特許第6681130号(P6681130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681130
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   G08B17/06 K
   G08B17/06 F
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-255615(P2015-255615)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120463(P2017-120463A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康弘
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−073019(JP,A)
【文献】 特開平11−073581(JP,A)
【文献】 特開平10−154283(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0272922(US,A1)
【文献】 特開2014−142396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00− 9/90
F21S 2/00−45/70
G08B 17/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検知する検知部を収納する本体部と、該本体部に設けられて発報状態となったときに発光する発光部を有し、取付面に取り付けられて火災を感知する火災感知器であって、
前記本体部は取付状態において下端が開口する有底筒状の筐体を有し、
該筐体を収容する筒状部と、該筒状部の周縁に外向きのフランジ部を有し、前記本体部を取付面に埋め込み式で取り付けるベースをさらに有し、
前記発光部は、前記筐体の開口部の周縁部にリング状に設けられ、リングの内側かつ斜め上方に向かって傾斜する傾斜面部を備えてなることを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
前記本体部から延出して温度を感知するサーミスタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面等に取り付けられる火災感知器に関し、特に発報状態となった動作状態を確認するために発光する発光部を有する火災感知器に関する。
なお、本明細書、特許請求の範囲において、方向を示す「上」「下」と言うときは、取付面が建築物等の天井面であった場合において、天井面側を「上」、床側を「下」と表記している。
【背景技術】
【0002】
火災感知器には、発報状態となったときの動作状況を表示する確認灯が設けられている。この確認灯は、天井面等に複数設けられている火災感知器のうち発報している火災感知器を特定するため、あるいは加煙試験や加熱試験などの動作試験の際の動作確認のために用いられる。このような確認灯は、外部からの視認性に優れるものが求められる。
【0003】
視認性を向上させた確認灯を有する火災感知器として、例えば特許文献1には、表示灯を、筐体の頭頂部を通る中心線をほぼ中心として、前記中心線の周りに所定の形状、例えば環状、盤状、筒状、あるいは円に沿うように連続的かつ規則的に形成されたパターンを有する形状に形成したものが提案されている(特許文献1の請求項1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−14570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に火災感知器は、特許文献1に開示されたものを含め、天井面に取り付けた状態で、火災感知器の外形が下方に向かって縮径する、略円錐台あるいはドーム型をしている。
このような形状を前提として、特許文献1に開示の火災感知器は、外周面に例えば環状に表示灯(確認灯)を設けるようにしている。
【0006】
火災感知器は、火災時における物理量、例えば煙濃度を検知して、確実に作動する必要があり、そのため上述したように、天井面から下方に突出して外周面が露出するような形状になっている。また、確認灯(表示灯)についても、特許文献1のように視認性を向上させるために、火災感知器の外周面全体に亘って環状に形成しているものもある。
【0007】
近年、建築物や室内空間をスタイリッシュにして意匠性を向上させることが求められており、天井面等に取り付けられる火災感知器は、火災時には確実に機能することが求められるが、通常時は目立たない方がよい。また、目立たないようにすることができなくとも、出来るだけ機能性のみからの形状ではなく、室内空間とマッチングするような意匠的に優れた形状にすることが望まれる。
さらに、確認灯についても、発報状態でないときには目立たず、発報状態となったときには視認性に優れるというものが求められる。
【0008】
しかしながら、従来の火災感知器は、機能のみを重視する傾向があり、特許文献1のもののように、火災感知器自体および確認灯を目立たせるという考えであり、スタイリッシュな室内空間にマッチングすることが難しいものであった。
