(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0076】
(詳細な説明)
本明細書に開示されている装置、シーリング材及び方法は、キトサンとPEG部分(例えば、PEG−アミン及びPEG−エステル)との間の相互作用を十分に利用して、生理学的流体による活性化後の架橋されたシーリング材(把持及び凍結乾燥部分の両方)の改善された完全性と共に増強された止血及び凝血促進特性を達成する。キトサンは、実施形態に応じて、共有結合又は非共有結合でPEGと結合してシーリング材を創り出すことができる。さらに、様々な架橋剤(例えば、ゲニピン)を使用してキトサンポリマー鎖を架橋させて純粋なキトサンの高分子量ヒドロゲルを創り出すことができる。その後、ヒドロゲルは凍結乾燥により脱水されて、(生理学的流体との接触後に)最終の架橋した網目構造の完全性及び安定性を改善するためにシーリング材の第2のセクション(「把持」セクション)に含まれ得る多孔質のメッシュを形成することができる。
【0077】
シーリング材
図1は、血管のような組織を通って伸延する穿刺(図示せず)をシールするためのシーリング材2の非限定的な実施形態を示す。一般に、シーリング材2は、近位及び遠位端4a、4bを有する第1の、近位の、又は主要なセクション4、並びに第1のセクション4の遠位端4bに融合又はその他で結合し、そこから遠位方向に伸延する、複数の非凍結乾燥及び/又は非架橋前駆体から形成された、例えば、固体塊又は固体プラグとして形成された、第2の、遠位の、又は先端セクション6を含むことができる。以下にさらに記載するように、非架橋前駆体は、例えば、組織を通って伸延する穿刺内に配置され又はその他曝露されたとき、例えば、水性の生理学的環境に曝露される前又はそれまで、非反応性状態のままであり得る。
【0078】
例えば、シーリング材2のこの構成は、インサイチュで接着材料を創り出すための第2のセクション6の架橋を、第1のセクション4の凍結乾燥ヒドロゲル又はその他膨張可能な材料の膨潤特性及び凝血促進特性と結合することができる。キトサンをポリエチレングリコールポリマーの網目構造内に組み入れることによって、全体の凍結乾燥ヒドロゲルは、意外なことに、生理学的流体との接触時組織管内での凍結乾燥ヒドロゲルの膨張をもたらし、共同して血管全体のより速い止血をもたらす止血及び凝血促進特性をもたらすことにより血管外の閉鎖を増強することになる。
【0079】
1つの実施形態において、第1のセクション4は、管状の形状に巻かれた凍結乾燥ヒドロゲルのシートから形成することができる。第1のセクション4は、所望の通り、楕円形、三角形、四角形、円錐状、円盤状、多角形の形状、など(図示せず)のような他の管状又は中実のロッド断面又は形状を有していてもよいことが了解されよう。
【0080】
第1のセクション4は、一方がポリエチレングリコール(「PEG」)で、他方の構成成分がキトサンである2つの構成成分を含む凍結乾燥され架橋されたヒドロゲルから形成することができる。これら2種のポリマー、PEG及びキトサンは共有結合するか又は一緒にブレンドされて、生理学的流体と接触すると膨張し止血特性を有する凍結乾燥ポリマーヒドロゲルを形成することができる。幾つかの実施形態においては非共有結合を使用してもよい。場合により、以下にさらに記載するように、第2のセクション6の材料が、例えば融合中に、第1のセクション4の遠位端4b内に部分的に侵入することができる遷移ゾーン(図示せず)を含んでもよい。幾つかのかかる実施形態はシーリング材の構造上の安定性を高め、さらに止血を増強する。
【0081】
幾つかの実施形態において、第1のセクション4の材料は、時間と共に、例えば、数日、数週、又は数か月の期間にわたり身体により少なくとも部分的に吸収され得る。同様に、第2のセクション6の材料も、時間と共に、例えば、数日、数週、又は数か月の期間にわたり身体により少なくとも部分的に吸収され得る。実施形態によって、第1のセクション4及び第2のセクション6は同じ材料製であり得る。幾つかの実施形態において、第1のセクション4及び第2のセクション6の組成は、止血の過程におけるそれらの相対的な役割及び最終的な穿刺の治癒を果たすように調節することができる。例えば、幾つかの実施形態において、第2のセクション6の吸収の速度を第1のセクション4より遅くすることができ、それによりシーリング材をより長い時間の間穿刺上に維持し、従って下にある血管の治癒が可能となる。分解の速度(従って、シーリング材の特定の構成)は、穿刺の大きさ、血流(又は間質流体流)の速度又は穿刺部位の血圧、又は穿刺部位が受ける可動性の程度(例えば、体動からの力を頻繁に受ける穿刺部位の治癒にはより長い時間がかかる)に基づいて選択することができる。
【0082】
PEG/キトサンコポリマーシーリング材は、一部分のキトサンに対して2部分のPEG(一部分のPEG−アミン及び一部分のPEG−エステル)を含むことができる。幾つかの実施形態において、キトサンは少なくとも部分的に脱アセチル化されていることができる。ここで使用する用語「部分」とは、必ずしも様々な構成成分の量又は割合を示すわけではないことに留意されたい。シーリング材の特定の組成を含めてさらなる側面に関する具体的な詳細については以下に述べる。
【0083】
ポリエチレングリコール
シーリング材に使用されるPEGは、実施形態及び予想される穿刺の大きさ、穿刺の領域での血流の通常の速度、患者の物理的な状態(例えば、抗凝血剤投薬中、等)のような要因に依存して様々であり得る。幾つかの実施形態において、PEG−アミン部分は、8A20K−NH2(例えば、8−アーム、20キロダルトン(kDa)分子量、アミン終止アームあり)のようなポリマーであり得る。幾つかの実施形態において、PEG−エステル部分は4A10K−CM−HBA−NHS(例えば、4−アーム、10kDa分子量、アーム上にカルボキシメチル−ヒドロキシブチレート−N−ヒドロキシスクシンイミジル官能基あり)のようなポリマーであり得る。もう1つ別の実施形態において、PEG−エステル部分は4A10K−SS−NHS(例えば、4−アーム、10kDa分子量、アーム上にスクシンイミジルスクシネート官能基あり)のようなポリマー若しくは4A10K−SG−NHS(例えば、4−アーム、10kDa分子量、アーム上にスクシンイミジルグルタレート官能基あり)のようなポリマー又はこれらのポリマーの混合物でよい。
【0084】
様々な実施形態において、シーリング材の第1のセクション4及び第2のセクション6の両方を製造するためにいろいろな前駆体を使用することができる。例えば、前駆体は、ポリエチレングリコール誘導体、又は少なくとも2つの末端基(例えば、2つのアーム)を持ち、少なくとも1つの架橋可能な末端基を有するポリエチレングリコールを含むことができる。第1の官能基はインサイチュで第2の官能基と化学的に反応して共有結合を形成することにより架橋可能なゲルを形成することができる。幾つかの実施形態において、第1の官能基又は第2の官能基は強力な求電子剤を含むことができる。例えば、第1及び/又は第2の官能基は、エポキシド、スクシンイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、アクリレート、メタクリレート、マレイミド、及びN−ヒドロキシスルホスクシンイミドの1つ又は複数であり得る。さらに、幾つかの実施形態において、第1及び/又は第2の官能基はアミン基、スルフヒドリル基、カルボキシル基、及び/又はヒドロキシル基であり得る。
【0085】
実施形態に応じて、様々な分子量のPEGを使用することができる。上述したように、分子量の決定は、シーリング材が保有する必要がある所望の構造上完全性、穿刺部位での血液又は流体流の速度、消失時間及びその他の臨床可変量に基づいて行うことができる。幾つかの実施形態において、ポリエチレングリコールの分子量は約2500ダルトン〜約50,000ダルトンの範囲であり得る。これには、約2500ダルトン〜約5000ダルトン、約5000ダルトン〜約10,000ダルトン、約10,000ダルトン〜約15,000ダルトン、約15,000ダルトン〜約20,000ダルトン、約20,000ダルトン〜約25,000ダルトン、約25,000ダルトン〜約30,000ダルトン、約30,000ダルトン〜約35,000ダルトン、約35,000ダルトン〜約40,000ダルトン、約40,000ダルトン〜約45,000ダルトン、約45,000ダルトン〜約50,000ダルトンの範囲の分子量、及び上記の間の任意の分子量を有するポリエチレングリコールが包含される。
【0086】
実施形態に応じて、ポリエチレングリコールは多様な数の官能基を有し得る。例えば、幾つかの実施形態において、ポリエチレングリコールは2〜8個の官能基、例えば3、4、5、6、又は7個の官能基を含み得る。多様な数の官能基を有するポリエチレングリコールの混合物も幾つかの実施形態において使用される。
【0087】
ポリエチレングリコールの様々な誘導体も実施形態に応じて使用することができる。使用できるポリエチレングリコール誘導体の非限定的な例としては、限定されることはないが、分岐ポリエチレングリコール誘導体、ヘテロ官能性ポリエチレングリコール誘導体、線状単官能性ポリエチレングリコール誘導体、及びさらにこれらの組合せがある。分岐ポリエチレングリコール誘導体の非限定的な例には、限定されることはないが、Y形PEG NHSエステル(分子量約40000Da)、Y形PEGマレイミド(分子量約40000Da)、Y形PEGアセトアルデヒド(分子量約40000Da)、Y形PEGプロピオンアルデヒド(分子量約40000Da)がある。ヘテロ官能性ポリエチレングリコール誘導体の非限定的な例には、限定されることはないが、ヒドロキシルPEGカルボキシル(分子量約3500Da)、ヒドロキシルPEGアミン、HCl塩(分子量約3500Da)、アミンPEGカルボキシル、HCl塩、(分子量約3500Da)、アクリレートPEG NHSエステル(分子量約3500Da)、マレイミドPEGアミン、TFA塩(分子量約3500Da)、マレイミドPEG NHSエステル(分子量約3500Da)、4−アームPEGスクシンイミジルスクシネート(ペンタエリトリトール)(分子量約10000Da)、8−アームPEGアミン(分子量約10000〜約20000Da)がある。線状単官能性ポリエチレングリコール誘導体の非限定的な例には、限定されることはないが、メトキシPEGスクシンイミジルカルボキシメチルエステル(分子量約10000〜約20000Da)、メトキシPEGマレイミド(分子量約10000〜約20000Da)、メトキシPEGビニルスルホン(分子量約10000〜約20000Da)、メトキシPEGチオール(分子量約10000〜約20000Da)、メトキシPEGプロピオンアルデヒド(分子量約10000〜約20000Da)、メトキシPEGアミン、HCl塩(分子量約10000〜約20000Da)が包含される。
【0088】
キトサン
上述したように、コポリマーシーリング材は一部分のキトサンを含むことができる。幾つかの実施形態において、キトサンは少なくとも部分的に脱アセチル化されていることができる。1つの実施形態において、キトサンは少なくとも約50%脱アセチル化されていることができる。約60%〜約99%の脱アセチル化度を有するキトサン、例えば、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約95%〜約96%、約96%〜約97%、約97%〜約98%、約98%〜約99%、及び上記値の間の任意の脱アセチル化度を有するキトサンが幾つかの実施形態において使用される。
【0089】
PEG成分と同様に、キトサンは実施形態に応じて多様な分子量を有することができる。キトサンはその製造方法に基づいて多様な分子量を有することができるが、シーリング材の幾つかの実施形態は約10キロダルトン(kDa)〜約600kDaの分子量を有するキトサンを含む。例えば、幾つかの実施形態において、キトサン成分は、約10kDa〜約50kDa、約50kDa〜約100kDa、約100kDa〜約150kDa、約150kDa〜約200kDa、約200kDa〜約250kDa、約250kDa〜約300kDa、約300kDa〜約350kDa、約350kDa〜約400kDa、約400kDa〜約500kDa、約500kDa〜約600kDaの分子量、及びこれらの範囲の間の任意の分子量を有する。
【0090】
1つの実施形態において、キトサン成分は150kDa〜400kDaの分子量及び少なくとも90%の脱アセチル化度を有するキトサンを含む。
【0091】
もう1つ別の実施形態において、キトサン成分は150kDa〜400kDaの分子量及び75%〜90%の脱アセチル化度を有するキトサンを含む。
【0092】
キトサン前駆体は場合により遊離のアミン形態又は、代わりにキトサンの塩形態であり得る。適切な塩としては、限定されることはないが、キトサン塩化物、キトサングルタミン酸塩、キトサン酢酸塩又はその他の塩形態のキトサンがある。キトサンの様々な塩及び/又は遊離のアミン形態と塩との混合物も使用できる。
【0093】
PEG−キトサンの比
上述したように、幾つかの実施形態において、シーリング材は2部分のPEG(例えば、PEGアミン及びPEGエステル)及び一部分のキトサンを含むことができる。構成成分のモル比はシーリング材の所望の性質(例えば、止血までの時間等)に応じて多様であり得る。実施形態に応じて、キトサンは約0.0001〜約1.0のキトサン対PEGのモル比で存在することができる。例えば、キトサンは約0.0001〜約0.0005、約0.0005〜約0.001、約0.001〜約0.005、約0.005〜約0.01、約0.01〜約0.05、約0.05〜約0.1、約0.1〜約0.2、約0.2〜約0.3、約0.3〜約0.4、約0.4〜約0.5、約0.5〜約0.6、約0.6〜約0.7、約0.7〜約0.8、約0.8〜約0.9、約0.9〜約1のキトサン対PEGのモル比、又はこれらの間(端点を含む)の任意の比で存在することができる。
【0094】
実施形態に応じて、キトサンはまた、シーリング材製剤のパーセンテージ(重量/重量、重量/体積、又は体積/体積)に基づいてシーリング材組成物中に存在し得る。例えば、キトサンは約0.1%〜約30%、例えば約0.1%、約1%、約3%、約4%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、又は約30%(又はこれらの値の間のパーセンテージ)の製剤全体中の重量パーセンテージで存在し得る。幾つかの実施形態において、キトサンは約0.1重量%〜約30重量%、約0.5重量%〜約25重量%、約0.5重量%〜約15重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約8重量%、約0.5重量%〜約6重量%、約0.5重量%〜約4重量%、約2重量%〜約4重量%の量、又はこれらの間の任意の量で存在することができる。もう1つ別の実施形態において、第1のセクションは約4重量%〜約6重量%のキトサンを含む。より多いか又はより少ない量のキトサンも使用することができる。さらに追加の実施形態において、最終のヒドロゲル製剤中のキトサンの重量比は約1重量%〜約6重量%のキトサン、例えば約1重量%〜約2重量%、約2重量%〜約3重量%、約3重量%〜約4重量%、約4重量%〜約5重量%、約5重量%〜約6重量%、及びこれらの間(端点を含む)のパーセンテージである。
【0095】
実施形態に応じて、PEG−アミンは約0.09〜約9.9のPEG−アミン対PEG−エステル及びキトサンのモル比で存在し得る。例えば、PEG−アミンは、約0.09〜約0.1、約0.1〜約0.2、約0.2〜約0.3、約0.3〜約0.4、約0.4〜約0.5、約0.5〜約0.6、約0.6〜約0.7、約0.7〜約0.8、約0.8〜約0.9、約0.9〜約1.0、約1.0〜約2.0、約2.0〜約3.0、約3.0〜約4.0、約4.0〜約5.0、約5.0〜約6.0、約6.0〜約7.0、約7.0〜約8.0、約8.0〜約9.0、約9.0〜約9.9、又はこれらの間(端点を含む)の任意の量のPEG−アミン対PEG−エステル及びキトサンのモル比で存在し得る。
【0096】
或いは、PEG−アミンはシーリング材製剤のパーセンテージ(重量/重量、重量/体積、又は体積/体積)に基づいてシーリング材組成物中に存在し得る。例えば、PEG−アミンは、製剤全体中の約99.0%〜約1.0%、約90.0%〜約10.0%、約80.0%〜約20.0%、約70.0%〜約30.0%、約60.0%〜約40.0%、約55.0%〜約45.0%、約53.0%〜約47.0%、約52.0%〜約48.0%、約50.0%〜約48.0%、及びこれらの量も含めてその間の任意のパーセンテージの重量パーセンテージで存在し得る。
【0097】
実施形態に応じて、PEG−エステルは約0.09〜19.9のPEG−エステル対PEG−アミン及びキトサンのモル比で存在し得る。例えば、PEG−エステルは、約0.09〜約0.1、約0.1〜約0.2、約0.2〜約0.3、約0.3〜約0.4、約0.4〜約0.5、約0.5〜約0.6、約0.6〜約0.7、約0.7〜約0.8、約0.8〜約0.9、約0.9〜約1.0、約1.0〜約2.0、約2.0〜約3.0、約3.0〜約4.0、約4.0〜約5.0、約5.0〜約6.0、約6.0〜約7.0、約7.0〜約8.0、約8.0〜約9.0、約10〜約11、約11〜約12、約12〜約13、約13〜約14、約14〜約15、約15〜約16、約16〜約17、約17〜約18、約18〜約19、19〜約19.9、又はこれらの間の任意の量のPEG−エステル対PEG−アミン及びキトサンのモル比で存在し得る。
【0098】
