(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
第一実施形態の端末装置の一例であるコンピュータについて、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1及び
図2に示すように、第一実施形態のコンピュータ22は、本体筐体24と、ディスプレイ筐体26を有する。本体筐体24は第一筐体の一例であり、ディスプレイ筐体26は第二筐体の一例である。
【0011】
本体筐体24の内部には、プロセッサやメモリ等が備えられており、コンピュータの本体として本体筐体24が機能する。
【0012】
本体筐体24において、
図2の上側に位置する面は操作面24Eである。
図1に示すように、操作面24Eには、キーボード28やタッチパッド30が備えられる。
【0013】
ディスプレイ筐体26において、
図2の左上側に位置する面は表示面26Eである。
図1に示すように、表示面26Eには、ディスプレイ32が備えられる。
【0014】
本体筐体24とディスプレイ筐体26とは、ヒンジ34によって回転可能に連結されている。具体的には、本体筐体24における4つの側面のうちの1つの側面24Aと、ディスプレイ筐体26の4つの側面のうちの1つの側面26Aを連結するように、ヒンジ34が設けられている。本実施形態では、
図1に示すように、ヒンジ34は、本体筐体24の幅方向(矢印W方向)に離間して、2つ設けられている。
【0015】
図3に示すように、ディスプレイ筐体26は、本体筐体24に対して、表示面26Eが操作面24Eに重なった状態を採り得る。そして、この状態からディスプレイ筐体26は、矢印R1方向に回転する。
【0016】
図1に示すように、ヒンジ34を中心として本体筐体24から測ったディスプレイ筐体26の角度を回転角度θとする。
図3の状態では、ディスプレイ筐体26の回転角度θは0度である。
【0017】
図1に示すように、ディスプレイ筐体26の回転角度θが90度以上180度以下の状態は、たとえば、コンピュータ22を、ノート型コンピュータとして使用するのに適している。後述する閾値角度α1は、回転角度θが90度以上180度以下の所定の角度、たとえば135度に設定されている。
【0018】
ディスプレイ筐体26は、
図4及び
図5に示すように回転角度θが180度の状態を経て矢印R1方向にさらに回転する。そして、
図6及び
図7に示すように、ディスプレイ筐体26は、回転角度θが360度である状態を採る。この状態では、たとえば、コンピュータ22をタブレット型コンピュータとして使用するのに適している。
【0019】
本体筐体24において、ヒンジ34が設けられていない側面24B、24C、24Dのうちの少なくとも1つの側面(
図1の例では側面24B)には、接続端子36が設けられている。接続端子36には、外部機器と接続するためにそれぞれ対応した各種ケーブルを接続できる。接続端子36は、ヒンジ34が設けられた側面24Aには設けられていないので、ケーブルを接続した場合でも、ディスプレイ筐体26の回転に際しケーブルが邪魔になったり、回転が制限されたりすることがない。
【0020】
本体筐体24の内部には、スピーカ38が設けられている。
図2に示す例では、スピーカ38は、側面24Aに近い位置に配置されている。
【0021】
本体筐体24において、操作面24Eには、第一開口部40が形成され、側面24Aには第二開口部42が形成されている。
【0022】
図2に詳細に示すように、ヒンジ34は、第一回転軸44、第二回転軸46及びリンク48を有する。
【0023】
第一回転軸44は、ブラケット52により、本体筐体24に取り付けられており、第二回転軸46は、ブラケット54により、ディスプレイ筐体26に取り付けられている。第一回転軸44と第二回転軸46とは平行である。リンク48は、第一回転軸44と第二回転軸46とを連結している。
【0024】
ヒンジ34は、ヒンジカバー50を有する。ヒンジカバー50は、第一回転軸44、第二回転軸46及びリンク48を覆っている。
【0025】
ヒンジ34は、ロック部材56を有する。ロック部材56は、ディスプレイ筐体26の回転角度θが0度以上で閾値角度α1以下の範囲では、リンク48をディスプレイ筐体26に対し回転自在とし、本体筐体24に対してロックする(回転不能とする)。この状態では、ヒンジ34は、ヒンジカバー50が第二開口部42を閉塞する位置(以下、「閉塞位置TP」という)でロックされる。
【0026】
ロック部材56は、ディスプレイ筐体26の回転角度θが閾値角度α1を超えて360度以下の範囲では、リンク48を本体筐体24に対し回転自在とし、ディスプレイ筐体26に対しロックする(回転不能とする)。
