(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記混合筐体(15)の高さおよび前記交換筐体(16)の高さの累積全高H’2が、200から800mmの間に含まれる、請求項1または2のいずれかに記載の装置。
前記分配プレート(12)の下に配置された流体の分散系を含み、前記分散系が、少なくとも1つの流体分散手段(19)を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
前記混合筐体(15)が、前記混合筐体(15)の内壁(単数または複数)の少なくとも1つ以上に少なくとも1つの偏向手段を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
分配プレート(12)に最も近い、混合筐体(15)(単数または複数)および/または交換筐体(16)(単数または複数)が、20から150mmの間に含まれる、前記分配プレート(12)からの距離「d」に位置している、請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
請求項1から14のいずれか1項に記載の、流体を混合および分配するための装置を含む触媒反応器であって、中間領域によって分離された少なくとも2つの固定触媒床(2、14)を有する筐体(1)を含む、下降流を有する触媒反応器。
【背景技術】
【0002】
例えば、精製においておよび/または石油化学において実施される発熱反応は、実施される触媒反応器の熱暴走を避けるために、クエンチ流体と呼ばれるさらなる流体によって冷却されることを必要とする。これらの反応のために使用される触媒反応器は、一般に、少なくとも1種の固体触媒床を含む。反応の発熱性は、反応器中に含有される触媒床中のホットスポットの存在を避けるために反応器内の均質な温度勾配の維持を必要とする。熱過ぎる領域は、触媒の活性を早く低下させる、および/または、非選択的反応をもたらす、および/または、熱暴走をもたらす、といった恐れがある。したがって、反応器中に、2つの触媒床の間に位置している少なくとも1つの混合チャンバーを有することが重要であり、これが、反応器の区分にわたる流体の均質な温度勾配および所望の温度への反応流体の冷却を可能にする。
【0003】
この均質化を実施するために、当業者は、複雑であることが多い内部の特定の配置を使用することが必要であることが多い。これは、反応器の区分へのクエンチ流体の最も均質な可能な導入を含む。
例えば、特許文献1には、クエンチ流体(単数または複数)とプロセス流体(単数または複数)間の効率的な交換を確実にすることを可能にするクエンチ装置が記載されている。この装置は、筐体中に組み込まれており、クエンチ流体注入パイプと、流体を集めるための整流装置と、クエンチ流体と下降流の間の混合を操作する適切なクエンチボックスと、有孔トレイと分配プレートからなる分配系と、を含む。クエンチボックスは、前記筐体の軸に対して実質的に非放射状であり、非平行な方向の流体の渦運動を確実にするデフレクターと、反応流体の流通方向でデフレクターの下流に、ボックス中で形成される流体の混合物の少なくとも1つの出口通過区分とを含む。この装置は、先行技術の種々の系の特定の欠点を克服することを可能にするが依然として大きな空間要求を有する。
【0004】
空間要求の問題を克服するために、下降流を有する反応器において流体を混合するための装置が開発され、特許文献2に記載されている。この装置は、流体を受け取るための垂直収集ラインが提供された水平収集手段と、収集ライン中に置かれた注入手段と、流体の流通の方向で収集手段の下流に位置する円形横断面を有する環状混合チャンバーとを含む。混合チャンバーは、収集ラインに接続された注入口端と、流体の通過を可能にする出口端と、ならびに少なくとも1つの煙突状の柱を含む水平プレ分配プレートとを含む。この装置の利点は、先に記載されたものよりもコンパクトであることであり、流体の良好な混合および良好な温度均質性を確実にすることを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、触媒反応器中に置かれる場合に、小さい空間要求を有する、流体の混合装置および分配装置を提案することである。本発明の別の目的は、流体を混合するための良好な効率を有し、良好な温度均質性および良好な分配を有する、混合および分配装置を提案することである。