実施形態に応じて、PEG−エステルはシーリング材製剤のパーセンテージ(重量/重量、重量/体積、又は体積/体積)に基づいてシーリング材組成物中に存在し得る。例えば、PEG−エステルは、約99.0%〜約1.0%、約90.0%〜約10.0%、約80.0%〜約20.0%、約70.0%〜約30.0%、約60.0%〜約40.0%、約55.0%〜約45.0%、約53.0%〜約47.0%、約52.0%〜約48.0%、約52.0%〜約50.0%、及びこれらの量の間又はこれらを含む任意のパーセンテージの製剤全体中の重量パーセンテージで存在し得る。
【0099】
幾つかの実施形態において、キトサン対PEG−エステルのモル比はおよそ0.0001〜約1である。もう1つ別の実施形態において、キトサン対PEG−エステルのモル比はおよそ0.0001〜約0.005である。さらにもう1つ別の実施形態において、キトサン対PEG−エステルのモル比はおよそ0.005〜約0.01である。幾つかの実施形態において、キトサンの活性基部位対PEG−エステルの活性基部位の当量比はおよそ0.01〜約9である。もう1つ別の実施形態において、キトサンの活性基部位対PEG−エステルの活性基部位の当量比はおよそ0.01〜約2である。もう1つ別の実施形態において、キトサンの活性基部位対PEG−エステルの活性基部位の当量比はおよそ0.1〜約2である。もう1つ別の実施形態において、キトサンの活性基部位対PEG−エステルの活性基部位の当量比はおよそ0.5〜約1.5である。
【0100】
上述したように、幾つかの実施形態において、第2のセクションが存在し得、本質的に非架橋前駆体からなり得る。幾つかの実施形態において、第2のセクションは、非凍結乾燥非架橋ヒドロゲル前駆体の固体塊で形成され得、この前駆体は水性の生理学的環境に曝露されるまで非反応性状態のままであるが、曝露されるとこの前駆体はインサイチュで互いに架橋して、シーリング材の改善された接着を動脈切開にもたらす。ヒドロゲル前駆体は、エステル末端基を有するポリエチレングリコール、アミン末端基を有するポリエチレングリコールを含み得、これらは融合又はその他でシーリング材の遠位端に結合する。様々な脱アセチル化度を有するキトサンが第2のセクションに存在してもしなくてもよい。第2のセクション中のキトサンの重量パーセンテージは、存在する場合、0.1%〜80%で変化し得る。もう1つ別の実施形態において、キトサンは1%〜30%の重量パーセンテージで第2のセクション中に存在する。さらにもう1つ別の実施形態において、キトサンは10%〜30%の重量パーセンテージで第2のセクション中に存在する。追加の実施形態において、キトサン繊維、キトサンメッシュ又はキトサン粒子は非架橋ヒドロゲル前駆体と共に組み入れ又は融合され得る。例えば、固体塊は実質的に均一な中実のプラグとして形成されてもよく、又は粉末若しくは繊維の焼結塊又はメッシュとして形成されてもよい。キトサン繊維、メッシュ又は粒子は架橋網目構造の完全性を増大するために補強部材として機能し得る。キトサン繊維、キトサンメッシュ又はキトサン粒子を含んでも含まなくてもよい融解した前駆体は、管状部材内の管状ロールの遠位端に塗布し、固化させて、管状ロールの遠位端と融合した固体塊を創り出すことができる。
【0101】
幾つかの実施形態はキトサンを含有するコポリマーの使用に関連しているが、キトサンはまた止血までの時間を減らすためにシーリング材として独立して使用することもできる。かかる実施形態において、キトサンはシーリング材の約0.01%〜シーリング材の約99.9%の範囲である。
【0102】
追加の作用物質
追加の実施形態において、1種又は複数の追加の組成物をコポリマーシーリング材に添加することができる。幾つかの実施形態において、追加の作用物質は穿刺のシールを促進するためにシーリング材に添加される。幾つかの実施形態において、血栓形成促進剤をシーリング材に含ませてもよい。例えば、生物学的血栓形成促進剤が幾つかの実施形態で含まれる。これらには、限定されることはないが、コラーゲン、フィブリン、フィブリノーゲン、トロンビン、第VIII因子、第IX因子、第X因子、カルシウム塩、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、又はその他のタンパク質をベースにした物質の1種又は複数がある。血栓形成を促進する合成材料としては、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)、などが挙げられる。
【0103】
幾つかの実施形態において、第1のセクション4(及び/又は第2のセクション6)はさらに、例えば治癒を促進し、感染及び/又はその他の有害な医療事象、などを予防するために治療及び/又は医薬剤を含ませてもよい。
【0104】
例えば、幾つかの実施形態において、シーリング材はさらに、以下に挙げる1種又は複数の薬剤を、単独で、又は組み合わせて含んでもよい。また、利用される薬剤は以下に挙げる1種又は複数の薬剤の等価物、誘導体、又はアナログでもよい。薬剤としては、限定されることはないが、医薬剤、例えば、抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウィルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤)、抗炎症剤(例えば、ステロイド又は非ステロイド系抗炎症剤)、生物学的作用剤、例えばホルモン、酵素若しくは酵素関連成分、抗体若しくは抗体関連成分、オリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、短干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、など)、DNA/RNAベクター、ウィルス(野生型又は遺伝子組換え)又はウィルスベクター、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外基質成分、並びに1種又は複数の生物学的構成成分を産生するように構成された生細胞が挙げられる。いかなる特定の薬剤の使用も、その主要な効果又は規制機関が認可した治療適応症又は使用法に制限されない。薬剤はまた、別の薬剤又は治療剤の1つ又は複数の副作用を低減又は治療する化合物又はその他の物質も包含する。多くの薬剤は単一より多くの作用モードを有しているので、以下のいずれか1つの薬効分類内の特定の薬剤のリストはその薬剤の1つの可能な使用の単なる代表例であり、その使用の範囲を眼科のインプラントシステムに限定する意図はない。
【0105】
上述したように、シーリング材に含まれる治療剤は当技術分野で公知の通り任意の数の賦形剤と組み合わせられる。使用するのに適した賦形剤としては、限定されることはないが、生分解性ポリマー賦形剤、ベンジルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セチルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ゼラチン、グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、カオリン、塩化カルシウム、ラクトース、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、ポリソルベート、アルファ化デンプン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コーンスターチ、タルク、などがある。1種又は複数の賦形剤は約1%、5%、又は10%のような低い総量で含まれ得、他の実施形態においては約50%、70%又は90%もの総量で含まれ得る。
【0106】
シーリング材に使用できる薬剤の例として、様々な抗分泌剤;抗有糸分裂及び他の抗増殖剤、アドレナリンアンタゴニスト、例えば、ベータ遮断剤、例えばアテノロールプロプラノロール、メチプラノロール、ベタキソロール、カルテオロール、レボベタキソロール、レボブノロール及びチモロール;アドレナリンアゴニスト又は交感神経様作用剤、例えばエピネフリン、ジピベフリン、クロニジン、アプラクロニジン(aparclonidine)、及びブリモニジン;副交感神経作用剤又はコリン作用性(cholingeric)アゴニスト、例えばピロカルピン、カルバコール、ホスホリンヨウ素、及びフィゾスチグミン、サリチレート、塩化アセチルコリン、エゼリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、臭化デメカリウム);、ムスカリン作用薬;炭酸脱水酵素阻害剤、例えば局所及び/又は全身性作用剤、例えばアセタゾラミド(acetozolamide)、ブリンゾラミド、ドルゾラミド及びメタゾラミド、エトキスゾラミド、ダイアモックス、及びジクロルフェナミド;散瞳−毛様筋調節作用物質、例えばアトロピン、シクロペントレート、スクシニルコリン、ホマトロピン、フェニレフリン、スコポラミン及びトロピカミド;プロスタグランジン、例えばプロスタグランジンF2アルファ、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体、又はプロスタグランジンアナログ作用剤、例えばビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト及びウノプロストンを挙げることができる。
【0107】
シーリング材に含ませられる薬剤のその他の例として、抗炎症剤、例えばグルココルチコイド及びコルチコステロイド、例えばベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−リン酸、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21−リン酸、プレドニゾロンアセテート、プレドニゾロン、フルオロメトロン(flluroometholone)、ロテプレドノール、メドリゾン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルオロメトロン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、ロテプレドノール、及びリメキソロン;非ステロイド系抗炎剤、例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナク、及びケトロラク、サリチレート、インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカム及びナブメトン;抗感染症薬又は抗菌剤、例えば抗生物質、例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、アミノグリコシド系抗生物質(例えばゲンタマイシン及びトブラマイシン)、フルオロキノロン系抗菌剤(例えばシプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン);バシトラシン、エリスロマイシン、フシジン酸、ネオマイシン、ポリミキシンB、グラミシジン、トリメトプリム、及びスルファセタミド;抗真菌剤、例えばアムホテリシンB及びミコナゾール;抗ウィルス剤、例えばイドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン;抗真菌剤;免疫調節剤、例えば、抗アレルギー薬、例えば、クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、セチリジン(cetrizine)、ピリルアミン、プロフェンピリダミン;抗ヒスタミン剤、例えばアゼラスチン、エメダスチン及びレボカバスチン;免疫学的薬剤(例えば、ワクチン及び免疫刺激剤);MAST細胞安定剤、例えばクロモリンナトリウム、ケトチフェン、ロドキサミド、ネドクロミル(nedocrimil)、オロパタジン、及びペミロラスト;毛様体切除剤、例えばゲンチマイシン(gentimicin)及びシドフォビル;並びにその他の眼科用薬剤、例えばベルテポルフィン、プロパラカイン、テトラカイン、シクロスポリン、及びピロカルピン;細胞表面糖タンパク質受容体の阻害剤;充血緩和剤、例えばフェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン;脂質又は降圧性脂質;ドーパミン作動性アゴニスト及び/又はアンタゴニスト、例えばキンピロール、フェノルドパム、及びイボパミン;血管痙攣阻害剤;血管拡張薬;抗高血圧剤;アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;アンジオテンシン−1受容体アンタゴニスト、例えばオルメサルタ;、微小管阻害剤;分子モーター(ダイニン及び/又はキネシン)阻害剤;アクチン細胞骨格調節剤、例えばサイトカラシン(cyctchalasin)、ラトランクリン、スウィンホリドA、エタクリン酸、H−7、及びRho−キナーゼ(ROCK)阻害剤;リモデリング阻害剤;細胞外基質のモジュレーター、例えばtert−ブチルヒドロ−キノロン及びAL−3037A;アデノシン受容体アゴニスト及び/又はアンタゴニスト、例えばN−6−シクロヘキシルアデノシン(cylclophexyladenosine)及び(R)−フェニルイソプロピルアデノシン;セロトニンアゴニスト;ホルモン剤、例えばエストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インシュリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチド及びバソプレッシン視床下部放出因子;増殖因子アンタゴニスト又は増殖因子、例えば、上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子又はそのアンタゴニスト、形質転換増殖因子ベータ、ソマトトロピン(somatotrapin)、フィブロネクチン、結合組織増殖因子、骨形態形成タンパク質(BMP);サイトカイン、例えばインターロイキン、CD44、コクリン(cochlin);及び血清アミロイド、例えば血清アミロイドAも挙げることができる。
【0108】
他の治療剤としては、神経保護剤、例えばルベゾール(lubezole)、ニモジピン及び関連化合物、及び血流促進剤、例えばドルゾラミド又はベタキソロール;血液酸素化を促進する化合物、例えばエリスロポエチン;ナトリウムチャネル遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬、例えばニルバジピン又はロメリジン;グルタミン酸阻害薬、例えばメマンチン、ニトロメマンチン、リルゾール、デキストロメトルファン又はアグマチン;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばガランタミン、ヒドロキシルアミン又はその誘導体、例えば水溶性ヒドロキシルアミン誘導体OT−440;シナプス調節剤、例えばフラボノイド配糖体及び/又はテルペノイド、例えばイチョウを含有する硫化水素化合物;神経栄養因子、例えばグリア細胞株由来神経栄養因子、脳由来神経栄養因子;IL−6ファミリーのタンパク質のサイトカイン、例えば毛様体神経栄養因子又は白血病抑制因子;酸化窒素レベルに影響を及ぼす化合物又は因子、例えば酸化窒素、ニトログリセリン、又は酸化窒素合成酵素阻害剤;カンナビノイド受容体アゴニスト、例えばWIN55−212−2;遊離基捕捉剤、例えばメトキシポリエチレングリコールチオエステル(MPDTE)又はEDTAメチルトリエステルとカップリングしたメトキシポリエチレン(polyethlene)グリコールチオール(MPSEDE);酸化防止剤、例えばアスタキサンチン、ジチオールチオン、ビタミンE、又はメタロコロール(例えば、鉄、マンガン又はガリウムコロール);酸素ホメオスタシスに関与する化合物又は因子、例えばニューログロビン又はサイトグロビン;ミトコンドリアの分割又は分裂に影響する阻害剤又は因子、例えばMdivi−1(ダイナミン関連タンパク質1(Drp1)の選択的阻害剤);キナーゼ阻害剤又はモジュレーター、例えばRho−キナーゼ阻害剤H−1152又はチロシンキナーゼ阻害剤AG1478;インテグリン機能に影響を及ぼす化合物又は因子、例えばベータ1−インテグリン活性化抗体HUTS−21;N−アシル−エタノールアミン(ethanaolamines)及びそれらの前駆体、N−アシル−エタノールアミンリン脂質;グルカゴン様ペプチド1受容体の刺激剤(例えば、グルカゴン様ペプチド1);ポリフェノールを含有する化合物、例えばレスベラトロール;キレート化合物;アポトーシス関連プロテアーゼ阻害剤;新たなタンパク質合成を低下させる化合物;放射線治療剤;光線力学療法剤;遺伝子治療剤;遺伝子モジュレーター;神経又は神経の一部(例えば、脱髄)に対する損傷を防止する自己免疫モジュレーター、例えばグラチマー、ミエリン阻害剤、例えば抗−NgR Blocking Protein、NgR(310)エクト−Fc;その他の免疫調節剤、例えばFK506結合性タンパク質(例えば、FKBP51)を挙げることができる。
【0109】
