特許第6681362号(P6681362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681362
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/10 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   B62D25/10 J
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-117721(P2017-117721)
(22)【出願日】2017年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-1303(P2019-1303A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貴幸
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−028785(JP,U)
【文献】 実開昭55−002797(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0056399(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するための動力源(7)を開閉可能に覆うボンネット(8)を備えた車両(100)において、
前記ボンネット(8)の開閉をスライドにより行うスライド機構(17)と、
前記ボンネット(8)を車体側の閉位置にロックするロック機構(21)と、
前記ロック機構(21)のロックを解除可能な複数のロック解除機構(22)と、を備え、
前記ロック解除機構(22)は、前記ボンネット(8)の車両左右両側に配置され、
いずれのロック解除機構(22)からでも前記ロック機構(21)のロックを解除可能であることを特徴とする車両(100)。
【請求項2】
前記ロック機構(21)は、
車体側に設けられた第1の係止部(23)と、
前記ボンネット(8)内に設けられ、前記第1の係止部(23)に対し回動により係止可能な第2の係止部(24)、及び、前記第2の係止部(24)が前記第1の係止部(23)に係止しロックするように付勢する付勢手段(25)と、を備え、
前記ロック解除機構(22)のそれぞれは、
前記ボンネット(8)外に設けられた操作部(41)と、
前記ボンネット(8)内に設けられ、前記操作部(41)に外力が与えられると、前記付勢手段(25)の付勢力に抗して前記第1の係止部(23)に対する係止を解除するように前記第2の係止部(24)を押圧し回動させると共に、前記操作部(41)に対する外力がなくなると、前記付勢手段(25)の付勢力により、前記第2の係止部(24)が元の係止位置へ回動するように押し戻されるリンク機構(36)と、を備えたことを特徴とする請求項記載の車両(100)。
【請求項3】
前記第2の係止部(24)は、前記ボンネット(8)をスライドさせて閉じていく際に、前記第1の係止部(23)に当接し、前記付勢手段(25)の付勢力に抗する方向へ回動するようにガイドする傾斜部(30)を備え、
前記ボンネット(8)が閉位置に位置すると前記傾斜部(30)によるガイドが終端を越え、前記付勢手段(25)の付勢力により前記第2の係止部(24)が回動し前記第1の係止部(23)に係止することを特徴とする請求項記載の車両(100)。
【請求項4】
前記ボンネット(8)に設けられ、下部が前記ボンネット(8)内に位置すると共に、上部が前記ボンネット(8)外に位置するボンネット排気管(48)を備え、
前記ボンネット排気管(48)の前記下部に、前記ボンネット(8)のスライド時に、前記動力源(7)に対して設けられたマフラー側排気パイプ(50)の上部が、退出/進入可能とする開口(49)を備えることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の車両(100)。
【請求項5】
前記ボンネット(8)は、車体の後部に配置されて後方へのスライドが可能とされ、
前記車体の左右両側及び後側には、転落防止フェンス(14,14,15)が設けられ、
前記車体の後側の転落防止フェンス(15)は、後方へ倒れることが可能とされていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関し、詳しくは、ボンネットを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、一般的に、エンジンを覆い保護するボンネット(カバー)が設けられている。このような車両としては、自動車、農業機械、建設機械等種々挙げられる。例えば、以下の特許文献1に記載のトラクタ(農業機械)にあっては、ボンネットの後端部に設けた回動軸心を中心にボンネットを開閉する方式を採用しており、その他にも、ボンネットで覆われるエンジンルームのおおよそ中央部に開閉機構を構成する支持部を設け、支持部の左右又は前後に蝶番を設けてボンネットを左右又は前後に分割し開閉可能とする分割方式や、ボンネットをネジで固定し当該ネジを外すことによりボンネットを丸ごと取り外す方式等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−237634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のボンネットの開閉方式は最も広く採用されている方式であるが、大型の車両になるとボンネット自体の重量が大きくなり、開閉に要する労力が大きくなる。また、メンテナンス等でボンネットを開けると当該ボンネットが回動軸心を中心に上方へ回動するため、大型車両、特に背の高い車両の場合、ボンネットが車庫、倉庫等の天井や照明に干渉し、ボンネットを開けることができない場合がある。
【0005】
