(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マグネシウムと、バリウム、ストロンチウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の第1の元素とのケイ酸塩であって、有機溶媒中固体結晶化粒子の懸濁液の形態であり、前記粒子は0.1μm〜1.0μmの間の平均サイズを有することを特徴とし、前記平均サイズはd50に対応し、d50はレーザ回折技術で得られる前記粒子のサイズの体積分布から得られ、前記粒子が、45nm〜200nmの間の微結晶サイズを有する微結晶を含むことを特徴とする、ケイ酸塩。
前記第1の元素およびマグネシウムの少なくとも1種を置換する少なくとも1種の追加の第2の元素を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のケイ酸塩。
前記第1の元素が、希土類から選択される少なくとも1種の第2の元素で部分的に置換されており、かつマグネシウムが、亜鉛、マンガンおよびコバルトから選択される少なくとも1種の第2の元素で部分的に置換されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のケイ酸塩。
前記第1の焼成が、900℃〜1200℃の間の温度で行われ、および前記第2の焼成が、1000℃〜1400℃の間の温度で行われることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、添付図面とともに、以下の説明を読むと、さらにより完全に明らかになり、図中:
−
図1/2は、本発明によるケイ酸塩のXRDパターン(°単位の2−シータ角に対する強度)である;
−
図2/2は、この同じケイ酸塩の発光スペクトル(nm単位の波長に対するフォトルミネセンスPL)である。
【0007】
先行技術
特開2003−206480号公報および同等の米国特許出願公開第2004/0080271号明細書または欧州特許第1353354号明細書には、0.1〜3.0μmの範囲の平均粒子直径の、青色発光蛍光体の球状粒子を有するプラズマディスプレイ素子が開示されている。どのようなタイプの平均値が示されているかは開示されていない。有機溶媒中の懸濁液についての開示も、特許請求されるとおりの安定な懸濁液についての開示もない。その方法は、1000〜1500℃の温度で加熱された炉中に噴霧することを含む。特開2003−206480号公報の方法で使用される温度は、本発明の方法の第2工程で使用される温度よりもはるかにより高い。
【0008】
欧州特許第1589557号明細書には、異なる化学的性質の蛍光体の粒子が開示されている。
【0009】
仏国特許第2869159号明細書には、青色および赤色で発光する第1の蛍光体および緑色で発光する第2の蛍光体によって白色で発光するLEDが開示されている。第2の蛍光体は、MSi
2O
5:EuまたはMSiO
4:Eu(M=BaまたはSr)であることができる。特許請求されるとおりの懸濁液についての言及はない。
【0010】
米国特許出願公開第2007/0057618号明細書には、式(Me
1−y Eu
y)
2SiO
4(Me=Ba、Sr、CaまたはMg)のケイ酸塩が開示されている。蛍光体は、約10〜50μm、したがって、本発明によるケイ酸と異なるサイズの粒径(grain size)(体積分布)を有する。
【0011】
定義
用語「希土類」は、本説明では、イットリウムおよび57〜71(両端を含む)の原子数を有する周期律表の元素により形成される群の元素を意味するものと理解される。
【0012】
粒子のサイズの分布の平均サイズおよび他の特性は、レーザ粒子サイズ分析器を使用してレーザ回折技術を実行することによって得られる。分布は、体積で示される。それは、Malvern Mastersizerによって得ることができる。
【0013】
測定は、なんらの沈降を被っておらず、すなわち、上清も沈降相もまったく有さず、必要に応じて、この種の測定のための周知の方法を使用して超音波によって処理された懸濁液に対して行われることが、本明細書で明記される。分布の平均サイズおよび他の特性の測定は、少なくとも2種以上の一次粒子の集塊からなっていてもよい粒子について与えられる。一部の実施形態において、一次粒子は、集塊化しておらず、したがって、レーザ回折技術によって測定される粒子の平均サイズは、一次粒子の平均サイズに対応する。
【0014】
