(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681325
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】枠体の防水構造
(51)【国際特許分類】
E06B 1/64 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
E06B1/64 B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-251725(P2016-251725)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-104973(P2018-104973A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】永田 幸自
(72)【発明者】
【氏名】武岡 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 奈穂
【審査官】
野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−241312(JP,A)
【文献】
特開2001−073636(JP,A)
【文献】
特開2002−147123(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0101726(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0102872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/62 − 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有した躯体と、前記躯体の室外に臨む外表面との間に通気層を確保した状態で前記躯体の外表面を覆うように配置される外壁材と、上枠、下枠及び左右の縦枠を有し、前記躯体の開口部に設置された枠体とを備えた建築物に適用され、前記躯体と前記枠体との間を通じた室外側から室内側への水の浸入を防止する枠体の防水構造であって、
前記躯体の外表面から前記開口部を通じて室内に延在するように設けられ、前記躯体の外表面及び前記開口部の内表面にわたる部分を覆う防水性を有した防水シート材と、
前記防水シート材及び前記左右の縦枠の間に前記縦枠の長手に沿って設けられた止水材と、
前記躯体の外表面において前記開口部の上縁となる部分に取り付けられ、前記外壁材よりも室外側に突出する上部水切り部材と
を備えていることを特徴とする枠体の防水構造。
【請求項2】
前記上部水切り部材は、両端部分がそれぞれ前記縦枠の外周側となる見込み面に当接するとともに、少なくとも一方の端部に通路構成部材を備えており、
前記通路構成部材は、一端が前記上枠の上面よりも下方となる位置において前記通気層に連通する位置に開口し、かつ他端が前記上枠の上面と前記上部水切り部材との間の空間に連通する位置に開口していることを特徴とする請求項1に記載の枠体の防水構造。
【請求項3】
前記通路構成部材は、前記躯体の外表面において前記防水シート材に当接するように前記通気層の内部に突出し、かつ室内に臨む部位に前記止水材が当接していることを特徴とする請求項2に記載の枠体の防水構造。
【請求項4】
前記上部水切り部材は、両端部分がそれぞれ前記縦枠の外周側となる見込み面に当接するとともに、前記上枠の室外側への延在端部を覆う大きさを有したものであり、
前記上枠の室外側への延在端部と前記上部水切り部材との間には、前記上部水切り部材の全長にわたる部位に上枠止水材が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の枠体の防水構造。
【請求項5】
前記上部水切り部材の上面と前記外壁材との間には、シール材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の枠体の防水構造。
【請求項6】
前記シール材には、前記通気層を外部に連通させる連通口が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の枠体の防水構造。
【請求項7】
