特許第6681202号(P6681202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6681202ドアチェック装置及びドアチェック装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681202
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】ドアチェック装置及びドアチェック装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/22 20060101AFI20200406BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   E05C17/22 A
   B60J5/04 K
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-11687(P2016-11687)
(22)【出願日】2016年1月25日
(65)【公開番号】特開2017-133173(P2017-133173A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390024040
【氏名又は名称】株式会社エフ.イー.シーチェーン
(74)【代理人】
【識別番号】100085187
【弁理士】
【氏名又は名称】井島 藤治
(72)【発明者】
【氏名】門西 良太
(72)【発明者】
【氏名】北岡 慎也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正太郎
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−252282(JP,A)
【文献】 特開平2−253912(JP,A)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0301155(KR,Y1)
【文献】 特開2001−317259(JP,A)
【文献】 特開平8−309775(JP,A)
【文献】 特開2017−197946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 17/22
E05B 1/00−85/28
B60J 5/00− 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部側に穴が形成され、この穴を用いてボデー側に回転可能に取り付けられたアームであって、その回転中心軸方向における厚みを長手方向にわたって変化させることにより、係止用凹部が形成されたアームと、
ドア側に設けられ、前記アームが挿通し、前記係止用凹部に係脱可能なチェック機構と、
該チェック装置を挿通した前記アームに設けられ、前記アームの前記チェック装置からの抜け止めを行う抜け止め部材と、
を有するドアチェック装置において、
前記アームは、芯材と、該芯材の表面に形成された樹脂層とからなり、
前記抜け止め部材が設けられる側と反対側の前記アームの樹脂層に形成され、前記アームの幅方向において他の前記樹脂層の部分より幅が狭く、前記芯材が外部に露出する幅狭部,前記抜け止め部材が設けられる側と反対側で、前記アームの前記樹脂層が形成された前記芯材に形成され、前記アームの幅方向において他の前記芯材の部分より幅が広く、前記芯材が外部に露出する幅広部のうち、少なくともどちらか一方が形成され、
前記一方の端部側の前記穴の内壁面は樹脂で覆われている
ことを特徴とするドアチェック装置。
【請求項2】
前記幅狭部、前記幅広部は、前記アームの回転半径方向において前記チェック機構が当接する範囲以外の箇所に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のドアチェック装置。
【請求項3】
前記樹脂層には、前記アームの回転軸方向に沿い、底が前記芯材の表面となる位置決め穴が形成され、
前記幅狭部、前記幅広部は、前記アームの回転半径方向において、前記位置決め穴と異なる位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のドアチェック装置。
【請求項4】
一方の端部側に内壁面が樹脂で覆われている穴が形成され、この穴を用いてボデー側に回転可能に取り付けられたアームであって、その回転中心軸方向における厚みを長手方向にわたって変化させることにより、係止用凹部が形成されたアームと、
