(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1受光部と前記第2受光部が、前記所定領域を臨む外縁に重なるように配置された導光体を有し、それぞれ該導光体に入射された前記第1ビームと前記第2ビームを受光する、ことを特徴とする請求項1に記載の光学的位置検出装置。
複数の請求項1から請求項5のいずれかの記載の光学的位置検出装置が、前記所定領域を臨む異なる位置にそれぞれ配置されている、ことを特徴とする光学的位置検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載されている位置検出方法では、指または指示物に遮光、散乱されたレーザ光線と、光再帰性反射体に反射された反射光とが、受光部に戻る光量差を受光部にて検知、位置座標を算出している。
この方法で三角測量するためには、異なる位置に備えられた少なくとも一対の発光部、一対の受光部、一対の偏向部、一対の走査部を必要としており部品点数的にも多く装置が大型化や複雑化する場合があった。
【0006】
さらに、特許文献1、2に記載されている位置検出方法で、複数の指示物を確実に三角測量する為には、指示物数以上の発光部、受光部、走査部、偏向部が一体となった位置検出ユニットが必要であり、それらの配置によっては、各々が外乱となりえるため、確実な検出を行うためには、各位置検出ユニット単体による走査を逐次実行する必要があり、計測に時間を要するおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、より簡単な構成であっても、測定精度を向上させるとともに部品点数が少ない光学的位置検出装置および光学的位置検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本請求項1に係る発明は、所定領域内にある指示物の位置を検出する光学的位置検出装置において、所定領域を臨むように配置され、ポリゴンミラーを有し、所定領域と平行である走査面内で光を角度走査する光走査部を備えている。
さらに、ポリゴンミラーの互いに角度を有する二つの反射面のそれぞれに光を照射する第1発光部および第2発光部と、第1発光部が発光し、ポリゴンミラーの一の反射面で反射された第1ビームを受ける第1受光部と、第2発光部が発光し、ポリゴンミラーの他の反射面で反射された第2ビームを受ける第2受光部と、を備えている。
そして、前記光走査部が、前記ポリゴンミラーを回転させて前記指示物を走査することにより前述した課題を解決するものである。
【0009】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された光学的位置検出装置に加えて、第1受光部と第2受光部が、所定領域を臨む外縁に重なるように配置された導光体を有し、それぞれ該導光体に入射された第1ビームと前記第2ビームを受光することにより前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項3に係る発明は、請求項1に記載された光学的位置検出装置に加えて、所定領域を臨む外縁に配置された再帰性反射体と、再帰性反射体から光走査部への反射光を偏向する偏向部と、を備え、第1受光部と第2受光部が、それぞれ偏向部にて偏向された第1ビームと第2ビームを受光することにより前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された光学的位置検出装置に加えて、第1発光部が、第1ビームを第1受光部に受光させるように一の反射面での第1反射位置に光を照射し、第2発光部が、第2ビームを第2受光部に受光させるように他の反射面での第2反射位置に光を照射することにより前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項5に係る発明は、請求項4に記載された光学的位置検出装置に加えて、第1反射位置と第2反射位置とが、走査面に対して垂直方向の異なる位置に配置され、第1受光部と第2受光部が、第1反射位置と第2反射位置に応じて配置されていることにより前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項6に係る発明は、複数の請求項1から請求項5のいずれかの記載の光学的位置検出装置が、所定領域を臨む異なる位置にそれぞれ配置される光学的位置検出方法により前述した課題を解決するものである。
【0014】
本請求項7に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかの記載の光学的位置検出装置を使用した光学的位置検出方法であって、第1発光部および第2発光部が、第1ビームおよび第2ビームを同時に発光し、光走査部が、ポリゴンミラーを回転させて指示物を走査し、第1受光部および第2受光部が、第1ビームおよび第2ビームの光量を受光し、受光した第1ビームおよび第2ビームの光量の時間的変化に基づいて、指示物の位置を算出することにより前述した課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の所定領域内にある指示物の位置を検出する光学的位置検出装置および光学的位置検出方法は、測定精度を向上させ、部品点数が少ないばかりでなく、以下のような特有の効果を奏する。
