特許第6681034号(P6681034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681034
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】固定具及びエレベータかご
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20200406BHJP
   B66B 11/02 20060101ALN20200406BHJP
【FI】
   F16B5/02 R
   !B66B11/02 E
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-124800(P2017-124800)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-7577(P2019-7577A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染田 雅弘
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−145013(JP,A)
【文献】 特開平11−222081(JP,A)
【文献】 特開2002−235347(JP,A)
【文献】 特開平04−075991(JP,A)
【文献】 特開2013−142449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00− 5/12
B66B 11/02
F21V 21/24,
19/00− 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する被固定体に、器具を固定させる固定具であって、
孔部を有し、前記器具が固定される第1本体と、
前記第1本体から突出し、前記貫通孔に挿入される突出部と、
雌ネジ部を有し、前記第1本体と協働して前記被固定体を挟む第2本体と、
前記第1及び第2本体を前記被固定体に固定させるために、前記孔部に挿入され、前記雌ネジ部と螺合する本体固定ボルトと、
前記器具を前記第1本体に固定させる器具固定ボルトと、を備え、
前記第2本体は、前記突出部挿入される孔部を備え、
前記第1本体は、前記器具固定ボルトと協働して前記器具を固定するために、前記器具固定ボルトと螺合する雌ネジ部を備え、
前記突出部は、前記器具固定ボルトが前記第1本体から突出する部分で構成される、固定具。
【請求項2】
前記本体固定ボルトと前記器具固定ボルトとは、同じネジ形状である、請求項に記載の固定具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固定具と、
前記固定具を覆い、かご内面に対して隙間を有して配置されるカバー体と、を備え、
前記本体固定ボルトの頭部は、前記被固定体よりも隙間側に配置される、エレベータかご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔を有する被固定体に、器具を固定させる固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定具として、貫通孔を有する被固定体に、ボルトで、器具(部品、部材等も含む)を固定させる固定具が、知られている(例えば、特許文献1及び2)。斯かる固定具においては、器具を被固定体に固定する際に、器具と反対側からボルトを操作する必要がある。したがって、被固定体の構成や配置によっては、ボルトを操作し難いため、斯かる固定具を使用し難い場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−158998号公報
【特許文献2】特開平7−127610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、器具側から操作することにより、器具を被固定体に固定することができる固定具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
固定具は、貫通孔を有する被固定体に、器具を固定させる固定具であって、孔部を有し、前記器具が固定される第1本体と、前記第1本体から突出し、前記貫通孔に挿入される突出部と、雌ネジ部を有し、前記第1本体と協働して前記被固定体を挟む第2本体と、前記第1及び第2本体を前記被固定体に固定させるために、前記孔部に挿入され、前記雌ネジ部と螺合する本体固定ボルトと、を備え、前記第2本体は、前記突出部に挿入される孔部を備える。
【0006】
また、固定具は、前記器具を前記第1本体に固定させる器具固定ボルトを備え、前記第1本体は、前記器具固定ボルトと協働して前記器具を固定するために、前記器具固定ボルトと螺合する雌ネジ部を備え、前記突出部は、前記器具固定ボルトが前記第1本体から突出する部分で構成される、という構成でもよい。
【0007】