前記上部水切り部材の上縁部から前記躯体の外表面までの間にわたって防水テープが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の枠体の防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体の防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、枠体から釘打ちフィンと称されるヒレ状部分を外周方向に突出し、このヒレ状部分を介して躯体の外表面に釘を打つことによって枠体を保持させるようにしている。こうした取付構造では、ヒレ状部分の表面から躯体の外表面にわたって防水テープを貼り付けることにより、躯体と枠体との隙間を通じた水の浸入を防止することができるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−147123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、釘打ちフィンを設けた枠体においては、躯体に対する枠体の見込み方向に沿った取付位置が規定されることになり、汎用性を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。躯体に対して枠体の見込み方向の取付位置を任意に設定するには、釘打ちフィンを省略することで解決することが可能である。しかしながら、上述したように、現状の枠体においては、釘打ちフィンを基準として躯体との間の防水構造が構成されている。このため、釘打ちフィンを省略した枠体を適用する場合には、新規な防水構造を提供することが必須となる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、釘打ちフィンを有していない枠体に対しても躯体との間に十分な防水性を確保することのできる枠体の防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る枠体の防水構造は、開口部を有した躯体と、前記躯体の室外に臨む外表面との間に通気層を確保した状態で前記躯体の外表面を覆うように配置される外壁材と、上枠、下枠及び左右の縦枠を有し、前記躯体の開口部に設置された枠体とを備えた建築物に適用され、前記躯体と前記枠体との間を通じた室外側から室内側への水の浸入を防止する枠体の防水構造であって、前記躯体の外表面から前記開口部を通じて室内に延在するように設けられ、前記躯体の外表面及び前記開口部の内表面にわたる部分を覆う防水性を有した防水シート材と、前記防水シート材及び前記左右の縦枠の間に前記縦枠の長手に沿って設けられた止水材と、前記躯体の外表面において前記開口部の上縁となる部分に取り付けられ、前記外壁材よりも室外側に突出する上部水切り部材とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、上部水切り部材を設けることにより、通気層を通過する水が躯体と上枠との間を経て室内側へ浸入する事態を防止することができる。躯体と縦枠との間においては、止水材を配設することにより、通気層を通過する水が室内側へ浸入する事態を防止することができる。
【0008】
また本発明は、上述した枠体の防水構造において、前記上部水切り部材は、両端部分がそれぞれ前記縦枠の外周側となる見込み面に当接するとともに、少なくとも一方の端部に通路構成部材を備えており、前記通路構成部材は、一端が前記上枠の上面よりも下方となる位置において前記通気層に連通する位置に開口し、かつ他端が前記上枠の上面と前記上部水切り部材との間の空間に連通する位置に開口していることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、枠体と開口部の内表面との間の空間において止水材よりも室内側に位置する部分と通気層とが通路構成部材によって連通され、互いの間に圧力差が生じないため、水の室内側への浸入がより確実に防止される。
【0010】
また本発明は、上述した枠体の防水構造において、前記通路構成部材は、前記躯体の外表面において前記防水シート材に当接するように前記通気層の内部に突出し、かつ室内に臨む部位に前記止水材が当接していることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、通路構成部材の室内に臨む部位が止水材及び防水シート材に当接するため、室外と室内とを連通するピンホールが生じるおそれがなく、防水性の点で有利となる。
【0012】
また本発明は、上述した枠体の防水構造において、前記上部水切り部材は、両端部分がそれぞれ前記縦枠の外周側となる見込み面に当接するとともに、前記上枠の室外側への延在端部を覆う大きさを有したものであり、前記上枠の室外側への延在端部と前記上部水切り部材との間には、前記上部水切り部材の全長にわたる部位に上枠止水材が介在されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、上枠の室外側への延在端部と上部水切り部材の間に上枠止水材を設けているため、これらの間を経て水が室内側に浸入する事態を防止することができる。
【0014】
また本発明は、上述した枠体の防水構造において、前記上部水切り部材の上面と前記外壁材との間には、シール材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、外壁材と上部水切り部材との間にシール材を設けているため、これらの間を経て通気層内に大量に水が浸入する事態を防止することができる。