使用できる他の治療剤として、他のベータ遮断剤、例えばアセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、エスモロール(asmolol)、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロール、及びピンドロール;他のコルチコステロイド系及び非ステロイド系抗炎症剤、例えばアスピリン、ベタメタゾン、コルチゾン、ジフルニサール、エトドラク、フェノプロフェン、フルドロコルチゾン、フルルビプロフェン、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメイト、メフェナム酸、メロキシカム、メチルプレドニゾロン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、プレドニゾロン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、及びトルメチン;COX−2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ及びバルデコキシブ;他の免疫調節剤、例えばアルデスロイキン、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、アザチオプリン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、ヒドロキシクロロキン、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、レフルノミド、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、及びスルファサラジン;他の抗ヒスタミン剤、例えばロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン及びプロメタジン;他の抗感染症剤、例えばアミノグリコシド類、例えばアミカシン及びストレプトマイシン;抗真菌剤、例えばアムホテリシンB、カスポファンギン、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィン及びナイスタチン;抗マラリヤ薬、例えばクロロキン、アトバコン、メフロキン、プリマキン、キニジン及びキニーネ;抗マイコバクテリウム剤、例えばエタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピン及びリファブチン;抗寄生虫薬、例えばアルベンダゾール、メベンダゾール、チアベンダゾール(thiobendazole)、メトロニダゾール、ピランテル、アトバコン、ヨードキノール(iodoquinaol)、イベルメクチン、パロマイシン、プラジカンテル、及びトリメトレキサート(trimatrexate);他の抗ウィルス剤、例えば抗CMV又は抗ヘルペス剤、例えばアシクロビル、シドフォビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、トリフルリジン及びホスカルネット;プロテアーゼ阻害剤、例えばリトナビル、サキナビル、ロピナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビル及びネルフィナビル;ヌクレオチド/ヌクレオシド/非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばアバカビル、ddI、3TC、d4T、ddC、テノホビル及びエムトリシタビン、デラビルジン、エファビレンツ及びネビラピン;他の抗ウィルス剤、例えばインターフェロン、リバビリン及びトリフルリジン(trifluridiene)、他の抗細菌剤、例えばカルバペネム(cabapenem)、例えばエルタペネム、イミペネム及びメロペネム;セファロスポリン系抗生物質、例えばセファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフジトレン、セファレキシン、セファクロル、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジジム(ceftaxidime)、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム及びロラカルベフ;、他のマクロライド系及びケトライド系抗生物質、例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン及びテリスロマイシン;ペニシリン系抗生物質(クラブラン酸含有及び非含有)、例えばアモキシシリン、アンピシリン、ピバンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン、及びチカルシリン;テトラサイクリン系抗生物質、例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン及びテトラサイクリン;他の抗細菌剤、例えばアズトレオナム、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リネゾリド、ニトロフラントイン及びバンコマイシン;アルファ遮断剤、例えばドキサゾシン、プラゾシン及びテラゾシン;カルシウムチャネル遮断薬、例えばアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン及びベラパミル;他の抗高血圧剤、例えばクロニジン、ジアゾキシド、フェノルドパム(fenoldopan)、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、フェノキシベンザミン、エポプロステノール、トラゾリン、トレプロスチニル及び硝酸ベースの薬剤;プロスタグランジンPDE−5阻害剤及び他のプロスタグランジン作用剤、例えばアルプロスタジル、カルボプロスト、シルデナフィル、タダラフィル及びバルデナフィル;抗増殖剤、例えばシロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセル及びミコフェノール酸;ホルモン関連作用剤、例えばレボチロキシン、フルオキシメステロン(fluoxymestrone)、メチルテストステロン、ナンドロロン、オキサンドロロン、テストステロン、エストラジオール、エストロン、エストロピペート、クロミフェン、ゴナドトロピン、ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ミフェプリストン、ノルエチンドロン、オキシトシン、プロゲステロン、ラロキシフェン及びタモキシフェン;抗新生物薬、例えばアルキル化剤、例えばカルムスチン ロムスチン、メルファラン、シスプラチン、フルオロウラシル3、及びプロカルバジン抗生物質様作用剤、例えばブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン及びプリカマイシン、抗増殖剤(例えば、1,3−cisレチノイン酸、5−フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、マイトマイシンC及びシスプラチン);代謝拮抗剤、例えばシタラビン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン及び5−フルオロウラシル(5−FU);免疫調節剤、例えばアルデスロイキン、イマチニブ、リツキシマブ及びトシツモマブ;有糸分裂阻害剤ドセタキセル、エトポシド、ビンブラスチン及びビンクリスチン;放射性医薬品、例えばストロンチウム−89;及び他の抗新生物薬、例えばイリノテカン、トポテカン及びミトタンがある。
【0110】
場合により、第2のセクションはさらに1種又は複数のpH調節剤を含んでもよい。例えば、pH調節剤、例えばホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び/又は他の塩、例えば結晶又は粉末形態のNa
2B
4O
7・10H
2Oを、(以下でより詳細に述べるように)前駆体と共に融解した後前駆体と共に第1のセクション4の遠位端4bに塗布することができる。或いは、pH調節剤は、融解した前駆体を第1のセクション4に融合した後、例えば、ホウ酸塩又はその他の塩の結晶を非架橋前駆体の固体塊の外側表面に結合又は含浸することにより、及び/又は、例えば、他での参照により本明細書中に組み入れられている参考文献に開示されている実施形態と同様に、融解し、融解塩のコーティングを外側表面に塗布することにより、第2のセクション6に塗布してもよい。加えて、又は代わりに、1種又は複数のpH調節剤は、所望であれば、第1のセクション4上に提供されてもよい。
【0111】
このようにして、pH調節剤は、例えば穿刺内に配置されたときのシーリング材2の上又は周りの局部的なpHを変化させて、架橋及び/又は所望の接着材料の創成を増強することができる。或いは、間質体液及び/又は血液のpH及び/又は緩衝能力は、第2のセクション6の架橋を推進又は促進するのに有効であり得る。例えば、第2のセクション6の前駆体は、これらの因子の全てを考慮に入れるように、及び/又は組織に対する強固な接着を形成するように、最適化することができる。
【0112】
追加の実施形態において、限定されることはないが、低分子量PEG及び/又はグリセロールを始めとする希釈剤のような他の作用物質をシーリング材に添加してもよい。
【0113】
これらの追加の作用物質は、シーリング材に埋め込まれてもよく、シーリング材に(例えば、「コア」として)包み込まれてもよく、シーリング材と共に製造されてもよく、及び/又は1つ又は複数のコーティング又は層として塗布されてもよい。さらに、第1のセクション4の材料は実質的に均一な組成を有していてもよく、又は組成は、例えば、その長さに沿って、及び/又は第1のセクション4内の下にある層内で、変化してもよい。
【0114】
シーリング材の製造
幾つかの実施形態において、第1のセクション4は、全体が凍結乾燥ヒドロゲルから、例えば、最初に凍結乾燥ポリマーの薄いシートとして形成され得る。例えば、PEG及びキトサンのブレンドから第1のセクション4を製造するには、ヒドロゲルを形成することが意図されたPEG−アミン、PEG−エステル及びキトサン粉末を別個の容器(例えば、バイアル)に入れることができる。リン酸及びホウ酸緩衝液は、例えば、ホウ酸ナトリウム及びリン酸ナトリウムを注射用殺菌水(WFI)に溶解し、各々の溶液のpHを予め決められた要件に合うように調節することによって作製することができる。使用するキトサンはキトサン塩の形態(例えばキトサン塩化物、キトサングルタミン酸塩、キトサン酢酸塩又はキトサンのその他の塩形態)でよい。キトサン塩粉末は所定の量のPEG−エステル又はPEG−アミン粉末と混合し得る(又は実施形態に応じて予め混合してもよい)。次に粉末をそれぞれの緩衝溶液に、例えば1つのバイアルでPEG−エステル及びキトサンをリン酸緩衝溶液に、他のバイアルでPEG−アミンをホウ酸緩衝溶液に溶解し得る。或いは、キトサン粉末をホウ酸緩衝溶液中でPEG−アミンと混合することができる。さらに、代わりに、キトサン粉末をバイアルの各々で、例えば、PEG−アミン及びPEG−エステルの両方と混合し溶解し、その後合わせることができる。PEG−エステル対PEG−アミンのモル比は、PEG−エステル基がPEG−アミンを超えていて、PEG−エステル基が、PEGとキトサンポリマー鎖との間の共有結合を創り出すためのキトサンポリマー鎖のアミン基との反応に利用可能であるようなものでよい。様々なPEG前駆体の割合に関する追加の情報は上により詳細に開示されている。これらの前駆体溶液は一緒に混合し、トレイに注ぎ、凍結乾燥し得る。凍結乾燥された材料は、場合により、例えば重合反応を完了させるために一連の熱及び/又は湿度調節サイクルに付してもよい。
【0115】
幾つかの実施形態において、ヒドロゲルシーリング材の凍結乾燥され状態調節されたシートはその後大きさ及び質量条件に従って切り取る、例えば、仕上がった第1のセクション4の所望の長さに切断することができる。例えば、
図1Aに示されているように、切り取られたヒドロゲルは、乾燥し、巻き上げ、その後の第2のセクション6への結合のための移送管8中に装填され得る。
【0116】
シーリング材2の非凍結乾燥非架橋の遠位セクション6を製造するためには、PEG−アミン及びPEG−エステル粉末(又は他の架橋可能なポリマー前駆体)を適当な容器(例えば、ビーカー又はフラスコ)内で融解し、混合し、混合物を完全に融解し均一に混合するのに充分な時間所定の温度に加熱することができる。当業者には了解されるように、様々な前駆体の融点は、少なくとも部分的に分子量に依存する。しかしながら、当業者は、本明細書に提供されている開示に基づいて、コポリマーシーリング材を生成するのに適当な前駆体を容易に製造することができる。もう1つ別の実施形態において、非凍結乾燥セクションはさらに、融解したセクションに含まれているキトサン繊維、キトサンメッシュ又はキトサン粒子を含有し得る。例えば、前駆体は実質的に乾燥した空気又は不活性ガス雰囲気中、例えば、真空チャンバー内で融解され得る。この手法は、他の場合には早過ぎる分解及び架橋を生起し得る湿気の取り込みを減らすことができる。真空発生装置を用い、キトサン繊維、キトサンメッシュ又はキトサン粒子を含んでも含まなくてもよい融解したPEGは、次いで、ロール状に巻かれた凍結乾燥した第1のセクション4の遠位端4bに塗布され得る。
【0117】
例えば、上記したように、第1のセクション4は、ロール状に巻いたシートから形成し、
図1Aに示されているように移送管8に装填することができる。移送管8は、仕上がったシーリング材2の所望の外径又は断面に対応する内径又は他の断面を有し得る。移送管8は、ポリマー、金属、又は複合材のような組み立てプロセスのプロセスパラメーターに対処するのに充分ないかなる材料から形成されてもよく、場合により、第1のセクション4の挿入及び/又はシーリング材2の取り出しを容易にするために所望のコーティング、例えばPTFEを含んでもよい。
【0118】
第1のセクション4は、第1のセクション4の遠位端4bが、移送管8の端部から、例えば第2のセクション6の所望の長さに相当するか又はそれより長い所定の距離L6だけ内方にずれるように、移送管8中に装填することができる。例えば、第2のセクション6の所望の仕上げ長さが約1.5ミリメートルの場合、遠位端4bは、移送管8の端部から内方に約2ミリメートル(2.0mm)ずらすとよい(この場合、以下に記載されるように、あらゆる余分な材料は後に切り取ることができる)。次いで、真空発生装置を用いて、キトサン繊維、キトサンメッシュ又はキトサン粒子を含んでも含まなくてもよい融解した非架橋PEGを、ロール状に巻いた凍結乾燥シーリング材の遠位端4bに付ける。例えば、真空は、(「真空」と標識された矢印で現されるように)融解したPEGを移送管8中に、そして第1のセクション4の遠位端4bに突き当たるように向けさせる。こうして、移送管8は融解したPEGを所望の形状に、例えば第2のセクション6の直径及び/又は長さに形作ることができる。
【0119】
真空は、融解した前駆体を第1のセクション4の遠位端4bに名目上突き当たらせることができ、及び/又は融解した前駆体を、例えば毛細管作用などによって第1のセクション4内の気孔及び/又はその他の開放空間中に部分的に引き込むことができる。この状況で、第1のセクション4の遠位端4b内に、融解した前駆体が第1のセクション4の凍結乾燥ヒドロゲル又はその他の材料に侵入している遷移ゾーン7が創り出され得、これは第2のセクション6の第1のセクション4への融合を増強することができる。例えば、融解した前駆体は周囲条件下で急速に冷却され得、その結果遠位端4bへの侵入が比較的短くなり得、例えば、数ミリメートル(mm)未満(例えば、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1ミリメートル未満、又はそれ以下)の遷移ゾーン7が得られる。
【0120】
融解した前駆体は周囲条件下で乾燥させてもよく、例えば、単に放冷し固化させてもよく、又は、代わりに、融解し塗布された前駆体を所望の条件に曝露して、融解した前駆体の固化を加速又は促進してもよい。この真空プロセスは2つのセクションを一緒に効果的に融合してある長さのシーリング材2を提供する。
【0121】
キトサン繊維は紡糸技術により揮発性溶剤中キトサン溶液から製造することができる(例えば、電界紡糸)。キトサンメッシュは高濃度のキトサン溶液を凍結乾燥することによって製造することができる。或いは、キトサンを種々の架橋剤で架橋して高度に架橋したキトサンポリマー鎖を創り出すことができ、これをさらに加工してキトサン繊維又はメッシュを製造することができる。幾つかの実施形態においては化学架橋剤(例えば、グルタルアルデヒド(gluteraldehdye)、ホルムアルデヒド)を使用することができるが、幾つかの実施形態においてはゲニピンのような天然の架橋剤を使用する。また電界紡糸法を使用して架橋キトサン繊維(例えば、繊維状マット又はメッシュ)を製造することができる。幾つかの実施形態においては、蒸気架橋も使用し得る。
【0122】
上述したように、様々な割合のPEG及びキトサンを使用して、生理学的流体と接触した際に高い膨潤能力と共に止血特性を有する最終の凍結乾燥ヒドロゲルを提供することができる。幾つかの実施形態において、2種のPEG前駆体がキトサンと組み合わせられる。一定のかかる実施形態において、一方のPEG前駆体はエステル末端基を含有し、一方はアミン末端基を含有する。PEG前駆体はキトサンと反応することができ(PEGエステルはキトサンのアミン基と反応することができる)、そして互いに反応することができ(PEG−エステルはPEG−アミンと反応する)、凍結乾燥の際に高度に多孔質のヒドロゲル材料となることができる部分的に架橋した網目構造を提供することができる。
【0123】
PEG−エステル対PEG−アミン前駆体比並びにPEG前駆体対キトサンの比は凍結乾燥ヒドロゲルの最終特性を変化させることができる。上述したように、最終のヒドロゲル製剤中のキトサンの重量割合は約0.1〜約30重量%であり得るが、幾つかの実施形態において最終のヒドロゲル製剤中のキトサンの重量割合は約1%〜約10%である。1つの実施形態において、第1のセクションは約2重量%〜約4重量%のキトサンを含む。さらに追加の実施形態において、最終の凍結乾燥ヒドロゲルは約4重量%〜約6重量%のキトサンを含有する。エステル活性基を有するPEG前駆体のアミン末端基を有するPEG前駆体に対する比は凍結乾燥されたポリマー網目構造の架橋密度、多孔性及び完全性に影響することができる。幾つかの実施形態において、PEG−エステルは、幾らかのエステル基がキトサンのアミン基と共有結合的に反応することができるように、PEG−アミンより過剰である。これらの結果として得られるヒドロゲルはそのポリマー網目構造内にキトサンを含有し、そこではキトサンはPEG成分と共有結合で結合している。この方法は、ヒドロゲル材料の全表面積を増大することによって最終の凍結乾燥ヒドロゲル材料の膨潤能力と共に止血能力を増大する。