また、固定具においては、前記本体固定ボルトと前記器具固定ボルトとは、同じネジ形状である、という構成でもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上の如く、固定具は、器具側から操作することにより、器具を被固定体に固定することができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る固定具を用いたエレベータかごの要部概要図である。
図2図2は、同実施形態に係る固定具の全体平面図である。
図3図3は、図2のIII−III線断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る固定具の全体分解断面図である。
図5図5は、他の実施形態に係る固定具の全体平面図である。
図6図6は、さらに他の実施形態に係る固定具の全体断面図である。
図7図7は、さらに他の実施形態に係る固定具の全体断面図である。
図8図8は、さらに他の実施形態に係る固定具の全体平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、固定具における一実施形態について、図1図4を参照しながら説明する。なお、各図(図5図8も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る固定具1は、エレベータかご(以下、単に「かご」ともいう)10の照明装置11に備えられている。かご10は、上面10aと、四つの側面(図1においては、1つのみ図示している)10bと、下面(図1においては、図示していない)とを備えており、直方体状の箱状に形成されている。なお、図示していないが、エレベータは、一端部がかご10に接続されるロープと、ロープの他端部に接続される釣合錘と、ロープを駆動してかご10を昇降させる巻上機とを備えている。
【0012】
照明装置11は、かご10のうち、上面10aと側面10bとで形成される角部、即ち、かご10の上隅部に配置されている。そして、照明装置11は、発光する管状のランプ12と、ランプ12を取り付ける取付器具(以下、単に「器具」という)13とを備えている。そして、照明装置11は、器具13が固定される被固定体14と、被固定体14に器具13を固定する固定具1とを備えている。また、照明装置11は、ランプ12、器具13、被固定体14、及び固定具1を覆うカバー体15を備えている。
【0013】
カバー体15は、上面10a及び側面10bのそれぞれに対して、隙間20を有して(離れて)配置されていると共に、傾斜して交差するように配置されている。例えば、隙間20は、50mm〜150mm(例えば、100mm)の空間であり、手が入る程度の空間である。なお、器具13は、被固定体14に対して、隙間20側に配置されている。
【0014】
そして、ランプ12から発せられた光は、上面10a及び側面10b等で反射し、隙間20を通過して、かご10の内部を照射する。即ち、本実施形態においては、照明装置11は、間接照明方式の装置である。なお、カバー体15は、図示していない部材により、エレベータかご10(上面10a、側面10b)に固定されている。
【0015】
被固定体14は、平板状に形成されている。そして、被固定体14の基端部は、カバー体15に固定されている。上方側の被固定体14は、カバー体15から側面10bに向けて突出するように(横方向D1に延びるように)、配置されており、下方側の被固定体14は、カバー体15から上面10aに向けて突出するように(上下方向D3に延びるように)、配置されている。
【0016】
そして、器具13が被固定体14に固定される位置は、被固定体14が突出する方向で、変更可能である。具体的には、上方側の器具13が被固定体14に固定される位置は、横方向D1で変更可能であり、下方側の器具13が被固定体14に固定される位置は、上下方向D3で変更可能である。
【0017】
図2図4は、図1における上方側の被固定体14、器具13、及び固定具1を図示している。図2図4に示すように、被固定体14は、1つの貫通孔14aを備えている。貫通孔14aは、被固定体14が突出する方向D1に延びる長穴形状に形成されている。
【0018】
器具13は、ランプ12を挟んで保持する弾性の保持部13aと、固定具1により被固定体14に固定される平板状のベース部13bとを備えている。なお、ベース部13bは、孔部13cを備えている。
【0019】
固定具1は、被固定体14を厚み方向D3で挟む第1本体2及び第2本体3を備えている。そして、固定具1は、器具13を第1本体2に固定させる器具固定ボルト4と、第1本体2及び第2本体3を被固定体14に固定させる本体固定ボルト5とを備えている。また、固定具1は、本体固定ボルト5と第1本体2との間に配置される座金(例えば、平座金及びバネ座金)6を備えている。なお、座金6は、備えられていなくてもよく、また、器具固定ボルト4と器具13との間に備えられていてもよい。
【0020】