【0016】
また本発明は、上述した枠体の防水構造において、前記シール材には、前記通気層を外部に連通させる連通口が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、通気層を通過した水が連通口を介して外部に排出されるため、通気層を通過する水が上部水切り材の上面に滞留する事態を防止することができる。
【0018】
また本発明は、上述した枠体の防水構造において、前記上部水切り部材の上縁部から前記躯体の外表面までの間にわたって防水テープが設けられていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、上部水切り部材と躯体の外表面との間を通じて水が室内側に浸入する事態を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上部水切り部材を設けることにより、通気層を通過する水が躯体と上枠との間を経て室内側へ浸入する事態を防止することができる。躯体と縦枠との間においては、止水材を配設することにより、通気層を通過する水が室内側へ浸入する事態を防止することができる。これらの結果、釘打ちフィンを有していない枠体に対しても躯体との間に十分な防水性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である枠体の防水構造を適用した建築物の要部を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した建築物において枠体の上枠部分を拡大した縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した建築物において枠体の下枠部分を拡大した縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した建築物において枠体の縦枠部分を拡大した横断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した建築物を上枠の外周側となる見込み面に沿って破断した要部拡大横断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した建築物を室外側の斜め上方から見た要部斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1に示した建築物の躯体と枠体とを示す分解一部破断斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の状態から躯体の開口部に枠体を配設した状態を示す一部破断斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8の状態から上部水切り部材を取り付ける直前の状態を示す一部破断斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す状態から上部水切り部材を取り付けた後の状態を示す一部破断斜視図である。
【
図12】
図12は、
図1に示した建築物に適用する端部キャップを示すもので、(a)は上部水切り部材の端部に装着した状態の要部斜視図、(b)は端部キャップ単体を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る枠体の防水構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については、見込み面と称する場合がある。また、見付け方向とは、後述する上枠や下枠等のように水平に沿って配置される部材の場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向であり、縦枠等のように上下に沿って配置される部材の場合、見込み方向に直交した水平に沿う方向である。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0023】
図1〜
図6は、本発明の実施の形態である枠体の防水構造を適用した建築物の要部を示したものである。ここで例示する建築物は、例えば木造の一般戸建て住宅であり、躯体Bに設けた開口部Hに建具の枠体10が設置してある。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を四周枠組みすることによって矩形状に構成したものである。本実施の形態では、特に、樹脂によって成形した押し出し形材からなる上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を適用し、互いの間を留め継ぎすることによって枠体10を構成するようにしている。すなわち、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13は、互いに同一の断面形状を有するように成形してあり、個々の端部に形成した45°の傾斜面14(