【0124】
図2Aに示されているように、キトサン生体吸収性メッシュ6a’が第2のセクション6’の前駆体6b’内に埋め込まれられ得るか、及び/又はそれを取り囲み得る。生体吸収性キトサンのメッシュ6a’は固化した前駆体6b’より大きい剛性、弾性、及び/又はその他の望ましい性質を有し得る。加えて、図に示されているように、メッシュ6a’はらせん構造を有する1種又は複数の繊維又はフィラメント(図に示されている1本のらせん状フィラメント)であってもよく、又は代わりに、メッシュ6a’はフィラメントの組紐、ロール状に巻いた多孔質マット、などでもよい(図示せず)。1つの実施形態において、メッシュ6a’は、例えば、上記したように融解した前駆体(図示せず)を塗布する前に移送管8(図示せず、
図1A参照)の端部に補強部材を挿入することによって、第2のセクション6’の前駆体6b’内に埋め込むことができる。こうして、塗布された前駆体が移送管8内に引き込まれ、冷却される(又は、その他乾燥され、及び/又は固化される)につれて、前駆体6b’はメッシュ6a’に侵入し得るか、及び/又はそれを取り囲み得、それによりその部材を第2のセクション6’内に埋め込み得る。
【0125】
図2Bに示されているように、キトサン補強粒子又は充填材6a”が第2のセクション6”内に提供され得る。例えば、キトサンの組成物を融解した前駆体混合物と混合し得、次いで、例えば上記の真空プロセスを用いて、補強充填材6a”を第1のセクション4(図示せず)の遠位端4bに前駆体6b”と共に塗布し得る。こうして、充填材6a”をランダムに、実質的に均一に、又は所望のパターンで第2のセクション6”全体に分布させることにより、第2のセクション6”の前駆体6b”の剛性を増強し、脆性を低減させ、及び/又はその他性質を所望のように変更させ得る。
【0126】
上述したように、幾つかの実施形態において、希釈剤を製剤に含ませることができる。幾つかのかかる実施形態において、希釈剤は、第1のセクション6の機械的な強度及び/又は完全性を改善し、及び/又は第2のセクション6の脆性を最小にするように、第1のセクション4への塗布前に製剤(例えば、融解した前駆体)に加えられる。
【0127】
本発明のシーリング材の形状は制御された変形に資する形状を有するように改変することができると理解されたい。例としては、逆ゴルフティー、砂時計、スイープ又は波状面、管状又は中実のロッド断面又は形状、楕円形、三角形、四角形、円錐、円盤、多角形の形状、など(図示せず)がある。
【0128】
図1に示されているように、第1のセクション4及び第2のセクション6(又は、第1のセクション4がない場合は、代わりに、セクション6)は、例えば、シーリング材2の送達を容易にするために、第1のセクション4の近位端4aと遠位端4bとの間を、また第2のセクション6を通って伸延する内腔5を含み得る。例えば、内腔5はそこを通るバルーンカテーテル又はその他の位置決め部材を受容して受け入れるような寸法になっていることができ、例えば、シーリング材2が位置決め部材に対してスライドするか又はそれを通り過ぎることができ、及び/又は位置決め部材がシーリング材に対して軸方向に導かれ得るようになっている。或いは、シーリング材2は実質的に連続したロッド材料であって、例えば、位置決め部材を持たないカートリッジ又はシャトルを用いて穿刺内にシーリング材2を送達することができるようになっていてもよい。
【0129】
加えて(又は、代わりに)、シーリング材2が内腔5を有する場合、例えば、第1のセクション4が1つ又は複数のシート又は層の材料からロール状に巻かれるか又は成形により形成されるならば、内腔5は第1のセクション4が形成されるときに作製され得る。或いは、内腔5は、既に形成された中実の第1のセクション4、第2のセクション6、又は全体のシーリング材2を通って材料に穴をあけるか、又はその他で材料を除去することにより形成されてもよい。例えば、第1のセクション4がロール状に巻かれたシートから形成されるならば、例えば、
図1Aに示されているように、移送管8から伸延する遠位端4bに第2のセクション6を付ける前に、ロッド又はその他のマンドレル9(これは移送管8と同様に製造され得る)を内腔5に通して挿入することができる。こうして、第2のセクション6は、例えば、移送管8内で、成形され、マンドレル9の周りで遠位端4bに融合され得る。融解した前駆体が固化したらマンドレル9を取り外すことができ、第2のセクション6及び第1のセクション4を通る連続した内腔が得られる。或いは、第2のセクション6を通る内腔5の部分は、第2のセクション6が形成され第1のセクション4に融合された後に穴をあけたり、ドリルで掘ったり、又はその他の方法で作製してもよい。
【0130】
シーリング材の寸法は特定の用途に適合させることができる(例えば、より大きい穿刺をシールするにはより大きい幅及び/又はより長く、又はより小さい穿刺のためにはより小さい/短い)。幾つかの実施形態において、シーリング材2は約3〜20ミリメートル(3−20mm)、例えば約3〜約5mm、約5〜約7mm、約7〜約9mm、約9〜約11mm、約11〜約13mm、約13〜約15mm、約15〜約15.5mm、約15.5〜約16mm、約16〜約16.5mm、約16.5〜約17mm、約17〜約20mm、又はこれらの間の任意の長さの全体の長さを有する。具体的なシール用途で必要であれば、より短いか又はより長いシーリング材も使用できる。
【0131】
シーリング材の第2の部分6はシーリング材の全長の任意のパーセンテージであり得る。例えば、
図1に示した非限定的な実施形態は第1のセクション4が第2のセクション6より実質的に長いシーリング材を表しているが、代わりに、セクション4、6が同様な長さを有していてもよく、又は第2のセクション6が第1のセクション4より長くてもよいことが了解されよう。さらに代わりの実施形態において、第1のセクション4は省略されてもよく、第2のセクション6が、例えば約3〜20ミリメートル(3−20mm)の長さを有するシーリング材2の全長(図示せず)を提供してもよい。
【0132】
例えば、第1のセクション4は約ゼロ(シーリング材2全体が第2のセクション6から形成されている場合)〜20ミリメートル(0−20mm)、例えば約5〜20ミリメートル(5−20mm)、例えば約15ミリメートル(15mm)の長さを有し得る。第2のセクション6は第1のセクション4と同様な外径を有し得るが、実質的により短い、例えば、約ゼロ(シーリング材2全体が第1のセクション4から形成されている場合)〜8ミリメートル(0−8mm)、例えば約半分〜5ミリメートル(0.5−5.0mm)、例えば約1.5ミリメートルの長さを有していてもよい。
【0133】
用途に応じて、シーリング材の外径(又は他の断面寸法)は約1〜約8ミリメートル、例えば約1mm〜約3mm、約3mm〜約5mm、約5〜約8mm、及び上記の間の任意の直径又は寸法である。例えば、幾つかの実施形態において、シーリング材の横寸法は約1〜約3mm、例えば約1mm〜約1.25mm、約1.25mm〜約1.5mm、約1.5mm〜約1.75mm、約1.75mm〜約2mm、約2mm〜約2.5mm、約2.5mm〜約3mm、及び上記の間の任意の寸法である。より大きい又はより小さい横寸法のシーリング材も使用できる。
【0134】
シーリング材配置のためのデバイス
図3A−3Dを参照すると、一般に位置決め部材714及び、位置決め部材714上に支えられた、シーリング材2を穿刺(図示せず)中に送達するためのカートリッジ716を有する装置710が示されている。カートリッジ716は、(本明細書に記載されているシーリング材の特徴のいずれか1つを含むことができる)シーリング材2を担持し、シーリング材2に隣接する支持部材730の遠位端734を取り囲むシーリング材スリーブ750、及び支持部材730の近位端732上のハンドル又はハブ723を有することができる。シーリング材スリーブ750は、支持部材730の遠位端734の一部分を取り囲み、例えば、
図3Dに示されているような導入シース780のハブ又は近位端783に突き当たるか又はその他接触するような大きさの、比較的に大きい直径の近位部分752、及び、シーリング材2を取り囲み、例えば、導入シース780のハブ783及び/又は内腔786に入るような大きさの比較的に小さい直径の遠位部分754を有することができる。ハブ783はシーリング材スリーブの小径部分を解放可能に受容するように適合させたキャビティーを有することができる。カートリッジ716は最初、シーリング材スリーブ750及びシーリング材2が位置決め部材714の位置決め要素746に直ぐ隣接して位置するように提供され得る。
【0135】
ハンドル723は、以下にさらに記載するように、内側ハウジング又はフレーム774及び、装置710の1つ又は複数の構成部品の互いに対する動きを可能にするか、及び/又は起こさせるための1つ又は複数のアクチュエータ760−764を取り囲む外側ハウジング又はシュラウド772を有することができる。図に示されているように、外側ハウジング772は、その中に第1及び第2のアクチュエータ760及び762が具備されている第1の開口又はスロット773、並びにその中に第3のアクチュエータ764が具備されている第2のスロット775を有することができる。開口773は、以下にさらに記載するように、第1及び/又は第2のアクチュエータ760、762と相互作用するための1つ又は複数の特徴を有し得る。
【0136】
内側ハウジング774は外側ハウジング772に対して、例えば最初の近位位置と遠位位置との間で軸方向にスライド可能であり得る。例えば、外側ハウジング772は、内側ハウジング774の周りに取り付けられ得るクラムシェルの半分又はその他の構成部品を有していてもよく、その結果協働するレール及び溝(図示せず)により、内側ハウジング774が実質的な横方向の動きなしに軸方向にスライドできるようになっている。1つの代表的な実施形態において、1つ又は複数の細長いリブ又はレール(図示せず)が外側ハウジング772の内側表面に成形されるか又はその他具備され得、この外側ハウジング772は内側ハウジング774内のレール又は溝(やはり図示せず)間にスライド可能に受容され得る。
【0137】
ハンドル723は、外側ハウジング772と一体的に形成されるか又はその他外側ハウジング772から伸延する遠位シュラウド776を有することができる。1つ又は複数の戻り止め又は他の特徴、例えば、一対の歯778が、ハブ723を
図3Dに示されているシース780のような導入シースと係合させるためにシュラウド776上に具備され得る。例えば、シース780は、ハブ783の反対側に沿って軸方向に伸延する一対のポケット783aを有するハブ783を有し得る。歯778は、例えば、以下に記載されるように、使用中装置710がシース780内に導入されたときポケット783a内にスライド可能に受容され得るタブ又は戻り止め778aを有する。歯778及びポケット783aの相対的な長さは、戻り止め778aがポケット783aを貫通し、その遠位端から外に伸延するように設定されている。戻り止め778aは、挿入を容易にする傾斜を付けた又は先細の遠位縁、及び、やはり以下にさらに記載するように、ポケット783aの遠位端と係合して、歯778がポケット783aを通って引き戻されるのを防止することにより、シース780とハブ723の外側ハウジング772の動きを連結させる鈍い近位縁を有し得る。
【0138】
図3Cに見ることができるように、装置710はラックピニオン装置を有することができる。例えば、図に示されているように、ラック766が支持部材730の近位端732に連結され、外側及び/又は内側ハウジング772、774内にスライド可能に受容され得る。ピニオン768は、複数の噛み合い歯766a、768aによりラック766に連結された内側ハウジング774に回転可能に装着され得る。第2の又は支持アクチュエータ762、例えば、内側ハウジング774に旋回可能に連結されたボタンが、ピニオン768を選択的に回転させるために、例えば、噛み合い歯762b、768bによりピニオン768に連結される。例えば、以下にさらに記載するように、第2のアクチュエータ762を押し下げてピニオン768を回転させることにより、ラック766を遠位方向に前進させ、これにより支持部材730を前進させ得る。
【0139】
場合により、図に示されているように、第1の又はロッキングアクチュエータ760が、始動するまで外側及び/又は内側のハウジング772、774の相対的な動きを防止し、及び/又は支持部材730の動きを制限するためにハブ723上に具備され得る。例えば、
図3Cに最もよく見られるように、ロッキングアクチュエータ760は、内側ハウジング774に旋回可能に装着され得、外側ハウジング772の開口773の遠位縁773bに突き当たるか又はその他係合する遠位端760aを有し得る。結果として、内側ハウジング774は近位位置に実質的に固定され得、ロッキングアクチュエータ760が始動してアクチュエータ760の遠位端760aを開口773の遠位縁773bから解放するまで遠位位置方向に導かれることはできない。
【0140】
加えて、又は代わりに、第1のアクチュエータ760は、支持部材730を内側ハウジング774に対して選択的にロックするための戻り止め又は他のロッキング特徴760bを有し得る。例えば、
図3Cに示されているように、戻り止め760bが、あらゆる他の特徴と係合していない第1のアクチュエータ760から内方に伸延する。第1のアクチュエータ760が始動され、すなわち、内方に導かれて、アクチュエータ760の遠位端760aを外側ハウジング772の遠位縁773bから解放すると、戻り止め760bは下方の内側ハウジング774中に落下し得る。本明細書中に述べられているように、内側及び外側ハウジング部分774、772が互いに対して可動になると、ハンドル723を近位方向に動かして外側のシース780を後退させシーリング材を露わにすることができる。
【0141】
その後、支持アクチュエータ762を続いて始動させると、本明細書に記載されているように、ラック766が前進して、ラック766の遠位端766bが戻り止め760bの下を通り、戻り止め760bがポケット(図示せず)に捕捉されるまで、支持部材730がシーリング材を動脈切開の方へ詰め得る。戻り止め760bがポケットに捕捉されると、ラック766は近位方向に動くことができないので、ラック766と連結された支持部材730の近位方向の動きが防止される。
【0142】
装置710はまた、例えば、配置後シーリング材2を通って位置決め要素746を選択的に後退させるための第3の又はバルーン後退アクチュエータ764も有し得る。例えば、
図3Cに示されているように、第3のアクチュエータ764は内側ハウジング774にスライド可能に装着され得、位置決め部材714のハブ748に選択的に連結され得る。
【0143】
最初、第3のアクチュエータ764は、内側ハウジング774に連結され得るが、シーリング材2が配置され及び/又は詰められたら内側ハウジング774から切り離され得る。例えば、
図3Cに最もよく見られるように、第3のアクチュエータ764は内側ハウジング774から切り離され得る第3のアーム764cを有し得、その結果外側及び/又は内側ハウジング772、774に対する第3のアクチュエータ764の近位方向の動きがハブ748の同様な近位方向の動きを引き起こすことにより、位置決め要素746を近位方向に導くことになる。
【0144】
さらに、第3のアクチュエータ764は、ラック766の近位端766cに隣接してスライド可能に配置され得る第2のアーム764bを有することができる。第2のアーム764bがこのようにして配置されると、第3のアーム764cはハブ748と連結したままであり得る。例えば、第2のアクチュエータ762を作動させることにより、ラック766が遠位方向に導かれると、第2のアーム764bがラック766の近位端766cからスライドし得ることにより、第3のアーム764cを内側ハウジング774から切り離し得る。例えば、図に示されているように、ラック766が遠位方向に導かれたとき第2のアーム764bを外方に偏らせて第2のアーム764bをラック766の近位端766cから外すために、バネ又は他のバイヤス機構764aが第3のアクチュエータ764(又は場合により、外側ハウジング772)に具備され得る。さらに、バネ又はバイヤス機構764aは、第3のアーム764cを内側ハウジングから切り離すことにより位置決め要素746の不用意な動きを防止するためにアクチュエータを押し下げることを必要とし得る。その後、第3のアクチュエータ764を近位方向に導いてハブ748及び位置決め要素746を後退させ得る。
【0145】
装置710は、例えば、患者の身体内の体腔と連通する穿刺中にシーリング材2を送達するのに使用され得る。最初に、
図3Dに示されている導入シース780が穿刺を通して体腔中に配置され得る。
【0146】
場合により、導入シース780は、例えば、拡張器790及びガイドワイヤ799を有する導入器キット、及び/又は装置710も有するシステムの一部として提供され得る。拡張器790は近位端792及び、導入シース780の内腔786を通ってスライド可能に受容されるような大きさの、例えばガイドワイヤ799に沿った拡張器790及び導入シース780の穿刺(図示せず)への導入を容易にするために、例えば先細の侵襲的な及び/又はその他の遠位先端で終結する遠位端794を有し得る。図に示されているように、拡張器790は近位のハウジング796を有することができ、これは装置710の遠位のシュラウド776と同様に構成された歯798及び戻り止め798aを有する。拡張器790は、歯798がハブ783の通路783aに入り、戻り止め798aがハブ783の通路783aを出るまで、導入シース780のハブ783及び内腔786中に導かれ得る。
