(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述の電力デマンド管理システム9は、設置された地域への落雷等の外的要因により、制御子機92等のシステムを構成する機器について故障や動作異常(以下「故障等」という)が起きることがありうる。本来であれば、このような故障等は、施設管理者である企業が、定時確認あるいは臨時確認等を行って発見し、自らマニュアル等を参照しながら再設定等を試みるか、あるいは販売店や製造元に修理を依頼すべきところである。
【0009】
しかしながら、前述の電力デマンド管理システム9の利用者が中小企業等である場合、専従のシステム管理者を置いていないことも多く、仮にシステム管理者がいたとしても通常業務と兼務しているケースが多く、通常業務の最中には管理システムの故障等に気がつかない可能性もある。設置企業側が故障等の発生に全く気がつかない、あるいは長時間気がつかない場合、設置された端末機器96の消費電力が単位時間内に係る最大需要電力の設定値を超えるのみならず、設置企業の業務に大きな損害が生じる可能性もありうる。
【0010】
他方、電力デマンド管理システム9を設置した販売店等のサービスマンが、電力デマンド管理システム9の設置施設を頻繁に点検して回ることも考えられるが、労力が過大であり、現実的では無い。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、ユーザーが、離れた場所に設置された自動制御中の電力のデマンドコントローラ(前述の電力デマンドの管理システム9に相当)の稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視することができる、電力デマンド遠隔管理システム、デマンドコントローラ、デマンドコントローラの親機、および電力デマンドの遠隔管理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために本発明の電力デマンド遠隔管理システムは、情報通信端末と、端末機器が制御可能に接続され、かつ、機外で生成された同端末機器の制御信号を受信する制御信号受信部と、同端末機器の稼働状況を伝える管理信号を生成し送信する管理信号送信部とを有する子機と、前記管理信号を受信する管理信号受信部と、機外の電力デマンド監視装置に接続され、同電力デマンド監視装置が発した、単位時間内に最大需要電力が設定値に切迫ないし達した旨のアラートを受信するアラート受信部と、受信した前記アラートの内容に応じて単位時間内の最大需要電力が設定値を超えない運転に切り換える前記制御信号を生成して前記子機へ送信する制御信号送信部と、インターネット回線に接続され、受信した前記管理信号と前記アラートのいずれか一方または両方を前記情報通信端末に送信すると共に、同情報通信端末からの信号を受信するインターネット通信部とを有する親機とを備える。
【0013】
ここで、情報通信端末は、インターネット回線を介して、親機が送信した管理信号とアラートのいずれか一方または両方を受信することができる。これにより、情報通信端末のWebブラウザに、あるいは情報通信端末に接続されたモニターに表示されたWebブラウザに、管理信号とアラートのいずれか一方または両方に基づく端末機器の稼働状況または電力デマンド値を表示することができる。
【0014】
なお、「アラート」とは警報、警告の意味で使用しており、以下同様の意味で使用される。また、「管理信号」とは、親機に対し、常時または所定間隔毎に、接続された端末機器の稼働状況を伝える信号の意味で使用しており、以下同様の意味で使用される。
【0015】
子機は、制御信号受信部を有することによって、親機から受信した制御信号に基づいて、接続された端末機器を制御することができ、そして、管理信号送信部によって、端末機器の稼働状況を伝える管理信号を生成して親機へ送信することができる。
【0016】
親機は、管理信号受信部を有することによって、子機からの管理信号を受信することができると共に、アラート受信部を有することによって、電力デマンド監視装置からのアラートを受信することができる。
【0017】
そして、親機は、制御信号送信部を有することによって、前述の受信したアラートの内容に応じた端末機器への制御信号を生成して子機へ送信することができ、これにより、子機に接続された端末機器が、単位時間内の最大需要電力が設定値を超える運転状況とならないようにすることができる。
【0018】
更に、親機は、インターネット通信部を有することによって、受信した管理信号とアラートのいずれか一方または両方を、インターネット回線を介して情報通信端末に送信することができるので、電力デマンドの管理者等は、離れた場所に設置された電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視することができる。そして、インターネット通信部によって、情報通信端末からの信号を受信することができる。ここで、「情報通信端末からの信号」とは、親機への情報送信リクエストや、親機への操作コマンド等の各種信号を含む意味で使用しており、以下同様の意味で使用される。
【0019】
この電力デマンド遠隔管理システムによれば、アラートに応じた制御信号を生成する機能を親機に集中させ、子機を単純化した構成とすることによって製造コストを抑制することができ、ひいては、設置する端末機器の増加に伴う子機の増設による導入コストも抑制できる。
【0020】
また、前記インターネット通信部と協働し、前記親機が送受信した前記管理信号と同親機が受信した前記アラートのいずれか一方または両方をMQTT(Message Queueing Telemetry Transport)通信プロトコルに基づく信号に変換して前記情報通信端末に送信すると共に、同情報通信端末から受信したMQTT通信プロトコルに基づく信号を前記親機内で処理可能な信号に変換するMQTT変換部を備える場合には、MQTT変換部によって、信号の送受信にあたり用いられるデータが、HTTP等の従来の通信プロトコルを採用したものと比較して、プロトコルヘッダを小さくデータを軽量にできるため、転送量、CPU負荷、電力消費量等を従来の10分の1程度に抑えることができ、また、処理速度も早いので、リアルタイム表示が可能となる。