図7参照)を相互に接合することによって枠体10を構成している。
【0024】
図からも明らかなように、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13は、外周側の見込み面11a,12a,13aが単純な平面状に構成してあり、従来の釘打ちフィンに相当する構成が存在していない。一方、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13の室内に臨む見付け面には、それぞれ釘ヒレ部11b,12b,13bが設けてある。釘ヒレ部11b,12b,13bは、枠11,12,13の室内に臨む見付け面11c,12c,13cから室内に向けて見込み方向に突出した板状部分であり、各枠11,12,13の長手に沿った全長に設けてある。個々の釘ヒレ部11b,12b,13bは、外周側の見込み面11a,12a,13aに対して平行となるように、室内に臨む見付け面11c,12c,13cに対して直交する方向に沿って延在している。
【0025】
一方、上述の枠体10が設置される躯体Bの開口部Hは、まぐさ、窓台及び左右の柱といった構造材Baによって矩形状を成すように構成されたものである。この開口部Hは、上枠11及び左右の縦枠13との間に隙間を確保した状態で枠体10を収容することのできる寸法に形成してある。
【0026】
図からも明らかなように、本実施の形態の躯体Bは、構造材Baよりも室外側となる部分に断熱材Bb及び外装シート材Bcを備えている。断熱材Bbは、室外側から構造材Baを隙間無く覆うように配置されたものである。外装シート材Bcは、断熱材Bbの外表面に直接設けた防水性を有する部材であり、躯体Bの室外に臨む表面全域に配設してある。外装シート材Bcとしては、少なくとも室外側から室内側へは防水性を呈するものである必要があるが、室内側から室外側へは透湿性を有したものを適用することも可能である。
【0027】
さらに躯体Bには、外装シート材Bcを覆うように外壁材Cが設けてある。外壁材Cは、外装シート材Bcの表面(以下、躯体Bの外表面Bdという)との間に所定の隙間を確保した位置に設けた厚板状部材であり、躯体Bの外表面Bdとの間に通気層Dを構成している。外壁材Cとしては、セメントボードや金属板等々、透水性を有していない適宜のものを適用することが好ましい。外壁材Cにおいて躯体Bの開口部Hに対応する部位には、矩形状の窓孔Caが確保してある。
【0028】
上述の建築物に対して枠体10は、室外側に位置する延在端部が躯体Bの外表面Bdから突出した状態で躯体Bの開口部Hに設置される。枠体10の室外側に位置する延在端面は、外壁材Cの外表面Cbとほぼ一致した位置に配置されている。以下、本発明の特徴部分である躯体Bの開口部Hと枠体10との間の防水構造について、
図7〜
図11を適宜参照しながら詳述する。
【0029】
まず、躯体Bの外表面Bdから開口部Hの内表面Haにわたる部位には、それぞれ防水シート材20が配設してある。防水シート材20は、不透湿の防水性を有したもので、外壁材C及び枠体10を設ける以前の状態で、躯体Bの外表面Bdにおいて開口部Hの周囲となる部位及び開口部Hの内表面Haにわたって隙間無く設けられる。
【0030】
枠体10は、躯体Bに防水シート材20が施された後において開口部Hに設置される。さらに、それぞれの釘ヒレ部11b,12b,13bを介して構造材BaにネジEを螺合することにより、枠体10が躯体Bに取り付けられた状態となる。このとき、下枠12については、直接防水シート材20の上面に載置するようにしている。一方、上枠11及び縦枠13に対しては、それぞれの外周側となる見込み面11a,13aと防水シート材20との間にスペーサF及び止水材30を介在させるようにしている。
【0031】
スペーサFは、開口部Hに対して枠体10の設置位置を規定するためのものであり、上枠11の見込み面11aと防水シート材20との間及び縦枠13の見込み面13aと防水シート材20との間の適宜位置に適宜個数設けてある。
【0032】
止水材30は、止水スポンジ等のように弾性及び止水性を有したもので、幅寸法30wが小さい帯状に形成してある。止水材30の板厚30tは、上枠11の見込み面11aと開口部Hに設けた防水シート材20との間の隙間よりも大きな寸法を有するように設定してある。本実施の形態では、枠体10の左右に個別の止水材30を配設するようにしている。それぞれの止水材30は、縦枠13の延在方向に沿って上下に延在する部分30aと、上枠11の延在方向に沿って延在する部分30bとを有した一連のものである。縦枠13の見込み面13aと開口部Hに設けた防水シート材20との間に対しては、その全長にわたる部分に止水材30の部分30bを配設するようにしている。上枠11の見込み面11aと開口部Hに設けた防水シート材20との間に対しては、互いの延在端部の間に隙間を確保するように止水材30の部分30aを配設するようにしている。止水材30を設ける見込み方向の位置は、開口部Hに設けた防水シート材20においてもっとも室外側となる部分に設定してある。すなわち、止水材30の室外に臨む表面が、躯体Bの外表面Bdとほぼ同じ位置となるように、枠11,13の見込み面11a,13aと開口部Hに設けた防水シート材20との間に止水材30を配設するようにしている。
