特許第6681285号(P6681285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681285
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20200406BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20200406BHJP
   B65D 50/06 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   A61J1/05 313A
   B65D41/04
   B65D50/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-124656(P2016-124656)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-225690(P2017-225690A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】前田 健一郎
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−054492(JP,A)
【文献】 特開2015−081107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
B65D 41/04
B65D 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状の注出部を有し内容物を収容する容器本体と、
前記注出部に着脱自在に螺合するキャップ部とを備え、
前記注出部は、軸方向の先端側に配置され外周面に前記軸周りに第1ネジ部が形成された第1注出部と、
前記軸方向の基端側に配置され、前記第1注出部の外周面よりも外径が大きい外周面に前記軸周りに第2ネジ部が形成された第2注出部とを有し、
前記キャップ部は、前記第1ネジ部に螺合する第3ネジ部を内周面に有する筒状の内キャップと、前記第2ネジ部に螺合する第4ネジ部を内周面に有し、前記内キャップの外周面を覆う外キャップとを有し、
前記内キャップは、外周面に周方向に間隔をあけて複数の係合凹部が設けられ、
前記外キャップは、前記第4ネジ部と前記第2ネジ部との螺合が外れた状態で前記軸方向の先端側に移動したときに、前記係合凹部に挿入されて前記内キャップと周方向に係合可能な係合凸部を有し、
前記第4ネジ部は、周方向に間隔をあけて複数に分割され、
前記係合凸部は、前記周方向に分割された前記第4ネジ部であることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記係合凹部には、挿入された前記係合凸部の前記係合凹部からの抜け止め部が設けられていることを特徴とする請求項に記載の容器。
【請求項3】
前記内キャップの前記基端側の端部には、前記係合凸部の前記係合凹部への挿入をガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とは、前記軸周り方向で互いに逆向きに形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記外キャップは、前記先端側の端部から前記軸に向けて延出する延出部と、前記軸方向に前記延出部を貫通する開口部とを有し、
前記内キャップが前記第1注出部に螺合し、前記外キャップが前記第2注出部に螺合したときに、前記内キャップは、前記先端側の端面が前記延出部に係合していることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
誤飲を防ぐためのチャイルドレジスタンス機能を有する容器としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された容器が提供されている。特許文献1には、容器本体の小径部に小キャップを螺合させるとともに、容器本体の大径部に小キャップとは逆ネジの大キャップを螺合させ、小キャップのフランジと大キャップのフランジとが係合することにより、小キャップを容易に開栓させない容器の構成が開示されている。また、特許文献2には、小径部と大径部とを有するキャップの内周面に逆ネジとなるネジ山をそれぞれ設け、小径部と大径部とを有する容器本体の外周面にキャップのネジ山と噛み合うネジ山を設け、キャップの逆ネジのネジ山の間隔を、容器本体の逆ネジのネジ山の間隔よりも広くすることによりキャップを容易に開栓させない容器の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭47−022904号公報