【0007】
本出願人は、特に、下降流を有する反応器中の、流体の混合および分配に専用の空間を大幅に低減することを可能にする、流体を混合および分配するための組み合わせた装置を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の主題は、下降流を有する触媒反応器のための流体を混合および分配するための装置に関し、前記装置は
−少なくとも1つの収集手段を含む少なくとも1つの収集領域(A)と、
−前記収集手段によって集められた反応流体を受け取るのに適した少なくとも1つの実質的に垂直な収集ラインおよびクエンチ流体を注入するために前記収集ラインに通じる少なくとも1つの注入手段と、
−流体の流通の方向で前記収集ラインの下流に位置し、前記収集ラインと連絡する少なくとも1つの混合領域(B)であって、流体を混合するための少なくとも1つの混合筐体を含む前記混合領域(B)と、
−流体の流通の方向で前記混合領域(B)の下流に位置し、複数の煙突状の柱を支持する分配プレートを含む、少なくとも1つの分配領域(C)と
を含み、
前記混合領域(B)が分配領域(C)と同一レベルに位置し、かつ、流体を交換するための少なくとも1つの交換筐体も含み、前記交換筐体は前記混合筐体に接続しており、かつ、連絡していて、前記交換筐体が、前記交換筐体から前記分配領域(C)への流体の通過に適した少なくとも1つの側方通過区分を含むことを特徴とする。
【0009】
前記混合筐体が、前記交換筐体の上に位置していることが有利である。
【0010】
前記混合筐体の高さ、および前記交換筐体の高さの累積全高H’2は、200から800mmの間に含まれることが好ましい。
【0011】
前記交換筐体の幅Wは、200から800mmの間に含まれることが有利である。
【0012】
前記混合筐体のおよび/または前記交換筐体の断面は、平行四辺形であることが好ましい。
【0013】
前記交換筐体と前記混合筐体の間の容量比が、5から60%の間に含まれることが好ましい。
【0014】
前記側方通過区分は、少なくとも2つの高さ(レベル)にわたって分布していることが有利である。
【0015】
前記混合筐体および前記交換筐体が、単一品をなすことが有利である。
【0016】
本発明の装置は、前記分配プレートの下に配置された流体分散系を含み、前記分散系は、少なくとも1つの流体分散手段を含むことが好ましい。
【0017】
前記流体分散手段は、格子であり、前記格子の軸は、反応器の筐体の縦軸に対して垂直であることが有利である。
【0018】
前記混合筐体は、2つの交換筐体の間に位置付けられることが好ましい。
【0019】
前記混合筐体は、前記混合筐体の内壁(単数または複数)の少なくとも1つに少なくとも1つの偏向手段を含むことが好ましい。
【0020】
前記交換筐体は、前記交換領域から分配プレートへの流体の通過に適した複数の水平通過区分を含むことが有利である。
【0021】
分配プレートに最も近い、混合筐体(単数または複数)および/または交換筐体(単数または複数)が、20から150mmの間に含まれる前記分配プレートからの距離「d」に位置していることが好ましい。
【0022】
本発明の別の主題は、本発明の流体の混合および分配のための装置を含む中間領域によって分離された、少なくとも2つの固定された触媒床を有する筐体を含む、下降流を有する触媒反応器に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の小型混合および分配装置は、水素化処理、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化分解、水素化、水素化脱酸素など、または同様に水素化脱芳香族反応といった発熱反応が実施される反応器において使用される。一般に、反応器は、実質的に垂直な軸に沿って伸長される形状を有する。少なくとも1種の反応流体(「プロセス流体」とも呼ばれる)は、少なくとも1種の触媒固定床を通って前記反応器の頂部から底部に流通している。最後を除いて各床の出口で、反応流体が収集され、次いで、前記装置中でクエンチ流体と混合され、その後、分配プレートの下流に位置する触媒床に分配されることが有利である。下流および上流は、反応流体の流れの方向に関して規定される。反応流体は、気体または液体または液体および気体を含有する混合物であり得、これは、反応器において実施される反応の種類に応じて変わる。