【0033】
開口部Hに枠体10を設置した後においては、上述した防水シート材20の室内側に位置する延在端部が内周側に折り返され、それぞれが釘ヒレ部11b,12b,13bを覆った状態に保持される。なお、この釘ヒレ部11b,12b,13bは、その後に額縁Gによって覆われた状態となり、外部から視認されることはない。
【0034】
躯体Bの外表面Bdにおいて開口部Hの上縁となる部分には、上部水切り部材40が配設してある。上部水切り部材40は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、基板部41及び上枠カバー部42を有している。基板部41は、矩形の板状を成すもので、上枠11の長手方向に沿った寸法とほぼ同じ長さに形成してある。上枠カバー部42は、基板部41の一側縁部から屈曲するように延在した後、基端部から離隔する方向に向けて漸次湾曲するように延在した部分である。
【0035】
この上部水切り部材40は、基板部41を介して躯体BにネジJを螺合することにより、上枠カバー部42が開口部Hの上縁部から室外に向けて突出する状態で躯体Bに取り付けてある。躯体Bに取り付けられた上部水切り部材40の上枠カバー部42は、上枠11において躯体Bから突出した延在端部の上面及び室外に臨む見付け面11dを覆った状態となる。上枠カバー部42と上枠11の室外に臨む見付け面11dと間には、上枠止水材50が設けてある。上枠止水材50は、上述した止水材30と同様、止水スポンジ等のように弾性及び止水性を有したもので、上部水切り部材40の全長にわたる部位に配設してある。上部水切り部材40の基板部41は、躯体Bの外表面Bdにおいて開口部Hの上縁となる部分を覆う防水シート材20を越えて上方に延在している。基板部41の室外に臨む表面には、躯体Bの外表面Bdまでの間にわたって防水テープ60が貼り付けてある。防水テープ60は、防水性を有した帯状のシート材であり、基板部41の上縁と躯体Bの外表面Bdとの隙間を覆うように設けてある。
【0036】
上部水切り部材40の両端部には、それぞれ端部キャップ(通路構成部材)70が装着してある。端部キャップ70は、
図12に示すように、上枠カバー部42の両端開口を閉塞するためのものである。本実施の形態では、取付板部71、カバー重合部72、閉塞板部73及び通路構成部74とを一体に成形した端部キャップ70を適用している。取付板部71は、基板部41に沿って延在する平板状部分である。カバー重合部72は、取付板部71を基板部41の延長となる位置に配置した場合に上枠カバー部42の端部外周部を覆うことのできる形状に構成した部分である。閉塞板部73は、カバー重合部72を上枠カバー部42の端部外周部に重ね合わせた場合に、上枠カバー部42の端面開口を覆うことのできる平板状部分である。通路構成部74は、閉塞板部73において取付板部71に近接した部分から取付板部71に沿って突出した中空の箱状を成す部分であり、下面及び上枠カバー部42の端面開口に対応する部位にのみ開口している。図からも明らかなように、通路構成部74の下面に設けた開口74aは、上枠11の外周側となる見込み面11a、つまり上枠11の上面11aよりも下方に位置している。また通路構成部74の見込み方向に沿った寸法70wは、通気層Dの幅Dwよりも小さい値に設定してある。
【0037】
上述の端部キャップ70は、上部水切り部材40の端部に装着した場合、閉塞板部73が縦枠13の外周側となる見込み面13aに対向して当接するとともに、通路構成部74の室内に臨む見付け面74bが止水材30に当接するとともに、躯体Bの外表面Bdにおいて開口部Hの側縁となる部分を覆う防水シート材20の表面に当接している。
【0038】
上部水切り部材40及び端部キャップ70を取り付けた後の段階で、上述した外壁材Cが外装シート材Bcを覆うように設けられる。外壁材Cに設けた窓孔Caの内表面と上部水切り部材40との間の隙間及び窓孔Caの内表面と端部キャップ70との間の隙間は、シール材80を充填することによって密閉される。このとき、上部水切り部材40と外壁材Cとの間の適宜箇所には、躯体Bと外壁材Cとの間に構成される通気層Dを外部に連通させるための連通口81を確保するようにしている。連通口81としては、予め連通口81を構成するための部品を配置した状態でシール材80を充填するようにしても良いし、シール材80を不連続に充填することによって構成しても良い。縦枠13の外周側となる見込み面13aとの間の隙間は、シール材80を充填することによってその全長が密閉される。外壁材Cと下枠12との間においては、下枠12の外周側となる見込み面に下部水切り部材90が装着してあり、下部水切り部材90の下面と窓孔Caの内表面との間の隙間全長がシール材80を充填することによって密閉される。端部キャップ70に設けた通路構成部74は、通気層Dよりも見込み方向に沿った寸法が小さいため、外壁材Cに当接することなく通気層Dの内部に配置されることになる。