また、上記分割方式では、ボンネットが分割されている分、開閉に要する労力が小さくて済むが、特許文献1の場合と同様に、大型車両、特に背の高い車両の場合、ボンネットが車庫、倉庫等の天井や照明に干渉し、ボンネットを開けることができない場合がある。また、エンジンルームの中央部に設けられた支持部が、メンテナンスの邪魔になる場合がある。
【0006】
また、ボンネットをネジで固定する方式では、構造が単純で安価である反面、ボンネットそのものを車両から取り外す必要があり、作業自体が重労働であり、メンテナンス時には、ボンネット自体を置くスペースが必要となる。また、大型車両になるとボンネット自体の重量が大きくなり、人力での脱着が難しくなる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、メンテナンス等でボンネットを開ける際に当該ボンネットと車庫、倉庫等の天井や照明との干渉を防止できると共に、ボンネットの開閉を容易にでき、加えて、ボンネットの開閉機構がメンテナンスの邪魔にならずメンテナンスを容易に行うことができる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による車両(100)は、走行するための動力源(7)を開閉可能に覆うボンネット(8)を備えた車両(100)において、ボンネット(8)の開閉をスライドにより行うスライド機構(17)と、ボンネット(8)を車体側の閉位置にロックするロック機構(21)と、ロック機構(21)のロックを解除可能な複数のロック解除機構(22)と、を備え、ロック解除機構(22)は、ボンネット(8)の車両左右両側に配置され、いずれのロック解除機構(22)からでもロック機構(21)のロックを解除可能であることを特徴としている。
【0009】
このような車両(100)によれば、スライド機構(17)によるボンネット(8)のスライドによりボンネット(8)を開閉できるため、メンテナンス等でボンネット(8)を開ける際に当該ボンネット(8)と車庫、倉庫等の天井や照明とが干渉することはない。また、スライド機構(17)では、円滑にスライドすべくボールベアリング等が一般的に用いられており、大きな重量のボンネット(8)でも小さい力でスライドできるため、ボンネット(8)の開閉を容易にできる。また、スライド機構(17)にあっては、スライド機構(17)の構成部品(18,19)を、ボンネット(8)で覆われる領域(6)の中央部に配置する必要はなく、車体側の両側部に配置可能なため、スライド機構(17)がメンテナンスの邪魔になることはなくメンテナンスを容易に行うことができる。また、ボンネット(8)を開けた状態で、当該ボンネット(8)が動力源(7)の上方に存在しないため、メンテナンス性を向上できる。
【0010】
ここで、ボンネット(8)を車体側の閉位置にロックするロック機構(21)と、ロック機構(21)のロックを解除可能な複数のロック解除機構(22)と、を備え、ロック解除機構(22)は、ボンネット(8)の車両左右両側に配置され、いずれのロック解除機構(22)からでもロック機構(21)のロックを解除可能であるため、複数のロック解除機構(22)のうち、手近なロック解除機構(22)により1人でボンネット(8)のロックを解除できる。従って、ボンネット(8)のロックの解除が容易である。
【0011】
また、ロック機構(21)は、車体側に設けられた第1の係止部(23)と、ボンネット(8)内に設けられ、第1の係止部(23)に対し回動により係止可能な第2の係止部(24)、及び、第2の係止部(24)が第1の係止部(23)に係止しロックするように付勢する付勢手段(25)と、を備え、ロック解除機構(22)のそれぞれは、ボンネット(8)外に設けられた操作部(41)と、ボンネット(8)内に設けられ、操作部(41)に外力が与えられると、付勢手段(25)の付勢力に抗して第1の係止部(23)に対する係止を解除するように第2の係止部(24)を押圧し回動させると共に、操作部(41)に対する外力がなくなると、付勢手段(25)の付勢力により、第2の係止部(24)が元の係止位置へ回動するように押し戻されるリンク機構(36)と、を備えることが好ましい。
【0012】
このような構成を採用した場合、ボンネット(8)が車体側にロックされた状態では、付勢手段(25)により、第2の係止部(24)が付勢されて回動し車体側の第1の係止部(23)に係止される。ここで、運転手又は作業者により操作部(41)のいずれかに外力が与えられると、当該操作部(41)に対応するリンク機構(36)が作動し、当該リンク機構(36)により付勢手段(25)の付勢力に抗して第2の係止部(24)が押圧されて回動され、第2の係止部(24)による第1の係止部(23)に対する係止が解除される。すなわち、ボンネット(8)のロックが解除され、ボンネット(8)を開方向へスライドできる。そして、このようにロックが解除されボンネット(8)が開方向へスライドを開始したら、操作部(41)に対する外力は不要となり、第2の係止部(24)を押圧していたリンク機構(36)は付勢手段(25)の付勢力により押し戻され、第2の係止部(24)は元の係止位置へ復帰する。すなわち、運転手又は作業者は、操作部(41)に対して外力を与え続けることなく、ボンネット(8)をスライドさせるだけで開位置へと容易に移動できる。
【0013】
また、第2の係止部(24)は、ボンネット(8)をスライドさせて閉じていく際に、第1の係止部(23)に当接し、付勢手段(25)の付勢力に抗する方向へ回動するようにガイドする傾斜部(30)を備え、ボンネット(8)が閉位置に位置すると傾斜部(30)によるガイドが終端を越え、付勢手段(25)の付勢力により第2の係止部(24)が回動し第1の係止部(23)に係止する構成が好ましい。
【0014】