【0147】
こうして、拡張器790及び導入シース780は共に連結され得、その結果、ガイドワイヤ799(本明細書中他に記載されているように、図には示していないが、既に穿刺を通って体腔内に配置されている)は、拡張器790及び導入シース780を穿刺中に導入するために、拡張器790の遠位端794及び内腔796中にバックロードされ得ることになる。導入シース780が所望の通り配置されたら、歯798を内方に押し入れて戻り止め798aをポケット783aから解放し得、拡張器790が導入シース790の内腔796から引き出され得る。その後、本明細書中他に記載されているように、導入シース780を使用して、体腔にアクセスし、1つ又は複数の処置を行うことができる。
【0148】
穿刺をシールすることが所望の場合、導入シース780を通して導入されるあらゆる機器を取り外し得、装置710を、例えば、
図3A〜3Bに示されているように製造し得る。つぶした位置決め要素746と共に、位置決め部材714の遠位端744は導入シース780のハブ783中に、内腔786を通って、体腔中に導かれ得る。シーリング材スリーブ750及びシーリング材2は位置決め要素746に直ぐ隣接して位置しているので、遠位端744が導入シース780に入ると、スリーブ750は導入シース780に接触し得、これはスリーブ750のさらなる前進を防止し得る。例えば、スリーブ750の遠位部分754は少なくとも部分的に導入シース780のハブ783に入り得、スリーブ750の近位部分752はハブ783に突き当たり得、これによりスリーブ750のさらなる前進を防止する。スリーブ750が支持部材730に解放可能に取り付けられている場合、位置決め部材714の前進はスリーブ750を支持部材730の遠位端734から解放し得る。
【0149】
位置決め部材714はさらに導入シース780中に前進し得、その際スリーブ750は導入シース780に対して実質的に動かないままでいることができ、従って、支持部材730上を近位方向にスライドする。従って、支持部材730の遠位端734はスリーブ750の遠位部分754から出、導入シース内腔786に入り得、これによりシーリング材2をスリーブ750からシース内腔786中に押し出す。場合により、スリーブ750の遠位部分754は、導入シースハブ783内のバルブ(図示せず)を少なくとも部分的に開放し、例えば、シーリング材2及び支持部材730の遠位端734が導入シース内腔786中に前進するのを容易にするのに充分な長さ及び/又はその他の特徴を有し得る。こうして、スリーブ750は、シーリング材2がハブ783及びその中のあらゆるバルブを通って導入シース780の内腔786内を通過するまでシーリング材2を保護し得る。
【0150】
その後、位置決め部材714は、位置決め要素746が導入シース780の遠位端784を超えて、すなわち、体腔内に配置されるまで前進し得る。これが起こると、ハウジングシュラウド776の歯778が整列し得、例えば、上記したように、戻り止め778aがポケット783aの遠位端と係合するまでシースハブ783のポケット783aに入り得る。戻り止め778aがポケット783aと係合すると、導入シース780及び外側ハウジング772は共に連結して、一緒に動くようになり得る。
【0151】
位置決め部材714及び導入シース780の相対的な長さは、シーリング材2がシース内腔786内にあり、例えば、導入シース780の遠位端784の近位に存続するが、位置決め要素746は遠位端784を超えて曝露されるように設定され得る。その後、位置決め要素746を、例えば、シリンジ148からの流体を用いて位置決め要素746を膨らませることにより膨張させ得る。次いで、全体の装置710及び導入シース780は、(装置ハブ723又はシースハブ783のいずれを操作するかには関わりなく)膨張した位置決め要素746が穿刺に隣接した体腔の壁と接触するまで、後退させ得る。
【0152】
適切に配置されたら、第1のアクチュエータ760を始動させて外側及び内側部材772、774の動きを切り離し得る。例えば、外側ハウジング772を保持したままで、第1のアクチュエータ760を内方に押して第1のアクチュエータ760の遠位端760aを外側ハウジング772の遠位端773bから解放し得、次に外側ハウジング772を近位方向に、すなわち患者及び穿刺から離れて後退させ得る。位置決め部材714及び支持部材730に連結された内側ハウジング774と共に、この作用により、内側ハウジング774は外側ハウジング772内で、すなわち、近位位置(
図3A−3Cに示されている)から遠位位置までスライドさせられ、これにより導入シース780を支持部材730に対して後退させ、シーリング材2を位置決め要素746に隣接する穿刺内で曝露する。
【0153】
内側ハウジング774が遠位位置にあるとき、第2のアクチュエータ762を作動させ支持部材730を前進させ、例えば、シーリング材2を膨張した位置決め要素746及び/又は体腔の外側の壁、例えば動脈切開に対して詰めるか又は圧縮し得る。例えば、特に
図3Cを参照して、第2のアクチュエータ762を内方に押し得、これによりピニオン768を回転させ、ラック766を前進させ、従って支持部材730を前進させて遠位端734を位置決め要素746の方向に向け、それらの間でシーリング材2を圧縮する。
【0154】
場合により、第2のアクチュエータ762は、第2のアクチュエータ762が完全に押し下げられたとき外側ハウジング772と係合し得る1つ又は複数の特徴、例えばタブ又は戻り止め762aを有し得る。例えば、
図3A及び3Bに示されているように、外側ハウジング772の開口773は、内側ハウジング774が完全に遠位位置に移動したとき第2のアクチュエータ762のタブ762aと整列し得る1つ又は複数のポケット又は凹み773aを有し得る。タブ762aがポケット773a内に受容されていると、内側ハウジング774は外側ハウジング772に対して近位方向に動かすことができず、これにより外側及び内側ハウジング772、774が互いに対して固定される。
【0155】
シーリング材2が充分な時間曝露され、及び/又は支持部材730により突き固められたら、位置決め要素746をつぶし得、例えば、つぶした位置決め要素746をシーリング材2及び支持部材730を介して引っ張ることにより位置決め部材714を体腔から引き出し得る。例えば、位置決め要素746からシリンジ148を用いて空気を抜き得、次いで第3のアクチュエータ764を作動させて、つぶれた位置決め要素746をシーリング材2を介して支持部材730の遠位端734中に引き出し得る。
【0156】
場合により、上記したように、第3のアクチュエータ764は、第3のアクチュエータの第3のアーム764cを解放するのに充分な程にラック766が前進するまで内側ハウジング774と連結したままでいることができる。その後、外側及び内側ハウジング772、774に対する第3のアクチュエータ764の近位方向の動きにより、ハブ748及び全体の位置決め部材714も近位方向に動くことにより、位置決め要素746がシーリング材2を通って支持部材730の遠位端734内に引き出される。外側のハウジング772のスロット775の長さは、位置決め要素746を所望の距離だけ遠位端734中に引き出すように設定され得る。
【0157】
位置決め要素746がシーリング材2を通って引き出されたら、全体の装置710を引き出して支持部材730を穿刺から除去し、シーリング材2を穿刺内に残すことができる。
【0158】
図4A−4Fは、シーリング材をもう1つ別の装置810から動脈切開部位に送達する方法を概略的に示す。装置810は装置710に関連して記載した特徴のいずれかを含むことができる。例えば、装置810は位置決めアセンブリ814の遠位部分に配置されたシーリング材2を有することができる。位置決めアセンブリ814は穿刺を通って血管中に伸延しており、位置決め要素846が血管内腔内にあり、シーリング材2は血管壁の外にある(
図4A)。位置決め要素846の膨張により、動脈切開部位に対して装置810が固定される(
図4B)。シース880を引き出すと、動脈切開部位に対してシーリング材2が曝露され(
図4C)、支持部材830の前進によりシーリング材2が突き固められる(
図4D)。位置決め要素846の空気を抜いた後(
図4E)、位置決め要素846をシーリング材2を介して近位方向に動かすことができ(
図4F)、シーリング材2が血管の外に残る。支持部材830はシーリング材2の位置を維持することができる一方で、位置決め要素846が引き出される。位置決め要素846が引き出された後、シース880及び位置決めアセンブリ814を含めて全体の装置810を患者から引き出すことができる。装置810及び装置810を使用する方法について以下に詳細に記載する。
【0159】
図4A〜4Fに示されているように、装置810はハンドル823を有することができる。ハンドル823は外側ハウジング872及び内側ハウジング874を有することができる。外側ハウジング872は、例えば、シース880が位置決めアセンブリ814に対して近位方向に動くとき、内側ハウジング874に対して動くことができる。
【0160】
ハンドル823は装置810を制御するための1つ又は複数のアクチュエータを有することができる。各々のアクチュエータは1つ又は複数の装置810の機能を制御することができる。1つ又は複数のアクチュエータはハンドル823に沿ってどこでも配置することができる。
図4A〜4Fで、アクチュエータ860、862、864、及び848は、各々のアクチュエータが制御する処理工程に基づいてハンドル823に沿って配置される。
図4A〜4Fに示されているアクチュエータの構成は、手順の各々の続く工程に対してユーザーがその手を近位方向に動かすことを必要とするだけで、装置810を作動させることに関連する混乱を低減する。
図4A〜4Eは4つのアクチュエータ860、862、864、及び848を図示しているが、同一の機能を実行するためにより少ないか又は追加のアクチュエータを使用してもよい。
【0161】
装置810は膨張ライン48cを有することができる。膨張ライン48cは位置決め要素846と流体連通している。膨張ライン48cは流体を位置決め要素846に送達するためのシリンジ148又は他のデバイスに接続している。
【0162】
装置810は、膨張ライン48cを通る流体流を制御するために第1のアクチュエータ860を有することができる。第1のアクチュエータ860は開放位置と閉鎖位置との間で動く。
図4Aに示されているように、第1のアクチュエータ860が開放位置にあるとき、シリンジ148は膨張ライン48cを介して流体を送達して位置決め要素846を膨張させることができる。
図4Bで、第1のアクチュエータ860は閉鎖位置に移動し、膨張ライン48cを通る流体流を制限して位置決め要素846の膨張した状態を維持する。位置決め要素846が膨張した後、装置810は近位方向に動き、位置決め要素846は動脈切開に隣接する。
【0163】
装置810は位置決めアセンブリ814に対するシース880の動きを制御するために第2のアクチュエータ862を有することができる。第2のアクチュエータ862は第1の位置と第2の位置との間で動く。第1の位置(
図4A及び4B)で、シース880は位置決めアセンブリ814に対して動くことができないので、シーリング材2の不注意な曝露が防止される。
図4Cに示されているように、第2のアクチュエータ862が第1の位置から第2の位置に動くと、シース880は位置決めアセンブリ814に対して動くことが可能になる。シース880が後退すると、シーリング材2が動脈切開部位に曝露され、一方位置決めアセンブリ814は動かないままでいる。また、シース880を後退させると、外側ハウジング872の一部分が第2のアクチュエータ862を少なくとも部分的に覆うこともできるようになる。
【0164】
装置810は、内側ハウジング874が外側ハウジング872に対して動くことを防止するためにロック機構を有することができる。シース880が後退すると、外側ハウジング872は第1の位置と第2の位置との間で動く。外側ハウジング872が第1の位置にあるとき(
図4A及び4B)、内側ハウジング874は外側ハウジング872に対して動くことができる。外側ハウジング872が第2の位置にあるとき(
図4C)、内側ハウジング874は外側ハウジング872に対して近位方向に動くことができない。
【0165】
図4C及び4Dに示されているように、装置810は第3のアクチュエータ864を有することができる。第3のアクチュエータ864は第1の位置と第2の位置の間で動く。第3のアクチュエータ864が第1の位置から第2の位置に動くと、支持部材830が前進してシーリング材2を突き固める。シーリング材2を突き固めると、シーリング材2の実質的な移動を防止して止血を促進することができる。
【0166】
第3のアクチュエータ864が第1の位置から第2の位置に動くと、後退ロック816を解放することができる。後退ロック816は、位置決めアセンブリ814が、シーリング材2を突き固める前に不注意に後退することを防止する。後退ロック816が解放されると、位置決めアセンブリ814の少なくとも一部分が支持部材830に対して近位方向に動くことが可能になる。
【0167】
装置は第1の位置と第2の位置との間で動くことができる第4のアクチュエータ848を有することができる。後退ロック816のロック解除により、第4のアクチュエータ848の動きが可能になる。第4のアクチュエータ848が第1の位置から第2の位置に動くと、位置決めアセンブリ814の少なくとも一部分が支持部材830に対して後退する。
【0168】
図4Eで、第1のアクチュエータ860は開放位置に動いて膨張ライン48cを通る流体流を可能にする。第1のアクチュエータ860が開放位置にあるとき、シリンジ148が位置決め要素846の空気を抜くことができる。
図4Fで、位置決め部材814はシーリング材2を通って後退し、全体の装置810を患者から除去することができる。
【0169】
上記したように、装置810は位置決め要素846への流体流を制御するために作動機構を有することができる。作動機構は、
図5A−7Bに関連して以下に記載する特徴のいずれかを単独で、又は互いに組み合わせて有することができる。
【0170】
図5A及び5Bは、開口位置と閉鎖位置との間で動く第1のアクチュエータ860aを示す。
図5A−1及び5B−1は、膨張ライン48aの断面図を示す。ハンドルの外側ハウジング872aは開口を有し、ここを通って第1のアクチュエータ860aの一部分が伸延する。
図5A及び5Bで、第1のアクチュエータ860aはバルブであるが、第1のアクチュエータ860a及びバルブは別個の構成部品であることもできる。バルブは、膨張ライン48aを通る流体流を制限するためにピンチ機構を有することができる。
【0171】
第1のアクチュエータ860aは開放位置(
図5A)と閉鎖位置(
図5B)との間で動くことができる。開放位置において、流体は膨張ライン48aを通って流れることができる。閉鎖構成において、流体は膨張ライン48aを通って流れることができない。
図5A及び5Bは第1のアクチュエータ860aをロッカーとして描いているが、第1のアクチュエータ860aは他の形状をとることができる。
【0172】
図6A及び6Bは、第1のアクチュエータ860b及び収縮アクチュエータ866bを有する装置を示す。
図6A−1及び6B−1は膨張ライン48bの断面図を示す。連結部分867bは第1のアクチュエータ860bを収縮アクチュエータ866bに接続する。
図6A及び6Bに示されている連結部分867bは複数の結合部材を有するが、連結部分867bは1つの結合部材のみを有していてもよい(
図6E−6F参照)。外側ハウジング872bは2つの開口を有しており、ここを通って第1のアクチュエータ860bの一部分及び収縮アクチュエータ866bが伸延する。
【0173】
図5A及び5Bと同様に、第1のアクチュエータ860bは第1の位置から第2の位置に動いて膨張ライン48bを通る流体流を制限することができる。第1のアクチュエータ860bを第1の位置から第2の位置に動かすと、収縮アクチュエータ866bが第1の位置から第2の位置に動かされる。収縮アクチュエータ866bを第2の位置から第1の位置に動かすと、第1のアクチュエータ860bが第2の位置から開放位置に動かされて膨張ライン48bを通る流体流が可能になる。
【0174】
図6A及び6Bと同様に、
図6C及び6Dは、連結部分867cにより接続された第1のアクチュエータ860c及び収縮アクチュエータ866cを有することができる。連結部分867cは1つ又は複数の結合部材を有することができる。
図6A及び6Bとは異なり、第1のアクチュエータ860c及び収縮アクチュエータ866cはバルブ884cと異なる。例えば、バルブ884cは、第1のアクチュエータ860c及び収縮アクチュエータ866cに対して遠位に配置することができる。
【0175】
第1のアクチュエータ860cは第1の位置から第2の位置に動いて、バルブ884cを閉鎖し、膨張ラインを通る流体流を制限することができる。第1のアクチュエータ860cを第1の位置から第2の位置に動かすと、収縮アクチュエータ866cが第1の位置から第2の位置に動かされる。収縮アクチュエータを第2の位置から第1の位置に動かすと、第1のアクチュエータ860cが第2の位置から第1の位置に動かされてバルブ884cを開放する。
【0176】
図6A−Dと同様に、
