(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681314
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】水処理装置および水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
C02F1/32
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-212761(P2016-212761)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-69166(P2018-69166A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594004374
【氏名又は名称】株式会社扇港理研
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】越智 鉄美
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真也
(72)【発明者】
【氏名】志賀 淳一
(72)【発明者】
【氏名】草野 吏
(72)【発明者】
【氏名】津賀 栄一
(72)【発明者】
【氏名】川上 佑介
【審査官】
片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−511138(JP,A)
【文献】
特表2007−502200(JP,A)
【文献】
特開2012−115715(JP,A)
【文献】
特表2008−503347(JP,A)
【文献】
特開昭53−539(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0263090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/32
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部から第2端部に向けて軸方向に延在する外管と、前記外管の内部に配置され、前記軸方向に延在する内管と、前記外管と前記内管の間に配置され、前記外管に対する前記内管の径方向の変位を防止する規制部材と、を有する二重管構造ユニットと、
前記外管の前記第1端部の開口を液密に塞ぐように配置され、前記内管の内部を流れる被処理水に向けて前記軸方向に紫外光を照射する光源ユニットと、を備え、
前記内管は、前記光源ユニットとの間に設けられる隙間を挟んで前記光源ユニットと対向する対向端部と、前記対向端部の反対側に位置し、被処理水が流入する流入端部と、を有し、
前記規制部材は、前記外管の前記第2端部と前記内管の流入端部の間を塞ぐように配置されるインローフランジを含み、前記インローフランジは、前記第2端部のフランジと前記流入端部のフランジとの間に挟み込まれて固定され、
前記外管は、前記外管の外周面に設けられる流出口を有し、前記隙間を通って前記内管の内から外へ流れた被処理水が前記流出口から流出することを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
第1端部から第2端部に向けて軸方向に延在する外管と、前記外管の内部に配置され、前記軸方向に延在する内管と、前記外管と前記内管の間に配置され、前記外管に対する前記内管の径方向の変位を防止する規制部材と、を有する二重管構造ユニットと、
前記外管の前記第1端部の開口を液密に塞ぐように配置され、前記内管の内部を流れる被処理水に向けて前記軸方向に紫外光を照射する光源ユニットと、を備え、
前記内管は、前記光源ユニットとの間に設けられる隙間を挟んで前記光源ユニットと対向する対向端部と、前記対向端部の反対側に位置し、被処理水が流入する流入端部と、を有し、
前記規制部材は、前記外管の前記第2端部と前記内管の流入端部の間を塞ぐように配置されるインローフランジを含み、前記インローフランジは、前記外管の内周面と当接する段差部として前記流入端部と一体的に形成され、
前記外管は、前記外管の外周面に設けられる流出口を有し、前記隙間を通って前記内管の内から外へ流れた被処理水が前記流出口から流出することを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
第1端部から第2端部に向けて軸方向に延在する外管と、前記外管の内部に配置され、前記軸方向に延在する内管と、前記外管と前記内管の間に配置され、前記外管に対する前記内管の径方向の変位を防止する規制部材と、を有する二重管構造ユニットと、
前記外管の前記第1端部の開口を液密に塞ぐように配置され、前記内管の内部を流れる被処理水に向けて前記軸方向に紫外光を照射する光源ユニットと、を備え、
前記内管は、前記光源ユニットとの間に設けられる隙間を挟んで前記光源ユニットと対向する対向端部と、前記対向端部の反対側に位置し、被処理水が流入する流入端部と、を有し、
前記規制部材は、前記第2端部より前記第1端部に近い位置で前記外管の内周面から前記内管の外周面に向けて径方向に延在する複数のロックピンを含み、前記複数のロックピンは、周方向に等間隔に配置され、