【0009】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、火災感知器自体の意匠性を向上させることが可能で、その発報状態の視認性と意匠性の向上を両立できる火災感知器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る火災感知器は、取付面に取り付けられて火災を感知する火災感知器であって、火災を検知する検知部を収納する本体部と、該本体部に設けられて発報状態となったときに発光する発光部を有し、
前記本体部は筒状部を有する筐体を備え、前記本体部の下端面が上方に向かって凹陥してなり、前記発光部は凹陥した部位の周縁にリング状に設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、リング状に設けられた前記発光部は、リングの内側かつ斜め上方に向かって傾斜する傾斜面部を備えてなることを特徴とするものである。
【0012】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記本体部を取付面に取り付けるベースを有し、該ベースは前記筐体を収容する筒状部と、該筒状部の周縁に外向きのフランジ部を有し、前記取付面に設けた穴部に前記本体部を埋め込み式で取り付けられるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記本体部の凹陥した部位から延出して温度を感知するサーミスタが設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る火災感知器は、火災を検知する検知部を収納する本体部と、該本体部に設けられて発報状態となったときに発光する発光部を有し、前記本体部は筒状部を有する筐体を備え、該本体部の下端面が上方に向かって凹陥してなり、前記発光部は凹陥した部位の周縁にリング状に設けられていることにより、発報状態の視認性と意匠性の向上を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る火災感知器の取付状態の斜視図である。
図2図1に示した火災感知器の取付状態における側面図である。
図3図1に示した火災感知器の取付状態における断面図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係る火災感知器の取付状態の斜視図である。
図5図4に示した火災感知器の取付状態における側面図である。
図6図4に示した火災感知器の取付状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る火災感知器1は、図1図3に示すように、室内の天井面等の取付面3に取り付けられて火災を感知する火災感知器1であって、火災を検知する検知部(図示なし)を収納する本体部4と、本体部4の外形を形成し、各機器類を収納する筐体5と、筐体5内に設けられ、火災を検知して発報状態となったときに発光する発光部と、筐体5を取付面3に取り付けるためのベース7を有している。なお、本発明の発光部は、後述するように、発光素子11と、ライトガイド13におけるリング状に光る部分によって構成されている。
【0017】
筐体5は底部5aと筒状部5bとなからなる有底円筒体からなり、天井面に取り付けた状態においては、底部5aが上側で開口部が下側となる。
筐体5内には各種の電気部品が実装される回路基板9と、回路基板9に取り付けられて火災を検知する検知部(図示なし)が設けられ、回路基板9には発報状態となったときに発光する発光素子11が設けられている(図3参照)。
なお、筐体5内において発光素子11が発光するため、筐体5の周面から光が透過するのを防止するため、筐体5を不透光部材で形成するのが好ましい。もっとも、本実施の形態のように、筐体5がベース7で覆われる場合には、ベース7を不透光部材で形成するようにしてもよい。
【0018】
回路基板9は、筐体5内において、開口部近くに配置され、回路基板9の外側面の左右対称位置に2個の発光素子11(図3参照)が設けられており、発光素子11は火災感知器1の設置状態において下方を向くように配置されている。なお、発光素子11の数は2個に限られず、ライトガイド13におけるリング状に光る部分が十分に視認出来る程度に光れば、何個でも良い。
また、発光素子11を収容する凹陥部13aを有する有底の円筒体からなるライトガイド13が、筐体5の開口部の全面を覆うように設けられている。
【0019】
ライトガイド13の底部の周縁部、すなわち筐体5の開口部の周縁部に配置されるリング状の部位は、図3に示すように、リングの内側で、かつ上側(設置状態における上側)に向かって傾斜する傾斜面部13bになっている。そして、ライトガイド13における傾斜面部13bの内側には、遮光性のある円板からなるカバー体15が設けられている。
火災感知器1を下部側から見ると、本体部4の下端面の周縁部には傾斜面部13bからなるリング状のライトガイド13が配置され、一段凹んだ面部にカバー体15が配置されている。つまり、本体部4は、その下端面が上方に向かって凹陥した形状となっており、この凹陥した部位の周縁にライトガイド13の光る部分(発光部)が配置されている。