【0016】
本請求項1に係る発明の光学的位置検出装置によれば、所定領域を臨むように配置され、ポリゴンミラーを有し、所定領域と平行である走査面内で光を角度走査する光走査部と、ポリゴンミラーの互いに角度を有する二つの反射面のそれぞれに光を照射する第1発光部および第2発光部と、第1発光部が発光し、ポリゴンミラーの一の反射面で反射された第1ビームを受ける第1受光部と、第2発光部が発光し、ポリゴンミラーの他の反射面で反射された第2ビームを受ける第2受光部とを備え、光走査部が前記ポリゴンミラーを回転させて前記指示物を走査することにより、一つのポリゴンミラーと、この一つのポリゴンミラーによって同期した二つのレーザ光線による角度走査がされるため、部品点数の少ない簡単な構成にすることができる。
【0017】
また、この光学的位置検出装置によれば、二つのレーザ光線がそれぞれの受光部を備えて、指示物が走査されることにより、特許文献1,2にて示された技術のように指示物からの散乱光ではなく、直接照射されるレーザ光線の測定値である光量変化を使って座標を算出することができるため、微弱な散乱光に依存することなく、外乱の影響も少ない正確な位置検出を可能にして測定精度を向上させる。
【0018】
さらに、この光学的位置検出装置によれば、上記のように外乱の影響を受けにくい光量変化を計測することにより、二つのレーザ光線を同時に照射することができるため、測定時間の短縮をすることができる。
【0019】
そして、離れた箇所から二つのレーザ光線を同時に照射することにより、二つの光線の軌跡にも幅ができるため、光が遮断されることによって生ずる指示物後背の死角の面積を、従来技術における一つの発光部、受光部、走査部による走査よりも減ずることができる。
【0020】
本請求項2に係る発明の光学的位置検出装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、第1受光部と第2受光部が、所定領域を臨む外縁に重なるように配置された導光体を有し、それぞれ導光体に入射された第1ビームと第2ビームを受光することにより、特許文献1,2にて示された技術のように光再帰性反射体を使用しないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0021】
本請求項3に係る発明の光学的位置検出装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、所定領域を臨む外縁に配置された再帰性反射体と、再帰性反射体から光走査部への反射光を偏向する偏向部と、を備え、第1受光部と第2受光部が、それぞれ偏向部にて偏向された第1ビームと第2ビームを受光することにより、特許文献1,2にて示された従来技術のノウハウや経験値をそのまま反映することができるため、信頼性の高い位置検出の測定をすることができる。
【0022】
本請求項4に係る発明の光学的位置検出装置によれば、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明が奏する効果に加えて、第1発光部が、第1ビームを第1受光部に受光させるように一の反射面での第1反射位置に光を照射し、第2発光部が、第2ビームを第2受光部に受光させるように他の反射面での第2反射位置に光を照射することにより、一つの受光体に2つのビームが入射されることを防止するようにミラーの反射位置を特定されるため、二つのビームによる同時測定を行う場合でも、二つの光線が互いに影響し合うことなく、信頼性の高い位置検出の測定をすることができる。
【0023】
本請求項5に係る発明の光学的位置検出装置によれば、請求項4に係る発明が奏する効果に加えて、第1反射位置と第2反射位置とが、前記走査面に対して垂直方向の異なる位置に配置され、前記第1受光部と前記第2受光部が、前記第1反射位置と前記第2反射位置に応じて配置されていることにより、二つのビームは重ならない上下関係を確定できるため、二つのビームによる同時測定を行う場合でも、二つの光線が互いに影響し合うことなく、信頼性の高い位置検出の測定をすることができる。
【0024】
本請求項6に係る発明は、複数の請求項1から請求項5のいずれかの記載の光学的位置検出装置が、所定領域を臨む異なる位置にそれぞれ配置される光学的位置検出方法により、所定領域に複数の指示物が存在する場合であっても、複数の位置検出装置によって死角なく走査できるため、複数の指示物それぞれの位置を検出することができる。
【0025】