【0021】
そして、一方向や一対一の通信のみでなく、双方向や一対多の通信が可能であるため、一の管理者によって、設置された多数台を集中管理することができる。加えて、MQTTを採用することで、MQTTに特有の機能「Will」によって、子機や親機との通信切断を知ることができる。
【0022】
また、前記インターネット通信部と協働し、前記親機が送受信した前記管理信号と同親機が受信した前記アラートのいずれか一方または両方をMQTT通信プロトコルに基づく信号に変換して前記情報通信端末に送信すると共に、同情報通信端末から受信したMQTT通信プロトコルに基づく信号を前記親機内で処理可能な信号に変換するMQTT変換部と、前記インターネット通信部およびMQTT変換部と協働し、MQTT通信プロトコルに基づく信号を送受信可能な経路としてWebSocket通信プロトコルによる通信経路接続を行うWebSocket通信部とを備える場合には、前述のMQTTによる作用効果と共に、通信経路の接続にWebSocket方式を採用したことによって、WebブラウザでWebページを閲覧できるネットワークに親機を接続するだけで、利用可能に設置することができる。
【0023】
詳しく説明すると、MQTTのデフォルト通信ポートは1883ポートであり、親機を設置するネットワーク環境において同ポートを開放する必要があるが、設置場所のインターネットセキュリティ対策の問題でポート開放ができないことがある。このため、本発明では、WebSocket方式の通信経路を採用しており、親機が使用する通信ポートを80ポートまたは443ポート(WebブラウザでWebページを閲覧する際に使用されるポートであり、通常セキュリティ下でも開放されている)とすることができる。
【0024】
つまり、WebSocketとMQTTを組み合わせたことにより、親機をインターネット回線に接続するにあたり、特にポート開放等の設定を行うこと無く、親機をLAN(Local Area Network)等のネットワーク環境に接続するだけで済むので、設置の際の手間が少なくて済む。
【0025】
更に、リアルタイム双方向通信が可能な通信経路であるWebSocketと、データが軽量であるMQTTを組み合わせたことにより、従来の通信プロトコルを採用する場合よりも情報通信端末と親機との間のレスポンス速度が向上し、子機等の稼働情報のリアルタイム表示あるいは親機への操作コマンドの反映速度向上等が実現できる。
【0026】
また、Webサーバ部と、MQTTサーバ部と、データベース部とを有し、インターネット回線に接続可能なサーバを備える場合には、各部が協働することによって、一または複数の親機と情報通信端末との間を中継しデータを記録すると共に、特定の情報通信端末のみならず、複数の情報通信端末からのアクセスが可能となる。
【0027】
更に、通信プロトコルがMQTTであるため、転送量、CPU負荷、電力消費量等を従来の10分の1程度に抑えることができ、また、処理速度も早いので、リアルタイム表示が可能となる。
【0028】
また、Webサーバ部と、MQTTサーバ部と、Websocket通信部と、データベース部とを有し、インターネット回線に接続可能なサーバを備える場合には、各部が協働することによって、一または複数の親機と情報通信端末との間を中継しデータを記録すると共に、特定の情報通信端末のみならず、複数の情報通信端末からのアクセスが可能となる。
【0029】
更に、通信プロトコルがMQTTであるため、転送量、CPU負荷、電力消費量等を従来の10分の1程度に抑えることができ、また、処理速度も早いので、リアルタイム表示が可能となる。加えて、通信方式のプロトコルとしてWebSocketを採用することにより、リアルタイム双方向通信が可能な通信経路が確保されると共に、MQTTのデフォルト通信ポートを解放することなく、MQTTでのデータ送受信が可能となる。
【0030】
つまり、WebSocketとMQTTを組み合わせたことにより、サーバをインターネット回線に接続するにあたり、特にポート開放等の設定を行うこと無く、サーバをLAN(Local Area Network)等のネットワーク環境に接続するだけで済むので、設置の際の手間が少なくて済む。
【0031】
更に、リアルタイム双方向通信が可能な通信経路であるWebSocketと、データが軽量であるMQTTを組み合わせたことにより、従来の通信プロトコルを採用する場合よりも、サーバから情報通信端末または親機に対するレスポンス速度が向上し、子機等の稼働情報のリアルタイム表示あるいは親機への操作コマンドの反映速度向上等が実現できる。
【0032】
また、前記親機と前記子機との間で、前記管理信号の中継を行う中継子機を備える場合には、親機と子機までの距離が離れた広大な施設や、信号が届きにくい施設であっても、好適に信号を送ることができる。
【0033】
前記子機が、前記管理信号と前記制御信号の一方または両方を中継する中継通信部を有する場合には、中継子機を使用しなくとも、子機自身が管理信号と制御信号の一方または両方を中継することができる。例えば、子機が複数台ある場合、親機に近い子機から遠い子機へ管理信号等を中継していくことができ、仮に子機の一部が故障した場合はそこで信号が途絶えるので、故障した子機を特定することもできる。
【0034】
