(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる電池の製造方法を示すフロー図である。本実施形態にかかる製造方法は、素電池を準備する工程(ステップS1)、素電池を電池トレイに収納する工程(ステップS2)、初回充電工程(ステップS3)、および2次充電工程(ステップS4)を備えている。
【0015】
まず、素電池を準備する(ステップS1)。
図2は、本実施形態に用いられる素電池の一例である素電池10の概略構成を示す斜視図である。素電池10は、外装缶11、端子12、および電極体13を備えている。
【0016】
外装缶11は、側面の一部が丸みをおびた直方体の形状を有している。説明の便宜のため、外装缶11の外形に沿って、幅方向、厚さ方向、および高さ方向を、
図2のように定義する。外装缶11の幅方向に沿った寸法を幅W、厚さ方向に沿った寸法を厚さTと呼ぶ。外装缶11は、幅Wが厚さTよりも大きい、扁平形状を有している。
【0017】
外装缶11は、高さ方向に垂直な側面の一方が開口した缶体111と、缶体111の開口を覆うトップカバー112とを含んでいる。端子12は、トップカバー112に形成されている。端子12の幅方向に沿った寸法をw、厚さ方向に沿った寸法をtと呼ぶ。端子12の寸法wは通常、外装缶11の幅Wよりも小さい。端子12の寸法tは通常、外装缶11の厚さTよりも小さい。
【0018】
外装缶11は、例えばアルミニウム合金で形成されている。端子12は、例えばニッケルメッキされた銅で形成されている。
【0019】
電極体13は、図示しない電解液とともに、外装缶11に収納されている。詳しい構成は図示していないが、電極体13は、正極電極と、負極電極と、セパレータとを含んでいる。正極電極と負極電極とは、セパレータを間に挟んで、交互に積層されている。電極体13は例えば、帯状の電極を巻回した電極巻回体、または短冊状の電極を積層した電極積層体である。
【0020】
正極電極は外装缶11に電気的に接続され、負極電極は端子12に電気的に接続されている。外装缶11と端子12とは、電気的に絶縁されている。この構成によれば、端子12は負極端子として機能し、外装缶11は正極端子として機能する。
【0021】
素電池10の製造方法は特に限定されないが、一例を示せば次のとおりである。正極電極、負極電極、およびセパレータを準備する。これらを巻回または積層し、電極体13を作製する。電極体13を缶体111に収納する。正極電極を缶体111またはトップカバー112に接続し、負極電極を端子12に接続する。缶体111とトップカバー112とを溶接する。外装缶11の注液口(不図視)から電解液を充填する。なお、電解液の充填は、素電池10を電池トレイに収納する工程(ステップS2)の後に実施してもよい。
【0022】
次に、端子12を上方にして素電池10を電池トレイに収納する(ステップS2)。
【0023】
図3は、本実施形態に用いられる電池トレイの一例である電池トレイ20の概略構成を示す斜視図である。
図4は、
図3のIV−IV線に沿った断面図である。電池トレイ20は、第1部材21、第2部材22、および第3部材23を備えている。
【0024】
第1部材21は、概略直方体の形状を有している。第1部材21には、複数の収納部211が、縦横に規則的に形成されている。説明の便宜のため、収納部211の整列方向の一方をx方向、他方をy方向と呼ぶ。また、鉛直方向をz方向と呼ぶ。
【0025】
収納部211の各々は、
図4に示すように、端子12を上方にして素電池10を収納できるように構成されている。具体的には、収納部211の各々は、平面視(xy面視)において、素電池10の外形とほぼ同じ寸法を有している。
【0026】
素電池10は、初回充電工程(ステップS3)において、わずかに膨張する。そのため、第1部材21と素電池10との間には、クリアランスが設けられている。したがって、収納部211の各々はより正確には、平面視において、素電池10の外形よりも少しだけ大きな寸法を有している。
【0027】
第2部材22は、シート状の形状を有している。第2部材22は、第1部材21と第3部材23との間に配置される。第2部材22には、複数の貫通口221が、x方向およびy方向に沿って規則的に形成されている。
【0028】
第3部材23は、周面に沿って枠体が形成された箱形の形状を有している。第3部材23には、複数の貫通口231が、x方向およびy方向に沿って規則的に形成されている。