【特許文献2】実開昭58−038541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
キャップ自体の口径が小さく、乳幼児が把持したり、口に咥えたりしやすい形状となっており、嵌合トルクも比較的低く設定されているため、乳幼児がキャップを口に咥え、把持した容器本体を一定方向に手でひねるか、引っ張ることでキャップが外れる可能性がありチャイルドレジスタンス機能が十分とは言えなかった。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、チャイルドレジスタンス機能を高めた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、軸状の注出部を有し内容物を収容する容器本体と、前記注出部に着脱自在に螺合するキャップ部とを備え、前記注出部は、軸方向の先端側に配置され外周面に前記軸周りに第1ネジ部が形成された第1注出部と、前記軸方向の基端側に配置され、前記第1注出部の外周面よりも外径が大きい外周面に前記軸周りに第2ネジ部が形成された第2注出部とを有し、前記キャップ部は、前記第1ネジ部に螺合する第3ネジ部を内周面に有する筒状の内キャップと、前記第2ネジ部に螺合する第4ネジ部を内周面に有し、前記内キャップの外周面を覆う外キャップとを有し、前記内キャップは、外周面に周方向に間隔をあけて複数の係合凹部が設けられ、前記外キャップは、前記第4ネジ部と前記第2ネジ部との螺合が外れた状態で前記軸方向の先端側に移動したときに、前記係合凹部に挿入されて前記内キャップと周方向に係合可能な係合凸部を有することを特徴とする容器が提供される。
【0007】
また、上記本発明の一態様に係る容器において前記第4ネジ部は、周方向に間隔をあけて複数に分割され、前記係合凸部は、前記周方向に分割された前記第4ネジ部であることを特徴とする。
【0008】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記係合凸部は、前記外キャップの内周面に前記第4ネジ部よりも前記先端側に設けられた突起部であることを特徴とする。
【0009】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記係合凹部には、挿入された前記係合凸部の前記係合凹部からの抜け止め部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記内キャップの前記基端側の端部には、前記係合凸部の前記係合凹部への挿入をガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とは、前記回転軸線周り方向で互いに逆向きに形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、上記本発明の一態様に係る容器において、前記外キャップは、前記先端側の端部から前記回転軸線に向けて延出する延出部と、前記回転軸線方向に前記延出部を貫通する開口部とを有し、前記内キャップが前記第1注出部に螺合し、前記外キャップが前記第2注出部に螺合したときに、前記内キャップは、前記先端側の端面が前記延出部に係合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、チャイルドレジスタンス機能を高めた容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態を示す図であって、容器1の分解斜視図である。
図2】キャップ部20が注出部30に螺合して閉栓状態となったときの部分断面図である。
図3】内キャップ60の断面図である。
図4】(a)は、図1における外キャップ70のA−A線視断面図であり、(b)は、図1における外キャップ70のB−B線視断面図である。
図5】内キャップ60および外キャップ70を操作して開栓する動作を示す図である。
図6】内キャップ60および外キャップ70を操作して開栓する動作を示す図である。
図7】内キャップ60および外キャップ70を操作して開栓する動作を示す図である。
図8】内キャップ60および外キャップ70を操作して開栓する動作を示す図である。
図9】閉栓時の内キャップ60および外キャップ70を示す断面図である。
図10】内キャップ60の変形例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の容器の実施の形態を、図1ないし図10を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0016】
図1は、容器1の分解斜視図である。容器1は、例えば、点眼剤等の液体を内容物として収容する容器である。容器1は、容器本体10とキャップ部20とを備えている。容器本体10およびキャップ部20は、例えば、樹脂材で形成されている。