ドア側に設けられ、前記アームが挿通し、前記係止用凹部に係脱可能なチェック機構と、
該チェック装置を挿通した前記アームに設けられ、前記アームの前記チェック装置からの抜け止めを行う抜け止め部材と、
を有するドアチェック装置の製造方法において、
前記アームは、芯材と、該芯材の表面に射出成形法で形成された樹脂層とからなり、
前記芯材を金型にセットする際に、前記抜け止め部材が設けられる側と反対側のアームの前記樹脂層が形成される前記芯材部分の幅方向の位置決めは、前記芯材の側部を前記金型に当接させることで行う
ことを特徴とするドアチェック装置の製造方法。
【請求項5】
前記芯材の幅方向の位置決め箇所は、
前記アームの回転半径方向において前記チェック機構が当接する範囲以外の箇所である
ことを特徴とする請求項4記載のドアチェック装置の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂層には、前記アームの回転軸方向に沿い、底が前記芯材の表面となる位置決め穴が形成され、
前記芯材の幅方向の位置決め箇所は、前記アームの回転半径方向において、前記位置決め穴と異なる位置に形成する
ことを特徴とする請求項4または5に記載のドアチェック装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一方の端部側がボデー側に回転可能に取り付けられたアームであって、その回転中心軸方向における厚みを長手方向にわたって変化させることにより、係止用凹部が形成されたアームと、ドア側に設けられ、前記アームの前記係止用凹部に係脱可能なチェック機構と、を有するドアチェック装置及びドアチェック装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13図15を用いて、従来のドアチェック装置のアームを説明する。図13はアームの平面図、図14図13の切断線XIV−XIVでの切断部端面図、図15図13のアームの製造方法を説明する図である。
ドアチェック装置のアーム1は、図13図14に示すように、金属の板材でなる芯材3と芯材3の表面に射出成型により形成された樹脂層5とからなっている。
【0003】
そして、アーム1の一方の端部側には、貫通した穴1aが形成され、この穴1aを中心にボデー側に回転可能に取り付けられる。
アーム1には、穴1aの中心(回転中心軸)方向における樹脂層5の厚みを長手方向にわたって変化させることにより、1つまたは複数の係止用凹部1bが形成されている。
【0004】
さらに、アーム1には、位置決め用の貫通した穴1cが形成されている。この穴1cは、芯材3の穴3aと、樹脂層5の穴5aとからなっている。
次に、図15を用いてアーム1の製造方法を詳細に説明する。
芯材1に樹脂層5を形成するには、金型10を構成する上型11と下型13との間の空間に芯材3を位置決め保持する必要がある。芯材3の樹脂層5が形成されない他方の端部側は、芯材3に上型11と、下型13とが当接し、上下方向(アーム1の回転中心軸方向)およびアーム1の回転半径方向、アーム1の幅方向の位置決めがなされる
一方、樹脂層5で覆われるアーム1の一方の端部側は、位置決めピンを用いて上下およびアーム1の回転半径方向、アーム1の幅方向の位置決めを行っている。即ち、上型11と下型13とに、芯材3の穴3aに係合し、芯材3を位置決めする位置決めピン15と位置決めピン17とを設けている。
【0005】
位置決めピン17は芯材3の穴3aに嵌合する小径部17aと、穴3aの芯材3の下面側の開口の周縁に当接する大径部17bとからなっている。位置決めピン15は、先端面がアーム1の芯材3の上面に当接すると共に、この先端面に位置決めピン17の小径部17aが嵌合する穴15aが形成されている。
【0006】
位置決めピン17と、芯材3の穴aを挿通する位置決めピン17とで、芯材3のアーム1の回転半径方向、アーム1の幅方向、アーム1の厚さ方向の位置決めがなされる。
また、穴1aを形成するために、上型11,下型13には、回転軸ピン19,21が設けられる。
【0007】
そして、金型10の空隙内に熱可塑性樹脂が押し込まれ、樹脂層5が成形される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−317259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されたドアチェック装置のアーム1においては、芯材3に位置決めピン17の小径部17aが嵌合する穴3aを設けている。