分布指数は、レーザ粒子サイズ分析器を使用してレーザ散乱技術を実行することによっても得られる値である(体積分布)。用語「分散指数」は、比率:
σ/m=(d
84−d
16)/2d
50
(式中、
− d
84は、粒子の84%がd
84未満の直径を有する粒子の直径であり;
− d
16は、粒子の16%が、d
16未満の直径を有する粒子の直径であり;
− d
50は、粒子の平均直径である)
を意味するものと理解される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のケイ酸塩は、液相中で粒子の懸濁液の形態である。懸濁液の液相は、一般に有機溶媒、より特には極性溶媒である。好適な溶媒として、メタノール、プロパノールまたはエタノールなどのアルコール類、エチレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノアセテートなどのグリコールのアセテート誘導体、グリコールエーテル類、ポリオール類またはケトン類が挙げられてもよい。有機溶媒はまた、25℃で独特の相を形成する2種以上の相溶性有機溶媒の混合物であることもできる。
【0016】
液相はまた、好ましくは50体積%未満の水を含む、上で挙げられたような有機溶媒と、水との混合物であってもよい。有機溶媒と水との混合物の場合、水の量は、有機溶媒および水が25℃で独特の相を形成するようなもの、およびケイ酸が液相中にその元素(A、Mg、Si、Eu、Mn、・・・)を25℃で24時間の期間にわたって溶解させないか、または失わないようなものである。
【0017】
液相は、好ましくは1重量%未満の水を含む有機溶媒である(1部の水および99部の有機溶媒)。
【0018】
この液相はまた、分散剤を含んでもよい。この分散剤は、公知の分散剤、例えば、アルカリ金属ポリリン酸塩(M
n+2P
nO
3n+1)またはメタリン酸塩([MPO
3]
n)(Mは、ナトリウムなどのアルカリ金属を示す)、特にヘキサメタリン酸ナトリウムなどから選択されてもよい。それはまた、アルカリ金属ケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム)、アミノアルコール、ホスホネート、クエン酸およびその塩、ホスホコハク酸の誘導体((HOOC)
n−R−PO
3H
2(ここで、Rはアルキル残基である))、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびポリスチレンスルホン酸ならびにそれらの塩から選択されてもよい。分散剤の量は、0.1%〜10%の間、より特には0.5%〜5.0%の間、さらにより特には1.0%〜3.0%の間であってもよく、この量は、懸濁液中の固体の重量に対する分散剤の重量で表される。
【0019】
懸濁液の濃度は、広範囲にわたって変わってもよい。一例を示すと、それは、約10g/l〜約500g/lの間、より特には100g/l〜300g/lの間であってもよく、この濃度は、懸濁液の体積当たり固体の重量で表される。
【0020】
本発明のケイ酸塩は、マグネシウムと、バリウム、ストロンチウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の元素とをベースとする。上述の第1の元素は、好ましくはバリウムである。
【0021】
ケイ酸塩は、「置換体(substituent)」または「ドーパント(dopant)」と呼ばれる、少なくとも1種の追加の第2の元素を含んでもよい。実に、この第2の元素は、構成元素の少なくとも1種、すなわち、上述の第1の元素および/またはマグネシウムを部分的に置換すると考えられ、特にケイ酸塩の光学およびルミネセンス特性を改変することを可能にする。以下に示されるものは、従来技術において現時点で一般に許容されているものに基づく各構成元素についてのこのような置換体の例である。このことは、所与の構成元素について記載された置換体が、実際にその後、本説明で前提とされるもの以外の構成元素に代わることが判明するとしても、本発明の範囲外でないことを暗示する。
【0022】
したがって、上述の第1の元素は、特にガドリニウム、テルビウム、イットリウム、イッテルビウム、ユーロピウム、ネオジムおよびジスプロシウムであってもよい少なくとも1種の希土類で部分的に置換されてもよく、これらの元素は、恐らくは個別にまたは組合せで用いられる。ユーロピウムは、好ましいドーパント/置換体である。
【0023】
