特許第6681208号(P6681208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681208
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】ガス調理器の点火装置及びガス調理器
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/26 20060101AFI20200406BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20200406BHJP
   F24C 3/02 20060101ALI20200406BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   F23N5/26 W
   F23N1/00 102D
   F24C3/02 H
   F24C3/12 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-18172(P2016-18172)
(22)【出願日】2016年2月2日
(65)【公開番号】特開2017-138036(P2017-138036A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】栗山 辰夫
【審査官】 吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−327705(JP,A)
【文献】 実開昭60−018377(JP,U)
【文献】 実開昭57−077670(JP,U)
【文献】 特開昭57−043125(JP,A)
【文献】 実開昭60−169476(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/26
F23N 1/00
F24C 3/02
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路を内設し、ガス調理器内への固定用のフレームを備えた装置本体と、
前記フレームとの間に設けられたコイルバネによって前記装置本体からの突出位置へ付勢され、前記装置本体内への押し込み操作によって前記ガス流路に設けられたマグネット電磁弁を強制的に開弁させる点火操作軸と、
前記点火操作軸の回転操作によって前記ガス流路の開度を調整可能な閉子と、
消火位置に対応する前記点火操作軸の回転位置の手前の回転位置で、前記点火操作軸の回転操作にクリック作用を生じさせるノッチ機構と、
を含んでなるガス調理器の点火装置であって、
前記ノッチ機構が、前記点火操作軸と一体回転可能且つ前記点火操作軸の軸方向へ前後移動可能なノッチ板と、
前記ノッチ板を前記フレーム側へ押圧する弾性部材と、
前記ノッチ板と前記フレームとの何れか一方へ設けられる係止部と、
前記ノッチ板と前記フレームとの何れか他方へ設けられ、前記手前の回転位置で前記係止部が係止する被係止部と、を含んでなり、
前記ノッチ板は、前記フレームよりも前記点火操作軸の押し込み方向前方側に設けられており、前記点火操作軸は、押し込み操作の際に前記ノッチ板と係合して前記弾性部材の付勢に抗して前記ノッチ板を前記フレームから離間させる係合部を備え、
前記フレームには、前記コイルバネを受けるバネ受けが取り付けられて、前記係合部は、前記バネ受けに当接して前記点火操作軸の突出を規制する係合ピンであることを特徴とするガス調理器の点火装置。
【請求項2】
バーナへの燃料ガスの供給路に、請求項に記載の点火装置が備えられてなるガス調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナを燃焼させて加熱調理するコンロやグリル等のガス調理器に用いられる点火装置と、当該点火装置を備えたガス調理器とに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス調理器の点火装置は、特許文献1に開示されるように、装置本体への押し込み操作によってガス供給路に設けられたマグネット電磁弁を強制的に開弁させる点火操作軸と、バーナ点火後の点火操作軸の回転操作によってガス供給路の開度を調整可能な閉子(コック)と、点火操作軸の操作と連係してON/OFF動作する点火スイッチと、点火スイッチのON動作によってマグネット電磁弁へ通電させ、点火スイッチのOFF動作によってマグネット電磁弁への通電を停止させるコントローラとを備えた構成が知られている。