【0025】
本発明をより理解するために、適用の例として本明細書において以下に示される説明は、水素化処理反応に適した反応器において使用される混合および分配装置に関する。
図1の説明は、先行技術の混合および分配装置に関し、
図2〜5の説明は、本発明の混合および分配装置に関する。
図2〜5は、
図1の特定の要素を保持し、
図1のものと同一である
図2〜5中の参照記号は、同一要素を示す。もちろん、任意の反応器または装置において、良好な材料または熱混合および流体の良好な分配を得ることが望ましい任意の分野において、本発明の範囲を超えずに本発明の装置を使用できる。
【0026】
図1は、少なくとも1種の反応流体が、2つの触媒床2および14を通って頂部から底に流通される、実質的に垂直な軸に沿って伸長される形状を有する反応器1中に配置された先行技術の混合および分配装置を示す。反応流体は、気体(または気体混合物)または液体(または液体混合物)または液体および気体を含有する混合物であり得る。混合および分配装置は、筐体1中の反応流体の流れに関して、触媒床2の下に配置される。支持格子3は、後者の下に収集空間(A)(収集領域とも呼ばれる)を開放するような方法で触媒床2を支持することを可能にする。収集空間(A)の高さH1は、通常、10から300mmの間である。この収集空間または収集領域(A)は、収集手段5のレベルの触媒床2から由来する流れを収集することを可能にする。整流装置とも呼ばれる収集手段5は、環状混合チャンバー9への流体の流れを流し出すために位置6でのみ開く固体プレートである。床2から由来する反応流体は、かくして収集領域(A)中に入るよう強いられ、開口部6と連絡する垂直収集ライン7を通過する。クエンチ流体が、注入ライン8によって収集ライン7中に注入される。クエンチ流体は、液体または気体または、液体もしくは気体を含有する混合物であり得る。前記環状チャンバー9は、その注入口端によって、収集ライン7と接続される。したがって、クエンチ流体および上部床2から由来する反応流体は、前記環状チャンバー9に入るよう強制され、ここで、それらは、環流を受けながら混合する。流体の混合物は、前記チャンバーの出口で、流体の流通の方向で、環状混合チャンバー9の下流に位置するプレ分配プレート11の上を流れる。通常、収集手段5とプレ分配プレート11の間で測定される高さH2(
図1を参照のこと)は、300から600mmの間に含まれる。環状混合チャンバー9は、反応器の周辺部に位置付けられる。混合物の気相および液相は、気体の通過を可能にするよう構成された1つ以上の中央の煙突状の柱4が提供されている有孔プレート11上で分離される。液体は、シャワーヘッドまたは雨型の流れを形成するようプレートの穿孔を通って通過する。有孔プレート11の役割は、比較的均衡のとれた方法で分配プレート12に供給するために環状混合チャンバー9を出る流れを分配することであり、前記分配プレート12は、流体の流通の方向でプレ分配プレートの下流に位置付けられる。通常、プレ分配プレート11と分配プレート12の間ので測定される高さH3(
図1を参照のこと)は、100から700mmの間に含まれる。分配プレート12は、煙突状の柱13を含み、その役割は、気相および液相をこの分配プレートの下流に位置する触媒床14の注入口で再分配することである。
【0027】
したがって、先行技術の混合および分配装置は、積み重ね状に上下に位置付けられた混合領域および分配領域を含む。流体の混合は、高さH2にわたって実施され、流体の分配は、高さH3にわたって実施される。結果として、先行技術の混合および分配装置の筐体1中の総空間要求Hは、H1+H2+H3に等しい(
図1を参照のこと)。
【0028】
本出願人は、これまでに記載されたものよりも小型であり、流体の良好な混合および前記装置の下に位置する触媒床にわたる良好な分配を有する、流体の混合および分配のための新規装置を開発した。
【0029】
図2、3aおよび3bを参照して、本発明の混合および分配装置を、実質的に垂直な軸に沿って伸長される形状を有する反応器1中に配置でき、ここでは、少なくとも1種の反応流体が、少なくとも1つの触媒床2を通って頂部から底部に流通される。本発明の装置は、筐体1中の反応流体の流れに関して触媒床2の下に配置される。支持格子3は、触媒床2の下に配置された収集領域(A)を自由にする(free)ような方法で触媒床2を支持することを可能にする。収集領域(A)は、反応流体が収集ライン7に流れ出ることを可能にするために必要である(