【0020】
図3に示すように、発光素子11がライトガイド13の凹陥部13aに近接して配置され、発光素子11の光が直接ライトガイド13に入光するので、光の損失が少ない。また、ライトガイド13が基板を保持する基板保持部を兼用している。
回路基板9とライトガイド13を一体化した状態で、発光素子11が発光すると、その光がライトガイド13に導光され、リング状の傾斜面部13bが光る。発光素子11と、ライトガイド13におけるリング状に光る部分が本発明の発光部に相当する。
【0021】
本体部4の下端面の凹陥した部位の中央には、下方に向かって延出して温度を検知するサーミスタ17が設けられている。サーミスタ17で火災による熱が感知され、検知部によって火災感知がされて発報すると発光素子11が点灯する。
【0022】
<ベース>
ベース7は、筐体5を取付面3に取り付けるための部材であり、底部7aと筒状部7bとを有する有底円筒体であり、開口部には外向きのフランジ部7cが形成されている。
筐体5を筒状部7bに収容した状態で、取付面3に設けた穴部にベース7を挿入して、穴縁にフランジを固定することで、筐体5を取付面3に埋め込み状態で設置できる。
【0023】
以上のように構成された本実施の形態の火災感知器1を、天井面に取り付けた状態では、天井面から下方に突出するのは、フランジ部7cの厚み部分と、サーミスタ17のみである。そのため、火災感知器という本来的には目立たない方がよい機能部品が目立つことなく設置できる。
また、設置状態において、発光部を構成するライトガイド13の傾斜面部13bは、本体部4における上方に向かって凹陥する部位の周縁にリング状に設けられているので、ほとんど目立たない。特に、凹陥している周縁部は影になる部位でもあることから、より一層目立たない。そのため、確認灯が外部に露出している従来例のように外観を損ねることがない。
【0024】
他方、発報状態となって発光素子11が光ると、ライトガイド13に導光されて、リング状の傾斜面部13bが光る。このとき通常状態では暗い部分が光るため、通常状態と違った状態になっていることが一目で分かり、発報状態であることが容易に確認できる。特に、本実施の形態では、ライトガイド13がリング状になっているので、360°いずれの方向からでも視認することができ、さらに傾斜面になっていることから、リング状の傾斜面部13bのうち奥側の傾斜面がよく見えるため、視認性がさらに向上している。
このように、本実施の形態の火災感知器1は発報状態の視認性と意匠性の両方の向上を実現している。
【0025】
[実施の形態2]
実施の形態1の火災感知器1は、開口縁部に外向きフランジを設けた有底枠状のベース7を備え、これによって取付面3に埋め込み型として設置できるものであった。
これに対して、本実施の形態の火災感知器19は、図4図6に示すように、筐体5の上端側に円柱状のベース21を有し、ベース21によって取付面3に露出型として設置するものである。
ベース21以外の構成部品は、実施の形態1と同一であり、図4図6において、火災感知器19を構成する各部の符号と名称に関し、ベース21以外は実施の形態1と同一にしている。
【0026】
本実施の形態の火災感知器19は、図4図6に示すように、取付面3から突出して取り付けられるため、実施の形態1と比較すると、火災感知器19自体が外部から見えやすくなっている。
しかしながら、筐体5の形状が筒形状で下端部が取付面3側に凹陥しており、機能部分が本体部4の凹陥した部位に設けられるので、機能部分が大きく露出する従来形状と比較すると、斬新で意匠性に優れる。
また、発光部は、実施の形態1と同様に筐体5の周縁部から凹陥する部位に設けられ、通常時は暗い部分であるため、実施の形態1と同様に通常時は見えにくく発光した際の視認性に優れるという効果を奏している。
【0027】
なお、上記の実施の形態1,2においては、火災感知器の例としてサーミスタ17を設けた熱感知器を例示したが、本発明の火災感知器はこれに限られるものではなく、煙を検知して火災を感知する煙感知器、炎の波長を検出して火災を感知する炎感知器等の火災感知器、及び燃焼生成物(CO,CO等)や、ガス濃度を検出して火災を検知する火災感知器も含む。
また、ライトガイド13における傾斜面部13bは、リング状になっているが、このリングは途中で途切れることなく連続するものであってもよいが、本発明はリングが途中で切れて不連続な状態になっているものも含む。
さらに、筐体5が円筒形状のものであったが、円筒に限らず角筒状のもの、例えば四角筒等の多角筒状のものであってもよい。また、発光部のリングについても円形に限らず、多角形リングであっても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 火災感知器(実施の形態1)
3 取付面
4 本体部
5 筐体
5a 底部
5b 筒状部
7 ベース(実施の形態1)
7a 底部
7b 筒状部
7c フランジ部
9 回路基板
11 発光素子
13 ライトガイド
13a 凹陥部
13b 傾斜面部
15 カバー体
17 サーミスタ
19 火災感知器(実施の形態2)
21 ベース(実施の形態2)
図1
図2
図3
図4
図5
図6