すなわち、点火操作時には点火操作軸に設けた点火ツマミを押し込んでマグネット電磁弁を開弁させ、そのまま点火ツマミを回転させると、点火操作軸と一体の閉子が回転してガス供給路からの燃料ガスをバーナへ供給し、点火操作軸に設けたカムが点火スイッチをON動作させる。すると、コントローラがイグナイタを動作させてバーナに点火させると共に、マグネット電磁弁に通電させて開弁保持させる。一方、消火操作時には、点火ツマミを消火側へ回転させると、カムが点火スイッチをOFF動作させる。よって、コントローラがマグネット電磁弁への通電を停止して閉弁させ、ガスの供給を遮断するものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−327705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような回転式コックの点火装置において、点火後の火力の調整は、点火ツマミを回転操作し、点火操作軸を介して閉子を回転させてガス供給路の流路面積を変更することで可能となっているが、火力を小さくする際、点火ツマミを消火側へ回し過ぎることで偶発的に消火させてしまうおそれがある。このような火力の絞り過ぎを防止するために、点火ツマミの消火位置の手前の回転位置でクリック作用を生じさせるノッチ機構が設けられるが、このノッチ機構は、点火装置を保持するフレーム側に、ピン等のクリック部材と、クリック部材を付勢する板バネ等の弾性部材とを設け、点火操作軸側に、手前の回転位置でクリック部材が弾性係止するノッチ板を設ける等して構成する必要があり、部品点数が多くなってコストアップに繋がる。
【0005】
そこで、本発明は、火力の絞り過ぎを未然に防ぐノッチ機構を、部品点数の少ない低コストな構成で具備することができるガス調理器の点火装置と、当該点火装置を備えたガス調理器とを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガス流路を内設し、ガス調理器内への固定用のフレームを備えた装置本体と、フレームとの間に設けられたコイルバネによって装置本体からの突出位置へ付勢され、装置本体内への押し込み操作によってガス流路に設けられたマグネット電磁弁を強制的に開弁させる点火操作軸と、点火操作軸の回転操作によってガス流路の開度を調整可能な閉子と、消火位置に対応する点火操作軸の回転位置の手前の回転位置で、点火操作軸の回転操作にクリック作用を生じさせるノッチ機構と、を含んでなるガス調理器の点火装置であって、
ノッチ機構が、点火操作軸と一体回転可能且つ点火操作軸の軸方向へ前後移動可能なノッチ板と、ノッチ板をフレーム側へ押圧する弾性部材と、ノッチ板とフレームとの何れか一方へ設けられる係止部と、ノッチ板とフレームとの何れか他方へ設けられ、手前の回転位置で係止部が係止する被係止部と、を含んでなり、
ノッチ板は、フレームよりも点火操作軸の押し込み方向前方側に設けられており、点火操作軸は、押し込み操作の際にノッチ板と係合して弾性部材の付勢に抗してノッチ板をフレームから離間させる係合部を備え、
フレームには、コイルバネを受けるバネ受けが取り付けられて、係合部は、バネ受けに当接して点火操作軸の突出を規制する係合ピンであることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、ガス調理器であって、バーナへの燃料ガスの供給路に、請求項に記載の点火装置が備えられてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及びに記載の発明によれば、火力の絞り過ぎを未然に防ぐノッチ機構を、係止部又は被係止部を設けたノッチ板と、弾性部材と、フレームに設けた被係止部又は係止部とで形成することができる。つまり、ノッチ機構に係る部材としてはノッチ板と弾性部材との2部材となるため、部品点数の少ない低コストな構成でノッチ機構を具備可能となる。
また、点火時の押し回し操作にノッチ板が干渉することがなく、余計なクリック作用が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】テーブルコンロの説明図である。
図2】消火位置の点火装置の説明図で、(A)が側面、(B)が正面をそれぞれ示す。
図3】消火位置の点火装置の縦断面図である。