図3aおよび3bを参照のこと)。流れる反応流体は、例えば、気相および液相からなる。より詳しくは、上流の触媒床2を通過する反応流体は、混合領域(B)と呼ばれる領域のレベルで収集領域(A)の下に(
図3bに示されるように)、または収集領域(A)のレベルで(図には示されていない)配置される、実質的に垂直な収集ライン7につながる実質的に水平な収集手段5(収集整流装置とも呼ばれる)によって集められる。実質的に垂直なおよび実質的に水平なとは、本発明の意味内で、±5°の間に含まれる角度αによって、それぞれ垂直、水平を有する面の変動を意味する。収集手段5(
図2を参照のこと)は、触媒床2の支持格子3の下の筐体の縦軸に対して垂直な面に配置される固体プレートによって構成される。収集手段5のプレートは、反応器1の全表面にわたって半径方向に延びる。それは、その末端の一方に開口部6を含み(
図3aおよび3bを参照のこと)、それに、前記収集ライン7が接続される。収集手段5は、上流の触媒床2から由来する反応流体の流れを収集することおよびこの流れを前記収集ライン7に向けることを可能にする。収集手段5は、触媒床2の支持格子3から高さH’1だけ離れている(
図2)。高さH’1は、触媒床2から流れる流体の収集の間の圧力降下を制限するよう、またクリアランス高、すなわち、収集手段5中に蓄積された液体によって形成される高さを制限するよう選択される。クリアランス高は、反応流体の収集ライン7への排出またはこのラインにおけるその流れまたは上部の触媒床2を通るその流れを変更しない。収集ライン7および注入手段8(
図3b)が混合領域(B)のレベルに位置する場合には、高さH’1は、10から200mmの間、好ましくは、30から150mmの間、さらにより好ましくは、40から100mmの間に含まれる。したがって、床2から由来する反応流体は、収集領域(A)に入るよう強いられ収集ライン7を通過する。
【0030】
収集ライン7および注入手段8が、収集領域(A)のレベルに位置する場合には、高さH’1は、10から400mmの間、好ましくは、30から300mmの間、さらにより好ましくは、50から250mmの間に含まれる。
【0031】
収集領域(A)の下は、混合領域(B)および分配領域(C)である。
図3aおよび3bを参照して、混合領域(B)は実質的に垂直な収集ライン7を含み、収集ライン7は、収集手段5によって集められた反応流体と前記収集ライン7につながる注入手段8から来るクエンチ流体とを受け取るのに適している(
図3bを参照のこと)。
【0032】
混合領域(B)はまた、流体の流通の方向で収集手段5の下流に位置する混合筐体15を含む(
図2および3aを参照のこと)。混合筐体15と連絡する収集ライン7は、混合筐体15の上に位置しても、または前記筐体と同一レベルで位置してもよい。好ましくは、収集ライン7は、混合筐体15と同一レベルに位置する(特に、
図3aを参照のこと)。同様に、注入ライン8は、混合筐体15の上で前記筐体と同一レベルで開口していてもよいし、または当業者に公知の装置(例えば、混合領域15を通る有孔管)によって、直接、前記混合筐体15の内側に開口していてもよい。クエンチ流体の注入は、収集領域(A)から由来する反応流体に対して並流または逆流(cross-current)によって、または向流によってでさえも実施できる。
【0033】
分配領域(C)自体は、複数の煙突状の柱13を支持する分配プレート12を含む。
【0034】
本発明の特徴は、分配領域(C)と同一レベルに混合領域(B)を置くことに基づいており、前記混合領域(B)は、流体を混合するための筐体15と、流体を交換するための筐体16(
図2および3aを参照のこと)とによって構成され、混合筐体15は交換筐体16に接続しており、かつ、連絡している。交換筐体16は、流体の流通の方向で混合筐体15の下流に位置する。本発明の意味内で、混合筐体15とは、反応流体およびクエンチ流体が混合される空間を意味する。交換筐体16とは、反応流体およびクエンチ流体が、側方通過区分17aおよび/または17b(本明細書において以下に記載される)によって分配領域(C)と直接接触する空間を意味する。
【0035】
混合領域(B)の構造によって、混合筐体15中での流体の混合および交換筐体16への前記混合物の流れが可能となる。反応流体およびクエンチ流体の混合は、継続し、交換筐体16のレベルで起こる。