上記の目的を達成するために本発明のデマンドコントローラは、端末機器が制御可能に接続され、かつ、機外で生成された同端末機器の制御信号を受信する制御信号受信部と、同端末機器の稼働状況を伝える管理信号を生成し送信する管理信号送信部とを有する子機と、前記管理信号を受信する管理信号受信部と、機外の電力デマンド監視装置に接続され、同電力デマンド監視装置が発した、単位時間内に最大需要電力が設定値に切迫ないし達した旨のアラートを受信するアラート受信部と、受信した前記アラートの内容に応じて単位時間内の最大需要電力が設定値を超えない運転に切り換える前記制御信号を生成して前記子機へ送信する制御信号送信部と、インターネット回線に接続され、受信した前記管理信号と前記アラートのいずれか一方または両方を前記情報通信端末に送信すると共に、同情報通信端末からの信号を受信するインターネット通信部とを有する親機とを備える。
【0035】
ここで、子機は、制御信号受信部を有することによって、親機から受信した制御信号に基づいて接続された端末機器を制御することができ、そして、管理信号送信部によって、端末機器の稼働状況を伝える管理信号を生成して親機へ送信することができる。
【0036】
親機は、管理信号受信部を有することによって、子機からの管理信号を受信することができると共に、アラート受信部を有することによって、電力デマンド監視装置からのアラートを受信することができる。そして、親機は、制御信号送信部を有することによって、前述の受信したアラートの内容に応じた端末機器への制御信号を生成して子機へ送信することができ、これにより、子機に接続された端末機器が、単位時間内の最大需要電力が設定値を超える運転状況とならないようにすることができる。
【0037】
更に、親機は、インターネット通信部を有することによって、受信した管理信号とアラートのいずれか一方または両方を、インターネット回線を介して情報通信端末に送信することができるので、電力デマンドの管理者等は、離れた場所に設置された電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視することができる。そして、インターネット通信部によって、情報通信端末からの信号を受信することができる。
【0038】
このデマンドコントローラによれば、アラートに応じた制御信号を生成する機能を親機に集中させ、子機を単純化した構成とすることによって製造コストを抑制することができ、ひいては、設置する端末機器の増加に伴う子機の増設による導入コストも抑制できる。
【0039】
上記の目的を達成するために本発明のデマンドコントローラの親機は、機外の子機が生成し送信する、同子機に接続された端末機器の稼働状況を伝える管理信号を受信する管理信号受信部と、接続された機外の電力デマンド監視装置が発した、単位時間内に最大需要電力が設定値に切迫ないし達した旨のアラートを受信するアラート受信部と、受信した前記アラートの内容に応じて単位時間内の最大需要電力が設定値を超えない運転に切り換える制御信号を生成して前記子機へ送信する制御信号送信部と、インターネット回線に接続され、受信した前記管理信号と前記アラートのいずれか一方または両方を前記情報通信端末に送信すると共に、同情報通信端末からの信号を受信するインターネット通信部とを備える。
【0040】
ここで、親機は、管理信号受信部を有することによって、子機からの管理信号を受信することができると共に、アラート受信部を有することによって、電力デマンド監視装置からのアラートも受信することができる。そして、親機は、制御信号送信部を有することによって、前述の受信したアラートの内容に応じた端末機器への制御信号を生成して子機へ送信することができ、これにより、子機に接続された端末機器が、単位時間内の最大需要電力が設定値を超える運転状況とならないようにすることができる。
【0041】
更に、親機は、インターネット通信部を有することによって、受信した管理信号とアラートのいずれか一方または両方を、インターネット回線を介して情報通信端末に送信することができるので、電力デマンドの管理者等は、離れた場所に設置された電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視することができる。そして、インターネット通信部によって、情報通信端末からの信号を受信することができる。
【0042】
このデマンドコントローラの親機によれば、アラートに応じた制御信号を生成する機能を親機に集中させ、子機を単純化した構成とすることによって製造コストを抑制することができ、ひいては、設置する端末機器の増加に伴う子機の増設による導入コストも抑制できる。
【0043】
更に、特許文献1記載の電力デマンド管理システムを採用している施設において、既設の親機を本発明のデマンドコントローラの親機に入れ替えることによって、前述した本発明の電力デマンド遠隔管理システムあるいはデマンドコントローラにグレードアップすることができると共に、既存の子機はそのまま利用できるので、システム導入のためのコストが抑制でき、新規子機設置の手間も省ける。
【0044】
上記の目的を達成するために本発明の電力デマンドの遠隔管理方法は、端末機器が制御可能に接続された子機が、同端末機器の稼働状況を伝える管理信号を生成し送信する第1のステップと、キュービクルに接続された電力デマンド監視装置が、単位時間内に最大需要電力が設定値に切迫ないし達した際に発するアラートを送信する第2のステップと、親機が、前記管理信号または前記アラートを受信し、受信した前記管理信号と前記アラートのいずれか一方または両方を、インターネット回線を介して情報通信端末へ送信する第3のステップとを備える。
【0045】
ここで、電力デマンドの遠隔管理方法は、親機が、子機から受信した管理信号または電力デマンド監視装置から受信したアラートを、インターネット回線を介して情報通信端末へ送信することにより、電力デマンドの管理者等は、離れた場所に設置された電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の電力デマンド遠隔管理システムによれば、ユーザーが、離れた場所に設置された自動制御中の電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視することができる。
