(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
車輌や他の構造物に設けられる各部、例えば、車輌用灯具においては、カバーとランプハウジングによって形成された内部空間に光源が配置され、光源から出射された光がカバーを透過されて外部へ向けて照射される。光源に対する電源の供給は車輌に設けられた電源回路から行われる。
【0004】
このような車輌用灯具には、光源に対する電源の供給がプラグ、接続端子及び基板を介して行われるように構成された電気接続用端子構造が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。接続端子はターミナルとも称される。
【0005】
電源回路には接続ケーブルを介してプラグが接続され、基板の導通部に一対の接続端子が接続されている。一対の接続端子は一方がプラス端子として機能し他方がマイナス端子として機能している。プラス端子とマイナス端子は並んで基板に接続(結合)され、接続端子には基板に結合される結合部とプラグが接続される端子部とが設けられている。
【0006】
電源回路から供給された電源は、順に接続ケーブル、プラグ、接続端子及び導通部を経て光源に供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような一対の接続端子を有する電気接続用端子構造にあっては、プラス端子とマイナス端子が並んで基板に接続され、プラグの形状等によってプラス端子の端子部とマイナス端子の端子部との距離が定められる。
【0008】
このように、一対の接続端子は所定の方向において並んで配置されるため、各結合部間の適切な距離を確保して接続端子同士の接触による短絡の発生を防止する必要があるが、各結合部の基板に対する位置によっては一対の接続端子における基板に対する配置スペースが大きくなり、基板の小型化が阻害され車輌用灯具等の電気接続用端子構造が設けられる各部の小型化を図ることができなくなるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明電気接続用端子構造は、上記した問題点を克服し、一対の接続端子における端子部間の適切な距離を確保した上で、一対の接続端子における基板に対する配置スペースを小さくして電気接続用端子構造が設けられる各部の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1に、本発明に係る電気接続用端子構造は、導通部が形成された基板と、所定の方向において並んで位置された状態で導通部に接続されると共にプラグが着脱される一対の接続端子とを備え、前記接続端子は前記基板に結合される結合部と前記結合部に連続された連結部と前記連結部に連続され前記プラグが接続される端子部とを有し、前記一対の接続端子が並ぶ方向を並び方向としたときに、前記結合部の前記並び方向における中央と前記端子部の前記並び方向における中央とが前記並び方向において異なる位置にされ
、前記並び方向と直交する方向において、一方の前記接続端子における前記結合部と前記端子部の位置関係が他方の前記接続端子における前記結合部と前記端子部の位置関係に対して反対にされたものである。
【0011】
これにより、並び方向において結合部間の距離より端子部間の距離を小さくすることが可能になる。
また、並び方向と直交する方向において結合部が離隔して位置されるため、結合部同士が接触し難い。
【0012】
第2に、上記した本発明に係る電気接続用端子構造においては、前記端子部が前記基板の厚み方向及び前記並び方向にともに直交する方向における前記結合部の両端より内側に位置されることが望ましい。
【0013】
これにより、基板の厚み方向及び並び方向にともに直交する方向において端子部が結合部の内側に位置されるため、基板の厚み方向及び並び方向にともに直交する方向における接続端子の基板に対する配置スペースが小さくなる。
【0014】
第3に、上記した本発明に係る電気接続用端子構造においては、前記端子部の少なくとも一部が前記並び方向において前記結合部より外側に位置された外出部として設けられ、前記一対の接続端子は前記外出部が前記並び方向において隣り合う状態で位置されることが望ましい。
【0015】
これにより、結合部間の距離が端子部間の距離より大きくなる。
【0016】
第4に、上記した本発明に係る電気接続用端子構造においては、前記連結部が前記結合部と前記端子部に対して屈曲された形状に形成されることが望ましい。
【0017】
これにより、連結部は結合部と端子部が離接する方向において弾性変形可能とされる。
【0020】
第
5に、上記した本発明に係る電気接続用端子構造においては、前記基板には前記接続端子の一部が挿入される二つの挿入孔が形成され、前記結合部には前記基板上に配置される配置部と前記配置部に対して折り曲げられ前記二つの挿入孔にそれぞれ挿入される二つの挿入部と前記二つの挿入部にそれぞれ連続され前記二つの挿入孔から前記配置部の反対方向に突出される二つの突出部とが設けられ、前記二つの突出部が前記挿入部に対して互いに近付く方向に折り曲げられ、折り曲げられた前記二つの突出部が前記基板の厚み方向に直交する方向において隣接又は離隔して位置されることが望ましい。
