路、安定化回路などによって構成されるACアダプターによって実現することができる。ACアダプターの機能は、防犯カメラ装置100の筐体101内に、あるいは、筐体101と一体に設けられていてもよい。
【0111】
また、防犯カメラ装置100は、リチウム電池などのバッテリー(蓄電池)を、さらに備えていてもよい。すなわち、電源制御ユニット909には、蓄電池が含まれていてもよい、あるいは、電源制御ユニット909は、蓄電池を接続する接続端子を備えていてもよい。これにより、蓄電池を容易に交換することができる。このように、電源制御ユニット909は、AC電源コネクタ208を有し、AC電源コネクタ208に供給された電源を、防犯カメラ装置100の各部へ供給する。
【0112】
電源ボタン201や操作ボタン202は、操作を受け付けるごとに、受け付けたボタンに応じた信号をCPU901に出力する。CPU901は、電源ボタン201や操作ボタン202から出力される信号に基づいて各部を駆動制御することにより、電源のON/OFFを切り替えたり、スピーカー104から出力する音声の音量を調整したり、表示画面102における表示内容を切り替えたりする。
【0113】
その他、図示は省略するが、防犯カメラ装置100は、メモリカードI/F、入出力デバイス、GPS受信機などを備えていてもよい。メモリカードI/Fは、カードスロットを介して防犯カメラ装置100と接続されるインタフェースである。メモリカードI/Fは、メモリカードと内部のインタフェースをつかさどり、メモリカードからのデータの入力およびメモリカードへのデータの出力を制御する。
【0114】
入出力デバイスは、たとえば、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーまたはボタンによって実現することができる。また、入出力デバイスは、マイク、ディスプレイ(タッチパネル)、他の情報処理装置を接続可能な接続端子などによって実現されるものであってもよい。
【0115】
GPS受信機は、3つないし5つのGPS衛星からの電波を受信し、GPS衛星との幾何学的位置を求めるために、GPS衛星からの電波を受信してGPS測位データを出力する。GPS受信機により、防犯カメラ装置100の現在位置を把握することができる。
【0116】
(防犯カメラ装置100の設置手順)
つぎに、防犯カメラ装置100の設置手順について説明する。防犯カメラ装置100の設置に際しては、まず、カゴ701内の側壁面に筐体101を固定する。筐体101は、カゴ701内の上部に固定する。筐体101は、乗員が表示画面102を見やすい位置や表示画面102が乗員の目に触れやすい位置に固定することが好ましい。具体的に、筐体101は、たとえば、
図7に示すように、扉702および操作盤703が設けられている側壁面と同じ側壁面に固定することができる。
【0117】
筐体101は、表示画面102が、エレベーターのカゴ701の側壁面と略平行となるような状態で設置する。これにより、表示画面102が、カゴ701内にせり出ることによって、乗員に圧迫感や煩わしさを与えることを回避できる。
【0118】
つぎに、正面カメラ601による撮影範囲を調整する。正面カメラ601による撮影範囲は、回動軸602の軸心周りに正面カメラ601を回動させることによって調整することができる。正面カメラ601による撮影範囲の調整に際しては、まず、ネジ617を緩め、回動軸602が回動できるようにする。回動軸602は支持部材607によって定位置に支持されているため、ネジ617を緩めても撮影部600が落下することを防止できる。
【0119】
つぎに、正面カメラ601が撮影する画像を確認しながら、カゴ701内をもっとも良好に撮影できる範囲に調整する。具体的には、手指などで正面カメラ601を押すなどして、正面カメラ601を回動軸602の軸心周りに回動させる。そして、正面カメラ601による撮影範囲を決定した後、ネジ617を締め付ける。これにより、回動軸602の回動が規制され、正面カメラ601の撮影範囲が不用意に変わることのないように固定することができる。
【0120】
図10は、防犯カメラ装置100の設置作業の一例を示す説明図である。防犯カメラ装置100においては、ネジ孔401が筐体101の側面101cに設けられているため、防犯カメラ装置100の設置作業をおこなう作業者1000は、防犯カメラ装置100をカゴ701の側壁に固定することで表示画面の位置を固定した後に、
図10に示すように、固定された状態の筐体101の側方からドライバーなどの工具1001を挿入することができ、筐体101の側方からネジ617にアクセスし、正面カメラ601の撮影範囲を固定することができる。
【0121】
これにより、一旦カゴ701の側壁に取り付けた防犯カメラ装置100を、正面カメラ601の撮影範囲の調整のために取り外して、また取り付ける、という作業をおこなうことなく、防犯カメラ装置100の設置位置を確定した後に、当該確定した位置において、正面カメラ601の撮影範囲の調整のみをおこなうことができる。これにより、正面カメラ601の撮影範囲の調整に専念することができ、正面カメラ601の撮影範囲の調整作業を正確かつ迅速におこなうことができる。
【0122】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、略平板形状をなし、背面101aをエレベーターのカゴ701内の側壁面側に向けて、かつ、正面101bが、当該側壁面と略平行となるように、当該カゴ701内の上部に後付けされる筐体101と、筐体101の正面に設けられ、カゴ701内で当該カゴ701の乗員に対して広告を表示する表示画面102と、撮像素子および当該撮像素子に外光を導く光学系を備えた正面カメラ601、および、当該正面カメラ601と連結されて当該光学系の光軸方向に交差する方向に沿って延出する回動軸602を備え、カゴ701内を撮影する撮影部600と、筐体101の正面に設けられたレンズ開口603から正面レンズ103を臨ませた状態で、筐体101の内側において回動軸602を軸心周りに回動可能な状態で保持する保持部605と、保持部605に保持された回動軸602の回動を規制して固定する固定部618と、を備えている。そして、固定部618が、筐体101における側面101cを板厚方向に貫通するネジ孔401と、当該ネジ孔401に螺合されるネジ617と、を備え、当該ネジ617の先端を回動軸602に当接させることによって回動軸602の回動を規制し、固定することを特徴としている。
【0123】