この穴3aによる芯材3の剛性低下(穴を基点とする亀裂の発生)を防ぐために、芯材3の厚さや幅を大きくしたり、芯材3の材料を高強度な材料にしたりする必要があり、コストがかかる問題点がある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、低コストのドアチェック装置及びドアチェック装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したドアチェック装置は、一方の端部側に穴が形成され、この穴を用いてボデー側に回転可能に取り付けられたアームであって、その回転中心軸方向における厚みを長手方向にわたって変化させることにより、係止用凹部が形成されたアームと、ドア側に設けられ、前記アームが挿通し、前記係止用凹部に係脱可能なチェック機構と、該チェック装置を挿通した前記アームに設けられ、前記アームの前記チェック装置からの抜け止めを行う抜け止め部材と、を有するドアチェック装置において、前記アームは、芯材と、該芯材の表面に形成された樹脂層とからなり、前記抜け止め部材が設けられる側と反対側の前記アームの樹脂層に形成され、前記アームの幅方向において他の前記樹脂層の部分より幅が狭く、前記芯材が外部に露出する幅狭部,前記抜け止め部材が設けられる側と反対側で、前記アームの前記樹脂層が形成された前記芯材に形成され、前記アームの幅方向において他の前記芯材の部分より幅が広く、前記芯材が外部に露出する幅広部のうち、少なくともどちらか一方が形成され、前記一方の端部側の前記穴の内壁面は樹脂で覆われていることを特徴とする。
【0012】
上述した課題のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したドアチェック装置の製造方法は、一方の端部側に内壁面が樹脂で覆われている穴が形成され、この穴を用いてボデー側に回転可能に取り付けられたアームであって、その回転中心軸方向における厚みを長手方向にわたって変化させることにより、係止用凹部が形成されたアームと、ドア側に設けられ、前記アームが挿通し、前記係止用凹部に係脱可能なチェック機構と、該チェック装置を挿通した前記アームに設けられ、前記アームの前記チェック装置からの抜け止めを行う抜け止め部材と、を有するドアチェック装置の製造方法において、前記アームは、芯材と、該芯材の表面に射出成形法で形成された樹脂層とからなり、前記芯材を金型にセットする際に、前記抜け止め部材が設けられる側と反対側のアームの前記樹脂層が形成される前記芯材部分の幅方向の位置決めは、前記芯材の側部を前記金型に当接させることで行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の特徴は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明のドアチェック装置によれば、前記アームは、芯材と、該芯材の表面に形成された樹脂層とからなり、前記抜け止め部材が設けられる側と反対側の前記アームの樹脂層に形成され、前記アームの幅方向において他の前記樹脂層の部分より幅が狭く、前記芯材が外部に露出する幅狭部,前記抜け止め部材が設けられる側と反対側で、前記アームの前記樹脂層が形成された前記芯材に形成され、前記アームの幅方向において他の前記芯材の部分より幅が広く、前記芯材が外部に露出する幅広部のうち、少なくともどちらか一方が形成され、前記一方の端部側の前記穴の内壁面は樹脂で覆われていることにより、アームの芯材の側部を金型に当接させ、金型内で芯材の位置決めができる。よって、芯材に位置決め用の穴を設けることが不要となり、穴による芯材の剛性低下を防ぐために、芯材の厚さや幅を大きくしたり、芯材の材料を高強度なものにしたりする必要がなくなり、低コストとなる。
【0015】
本発明のドアチェック装置の製造方法によれば、前記アームは、芯材と、該芯材の表面に射出成形法で形成された樹脂層とからなり、前記芯材を金型にセットする際に、前記抜け止め部材が設けられる側と反対側のアームの前記樹脂層が形成される前記芯材部分の幅方向の位置決めは、前記芯材の側部を前記金型に当接させることで行うことにより、芯材に位置決め用の穴を設けることが不要となり、穴による芯材の剛性低下を防ぐために、芯材の厚さや幅を大きくしたり、芯材の材料を高強度なものにしたりする必要がなくなり、低コストとなる。
【0016】
本発明の他の効果は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のドアチェック装置の斜視図である。