図5及び
図7に示すように、ヒンジ34(リンク48)が閉塞位置TPから矢印R2方向に回転すると、ヒンジカバー50は第二開口部42を開放する。
【0027】
本実施形態では、本体筐体24は、第二開口部42の周囲において金属製である。また、ヒンジカバー50は樹脂製である。ヒンジカバー50は、本体筐体24の第二開口部42の周囲と同種の金属製である構造と比較して撓みやすい。
【0029】
図3に示すように、ディスプレイ筐体26の回転角度θが0度の状態では、表示面26Eが操作面24Eに重なっているので、第一開口部40は表示面26Eにより閉塞されている。また、第二開口部42はヒンジ34(ヒンジカバー50)によって閉塞されている。
【0030】
これに対し、
図2に示すように、ディスプレイ筐体26の回転角度θが0度以上で、且つ閾値角度α1以下である場合は、表示面26Eが操作面24Eに重なっていないので、表示面26Eは第一開口部40を閉塞せず、第一開口部40は開放されている。しかし、第二開口部42はヒンジ34(ヒンジカバー50)によって閉塞されている。
【0031】
スピーカ38で発生された音は、本体筐体24の外部に向けて、第一開口部40からは出るが、第二開口部42からは出ない(もしくは出にくい)。したがって、たとえば、コンピュータ22の使用者が側面24D側に位置している場合に、この使用者に対し、使用者に向いていない第二開口部42から音が出ることが抑制される。第一開口部40から出る音量が大きくなり、実質的な音量の不足を抑制できる。
【0032】
本実施形態のコンピュータ22は、
図4及び
図6に示すように、ディスプレイ筐体26の回転角度θが閾値角度α1を超えた状態を採り得る。この状態では、
図5及び
図7に示すように、ヒンジカバー50が第二開口部42を開放する。すなわち、スピーカ38で発生された音が、第一開口部40及び第二開口部42の両方から、本体筐体24の外部に出る状態である。
【0033】
なお、本実施形態のコンピュータ22は、ディスプレイ筐体26の回転角度θが180度を超えた状態で、
図8に示すように、本体筐体24の操作面24Eを下にしてコンピュータ22が用いられることがある。この場合は、
図9に示すように、コンピュータ22を設置する床面FL等によって、第一開口部40が閉塞されるが、第二開口部42は開放されている。したがって、スピーカ38で発生された音は、第二開口部42を経て本体筐体24の外部に出る。
【0034】
ヒンジ34は、本体筐体24とディスプレイ筐体26とを回転可能に連結しており、しかも、第二開口部42を閉塞する閉塞部材でもある。閉塞部材がヒンジ34とは別部材であってもよいが、別部材である構造では、ディスプレイ筐体26の回転角度θに応じて、閉塞部材を閉塞位置と開放位置とで移動させるための移動機構が必要になる。ヒンジ34が閉塞部材を兼ねる本実施形態の構造では、別部材である構造と比較して、閉塞部材や、上記した移動機構が不要であり、部品点数が少ない。
【0035】
ヒンジ34は、第一回転軸44及び第二回転軸46を有し、さらに、第一回転軸44と第二回転軸46とを連結するリンク48を有する。このように、平行な2つの軸によって、本体筐体24とディスプレイ筐体26とを回転可能に連結するので、ディスプレイ筐体26の回転角度が0度の状態及び360度の状態の両状態で、本体筐体24に対し隙間なく(あるいは小さな隙間で)重なった状態を容易に実現できる。
【0036】
ヒンジ34は、リンク48を有しており、さらに、リンク48を覆うヒンジカバー50(カバー部材の一例)を有している。ヒンジカバー50は、ヒンジ34の一部であるので、ヒンジ34を効果的に用いて、第二開口部42を閉塞することができる。
【0037】
第二開口部42の周囲において本体筐体24が金属製であるのに対し、ヒンジカバー50は樹脂製である。したがって、ヒンジカバー50は、金属製である構造と比較して撓みやすいので、第二開口部42の周囲に密着して第二開口部42を効果的に閉塞できる。
【0038】
第二開口部42の位置は、上記実施形態では側面24Aである。本体筐体24の4つの側面のうちの1つの側面に第二開口部42を設けることで、側面からスピーカ38の音を本体筐体24の外部に出すことができる。
【0039】
ヒンジ34は、側面24Aにおいて、本体筐体24とディスプレイ筐体26とを連結している。側面24Aは第二開口部42が形成された面でありヒンジ34が第二開口部42の近くに位置するので、ヒンジ34で第二開口部42を閉塞するためにヒンジ34を大型化する必要がない。
【0040】