図6E及び6Fは、連結部分867dにより接続された第1のアクチュエータ860d及び収縮アクチュエータ866dを有することができる。
図6A及び6Bとは異なり、連結部分867dは1つの結合部材を有するのみである。さらに、
図6C及び6Dと同様に、第1のアクチュエータ860d及び収縮アクチュエータ866dはバルブ884dと異なる。例えば、バルブ884dは、第1のアクチュエータ860d及び収縮アクチュエータ866dに対して遠位に配置することができる。
【0177】
第1のアクチュエータ860dを第1の位置から第2の位置に動かして、バルブ884dを閉鎖し、膨張ラインを通る流体流を制限することができる。第1のアクチュエータ860dを第1の位置から第2の位置に動かすと、収縮アクチュエータ866dが第1の位置から第2の位置に動かされる。収縮アクチュエータを第2の位置から第1の位置に動かすと、第1のアクチュエータ860dが第2の位置から第1の位置に動かされてバルブ884dを開放する。
【0178】
第1のアクチュエータ及び収縮アクチュエータを有する装置は、装置を作動させることに関連する混乱を最小にするのに有用であり得る。例えば、装置が位置決め要素の膨張と収縮との間に行われる工程を制御するために追加のアクチュエータを有する場合、追加のアクチュエータはハンドルに沿って第1のアクチュエータと収縮アクチュエータとの間に配置することができる。アクチュエータは各々のアクチュエータが制御する処理工程に基づいて配置することができ、その結果ユーザーは各々の続く処理工程のために自身の手を近位方向に動かすことができる。位置決め要素の収縮は装置を引き抜く前の最終の工程であるので、収縮アクチュエータは追加のアクチュエータの近位に配置することができる。
【0179】
上記したように、第1のアクチュエータ及びバルブは別個の構成部品であり得る。
図7A−Bに示されているように、第1のアクチュエータ960は第1の位置と第2の位置との間で動いてバルブ961の位置を制御する。第1のアクチュエータ960を第1の位置(
図7A)から第2の位置(
図7B)に動かすと、バルブ961が開放位置から閉鎖位置に動く。閉鎖位置で、バルブ961は膨張ライン948を通る流体流を制限する。
図7A−1及び7A−2は、開放構成から閉鎖構成に動く膨張ライン948の断面図を示す。第1のアクチュエータ960を第2の位置から第1の位置に動かすと、バルブ961が閉鎖位置から開放位置に動き、従って流体は膨張ライン948を通って流れることが可能になる。
【0180】
第1のアクチュエータ960はレバーであり得る。ピンが第1のアクチュエータ960をバルブ961に接続する。バルブ961はピンチ機構を有するスライディングバルブであって、膨張ライン948を通る流体流を制限することができる。第1のアクチュエータ960を第1の位置と第2の位置との間で動かすと、バルブ961が開放位置と閉鎖位置との間を直線的にスライドする。
図7A−Bは第1のアクチュエータ960をレバーとして示しているが、装置はラックピニオン装置、カム機構、又は他の任意のアクチュエータのようなバルブ961を動かすことができる任意の他の機構を有することができる。
【0181】
装置810は、位置決めアセンブリ814に対するシース880の動きを制御するために第2のアクチュエータ862を有することができる。外側ハウジング872は開口を有することができ、ここを通って第2のアクチュエータ862の少なくとも一部分が伸延する。
図8A及び8Bに示されているように、第2のアクチュエータ862はバネで作動するボタンであり得る。
【0182】
第2のアクチュエータ862aは第1の位置(
図8A)と第2の位置(
図8B)との間を動く。第2のアクチュエータ862aが第1の位置にあるとき、第2のアクチュエータ862aは位置決めアセンブリに対するシースの近位方向の動きを防止する。第2のアクチュエータ862aが第2の位置にあるとき、シースは位置決めアセンブリに対して近位方向に動くことができる。シースが近位方向に動くとき、外側ハウジング872aは第2のアクチュエータ862aが第1の位置に動くのを防止する。
図8A及び8Bに示されている第2のアクチュエータ862aはバネ機構868aを有しているが、本明細書に記載されている他のいかなるロック機構も、位置決めアセンブリに対するシースの動きを制御するのに使用することができる。
【0183】
図9A及び9Bに示されているように、第2のアクチュエータ862bは戻り止め869bを有することができる。第2のアクチュエータ862bが第1の位置(
図9A)にあるとき、シースは位置決めアセンブリに対して動くことができない。第2のアクチュエータ862bが第2の位置(
図9B)にあるとき、戻り止め869bは第2のアクチュエータ862bを押し下げられた位置にロックし、従ってシースが位置決めアセンブリに対して近位方向に動くのが可能になる。シースが近位方向に動くとき、外側ハウジング872bは第2のアクチュエータ862bの上を動いて第2のアクチュエータ862bを押し下げられたまま保つ。
【0184】
装置810はまた、シース880が位置決めアセンブリ814に対して動くことができる距離を制限するための機構も有することができる。例えば、
図8B及び8Bに示されているように、シースは内側ハウジング874の遠位端が外側ハウジング872の遠位端又はハンドル823内の異なる特徴に突き当たるまでのみ動くことができる。
【0185】
既に記載したように、ハンドル823は外側ハウジング872に対して内側ハウジング874をロックするためのロック機構を有することができる。
図4A−4Fに示されているように、ロック機構は外側ハウジング872の内側の壁に沿って配置された1つ又は複数の突起863及び内側ハウジング874上に配置された1つ又は複数の弾性部材875を有することができる。シース880が近位方向に動くとき、1つ又は複数の弾性部材875は内方に曲がり、1つ又は複数の突起863を越えて動く。1つ又は複数の弾性部材875が1つ又は複数の突起863を越えて動いた後、内側ハウジング874は外側ハウジング872に対して近位方向に動くことができない。
【0186】
図10A及び10Bで、ロック機構は外側ハウジング872の内側の壁に沿った少なくとも2つの突起863及び内側ハウジング874の近位端に配置された少なくとも2つの弾性部材875を有する。弾性部材875は内方に曲がることができ、1つ又は複数の突起863を越えて遠位方向に動く。シース880が引き出されるとき、弾性部材875は内方に曲がり、突起863を越えて動く。弾性部材875が突起を越えて動いた後、内側ハウジング874は外側ハウジング872に対して近位方向に動くことができない。
【0187】
或いは、ロック機構は内側ハウジング874上に配置された1つ又は複数の突起863及び外側ハウジング872の内側の壁に沿って配置された1つ又は複数の弾性部材を有することができる。本明細書に記載されている他のロック機構も、内側ハウジング874を外側ハウジング872に対してロックするのに使用することができる。
【0188】
装置810は位置決めアセンブリ814を内側ハウジング874から解放するための機構を有することができる。位置決めアセンブリ814の解放によって位置決めアセンブリ814は近位方向に動くことが可能になり、一方支持部材830の位置は維持される。或いは、装置810は、内側ハウジングを外側ハウジングから解放するための機構を有することができる。
【0189】
図11A〜11Cは、外側のシース880を後退させる前に支持部材830が前進するのを防止するメカニズムを示す。
図11Aに示されているように、ロック機構は第3のアクチュエータ864の動きを防止するタブ873であり得る。しかし、シース880が近位方向に動いた後(
図11B)、タブ873が近位方向に動いて第3のアクチュエータ864の第1の位置(
図11B)から第2の位置(
図11C)への動きを可能にする。本明細書に記載されている他のロック機構も、支持部材830が前進するのを防止するために使用することができる。
【0190】
図12A及び12Bは、支持部材830を前進させる1つのメカニズムを示す。第3のアクチュエータ864が第1の位置から第2の位置へ動くと、連結要素865が伸びて支持部材830を前進させる。支持部材830は、支持部材830の一部分が内側ハウジング874又は外側ハウジング872の遠位端のようなハンドルの特徴に突き当たるまで伸延することができる。支持部材830が前進することができる距離はまた、連結要素865が伸びることができる距離によっても限定され得る。
【0191】
図13A及び13Bは、バネ部材870を有する装置810を示す。第3のアクチュエータ864を第1の位置から第2の位置に動かすと、バネ部材870が伸び、支持部材830を遠位方向に前進させる。支持部材830は、支持部材830の一部分が内側ハウジング874又は外側ハウジング872の遠位端のようなハンドルの特徴に突き当たるまで伸延することができる。支持部材830が前進することができる距離はまた、バネ部材870が伸びることができる距離によっても限定され得る。支持部材830を前進させるには、装置710又はあらゆる他のアクチュエータに関連して記載されているラックピニオン装置のような他の機構を使用することができる。
【0192】
既に記載したように、装置810は内側ハウジング874に対する位置決めアセンブリ814の位置をロックするための後退ロック816を有することができる。第3のアクチュエータ864を第1の位置から第2の位置に動かすと、レバー817を第1の位置から第2の位置に動かすことによって後退ロック816を解除することができる。レバー817が第2の位置にあるとき、位置決めアセンブリ814は外側ハウジング872に対して動くことができる。位置決めアセンブリ814の第4のアクチュエータ848を後退させると、位置決めアセンブリ814はシーリング材2を越えて後退させられる。支持部材830はシーリング材2の位置を保持することができるが、位置決めアセンブリ814は後退する。位置決め要素814が後退した後、全体の装置810を患者から取り出すことができる。本明細書に記載されている他のロック機構も、内側ハウジング874に対する位置決めアセンブリ814の位置をロックするために使用することができる。
【0193】
図15A−15Fは、
図4A−4Fに示されている方法と同様な、シーリング材を送達する方法を概略的に示す。しかし、既に記載したように、ハンドル823は4つのアクチュエータ860、862、864、及び848を有する必要はない。例えば、
図15A−15Fに示されているように、ハンドルは第1のアクチュエータ860を有しない。代わりに、膨張ライン48cはバルブ882を有する。バルブ882は第1の位置と第2の位置との間を動く。バルブ882が第1の位置にあるとき、
図15Aに示されているように、流体はシリンジから位置決め部材846に流れることができる。バルブ882が第1の位置から第2の位置に動いたとき、
図15Bに示されているように、流体はもはやシリンジから位置決め部材846に流れることができない。
【0194】
図16A−Bは、シーリング材を動脈切開部位に送達するための装置1010を示す。装置1010は本明細書に記載されているシーリング材を送達する装置の特徴のいずれかを有することができる。例えば、装置1010はハンドル1023及び位置決め要素1046を有する位置決めアセンブリ1014を有することができる。位置決めアセンブリ1014の少なくとも一部はシース1080を通って伸延することができる。膨張ライン48cが位置決め要素1046から、位置決め要素1046を膨張させ収縮させるためのシリンジ148又は他の任意の機構まで伸延することができる。膨張ライン48cは位置決め要素1046への流体流を制御するための第1のアクチュエータ1082を有することができる。ハンドル1023は、シース1080が位置決め要素1014に対して後退するのを可能にするための第2のアクチュエータ1062、支持部材(図示せず)を前進させるための第3のアクチュエータ1064、及び/又は位置決めアセンブリ1014の少なくとも一部分をシース1080に対して後退させるための第4のアクチュエータ1048を有することができる。
【0195】
シース1080は、シースの遠位部分が血管に入ったときを示す機構を有することができる。例えば、シース1080は、シース1080の遠位部分に1つ又は複数の入口開口1089を有することができる。シース1080が血管に入ると、血液は開口1089内へ流入し、ユーザーの外にある出口開口から流出することができる。
【0196】
図16Aに示されているように、シース1080はハンドル1023と係合するためのハブ1083も有することができる。例えば、ハブ1083はハンドルの1つ又は複数のフランジと係合するための1つ又は複数の開口を有することができ、又はその逆である。シースハブ1083を押し下げると、シース1080を位置決めアセンブリ1014から解放することができる。シースハブはシーリング材スリーブと係合するためのキャッチを有することもできる(図示せず)。位置決めアセンブリ1014がシース1080に入ると、シースキャッチがシーリング材スリーブと係合して、シーリング材をシーリング材スリーブからシース1080へ移すことができる。
【0197】
装置1010は膨張インジケーター1002も有することができる。膨張インジケーター1002は、位置決め要素1046が所定の圧力まで膨張したときを示し、膨張ライン48cをシールすることをユーザーに知らせる。
図16Bに示されているように、膨張ラインはプランジャーシステム1004に接続している。位置決め要素1046が膨張すると、シャフト部材1005が第1の位置から第2の位置に動く。シャフト部材1005が第2の位置に動くと、インジケーター1002は第1の位置から第2の位置に動く。インジケーター1002が第2の位置にあるとき、位置決め要素1046は十分に膨張している。位置決め要素1046がしぼむと、シャフト部材1005は第2の位置から第1の位置に動き、インジケーター1002は第2の位置から第1の位置に動く。インジケーター1002が第1の位置にあるとき、位置決め要素1046は十分に膨張していない。
【0198】
インジケーター1002は第1のインジケーター1003a及び第2のインジケーター1003bを有することができる。位置決め要素1046が十分に膨張していないとき、第1のインジケーター1003aがハンドル1023の開口1006を通して見ることができる。位置決め要素1046が十分に膨張しているとき、第2のインジケーター1003bがハンドル1023の開口1006を通して見ることができる。
【0199】
本明細書に記載されているシーリング材を送達する装置はいずれも、限定されることはないが、ガイドワイヤ又は拡張器を始めとするシステムの構成要素であり得る。ガイドワイヤは、上記のガイドワイヤ799に関連して記載した特徴のいずれかを有することができる。拡張器もまた、上に記載した拡張器790及び/又は以下に記載する拡張器1190(
図17A−17D)又は拡張器1290(
図18A−18C)に関連して記載されている特徴の1つ又は複数を有することができる。
【0200】
図17A−18Cに示されているように、拡張器は、拡張器の遠位の先端に近い入口開口から拡張器の近位端に近い出口開口までの血液の流れを可能にする流体内腔を含有することができる。シースの先端が血管に入ると血流が近位の口から出る。その後シースをさらに進めて、シースの遠位の先端が血管内腔内にあることを確実にすることができる。
【0201】
図17A−17Dに示されているように、拡張器1190は、内腔が貫通して伸延している細長い構造体1191を有する。拡張器1190はまた、シースと係合するための拡張器ハブ1196を有する近位部分1193及び/又は先細端部を有する遠位部分1192も有することができる。
図17Aに示されているように、拡張器ハブ1196はU字形であり得る。U字形拡張器ハブ1196はシースの近位端を受容するための開口を画定する。拡張器ハブ1196はまた、シースの外側表面と係合するように構成されたハブ部材1197a、1197bを有することができる。また拡張器ハブ1196は、シースの対応する特徴と係合する1つ又は複数のフランジも有することができる。例えば、
図17Aに示されているように、ハブ部材1197a、1197bはフランジ1198a、1198bを有することができ、及び/又はハブ1196は拡張器ハブの上面近くにフランジ1199a、1199bを有することができる。
【0202】
拡張器1190はまた、拡張器1190の遠位部分1192が血管に入ったときを決定するのに役立つブリードバック特徴も有することができる。例えば、拡張器1190は、拡張器1190の遠位部分1192に1つ又は複数の入口開口1194を有することができる。
図17Aに示されているように、拡張器1190は2つの入口開口1194を有することができる。入口開口1194は、細長い構造体1191の先細部分に対して近位に、及び/又は拡張器1190の縦軸を横断する同じ平面に沿って位置することができる。拡張器1190はまた、拡張器ハブ1196の近位に配置された1つ又は複数の出口開口1195も有することができる。
図17Aに示されているように、拡張器1190は1つの出口開口1195を有することができる。出口開口1195は入口開口1194の1つと同じ平面に沿って位置することができる。拡張器ハブは、血流が出て行く方向を示すための方向特徴1197を有することができる。
図17Cに示されているように、方向特徴1197は、拡張器ハブ1196の上面に沿う矢印であり得る。
【0203】