【0029】
第1部材21および第3部材23は例えば、樹脂の成形品である。第2部材22は例えば、ガラス繊維などで構成された耐熱シートである。
【0030】
第3部材23は、枠体の内側に第1部材21および第2部材22を収納できるように構成されている。この構成によって、第1部材21、第2部材22、および第3部材23の位置合わせが行われる。具体的には、第1部材21、第2部材22、および第3部材23は、平面視(xy面視)において、収納部211の中心、貫通口221の中心、および貫通口231の中心が一致するように配置される。
【0031】
次に、電池トレイ20に収納した素電池10を充電する(初回充電工程、ステップS3)。これによって、電極体13(
図2)と電解液とが反応し、電極体13の表面に不動態膜が形成される。この工程では、素電池10を満充電する必要はなく、素電池10の容量の10〜80%程度まで充電すればよい。このとき電解液の一部が分解するので、必要に応じて脱ガスおよび電解液の補充を実施してもよい。
【0032】
図5および
図6は、初回充電工程(ステップS3)を説明するための図であって、電池トレイ20の模式的断面図である。複数の素電池10は、電池トレイ20に収納された状態で、充電設備に装入される。充電設備は、複数のプローブ30、40を備えている。図に示すように、複数のプローブ30の各々は、素電池10の上方に配置されている。複数のプローブ40の各々は、素電池10の下方に配置されている。
【0033】
図5の状態から、プローブ30を下降させ、プローブ40を上昇させる。プローブ30は、素電池10の端子12に接触する。プローブ40は、第2部材22の貫通口221(
図4)および第3部材23の貫通口231(
図4)を通って、素電池10の外装缶11に接触する。プローブ40をさらに上昇させ、
図6に示すように、素電池10を電池トレイ20から持ち上げる。
【0034】
図6の状態で、プローブ30および40に電流を流し、素電池10を充電する。
【0035】
充電終了後、プローブ30を上昇させ、プローブ40を下降させる。これによって、素電池10とプローブ30、40との電気的な接続が解除される。その後、所定時間、素電池10の開回路特性を測定する。加速試験のため、素電池10を高温環境に保持してもよい。所定時間経過後、容量の減少量が既定値以内の素電池10を選別し、2次充電工程(ステップS4)に進む。
【0036】
選別した素電池10を所定の容量まで充電する(2次充電工程、ステップS4)。この工程は、素電池10を初回充電工程(ステップS3)と同じ電池トレイに収納して実施してもよいし、他の電池トレイに移し替えて実施してもよい。所定の容量まで充電するのに代えて、一旦満充電した後に所定量だけ放電させることで容量を調整してもよい。
【0037】
[プローブ30の構成]
図7は、初回充電工程(ステップS3)で用いられるプローブ30の概略構成を示す斜視図である。プローブ30は、接触子31、プランジャ32、およびバレル33を備えている。接触子31、プランジャ32、およびバレル33は、いずれも導電性の材料、例えば銅合金で形成されている。
【0038】
接触子31は、プランジャ32の一方の端部に形成されている。プランジャ32の他方の端部は、バレル33に挿入されている。接触子31が素電池10に当接すると、プランジャ32がバレル33の内部へ押し込まれる。バレル33の内部には、図示しないスプリングが配置されている。この構成によれば、接触子31と素電池10との接触面圧が、スプリングの応力によって一定に保たれる。
【0039】
接触子31は、プランジャ32の軸方向と垂直な面内において、
図7に示す第1方向に伸びた形状を有している。接触子31は、より具体的には、平面視において、短辺が円弧状に形成された長方形の形状を有している。第1方向に沿った接触子31の寸法Lは、外装缶11の厚さ方向に沿った端子12の寸法t(
図2)以上である。
【0040】
なお、接触子31には、素電池10と接する側の面に複数の尖端が形成されている。この構成によれば、尖端が端子12の表面の酸化皮膜を貫通し、接触抵抗を安定化させることができる。また、複数の尖端を形成することにより、応力を分散させ、端子12に傷がつくのを抑制することができる。
【0041】
[第1の実施形態の効果]
本実施形態によれば、電池トレイ20(
図3)を用いることで、複数の素電池10を一度に充電することができる。また、素電池10の寸法に合わせて第1部材21(