図4】消火位置から点火ツマミを押し込んだ状態の説明図で、(A)が一部断面、(B)が正面をそれぞれ示す。
図5】点火ツマミを点火位置へ回転させた状態の説明図で、(A)が一部断面、(B)が正面をそれぞれ示す。
図6】点火位置で点火ツマミの押し込みを解除した状態の説明図で、(A)が一部断面、(B)が正面をそれぞれ示す。
図7】点火ツマミを弱火位置へ回転させた状態の説明図で、(A)が一部断面、(B)が正面をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ガス調理器としてのテーブルコンロの一例を示す説明図である。このテーブルコンロ1は、前面パネル3を備える器体2に、コンロバーナを有する図示しないコンロ部を有し、ガスバーナへのガス供給路の上流側に、器体2内で前面パネル3の後方に設置される点火装置4と、点火装置4の操作によってコンロバーナを制御するコントローラ5とを備えてなる。コントローラ5は、図示しない乾電池から電源を得て作動するもので、このコントローラ5には、点火装置4に設けられた後述するマグネット電磁弁12、点火スイッチ34、イグナイタスイッチ37がそれぞれ電気的に接続されると共に、点火放電用のイグナイタ6や、炎検出用の熱電対及び過熱検出用のサーミスタ(何れも図示略)等も電気的に接続されている。
【0010】
この点火装置4は、図2,3にも示すように、器体2内でフレーム7を介して前端(図1の右側を前方とする。)が固定される筒状の装置本体8を有し、装置本体8には、上流側に図示しないガス管が接続されて燃料ガスが供給されるガス入口9と、下流側に設けられてコンロバーナ側へのガス流路が接続されるガス出口10とが形成されて、装置本体8内に、ガス入口9とガス出口10とが連通するガス流路11を形成している。また、装置本体8の後端には、ガス入口9際でガス流路11を開閉する弁体13を備えたマグネット電磁弁12が配置されている。
【0011】
さらに、ガス流路11内には、ガス出口10際でガス流路11の開度を調整するテーパ筒状の閉子14と、その閉子14に係合して一体回転させるスピンドル15とが設けられている。装置本体8内の前部でフレーム7には、筒状のホルダ16が、スピンドル15と同軸で固定されて、ホルダ16内に、横断面が二面幅となる点火操作軸17が、軸方向へ前後移動可能且つ回転可能に保持されて、ホルダ16を貫通させた後端をスピンドル15と同軸で連結している。この点火操作軸17は、閉子14の前部に形成した嵌合孔18内に設けられたコイルバネ19によってスピンドル15と共に前進位置に付勢されており、この前進位置では、マグネット電磁弁12は突出付勢される弁体13によってガス流路11を閉弁する。点火操作軸17が後方へ押し込まれると、後退したスピンドル15がマグネット電磁弁12の弁体13を押し込んで強制的に開弁させる。点火操作軸17の後端は、後退位置で嵌合孔18に嵌合し、回転方向で閉子14と一体化される。
【0012】
フレーム7の前方で点火操作軸17には、図2(B)に示すように、消火位置の正面視で点火操作軸17の右下側に扇状のカム部21を直交状に突設し、点火操作軸17の左側に板状のアーム22を直交状に突設してなる連動板20が、後側で点火操作軸17へ直交状に設けた止めピン23と、前側に設けたEリング24とによって一体回転可能に取り付けられている。アーム22の先端上側には、斜め後向きに押圧片25が突設されている。
また、連動板20の後面に突設された前側バネ受け部26と、フレーム7の前面に取り付けられた後側バネ受け27との間で点火操作軸17には、コイルバネ28が外装されて、点火操作軸17を前方へ付勢している。但し、点火操作軸17において、後側バネ受け27の後方には、係合部としての係合ピン29が設けられており、点火操作軸17は、係合ピン29が後側バネ受け27に当接する位置で前進が規制される。この前進位置は、スピンドル15の前進位置に対応している。コイルバネ28の前端は、アーム22に係止され、後端はフレーム7の前面に係止されて、点火操作軸17を図2(B)で右回転方向へ回転付勢している。
【0013】