本体筐体24において、接続端子36は、ヒンジ34が設けられていない側面24B、24C、24Dに設けられており、ヒンジ34が設けられた側面24Aには接続端子36は設けられていない。したがって、接続端子36に接続ケーブルを接続していても、ディスプレイ筐体26を回転させるときに接続ケーブルが邪魔になったり、ディスプレイ筐体26の回転が制限されたりすることがない。
【0041】
本実施形態では、本体筐体24は第一筐体の一例であり、本体筐体24はスピーカ38に加えて、キーボード28を有する。すなわち、第一筐体として、スピーカ38の音を出すだけでなく、操作部材としても用いることができる。同様に、ディスプレイ筐体26は第二筐体の一例であり、ディスプレイ32を有するので、表示部材として用いることができる。
【0042】
本実施形態では、ロック部材56を有する。ロック部材56により、ディスプレイ筐体26の回転角度θが閾値角度α1に達するまでは、ヒンジ34(閉塞部材)を閉塞位置にロックする。すなわち、ディスプレイ筐体26の回転角度θが閾値角度α1に達するまでは、第二開口部42を閉塞した状態を確実に実現できる。
【0043】
なお、上記では、第一開口部40が、本体筐体24の操作面24Eに形成されている例を挙げたが、第一開口部40が、操作面24Eと反対側の裏面24F(
図2において、たとえば領域CEとして示す範囲)に形成されていてもよい。裏面24Fに形成された第一開口部40は、ディスプレイ筐体26の回転角度θを360度とした状態で、ディスプレイ筐体26によって閉塞される。この場合でも、ヒンジ34(閉塞部材)は第二開口部42を閉塞していない。すなわち、スピーカ38で発生された音が、第二開口部42を経て本体筐体24の外部に出る状態を実現できる。
【0044】
上記では、第一筐体の一例として、プロセッサやメモリ等が備えられた本体筐体24を挙げているが、たとえば、プロセッサやメモリは、ディスプレイ筐体26に備えられていてもよい。この場合、第一筐体としては、キーボード28やタッチパッド30が備えられる入力装置として機能する。また、第一筐体としては、キーボード28やタッチパッド30を有さない構造でもよい。
【0045】
また、上記では、第二筐体の一例として、ディスプレイ32が備えられたディスプレイ筐体26を挙げたが、ディスプレイ32が備えられていない構造であってもよい。この場合には、たとえば、ディスプレイは本体筐体24(第一筐体)に設けることができる。そして、第二筐体は、たとえば、第一筐体のディスプレイを覆う蓋として機能する。
【0046】
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0047】
本明細書は、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
スピーカの音を外部に出す第一開口部及び第二開口部を備える第一筐体と、
前記第一筐体に回転可能に連結され前記第一筐体に対する回転角度によって前記第一開口部を閉塞する第二筐体と、
前記第二筐体が前記第一開口部を開放している状態で、前記第二開口部を閉塞する閉塞部材と、
を有する端末装置。
(付記2)
前記第一筐体と前記第二筐体とを回転可能に連結するヒンジを有し、
前記ヒンジが前記閉塞部材を兼ねる付記1に記載の端末装置。
(付記3)
前記ヒンジが、
前記第一筐体に設けられる第一回転軸と、
前記第二筐体に設けられる第二回転軸と、
前記第一回転軸と前記第二回転軸とを連結するリンクと、
を有する付記2に記載の端末装置。
(付記4)
前記リンクを覆うカバー部材を有し、
前記第二筐体が前記第一開口部を開放している状態で、前記カバー部材が前記第二開口部を閉塞する付記3に記載の端末装置。
(付記5)
前記第二開口部の周囲では前記第一筐体が金属製であり、
前記カバー部材が樹脂製である付記4に記載の端末装置。
(付記6)
前記第一筐体の側面に前記第二開口部が設けられる付記5に記載の端末装置。
(付記7)
前記ヒンジが、前記第一筐体の前記側面で前記第二筐体を連結する付記6に記載の端末装置。
(付記8)
前記第一筐体の側面のうち前記ヒンジが設けられていない側面に接続端子が設けられる付記7に記載の端末装置。
(付記9)
前記第一筐体において、キーボードを備える操作面に前記第一開口部が設けられ、
前記第二筐体において、ディスプレイを備える表示面で前記第一開口部を閉塞する付記1〜付記8のいずれか1つに記載の端末装置。
(付記10)
前記操作面に前記表示面が重なった閉状態から前記第二筐体の前記第一筐体に対する回転角度が閾値角度に達するまでは、前記第二開口部を閉塞した状態で前記閉塞部材をロックするロック部材を有する付記9に記載の端末装置。