図3)を交換することで、寸法の異なる他品種の素電池10の生産を効率的に管理することができる。
【0042】
本実施形態の効果を説明するため、仮想的な比較例について説明する。
図8は、比較例の初回充電工程における素電池10の斜視図である。この比較例では、プローブ30に代えて、プローブ90を用いて素電池10を充電する。プローブ90は、接触子31に代えて、平面視で円形状を有する接触子91を備えている。接触子91の外径φは、端子12の寸法tよりも小さい。
【0043】
上述のとおり、収納部211の各々は、素電池10の外形よりも少しだけ大きな寸法を有している。そのため、素電池10が設計上の位置からわずかにずれる場合がある。このとき、平面視(xy平面視)において、端子12の中心とプローブ90の中心とがずれる場合がある。これによって、端子12の寸法tが小さい場合、プローブ90と端子12とが接触しなくなる場合がある。また、プローブ90と端子12とが一旦接触しても、プローブ90から加わる荷重の重心が端子12の外側にあると、プローブ90がずれてプローブ90と端子12とが接触しなくなる場合がある。この場合、素電池10を充電することができなくなる。
【0044】
図9および
図10は、本実施形態の初回充電工程(ステップS3)における素電池10の斜視図である。本実施形態では、プローブ30は第1方向に伸びた形状を有し、第1方向に沿った寸法Lは、端子12の寸法t以上である。この構成によれば、端子12の中心とプローブ30の中心とが多少ずれていても、端子12とプローブ30とを接触させることができる。また、端子12とプローブ30とが接する面積を大きくできるため、プローブ30から加わる荷重の重心を端子12の内側にしやすい。そのため、プローブ30を安定して端子12に接触させることができる。
【0045】
以上、本発明の第1の実施形態にかかる電池の製造方法を説明した。プローブ30の第1方向と素電池10の幅方向とは、直交していることが好ましい。しかし、プローブ30の第1方向と素電池10の幅方向とが交差していれば本実施形態の効果が得られる。
【0046】
端子12とプローブ30とを接触させるという観点では、端子12の寸法tは、大きい方が好ましい。端子12の寸法tは、好ましくは、外装缶11の厚さTの半分以上である。
【0047】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態にかかる電池の製造方法は、第1の実施形態と比較して、初回充電工程(ステップS3)で用いる充電設備の構成が異なる。
図11は、第2の実施形態の初回充電工程における素電池10の斜視図である。本実施形態では、プローブ30は、平面視(xy平面視)において、素電池10の中心とずれた位置に配置されている。プローブ30は、具体的には、素電池10の幅方向の中心から、素電池10の幅方向に沿って距離dだけ離れた位置に配置されている。
【0048】
充電設備の構成や工場のレイアウトによっては、
図11のように、プローブ30を素電池10の中心から離れた位置に配置しなければならない場合がある。この場合、素電池10の並進移動(xy面内での移動)による位置ずれに加え、電池10の回転(z軸まわりの回転)による位置ずれが生じる。距離dが大きくなるほど、回転による位置ずれの影響が大きくなる。
【0049】
本実施形態においても、プローブ30は第1方向に伸びた形状を有し、第1方向に沿った寸法Lは、端子12の寸法t以上である。この構成によれば、素電池10の回転によって端子12の位置がずれても、端子12とプローブ30とを安定して接触させることができる。
【0050】
図11のようにプローブ30が素電池10の中心から離れて配置されている場合、収納部211のクリアランスに起因する位置ずれに加えて、以下に説明するように、収納部211の配列に起因する位置ずれが生じる。
【0051】
図12は、収納部211の配列の一例を示す平面図である。
図12では、プローブ30が端子12に接触する位置を黒点で模式的に示している。プローブ30同士の間隔をpとした場合において、素電池10の幅がW1(p≦W1<2
1/2×p)のとき、幅方向がプローブ30の整列方向(x方向またはy方向)に対してatan(1)=45°をなすように素電池10を配置するのが最も効率がよい。このとき、素電池10と厚さ方向に隣接する素電池10との間隔は、p(sin(atan(1))=p/(1+1
2)
1/2=p/2
1/2となる。換言すれば、