前記外管は、前記外管の外周面に設けられる流出口を有し、前記隙間を通って前記内管の内から外へ流れた被処理水が前記流出口から流出することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
前記隙間は、前記軸方向の寸法が3mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記外管の内直径と前記内管の外直径との差が10mm以上50mm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記流出口は、前記第1端部より前記第2端部に近い位置に設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記光源ユニットは、紫外光を発する発光素子と、前記発光素子を冷却する水冷機構とを有し、前記水冷機構は、前記外管の外周面に設けられる取水口から冷却水が供給されるよう構成され、
前記取水口は、前記内管を挟んで前記流出口とは径方向反対側の位置に設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の水処理装置を用いる水処理方法であって、
前記流入端部から流入して前記内管の内部を前記軸方向に流れる被処理水に紫外光を照射し、紫外光が照射された被処理水を前記流出口から流出させる工程を備え、
前記水処理装置を通過する際の圧力損失が5kPa以上20kPa以下となるように被処理水が供給されることを特徴とする水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関し、特に、被処理水に紫外光を照射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光には殺菌能力があることが知られており、医療や食品加工の現場などでの殺菌処理に紫外光を照射する装置が用いられている。また、被処理水に紫外光を照射することで、被処理水を連続的に殺菌する装置も用いられている。このような装置として、例えば、被処理水の流れの方向に対して直交する方向に紫外光を照射する装置が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−233646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被処理水の流れの方向に直交して紫外光を照射する構成の場合、被処理水に十分な作用量を与えるためには流れ方向に沿って光源を並べる必要があり、効率的に紫外光を照射することができなかった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、被処理水への紫外光照射効率を高めた水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の水処理装置は、第1端部から第2端部に向けて軸方向に延在する外管と、外管の内部に配置され、軸方向に延在する内管と、外管と内管の間に配置され、外管に対する内管の径方向の変位を防止する規制部材と、を有する二重管構造ユニットと、外管の第1端部の開口を液密に塞ぐように配置され、内管の内部を流れる被処理水に向けて軸方向に紫外光を照射する光源ユニットと、を備える。内管は、光源ユニットとの間に設けられる隙間を挟んで光源ユニットと対向する対向端部と、対向端部の反対側に位置し、被処理水が流入する流入端部と、を有する。外管は、外管の外周面に設けられる流出口を有し、隙間を通って内管の内から外へ流れた被処理水が流出口から流出する。
【0007】
この態様によると、内管の内部において被処理水の流れ方向に沿って紫外光が照射されるため、紫外光の照射方向に被処理水が流れる時間にわたって紫外光を作用させることができる。これにより、被処理水の流れ方向と直交して紫外光を照射する場合よりも効率的に紫外光を照射できる。また、流路を二重管構造とし、内管と光源ユニットの間の隙間を通って内管の内から外へ被処理水が流れ出るようにすることで、内管の内部での被処理水の流れを整流化できる。これにより、被処理水の全体に紫外光を均一に作用させ、水処理の効果を高めることができる。さらに、外管に対する内管の径方向の変位を防止する規制部材を設けることで、軸方向に長い二重管構造を採用する場合であっても、外管と内管の間の流路幅が一定に維持されるようにし、被処理水の流れを整えることができる。
【0008】
規制部材は、外管の第2端部と内管の流入端部の間を塞ぐように配置されるインローフランジを含んでもよい。
【0009】
規制部材は、第2端部より第1端部に近い位置で外管の内周面から内管の外周面に向けて径方向に延在するロックピンを含んでもよい。
【0010】
隙間は、軸方向の寸法が3mm以上30mm以下であってもよい。
【0011】
外管の内直径と内管の外直径との差が10mm以上50mm以下であってもよい。
【0012】
流出口は、第1端部より第2端部に近い位置に設けられてもよい。
【0013】