本請求項7に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかの記載の光学的位置検出装置を使用した光学的位置検出方法であって、第1発光部および第2発光部が、第1ビームおよび第2ビームを同時に発光し、光走査部が、ポリゴンミラーを回転させて指示物を走査し、第1受光部および前記第2受光部が、第1ビームおよび前記第2ビームの光量を受光し、受光した第1ビームおよび第2ビームの光量の時間的変化に基づいて、指示物の位置を算出することにより、指示物からの散乱光ではなく、ビームからの直接照射される光を測定するため、より正確な位置検出を可能にするとともに、二つのビームによって同時に角度走査するため、時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の光学的位置検出装置および光学的位置検出方法に係る好適な実施の形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【0028】
本発明の所定領域内にある指示物の位置を検出する光学的位置検出装置は、所定領域を臨むように配置され、ポリゴンミラーを有し、所定領域と平行である走査面内で光を角度走査する光走査部と、ポリゴンミラーの互いに角度を有する二つの反射面のそれぞれに光を照射する第1発光部および第2発光部と、第1発光部が発光し、ポリゴンミラーの一の反射面で反射された第1ビームを受ける第1受光部と、第2発光部が発光し、ポリゴンミラーの他の反射面で反射された第2ビームを受ける第2受光部と、を備え、光走査部が、前記ポリゴンミラーを回転させて前記指示物を走査する、ものであれば、その具体的態様は、いかなるものであっても構わない。
【0029】
[第1実施形態]
[全体構成の説明]
以下、本発明の第1実施形態である位置検出装置100について
図1から
図6に基づいて説明する。
ここで、
図1は本発明の第1実施形態である位置検出装置の全体を示す平面図であり、
図2は
図1に示す位置検出装置をA矢視からみた斜視図であり、
図3は
図1に示す位置検出装置を
図1のB矢視から見た側面図であり、
図4は
図1に示す位置検出装置の走査過程を説明する平面図であり、
図5は
図1に示す位置検出装置の走査過程を説明するグラフであり、
図6は座標算出のための三角測量の要領を示す模式図である。
【0030】
図1を参照すると、所定領域S内に指示物Mが配置されている。所定領域Sは、単なるボード状の面はもとより、パーソナルコンピュータ等の電子機器の表示装置であるCRTやフラットディスプレイパネル(LCD,EL等)、プラズマディスプレイ(PDP)の表示画面が該当する。
【0031】
図1において、所定領域Sは矩形状としているがこの形状に限定されず、円形でも、多角形でも良い。また、所定領域Sが設置される方向は特に限定されず、水平状に横置きされても、垂直状に縦置きされても、また斜めに置かれても良い。
また、所定領域Sの指示物Mが配置される面は、完全な水平面である必要はなく、
図1をB矢視から見た平面図である
図3に示す所定領域Sと平行する第1走査面F1、第2走査面F2が指示物Mを走査できる範囲での凹凸は許容される。
【0032】
指示物Mは、人の指やペン状の指示物が該当するが、これらに限定されることはなく、例えば、平坦な広い所定領域S上に置かれた物体(人や自動車等)にも適用でき、指示物Mは照射された走査光を遮蔽するものであれば良い。
【0033】
本実施形態に係る位置検出装置100の一実施例は、所定領域S内にある指示物Mの位置を検出するものであり、光走査部110と、第1発光部120と、第2発光部130と、第1受光部140と、第2受光部150と、から構成されている。
【0034】
光走査部110は、所定領域Sを臨むように矩形の角に配置されたポリゴンミラー111を備えている。ポリゴンミラー111は、高精度のデジタル複写機やレーザプリンター等に搭載される回転多面鏡であり、多面体の各面を鏡とし、光走査部110内に搭載されたモータなどで高速に回転させることにより、レーザを角度走査する。すなわち、回転速度が一定と考えて、鏡の面数によりレーザの走査速度とレーザの走査角度を決定することができる。本実施形態では6角柱の各側面を鏡とした一例を示しているが、4角柱や8角柱等の多角柱でも良い。
【0035】
第1発光部120と第2発光部130とから発光された光は、ポリゴンミラー111の各側面に配され互いに角度を有する鏡である異なる第1反射面111aおよび第2反射面111bによって反射し、第1ビームB1および第2ビームB2となって、
図3に示す所定領域Sと平行である走査面F1,F2に沿った走査を行う。
【0036】
そして、ポリゴンミラー111が回転R1することで所定領域Sと平行である走査面F1,F2内を角度走査する。このように、第1発光部120、第2発光部130、第1反射面111a、第2反射面111b、第1ビームB1、第2ビームB2は、所定領域Sを臨み、走査面F1,F2内で光を角度走査するように配置されている。