【0017】
容器本体10は、直方体形状の筺体部11と、筺体部11の上面(一面)から突出して設けられた軸状の注出部30とを有している。注出部30の先端には、注出口2を有する中栓3が、例えば、螺合、圧入、接着等により固定されている。
【0018】
注出部30は、軸AX方向の先端側(以下では、単に先端側と称する)に配置された第1注出部40と、軸AX方向の基端側(以下では、単に基端側と称する)に配置された第2注出部50とを有している。第1注出部40は、第2注出部50の段部45上に設けられている。第1注出部40の外周面には、雄ネジとして軸AX周りに右ネジの第1ネジ部41が形成されている。第2注出部50の外周面は、第1注出部40および第1ネジ部41の外形よりも大きな外径に形成されている。第2注出部50の外周面には、雄ネジとして軸AX周りに第1ネジ部41とは逆ネジである左ネジの第2ネジ部51が形成されている。
【0019】
キャップ部20は、内キャップ60と外キャップ70とを含む。図2は、キャップ部20が注出部30に螺合して閉栓状態となったときの部分断面図である。図3は、内キャップ60の断面図である。図2および図3に示すように、内キャップ60は、有蓋円筒状に形成されており、蓋部61と円筒部63とを有している。蓋部61は円筒部63の先端側を閉塞している。
【0020】
内キャップ60の円筒部63の内周面には、第1注出部40の第1ネジ部41に着脱自在に螺合する雌ネジである第3ネジ部64が形成されている。内キャップ60の蓋部61には、基端側に突出する栓部62が設けられている。栓部62は、第3ネジ部64が第1ネジ部41に螺合して内キャップ60が基端側に移動したときに中栓3の注出口2を閉塞する。以下の説明では、栓部62が注出口2を閉塞したときの内キャップ60の位置(図2に示される位置)を適宜、閉栓位置と称する。
【0021】
図1乃至図3に示されるように、内キャップ60(筒部63)の外周面には、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では90°間隔で4つ)の係合凹部65が所定の周長で設けられている。各係合凹部65は、周方向では係合面69の間に形成され(図1参照)、軸AX方向では係合面66よりも基端側に形成されている(図2および図3参照)。各係合凹部65の基端側は、開口している。各係合凹部65の底面67には、基端側の端部近傍に抜け止め部68が外周側に突出して形成されている。抜け止め部68の最大外径は、円筒部63の外径よりも小さい値に設定されている。
【0022】
図4(a)は、図1における外キャップ70のA−A線視断面図であり、図4(b)は、図1における外キャップ70のB−B線視断面図である。図1乃至図4に示されるように、外キャップ70は、軸AX方向に延びる円筒部71と、円筒部71の先端側の端部から軸AXに向けて延出する延出部72とを有している。延出部72には、軸AX方向に貫通する開口部73が形成されている。開口部73の外径は、内キャップ60の外周面の外径よりも小さい。
【0023】
円筒部71の内径は、内キャップ60(筒部63)の外径よりも大きく設定されている。外キャップ70は、図2に示されるように、先端側から内キャップ60に被せられている。外キャップ70の円筒部71は、内キャップ60の外周面を覆っている。外キャップ70の円筒部71は、内キャップ60の外周面を覆っている。外キャップ70の延出部72は、閉栓位置において内キャップ60の先端側の端面に係合している。図1および図4に示されるように、外キャップ70には、軸AXを中心とする放射状に延出部72から円筒部71の先端側に亘るスリット74が形成されている。スリット74は、軸AX周りに等間隔に複数(図1では、60°間隔で6つ)配置されている。
【0024】
図4(a)、(b)に示されるように、円筒部71の内周面には、第2注出部50の第2ネジ部51に着脱自在に螺合する雌ネジである第4ネジ部75が形成されている。第4ネジ部75の内径は、図2に示されるように、内キャップ60における筒部63の外径および抜け止め部68の最大外径よりも小さく、且つ、係合凹部65の底面67の最大外径よりも大きい値に設定されている。第4ネジ部75における軸AX方向の最も先端側の位置は、第4ネジ部75と第2ネジ部51との螺合が解除された際にも(図6参照、詳細は後述)、閉栓位置にある内キャップ60の基端側端部よりもさらに基端側となる位置である。
【0025】
また、第4ネジ部75は、軸AX周り方向に間隔をあけて複数(本実施形態では)に90°間隔で4つに分割された形状を有している。第4ネジ部75の分割数および分割ピッチは、係合凹部65の配置数および配置ピッチと同一である。分割された形状の各第4ネジ部75は、係合凹部65に挿入される係合凸部76を構成する。係合凸部76の周長Wは、係合凹部65の周長よりも短く形成されている。