図3aおよび3bを参照して、交換筐体16は、混合領域(B)から分配領域(C)への流体の通過に適した、少なくとも1つの側方通過区分17aまたは17bを含む。好ましくは、交換筐体16は、少なくとも2つの側方通過区分17aおよび17bを含む。したがって、交換筐体16のみが、分配領域(C)と直接接触する。側方通過区分17aは、特に、交換筐体16から分配領域(C)への液体の通過を可能にし、側方通過区分17bは、特に、交換筐体16から分配領域(C)への気体の通過を可能にする。
【0036】
混合筐体15の断面および交換筐体16の断面は、四角の断面、好ましくは、台形の断面、より好ましくは、平行四辺形の断面または円形の断面であり得る。台形の断面とは、前記断面の対向する2辺が平行な対を形成する任意の四角の断面を意味する。平行四辺形の断面とは、前記断面の対向する辺が平行な対を形成する任意の四角の断面を意味し、例えば、平行四辺形の断面は、長方形、正方形または菱型の断面であり得る。円形の断面は、円形または楕円形の形態の断面を意味する。混合筐体15のおよび交換筐体16の断面の形状に関わらず、前記チャンバーの高さまたは直径は、圧力降下をできる限り制限するよう、また反応器中の空間要求を制限するよう選択される。混合筐体15のおよび交換筐体16の断面は、長方形である(
図2〜5を参照のこと)。筐体の長方形の断面が、機械的実現可能性を促進することとは別に、その反応器へのその後の容易な挿入を可能にしながら、その製造および反応器の外側での部分的組み立てを可能にすることは有利である。混合筐体15の断面は、交換筐体16の断面とは異なり得る(
図4b、4c、4eおよび4fを参照のこと)。
【0037】
混合筐体15および交換筐体16は、何であれ任意の形状であり得る。混合筐体15のおよび交換筐体16の壁は、特に、直線(「I」型)に伸長し得るか、または曲がり得る(「C」型)か、または角度を有し得る(「L」型)。混合領域(B)は、分配領域(C)中の任意の位置に位置し得る。例えば、混合領域(B)は、分配領域(C)の中心に位置付けられるか、または後者の位置からオフセットされ得る。したがって、混合筐体および交換筐体の長さは、反応器1中の筐体中のその位置に応じて当業者によって決定される。混合筐体15および交換筐体16の末端は、混合筐体15および交換筐体16の各側部で分配プレート12上にわたって流体の流通を可能にするよう、反応器1の筐体の壁と接触しないことが有利である。
【0038】
本発明の一実施形態では、混合筐体15は、前記交換筐体16の上に位置する(
図2、3aおよび3bに示されるように)。混合筐体15はまた、前記交換筐体16の下に位置してもよい(
図4aを参照のこと)。本発明の別の実施形態では、混合領域(B)は、混合筐体15および複数の交換筐体16を含み得る。例えば、交換筐体16は、混合筐体15の両側に位置付けられ得る(
図4cを参照のこと)。混合筐体15から交換筐体16への流体の混合物の通過を可能にするために、少なくとも1つの開口部18(
図3aを参照のこと)が混合領域(B)中に配置される。開口部の位置、形状および寸法は、流体の混合物の流れの間の圧力降下を制限するよう当業者によって選択される。
【0039】
混合筐体15(単数または複数)および交換筐体16(単数または複数)が、単一品を構成することが有利である。
【0040】
本発明の別の実施形態では、混合筐体15は、1つ以上のレベル(
図4dとの関連で2つのレベル)を含み得る。混合筐体15がいくつかのレベルを含む場合には、あるレベルから別のレベルへの流体の通過は、有孔またはスロット付き型の少なくとも1つの通過区分(
図4dでは示されていない)によって実施され、前記通過区分の表面は、大幅な圧力降下を引き起こさずに流体の流れを撹乱するよう選択される。混合筐体15の2つのレベル間の通過区分(単数または複数)の位置、形状および寸法は、流体の混合物の流れの間の圧力降下を制限するよう当業者によって選択される。
【0041】
本発明によれば、前記混合筐体15のおよび前記交換筐体16の累積全高H’2は、200から800mmの間、好ましくは、300から750mmの間、さらにより好ましくは、350から700mmの間に含まれる。
【0042】
交換筐体16の幅「W」(
図3aを参照のこと)は、200から800mmの間、好ましくは、250から700mmの間、さらにより好ましくは、300から600mmの間に含まれることが好ましい。