【0037】
なお、本実施例では第1反射面111a、第2反射面111bは、走査の入射角が深くならないように隣り合う面を使用している。入射角を深くするとポリゴンミラー111上のビームの幅が広がるため、走査角が減少するためである。しかしながら、第1反射面111a、第2反射面111bの関係は本実施例に限定されず、光走査部110が配設されるスペース等の制約等から配置箇所を選択することができる。
【0038】
第1発光部120、第2発光部130は、例えば、赤外線レーザ光を射出するレーザダイオード等を適用できるが、これに限定されない。
【0039】
走査面F1,F2内で光を角度走査する第1ビームB1、第2ビームB2は、それぞれ所定領域を臨む外縁S1に配置された第1受光部140、第2受光部150に入射される。
なお、
図1では、第1受光部140、第2受光部150が、光走査部110と走査面Sを挟んで対向する外縁S1のみに配置しているが、走査面Sの側面にも配置して、走査面Sを取り囲むようにしても良い。このように第1受光部140、第2受光部150の配設位置は本実施例に限定されず、スペース等の制約や指示物Mの位置等から配置箇所を選択することができる。
【0040】
図1のA矢視から見た斜視図である
図2も併せて参照する。ここで、
図1と
図2は回転しているポリゴンミラー111のある二つの瞬間を表している。すなわち、ポリゴンミラー111が回転R1することで第1発光部120にて発光されたレーザ光が、第1反射面111aで反射され、第1ビームB1となって、指示物Mの側面にある始接点a143に接して第1受光部140を構成する第1導光体144に到達した瞬間と、第2発光部130にて発光されたレーザ光が、第2反射面111bで反射され、第2ビームB2となって、指示物Mの側面にある始接点b153に接して第2受光部150を構成する第1導光体154に到達した瞬間との二つであり、これらの瞬間は後に説明するように同時には発生しない場合もあるが、説明の便宜上図示している。
【0041】
図2と
図3を参照すると、第1ビームB1はポリゴンミラー111の上側に割り当てられた第1反射面111a内にある第1反射点146で反射されて、指示物Mの上側の始接点a143に接するように経由して、第1反射点146に応じるように配置された導光体144に入射される。
同様に第2ビームB2はポリゴンミラー111の下側に割り当てられた第2反射面111b内にある第2反射点156で反射されて、指示物Mの下側の始接点b153に接するように経由して、第2反射点156に応じるように配置された導光体154に入射される。
【0042】
本実施形態においては、第1ビームB1および第2ビームB2の交錯を極力回避するように上下に分割するようにしているが、この形態に限定されない。
【0043】
第1受光部140は、アクリル樹脂などの透明樹脂の内面反射を利用して片側から入射した光を他方へ効率よく導く第1導光体144と、導かれた光を受光する第1受光体145とからなる。
第2受光部150も第1受光部140と同様な構成であって、第2導光体154と、第2受光体155とからなる。
第1受光部140と第2受光部150とは、第1ビームB1と第2ビームB2の光線軌跡に合わせて上下関係に配されている。この構成によって、光線が交錯することを防止することができる。
【0044】
第1導光体144、第2導光体154は、スキャナー等に使用されている棒状ライトガイドを適用でき、例えば、内部にマイクロプリズムを備えたものでも良いし、透明アクリル棒の円周面の一部にテープ等を貼付して反射面にした簡易的な構成でも良い。要求される精度や、装置の配置等から任意に選択することができる。
【0045】
第1導光体144,第2導光体154に入射された第1ビームB1、第2ビームB2は、導光体内を経由して、フォトダイオード等からなる第1受光体145,第2受光体155によって受光される。
第1受光体145,第2受光体155によって検出された光は光検出信号となり、光走査部110のポリゴンミラー111の回転R1から取得される角度信号とによって、角度走査が実行される。
【0046】
なお、これらの角度走査は図示しないマイクロプロセッサ(MPU)によって実行されるようにすることができる。
MPUは、第1発光部120、第2発光部130の発光素子の駆動・制御、ポリゴンミラー111の回転R1の駆動・制御、第1受光部140、第2受光部150が検出した光検出信号の取得を行い、光検出信号と角度信号から角度走査結果を算出する。
【0047】
[光角度走査方法の説明]
次に主に
図4、
図5を参照して、本実施形態の1実施例に係る光角度走査方法について説明する。
図4は光角度走査が時間の経過とともに(A)〜(D)の順で進められることを示しており、
図5は第1受光部140、第2受光部150が検出した光検出信号である光量の時間的変化を示している。
【0048】