さらに、ホルダ16内で点火操作軸17には、ノッチ板30が一体回転可能且つ軸方向へ前後移動可能に外装され、このノッチ板30が、弾性部材としてのコイルバネ31によりフレーム7に当接する前進位置に付勢されて、ノッチ機構を構成している。ノッチ板30の前面で外周寄りの偏心位置には、係止部として、前端外周に丸みを帯びた円形状の係止突起32が前向きに突設されており、フレーム7における点火操作軸17の貫通孔7aの内縁には、ノッチ板30の所定の回転位置で係止突起32が係止する被係止部としての切欠き33が形成されている。この所定の回転位置は、後述する点火操作軸17の消火位置の手前の回転位置(弱火位置)である。但し、点火操作軸17が後方へ押し込まれると、一体に後退した係合ピン29がノッチ板30と係止して、ノッチ板30をコイルバネ31の付勢に抗してフレーム7の後方へ離間させるようになっている。
【0014】
34は、点火用のマイクロスイッチ(以下「点火スイッチ」という。)で、この点火スイッチ34は、フレーム7の正面視左上側で、作動片35を前後方向にして、山形の接触部36が、消火位置での連動板20のアーム22の押圧片25と干渉して作動片35が押し込まれるように斜め縦向きに取り付けられている。また、37は、イグナイタ作動用のマイクロスイッチ(以下「イグナイタスイッチ」という。)で、このイグナイタスイッチ37は、フレーム7の正面視右下側で、作動片38を前側にして山形の接触部39が、消火位置での連動板20のカム部21の後方上側に位置するように縦向きに取り付けられている。
【0015】
以上の如く構成されたテーブルコンロ1における点火装置4の点消火動作を、図4〜7の点火操作軸17の前後位置及び連動板20の回転位置を示す説明図に基づいて詳述する。
まず、点火操作軸17の消火位置では、点火操作軸17は図2,3に示す前進位置にあって、連動板20のカム部21は、イグナイタスイッチ37の接触部39の前方下側に位置し、アーム22の押圧片25が点火スイッチ34の作動片35の接触部36に当接して作動片35を押し込んでいる(このときの点火スイッチ34はOFFである)。また、ノッチ板30は、コイルバネ31によりフレーム7に押圧されているが、ここでは係止突起32が切欠き33と一致する位相ではないので、係止突起32はフレーム7の後面に当接している。
【0016】
ここから点火操作軸17の前端に設けた点火ツマミ40を押し込むと、図4に示すように、点火操作軸17が後退してスピンドル15を介してマグネット電磁弁12を強制的に開弁させると共に、同時に後退した連動板20のアーム22の押圧片25が点火スイッチ34の接触部36から後方へ離れて作動片35を突出位置へ復帰させ、点火スイッチ34をONさせる。よって、コントローラ5がマグネット電磁弁12へ通電させて開弁保持させ、ガス流路11からコンロバーナへ燃料ガスを供給させる。このとき連動板20のカム部21は、イグナイタスイッチ37の作動片38へ接近するにとどまり、作動片38を押し込むには至らない。ノッチ板30は、点火操作軸17と共に後退した係合ピン29によってコイルバネ31の付勢に抗して後方へ押し込まれ、フレーム7から離間する。
【0017】
次に、点火ツマミ40を押し込んだまま左回転させると、図5に示すように、連動板20が点火操作軸17と一体に左回転し、連動板20が略90°左回転した位置で、カム部21がイグナイタスイッチ37の接触部39に当接して作動片38を押し込む。よって、イグナイタスイッチ37がONしてこのON信号を得たコントローラ5がイグナイタ6を所定時間作動させてコンロバーナを点火させる。点火スイッチ34のON状態は変わらないためマグネット電磁弁12への通電は維持されている。このときノッチ板30は、点火操作軸17と共に回転するが、係合ピン29による後方への押し込み位置は変わらないため、係止突起32がフレーム7と干渉することはない。
【0018】
ここで点火ツマミ40の押し込みを解除すると、図6に示すように、コイルバネ28の付勢によって点火操作軸17が前進位置へ復帰する。同時に連動板20も前進してイグナイタスイッチ37の作動片38から離れるため、イグナイタスイッチ37はOFFとなってイグナイタ6の作動は停止する。コントローラ5が熱電対から得られる起電力によってコンロバーナの点火を確認すると、そのままマグネット電磁弁12への通電が維持されるため、点火ツマミ40の押し込みを解除しても燃焼は継続する。このときスピンドル15を介して点火操作軸17と共に回転した閉子14により、ガス流路11は全開となるので、コンロバーナは強火で燃焼する。ノッチ板30は、係合ピン29の前進に伴いコイルバネ31の付勢によって前進するが、ここでも係止突起32が切欠き33と一致する位相でないため、係止突起32がフレーム7の後面に当接する位置で前進が規制される。