【0039】
上記のように構成した防水構造においては、躯体Bの外表面Bdにおいて開口部Hの上縁となる部位から外壁材Cの外部に至る部分に上部水切り部材40を設けるようにしているため、通気層Dを通過する雨水等の水が躯体Bと上枠11との間を経て室内側へ浸入する事態を招来するおそれがない。通気層Dにおいて上部水切り部材40の上面に到達した水は、連通口81を通じて外部に排出され、あるいは上部水切り部材40の両端から下方に排出されることになる。また、開口部Hの内表面Haに防水シート材20を設けるとともに、この防水シート材20と縦枠13の外周側となる見込み面13aとの間の全長に止水材30を設けるようにしているため、通気層Dを通過する水が止水材30を通過して室内側に至る事態を招来するおそれがない。これらの結果、外周側の見込み面11a,12a,13aに見付け方向に沿った釘打ちフィン等の突出部分を有していない枠体10に対しても、躯体Bとの間に十分な防水性を確保することができる。これにより、防水性を損なうことなく躯体Bの開口部Hに対して任意の見込み位置に枠体10を設置することが可能となる。
【0040】
しかも、上枠11の上面11aとこれに対向する防水シート材20との間にも止水材30を延在させるようにしているため、仮に、上枠11の上面と上部水切り部材40との間の空間に水が浸入したとしても、止水材30によって室内側への浸入が抑制される。
【0041】
さらに、この防水構造では、枠体10と開口部Hの内表面Haとの間の隙間において止水材30よりも室内側となる部分が通路構成部74によって通気層Dと連通された状態となる。すなわち、通路構成部74は、下端が上枠11の上面11aよりも下方において通気層Dに開口する一方、上端が上枠11の上面11aと上部水切り部材40との間の空間に開口したものである。上枠11の上面11aとこれに対向する防水シート材20との間に設けた止水材30は、互いの延在端部の間に隙間を確保するようにしている。このため、止水材30の間の隙間を通じて止水材30よりも室内側となる部分と、通気層Dとが連通され、互いの間に圧力差が生じない状態となる。これにより、室外において風雨が強くなった場合にも圧力差に起因して室内側へ水が浸入するおそれがない。
【0042】
なお、上述した実施の形態では、枠体10として樹脂によって成形した押し出し形材からなるものを適用したが、必ずしも樹脂によって成形したものである必要はなく、アルミニウム合金等の金属によって成形した枠体と躯体との間に対しても同様に適用することが可能である。また、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13が同じ断面形状を有したものを例示しているが、必ずしも上枠、下枠及び縦枠が同じ断面形状を有している必要はない。さらに、躯体Bの室外に臨む外表面Bdに外装シート材Bcが設けられたものを例示しているが、必ずしもこれに限定されない。
【0043】
また、上述した実施の形態では、上部水切り部材40に通路構成部74を設けるとともに、上枠11と躯体Bとの間において止水材30に隙間を設けるようにしているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。なお、通路構成部74を設ける場合に上述した実施の形態では、上部水切り部材40の両端部に設けるようにしているが、少なくとも一方にあれば十分である。また、通路構成部74が、躯体Bの外表面Bdにおいて開口部Hの側縁となる部分の防水シート材20に当接し、かつ室内に臨む部位に止水材30が当接するように構成しているため、室外側から室内側にピンホールが生じる等の問題を招来するおそれがなく、防水性の点で有利となる。しかしながら、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【符号の説明】
【0044】
10 枠体、11 上枠、11a 上枠の見込み面(上面)、11d 見付け面、12 下枠、12a 下枠の見込み面、13 縦枠、13a 縦枠の見込み面、20 防水シート材、30 止水材、40 上部水切り部材、50 上枠止水材、60 防水テープ、70 端部キャップ、74 通路構成部、74a 開口、74b 見付け面、80 シール材、81 連通口、B 躯体、Bd 外表面、C 外壁材、D 通気層、H 開口部、Ha 内表面