MPUに光角度走査を開始する信号を受信した光走査部110は、第1発光部120、第2発光部130の発光素子を駆動し、ポリゴンミラー111を回転駆動する。
図4,
図5を参照すると、光走査部110は、走査開始時点t0で、第1受光部140、第2受光部150の右端に第1ビームB1、第2ビームB2が照射されるように制御する。そして、ポリゴンミラー111の回転R1によって順に第1受光部140、第2受光部150の左端へと第1ビームB1、第2ビームB2の照射位置を移動させる。
【0049】
なお、本実施例では、例えば図面では省略しているトリガーとなるセンサーを用いて走査開始時点t0から走査を開始する形態としているが、このセンサーを使わずに常に走査を行う形態とすることも可能であり、装置の仕様によって適宜選択することができる。
【0050】
なお、MPUは光走査開始から時間を計測して、
図5に示すように時間経過に対する第1受光部140、第2受光部150が検出した第1ビームB1、第2ビームB2の光量の変化を算出する。
【0051】
図4(A)は、ポリゴンミラー111が回転R1することで第1発光部120にて発光されたレーザ光が、第1反射面111aで反射され、第1ビームB1となって、指示物Mの始接点a143に接して第1受光部140を構成する第1導光体144に到達した瞬間t1である。
図5を参照すると、第1ビームB1の光量が瞬間t1を境に減少するが、第2ビームB2の光量は変化していない。
【0052】
図4(B)は、ポリゴンミラー111が回転R2することで第2発光部130にて発光されたレーザ光が、第2反射面111bで反射され、第2ビームB2となって、指示物Mの始接点b153に接して第2受光部150を構成する第1導光体154に到達した瞬間t2である。
図5を参照すると、第1ビームB1の光量は瞬間t1に比べてさらに減少しており、第2ビームB2の光量も瞬間t2を境に減少している。
【0053】
さらにポリゴンミラー111が回転(R2からR3)すると、
図5に示すように、第1ビームB1の光量は下限の第1ピークP1となる。第1ピークP1は、指示物Mによって第1受光部140へ到達する光が遮蔽されるとともに第1ビームB1の散乱光による影響が最も小さくなる箇所である。このように第1ピークP1は、検出が容易な明らかな兆候を示している。
【0054】
図4(C)は、ポリゴンミラー111が回転R3することで第1ビームB1が、指示物Mの表面を越えて、終接点a147に達し、第1導光体144に到達した瞬間t3である。
図5を参照すると、第1ビームB1の光量が瞬間t3を境に通常に戻るが、第2ビームB2の光量は指示物Mの遮蔽および散乱光の影響によってさらに減少している。
【0055】
さらにポリゴンミラー111が回転(R3からR4)すると、
図5に示すように、第2ビームB2の光量は下限の第2ピークP2となる。第2ピークP2は、指示物Mによって第2受光部150へ到達する光が遮蔽されるとともに第2ビームB2の散乱光による影響が最も小さくなる箇所である。このように第2ピークP2も第1ピークP1と同様に検出が容易な明らかな兆候を示している。
【0056】
図4(D)は、ポリゴンミラー111が回転R4することで第2ビームB2が、指示物Mの表面を越えて、終接点b156に達し、第2導光体154に到達した瞬間t4である。
図5を参照すると、第1ビームB1の光量は通常であり、第2ビームB2の光量は瞬間t4を越えて通常に戻っている。
【0057】
その後、ポリゴンミラー111の回転によって第1ビームB1、第2ビームB2の照射位置は、第1受光部140、第2受光部150の左端へと移動して、光角度走査が終了する。
【0058】
再び
図5を参照すると、第1ピークP1と第2ピークP2の時間差Δtは、光量の推移を検出した結果から、MPUによって算出される。この時間差Δtは、第1ビームB1、第2ビームB2のポリゴンミラー111を介した指示物Mへの照射角度に換算することできる。
【0059】
また、第1ビームB1はポリゴンミラー111の上側に割り当てられた第1反射面111a内にある第1反射点146と、第2ビームB2はポリゴンミラー111の下側に割り当てられた第2反射面111b内にある第2反射点156との距離は幾何学的に算出することができる。
【0060】
このように、第1ビームB1の指示物Mへの照射角度θ1、第2ビームB2の指示物Mへの照射角度θ2、第1反射点146と第2反射点156との距離wが分かれば、
図6に示すような三角測量によって、指示物Mの位置を検出することができる。
【0061】
すなわち
図6のように指示物Mがxy座標に配置している場合、指示物Mのx座標であるMxとy座標であるMyは、それぞれ(1)式、(2)式にて表される。
Mx=tanθ1/(tanθ2+tanθ1)×w (1)
My=(tanθ1×tanθ2)/(tanθ2+tanθ1)×w (2)
【0062】
以上のように、本実施形態の1実施例に係る光角度走査方法によって、指示物Mの座標を検出することができる。