【0026】
上記構成の容器1は、まず、内キャップ60を外キャップ70の内部に装着した後に、後述するように、内キャップ60を第1注出部40に螺合させた後に、外キャップ70を第2注出部50に螺合させることにより、図2に示した閉栓状態となる。内キャップ60を外キャップ70の内部に装着する際には、外キャップ70の開口部73に対して先端側から内キャップ60を圧入して挿入する。このとき、外キャップ70には、延出部72から円筒部71の先端側に亘るスリット74が形成されているため、内キャップ60を開口部73から圧入する際には、スリット74で分割された延出部72および円筒部71の一部が径方向の外側に弾性変形することにより、外キャップ70を破損させることなく内キャップ60を外キャップ70の内部に装着することができる。
【0027】
次に、図2に示した閉栓位置にある内キャップ60および外キャップ70を操作して開栓する動作について、図5乃至図8を参照して説明する。
まず、図5に示すように、例えば、円筒部71の外周面を把持して外キャップ70を容器本体10に対して軸AX周りの右方向(時計回り方向)に回転させる。外キャップ70の第4ネジ部75が螺合する第2ネジ部51は左ネジであるため、右方向の回転により外キャップ70は軸AX方向の先端側に移動し、図6に示すように、第4ネジ部75と第2ネジ部51との螺合は解除される。
【0028】
このとき、内キャップ60の外周面は外キャップ70によって覆われており、また、外キャップ70は内キャップ60とは独立して回転するため、内キャップ60を直接操作して回転させることはできず、また、外キャップ70を回転させても内キャップ60は回転しない。従って、内キャップ60は第1注出部40から離脱することはなく、閉栓状態が維持される。
【0029】
第4ネジ部75と第2ネジ部51との螺合が解除されると、図7に示すように、外キャップ70を容器本体10に対して軸AX方向の先端側に引き上げて移動させる。これにより、図8に示すように、外キャップ70における分割された形状の第4ネジ部75は、係合凸部76として、内キャップ60の係合凹部65に挿入される。なお、係合凸部76と係合凹部65との周方向の位置がずれており、係合凸部76を係合凹部65に挿入できない場合には、外キャップ70を回転させて周方向の位置ずれを修正した後に、外キャップ70を先端側に引き上げればよい。
【0030】
外キャップ70の係合凸部76が係合凹部65に挿入されると、外キャップ70を容器本体10に対して軸AX周りの左方向(反時計回り方向)に回転させる。このとき、外キャップ70の係合凸部76は、内キャップ60の係合凹部65に挿入されているため、外キャップ70左方向の回転により、係合凸部76は、内キャップ60における周方向の左側に位置する係合面69に係合する。係合凸部76が係合面69に係合した状態で外キャップ70を軸AX周りの左方向に回転させることにより、内キャップ60は左方向に回転する。また、内キャップ60における係合凸部76よりも基端側には、軸AX方向に係合凸部76と重複する抜け止め部68が設けられているため、外キャップ70の回転操作時に外キャップ70の把持を解除した場合でも、係合凸部76が抜け止め部68に係合することにより、係合凸部76が係合凹部65から離脱することを回避できる。
【0031】
内キャップ60の第3ネジ部64は、第1注出部40に形成された右ネジの第1ネジ部41と螺合しているため、内キャップ60が左方向に回転することにより、内キャップ60は軸AX方向に移動して第1ネジ部41と第3ネジ部64との螺合が解除され、キャップ部20は開栓される。
【0032】
一方、容器本体10から取り外したキャップ部20を用いて閉栓する場合には、図9に示すように、自重により内キャップ60が基端側に下がっても係合凸部76が係合面66に係合することにより、係合凸部76が係合凹部65に挿入された状態は維持される。
【0033】
そして、内キャップ60の内部空間に第1注出部40を挿入した状態で外キャップ70を右方向に回転させることにより、外キャップ70の係合凸部76が内キャップ60における周方向の右側に位置する係合面69に係合する。係合凸部76が係合面69に係合した状態で外キャップ70を軸AX周りの右方向に回転させることにより、内キャップ60は右方向に回転し第3ネジ部64が第1注出部40の第1ネジ部41に螺合する。
【0034】