【0043】
交換筐体16(単数または複数)および混合筐体15(単数または複数)の間の容量比(%で)は、5から60%の間、好ましくは、10から40%の間に含まれる。
【0044】
高さH’3にわたって伸長する分配領域(C)(
図2を参照のこと)は、分配プレート12(本明細書において分配プレート(distributor Plate)とも呼ばれる)および複数の煙突状の柱13を含む。より正確には、煙突状の柱13は、その上部開口部によってその上端で開口しており、その側壁に沿って一連の側穴を有し(図では示されていない)、液相(側穴による)および気相(上部開口部による)を対象とし、これらが煙突状の柱の中に別個に入って、前記煙突状の柱の内側でそれらを完全に混合するようにしている。
【0045】
側穴の形状は、極めて多様で、一般に、円形または長方形であり得、これらの穴は、気相と液相の間で可能な限り規則的な界面を確立できるように、煙突状の柱ごとに実質的に同一であるいくつかのレベル、一般に、少なくとも1つのレベル、好ましくは1から10のレベルの煙突状の柱の各々にわたって分配されることが好ましい。
【0046】
先行技術の混合および分配装置と比較して、本発明の混合および分配装置は、煙突状の柱が提供されたプレ分配プレート11を含まない。本発明の装置の本質的な態様によれば、混合領域(B)は、分配領域(C)と同一レベルに位置付けられる。したがって、本発明の混合および分配装置は、先行技術から公知のものと比較して大幅により小型である。先行技術の装置と比較して、
図1に示されるように、本発明の混合および分配装置の総空間要求は、H=H’1+H’3である(
図2を参照のこと)。
【0047】
本発明の一実施形態では、分配プレート12に最も近い筐体15または16(単数または複数)は、分配プレート12の上に直接置かれる(
図2を参照のこと)。
【0048】
別の実施形態では(
図5を参照のこと)、分配プレート12に最も近い筐体15および/または16(単数または複数)は、好ましくは、20から150mmの間に含まれる、より好ましくは、30から80mmの間に含まれる、前記分配プレート12からの距離「d」に位置する。分配プレート12と筐体15および/または16(単数または複数)の間に含まれる空間は、分配プレート12の全表面にわたる流体の分配を可能にし、従って、流体の流通の方向で、混合および分配装置の下流に位置する触媒床14の上の反応器の全区分にわたって流体の混合物の分配を均質化することを可能にする。この実施形態では、交換筐体16は、流体の混合物が分配プレート12に向かって流れ得る(
図5では、流体の流れは、水平の矢印によって表されている)よう、その下側部分に、長手方向の(longitudinal)通過区分を含み得る(
図5では示されていない)。
【0049】
あるいは、交換筐体16が、直接分配プレート12上に置かれる場合には、前記交換筐体は、流体の混合物が、分配プレート12を直接通過し得るよう、その下側部分に、長手方向の通過区分を含み得る(図では示されていない)。当然、長手方向の通過区分の数、形状および大きさは、流体の混合物の流れのわずかなフラクションが、前記の長手方向の通過区分を通過するよう選択される。長手方向の通過区分は、穴および/またはスロットの形状を同等に良好に有し得る。
【0050】
好ましくは、混合筐体15は、前記混合筐体の内壁(単数または複数)の少なくとも1つに少なくとも1つの偏向(deflecting)手段(図では示されていない)を含み得る。前記混合筐体15を通る流体の混合物を偏向する少なくとも1つの手段の存在は、2つの相間の交換表面ならびに前記混合筐体15を通る液相および/または気相間の熱のおよび材料の移動の効率を増大することを可能にする。前記偏向手段は、いくつかの幾何学的形状で示され得、混合筐体の効率を改善することを可能にし、前記形状が、前記混合筐体15を通る流体の混合物の経路の少なくとも部分的な偏向を可能にすることが理解される。例えば、偏向手段は、三角形、正方形、長方形、卵形の断面を有するか、または任意のその他の形状の断面を有するシケイン(chicane)の形態で提示され得る。偏向手段はまた、1つ以上のフィン(単数または複数)または1つ以上の固定された翼(単数または複数)または格子の形態で提示され得る。
【0051】