【0063】
なお、
図6に示す第1ビームB1、第2ビームB2の照射位置に対する指示物Mの幅Φxは、第1反射点146と第2反射点156との距離wに比して十分に小さいこと、すなわち w>Φx であることが望ましい。すなわち指示物Mの幅Φxに対してこの条件を満たすようにwを設定することで、角度誤差が減少して、検出の精度を向上させることができる。
【0064】
本実施形態によれば、一つのポリゴンミラー111と、この一つのポリゴンミラー111によって同期した二つのレーザ光線(第1ビームB1と第2ビームB2)による角度走査がされるため、部品点数の少ない簡単な構成にすることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、二つのレーザ光線(第1ビームB1と第2ビームB2)がそれぞれの受光部(第1受光部140、第2受光部150)を備えて、指示物Mが走査されることにより、特許文献1,2にて示された技術のように指示物からの散乱光ではなく、直接照射されるレーザ光線の測定値である光量変化を使って座標を算出することができるため、微弱な散乱光に依存することなく、外乱の影響も少ない正確な位置検出を可能にして測定精度を向上させる。
【0066】
さらに、本実施形態によれば、上記のように外乱の影響を受けにくい光量変化を計測することにより、二つのレーザ光線(第1ビームB1と第2ビームB2)を同時に照射することができるため、測定時間の短縮をすることができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態である位置検出装置200について
図7に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態とは光を受光する方法が異なる。
ここで、
図7は、本発明の第2実施形態である位置検出装置200の全体を示す平面図である。
【0068】
図7を参照すると、本実施形態に係る位置検出装置200の一実施例は、所定領域S内にある指示物Mの位置を検出するものであり、光走査部210と、第1発光部220と、第2発光部230と、第1受光部240と、第2受光部250と、から構成されている。
そして、第1受光部240は、第1受光体245と偏向部262を備え、第2受光部250は、第2受光体255と偏向部263を備えている。
【0069】
本実施例では、所定領域Sを臨む外縁S2には再帰性反射体261が配置されている。再帰性反射体261は、ガラスビーズやプリズムを利用した再帰性反射材が用いられ、あらゆる方向から入射した光に対しても常に入射した方向に光を返すものである。
【0070】
第1発光部220および第2発光部230が発光した光である第1ビームB1と第2ビームB2は、偏向部262、263に入射される。偏向部262,263は、いわゆるビームスプリッターであり、光束を2つに分割する。すなわち、偏向部262,263は、再帰性反射体261から戻ってきた光の一部を受光体245,255のある別の方向に反射し、残りを発光部220,230側に透過させる。
【0071】
偏向部262,263は、反射面の一部に穴が開けられた穴開きミラーでも良い。再帰性反射体261から戻ってきた光は広がっている為、その多くは受光体側に反射される為、光の損失を大幅に低減し同様の効果が得られる。
【0072】
本実施例では、第1ビームB1と第2ビームB2は、偏向部262、263を透過して、ポリゴンミラー211の第1反射面211a、第2反射面211bに到達して、反射によって方向が変えられ、所定領域Sを走査する。
【0073】
外縁S2に到達した第1ビームB1と第2ビームB2は、再帰性反射体261によって入射した方向へ返されて、再びポリゴンミラー211の第1反射面211a、第2反射面211bに到達する。
【0074】
第1反射面211a、第2反射面211bで反射された第1ビームB1と第2ビームB2は、再度偏向部262,263に入射されるが、偏向部262,263は当該方向から入射された光を反射して、第1受光体245、第2受光体255に受光させる。
ここで、第1発光部220と第2発光部230との配置関係、第1受光部240と第2受光部250との配置関係は、
図2、
図3にて示した第1実施形態と同様に走査面に対して垂直方向の異なる位置に配置することで、光線の交錯を防止することができる。
【0075】
なお、本実施例においても第1実施形態と同様に、第1発光部220、第2発光部230にはレーザダイオード等を適用でき、第1受光体245、第2受光体255にはフォトダイオード等を適用できる。
【0076】
角度走査方法は第1実施形態と同様にポリゴンミラー211の回転R5によって行われる。ここで
図7は、第1実施形態の