【0019】
この強火位置から火力を絞る場合、点火ツマミ40を消火位置側へ右回転させると、閉子14が絞られてガス流路11の開度が小さくなってコンロバーナの火力が絞られる。そして、消火位置の手前の弱火位置では、図7に示すように、点火操作軸17と共に回転したノッチ板30が、係止突起32が切欠き33に一致する位相に達すると、コイルバネ31の付勢により前進して係止突起32を切欠き33に係止させる。よって、ここでクリック作用が生じ、ユーザは当該位置で点火ツマミ40の回転操作を止めることができ、火力の絞り過ぎによる消火を防止可能となる。
なお、コンロバーナが失火すると、コンロバーナの燃焼を熱電対の起電力で監視していたコントローラ5がこれを検知してマグネット電磁弁12への通電を停止するため、マグネット電磁弁12が閉弁してガス流路11が閉塞される。
【0020】
そして、コンロバーナを消火する際、点火ツマミ40を消火位置まで右回転させると、点火操作軸17を介して回転した閉子14がガス流路11を閉塞すると共に、点火操作軸17と共に回転した連動板20が、アーム22の押圧片25を点火スイッチ34の接触部36に当接させて作動片35を押し込む。よって、点火スイッチ34がOFFしてこれを検知したコントローラ5がマグネット電磁弁12への通電を停止させてガス流路11を閉弁させ、コンロバーナを消火させる。なお、点火操作軸17の消火位置への回転に伴い、ノッチ板30も、前端外周に丸みを帯びた係止突起32を切欠き33から大きな抵抗なく離脱させて、コイルバネ31の付勢に抗し後退して回転し、図2,3の回転位置へ復帰する。
【0021】
このように、上記形態の点火装置4及びテーブルコンロ1によれば、ノッチ機構を、点火操作軸17と一体回転可能且つ点火操作軸17の軸方向へ前後移動可能なノッチ板30と、ノッチ板30をフレーム7側へ押圧する弾性部材(コイルバネ31)と、ノッチ板30へ設けられる係止突起32と、フレーム7へ設けられ、消火位置の手前の回転位置で係止突起32が係止する切欠き33と、を含んでなる構成としたことで、火力の絞り過ぎを未然に防ぐノッチ機構を、係止突起32を設けたノッチ板30と、コイルバネ31と、フレーム7に直接設けた切欠き33とで形成することができる。つまり、ノッチ機構に係る部材としてはノッチ板30とコイルバネ31との2部材となるため、部品点数の少ない低コストな構成でノッチ機構を具備可能となる。
【0022】
特にここでは、点火操作軸17に、押し込み操作の際にノッチ板30と係合してコイルバネ31の付勢に抗してノッチ板30をフレーム7から離間させる係合ピン29を設けたことで、点火時の押し回し操作にノッチ板30が干渉することがなく、余計なクリック作用が生じることがない。
【0023】
なお、係止部としての係止突起は、円形状に限らず、周方向の両面が傾斜面となる三角形や台形の突起としたりすることもできる。被係止部も切欠きでなく凹部や透孔とする等、係止部の形状に合わせて適宜変更可能である。
また、上記形態ではノッチ板に係止部を、フレームに被係止部をそれぞれ設けているが、これを逆にして、フレームに係止突起等の係止部を、ノッチ板に切欠き等の被係止部をそれぞれ設けても差し支えない。
さらに、弾性部材もコイルバネに限らず、皿バネや板バネ等も採用可能であるし、係合部も別体のピンでなく、点火操作軸に切り起こし等で一体形成することもできる。
【0024】
一方、点火スイッチやイグナイタスイッチの位置や形状、連動板の形状、装置本体のガス流路の構造等も上記形態に限定するものではなく、適宜設計変更可能である。
そして、本発明の点火装置は、テーブルコンロに限らず、ビルトインコンロやグリル等の他のガス調理器にも採用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1・・テーブルコンロ、2・・器体、4・・点火装置、5・・コントローラ、7・・フレーム、7a・・貫通孔、8・・装置本体、9・・ガス入口、10・・ガス出口、11・・ガス流路、12・・マグネット電磁弁、14・・閉子、15・・スピンドル、17・・点火操作軸、19,28,31・・コイルバネ、20・・連動板、21・・カム部、22・・アーム、29・・係合ピン、30・・ノッチ板、32・・係止突起、33・・切欠き、34・・点火スイッチ、37・・イグナイタスイッチ、40・・点火ツマミ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7