【0021】
これにより、基板の厚み方向に直交する方向において挿入部が突出部より大きくなり、挿入孔に対する大きな挿入部分が確保された上で接続端子の配置スペースが小さくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、並び方向において結合部間の距離より端子部間の距離を小さくすることが可能になるため、一対の接続端子における端子部間の適切な距離を確保した上で、一対の接続端子の基板に対する配置スペースを小さくして電気接続用端子構造が設けられる各部の小型化を図ることができる。
また、並び方向と直交する方向において結合部が離隔して位置されるため、結合部同士が接触し難い。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明電気接続用端子構造を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0025】
以下に示した実施の形態は、本発明電気接続用端子構造を車輌用灯具であるハイマウントストップランプにおける電気接続用端子構造に適用したものである。尚、本発明の適用範囲は、ハイマウントストップランプにおける電気接続用端子構造に限られることはなく、ヘッドランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ等又はこれらの組み合わせであるコンビネーションランプ等の各種の車輌用灯具における電気接続用端子構造に広く適用することができる。また、本発明電気接続用端子構造は車輌用灯具以外の車輌の各部における電気接続用端子構造や車輌以外の他の構造物の各部における電気接続用端子構造に広く適用することができる。例えば、車輌用灯具においては、光軸を調整するためのレベリングアクチュエーターやスイブルアクチュエーター等の車輌用電装品における電気接続用端子構造に広く適用することができる。
【0026】
車輌用灯具1は、例えば、車輌の車内における後端部に取り付けられて配置されている。
【0027】
車輌用灯具1は後端に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の後面に取り付けられたカバー3とを備えている(
図1及び
図2参照)。ランプハウジング2とカバー3によって形成された内部空間は灯室とされている。
【0028】
ランプハウジング2は前後方向を向く横長のベース面部4とベース面部4における外周部の一部を除く部分から前方に突出された周面部5とを有している。ベース面部4には長手方向における一端部にコード挿通孔4aが形成されている。
【0029】
ランプハウジング2には突状配置部6が設けられ、突状配置部6はベース面部4と周面部5の左右方向における中央部から上方に突出されている。
【0030】
カバー3には、例えば、内面に図示しない複数のレンズステップが形成されている。
【0031】
灯室には横長の光源搭載基板7が配置されている。光源搭載基板7には図示しない回路パターンが形成されている。
【0032】
光源搭載基板7の後面には光源8、8、・・・が等間隔に左右に離隔して搭載されている。光源8としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子が用いられている。光源8、8、・・・から出射された光は、例えば、カバー3に形成されたレンズステップによって制御され、カバー3を透過されて後方へ向けて照射される。
【0033】
ランプハウジング2の内部には基板9が配置されている。基板9は横長の略矩形状に形成された基部10と基部10の長手方向における中央部から上方に突出された突状搭載部11とから成る。基板9には図示しない銅箔等のパターンとして形成された導電部が設けられている。
【0034】
基部10には抵抗等の図示しない電子部品が搭載されている。基部10の長手方向における一端部には接続用のコネクター12が搭載されている。コネクター12は導電部に接続され、コネクター12には接続コード13の一端部が接続されている。接続コード13はランプハウジング2のコード挿通孔4aを挿通されて他端部が光源搭載基板7に接続されている。
【0035】
突状搭載部11には四つの挿通孔11a、11a、・・・が左右に離隔して形成されている。突状搭載部11には一対の接続端子14、14が左右方向において並んで接続(結合)され、接続端子14、14の各一部が挿通孔11a、11a、・・・に挿通された状態にされている。接続端子14、14は一方がプラス端子として機能し他方がマイナス端子として機能する。
【0036】
接続端子14は板状の金属材料が所定の形状に折り曲げられて形成され、それぞれ板状に形成された結合部15と連結部16と端子部17を有している(
図3乃至
図5参照)。
【0037】
結合部15は前後方向を向く略矩形の配置部15aと配置部15aの左右両側縁から同じ方向に突出された挿入部15b、15bと挿入部15b、15bにそれぞれ連続された突出部15c、15cとから成る。
【0038】