また、本発明のデマンドコントローラを用いることにより、ユーザーが、離れた場所に設置された自動制御中の電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視できるようにすることができる。
更に、本発明のデマンドコントローラの親機を用いることにより、ユーザーが、離れた場所に設置された自動制御中の電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視できるようにすることができる。
更にまた、本発明の電力デマンドの遠隔管理方法を用いることにより、ユーザーが、離れた場所に設置された自動制御中の電力のデマンドコントローラの稼働状況を、インターネットを通じて遠隔監視することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1ないし
図18を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付しており、また、同一符号が付される複数の同等物についてはその一部にのみ符号を付す場合がある。
【0049】
図1を参照する。
図1における電力デマンド遠隔管理システム1は、デマンドコントローラ2a、2bと、サーバ4と、情報通信端末51、52、53(以下、総称する際は「情報通信端末51〜53」と表す)により構成されている。なお、
図1では、便宜上、別々の施設に設置されたデマンドコントローラ2a、2bを管理する態様を記載しているが、これに限定するものではなく、例えば、管理するデマンドコントローラは1つでもよいし、3以上の多数であってもよい。以下、
図1〜
図4を主に参照して、各部を説明する。
【0050】
図2を参照する。
図2では、デマンドコントローラ2aと、これに接続される周辺機器の一例が示されており、本実施の形態に係るデマンドコントローラ2aは破線で囲まれた部分である。なお、デマンドコントローラ2a、2bは同様の構成であるため、デマンドコントローラ2bの説明については省略する。また、端末機器301、302、303(以下、総称する際は「端末機器301〜303」と表す)は空調装置の室外機であり、端末機器の一例である。
【0051】
(電力デマンド監視装置)
図2で破線外に示すキュービクル31は、施設外部からの送電を高圧で受電する施設であり、その内部には電力デマンド監視装置32が接続されている。なお、
図2では、説明の便宜上、電力デマンド監視装置32をキュービクル31の外側に表している。電力デマンド監視装置32は、親機21と有線または無線で接続され、単位時間内に最大需要電力が設定値に切迫ないし達した際に、アラートを発するものである。
【0052】
なお、電力デマンド監視装置は、例えば、既設のデマンド監視装置(親機21への通信機能無し)と組み合わせて使用され、親機21と有線または無線で接続できる機能を持たせることで、既設のデマンド監視装置が発するアラートを親機21へ送信可能とするもの(一種の中継子機)を採用しても良い。この場合、既設のデマンド監視装置を引き続き利用することができ、設置コスト抑制、導入工期短縮などの利点が期待できる。
【0053】
(デマンドコントローラ)
デマンドコントローラ2aは、1台の親機21と、複数の子機25(本実施の形態では3台)と、中継子機26(本実施の形態では1台)を備えている。なお、
図2では、説明の便宜上、親機21をキュービクル31の外側に表しているが、親機21は、例えば、電力デマンド監視装置32と有線接続してキュービクル31内部に収容する態様、または、電力デマンド監視装置32と有線接続あるいは無線接続して施設の管理棟等に設置する態様等であってもよい。
【0054】
<親機>
図3を参照する。親機21は、内部に電子計算機を備えており、筐体210の正面に、電子計算機を介して出力される情報の表示画面部211が設けられている。筐体210の一の側面には信号送受信用のアンテナ212が設けられている。筐体210のアンテナ212が設けられた側と反対側の側面には、本体電源のスイッチ213と、筐体210内と通じた通気孔214と、電子計算機と接続してデータの出入力が可能なUSBポート215と、電源供給用のACインレット孔216が設けられている。なお、表示画面部211は操作部も兼ねており、タッチパネル式画面となっている。
【0055】
図4を参照する。親機21は、内部に通信装置(図示省略)と、通信部22、演算処理部23および記憶部24を有する電子計算機が組み込まれている。
【0056】
通信部22は、インターネット通信部221と、無線信号送受信部224と、アラート受信部225を有する。
【0057】
インターネット通信部221は、MQTT変換部222およびWebsocket通信部223を含んでいる。MQTT変換部222は、受信した管理信号あるいはアラートを通信プロトコル「MQTT」方式によるメッセージに変換(メッセージを生成)して送信する機能と、情報通信端末51〜53から受信したMQTT形式のメッセージ(操作コマンド等)を他のデータ形式に変換する機能とを有する。Websocket通信部223は、サーバ4あるいは情報通信端末51〜53との間で、WebSocket方式の通信経路でのインターネット接続を行う機能を有する。
【0058】
無線信号送受信部224は、各子機25から(
図4では中継子機26を介して)送られる管理信号を受信すると共に、演算処理部23で生成された制御信号を送信する機能を有する。アラート受信部225は、電力デマンド監視装置32から受信したアラートを受信する機能を有する。なお、ここで使用する無線通信は、ZigBee規格を採用している。
【0059】
演算処理部23は、管理信号解析部231と、アラート情報解析部232と、入力情報解析部233と、制御信号生成部234と、画像情報生成部235と、設定部236を有する。