光源ユニットは、紫外光を発する発光素子と、発光素子を冷却する水冷機構とを有し、水冷機構は、外管の外周面に設けられる取水口から冷却水が供給されるよう構成され、取水口は、内管を挟んで流出口とは径方向反対側の位置に設けられてもよい。
【0014】
本発明の別の態様は、水処理装置を用いる水処理方法である。この方法は、流入端部から流入して内管の内部を軸方向に流れる被処理水に紫外光を照射し、紫外光が照射された被処理水を流出口から流出させる工程を備え、水処理装置を通過する際の圧力損失が5kPa以上20kPa以下となるように被処理水が供給される。
【0015】
この態様によると、圧力損失が5kPa以上20kPa以下となるようにすることで、内管の内部における被処理水の流れを整流化することができる。これにより、被処理水の全体に紫外光を均一に作用させて水処理の効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、紫外光照射効率を高めて水処理能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係る水処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態に係る水処理装置10の構成を概略的に示す図である。水処理装置10は、二重管構造ユニット12と、光源ユニット14と、導入管16とを備える。二重管構造ユニット12は、外管20と、内管30とを有する。水処理装置10は、内管30の内部を流れる被処理水に向けて紫外光を照射して殺菌処理を施すための装置である。
【0020】
本明細書では、内容の理解を助けるために、外管20および内管30の長手方向を「軸方向」と呼ぶことがある。例えば、
図1において、中心軸Aに平行な方向が軸方向である。また、軸方向に直交する方向を径方向と呼び、軸方向を包囲する方向を周方向と呼ぶことがある。
【0021】
外管20は、円筒形状を有し、第1端部21から第2端部22に向けて軸方向に延在する。第1端部21および第2端部22には、外管20の外周面23から径方向外側に延びるフランジが設けられる。外管20は、樹脂材料や金属材料で構成され、例えば、ステンレス鋼で構成される。ある実施例において、外管20の軸方向の長さは、約400mmであり、外管20の内周面24の直径は、約400mmである。
【0022】
外管20の外周面23には、流出口26および取水口28が設けられる。流出口26は、第1端部21と第2端部22の間の位置に設けられる。取水口28は、内管30を挟んで流出口26とは径方向反対側の位置に設けられる。例えば、水処理装置10を設置した状態において、流出口26が鉛直上側に配置され、取水口28が鉛直下側に配置される。なお、圧力損失の均一化の観点から、流出口26および取水口28は、第1端部21と第2端部22の間の中央部または中央部より第2端部22に近い位置に設けられることが好ましい。なお、流出口26および取水口28の位置を変えても圧力損失の均一性にそれほど影響がないような流路構造の場合、流出口26および取水口28を第2端部より第1端部21に近い位置に設けてもよい。
【0023】
内管30は、円筒形状を有し、対向端部31から流入端部32に向けて軸方向に延在する。内管30は、外管20の内部に配置され、好ましくは、外管20と同軸となるように配置される。内管30は、紫外光の反射率および耐久性が高い材料で構成され、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂で構成される。ある実施例において、内管30の軸方向の長さは、約400mmであり、内管30内周面34の直径は、約350mmである。
【0024】
流入端部32には、内管30の外周面33から径方向外側に延びるフランジが設けられる。一方、対向端部31にはフランジが設けられていない。対向端部31は、光源ユニット14の窓部材42との間に設けられる隙間76を挟んで窓部材42と対向する。つまり、対向端部31と窓部材42の間は、隙間76の寸法だけ軸方向に離れている。隙間76は、対向端部31の全周にわたって設けられ、対向端部31と窓部材42の間の軸方向の距離(つまり、隙間76の寸法)が全周にわたって均一となるように設けられている。隙間76の軸方向の寸法は、3mm以上30mm以下であることが好ましく、ある実施例において約10mmである。
【0025】
二重管構造ユニット12は、さらにインローフランジ36を有する。インローフランジ36は、外管20と内管30の間に配置される規制部材であり、外管20に対する内管30の径方向の変位を規制する。インローフランジ36は、外管20の第2端部22と内管30の流入端部32の間を塞ぐように配置され、第2端部22のフランジと流入端部32のフランジの間に挟み込まれて固定される。第2端部22のフランジとインローフランジ36の間には、Oリングが設けられる。図示する例では、内管30とインローフランジ36が別体として形成されているが、変形例では内管30とインローフランジ36が一体的に形成されていてもよい。例えば、内管30の流入端部32に外管20の内周面24と当接する段差部が形成されてもよい。
【0026】