同様に、マグネシウムは、亜鉛、マンガンおよびコバルトから選択される少なくとも1種の元素で部分的に置換されてもよい。マンガンは、好ましいドーパント/置換体である。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、ケイ酸塩は、ユーロピウムおよびマンガンから選択される少なくとも1種の第2の元素で、なおより好ましくはユーロピウムおよびマンガンの両方でドープされる。
【0025】
知られているように、これらの置換体の量は、広く変わってもよいが、しかしながら、それらは、その最大値に関して、ケイ酸塩の結晶学的構造が実質的に保存されるようなものでなければならない。さらに、置換体の最小量は、それ未満で置換体が効果をまったくもたらさないものである。
【0026】
一般的に、置換体の総量は、最大で30%、より特には最大で20%、さらにより特には最大で10%であり、この量は、原子%(置換体/(第1の元素+マグネシウム)原子比率)で表される。
【0027】
置換体の量は、一般的に少なくとも1原子%、より好ましくは少なくとも2原子%である。より特には、第1の元素に代わる置換体の量は、最大で40%、より特には最大で20%、さらにより特には最大で10%であり、この量は、原子%(置換体/(置換体+第1の元素)原子比率)で表される。マグネシウムについて、この量(原子%で表される)は、一般的に最大で60%、より特には最大で40%、さらにより特には最大で10%である。
【0028】
式Ba
3−xMg
1−ySi
2O
8の場合、置換体の総量は(x+y)/4である。したがって、置換体の総量は、(x
min+y
min)/4および最大で(x
max+y
max)/4であり、ここで、x
minおよびx
maxは、それぞれ、本出願で開示される各範囲におけるxおよびyについてそれぞれ示される最小値および最大値である。
【0029】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明のケイ酸塩は、以下の式:
AMgSiO
4
AMgSiO
4:Eu
2+
AMgSiO
4:Eu
2+、Mn
2+
A
3MgSi
2O
8
A
3MgSi
2O
8:Eu
2+
A
3MgSi
2O
8:Eu
2+、Mn
2+
A
2MgSi
2O
7
A
2MgSi
2O
7:Eu
2+
A
2MgSi
2O
7:Eu
2+、Mn
2+
(式中、Aは、バリウム、ストロンチウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の元素である)
の1つを満たす。好ましい元素Aは、Baである。
【0030】
本発明の別の具体的な実施形態によれば、ケイ酸塩は、以下の式:
Ba
3−xEu
xMg
1−yMn
ySi
2O
8
(xおよびyは、以下の関係:0<x≦1;0<y≦0.3およびx+y≦1,2を満たす)
を満たす。
【0031】
ある実施形態によれば、ケイ酸塩は、EuおよびMnの両方を含む。
【0032】
より特には、xおよびyは、以下の関係:
0.0001≦x≦0.25および0.0001≦y≦0.25;または
0.01≦x≦0.25および0.01≦y≦0.25
を満たす。
【0033】
ある実施形態によれば、xおよびyは、以下の関係:
0.01≦x≦0.15および0.04≦y≦0.15
を満たす。
【0034】
ケイ酸塩は、実施例で開示されるものであることができる。ある実施形態によれば、
0.99≦x≦0.11および0.99≦y≦0.11である。別の実施形態によれば、0.018≦x≦0.022および0.045≦y≦0.055である。
【0035】
本発明の主たる特徴は、懸濁液がサブミクロン粒子であるケイ酸塩の粒子を含むことである。より正確には、懸濁液中の粒子は、0.1μm〜1.0μmの間に含まれる平均サイズ(d
50)を有する。より特には、平均サイズ(d
50)は、0.1μm〜0.5μmの間に含まれる。
【0036】
本発明のケイ酸塩の粒子は、45nm〜200nmの間、より特には50nm〜150nmの間の微結晶サイズを有する1個以上の微結晶を含む。ここで、微結晶サイズは、X線回折(XRD)分析から得られ、それは、例えば、式Ba
3MgSi
2O
8のケイ酸塩について、最も強い回折ピークから計算されるコヒーレントドメインのサイズに対応し、ピークは、[110]結晶学的面に対応することが指摘される。
【0037】
粒子は、狭い粒子サイズ分布を有してもよく、より正確には、それらの分布指数(δ/m)は、最大で1.30、特には最大で1.00、より特には最大で0.75、さらにより特には最大で0.50であってもよい。