器具固定ボルト4は、雄ネジ部4aと、雄ネジ部4aよりも大きい幅を有し、人に操作される頭部4bとを備えている。また、本体固定ボルト5は、雄ネジ部5aと、雄ネジ部5aよりも大きい幅を有し、人に操作される頭部5bとを備えている。
【0021】
そして、器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とは、同じネジ形状である。具体的には、器具固定ボルト4の雄ネジ部4aのネジ形状(ネジ径及びネジピッチ)は、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aのネジ形状(ネジ径及びネジピッチ)と、同じ形状である。本実施形態においては、器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とは、同じ部品である。これにより、器具固定ボルト4を本体固定ボルト5として使用することができ、また、本体固定ボルト5を器具固定ボルト4として使用することができる。
【0022】
即ち、器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とが互いに代用可能である、という効果があるため、例えば、部品点数を少なくすることができたり、部品の誤使用を抑制することができたりする。なお、器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とは、完全に同じ構成の部品でなくても(例えば、頭部4b,5bの形状が異なったり、雄ネジ部4a,5aの長さが異なったりしていても)、同様の効果を有する構成にすることは可能である。
【0023】
第1本体2は、平板状に形成されており、第2本体3は、平板状に形成されている。また、第1本体2は、器具固定ボルト4の雄ネジ部4aと螺合する雌ネジ部2aを備えている。そして、器具固定ボルト4の雄ネジ部4aが、器具13のベース部13bの孔部13cに挿入した状態で、第1本体2の雌ネジ部2aと螺合されている。これにより、器具13のベース部13bが、器具固定ボルト4の頭部4bと第1本体2とに挟み込まれるため、器具13が、第1本体2に固定されている。
【0024】
なお、器具13が第1本体2に固定された状態において、器具固定ボルト4は、第1本体2から突出する突出部4cを備えており、該突出部4cは、雄ネジ部4aの先端側の部分で構成されている。また、第2本体3は、器具固定ボルト4の雄ネジ部4a(突出部4c)に挿入される孔部3bを備えており、該孔部3bは、器具固定ボルト4の雄ネジ部4a(突出部4c)よりも大きく形成されている。そして、突出部4cは、被固定体14の貫通孔14aと第2本体3の孔部3bとに挿入されている。
【0025】
また、第1本体2は、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aに挿入される孔部2bを備えており、該孔部2bは、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aよりも大きく形成されている。そして、第2本体3は、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aと螺合する雌ネジ部3aを備えている。これにより、第1本体2及び被固定体14が、本体固定ボルト5の頭部5bと第2本体3とに挟み込まれるため、第1本体2及び第2本体3が、被固定体14に固定されている。
【0026】
そして、器具固定ボルト4の頭部4bは、被固定体14に対して、器具13側に配置されており、本体固定ボルト5の頭部5bは、被固定体14に対して、器具13側に配置されている。即ち、器具固定ボルト4の頭部4bと本体固定ボルト5の頭部5bとは、被固定体14に対して、隙間20(図2図4においては、図示していない)側に配置されている。また、本体固定ボルト5の頭部5bは、器具固定ボルト4の頭部4bに対して、隙間20側に配置されている。
【0027】
なお、器具固定ボルト4のネジ形状と本体固定ボルト5のネジ形状とが同じであるため、第1本体2の雌ネジ部2aのネジ形状(ネジ径及びネジピッチ)は、第2本体3の雌ネジ部3aのネジ形状(ネジ径及びネジピッチ)と同じである。本実施形態においては、第1本体2と第2本体3とは、同じ部品である。これにより、第1本体2を第2本体3として使用することができ、また、第2本体3を第1本体2として使用することができる。
【0028】
即ち、第1本体2と第2本体3とは、互いに代用可能である、という効果があるため、例えば、部品点数を少なくすることができたり、部品の誤使用を抑制したりすることができる。なお、第1本体2と第2本体3とは、完全に同じ構成の部品でなくても(例えば、外縁の形状が異なったり、孔部2b,3bの大きさがある程度異なったり、雌ネジ部2a,3aと孔部2b,3bとの位置関係がある程度異なったり、厚みが異なったりしていても)、同様の効果を有する構成にすることは可能である。
【0029】