この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、撮影部600(正面カメラ601)を回動軸602周りに回動させることによって、カゴ701内における表示画面102の向きにかかわらず、撮影部600(正面カメラ601)による撮影範囲を調整することができる。これにより、カゴ701内における表示画面102の設置位置や向きの自由度を損なうことなく、カゴ701内を確実に撮影することができる。
【0124】
また、ネジ孔40およびネジ617によって構成される固定部618によって回動軸602の回動を固定することにより、物品がぶつかったり悪戯されたりして正面カメラ601の撮影範囲が不用意に変わることを防止できる。これにより、カゴ701内を確実に撮影することができる。
【0125】
また、側面101cを板厚方向に貫通するネジ孔401に螺合されるネジ617によって回動軸602を固定することにより、筐体101の側方からネジ617にアクセスすることができるので、筐体101をカゴ701の側壁に固定した状態で、筐体101を動かすことなく正面カメラ601の撮影範囲の調整をおこなうことができる。これにより、防犯カメラ装置100をカゴ701内の側壁面へ取り付ける作業と、正面カメラ601の撮影範囲を調整する作業と、をそれぞれ分けておこなうことができる。
【0126】
このように、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、カゴ701のサイズや形状に応じて、乗員の目に触れやすく広告効果の高い位置に表示画面102を設置することで、エレベーターのカゴ701内における広告効果の向上を図るとともに、カゴ701内を確実に撮影することで、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0127】
また、防犯カメラ装置100をカゴ701内の側壁面へ取り付ける作業と、正面カメラ601の撮影範囲を調整する作業と、をそれぞれ分けておこなうことができるため、作業者は、各作業に専念することができる。これにより、作業の手戻りなどを回避し、各作業を正確かつ迅速におこなうことができ、作業者の負担軽減および作業時間の短縮を図ることができる。
【0128】
また、作業時間の短縮を図ることにより、作業のためにエレベーターが使用できない時間を短くすることができ、エレベーターの利用者の利便性を低下させることなく、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0129】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100においては、ネジ617が、外周面にネジ山が設けられた軸部と、当該軸部の長さ方向における一端に設けられた頭部と、を備え、頭部には、所定形状の工具穴が形成された、いわゆる、特殊ネジであってもよい。
【0130】
特殊ネジによってネジ617を実現することにより、専用工具を用いなければ、ネジ617を緩めたり締めたりする操作をおこなうことが困難となるため、防犯カメラ装置100の盗難や分解などの悪戯を防止することができる。これによって、確実にカゴ701内を確実に撮影することができ、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0131】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、回動軸602が、軸心方向を鉛直方向と平行にして配置され、正面カメラ601が、正面レンズ103と正面用撮像素子とを備え、正面レンズ103に対して斜め下方から外光が入射するように回動軸602と連結されていることを特徴としている。
【0132】
この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、カゴ701内の上部に位置づけられることから、防犯カメラ装置100の正面側および上側の撮影が不要であることが自明な正面カメラ601を、あらかじめ、正面レンズ103に対して斜め下方から外光が入射する状態で回動軸602に連結することにより、撮影部600(正面カメラ601)を回動軸602の軸心周りに回動させるだけで、撮影部600(正面カメラ601)による撮影範囲を容易に調整し、カゴ701内を確実に撮影することができる。
【0133】
これにより、撮影部600(正面カメラ601)の撮像範囲の調整を容易かつ迅速におこなうことができ、調整作業にかかる作業者の負担軽減および作業時間の短縮を図ることができる。また、作業時間の短縮を図ることにより、作業のためにエレベーターが使用できない時間を短くし、エレベーターの利用者の利便性を低下させることなく、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0134】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、略平板形状をなす筐体101を、正面101bに設けられた表示画面102がカゴ701内の側壁面と略平行となるように取り付けることにより、乗員に対して圧迫感を感じさせることなく、カゴ701内を確実に撮影することができる。これにより、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0135】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、正面レンズ103の画角が90度以上であることを特徴としている。
【0136】
この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、90度以上の画角が確保された正面レンズ103を用いることにより、大多数が立方体ないし長方体形状をなすカゴ701内の空間を、1つの撮影部600(正面カメラ601)によって容易かつ確実に撮影することができる。これにより、乗員の安全確保に寄与することができる。
背面をエレベーターのカゴ(701)内の側壁面側に向けて、かつ、正面(101b)が当該側壁面と略平行となるように当該カゴ(701)内の上部に後付けされる筐体(101)を備えた防犯カメラ装置(100)において、カゴ(701)内で広告を表示する表示画面102を筐体(101)の正面(101b)に設け、カゴ(701)内を撮影する正面カメラ(601)を軸心周りに回動可能な回動軸(602)に連結することにより撮影範囲の調整を可能とし、かつ、筐体(101)における側面(101c)を板厚方向に貫通するネジ孔(401)に螺合されるネジ(617)によって回動軸(602)を固定することにより、筐体(101)をカゴ(701)の側壁に固定した状態で、筐体(101)を動かすことなく正面カメラ(601)の撮影範囲の調整をおこなうことができるようにした。