【0060】
管理信号解析部231は、各子機25から受信した管理信号を解析し、データ化して記憶部24に記録する機能を有する。アラート情報解析部232は、電力デマンド監視装置32から受信したアラートを解析し、データ化して記憶部24に記録する機能を有する。入力情報解析部233は、表示画面部211あるいは情報通信端末51〜53を通じて送信された操作コマンド等を解析し、データ化して記憶部24に記録する機能を有する。
【0061】
制御信号生成部234は、記憶部24に記録されたアラートあるいは操作コマンドのデータを読み込み、制御信号を生成し、無線信号送受信部224を通じて各子機25へ送信する機能を有する。画像情報生成部235は、記憶部24に記録された管理信号やアラートのデータを読み込んで画像情報を生成し、同画像を親機21の表示画面部211に表示する機能を有する。また、画像情報生成部235は、前述の画像を記憶部24に記録し、情報通信端末51〜53からのリクエストに応じ、インターネット通信部221を通じて情報通信端末51〜53に画像を送信する機能を有する。
【0062】
設定部236は、子機25や中継子機26の情報、接続されるサーバ4の情報を、記憶部24から読み込むか、あるいは直接保持し、表示画面部211を通じて親機21に直接なされる操作、または情報通信端末51〜53を通じてオンラインで親機21になされる操作により、設定の変更を行うことができる機能を有する。
【0063】
<子機>
子機25は、内部に無線通信装置と電子計算機(いずれも図示省略)が組み込まれており、各々は同じ構造である。子機25は、電子計算機にインストールされたプログラムにより、親機21で生成された制御信号を受信する機能(前述の制御信号受信部)と、管理信号を生成して親機21へ送信する機能(前述の管理信号送信部)とを付与されている。なお、管理信号は、接続先の各端末機器301〜303の稼働状況に係るデータを信号化したものであり、稼働状況に係るデータとしては、各端末機器301等から得た数値化できる情報、例えば、電流値、圧力値、騒音値、異常値等が挙げられる。
【0064】
<中継子機>
中継子機26は、親機21と各子機25との間で、管理信号の中継を行う機能を有しており、親機21と各子機25までの距離が離れた広大な施設や、信号が届きにくい施設であっても、好適に信号を送ることができる。
【0065】
(サーバ)
図5を参照して、サーバ4の構成を説明する。サーバ4は、Webサーバ部41と、MQTTサーバ部42と、Websocket通信部43と、アプリケーション部44と、データベース部45を有している。
【0066】
Webサーバ部41は、インターネット回線8に接続されて、親機21や情報通信端末51〜53との間でデータの送受信を行う。MQTTサーバ部42は、MQTTプロトコルによる処理を行い、MQTT形式によるデータの中継あるいは生成を行う。なお、本実施の形態では、MQTTサーバ部42には、サーバ(ブローカー)側のソフトウェアとしてMosquittoがインストールされているが、これに限定するものではなく、例えば、RabbitMQ(登録商標)等のMQTTブローカー機能等の必要条件を満たす他のソフトウェアであってもよい。
【0067】
Websocket通信部43は、バージョンアップファイル431と、設定ファイル432を含んでおり、Websocket方式による親機21および情報通信端末51〜53との通信経路確保を行う。この通信は、HTTPS用の通信ポート443番を通じて行われるが、これに限定するものではなく、例えば、HTTP用の通信ポート80番を通じて行われる態様であってもよい。
【0068】
アプリケーション部44は、MQTTサーバ部42およびWebsocket通信部43と協働することにより、Websocket上でMQTT通信を行う。データベース部45は、各種プログラムやアプリケーション、あるいはデータの蓄積を行う。なお、サーバ4は、Websocket通信部43を有しているが、これに限定するものではなく、例えば、MQTTのデフォルト通信ポートである1883番ポートを開放可能なネットワーク環境下にある場合は、Websocket通信部43を無くした構成とすることもできる。
【0069】
(情報通信端末51、52、53)
情報通信端末51はパーソナルコンピュータ(以下「PC」という)であり、ユーザーU1は、デマンドコントローラ2a、2bを集中管理する権限を有する者である。ユーザーU1は、管理者IDおよびパスワードでログインすることにより、情報通信端末51であるPCのモニターにはデマンドコントローラ2a、2bの稼働情報が画像として表示され、親機21から離れたところからでも管理可能となる。
【0070】
情報通信端末52はタブレット端末であり、ユーザーU2はデマンドコントローラ2aが設置された施設における管理者である。ユーザーU2は、デマンドコントローラ2aに割り振られたIDおよびパスワードでログインすることにより、情報通信端末52には自己の管理するデマンドコントローラ2aの稼働情報が表示され、親機21から離れたところからでも管理可能となる。
【0071】
情報通信端末53はスマートフォンであり、ユーザーU3はデマンドコントローラ2bが設置された施設における管理者である。ユーザーU3は、デマンドコントローラ2bに割り振られたIDおよびパスワードでログインすることにより、情報通信端末53には自己の管理するデマンドコントローラ2bの稼働情報が表示され、親機21から離れたところからでも管理可能となる。なお、情報通信端末としては前述のPC等のほか、携帯電話、PHS等であってもよい。
【0072】