本実施形態に係る固定具1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る固定具1による器具13の固定方法の一例について説明する。なお、固定方法は、斯かる方法に限定されない。
【0030】
まず、器具固定ボルト4の雄ネジ部4aが、器具13のベース部13bの孔部13cに挿入された状態で、器具固定ボルト4の雄ネジ部4aを、第1本体2の雌ネジ部2aに螺合させる。これにより、器具13のベース部13bが、器具固定ボルト4の頭部4bと第1本体2とに挟み込まれるため、器具13が、第1本体2に固定される。
【0031】
そして、隙間20から手を入れて、突出部4cが被固定体14の貫通孔14aに挿入するように、第1本体2を被固定体14の一方側に配置し、また、突出部4cが第2本体3の孔部3bに挿入するように、第2本体3を被固定体14の他方側に配置する。その後、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aが第1本体2の孔部2b及び被固定体14の貫通孔14aに挿入された状態で、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aを第2本体3の雌ネジ部3aに螺合させる。
【0032】
このとき、第1本体2及び第2本体3が被固定体14に固定しない程度に、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aを第2本体3の雌ネジ部3aに螺合させる。これにより、第1本体2及び第2本体3が被固定体14に仮固定された状態となるため、手を離しても、第1本体2及び第2本体3は、被固定体14から脱落しない。しかも、各雄ネジ部4a,5aが被固定体14の貫通孔14aにガイドされるため、第1本体2及び第2本体3を、被固定体14に対して、貫通孔14aの延びる方向D1に沿ってスライドできる。
【0033】
その後、第1本体2を被固定体14に対して位置決めした状態で、本体固定ボルト5の頭部5bを操作する。このとき、第1本体2を被固定体14に対して押し付けつつ、本体固定ボルト5の頭部5bを操作することで、第1本体2及び第2本体3が被固定体14に仮固定された後については、器具13側からの操作だけとなる。これにより、隙間20から手を入れて行う操作であっても、容易に行うことができる。
【0034】
そして、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aが第2本体3の雌ネジ部3aと螺合することに伴って、第2本体3が本体固定ボルト5と共回りしようとし、第1本体2も、本体固定ボルト5の頭部5bとの摩擦により共回りしようとする。このとき、突出部4cが被固定体14の貫通孔14aに当たるため、第1本体2が本体固定ボルト5と共回りすることがない。
【0035】
さらに、第2本体3の孔部3bが突出部4cに当たる。これにより、第2本体3が本体固定ボルト5と共回りすることがない。このように、第1本体2及び第2本体3が本体固定ボルト5と共回りすることなく、本体固定ボルト5を第2本体3の雌ネジ部3aに螺合することができる。
【0036】
したがって、本体固定ボルト5の頭部5bを操作するだけで、本体固定ボルト5の雄ネジ部5aと第2本体3の雌ネジ部3aとを螺合させることができるため、当該操作を容易に行うことができる。そして、第1本体2及び被固定体14が、本体固定ボルト5の頭部5bと第2本体3とに挟み込まれることで、第1本体2及び第2本体3が被固定体14に固定される。
【0037】
なお、第1本体2及び第2本体3が被固定体14に固定された後に、被固定体14に対する器具13の位置を変更したい場合には、本体固定ボルト5を緩めて、被固定体14に対する第1本体2の位置を移動する。そして、再度、本体固定ボルト5を締めることで、被固定体14に対する器具13の位置を変更することができる。
【0038】
したがって、器具13側からの操作のみで、被固定体14に対する器具13の位置を変更することができる。これにより、例えば、斯かる操作が隙間20から手を入れて行う操作であっても、当該操作を容易に行うことができる。
【0039】
また、器具13を交換したい場合には、例えば、ランプ12を器具13から取り外した後に、器具固定ボルト4を第1本体2から取り外すことで、器具13を第1本体2から取り外す。そして、再度、器具固定ボルト4を第1本体2に取り付けて、器具13を第1本体2に固定することで、器具13を交換することができる。
【0040】
したがって、器具13側からの操作のみで、器具13を交換することができる。これにより、例えば、斯かる操作が隙間20から手を入れて行う操作であっても、当該操作を容易に行うことができる。そして、交換された器具13にランプ12が取り付けられる。
【0041】
以上より、本実施形態に係る固定具1は、貫通孔14aを有する被固定体14に、器具13を固定させる固定具1であって、孔部2bを有し、前記器具13が固定される第1本体2と、前記第1本体2から突出し、前記貫通孔14aに挿入される突出部4cと、雌ネジ部3aを有し、前記第1本体2と協働して前記被固定体14を挟む第2本体3と、前記第1及び第2本体2,3を前記被固定体14に固定させるために、前記孔部2bに挿入され、前記雌ネジ部3aと螺合する本体固定ボルト5と、を備え、前記第2本体3は、前記突出部4cに挿入される孔部3bを備える。