【0038】
固体粒子に関して、それらは、記載されたとおりのケイ酸塩から本質的にまたはそれのみからなり、それらは、例えば、典型的には1重量%(すなわち、ケイ酸塩99部当たり1部の不純物)未満の、非常に少量のありうる不純物を除いて、このケイ酸塩以外の化合物を含まない。
【0039】
本発明の懸濁液は安定であり、これは、固体粒子の沈降が、数時間にわたって、例えば、約24時間の期間にわたってまったく観察されないことを意味するものと理解される。しかしながら、一部の沈降は、24時間後の時間経過にわたって観察されることがあり得、これは、集塊化する粒子をもたらし得る。しかしながら、そして、これは本発明の懸濁液の重要な特性であり、非常に低い機械的エネルギーを使用しての簡単な攪拌、特に、例えば、120Wの出力で3分間の超音波処理が、これらの粒子を解集塊化し、したがって、懸濁液を回復することに役立ち、これらの粒子は、上に言及された特性のすべてを有する。
【0040】
したがって、懸濁液は:
− 24時間の期間にわたって粒子の沈降がまったくない;
および
− 沈降が24時間の期間後に観察されるとしても、120Wの出力で3分間の超音波処理を使用しての攪拌により、粒子を解集塊化することが可能になる
ようなものである。
【0041】
本発明の別の目的はまた、液相、およびマグネシウムと、バリウム、ストロンチウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1種の第1の元素とのケイ酸塩の固体結晶化粒子を含む組成物であり、前記粒子は、0.1μm〜1.0μmの間の平均サイズを有する。本発明のケイ酸塩、懸濁液および液相について上に示された定義および選好のすべては、本発明の組成物に等しく適用される。
【0042】
懸濁液形態中の本発明のケイ酸塩または組成物を生成させるための方法が、これから説明される。本方法は、以下の工程:
− マグネシウムの化合物、シリシウムの化合物、バリウム、ストロンチウム、およびカルシウムから選択される少なくとも1種の第1の元素の化合物、ならびに恐らくは1種の第2の元素の化合物を含む液体混合物を形成する工程と;
− 前記混合物を噴霧乾燥する工程と;
− 乾燥生成物を、空気中で第1の焼成および還元雰囲気中で第2の焼成に供する工程と;
− 湿式粉砕操作を焼成後の生成物に対して行う工程と
を含むことを特徴とする。
【0043】
本発明によるスプレー乾燥工程により、ケイ酸塩の一部を形成する元素の良好な均一化を得ること、および化学量論を尊重することが可能になる。
【0044】
当業者は、実施例に開示された処方および詳細を使用して、特許請求されるとおりの懸濁液を調製することができる。
【0045】
第1工程
この方法は、液体混合物が形成される第1工程を含み、これは、ケイ酸塩の組成中でのマグネシウムの化合物、および上述の第1の元素の化合物の溶液または懸濁液である。この混合物はまた、調製されるケイ酸塩がこのような第2の置換体元素の少なくとも1種を含む場合、第2の元素の少なくとも1種の、化合物を含んでもよい。
【0046】
これらの元素の化合物として、無機の塩または水酸化物または炭酸塩を使用することが一般的な慣行である。塩として、好ましくは、特にバリウム、ユーロピウムおよびマグネシウムの場合、硝酸塩が挙げられてもよい。硫酸塩、塩化物あるいは有機塩、例えば、酢酸塩が任意選択で用いられてもよい。
【0047】
シリシウムについて、好ましくはシリカのゾルまたは懸濁液、なおより好ましくはヒュームド発熱性シリカのゾルまたは懸濁液が使用される。ヒュームドシリカが好ましい。このようなゾルは、ナノメートルサイズを与える粒子またはコロイドを有してもよい。
【0048】
第2工程
次の工程は、前もって調製された混合物を乾燥させることにある。この乾燥は、噴霧乾燥によって行われる。表現「噴霧乾燥」は、混合物を高温雰囲気中に噴霧することによる乾燥を意味するものと理解される。噴霧は、それ自体知られた任意の噴霧器、例えば、スプリンクラーローズ(sprinkler−rose)型または別の型の噴霧ノズルによって行われてもよい。タービンアトマイザと呼ばれるアトマイザを使用することも可能である。本方法で使用することができる様々な噴霧技術に関して、“Spray drying”と表題されたMastersによる基礎的著作(第2版、1976年、George Godwin、ロンドンにより発行)が挙げられ得る。
【0049】