図1と同様に、回転しているポリゴンミラー211のある二つの瞬間を表している。すなわち、ポリゴンミラー211が回転R5することで第1発光部220にて発光されたレーザ光が、第1反射面211aで反射され、第1ビームB1となって、指示物Mの側面にある始接点a243に接して第1受光部240にて検出された瞬間と、第2発光部230にて発光されたレーザ光が、第2反射面211bで反射され、第2ビームB2となって、指示物Mの側面にある始接点b253に接して第2受光部250にて検出された瞬間との二つであり、これらの瞬間は第1実施形態において説明したように同時には発生しない場合もあるが、説明の便宜上図示している。
【0077】
本実施形態における指示物Mの位置検出、座標算出については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0078】
本実施形態によれば、特許文献1,2にて示された従来技術のノウハウや経験値をそのまま反映することができるため、既存の構成を流用することもできるほか、信頼性の高い位置検出の測定をすることができる。
【0079】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態である位置検出システム300について
図8,
図9に基づいて説明する。
ここで、
図8は本発明の第3実施形態である位置検出装置の配置方法を示す平面図であり、
図9は
図8に示す位置検出装置の走査過程を説明するグラフである。
【0080】
図8を参照すると、本実施形態における1実施例である位置検出システム300は、複数のこれまでに説明した位置検出装置100もしくは位置検出装置200を第1位置検出ユニット310および第2位置検出ユニット320として、所定領域Sが臨めるように配置するものである。
【0081】
所定領域Sには3つの指示物MA,MB,MCが配置されており、位置検出システム300は、これらの指示物MA,MB,MCのいずれについても位置を検出するものであり、特に、指示物MA,MBの死角となる指示物MCの位置検出について以下に説明する。
【0082】
第1位置検出ユニット310、第2位置検出ユニット320は、光走査部110と、第1発光部120と、第2発光部130と、第1受光部140と、第2受光部150と、から構成されている第1実施形態の位置検出装置100であっても、光走査部210と、第1発光部220と、第2発光部230と、第1受光部240と、第2受光部250と、から構成されている第2実施形態の位置検出装置200のどちらでも良い。
【0083】
本実施例における位置検出システム300においても、第1位置検出ユニット310、第2位置検出ユニット320の構成は、上記のように位置検出装置100もしくは位置検出装置200のいずれかに限定していない。
【0084】
そして、位置検出システム300は、第1位置検出ユニット310に対応した第1受光部と第2受光部を併せ持つ第1受光装置340と、第2位置検出ユニット320に対応した第1受光部と第2受光部を併せ持つ第2受光装置350を備えている。
【0085】
なお、第1位置検出ユニット310および第2位置検出ユニット320を何れか一辺に配置することにより、第1受光装置340、第2受光装置350は、
図8に示すように、
図1、
図7と異なり、所定領域Sを囲むように配置できる。このように配置することで、第1位置検出ユニット310、第2位置検出ユニット320は、互いのビームの影響を受ける事無く、3つの指示物MA,MB,MCを走査することができる。前記したように、第1受光装置340、第2受光装置350は、スペース等の制約や指示物Mの位置等から配置箇所を
図8のように選択することができる。
【0086】
ここで第1受光装置340、第2受光装置350は、導光体で構成されていても、光再帰性反射体とユニットに組み込まれた偏向部とで構成されていても良い。
【0087】
図8を参照すると、図の左側に位置する第1位置検出ユニット310の位置AからはビームBAが照射され、位置BからはビームBBが照射されている。同様に図の右側に位置する第1位置検出ユニット320の位置CからはビームBCが照射され、位置DからはビームBDが照射されている。
【0088】
位置Aと位置Bとの距離wおよび位置Cと位置Dとの距離は、指示物MA,MB,MCの走査方向に対向する幅Φxに対して w>Φx となるように配置されている。なお、位置A,B,C,Dは、第1,2実施形態における反射点に相当する。
【0089】
ビームBAはBA1からBA2へと回転して所定領域Sを走査し、ビームBBはBB1からBB3へと回転して所定領域Sを走査し、ビームBCはBC1からBC3へと回転して所定領域Sを走査し、ビームBDはBD1からBD2へと回転して所定領域Sを走査する。
【0090】
また、
図8を参照すると、第1位置検出ユニット310から照射されたビームBA1は所定領域Sを角度走査するが、指示物MAに遮蔽されるため指示物MCを全面的に走査することはできない。このような状態について、