【0042】
斯かる構成によれば、器具13は、第1本体2に固定されており、第1本体2と第2本体3とは、協働して被固定体14を挟んでいる。そして、本体固定ボルト5は、第1本体2の孔部2bに挿入され、第2本体3の雌ネジ部3aと螺合している。これにより、第1及び第2本体2,3が被固定体14に固定されるため、器具13が被固定体14に固定される。このとき、器具13側から本体固定ボルト5を操作することにより、器具13を被固定体14に固定することができる。
【0043】
ところで、突出部4cは、第1本体2から突出し、被固定体14の貫通孔14aに挿入され、さらに、第2本体3の孔部3bに挿入されている。これにより、本体固定ボルト5が第2本体3の雌ネジ部3aと螺合することに伴って、第2本体3が本体固定ボルト5と共回りしようとする際に、第2本体3の孔部3bが突出部4cに当たり、突出部4cが被固定体14の貫通孔14aに当たる。したがって、第2本体3が本体固定ボルト5と共回りすることを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る固定具1は、前記器具13を前記第1本体2に固定させる器具固定ボルト4を備え、前記第1本体2は、前記器具固定ボルト4と協働して前記器具13を固定するために、前記器具固定ボルト4と螺合する雌ネジ部2aを備え、前記突出部4cは、前記器具固定ボルト4が前記第1本体2から突出する部分で構成される、という構成でもよい。
【0045】
斯かる構成によれば、器具固定ボルト4が第1本体2の雌ネジ部2aと螺合することで、第1本体2と器具固定ボルト4とが協働して器具13を固定する。これにより、器具13を第1本体2に固定させることができる。
【0046】
そして、器具固定ボルト4が第1本体2から突出しており、当該突出する部分が、被固定体14の貫通孔14aと第2本体3の孔部3bに挿入される突出部4cを、構成している。これにより、器具固定ボルト4は、器具13を第1本体2に固定する機能と、被固定体14の貫通孔14aと第2本体3の孔部3bに挿入される突出部4cを構成する機能とを備えている。
【0047】
また、本実施形態に係る固定具1においては、前記本体固定ボルト5と前記器具固定ボルト4とは、同じネジ形状である、という構成である。
【0048】
斯かる構成によれば、本体固定ボルト5と器具固定ボルト4とのネジ形状が同じであるため、本体固定ボルト5が第1本体2の雌ネジ部2aと螺合することが可能であり、また、器具固定ボルト4が第2本体3の雌ネジ部3aと螺合することが可能である。そして、第1本体2の雌ネジ部2aと孔部2bとの距離と、第2本体3の雌ネジ部3aと孔部3bとの距離が、一定(完全に同じだけでなく、略同じも含む)であるため、第1本体2を第2本体3として使用することが可能であり、第2本体3を第1本体2として使用することが可能である。
【0049】
なお、固定具1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、固定具1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0050】
(1)上記実施形態に係る被固定体14は、貫通孔14aを一つ備えている、という構成である。しかしながら、被固定体14は、斯かる構成に限られない。例えば、図5に示すように、被固定体14は、貫通孔14a,14bを複数備えている、という構成でもよい。図5に係る構成について、以下に説明する。
【0051】
図5に係る複数の貫通孔14a,14bは、同じ方向D2に延びるように、即ち、延びる方向D2が平行となるように、配置されている。そして、一方の貫通孔14aは、器具固定ボルト4に挿入され、他方の貫通孔14bは、本体固定ボルト5に挿入されている。そして、器具13が被固定体14に対する位置は、貫通孔14a,14bが延びる方向D2に、変更可能である。
【0052】
(2)また、上記実施形態に係る固定具1は、一つの器具13を被固定体14に固定する、という構成である。しかしながら、固定具1は、斯かる構成に限られない。例えば、図6に示すように、固定具1は、複数の器具13,13を被固定体14に固定する、という構成でもよい。図6に係る構成について、以下に説明する。
【0053】
固定具1においては、第1本体2と第2本体3とは、互いに代用可能である、という構成である。例えば、第1本体2と第2本体3とは、同じ部品である。また、固定具1においては、各器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とは、互いに代用可能である、という構成である。例えば、各器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とは、同じ部品である。