二重管構造ユニット12は、さらにロックピン38を有する。ロックピン38は、外管20と内管30の間に配置される規制部材であり、外管20に対する内管30の径方向の変位を規制する。ロックピン38は、外管20の内周面24から内管30の外周面33に向けて径方向に延在する部材である。ロックピン38は、周方向に異なる複数箇所に設けられ、例えば、周方向に等間隔に配置される。ロックピン38は、第2端部22よりも第1端部21に近い位置に設けられることが好ましい。第1端部21に相対的に近い位置に設けることにより、内管30の対向端部31の径方向の変位を好適に防止できる。
【0027】
なお、変形例においては、インローフランジ36とロックピン38の一方のみが設けられてもよい。また、インローフランジ36とロックピン38の双方が設けられなくてもよい。後者の場合、インローフランジ36およびロックピン38とは異なる構造の規制部材が設けられてもよい。
【0028】
光源ユニット14は、複数の発光素子40と、窓部材42と、窓枠44と、水冷機構50とを有する。光源ユニット14は、外管20の第1端部21に取り付けられ、第1端部21の開口を液密に塞ぐように配置される。光源ユニット14は、内管30の内部を流れる被処理水に向けて対向端部31から流入端部32に向けて軸方向に紫外光を照射する。
【0029】
発光素子40は、いわゆるUV−LED(Ultra Violet-Light Emitting Diode)であり、中心波長またはピーク波長が約200nm〜350nmの範囲に含まれる深紫外光を出力する。発光素子40は、殺菌効率の高い波長である260nm〜270nm付近の紫外光を発することが好ましい。このような紫外光LEDとして、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたものが知られている。複数の発光素子40は、水冷機構50に取り付けられている。複数の発光素子40は、軸方向と直交する面内に配置され、実装される面内において径方向および周方向に並べられている。
【0030】
窓部材42は、内管30の対向端部31と複数の発光素子40の間の位置に配置され、外管20の第1端部21の開口を塞ぐように配置される。窓部材42は、発光素子40からの紫外光の透過率が高い材料で構成され、例えば、石英ガラス(SiO
2)で構成される。窓部材42は、円板形状を有する。ある実施例において、窓部材42の直径は、約420mmであり、厚さは約40mmである。窓部材42の外周には窓枠44が設けられ、窓部材42は窓枠44に固定されている。窓部材42と窓枠44の間には、液密にするためのOリングが設けられる。
【0031】
窓枠44は、内側窓枠45と、外側窓枠46とを有し、内側窓枠45と外側窓枠46の間に窓部材42が挟み込まれて固定される。窓枠44は、ステンレス鋼などの金属材料で構成される。内側窓枠45は、第1端部21と窓部材42の間に位置し、二重管構造ユニット12の内部を流れる被処理水と接触する。第1端部21と内側窓枠45の間にOリングが設けられる。外側窓枠46は、窓部材42と水冷機構50の間に位置する。窓枠44は、ボルトとナット等を用いた締結部材48により第1端部21に固定される。締結部材48は、第1端部21のフランジ、内側窓枠45および外側窓枠46を貫通する取付孔に挿通され、第1端部21、内側窓枠45および外側窓枠46を挟み込んで固定する。
【0032】
水冷機構50は、取水口28から供給される冷却水を用いて発光素子40を冷却する。水冷機構50は、冷却水供給口52と、冷却水排出口54とを有する。冷却水供給口52は、冷却水供給管56を介して取水口28と接続されており、二重管構造ユニット12を流れる被処理水の一部が冷却水として冷却水供給口52に供給される。水冷機構50は、発光素子40と熱的に接続されるヒートシンク(不図示)と、ヒートシンクと熱的に接続される冷却水循環用の内部配管(不図示)とを有する。内部配管を通った冷却水は、冷却水排出口54に接続される冷却水排出管58を通じて外部に排出される。水冷機構50は、外側窓枠46に取り付けられる。
【0033】
導入管16は、漏斗状の部材であり、導入端部61から接続端部62に向けて徐々に口径が大きくなる形状を有する。導入管16は、ステンレス鋼などの金属材料で構成される。導入端部61および接続端部62には、径方向外側に延在するフランジが設けられる。接続端部62は、内管30の流入端部32に接続される。接続端部62は、導入管16から内管30へ被処理水がスムーズに流れるように内管30と同じ内径を有する。導入端部61には、被処理水を供給するための配管が接続される。導入端部61は、接続先の配管と内径が同じとなるように構成される。導入管16は、口径の異なる配管と内管30の間を接続し、流入端部32から内管30の内部に流入する被処理水の流れが整流化されるようにする。
【0034】
導入管16は、締結部材64により二重管構造ユニット12に固定される。締結部材64は、第2端部22のフランジ、インローフランジ36、流入端部32のフランジ、及び、接続端部62のフランジを貫通する取付孔に挿通され、これらの部材を挟み込んで固定する。これにより、内管30の径方向の位置がインローフランジ36により規制され、内管30の径方向の変位が防止される。