分散系は、分配プレート12の下に、前記系の下流に位置する触媒床14にわたって均一に流体を分配するために位置付けられ得る。分散系は、各煙突状の柱13と関連し得る、いくつかの煙突状の柱13に共通し得る、または分配プレート12の煙突状の柱13のすべてに共通し得る、1つ以上の分散装置19(
図2を参照のこと)を含み得る。各分散装置19は、実質的に平面的な、水平的幾何学を有するが、任意の形状の周辺部を有し得る。さらに、各分散装置19は、異なる高さで位置し得る。前記分散装置は、格子の形態で提示されることが有利であり、および/または任意選択で、デフレクターを含み得る。格子(単数または複数)19の軸は、反応器の筐体の全放射状区分にわたって流体の混合物の分配を改善するために、反応器の筐体の縦軸に対して好ましくは垂直である。直下に位置する粒状固体の床から分散系を分離する距離は、煙突状の柱13の出口におけるような、できる限り気相および液相の混合物の状態を保持するよう選択される。
【0052】
分配プレート12と前記分配プレートの下に位置する触媒床14の間の距離は、50から400mmの間、好ましくは、100から300mmの間に含まれることが好ましい。分配プレート12と前記分散装置19の間の距離は、0から400mmの間、好ましくは、0から300mmの間に含まれる。
【0053】
特定の実施形態では、分配プレート12は、分散装置19上に置かれる。
【0054】
先行技術において記載された装置と比較して、さらにより詳しくは、特許文献2に開示された装置と比較して、本発明の混合および分配装置は、以下の利点を有する:
−流体の混合領域および分配領域の同一位置の組込みによるコンパクト性の増大、
−任意選択で、流体を偏向するための手段を含む混合筐体および分配プレートのレベルに位置する1つ以上の交換筐体(単数または複数)を含む混合領域への、流体の混合物の流れによる、良好な熱効率および良好な混合効率。
【実施例】
【0055】
以下の実施例では、本発明に従わない装置(装置A)が、本発明の装置(装置B)と比較される。両装置について、収集空間(A)の高さH1は同一であり、120mmに等しいと考えられる。同様に、収集ライン7および注入手段8は、混合領域(B)と同一レベルで位置する。同様に、分配プレート12と触媒床14の頂部の間の高さは、400mmで固定されている。これら2種の装置間の比較は、触媒反応器中でのコンパクト性に基づいている。これらの実施例は、例示として本明細書において示されるのであって、決して、本発明の範囲を制限するものではない。
装置A(本発明に従わない):
5mの内径を有する反応器については、特許文献2に開示される、収集ライン7の上端とプレ分配プレート11の間にある従来の混合装置の空間要求は、およそ650mmである(高さH2に相当する)。プレ分配プレート11の下に位置する分配プレート12の空間要求(高さH3=300mmに相当する)が加えられる場合には、総空間要求はおよそ950mmである。
【0056】
したがって、第1の触媒床2の底から第2の触媒床14の頂部の間でとられる従来の混合および分配装置の総空間要求は、120+950+400=1470mmである。
装置B(本発明に従う):
5mの直径を有する反応器について、収集ライン7の上端と分配プレート12の間から
なる本発明の分配および混合装置の高さは、450mmである(高さH’3に相当する)。混合領域(B)は、各150mmの高さの2レベルを含む混合筐体15および高さ150mmの交換筐体16によって構成される(150+150+150=450mmの高さH’2に相当する)。混合筐体15のおよび交換筐体16の幅「W」は、400mmである。交換筐体16は、前記プレートの上0から10mm(通過区分17bについて)およびプレートの上130から140mm(通過区分17aについて)に位置する側方通過区分17aおよび17bを介して分配プレート(C)に接続される。したがって、第1の触媒床2の底から第2の触媒床14の頂部の間で測定される本発明の混合および分配装置の総空間要求は、120+450+400=970mmである。
【0057】
したがって、比較として、本発明の装置は、装置Aと比較して34%の空間の節約を可能にする。したがって、先行技術の装置との比較によって、本発明の装置のコンパクト性によって節約された空間を触媒床のために使用できる。したがって、本発明の装置はまた、依然として、先行技術の同一装置よりもより容易に製造され、設置されながら、触媒床中の触媒の量を増大することによる反応器の性能の改善を可能にする。