本実施の形態において、デマンドコントローラ2aの親機21、子機25あるいは中継子機26の間の通信は、ZigBee規格による無線方式であるが、これに限定するものではなく、例えば、無線が届かないか、あるいは、届きにくい環境下においては、有線接続が有用であり、また、確実な作動が要求される重要な端末機器には有線接続を行うといった態様を採用してもよい。なお、有線接続の場合は中継子機26を置かなくともよいし、また、各子機25と親機21との間の電波状況が良い場合も中継子機26を置かない態様としてもよい。更に、無線通信規格としては、ZigBeeに限定するものではなく、例えば、無線LANやBluetooth(登録商標)その他の通信規格による通信方法を採用してもよい。
【0073】
本実施の形態において、子機25は、端末機器301〜303の稼働状況のみならず、周辺環境の観測機能を有するものであってもよい。周辺環境の観測機能を有する場合、例えば、端末機器近傍の周辺環境の情報(例えば、端末機器周辺の温度や騒音等の観測データ)を親機に送信することができ、制御信号生成の際の判断材料とすることができる。「周辺環境」とは、端末機器等の周辺環境の中で数値化できる情報、例えば、温度、湿度、気圧、音量等を含む意味である。
【0074】
また、子機25は、管理信号と制御信号の一方または両方を中継する中継通信部を有するものであってもよい。この場合には、中継子機26を使用しなくとも、子機25自身が管理信号と制御信号の一方または両方を中継することができる。そして、子機25が複数台ある場合、親機21に近い子機から遠い子機へ管理信号等を中継していくことができ、仮に子機の一部が故障した場合はそこで信号が途絶えるので、故障した子機を特定することもできる。
【0075】
なお、子機の一部が故障して信号が一旦途絶えたとしても、親機21に、子機間通信の接続ルートの自動切換機能(例えば、親機が信号途絶を感知した際には、通常の親機から見て右回りのみの通信経路に、左回りの通信経路を付加するように設定変更する、等)を具備させておくことで、故障した子機以外の子機と引き続き通信することができる。更に、故障した子機に関する情報は、後述するように、親機25からユーザーU1の情報通信端末51等に通知され、
図16の表示画面等で確認することができる。
【0076】
また、デマンドコントローラ2aは、端末機器301〜303を制御できるように接続された子機25のみならず、観測用途にのみ使用される観測子機(図示省略)を備えるものであってもよい。観測子機を備える場合、端末機器から離れた周辺環境の情報(例えば、端末機器から所定距離離れた場所の温度や騒音等の観測データ)を親機に送信することができ、制御信号生成の際の判断材料とすることができる。
【0077】
本実施の形態において、親機21の電子計算機には、電力デマンドの管理プログラムがインストールされており、このプログラムは、
(a)子機25が生成し送信する、端末機器301〜303の稼働状況を伝える管理信号を受信する機能、
(b)電力デマンド監視装置32が発する、単位時間内(例えば、30分間毎)に最大需要電力が設定値に切迫ないし達した際のアラートを受信する機能、
(c)受信した前述のアラートの内容に応じて単位時間内の最大需要電力が設定値を超えない運転に切り換える端末機器301〜303への制御信号を生成して、各子機25へ送信する機能、
(d)受信した前述の管理信号とアラートのいずれか一方または両方の内容を、MQTT形式のメッセージに変換し、かつWebSocket通信経路で、サーバ4または情報通信端末51〜53へインターネット回線8を介して送信する機能、
(e)インターネット回線8を介して、サーバ4または情報通信端末51〜53からのMQTT形式のメッセージ(操作コマンド等)を受信し、同メッセージを他のデータ形式に変換する機能、
を親機21へ付与するものである。
【0078】
このプログラムによれば、受信したアラートの内容に応じて、各子機25に接続された各端末機器301〜303の消費電力が単位時間内に係る最大需要電力の設定値を超えないための運転を実行する制御信号が生成および送信され、同制御信号に基づいて端末機器301〜303が運転されることにより、電力デマンドの設定値を超える運転状況が発生することが防止される。つまり、親機21と各子機25とを協働させることによって、端末機器301〜303が電力デマンドの設定値を超えないように自動制御することができる。
【0079】
また、このプログラムによれば、親機21が受信した管理信号とアラートのいずれか一方または両方を情報通信端末51〜53へインターネット回線8を介して送信することができるので、電力デマンドの管理者U1〜U3は、離れた場所に設置された電力のデマンドコントローラ2a、2bの稼働状況を遠隔監視することができる。
【0080】
更に、このプログラムによれば、MQTT形式によるメッセージをWebSocket方式の通信経路で、親機21からの管理信号とアラートのいずれか一方または両方を送信し、情報通信端末51〜53からの操作コマンドを受信することができる。更にまた、このプログラムによれば、WebSocket方式の通信経路でインターネット回線8に接続するため、特にポート開放等の設定を行うこと無く、親機21をLAN等のネットワーク環境に接続するだけで、ネットワークに接続することができる。
【0081】
なお、このプログラムは、親機21内の電子計算機にインストールされる態様のみならず、例えば、親機21に外部接続された電子計算機にインストールし、親機21を介して生成された制御信号を送信する等の態様を除外するものではない。
【0082】
(作 用)
図1〜
図18を参照して、電力デマンド遠隔管理システム1の作用を説明する。なお、最初に、
図2〜
図4、
図8を参照して設置された施設内におけるデマンドコントローラ2aの作用(電力デマンドの監視、制御)について説明し、その後に、親機21とサーバ4との接続、電力デマンド遠隔管理システム1における遠隔管理、の順に説明する。
【0083】
〔施設内におけるデマンドコントローラ2aの作用(電力デマンドの監視、制御)〕