細長い構造体1191を貫通して伸延する内腔は様々な直径を有することができる。例えば、内腔は、細長い構造体1192の遠位部分1192及び近位部分1193に第1の直径1189を、遠位部分1192と近位部分1193との間で第2の直径1188を有することができる。第1の直径1189は第2の直径1188未満であり得る。第1の直径1189は、ガイドワイヤの外径より大きく、第2の直径1188より小さい直径を有することができる。幾つかの実施形態において、第1の直径1189は第2の直径1188の少なくとも約半分及び/又は第2の直径1188の約3/4以下である。幾つかの実施形態において、第1の直径1189は第2の直径1188の約2/3である。
【0204】
内腔の直径は変化することができるが、細長い構造体1191の外径は同じままである。例えば、近位部分1193は近位部分1193と遠位部分1192との間の一部分と同じ外径を有することができる。変化する直径により、拡張器1190の近位部分1193及び遠位部分1192がガイドワイヤの周りにシールを形成することが可能になる。従って、血液は入口開口1194を通って出口開口1195へ流れるのみである。
【0205】
図18A−Cは、拡張器1290が、貫通して伸延する内腔を有する細長い構造体1291を有することを示す。拡張器1290はまた、シースと係合するための拡張器ハブ1296を有する近位部分1293及び/又は先細端部を有する遠位部分1292を有することもできる。
図18Aに示されているように、拡張器ハブ1296はシースと係合するように構成されたハブ部材1297a、1297bを有することができる。例えば、シースはハブ部材1297a、1297bを受容するために対応する特徴を有することができる。また、ハブ部材1297a、1297bは1つ又は複数のフランジを有していてシースの対応する特徴と係合することができる。例えば、
図18Aに示されているように、ハブ部材1297a、1297bは、外方に面するフランジ1298a、1298b及び/又は内方に面するフランジ1299a、1299bを有することができる。フランジはハブ部材1297a、1297bの近くに(例えば、フランジ1299a、1299b)及び/又は遠位部分に(例えば、フランジ1298a、1298b)配置することができる。
【0206】
拡張器1290はまた、拡張器1290の遠位部分1292が血管に入ったときを決定するのに役立つブリードバック特徴も有することができる。例えば、拡張器1290は、拡張器1290の遠位部分1292に1つ又は複数の入口開口1294を有することができる。
図18Aに示されているように、拡張器1290は2つの入口開口1294を有することができる。入口開口1294は細長い構造体1291の先細部分に対して近位に、及び/又は拡張器1290の縦軸を横断する同じ平面に沿って位置することができる。拡張器1290はまた1つ又は複数の出口開口1295も有することができる。
図18Aに示されているように、拡張器1290は1つの出口開口1295を有することができる。幾つかの実施形態において、出口開口1295は入口開口1294の1つと同じ平面に沿って位置することができる。他の実施形態において、出口開口1295は入口開口1294のいずれかと異なる平面に沿って位置することができる。例えば、出口開口1295は入口開口1294を通る平面に垂直な平面に沿って位置することができる。
【0207】
細長い構造体1291を貫通して伸延する内腔は変化する直径を有することができる。例えば、内腔は、細長い構造体1292の遠位部分1292及び近位部分1293で第1の直径1289を、遠位部分1292と近位部分1293との間で第2の直径1288を有することができる。第1の直径1289は第2の直径1288未満であり得る。第1の直径1289はガイドワイヤの外径より大きく、第2の直径1288より小さい直径を有することができる。幾つかの実施形態において、第1の直径1289は第2の直径1288の少なくとも約半分及び/又は第2の直径1288の約3/4以下である。幾つかの実施形態において、第1の直径1289は第2の直径1288の約2/3である。
【0208】
内腔の直径は変化することができるが、細長い構造体1291の外径は同じままである。例えば、近位部分1293は近位部分1293と遠位部分1292との間の一部分と同じ外径を有することができる。変化する直径により、拡張器1290の近位部分1293及び遠位部分1292がガイドワイヤの周りにシールを形成することが可能になる。従って、血液は入口開口1294を通って出口開口1295まで流れるのみである。
【0209】
上述の拡張器のいずれかにおいて、出口開口のいずれかの直径は入口開口のいずれかの直径未満であり得る。例えば、出口開口のいずれかの直径は入口開口のいずれかの直径の半分以下であり得る。
【0210】
図19A−19Eは、上述の位置決めアセンブリがどのようにシースと係合するかを示す。
図19Aは、装置1310がシース1380を介して送達される前の装置1310を示す。装置1310は上記のシーリング材を送達する装置の特徴のいずれも有することができる。位置決めアセンブリ1314はシース1380と係合することができ、ハンドル1323の動きがシース1380も動かすこともできるようにする。例えば、ハンドル1323は、シース1380のハブ1383と係合するように構成されたシュラウド部分1376を有することができる。
図19Aに示されているように、シュラウド1376は2つの歯1378を有することができ、各々の歯1378は歯1378の遠位部分に配置されたあご1379を有することができる。ハブ1383は開口1385を有していて歯1378を受容することができる。スナップ嵌め、締まり嵌め、又はネジ機構のような歯のない他の締結機構も、装置1310をシース1380と連結するのに使用することができる。
【0211】
上記したように、シーリング材1302は最初、位置決めアセンブリ1314の遠位部分に配置される(
図19A)。位置決めアセンブリ1314がシース1380に入る前は、シーリング材1302が環境に曝露されるのを防止するためにシーリング材スリーブ1350がシーリング材1302を覆っている。シーリング材スリーブ1350は上記のシーリング材スリーブ450の特徴のいずれも有することができる。位置決めアセンブリ1314がシース1380に入ると、シーリング材1302はシーリング材スリーブ1350からシース1380に移される(
図19B)。シースハブ1383及び/又はシュラウド1376はシーリング材スリーブ1350を保持する。シースハブ1383及び/又はシュラウド1375は、シース1380が後退するときでもシーリング材スリーブ1350を保持するか(
図19C)又はシーリング材1302は支持部材1330を用いて突き固められる(
図19D)。
【0212】
幾つかの実施形態において、
図20に示されているように、歯はシースハブ1483の外部部分と係合する。例えば、ハブ1483は、あご1478と係合するように構成された溝1486を有することができる。シースハブ1483はまた、シーリング材スリーブ1450の外径より小さい内径を有することができ、シーリング材はシーリング材スリーブ1450からシース1480に容易に移される。
【0213】
図21A−21Iは、本明細書に記載されているシーリング材を送達する装置及び拡張器のいずれかを有するシステムを使用する方法を説明する。この方法は以下に記載する工程の1つ又は複数を含むことができる。処置シース(図示せず)は血管壁1506の穿刺1504を通して挿入して血管内腔へのアクセスを確保することができる。ガイドワイヤ1502が処置シースを通って血管中に伸延した後、処置シースは組織管から除去することができ、ガイドワイヤ1502が適切な位置に残され、ガイドワイヤ1502の遠位先端は血管内腔内に配置される。次に、閉鎖系シース1510を通して拡張器1508を前進させることができ、拡張器−シースアセンブリをガイドワイヤ1502に沿って前進させることができる(
図21A)。本明細書に記載されている機構のいずれかを用いて、拡張器−シースアセンブリが血管内腔に入ったときを決定することができる(例えば、拡張器及び/又はシース上のブリードバックポート)。
【0214】
シース1510の遠位端が血管内腔内に伸延した後、拡張器1508及びガイドワイヤ1502を近位方向に後退させて取り除き、シース1510の遠位端を血管内腔内に残すことができる(
図21B)。その後、位置決めアセンブリ1512をシース1510の近位端内に導入し、シース1510を通して遠位方向に前進させることができる(
図21C−E)。本明細書に記載されているように、位置決めアセンブリ1512は、シース1510に入る前位置決めアセンブリ1512の遠位部分に配置されたシーリング材1516を有することができる。位置決め要素1514がシース1510の遠位端から血管内腔内に伸延した後、位置決め要素1514を血管内腔内で膨張させることができる(
図21F)。
【0215】
次いで、位置決めアセンブリ1512を引き出し、位置決め要素1514を血管穿刺1504に対して、そしてシーリング材1516及びシース1510を血管壁1506の外側に固定することができる(
図21G)。その後、シース1510を部分的に後退させ、シーリング材1516を曝露することができる(
図21H)。次に、支持部材1518を前進させてシーリング材1516を血管壁1506に対して突き固めることができる(
図21I)。その後、位置決め要素1514の断面を減らし(例えば空気を抜く)、シーリング材1516を通って近位方向に後退させてもよい。支持部材1518を位置決め要素1514の近位方向の後退中シーリング材に対抗する位置に残してシーリング材の位置を維持してもよい。位置決め要素1514の除去後、支持部材1518及びシース1510がまだ組織管内に存在しているならば患者から取り出して血管壁1506に隣接して配置されたシーリング材1516を残すことができる。
【0216】
本発明の1つの実施において、位置決め要素1514は、細長いバルーンカテーテルシャフトの遠位領域に支えられた膨張性バルーンである。バルーンカテーテルシャフトは、シャフトの近位端に連結し得る膨張媒体源と膨張性バルーンを流体連通させるために貫通して伸延する中央の内腔を有する細長い管状ボディーを含む。中央のコアワイヤは中央の内腔の少なくとも一部分を貫通し、バルーンを貫通して伸延して、バルーンの遠位端を支持する。コアワイヤは、遠位方向にバルーンを越えて少なくとも約2mm〜10cm、好ましくは少なくとも約3cm〜5cmの長さだけ伸延して可撓性の前進セグメントを提供し得る。
【0217】
中央内腔の内径はコアワイヤの外径より大きくて、膨張内腔を提供し、バルーンの膨張を可能にする。
【0218】
シーリング材1516は中央の内腔を備えているのが好ましく、結果として、膨張性バルーンより近位の、バルーンカテーテルシャフトの遠位端に予め装着することができる。シーリング材1516は、貫通して伸延する中央の内腔を有する円筒状のプラグとして形成され得る。或いは、シーリング材1516は、1、2、3、4、又はそれ以上の層としてカテーテルシャフトの周りに巻き付けることができるシート又は膜の形態で提供され得る。
【0219】
例えば
図21F及び21Gを参照すると、シーリング材は、遠位のカテーテルシャフト上に、膨張したバルーンの近位表面から短い距離離れて予め配置される。この距離は、
図21Gに図示されているように、血管の予想される壁厚と協働するような寸法になっていてもよく、その結果膨張したバルーンは血管の内壁に抗して配置され得、シーリング材は血管の外壁に隣接する穿刺の直ぐ外側に配置されることになる。シーリング材の遠位端とバルーンの近位表面との間で軸方向に測定されるこの距離は通例約4mm以下であり、幾つかの実施形態においては約3mm又は2mm以下である。
【0220】
この構成を使用して、シーリング材は、製造の時点で、又は、いずれにしても患者へのバルーンカテーテルの導入前臨床部位でバルーンカテーテルシャフト上に前もって配置されてもよい。バルーンカテーテル及びシーリング材は、その後シース1510により、患者の外側から、シース1510の近位端内へ単一のユニットとして案内され、シース1510により血管壁に案内される。その後、バルーンを血管内で膨張させ得、システムを、バルーンカテーテルとシーリング材との間の内部の相対的な動きなしに、
図21Fに示されている遠位位置から、
図21Gの近位の固定された位置へと、ユニットとして近位方向に引き出し得る。その後外側のスリーブの近位方向への後退はシーリング材を曝露する。
【実施例】
【0221】
実施例1
キトサン塩(塩化物塩、Protasan UP CL 214、FMC BioPolymer製、分子量150−400kDa、脱アセチル化度>90%)を、適当な緩衝液(それぞれリン酸塩及びホウ酸塩緩衝液、)中のPEG−エステル(4−アーム−10K−CM−HBA−NHS、MW10kDa)及びPEG−アミン(8−アーム−20K−PEG−NH
3+Cl
−、MW20kDa)前駆体と混合し、反応させてヒドロゲルを形成し、これを続いて約−37℃で冷凍し、その後約20時間にわたり徐々に凍結乾燥させた。次いで、凍結乾燥ヒドロゲルを様々な湿度及び温度の工程に通して状態調節して、長方形の形状(約6mm×約15mm)にスライスすることができる構造上の完全性を有する凍結乾燥ヒドロゲルを得た。下記表1に、キトサンを適当な緩衝液中のPEG−エステル及びPEG−アミン前駆体とブレンドすることにより合成されたヒドロゲル(サンプル1〜10)の殺菌前の厚さ及び血液膨潤データを、キトサンを含有せず、やはり殺菌前に試験された対照サンプル(PEGのみのヒドロゲル)(サンプル11〜12)と比較してまとめて示す。この実施例でPEG−エステル対PEG−アミンのモル当量比は多様であり、約1〜約1.5の範囲で試験された。キトサンはこの実施例で0〜約6.9重量%で変化させた。血液膨潤試験は、凍結乾燥ヒドロゲル(殺菌前)をウシ血液に約37℃で約45秒間漬け、血液に漬ける前後の重量の差を測定することにより膨潤のパーセンテージを測定することによって行った。
【表1】
【0222】
ウシ血液膨潤の結果が上記表1に示されている。PEG前駆体のみ(キトサンを含まない)から作製されたサンプル11〜12は、血液と接触した際の実質的な膨潤能力を実証している。このPEGのみのヒドロゲルの膨潤能力は、部分的に架橋されたPEGヒドロゲルが凍結乾燥の際に創り出すことができる気孔特性(気孔の大きさ及び数)によるものと考えられる。表1のデータは、キトサンをPEG前駆体と共有結合することにより作製された殺菌前の凍結乾燥されたPEG/キトサンコポリマーシーリング材(サンプル1〜10)が、含まれるキトサンの量に関係なく(試験した割合の場合)、PEGのみのヒドロゲルの膨潤能力に匹敵する膨潤能力を示すことができるか、又はPEGのみのヒドロゲルの膨潤能力を超えることさえできることを実証している。
【0223】
実施例2
キトサン塩(ナトリウム塩、Xianju Tengwang製)を、適当な緩衝液(それぞれ、リン酸及びホウ酸緩衝剤)中のPEG−エステル(4−アーム−10K−CM−HBA−NHS)及びPEG−アミン(8−アーム−20K−PEG−NH3+Cl−)前駆体と混合し、ゲルが形成されるまで反応させた。得られたヒドロゲルを約−37℃で冷凍し、次いで約20時間にわたり徐々に凍結乾燥させた。その後、凍結乾燥ヒドロゲルを様々な湿度及び温度工程に通して状態調節して、操作する(例えば、スライスする、ロール状に巻く、及び送達カテーテル(例えば、MYNXGRIP(登録商標)カテーテル)の遠位端上に装填する)ことを可能にする構造上の完全性を有する凍結乾燥ヒドロゲルを得た。下記表2に、使用した量、並びにキトサンを適当な緩衝液中のPEG−エステル及びPEG−アミン前駆体とブレンドすることにより合成された最終のヒドロゲルの厚さ及び膨潤データを要約して示す。下記表は、キトサンをPEG前駆体と共有結合させることにより合成される凍結乾燥ヒドロゲルがウシ血液と接触した際に実質的に膨潤することができること、及び膨潤パーセントが対照サンプルに匹敵することを示している。
【表2】
【0224】
実施例3
キトサン塩(塩化物塩、Protasan UP CL 213、FMC BioPolymer製、分子量150−400kDa、脱アセチル化度75−90%)を、適当な緩衝液(それぞれ、リン酸及びホウ酸緩衝液)中のPEG−エステル(4−アーム−10K−CM−HBA−NHS、MW10kDa)及びPEG−アミン(8−アーム−20K−PEG−NH
3+Cl
−、MW20kDa)前駆体と下記表3に示す量で混合し、反応させてヒドロゲルを形成し、続いてこれを約−37℃で冷凍し、その後約20時間にわたり徐々に凍結乾燥した。この実施例におけるPEG−エステル対PEG−アミンのモル当量比は約1である。この実施例においてキトサンは0〜約5.5重量%で変化させた。次いで、凍結乾燥ヒドロゲルを様々な湿度及び温度工程に通して状態調節して、スライスし(約6mm×約15mmの長方形)円筒状の形状に巻くことができるような構造上の完全性を有する凍結乾燥ヒドロゲルを得た。未反応のPEG−エステル及びPEG−アミン成分(キトサンを持たないヒドロゲルシーリング材の凍結乾燥部分に使用したのと同じPEG成分)を融解することにより一緒に混合し(モル当量比1対1)、凍結乾燥されたシーリング材の遠位端に塗布した。遠位端に未反応のPEG成分を有するロール状に巻いた凍結乾燥ヒドロゲルを、次に、送達カテーテル(すなわち、6フレンチの血管外送達カテーテル、MYNXGRIP(登録商標)カテーテル)の遠位端に装填した。
【0225】
次に、送達カテーテルをe−ビームによる殺菌処理に付した。殺菌後ヒドロゲルを、血管外送達系の実用時をシミュレートした技術を用いてカテーテルデバイスから排出させて、ウシ血液中の血液膨潤性能を評価した。試験したサンプルは、キトサンを含有しない対照サンプル(PEGのみのヒドロゲル)(製剤3−1)と比較したキトサン+PEG−エステル及びPEG−アミン前駆体(製剤3−2〜3−6)であった。血液膨潤試験は、凍結乾燥ヒドロゲル(殺菌後)をウシ血液中に約37℃で約45秒間浸漬し、血液に漬ける前後の重量の差を測定することで膨潤のパーセンテージを測定することによって行った(例えば、膨潤%=(((ヒドロゲルの膨潤重量−過剰の流体重量)−初期ヒドロゲル重量)/初期ヒドロゲル重量)×100%、ここで過剰の流体重量は、ヒドロゲル構造体内に組み込まれていない血液と考えられる)。血液膨潤試験の結果を下記表3に示す。