図12の配列の場合、幅が2
1/2×p未満、厚さがp/2
1/2未満の素電池10を収納することができる。
【0052】
図13は、収納部211の配列の他の例を示す平面図である。素電池10の幅がW2(2
1/2×p≦W2<5
1/2×p)の場合、プローブ30の整列方向(x方向またはy方向)に対してatan(2)≒63.43°をなすように素電池10を配置するのが最も効率がよい。この場合、素電池10と厚さ方向に隣接する素電池10との間隔は、p(sin(atan(2))/2=p/(1+2
2)
1/2=p/5
1/2となる。換言すれば、
図13の配列の場合、幅が2
1/2×p未満、厚さがp/2
1/2未満の素電池10を収納することができる。
【0053】
したがって、幅W1の素電池10と幅W2の素電池10とを同一の充電設備を用いて製造する場合、製造する電池の寸法に応じて、
図12のように収納部211が配列された電池トレイと、
図13のように収納部211が配列された電池トレイとを、交換しながら製造することになる。
【0054】
しかし、
図12の配列と
図13の配列との間では、素電池10の幅方向の向きが、Δθ=atan(2)−atan(1)だけ回転する。そのため、
図12の配列のときにプローブ30が端子12に接触するように設計された充電設備では、
図13の配列のとき、距離dおよび寸法tの値によっては、プローブ30と端子12とが接触しなくなったり、接触が不安定になったりする場合がある。
【0055】
図14は、端子12がΔθ=atan(2)−atan(1)だけ回転した場合に、プローブ30の位置がずれる量を模式的に示す平面図である。この図に示すように、プローブ30の位置は、d×tan(Δθ)だけずれる。tan(θ
2−θ
1)={tan(θ
2)−tan(θ
1)}/(1+tan(θ
2)×tan(θ
1)}より、d×tan(Δθ)=d/3である。
【0056】
したがって、プローブ30の寸法L(
図11)がd/3以上であれば、
図12の配列および
図13の配列の両方で、プローブ30と端子12とを接触させることができる。したがって、寸法Lは、好ましくはd/3以上である。
【0057】
なお図示は省略するが、素電池10の幅がW3(5
1/2×p≦W3<10
1/2×p)の場合、プローブ30の整列方向(x方向またはy方向)に対してatan(3)≒63.43°をなすように素電池10を配置するのが最も効率がよい。この場合、
図12の配列との角度差は、Δθ=atan(3)−atan(1)となる。したがって、寸法Lがd×tan(Δθ)=d/2以上であれば、幅W1の素電池10と幅W3の素電池10とを同一の充電設備で製造しても、プローブ30と端子12とを接触させることができる。したがって、寸法Lは、より好ましくはd/2以上である。
【0058】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態にかかる電池の製造方法は、第2の実施形態と比較して、初回充電工程(ステップS3)で用いる電池トレイの構成が異なる。
図15は、第3の実施形態の初回充電工程に用いる電池トレイ50の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ50は、第1部材51と、第2部材52とを備えている。第1部材51および第2部材52は、例えば樹脂で形成されている。
【0059】
第1部材51は、概略板状形状である。第2部材52は、直方体の周縁部が壁に囲まれた形状である。第1部材51は、第2部材52に嵌合するように形成されている。
【0060】
第1部材51には、複数の開口部511が、縦横に規則的に形成されている。開口部511のそれぞれは、第1部材51を貫通している。第2部材52には、複数の収納部521が、複数の開口部521のそれぞれと連続するように形成されている。
【0061】
図16は、開口部511の一つを抜き出して示す平面図である。
図17は、
図16のXVII−XVII線に沿った断面図である。
【0062】
開口部511は、開口部511の内部の点である点C1に対して平面視において互いに対称に形成された第1規制壁511Aおよび第2規制壁511Bを含んでいる。開口部511は、第1部材51を貫通している。
【0063】
図18は、収納部521の一つを抜き出して示す平面図である。
図19は、
図18のXVIX−XVIX線に沿った断面図である。
図20は、