「フラッシュ」反応器、例えば、仏国特許出願第2 257 326号明細書、同第2 419 754号明細書および同第2 431 321号明細書に記載された型によって噴霧乾燥操作を用いることも可能であることが留意されるべきである。
【0050】
噴霧乾燥は、一般的に100℃〜300℃の間の固体出口側温度で行われる。この工程の温度は、400℃よりも低い。
【0051】
第3工程
本方法の次の工程は、乾燥操作後に得られた生成物を焼成することにある。焼成は、2工程で行われる。したがって、第1の焼成は、空気中で結晶相を得るのに十分高い温度で行われる。一般に、この温度は少なくとも900℃であり、900℃〜1200℃の間に含まれてもよい。この焼成の継続時間は、例えば、約30分〜10時間の間である。
【0052】
第2の焼成は、還元性雰囲気中、例えば、水素/窒素または水素/アルゴン混合物中で行われる。この第2の焼成の温度は、一般的に1000℃〜1400℃の間に含まれる。この焼成の継続時間は、例えば、約30分〜10時間の間である。
【0053】
第4工程
本方法の第4かつ最終工程は、焼成から得られた生成物を粉砕することにある。本発明によれば、生成物は、懸濁液の構成液相に関して上に記載された溶媒と同じ種類の有機溶媒中で湿式粉砕を受ける。
【0054】
粉砕の間に、上に記載されたものの種類の、および上に示された量の分散剤が使用されてもよい。
【0055】
湿式粉砕は、さらに当業者に周知である条件下で行われる。湿式ボールミルが、好ましく使用されてもよい。湿式粉砕後、懸濁液形態の本発明のケイ酸塩が得られる。
【0056】
懸濁液の使用
それらの特性、および置換体またはドーパントの性質のために、本発明のケイ酸塩は、蛍光体として使用されてもよい。より正確には、このケイ酸塩は、プラズマシステム(ディスプレイエおよびランプ、ここで、励起が、希ガスまたは希ガスの混合物、例えば、キセノンまたは/およびネオンによって生じる)、水銀蒸気ランプおよび発光ダイオード(LED)において使用される波長の範囲での電磁励起下でルミネセンス特性を有する。したがって、それは、プラズマシステム(ディスプレイまたはイルミネーションシステム)、水銀蒸気ランプおよびLEDにおいて蛍光体として使用されてもよい。
【0057】
本発明はまた、上に記載されたもしくは上に記載された方法によって得られたとおりのケイ酸塩もしくは組成物を含むルミネセンスデバイス、またはこの同じケイ酸塩もしくは組成物を使用して製造されたルミネセンスデバイスに関する。これらの素子は、その製造においてケイ酸塩が蛍光体として使用されてもよい、またはこの同じケイ酸塩を含む、プラズマシステム、水銀蒸気ランプまたはLEDに関する。これらの製品の製造における蛍光体の処理は、周知の技術、例えば、スクリーン印刷、電気泳動、沈降、インクジェット印刷、噴霧、スピンコーティングまたはディップコーティングを用いる。
【0058】
参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。本発明は、これから以下の実施例に関連してより詳細に説明されるが、実施例の目的は説明のみである。
【実施例】
【0059】
実施例1:この実施例は、式Ba
2.7Eu
0.3Mg
0.9Mn
0.1Si
2O
8の本発明によるケイ酸バリウムマグネシウムユーロピウムマンガンの、エタノール中懸濁液の調製に関する。
【0060】
溶液は、以下の組成(原子%):
Ba:67.5%
Mg:22.5%
Eu:7.5%
Mn:2.5%
を有する、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ユーロピウムおよび硝酸マンガンの混合物から構成した。
【0061】
水をこの硝酸塩混合物に添加して、0.27モル/lの最終カチオン濃度に.到達させた。ヒュームドシリカ(50m
2/g)懸濁液も、0.7モル/lのSi濃度で調製した。硝酸塩溶液とヒュームドシリカの懸濁液とを混合して、以下のモル比:
Ba/Si:1.35
Mg/Si:0.45
Eu/Si:0.15
Mn/Si:0.05
を有する全体的懸濁液を得た。
【0062】
最終pHは4.4である。この懸濁液を、350℃の入口側温度および140℃の出口側温度を有するフラッシュ噴霧乾燥器で乾燥させた。乾燥生成物を、空気下1200℃で6時間、次いで、Ar/H
2(95/5)雰囲気下1200℃で6時間焼成した。
【0063】
得られた粉末を、0.4〜0.6mm直径のZrO
2−Y
2O