(1)キュービクル31に接続された電力デマンド監視装置32が、単位時間内に最大需要電力が設定値に切迫ないし達した際に、アラートを発する。
【0084】
(2)各子機25は、接続された端末機器301〜303の稼働状況(運転状況や故障の際の異常)を管理信号として送信する。このとき、中継子機26は、電波が届きにくい場所や離隔した親子機間の信号の中継を行う。
【0085】
(3)親機21は、アラートおよび管理信号を受信し、内蔵した電子計算機により、受信したアラートおよび管理信号の内容に基づいて演算を行い、各子機25に接続された端末機器301〜303が好適な運用環境を達成するための制御信号を生成し、各子機25へ制御信号を送信する。この制御信号によって、電力デマンドに係る設定値を超過しない範囲で、稼働優先度の高い端末機器へ電力リソースが配分される等、設置された端末機器に応じた好適な運用が達成される。
【0086】
(4)親機21の表示画面部211には、画像情報生成部235により生成されたユーザーインターフェイスによって、端末機器301〜303の稼働状況が表示される。また、親機21は、タッチパネル式である表示画面部211からの入力に応じて、各子機25の稼働状況あるいは設置施設全体の電力消費量等の各種表示画面に切り換える事ができると共に、個別子機または全体での設定値の変更等の操作を行うことができる。なお、個別子機または全体での設定値の変更等の操作は、USBポート215から接続されたUSB等の記録媒体を使用して行うことも可能である。
【0087】
前述のユーザーインターフェイスの一例として、
図8には子機に接続された端末機器の運転状況の表示例を示している。具体的には、子機が40%の出力で運転中である状況が示されている。なお、この画面上に表示されたGUI(Graphical User Interface)のスイッチ(アイコン)に触れることで、プログラムを介して手動でも運転出力の調整を行うことができる。
【0088】
〔電力デマンド遠隔管理システム1における親機21とサーバ4との接続〕
(5)
図6に示すフローチャートを参照し、親機21のネットワーク接続手順を説明する。
(ア)接続ステップS1
親機21を起動する。起動後、親機21に設定した接続情報設定ファイルが読み込まれる。接続情報とは、例えば、接続先サーバURL、接続ユーザー名、接続パスワード、ファイルアップロードURL、ファイルアップロードユーザー名、ファイルアップロードパスワード等であり、これらの情報は親機21に設定後は暗号化される。
【0089】
(イ)接続ステップS2
TCP(HTTPS ポート443番)接続後、Websocketにアップグレードされる。親機21は、Websocketの接続を確立するために、サーバ4へハンドシェイク要求が送られる。サーバ4側はHTTPS要求として解釈し、その後Websocketへと切り替えられる。Websocket接続が成功した場合は接続ステップS3へ、不成功の場合は、接続ステップS1に戻り、接続情報設定が再試行される。
【0090】
(ウ)接続ステップS3
接続されたWebsocket上で、MQTTの接続を行う。親機21の機器IDをMQTTクライアントIDとして接続を行う。MQTT接続が成功した場合は接続ステップ4へ、不成功の場合は、MQTT接続が再試行される。
【0091】
(エ)接続ステップS4
MQTT接続完了後、親機21とサーバ4の設定情報を同期させるために、親機21の設定ファイルがサーバ4にアップロードされる。
【0092】
(オ)接続ステップS5
親機21が収集した各種情報が、機器IDのデータメッセージTopicにPublish(発行)され、サーバ4のアプリケーションとWebクライアントは、Publishされた情報をSubScribe(購読)することにより、データベースへの登録および最新情報が表示される。
【0093】
また、親機21は、機器IDの通知メッセージTopicをSubScribeし、このTopicから通知メッセージ情報を受け取る。これによって、管理者であるユーザーU1等が行うWebブラウザからのスイッチ操作等は、各子機25に即座に反映され、親機21から各子機25へのリアルタイム操作を可能としている。
【0094】
図7は、電力デマンド遠隔管理システム1における親機21とサーバ4の間のネットワーク接続状態の概略である。前述の通り、親機21とサーバ4の間の通信は、Websocketという通信経路85を通じて、MQTTプロトコルによるメッセージ86(データ)が送受信される態様で行われる。このとき、Webサーバ部41の通信ポートは433番である。MQTTサーバ部42はメッセージの中継を行い、Websocket通信部43は前述の通り接続の確立を行う。
【0095】
〔電力デマンド遠隔管理システム1における遠隔管理〕
(6)主に
図9〜
図17を参照して、電力デマンド遠隔管理システム1において、ユーザー側の情報通信端末に表示される情報(特にユーザーU1の情報通信端末51に表示される情報)について説明する。なお、ユーザーU1は、デマンドコントローラを設置した顧客(複数)から管理を委託された者であり、各顧客のデマンドコントローラにアクセス可能な特別な権限のIDおよびパスワードを使用する。他方、ユーザーU2やU3のような顧客は、自身の管理するデマンドコントローラにのみアクセス可能な一般な権限のIDおよびパスワードを使用し、自身の管理するデマンドコントローラに関してのみ、情報の閲覧、管理を行うことができる。
【0096】
図9に示すように、情報通信端末51〜53のWebブラウザ画面には、電力デマンド遠隔管理システム1へのログイン画面に表示される。この画面の各入力枠に管理者のIDとパスワードを入力してシステムにログインする。
図10に示すように、ログイン後の情報通信端末51〜53のWebブラウザ画面には、ユーザー登録画面が表示される。この画面の各入力枠には登録済みのユーザー名や担当者名等の情報が表示され、同画面にてこれらの情報やログインパスワードの変更ができる。