図18のXX−XX線に沿った断面を示す斜視図である。収納部521は、収納部521の内部の点である点C2に対して平面視において互いに対称に形成された第1載置部521Aおよび第2載置部521Bを含んでいる。第1載置部521Aと第2載置部521Bとの間隔は、第1部材51側(開口部511側)に向かうにつれて広がっている。収納部521の底部には、点C2の位置に、第2部材52を貫通する貫通口522が形成されている。
【0064】
上述のように、第1部材51は、第2部材52に嵌合するように形成されている。この構成によって、第1部材51と第2部材52との位置合わせが行われる。具体的には、電池トレイ50は、第1規制壁511Aおよび第2規制壁511Bの対称中心C1と、第1載置部521Aおよび第2載置
部521Bの対称中心C2とが、平面視において一致するように形成されている。
【0065】
図21は、素電池10を開口部511から収納部521(
図22)に収納した状態を示す平面図である。
図22は、
図21のA−A線およびB−B線に沿った断面図である。
【0066】
図21に示すように、第1規制壁511Aは、素電池10の幅方向の一方側において、素電池10の厚さ方向の一方側の点P1において素電池10と接している。第2規制壁511Bは、素電池10の幅方向の他方側において、素電池10の厚さ方向の他方側の点P2において素電池10と接している。
【0067】
図21および22に示すように、第1載置部521Aは、素電池10の幅方向の一方側において、素電池10の厚さ方向の他方側の点P3において素電池10と接している。第2載置部521Bは、素電池10の幅方向の他方側において、素電池10の厚さ方向の一方側の点P4において素電池10と接している。
【0068】
このように、第1規制壁511A、第2規制壁511B、第1載置部521A、および第2載置部521Bが、素電池10と4点において接しているため、電池トレイ50は、素電池10を安定して保持することができる。
【0069】
図23〜
図25を参照して、電池トレイ50の設計の一例を示す。
図23は、電池トレイ50に、厚さT=5mm、幅W=45,55,65,75mmの4種類の素電池10を収納した場合を示す平面図である。
図24は、
図23のXXIV−XXIV線に沿った断面図である。
図23および
図24では、4種類の素電池10を収納した状態を重ね合わせて、二点鎖線で模式的に図示している。
【0070】
図25は、電池トレイ50に、厚さT=5mm、幅W=45,50,55,60,65,70,75の7種類の素電池10を収容した場合の、素電池10のz方向の変位Δh、および角度ψの値を示す表である。変位Δhは、
図24に示すように、幅W=45mmの素電池10の底面を基準高さとしたときの、素電池10の底面と基準高さとの差である。変位Δhは、第1載置部521Aおよび第2載置部521Bの傾斜角度αを45°として計算した。αは45°以外の角度であってもよい。角度ψは、素電池10の幅方向とx方向とのなす角度である。
【0071】
このように、電池トレイ50の構成によれば、幅の異なる多品種の電池を収納することができる。素電池10は、その幅に応じて所定の角度だけ回転して電池トレイ50に収納される。
図25の例では、素電池10は最大でΔψ=6.60°だけ回転する。
【0072】
電池トレイ50の構成によれば、第1規制壁511Aと第2規制壁511Bとが点対称に形成され、第1載置部521Aと第2載置部521Bとが点対称に形成されている。この構成によれば、素電池10の幅が変わっても、素電池10の平面視における中心の位置を一定にすることができる。そのため、プローブ30(
図11)の位置が平面視において素電池10の中心と一致している場合は、素電池10が回転しても、プローブ30と端子12とを接触させることができる。
【0073】
一方、プローブ30が平面視において素電池10の中心からずれた位置に配置されている場合、素電池10の回転量によっては、プローブ30と端子12とが接触しなくなったり、接触が不安定になったりする場合がある。
【0074】
本実施形態においても、プローブ30は第1方向に伸びた形状を有し、第1方向に沿った寸法Lは、端子12の寸法t以上である。この構成によれば、素電池10の回転によって端子12の位置がずれても、回転量が小さければ、端子12とプローブ30とを安定して接触させることができる。
【0075】
平面視において、プローブ30と素電池10の中心との間の距離をd(