図2図1中の主要部の分解斜視図である。
図3図1のアームの平面図である。
図4図3の正面図である。
図5図3の切断線V−Vでの切断部端面図である。
図6図3の切断線VI−VIでの切断部端面図である。
図7図3の切断線VII−VIIでの切断部端面図である。
図8図3の芯材の平面図である。
図9図1のアームを製造する方法を説明する図である。
図10】第2実施形態のドアチェック装置のアームの平面図
図11図10の切断線XI−XIでの切断部端面図、
図12図10の芯材の平面図である。
図13】ドアチェック装置の従来のアームの平面図である。
図14図13の切断線XIV−XIVでの切断部端面図である。
図15図13のアームの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
図面を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態のドアチェック装置の斜視図、図2図1中の主要部の分解斜視図、図3図1のアームの平面図、図4図3の正面図、図5図3の切断線V−Vでの切断部端面図、図6図3の切断線VI−VIでの切断部端面図、図7図3の切断線VII−VIIでの切断部端面図、図8図3の芯材の平面図、図9図1のアームを製造する方法を説明する図である。
【0019】
最初に、図1図2を用いて、ドアチェック装置の全体構成を説明する。
これらの図において、ボデーブラケット51は車体側に取り付けられ、ケース52がドア側に取り付けられる。このケース52には、中央に有底凹部52cが形成され、有底凹部52cの両側に、ドア側に取り付けられるベース部52bが設けられている。又、有底凹部52cの底壁には、この有底凹部52c内にアーム53が貫通配置されるための穴52aが穿設されている。尚、このケース52はプレス成形により生産される。
【0020】
ここで、アーム53の説明を行う。本実施形態のアーム53は、図3図4に示すように、一方の端部側に穴53aが、他方の端部側には穴53bが形成されている。
そして、図1に示すように、アーム53の穴53aを挿通し、ボデーブラケット51に取り付けられるヒンジピン58を用いて、アーム53はボデーに対して可能に取り付けられている。
【0021】
図3図7に示すように、アーム53は、金属からなる芯材61と、アーム53の美観を向上させると共に摺動抵抗を減らすために芯材61を覆う樹脂層71とからなっている。
そして、回転中心軸方向(ヒンジピン58の軸方向)における樹脂層71の厚みを長手方向にわたって変化させることにより、アーム53の上面、下面に、アーム53の一方の端部側から順に凸部53d、第1係止用凹部53c、凸部53d、第2係止用凹部53eが形成されている。
【0022】
図1に示すようにアーム53の他方の端部側は、ケース52の有底凹部52cの穴52aより突出し、穴53bに取り付けられた抜け止め部材としてのスプリングピン55により、ケース52の有底凹部52cからの抜け止めがなされている。
チェック機構の説明を行う。図1図2に示すように、ケース52の有底凹部52c内には、アーム53の回転中心軸方向から摺接部81a,83aでもってアーム53を挟むように、同一形状の第1及び第2のシュー81、83が対向配置されている。そして、ケース52の有底凹部52c内で且つ第1及び第2のシュー81、83の背面側の空間には、それぞれ、第1及び第2のシュー81,83をアーム53側に付勢する第1及び第2の付勢部材として、クッション85、87が配置されている。
【0023】
ケース52の有底凹部52cの開口52eは、金属製のカバー89で覆われている。このカバー89には、ケース52の有底凹部52cの穴52aと対向する位置に、アーム53が挿通される穴89aが形成されている。
ここで、上記構成のドアチェック装置の作動を説明する。まず、ドアが閉まっている状態から、ドアを開方向に移動すると、この開方向の移動に伴って、ケース52がアーム53に対して移動する。これにより、シュー81,83の摺接部81a、83aがアーム53の凸部53dを乗り越え、第1係止用凹部53cに係合する。この位置がドアの半開位置で、ドアの開閉が一旦規制される。
【0024】
更に、ドアを開方向に移動させると、シュー81、83の摺接部81a、83aがアーム53の次の凸部53dを乗り越え、第2の係止用凹部53eに係合する。この位置がドアの全開位置で、この全開位置では、有底凹部52cがスプリングピン55に当接しており、ドアはそれ以上の開放を禁止される。