【表3】
【0226】
上記表3の製剤3−1(対照)は血液と接触した際の膨潤する実質的な能力を実証した。製剤3−3〜3−5のデータは、6Fr血管外送達カテーテルに装填された後に排出された殺菌後の凍結乾燥PEG/キトサンコポリマーシーリング材が、PEGのみのヒドロゲルの膨潤能力に匹敵する膨潤能力を示すことができるということを実証した。製剤No.3−6の膨潤能力は対照サンプルと比較してそれより低かったが、この値(血液中に約750%膨潤する)も対照(製剤No.3−1)に匹敵する膨潤を有すると考えられる。
【0227】
実施例4
PEG−エステル対PEG−アミンのモル当量比を1.1とした以外は実施例3と同様にして凍結乾燥されたPEG/キトサンヒドロゲルを作製した。ヒドロゲルをロール状に巻き、前の通りに送達カテーテル(例えば、6Fr血管外送達カテーテル、MYNXGRIP(登録商標)カテーテル)の遠位端に装填し、全てのカテーテルをe−ビームで殺菌した。キトサンは0〜約5.5重量%で変化させた。血液膨潤試験を実施例3と同様にして行った。製剤4−1はPEG前駆体のみ(キトサンを含まない)から作製した対照サンプルであり、製剤4−2〜4−6は下記表4に示されている様々な量のPEG/キトサンで作製した。血液膨潤試験の結果を下記表4に示す。
【表4】
【0228】
製剤4−1(対照)は、殺菌後6Fr血管外送達カテーテルに装填されたとき血液と接触した際膨潤する実質的な能力を実証した。製剤4−3、4−5及び4−6の評価において、これらのサンプルは、6Fr血管外送達カテーテルに装填された、殺菌後凍結乾燥されたPEG/キトサンコポリマーシーリング材が、PEGのみのヒドロゲルに匹敵すると考えられる膨潤能力を示すことができるということを実証した。
【0229】
実施例5
PEG/キトサンコポリマーヒドロゲル(実施例3の製剤3−2〜3−6)の血液凝固能力を、殺菌前のPEGのみのヒドロゲル(対照、実施例3の製剤3−1)の血液凝固能力と比較した。血液凝固試験を行う前に、凍結乾燥ヒドロゲルを直径約8mmの円盤に切断することによってサンプルを調製した。血液凝固試験を行う際、凍結乾燥した円盤状のサンプルをウシ全血(酸性クエン酸ブドウ糖−ACDで抗凝固処理済)及びCaCl
2で処理し、インキュベーション期間の一部として約37℃のオーブンに約10分間入れた。インキュベーション期間の後、血餅に取り込まれなかった赤血球をDI水に溶血し、得られたヘモグロビン溶液のUV吸光度を約540nmの波長で測定した。ヘモグロビン溶液のより高い吸光度値はより遅い凝固速度を示し、より低い吸光度値はより速い凝固速度を示す。下記表5に、PEG/キトサンコポリマーで作製したヒドロゲル(製剤3−2〜3−6)と比較してPEGのみ(製剤3−1、対照)で作製されたヒドロゲルの血液凝固試験の結果を要約して示す。
【表5】
【0230】
表の結果から、PEG/キトサンコポリマーを含む製剤3−2〜3−6では、PEG/キトサンサンプルのより低いUV吸光度により示されているように、PEGのみを含むヒドロゲルと比較してより速い凝固速度が得られることが分かる。試験したPEG/キトサンコポリマーは全て、含まれるキトサンの量と無関係に、PEGのみの対照サンプルと比較して血液凝固能力の実質的な改善を示している。
【0231】
実施例6
実施例5と同様に、殺菌前のPEG/キトサンコポリマーヒドロゲル(実施例4の製剤4−2〜4−6、殺菌前)の血液凝固能力を、上記実施例5に説明した血液凝固試験を用いて、殺菌前のPEGのみのヒドロゲル(対照、実施例4の製剤4−1、殺菌前)と比較した。血液凝固試験の試験パラメーターは実施例5と同じに保った。下記表6に、PEGのみから製造されたヒドロゲル(製剤4−1、対照)のブロット凝血試験の結果を、PEG/キトサンコポリマーで製造されたヒドロゲル(製剤4−2〜4−6)と比較して要約して示す。
【表6】
【0232】
表6は、PEG/キトサンコポリマーを含むヒドロゲル(製剤4−2〜4−6)では、より低いUV吸光度値のために、PEGのみを含むヒドロゲル(製剤4−1、対照)と比較して、より速い凝固速度が得られることを示している。試験したPEG/キトサンコポリマーは全て、PEGのみと比較したとき、含まれるキトサンの量と無関係に、血液凝固能力の実質的な改善を示している。
【0233】
実施例7
実施例5と同様に、殺菌前のヒドロゲル円盤(直径約8mm)の血液凝固能力に対する厚さの影響を評価するために、様々な厚さのPEGのみのヒドロゲル(キトサンを含まない)の血液凝固能力を試験した。血液凝固試験の試験パラメーターは実施例5と同じに保った。下記表7に、表に示されている様々な厚さのPEGのみで製造されたヒドロゲル(対照)のブロット凝血試験の結果を要約して示す。
【表7】
【0234】
表7は、予期した通り、PEGのみのヒドロゲルの血液凝固能力がある点までは厚さの増大と共に増大し、その後血液凝固能力は低下し始め、より厚いサンプル片により影響を受けないことを示している。しかしながら、ヒドロゲル円盤(キトサンなし)の血液凝固能力に対する厚さの影響は、これらのヒドロゲルシーリング材へのキトサンの配合ほど顕著ではない。PEGのみのヒドロゲルと比較したPEG/キトサンヒドロゲルの同様な厚さのヒドロゲル(例えば表5及び6のそれぞれ製剤3−4及び4−5と比較した上記表7の製剤7−5、これらはいずれも約1.4mmの厚さである)の血液凝固試験データは、キトサンを含有する製剤で実質的により速い凝固速度が得られることを示している。
【0235】
実施例8
実施例3で作製されたようなPEG/キトサンコポリマーシーリング材を含むヒドロゲルプロトタイプ、製剤3−3を、6フレンチ送達システム(すなわち、MYNXGRIP(登録商標)血管閉鎖デバイス)に装填し、ヒツジモデルで試験した。PEG/キトサンシーリング材は6Fr送達デバイスに嵌合する、すなわち、装填されるのに十分な小さい大きさであった。この研究ではPEG/キトサンコポリマーシーリング材を用いて7つの大腿部アクセス部位をシールして、小口径サイズ〜大口径サイズの大きさの範囲の大腿部穿刺でのその性能を評価した。同時の抗凝血を含めて標準的なカテーテル挿入技術に従った。利用した処置シースは7Fr、8.5Fr、9Fr、及び10Frから大腿部動脈穿刺を創り出すような大きさであった。PEG/キトサンシーリング材を装填された6Fr送達システムを各々7つの穿刺の1つに配置した。6Fr送達システムを用いたPEG/キトサンシーリング材(製剤3−3)の配置は全て臨床的に成功し、例えば、PEG/キトサンは穿刺をシールした。これらの結果は、6Fr−適合性PEG/キトサンシーリング材を用いて動脈の閉鎖(10Frシースから穿刺の大きさまで)が実現可能であることを実証している。小口径デバイス、すなわち、穿刺の大きさより小さい大きさのデバイスで大口径穿刺を閉鎖することができることを示すために、6フレンチ送達デバイスを利用した。しかしながら、6Frより大きいサイズの送達デバイスも使用し得る、特に穿刺の大きさと同様な大きさの送達デバイスも当然使用し得る。
【0236】
上に開示された実施形態の特定の特徴及び側面の様々な組合せ又はサブコンビネーションも考えられ、それらも本発明の1つ又は複数の実施形態内に入るものと考えられる。さらに、ある実施形態に関連した任意の特定の特徴、側面、方法、性質、特性、品質、属性、要素、などの本明細書の開示は本明細書に記載の他の全ての実施形態で使用することができる。従って、開示された実施形態の様々な特徴及び側面は、開示された実施形態の様々な態様を形成するために互いに組み合わせたり置き換えたりすることができるものと理解されたい。従って、本明細書に開示された本発明の実施形態の範囲は上記の開示された特定の実施形態によって制限されるものではないと意図されている。また、本明細書に開示されているシーリング材、装置及び/又は方法は様々な修正、及び代替形態が可能であり、その具体的な実施例は図面に示されており、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、シーリング材、デバイス及び方法は開示されている特定の形態又は方法に限定されることはなく、逆に記載されている様々な実施形態及び添付の特許請求の範囲の思想及び範囲内に入る全ての修正、等価物、及び代替物をカバーすることができるものと理解されたい。本明細書に開示されているいかなる方法もその記載されている順に実行する必要はない。本明細書に開示されている方法は実行者がとる一定の行為を含むが、また明示又は暗示による行為の第三者の指示も含むことができる。例えば、「血管シーリング材を挿入して血管穿刺をシールする」といったような行為は、「血管穿刺をシールするために血管シーリング材の挿入を指示する」ことを含む。
【0237】
本明細書に開示されている範囲はいずれか及びあらゆる重複、サブ範囲、及びこれらの組合せも包含する。「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「の間」などのような言葉は表示されている数を含む。「約」又は「およそ」のような用語に先行されている数は表示されている数を含む。例えば、「約10ナノメートル」は「10ナノメートル」を含む。
<付記>
項1
組織を通る穿刺をシールするためのシーリング材であって、
前記シーリング材は、凍結乾燥ヒドロゲルから形成された第1のセクションを含み、第
1のセクションは穿刺内で生理学的流体に曝露されたとき膨張し、
第1のセクションは少なくとも1種のポリマーに結合したキトサンを含むヒドロゲルを
含み、水性の生理学的流体に曝露されると、ヒドロゲルが膨張して組織を通る穿刺をシー
ルする、シーリング材。
項2
キトサンが少なくとも部分的に脱アセチル化されたキトサンを含む、項1に記載のシーリング材。
項3
キトサンが少なくとも60%の脱アセチル化度を有する、項2に記載のシーリング材。
項4
キトサンが約10キロダルトン〜約600キロダルトンの分子量を有する、項1に記載のシーリング材。
項5
キトサンが、遊離のキトサン、キトサン塩化物、キトサングルタミン酸塩、キトサン酢
酸塩、キトサンジカルボン酸塩、キトサンアジピン酸塩、キトサンコハク酸塩、キトサン
フマル酸塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される、項1に記載のシーリング材。
項6
少なくとも1種のポリマーが、側基官能性を有する1種又は複数のポリエチレングリコ
ールポリマー鎖を含む、項1に記載のシーリング材。
項7
少なくとも1種のポリマーが、アミン変性ポリエチレングリコール及びエステル変性ポ
リエチレングリコールのうちの1種又は複数を含む、項6に記載のシーリング材。
項8
キトサンが共有結合により少なくとも1種のポリマーに結合している、項1に記載のシーリング材。
項9
キトサンが非共有結合により少なくとも1種のポリマーに結合している、項1に記載のシーリング材。
項10
少なくとも1種のポリマーが、キトサンに結合した架橋ポリエチレングリコールを含む
、項1に記載のシーリング材。
項11
第1のセクションが約0.1重量%〜約30重量%のキトサンを含む、項1に記載のシーリング材。
項12
少なくとも1種のポリマーが、ポリエチレングリコール−アミン(PEG−アミン)及
びポリエチレングリコール−エステル(PEG−エステル)を含み、PEG−アミン対P
EG−エステルのモル比が4:1〜1:4である、項1に記載のシーリング材。
項13
少なくとも1種のポリマーが、ポリエチレングリコール−アミン(PEG−アミン)及
びポリエチレングリコール−エステル(PEG−エステル)を含み、PEG−アミン対P
EG−エステルの活性基部位の当量比が約0.1〜約4である、項1に記載のシーリング材。
項14
少なくとも1種のポリマーが、ポリエチレングリコール−アミン(PEG−アミン)及
びポリエチレングリコール−エステル(PEG−エステル)を含み、キトサン対PEG−
エステルのモル比が約0.0005〜約0.01である、項1に記載のシーリング材。
項15
少なくとも1種のポリマーが、ポリエチレングリコール−アミン(PEG−アミン)及
びポリエチレングリコール−エステル(PEG−エステル)を含み、キトサン対PEG−
エステルの活性基部位の当量比が約0.1〜約5である、項1に記載のシーリング材。
項16
シーリング材が第1のセクションの遠位端から伸延する第2のセクションを含む、項1に記載のシーリング材。
項17
第2のセクションが非架橋前駆体を含む、項16に記載のシーリング材。
項18
非架橋前駆体がポリエチレングリコール−アミン及びポリエチレングリコール−エステ
ルを含む、項17に記載のシーリング材。
項19
第2のセクションがキトサンをさらに含む、項16に記載のシーリング材。
項20
第2のセクションが、キトサンに結合した非架橋ポリエチレングリコールの混合物を含
む、項19に記載のシーリング材。
項21
第2のセクションがさらに、キトサン強化用繊維、キトサンメッシュ、キトサン粒子、
又はこれらの組合せからなる群から選択される、止血特性を有する1種又は複数の補強部
材を含む、項16に記載のシーリング材。
項22
第2のセクションが約1重量%〜約80重量%のキトサンを含む、項16に記載のシーリング材。
項23
キトサンが、第2のセクション内に組み入れられた粒子の形態である、項19に記載のシーリング材。
項24
シーリング材が、血管穿刺をシールするように構成され、水性の生理学的流体への曝露
後のシーリング材の膨張がシーリング材を膨張させ、シーリング材が止血特性及び凝血促
進特性を有する、項1に記載のシーリング材。
項25
第1のセクションの近位端と遠位端との間の長さが約1〜約20ミリメートルであり、第2のセクションの長さが約0.5〜約5ミリメートルである、項1に記載のシーリング材。
項26
第1のセクション及び第2のセクションが、約1〜約8ミリメートルのその長さに沿って実質的に均一な外側断面を有する、項16に記載のシーリング材。
項27
第1のセクション及び第2のセクションが、シーリング材の外側断面の寸法で少なくと
も50%の膨張に適している、項26に記載のシーリング材。
項28
小口径デバイスを用いて6フレンチ又はそれ以上の大きさを有する血管穿刺をシールす
るための方法であって、
近位端、遠位端、及び組織を通る穿刺内への送達のための大きさの断面を有する第1の
セクションを含むシーリング材を用意するステップであって、第1のセクションは、穿刺
内で生理学的流体に曝露されたとき膨張する凍結乾燥されたポリエチレングリコール(P
EG)及びキトサンヒドロゲルから形成される、ステップと、
小口径送達デバイスからの配置により、組織を通る穿刺内にシーリング材を導入するス
テップと、
穿刺内でシーリング材を流体に曝露するステップであって、生理学的流体に曝露される
と、PEG及びキトサンヒドロゲルが膨張して、組織を通る穿刺をシールする、ステップ
とを含む、方法。
項29
第1のセクションが約0.5重量%〜約8重量%のキトサンを含む、項28に記載の方法。
項30
シーリング材が、第1のセクションの遠位端から伸延する第2のセクションをさらに含
み、第2のセクションが非架橋PEG前駆体を含み、PEG前駆体の少なくとも幾らかが
非反応性状態にある、項28に記載の方法。
項31
第2のセクションがキトサンをさらに含む、項30に記載の方法。
項32
小口径デバイスが7フレンチ又はそれ以下の大きさである、項28に記載の方法。
項33
血管穿刺が7フレンチ〜24フレンチの大きさである、項28に記載の方法。
項34
小口径デバイスが6フレンチの大きさである、項32に記載の方法。
項35
血管穿刺が7フレンチ〜10フレンチの大きさである、項33に記載の方法。
項36
組織を通る穿刺をシールするためのシーリング材を作製する方法であって、
近位端、遠位端、及び組織を通る穿刺内への送達のための大きさの断面を有する細長い
第1のセクションを形成するステップであって、第1のセクションは、ポリエチレングリ
コール(PEG)及びキトサンを含む凍結乾燥されたヒドロゲルから形成され、ヒドロゲ
ルは、穿刺内で生理学的流体に曝露されたとき膨張することができる、ステップと、
第1のセクションの遠位端に第2のセクションを適用するステップであって、第2のセ
クションは、複数の非架橋PEG前駆体を含み、前記前駆体は、穿刺内で生理学的流体に
曝露されるまで非反応性状態のままであり、曝露されると、前記前駆体はインサイチュで
互いに架橋し、第2のセクションに結合する、ステップ
とを含む、方法。
項37
第2のセクションが非架橋PEG及びキトサンの混合物を含む、項36に記載の方法。
項38
第1のセクションが約0.1重量%〜約30重量%のキトサンを含む、項36に記載の方法。
項39
ポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール−アミン及びポリエチレングリコ
ール−エステルを含み、キトサン対ポリエチレングリコール−エステルのモル比が約0.
0005〜約0.01である、項36に記載の方法。
項40
ポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール−アミン及びポリエチレングリコ
ール−エステルを含み、キトサン対ポリエチレングリコール−エステルの活性基部位の当
量比が約0.1〜約5である、項36に記載の方法。
項41
第2のセクションが約1重量%〜約80重量%のキトサンを含む、項37に記載の方法。