図8においては、一点鎖線はそれぞれのユニットの図上右側から照射される実際の光線を表し、二点鎖線はそれぞれのユニットの図上左側から照射される実際の光線を表し、破線は実際に存在しないが指示物等に遮蔽されない場合の仮想光線を表している。
【0091】
図9を参照すると、第1位置検出ユニット310のビームBAによって角度走査によって検出した信号を処理した光量は、指示物MAにビームBAが到達した瞬間から減少する。そして、
図9の破線のように仮想光線となったビームBAは指示物MCに到達しているが、指示物MAに遮蔽されていることから実光線のビームBAは指示物MCには到達できないために、指示物MCによる光量の減少は検出できない(BA1および仮想光線BA1参照)。その後、一旦通常の光量に復帰し、ビームBAが指示物MBに到達したとき、実光線のビームBAの光量は再び減少する(BA2参照)。さらに走査が進むと光量は再び通常に復帰する。
【0092】
同様に、第1位置検出ユニット310のビームBBによって角度走査によって検出した信号を処理した光量は、指示物MAにビームBBが到達した瞬間から減少する。そして、指示物MAの走査が終わる前にビームBAは指示物MCに到達するが、指示物MCに到達するビームBBの一部は指示物MAによって遮蔽されているため、光量は通常の状態に戻らないまま減少する(BB1,BB2参照)。その後、一旦通常の光量に復帰し、ビームBBが指示物MBに到達したとき、実光線のビームBBの光量は再び減少する(BB3参照)。さらに走査が進むと光量は再び通常に復帰する。
【0093】
次に、第2位置検出ユニット320のビームBCによって角度走査によって検出した信号を処理した光量は、指示物MAにビームBCが到達した瞬間から減少する(BC1参照)。その後、一旦通常の光量に復帰し、ビームBCが指示物MCに到達したとき、実光線のビームBCの光量は再び減少する(BC2参照)。そして、指示物MCの走査が終わる前にビームBCは指示物MBに到達するが、指示物MCに到達するビームBCの一部は指示物MBによって遮蔽されているため、光量は通常の状態に戻らないまま減少する(BC3参照)。さらに走査が進むと光量は再び通常に復帰する。
【0094】
同様に、第2位置検出ユニット320のビームBDによって角度走査によって検出した信号を処理した光量は、指示物MAにビームBDが到達した瞬間から減少する(BD1参照)。その後、一旦通常の光量に復帰し、ビームBDが指示物MBに到達したとき、実光線のビームBDの光量は再び減少する(BD2参照)。そして、仮想光線となったビームBDは指示物MCに到達しているが、指示物MBに遮蔽されていることから実光線のビームBDは指示物MCには到達できないために指示物MCによる光量の減少は検出できない。さらに走査が進むと光量は再び通常に復帰する。
【0095】
図5を参照しながら、
図9を見ると時間の推移とともに指示物MA,MB,MCによって光量が下限となるピークを検出することができる。そして、指示物MAに対応するピークであるBA1,BB1、BC1、BD1のいずれか二つのピークの時間差によって、
図6に示すような三角測量に基づいて、指示物MAの位置を検出することができる。
【0096】
同様に、指示物MBに対応するピークであるBA2,BB3、BC3、BD2のいずれか二つのピークの時間差によって、指示物MAの位置を検出することができる。
【0097】
次に、指示物MCについても、対応するピークであるBB2、BC2の二つのピークの時間差によって、指示物MCの位置を検出することができる。このように一つの位置検出ユニットでは検出できなかった別の指示物に光線が遮蔽された指示物の位置であっても、複数の位置検出ユニットを備えることで検出することが可能となる。
【0098】
特許文献1、2に記載されている位置検出方法では、指または指示物に照射されたレーザ光線が反射して戻る散乱光と、光再帰性反射体に反射された反射光とが、受光部に戻るが、このうち散乱光を受光部にて検知して位置座標を検出している。
【0099】
従って
図8のような指示物MA,MB,MCの配置状況において、第1位置検出ユニット310、第2位置検出ユニット320の位置に従来技術に係る位置検出装置を設置しても、ほとんどの部分が死角となる指示物MCの角度走査はできない。
そこで、従来技術に係る位置検出装置によって、指示物MCを角度走査するには、指示物MCが視野として臨める位置に新たな位置検出装置を付加する必要がある。
【0100】
しかしながら、本実施形態によれば、
図8に示す第1位置検出ユニット310、第2位置検出ユニット320から見て、指示物MCは、指示物MA、指示物MBの死角となる部分が多く、一部しか走査することができない場合でも、指示物MCの位置検出が可能となる。
【0101】
また、本実施形態によれば、従来技術に係る位置検出装置と比べて、少ない部品構成で、確実な位置検出をすることができる。
【0102】
以上で、本実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で変形が可能である。