【0025】
この全開位置からドアを閉方向に移動させると、シュー81,83の摺接部81a、83bがアーム53の凸部53dを開方向の場合と逆方向に乗り越えながら進み、半開位置を経由して、全閉位置に戻ることになる。
ここで、アーム53の詳細な説明を行う。
【0026】
図8に示すように、アーム53の芯材61には、アーム53の穴53a、穴53bと対向する穴61a、穴61bが形成されている。
次に、図9を用いて上記構成のアーム53の製造方法を説明する。
金型120を構成する上型121と下型123との間の空間に芯材61を保持し、金型120内の空隙内に熱可塑性樹脂を押し込むと、樹脂層71が形成される。
【0027】
ここで、芯材61を上型121と下型123との間の空隙に位置決め保持する構成を説明する。本実施形態では、上型121に設けられるピン131と、下型123に設けられるピン133とで、また、上型121に設けられるピン135と、下型123に設けられるピン137とで芯材61の位置決め保持を行っている。
【0028】
具体的に説明すると、下型123に設けられるピン133は芯材61の穴61bに嵌合する小径部133aと、芯材61の穴61bの下面側の開口の周縁に当接する大径部133bとからなっている。上型121に設けられるピン131は、先端面が芯材61の上面に当接すると共に、この先端面に位置決めピン133の小径部133aが嵌合する穴131aが形成されている。そして、ピン131、ピン133で、樹脂層71に、芯材61の穴61bより大きな径の穴71aが形成される。
【0029】
また、下型123に設けられるピン137は先端面が芯材61の下面に、上型121に設けられるピン135は先端面が芯材61の上面に、それぞれ当接する。そしてピン135、ピン137で、樹脂層71に底が芯材61の表面となる穴71bが形成される。
さらに、図8に示すように、下型123には、芯材61の一方の側部に当接する凸部123aと、芯材61の他方の側部に当接する凸部123bとが形成されている。
【0030】
ここで、図1において、アーム53の回転中心軸方向(アーム53の厚さ方向)をz軸、アーム53の回転半径方向をx軸、x軸,z軸と直交する方向(アーム53の幅方向)をy軸とする。
そして、金型120に設けられたピン131と、ピン133とで、芯材61の他方の端部側でのx軸(アーム53の回転半径方向)、y軸(アーム53の幅方向)、Z軸方向(アーム53の厚さ方向)の位置決めがなされ、金型120に設けられたピン135と、ピン137とで、芯材61の一方の端部側でのz軸方向(アーム53の厚さ方向)の位置決めがなされ、さらに、金型10の下型123に設けられた凸部123aと、凸部123bとで、芯材61の一方の端部側でのy軸(アーム53の幅方向)の位置決めがなされる。
【0031】
よってこれらの位置決め機構で、芯材61のx軸方向(アーム53の回転半径方向)の移動、芯材61のy軸方向(アーム53の幅方向)の移動、芯材61のz軸方向(アーム53の厚さ方向)の移動がそれぞれ禁止されると共に、ピン133を中心とする芯材61の回転も禁止され、芯材61の金型120内での位置決め保持がなされる。
【0032】
また、下型123には、芯材61の穴61aの径より小さな径で、穴61aに嵌合する
凸部123dが、上型121には凸部123dと径が同じに設定され、凸部123dの頂
面に当接する凸部121dがそれぞれ形成され、この凸部123d、凸部121dにより
アーム53に内壁面が樹脂で覆われた穴53aが形成される。
【0033】
尚、本実施形態では、下型123に形成する凸部123aと、凸部123bとは、x軸方向(アーム53の回転半径方向)の位置において、芯材61のアーム53の厚さ方向の位置決めを行う穴71bと異なる位置に形成されている。
このような構成の金型120で、樹脂層71を形成すると、下型123の凸部123aと、凸部123bとで、アーム53の樹脂層71に、アーム53の幅方向において、他の部分より幅が狭い第1幅狭部53fと、第2幅狭部53gとが形成される(図3参照)。
【0034】
また、本実施形態では、第1幅狭部53fと、第2幅狭部53gとは、アーム53の回転半径方向においてチェック機構が当接する範囲(図3図4で範囲Wの範囲)以外の箇所に形成した。さらに、図6に示すように、見映え向上のために、下型123の凸部123a、凸部123bは、第1幅狭部53f、第2幅狭部53gが芯材61の上面には形成されないような形状とした。
【0035】
上記構成のドアチェック装置では、以下のような効果が得られる。