配置部15aは接続端子14が基板9に結合された状態において、基板9の前面9a上に配置される部分である。挿入部15b、15bは配置部15aに対して直交する向きに形成され、それぞれ基板9の挿通孔11a、11aに前方から挿入される部分である。突出部15c、15cは挿入部15b、15bが挿通孔11a、11aに挿入された状態において基板9から前方に突出され、互いに近付く方向に折り曲げられる部分である。突出部15c、15cが互いに近付く方向に折り曲げられることにより、接続端子14の基板9からの脱落が防止される。
【0039】
連結部16は配置部15aの挿入部15b、15bが連続されていない一方の端縁に連続され、略90°折り曲げられた形状に形成されている。連結部16は配置部15aに連続された立上部16aと立上部16aに対して配置部15a側に折り曲げられた折返部16bとから成る。立上部16aは配置部15aに対して略90°折り曲げられ、折返部16bは立上部16aに対して略90°折り曲げられて配置部15aと平行な状態にされている。
【0040】
立上部16aは左右方向において傾斜された状態に形成され、折返部16bが配置部15aの左右方向における中央に対して左右方向に変位した位置において配置部15aに対向されている(
図6参照)。
【0041】
端子部17は前後に延び上下方向を向く板状に形成され、折返部16bに対して略90°折り曲げられて形成されている(
図3乃至
図5参照)。端子部17は折返部16b側の端部17aを除く部分が肉厚部17bとして設けられ、肉厚部17bが端部17aより厚みが厚くされ高い剛性が確保されている。
【0042】
接続端子14、14が並ぶ方向を並び方向とすると、立上部16aが並び方向において傾斜されているため、結合部15の並び方向における中央M1と端子部17の並び方向における中央M2とが並び方向において異なる位置にされている(
図4参照)。
【0043】
端子部17は左右方向(並び方向)における一端部が配置部15aより外側に位置された外出部17cとして設けられている。また、端子部17は挿入部15b、15bの上下方向における略中央の延長線T上に位置されている(
図5参照)。従って、端子部17は結合部15の上下両端より内側に位置されている。
【0044】
接続端子14は、上記したように、挿入部15b、15bがそれぞれ基板9の挿通孔11a、11aに前方から挿入され、突出部15c、15cが互いに近付く方向に折り曲げられることにより基板9の導電部に接続される(
図4参照)。折り曲げられた突出部15c、15cは半田18によって基板9に固定される。
【0045】
このとき一方の接続端子14は連結部16が端子部17より上側に位置される向きで基板9に結合され、他方の接続端子14は連結部16が端子部17より下側に位置される向きで基板9に結合される(
図6参照)。一方の接続端子14と他方の接続端子14は並び方向(左右方向)において並んで配置される。
【0046】
接続端子14、14は端子部17、17が左右方向において最も近付いて位置され、結合部15、15間の距離L1より端子部17、17間の距離L2が小さくされている。このとき端子部17、17は上下方向における位置が同じにされ、真横に位置されている。
【0047】
基板9は接続端子14、14が結合された状態において、基部10がランプハウジング2の内部に挿入されベース面部4に対向して位置され、突状搭載部11がランプハウジング2の内部に挿入され突状配置部6に位置される。
【0048】
ランプハウジング2に基板9が挿入されて配置された状態において、ランプハウジング2には前方からカバーパネル19が取り付けられる(
図1及び
図2参照)。
【0049】
カバーパネル19は前後方向を向く横長の閉塞面部20と閉塞面部20の左右方向における中央部の上端部から前方に突出された環状のプラグ接続部21とを有している。カバーパネル19がランプハウジング2に取り付けられた状態においては、閉塞面部20によって基板9の基部10が閉塞され、プラグ接続部21が基板9の突状載置部11に突き当てられて接続端子14、14がプラグ接続部21の内部に位置される。
【0050】
プラグ接続部21にはプラグ22が挿入され(
図2参照)、プラグ22の図示しないプラス電極とマイナス電極がそれぞれ接続端子14、14に接続される。プラグ22は接続ケーブル23を介して図示しない電源回路に接続されている。
【0051】
プラグ22が接続端子14、14に接続された状態において、電源回路から供給された電源は、順に接続ケーブル23、プラグ22、接続端子14、14、基板9の導通部、コネクター12、接続コード13及び光源搭載基板7を経て光源8、8、・・・に供給される。光源8、8、・・・に電源が供給されると、光源8、8、・・・から光が出射され、出射された光がカバー3のレンズステップによって制御されて外部へ向けて照射される。
【0052】
尚、上記には、カバー3の内面にレンズステップが形成された例を示したが、これに代えてカバー3の内面側に制御部材が配置され、光源8、8、・・・から出射された光が制御部材によって制御されて外部へ向けて照射される構成にすることも可能である。