【0097】
図11で示す画面は設定および変更画面であり、この画面上には登録された各子機25の一覧、システムの設定状態が表示され、サンプリング間隔、データ収集間隔等の各種設定内容の変更を行うことができる。
図12で示す画面はリアルタイムトレンド画面であり、消費電力の推移をグラフで確認できる。
図13で示す画面は各子機25のモニター画面であり、無線感度等の情報を確認することができる。
【0098】
図14で示す画面は子機個別表示画面であり、各子機の現在の消費電力量を確認できると共に、GUIで表示された運転切換スイッチにより、各子機に対し個別の運転内容切り換えができる。
図15で示す画面はデータ閲覧およびダウンロード画面であり、収集されたデータを一覧表形式で確認できると共に、CSV形式でデータをダウンロードすることができる。
【0099】
図16で示す画面はイベント情報画面であり、各子機に起きたイベント情報(スイッチOFF、接続開始、接続切断)と同イベントが起きた日付および時刻のデータを一覧表形式で確認できると共に、CSV形式でデータをダウンロードすることができる。
【0100】
図17に示す画面は管理者画面(お客様画面)であり、更に詳しくは、電力デマンド遠隔管理システム1が設置された複数の施設を集中管理するための管理者画面である。この画面には、事業者毎に顧客IDと顧客名、顧客毎の管理アイコン(GUI)が一覧表形式で表示されると共に、重視する事項(例えば、「切断中を上位に」、「(デマンド超過の)アラーム発生を上位に」等のトラブル)が生じた顧客(施設)が上位の欄に上がるように設定できる。
【0101】
図18に示す画面は管理者画面(各親機の状態表示画面)であり、更に詳しくは、電力デマンド遠隔管理システム1が設置された複数の施設を集中管理するための管理者画面である。この画面には、事業者毎に顧客IDと顧客名、顧客毎の親機の警報発生状況、電波強度状況、アラームの発生の有無とその日時が一覧表形式で表示される重視する事項(例えば、「切断中を上位に」、「(デマンド超過の)アラーム発生を上位に」等のトラブル)が生じた顧客(施設)が上位の欄に上がるように設定できる。
【0102】
このように、電力デマンド遠隔管理システム1によれば、デマンドコントローラ2a等の親機21が生成する制御信号に基づいて、各子機25が端末機器301〜303を設定されたデマンド値を越えないよう必要かつ細やかな制御を自動で行うと共に、ユーザーU1等は、インターネットを通じて、離れた場所に設置された電力のデマンドコントローラ2a等の稼働状況を遠隔監視することができる。
【0103】
また、親機21とサーバ4、サーバ4と情報通信端末51〜53のブラウザとの間のデータの送受信が、WebSocket形式の通信経路を通じてMQTT方式のメッセージでなされるようにしたことにより、
(A)従来のHTTP等による通信と比較してデータが軽量であるため、転送量、CPU負荷、電力消費量等を従来の10分の1程度に抑えることができ、
(B)リアルタイム双方向通信が可能な通信経路であるWebSocketと、データが軽量であるMQTTを組み合わせたことによって、従来の通信方法を採用した場合よりも、情報通信端末51〜53と親機21との間のレスポンス速度が向上するので、子機25等の稼働情報のリアルタイム表示あるいは親機21への操作コマンドの反映速度向上等が実現でき、
(C)一対多の通信が可能であるため、一の管理者によって、設置された多数台を集中管理することができ、
(D)WebSocketとMQTTを組み合わせたことにより、親機21の設置時に、ポート開放等の特別な設定を行うこと無く、親機21を設置施設のLAN等のネットワーク環境に接続するだけで、インターネットへ接続することができるので、設置の際の手間が少なくて済み、
(E)MQTTに特有の機能「Will」によって、子機や親機との通信切断を知ることができる、
という効果を奏する。
【0104】
なお、既に特許文献1の電力デマンド管理システム9を設置している場合は、既設の親機91を、本実施の形態における親機21に交換するだけで、電力デマンド遠隔管理システム1にグレードアップすることができる。つまり、親機21への交換のみで済むため(全機器の入れ替え不要)、設置コスト低減および施工期間の短縮化が可能となる。
【0105】
本実施の形態において、アラートは、例えば、設定値に達した場合に発せられる警報、設定値までの余力値が25%を切った際に発せられる注意報、設定値までの余力値が15%を切った際に発せられる警報、設定値までの余力値が5%を切った際に発せられる限界等の各種信号に設定することができ、これらの数値、アラートの種別は利用者のニーズに応じて適宜設定することができる。
【0106】
つまり、本実施の形態におけるデマンドコントローラ2a等は、デマンド数値を超えないように画一的に出力制限するような従来のデマンド管理機器と異なり、利用者の利便性が向上し、かつ、省エネルギー性も向上したものである。デマンドコントローラ2a等の運用により、デマンド上限値の超過が防止されるため、電力契約改定によるランニングコストの増加が抑制され、また、昨今の電力供給量減少に伴って見直されつつある省エネルギー活動の実現にも繋がる。
【0107】
また、端末機器増設にあたって子機を増やす場合も、親機21のプログラム設定を変更するのみで済むため、新たな全機器の入れ替えが不要で、設置コスト低減および施工期間の短縮化が可能となる。なお、デマンドコントローラ2aは、制御信号を生成する機能やインターネット通信機能を親機21に集中させ、各子機25を単純化した構成とすることで製造コストを抑制し、ひいては、端末機器301等の増加に伴う子機25の増設による導入コストも抑制できる。
【0108】
本明細書および特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。