(1) アーム53の樹脂層71にアーム53の幅方向において、他の部分より幅が狭い第1幅狭部53fを形成する金型120の下型123の凸部123aは芯材61の一方の側部に当接し、第2幅狭部53gを形成する下型123の凸部123bは芯材61の他方の側部に当接し、芯材61のアーム53の幅方向の位置決めができる。よって、芯材61に位置決め用の穴を設けることが不要となり、穴による芯材61の剛性低下を防ぐために、芯材61の厚さや幅を大きくしたり、芯材61の材料を高強度なものにしたりする必要がなくなり、低コストとなる。
(2) 樹脂層71に形成される第1幅狭部53fと第2幅狭部53gとは、アーム53の回転半径方向においてチェック機構が当接する範囲(図3図4で範囲Wの範囲)以外の箇所に形成したことにより、成形時の樹脂の流れがよくなり、樹脂層71の範囲Wで形成されるアーム53の凸部53d、第1係止用凹部53c、第2係止用凹部53eの成形性が向上する。
【0036】
(3) 下型123に形成する凸部123aと、凸部123bとは、x軸方向(アーム53の回転半径方向)の位置において、芯材61のアーム53の厚さ方向の位置決めを行う穴71bと異なる位置に形成されている。即ち、下型123の凸部123a、凸部123bで形成される第1幅狭部53f、第2幅狭部53gは、x軸方向(アーム53の回転半径方向)の位置において、芯材61のアーム53の厚さ方向の位置決めを行う穴71bと異なる位置に形成されている。よって、成形時の樹脂の流れがよくなり、樹脂層71の範囲Wで形成されるアーム53の凸部53d、第1係止用凹部53c、第2係止用凹部53eの成形性が向上する。
【0037】
(4) 下型123に形成する凸部123aと、凸部123bとは、x軸方向(アーム53の回転半径方向)の位置が異なるように設定したことにより、成形時の樹脂の流れがよくなり、樹脂層71の成形不良がなくなる。
<第2実施形態>
図面を用いて、本発明の第2実施形態を説明する。図10は第2実施形態のドアチェック装置のアームの平面図、図11図10の切断線XI−XIでの切断部端面図、図12図10の芯材の平面図である。
【0038】
本実施形態と、第1実施形態との相違点は、芯材と、金型の下型との形状であり、他の部分は同じであるので、同一部分には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
芯材61の一方の側部には、側方に突出する凸部61hが、他方の側部には、側方に突出する凸部61iが形成されている。
【0039】
そして、本実施形態では、凸部61hと、凸部61iとは、x軸方向(アーム53の回転半径方向)の位置が同じとなるように設定されている。よって、凸部61hと、凸部61iとにより、芯材61に、アーム53の幅方向において、アーム53の外部に露出し、他の部分より幅が広い幅広部WAが形成されている。
【0040】
上記構成のドアチェック装置では、以下のような効果が得られる。
(1) アーム53の芯材61に、アーム53の幅方向において、他の部分より幅が広い幅広部WAを形成したことにより、アーム53の芯材61の側部を金型(下型123)に当接させ、芯材61のアーム53の幅方向の位置決めができる。よって、芯材61に位置決め用の穴を設けることが不要となり、穴による芯材61の剛性低下を防ぐために、芯材61の厚さや幅を大きくしたり、芯材61の材料を高強度なものにしたりする必要がなくなり、低コストとなる。
【0041】
尚、本発明は、上記実施形態に限定するものではない。例えば、以下のような変形も可能である。
第1実施形態では、アーム53の樹脂層71の両側に幅狭部を形成して、芯材61のアーム53の幅方向の位置決めを行った。また、第2実施形態では、芯材61の両側に幅広部WAを形成し、芯材61のアーム53の幅方向の位置決めを行った。しかし、これに限定するのではなく、アーム53の一方の側部に幅狭部を形成し、アーム53の他方の側部に幅広部を形成するようにしてもよい。また、アーム53の一方の側部に幅広部と幅狭部とを形成してもよい。
【0042】
また、第2実施形態では、凸部61hと、凸部61iとは、x軸方向(アーム53の回転半径方向)の位置が同じとなるように設定したが、異なる位置としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
53 アーム
61 芯材
71 樹脂層
図1
図2
図3
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