【0035】
以上の構成による水処理装置10の動作について説明する。被処理水は、導入端部61から導入され、導入管16の内部の導入流路72及び内管30の内部の内側流路74を通って光源ユニット14に向けて軸方向に流れる。光源ユニット14は、内側流路74を通る被処理水に向けて紫外光を軸方向に照射する。紫外光が照射された被処理水は、光源ユニット14と対向端部31の間の隙間76を通って内管30の内から外へ流れ、外管20と内管30の間の外側流路78を通って流出口26から流出する。被処理水の一部は、取水口28から冷却水供給管56を通って水冷機構50に供給され、複数の発光素子40の冷却に用いられる。用いられた冷却水は、冷却水排出口54から外部へ排出される。
【0036】
水処理装置10を用いる水処理方法は、流入端部32から流入して内管30の内部を軸方向に流れる被処理水に紫外光を照射し、紫外光が照射された被処理水を流出口26から流出させる工程を含む。このとき、水処理装置10を通過する際の圧力損失が5kPa以上20kPa以下となるように被処理水が供給される。圧力損失がこのような範囲内となるように被処理水を供給することで、水処理装置10の内部における被処理水の流れを整流化して、被処理水の全体に均一に紫外光を照射することができる。
【0037】
つづいて、本実施の形態が奏する効果について説明する。本実施の形態によれば、内管30の内部を流れる被処理水に向けて流れ方向に沿って紫外光を照射するため、被処理水が軸方向に流れる時間にわたって紫外光を作用させることができる。仮に、流れ方向と直交する方向に紫外光を照射した場合、紫外光の照射範囲を通過するわずかな時間しか紫外光を作用させることができない。この場合、作用量を高めるためには光源を流れ方向に並べるなどして紫外光の照射範囲を流れ方向に長くする必要が生じる。一方、本実施の形態では、流れ方向と対向する位置に光源ユニット14を設けるだけで流れ方向に長い作用長を確保できる。したがって、本実施の形態によれば、流路の端部に設けられる光源からの紫外光を効率的に被処理水に作用させることができる。
【0038】
本実施の形態によれば、内管30の材料としてPTFEなどのフッ素系樹脂を用いることで、内管30の外周面23および内周面24への汚れの付着を防ぐことができる。また、PTFEは、紫外光の反射率が高い材料であるため、光源ユニット14からの紫外光を内周面24で反射させながら軸方向に伝搬させることができる。これにより、紫外光反射率の低い材料で内管30を構成する場合と比べて、被処理水に作用する紫外光量を増やすことができる。これにより、水処理能力を向上させることができる。
【0039】
本実施の形態によれば、対向端部31の全周にわたって設けられる隙間76を通って内管30の内から外へ被処理水が流れる構成としているため、被処理水の全体としての流れを均一化させることができる。仮に、内管30の内から外へ流れ出るための流路が周方向の一部のみに設けられたり、周方向に非対称に設けられたりする場合、流路構造の非対称性によって被処理水の流れに乱れが生じ、流速分布に偏りが生じうる。紫外光の作用量は、被処理水が内管30を流れる時間、つまり、流速に関連するため、流速分布に偏りが生じてしまうと部分的に照射量が不足してしまう。本実施の形態によれば、被処理水の流速分布を均一化できるため、紫外光の照射量も均一化できる。これにより、被処理水の全体に対して十分な殺菌処理を施すことができる。
【0040】
本実施の形態によれば、光源ユニット14と対向端部31の隙間76の寸法を3mm以上30mm以下とすることにより、上述したような整流効果を好適に得ることができる。また、流出口26が設けられる位置を第1端部21から軸方向に10mm以上100mm以下の範囲内で離れた位置とすることにより、水処理装置10の内部の圧力損失を均一化させることができる。同様にして、取水口28を流出口26とは径方向反対側の位置に設けることで、流路構造の対称性を高め、圧力損失がより均一となるようにできる。
【0041】
本実施の形態によれば、インローフランジ36やロックピン38などの規制部材を設けることで、内管30の変位を好適に防止できる。被処理水の流量が大きい場合、被処理水の流入による流体エネルギーに起因して内管30が振動し、外管20と内管30の間隔、つまり、外側流路78の流路幅が変動することが考えられる。外側流路78の流路幅が変動すると、圧力損失が不均一となって処理能力が低下するおそれがある。本実施の形態によれば、規制部材により内管30の振動を防止し、外側流路78の流路幅を一定に維持することができるため、圧力損失を均一に維持することができる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0043】
10…水処理装置、12…二重管構造ユニット、14…光源ユニット、20…外管、21…第1端部、22…第2端部、23…外周面、24…内周面、26…流出口、28…取水口、30…内管、31…対向端部、32…流入端部、33…外周面、34…内周面、36…インローフランジ、38…ロックピン、40…発光素子、50…水冷機構、76…隙間。