図11参照)とした場合、プローブ30の寸法Lは、d×tan(Δψ)以上であることが好ましい。これによって、電池トレイ50に収納できるすべての寸法の素電池10において、端子12とプローブ30とを安定して接触させることができる。
【0076】
[その他の実施形態]
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0077】
上記で説明した素電池10、電池トレイ20、50、およびプローブ30、40の構成は例示にすぎず、種々のものを用いることができる。
【0078】
素電池は、幅が厚さよりも大きい扁平形状の電池であって、高さ方向に垂直な側面の少なくとも一方に端子が形成されていればよい。上記の実施形態では、端子12が負極電極に電気的に接続され、外装缶11が正極電極に電気的に接続された構成を説明した。しかし、素電池10は、端子12が正極電極に電気的に接続され、外装缶11が負極電極に電気的に接続されているものでもよい。また、素電池10は、正極端子および負極端子の双方を備え、外装缶11は正極電極および負極電極の両方から電気的に絶縁されている構成としてもよい。
【0079】
上記の実施形態では、端子12が、外装缶11の幅方向の中央に形成されている場合を説明した。しかし、端子12は、プローブ30に接する位置に形成されていればよく、外装缶11の幅方向の片側寄りに形成されていてもよい。
【0080】
電池トレイは、端子が上方になるように素電池を収納できるものであればよい。上記の実施形態では、電池トレイ20が、第1部材21、第2部材22、および第3部材33の3つの部材から構成されている場合を説明した。しかし、第1部材21、第2部材22、および第3部材33は、一体的に形成されていてもよい。同様に、電池トレイ50の第1部材51と第2部材52とは、一体的に形成されていてもよい。
【0081】
端子と接するプローブは、平面視で一方向(第1方向)に伸びた形状を有し、第1方向に沿った寸法が、外装缶の厚さ方向に沿った端子の寸法以上であればよい。
図7では、プローブ30の接触子31が、平面視で概略長方形の形状を有する場合を説明した。しかし、接触子31は、例えば平面視で楕円形状であってもよい。
【0082】
以上から、本発明の一実施形態にかかる電池の製造方法の要旨は、次のとおりである。電池の製造方法は、幅方向の寸法が厚さ方向の寸法よりも大きい扁平形状の外装缶と、外装缶の高さ方向に垂直な側面に形成された端子とを含む素電池を準備する工程と、端子が上方になるように素電池を電池トレイに収納する工程と、端子にプローブを接触させ、プローブに電流を流して素電池を充電する工程とを備える。プローブは平面視において、第1方向に伸びた形状を有し、第1方向に沿ったプローブの寸法は、外装缶の厚さ方向に沿った端子の寸法以上である。
【0083】
上記の構成によれば、プローブは第1方向に伸びた形状を有し、第1方向に沿った寸法は、外装缶の厚さ方向に沿った端子の寸法以上である。この構成によれば、端子の中心とプローブの中心とが平面視において多少ずれていても、端子とプローブとを接触させることができる。また、端子とプローブとが接する面積を大きくできるため、プローブから加わる荷重の重心を端子の内側にしやすい。そのため、プローブを安定して端子に接触させることができる。
【0084】
平面視において、プローブは、素電池の中心とずれた位置で端子と接してもよい。
【0085】
好ましくは、平面視において、プローブが端子に接する位置と素電池の中心との間の距離をdとし、第1方向に沿ったプローブの寸法は、d/3以上である。
【0086】
電池トレイは、開口部と、開口部の下方に配置された収納部とを備え、開口部は、平面視において点対称に形成された第1および第2規制壁を含み、収納部は、平面視において点対称に形成された第1および第2
載置部を含み、第1および第2規制壁の対称中心と、第1および第2
載置部の対称中心とは、平面視において一致しており、第1
載置部と第2
載置部との間隔は、開口部に向かうにつれて広がっており、第1規制壁は、素電池の幅方向の一方側である第1幅方向側において、素電池の厚さ方向の一方側である第1厚さ方向側で素電池と接し、第2規制壁は、第1幅方側の反対側である第2幅方向側において、第1厚さ方向側の反対側である第2厚さ方向側で素電池と接し、第1
載置部は、第1幅方向側において、第2厚さ方向側で素電池と接し、第2
載置部は、第2幅方向側において、第1厚さ方向側で素電池と接する構成としてもよい。