内キャップ60の右方向への回転が進み、内キャップ60が閉栓位置に達すると、外キャップ70を軸AX方向の基端側に押し込んで移動させ、抜け止め部68を乗り越えさせて係合凸部76を係合凹部65から離脱させる。係合凸部76が係合凹部65から離脱すると、外キャップ70を軸AX周りの左方向に回転させることにより、第4ネジ部75が第2注出部50の第2ネジ部51に螺合する。外キャップ70の左方向への回転が進み、図2に示したように、外キャップ70の延出部72が、閉栓位置にある内キャップ60の蓋部61に係合することにより、外キャップ70についても閉栓位置に達する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の容器1は、外キャップ70が内キャップ60の外周面を覆って内キャップ60の直接的な操作を不能とし、外キャップ70の回転操作、外キャップ70の軸AX方向先端側への引き上げ操作、外キャップ70を介した内キャップ60の回転操作を順次経ることにより、容器本体10に対してキャップ部20の開栓が可能になるため、乳幼児が把持したり、口に咥えた場合でも開栓することは困難であり、高度のチャイルドレジスタンス機能を有している。
【0036】
また、本実施形態の容器1は、係合凹部65に抜け止め部68が設けられているため、外キャップ70の回転操作時に外キャップ70の把持を解除した場合でも、係合凸部76が係合凹部65から離脱することを回避できる。また、本実施形態の容器1においては、第1ネジ部41と第2ネジ部51とが互いに逆向きに形成されているため、例えば、キャップ部の開閉操作を憶えたばかりの幼児が操作した場合でも、簡単に開栓してしまうことを回避できる。
【0037】
また、本実施形態の容器1は、閉栓位置において、内キャップ60の先端側の端面が外キャップ70の延出部72に基端側から係合しているため、幼児の指や口が延出部72の開口部73に引っ掛かりづらくすることができる。
【0038】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態では、係合凸部76として、周方向に分割された第4ネジ部75を例示したが、この構成に限定されるものではなく、外キャップ70の内周面に、第4ネジ部75とは別に第4ネジ部75よりも先端側に突起部を設ける構成してもよい。この構成を採る場合には、突起部の軸AX方向の位置は、第4ネジ部75と第2ネジ部51との螺合が解除された際にも)、閉栓位置にある内キャップ60の基端側端部よりもさらに基端側となる位置に設定される。そして、外キャップ70を右方向に回転させ、第4ネジ部75と第2ネジ部51との螺合を解除した後に、外キャップ70を引き上げることにより、突起部を係合凹部65に挿入させる。この後、上述したように、外キャップ70を左方向に回転させることにより、突起部が内キャップ60の係合面69に係合して内キャップ60を回転させ開栓することができる。従って、係合凸部76として突起部を設ける構成を採る場合には、上述した係合凸部76として第4ネジ部75を分割した形状とする場合と同様の作用・効果が得られることに加えて、第4ネジ部75を分割した形状とする必要がなくなり、外キャップ70の製造が容易になるという効果が得られる。
【0040】
また、上記実施形態における内キャップ60については、図10に示すように、係合凸部76の係合凹部65への挿入をガイドするガイド部65aを設ける構成としてもよい。ガイド部65aとしては、例えば、各係合面69の基端側端部に形成され、基端側に向かうに従って係合凹部65の周方向の幅が拡がる方向に傾斜する傾斜面とすることができる。ガイド部65aが設けられている場合には、外キャップ70を回転して第4ネジ部75と第2ネジ部51との螺合を解除した後に、外キャップ70を引き上げて係合凸部76を係合凹部65へ挿入する際の操作性を向上させることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、第1ネジ部41と第2ネジ部51とが逆ネジである構成を例示したが、同一方向に形成されたネジであっても本発明を適用可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、容器1を点眼剤の収容に用いる構成を例示したが、点眼剤に限定されるものではなく、洗剤、農薬、接着剤等、チャイルドレジスタンス機能を有する容器に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…容器、 10…容器本体、 20…キャップ部、 30…注出部、 40…第1注出部、 41…第1ネジ部、 50…第2注出部、 51…第2ネジ部、 60…内キャップ、 64…第3ネジ部、 65…係合凹部、 68…抜け止め部、 70…外キャップ、 72…延出部、 73…開口部、 75…第4ネジ部、 76…係合凸部、 AX…軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10