【0053】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、接続端子14に結合部15と連結部16と端子部17が設けられ、結合部15の並び方向における中央M1と端子部17の並び方向における中央M2とが並び方向において異なる位置にされている(
図4参照)。
【0054】
従って、結合部15、15間の距離L1より端子部17、17間の距離L2を小さくすることが可能になるため、端子部17、17間の適切な距離を確保した上で、接続端子14、14の基板9に対する配置スペースを小さくして基板9及び車輌用灯具1の小型化を図ることができる。
【0055】
また、接続端子14は端子部17が結合部15の上下両端より内側に位置されている(
図5参照)。
【0056】
従って、基板の厚み方向及び前記並び方向にともに直交する方向である上下方向において端子部が結合部の内側に位置されるため、基板の厚み方向及び前記並び方向にともに直交する方向における接続端子の基板に対する配置スペースが小さく、基板9及び車輌用灯具1の一層の小型化を図ることができる。
【0057】
さらに、端子部17、17の一部がそれぞれ結合部15、15より外側に位置された外出部17c、17cとして設けられ、接続端子14、14は外出部17c、17cが並び方向において隣り合う状態で位置されている(
図4参照)。
【0058】
従って、結合部15、15間の距離が端子部17、17間の距離より大きくなり、結合部15、15同士の干渉による短絡の発生を防止することができる。
【0059】
さらにまた、連結部16が結合部15と端子部17に対して屈曲された形状に形成されている。
【0060】
従って、連結部16は結合部15と端子部17が離接する方向において弾性変形可能とされる(
図7参照)ため、プラグ22の接続端子14への接続時及び接続の解除時に連結部16が弾性変形されてプラグ22から結合部15に力が伝達され難く、結合部15の基板9に対する安定した結合状態を確保することができる。
【0061】
加えて、並び方向と直交する方向において、一方の接続端子14における結合部15と端子部17の位置関係が他方の接続端子14における結合部15と端子部17の位置関係に対して反対にされている。具体的には、
図6に示すように、一方の接続端子14は連結部16が端子部17より上側に位置される向きで基板9に結合され、他方の接続端子14は連結部16が端子部17より下側に位置される向きで基板9に結合されている。
【0062】
従って、並び方向と直交する方向において結合部15、15が離隔して位置されるため、結合部15、15同士が接触し難く、結合部15、15の大きさに拘わらず並び方向において接続端子14、14を近付けて配置することができ、接続端子14、14の並び方向における配置スペースが小さく、基板9及び車輌用灯具1の小型化を図ることができる。
【0063】
尚、上記には、連結部16が略直交する状態で折り曲げられた立上部16aと折返部16bから成る接続端子14の例を示したが、例えば、接続端子14Aとして連結部16に代えて曲面状に形成された連結部16Aが設けられていてもよい(
図8参照)。
【0064】
接続端子14Aのように連結部16Aが曲面状に形成されることにより、プラグ22の接続端子14Aへの接続時及び接続の解除時に連結部16Aが弾性変形されるときに連結部16Aの一部に応力集中が生じ難く、接続端子14Aの割れや損傷の発生を防止することができる。
【0065】
また、接続端子14や接続端子14Aに代えて突出部の形状が異なる接続端子14Bを用いることも可能である(
図9及び
図10参照)。
【0066】
接続端子14Bは結合部15が配置部15aと挿入部15b、15bと突出部15d、15dとから成り、一方の突出部15dが挿入部15bの連結部16側における半部から突出され、他方の突出部15dが挿入部15bの連結部16とは反対側における半部から突出されている。
【0067】
従って、挿入部15b、15bがそれぞれ挿通孔11a、11aに挿入されて突出部15d、15dが互いに近付く方向に折り曲げられた状態において、突出部15d、15dが基板9の厚み方向に直交する方向、即ち、前後方向に直交する面内方向において隣接又は離隔して位置される(
図10参照)。
【0068】
このように突出部15d、15dが隣接又は離隔して位置されるため、折り曲げられた突出部15d、15dが重ならない状態になり、接続端子14、14の基板9に対する配置スペースが小さく、基板9及び車輌用灯具1の小型化を図ることができる。
【0069】
また、基板9の厚み方向及び並び方向にともに直交する方向において、突出部15d、15dが挿入部15b、15bより小さくされている。
【0070】
従って、基板9の厚み方向及び並び方向にともに直交する方向において、て挿入部15b、15bが突出部15d、15dより大きくなり、挿入孔11a、11aに対する大きな挿入部分(挿入部15b、15b)が確保された上で接続端子14、14の配置スペースが小さくなり、接続端子14、14の基板9に対する安定した結合状態を確保した上で基板9及び車輌用灯具1の小型化を図ることができる。