【0054】
第1本体2は、器具固定ボルト4に螺合される2つ(複数)の雌ネジ部2a,2aと、本体固定ボルト5に挿入されるための2つの孔部2b,2bとを備えている。また、第2本体3は、本体固定ボルト5に螺合されるための2つの雌ネジ部3a,3aと、器具固定ボルト4に挿入される2つ(複数)の孔部3b,3bとを備えている。
【0055】
そして、各器具固定ボルト4が第1本体2の雌ネジ部2aと螺合することで、器具13が第1本体2に固定されている。また、本体固定ボルト5が、第1本体2の一方の孔部2bに挿入され、第2本体3の一方の雌ネジ部3aと螺合することで、第1及び第2本体2,3が被固定体14に固定されている。
【0056】
なお、図6に係る構成において、第1本体2の孔部2bは、一つ備えられ、第2本体3の雌ネジ部3aは、一つ備えられている、という構成でもよい。即ち、第1本体2と第2本体3とは、互いに代用できない、という構成でもよい
【0057】
(3)また、上記実施形態に係る固定具1においては、器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とは、代用可能である、という構成である。しかしながら、固定具1は、斯かる構成に限られない。例えば、器具固定ボルト4と本体固定ボルト5とは、異なるネジ形状であって、互いに代用できない、という構成でもよい。
【0058】
また、例えば、図7に示すように、器具固定ボルト4は、頭部4bに連結される雄ネジ部4aと、雄ネジ部4aに連結されるネジのない柱部4dとを備えている、という構成でもよい。また、例えば、図7に示すように、本体固定ボルト5は、頭部5bに連結されるネジのない柱部5cと、柱部5cに連結される雄ネジ部5aとを備えている、という構成でもよい。
【0059】
(4)また、上記実施形態に係る固定具1においては、第1本体2と第2本体3とは、代用可能である、という構成である。しかしながら、固定具1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1本体2の雌ネジ部2aと第2本体3の雌ネジ部3aは、異なるネジ形状であって、第1本体2と第2本体3とは、互いに代用できない、という構成でもよい
【0060】
(5)また、上記実施形態に係る固定具1においては、突出部4cは、器具固定ボルト4が第1本体2から突出する部分で構成される、という構成である。しかしながら、固定具1は、斯かる構成に限られない。例えば、器具13を第1本体2に固定する部材と、突出部4cを構成する部材とは、別部材であって、突出部4cは、第1本体2に円柱形状の部材を固定して構成される、という構成でもよい。
【0061】
(6)また、上記実施形態に係る固定具1においては、本体固定ボルト5は、第1本体2の孔部2bと被固定体14の貫通孔14aとに挿入されている、という構成である。しかしながら、固定具1は、斯かる構成に限られない。例えば、図8に示すように、本体固定ボルト5,5は、第1本体2の孔部2b,2b(図8において、孔部2bは図示していない)に挿入され、被固定体14よりも外側に配置されている、という構成でもよい。
【0062】
(7)また、上記実施形態に係る固定具1においては、第1本体2と器具固定ボルト4とが器具13を挟むことで、器具13が第1本体2に固定されている、という構成である。しかしながら、固定具1は、斯かる構成に限られない。例えば、器具13が器具固定ボルト4に連結されており、器具固定ボルト4が第1本体2と螺合することで、器具13が第1本体2に固定されている、という構成でもよい。
【0063】
(8)また、上記実施形態に係る固定具1は、エレベータかご10の内部のランプ12を取り付ける取付器具13を被固定体14に固定する、という構成である。しかしながら、固定具1は、斯かる構成に限られない。例えば、固定具1は、エレベータかご10の内部の手すりを側面10bに固定する、という構成、即ち、器具が手すりであって、被固定体が側面10bである、という構成でもよい。
【0064】
また、固定具1が固定する器具、及び、固定具1により器具が固定される被固定体は、斯かる構成に限られない。例えば、器具は、センサ等の部品であって、被固定体は、部品よりも大きな装置本体である、という構成でもよい。要するに、固定具1が適用される分野は、エレベータに限られない。
【符号の説明】
【0065】
1…固定具、2…第1本体、2a…雌ネジ部、2b…孔部、3…第2本体、3a…雌ネジ部、3b…孔部、4…器具固定ボルト、4a…雄ネジ部、4b…頭部、4c…突出部、4d…柱部、5…本体固定ボルト、5a…雄ネジ部、5b…頭部、5c…柱部、6…座金、10…エレベータかご、10a…上面、10b…側面、11…照明装置、12…ランプ、13…器具(取付器具)、13a…保持部、13b…ベース部、13c…孔部、14…被固定体、14a…貫通孔、14b…貫通孔、15…カバー体、20…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8