3ボールを有するNetzchボールミル中で湿式粉砕操作に供した。ボールは、粉砕容器の50%を占めた。固体を無水エタノールに分散させ、総懸濁液の28重量%に相当する。ボールミルは、1500rpmの回転速度の撹拌機を備えた。粉砕時間は150分である。
【0064】
懸濁液の超音波(1分15秒 80W)によるレーザ粒子サイズ分析は、以下の結果を与えた。
【0065】
【0066】
図1から明らかなように、オーブン中50℃で懸濁液を乾燥させることによって得られた試料のX線回折分析は、[110]結晶学的面に対応する回折線から計算された47nmのコヒーレントドメインサイズを有するBa
3MgSi
2O
8相を示す。
【0067】
得られた懸濁液は、370nmでの励起下で青色(438nm)および赤色(620nm)で発光した。
図2は、この懸濁液の発光スペクトルである。
【0068】
実施例2:この実施例は、実施例1におけるのと同じ式の本発明によるケイ酸塩のエタノール中懸濁液の調製に関する。
【0069】
実施例1と同じ仕方で、粉末を調製し、焼成した。この粉末を、実施例1におけるのと同じ条件下で湿式粉砕に供した。粉砕時間は60分である。
【0070】
得られた懸濁液の超音波(1分15秒 80W)によるレーザ粒子サイズ分析は、以下の結果を与えた。
【0071】
【0072】
懸濁液をオーブン中50℃で乾燥させることによって得られた試料のX線回折分析は、[110]結晶学的面に対応する回折線から計算された0.75nmのコヒーレントドメインサイズを有するBa
3MgSi
2O
8相を示す。
【0073】
得られた懸濁液は、370nmでの励起下で青色(438nm)および赤色(620nm)で発光した。
【0074】
実施例3:実施例3の生成物は、湿式粉砕工程まで実施例1に記載されたものと同じ経路によって調製した。得られた粉末を、実施例1におけるのと同じ条件下で湿式粉砕に供した。粉砕時間は45分である。
【0075】
得られた懸濁液の超音波なしのレーザ粒子サイズ分析は、以下の結果を与えた。
【0076】
【0077】
懸濁液をオーブン中50℃で乾燥させることによって得られた試料のX線回折分析は、[110]結晶学的面に対応する回折線から計算された90nmのコヒーレントドメインサイズを有するBa
3MgSi
2O
8相を示す。
【0078】
得られた懸濁液は、370nmでの励起下で青色(438nm)および赤色(620nm)で発光した。
【0079】
実施例4:この実施例は、式Ba
2.94Eu
0.06Mg
0.95Mn
0.05Si
2O
8の本発明によるケイ酸バリウムマグネシウムユーロピウムマンガンのエタノール中懸濁液の調製に関する。
【0080】
溶液は、以下の組成(原子%):
Ba:73.5%
Mg:23.75%
Eu:1.5%
Mn:1.25%
を有する、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ユーロピウムおよび硝酸マンガンの混合物から構成した。
【0081】
水をこの硝酸塩混合物に添加して、0.27モル/lの最終カチオン濃度に到達させた。ヒュームドシリカ(50m
2/g)懸濁液も、約0.7モル/lのSi濃度で調製した。硝酸塩溶液およびヒュームドシリカ溶液を混合して、以下のモル比:
Ba/Si:1.47
Mg/Si:0.475
Eu/Si:0.03
Mn/Si:0.025
を有する全体的懸濁液を得た。
【0082】
最終pHは4.4である。前記懸濁液を、350℃の入口側温度および140℃の出口側温度を有するフラッシュ噴霧乾燥器で乾燥させた。乾燥生成物を、空気下1200℃で6時間、次いで、Ar/H
2(95/5)雰囲気下1200℃で6時間焼成した。
【0083】
得られた粉末を、実施例1におけるのと同じ条件下で湿潤粉砕操作に供した。粉砕時間は25分である。
【0084】
得られた懸濁液の超音波(1分15秒 80W)有りのレーザ粒子サイズ分析は、以下の結果を与えた。
【0085】
【0086】
懸濁液をオーブン中50℃で乾燥させることによって得られた試料のX線回折分析は、[110]結晶学的面に対応する回折線から計算された130nmのコヒーレントドメインサイズを有するBa
3MgSi
2O
8相を示す。
【0087】
得られた懸濁液は、370nmでの励起下で青色(438nm)および赤色(620nm)で発光した。
【0088】
【0089】
ドメインサイズは、湿式粉砕工程に大きく依存する(表Iで明らかなように、ドメインサイズは、微結晶のサイズに依存している。好ましくは、微結晶サイズは、少なくとも75nmである。