このような構成を採用した場合、ボンネット(8)が開の状態では、上述のように操作部(41)に対して外力を与え続けておらず第2の係止部(24)は元の係止位置へ位置しており、ボンネット(8)を閉方向へスライドさせていくと、第1の係止部(23)に第2の係止部(24)の傾斜部(30)が当接し、操作部(41)に外力を与えなくても、傾斜部(30)により第2の係止部(24)が付勢手段(25)の付勢力に抗する方向へガイドされて自ずと回動し、ボンネット(8)が閉位置に達すると付勢手段(25)の付勢力により第2の係止部(24)が回動して第1の係止部(23)に係止され、ボンネット(8)が車体側にロックされる。すなわち、操作部(41)に上記ロック解除のときのような外力を与えることなくスライドのみで容易にボンネット(8)を閉にロックできる。
【0015】
また、ボンネット(8)に設けられ、下部がボンネット(8)内に位置すると共に、上部がボンネット(8)外に位置するボンネット排気管(48)を備え、ボンネット排気管(48)の下部に、ボンネット(8)のスライド時に、動力源(7)に対して設けられたマフラー側排気パイプ(50)の上部が、退出/進入可能とする開口(49)を備えていると、ボンネット(8)のスライドの際に、マフラー側排気パイプ(50)の上部は、ボンネット排気管(48)の下部に干渉することなく、ボンネット排気管(48)の下部の開口(49)を通してボンネット排気管(48)に対して容易に退出/進入できる。
【0016】
また、ボンネット(8)は、車体の後部に配置されて後方へのスライドが可能とされ、車体の左右両側及び後側には、転落防止フェンス(14,14,15)が設けられ、車体の後側の転落防止フェンス(15)は、後方へ倒れることが可能とされていると、車体の左右両側及び後側の転落防止フェンス(14,14,15)により安全が確保されると共に、後側の転落防止フェンス(15)を後方へ倒すことにより、車体の後部上に配置されたボンネット(8)を後方へ容易にスライドできる。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明によれば、メンテナンス等でボンネットを開ける際に当該ボンネットと車庫、倉庫等の天井や照明との干渉を防止できると共に、ボンネットの開閉を容易にでき、加えて、ボンネットの開閉機構がメンテナンスの邪魔にならずメンテナンスを容易に行うことができると共にメンテナンス性を向上できる車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る車両を前方から見た斜視図である。
図2図1中の薬液タンク及びボンネットを示す斜視図であり、ボンネットが閉じている状態を示す斜視図である。
図3図2に示す状態からボンネットを開けた状態を示す斜視図である。
図4】薬液タンクに設けられたロック機構のストライカを上方から見た斜視図である。
図5】ロック機構のフック及びストライカを示す側面図であり、ボンネットのロック時及びロック解除時の状態を示す側面図である。
図6】ストライカを除くロック機構及びロック解除機構を前方から見た斜視図であり、ボンネットのロック時の状態を示す斜視図である。
図7図6の正面図である。
図8】ストライカを除くロック機構及びロック解除機構を示す斜視図であり、車両右側のロック解除機構によるボンネットのロック解除時の状態を示す斜視図である。
図9】ストライカを除くロック機構及びロック解除機構を示す斜視図であり、車両左側のロック解除機構によるボンネットのロック解除時の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る車両の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両を前方から見た斜視図、図2は、薬液タンク及びボンネットを示す斜視図であってボンネットが閉じている状態を示す斜視図、図3は、図2に示す状態からボンネットを開けた状態を示す斜視図である。本実施形態の車両は、ブームスプレーヤであり、例えば果樹園等の圃場に薬液を散布する際に用いられるものである。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、ブームスプレーヤを基準とした方向とする。また、以下で述べる車体とは、車体フレーム1、キャビン4及び薬液タンク5等を含むものとする。
【0020】
図1に示すように、ブームスプレーヤ100は、前後方向に長い略矩形状の車体フレーム1(図2及び図3も参照)を備えており、車体フレーム1の左右両側下方で前後にそれぞれ設けられた一対の前輪2及び一対の後輪3の駆動により走行可能となっている。
【0021】
車体フレーム1上には、前側から後側へ向けて順に、運転手が乗り込んで運転操作すると共に散布操作するためのキャビン4、薬液を貯留する薬液タンク5、エンジンルーム6が配設されている。エンジンルーム6には、前輪2及び後輪3を駆動するための動力源としてのエンジン7等が配置され(図3参照)、エンジンルーム6はボンネット8により覆われている(図2参照)。
【0022】
車体フレーム1の前部にはセンターブーム9が取り付けられ、センターブーム9の両端にはサイドブーム10,10がそれぞれ連結される。サイドブーム10は、薬液散布を行わないときには折り畳まれ、車体フレーム1の側方位置において斜め後ろ上りの状態で格納される。薬液散布を行うときには、サイドブーム10は、センターブーム9に対して一直線状となるように広げられ、センターブーム9及びサイドブーム10の薬液噴霧用のノズル11から薬液タンク5の薬液を散布する。
【0023】
車体フレーム1の左右両側には、側方へ張り出しキャビン4の横下から後部へ延びる歩行用のサイドフロア12がそれぞれ設けられ、ボンネット8の後側には、後方へ張り出し左右方向へ延びるリアフロア13が設けられる。
【0024】
サイドフロア12の側部外縁には、サイドフェンス14が転落防止フェンスとして立設され、リアフロア13の後部外縁には、リアフェンス15が転落防止フェンスとして立設される。リアフェンス15は後側へ回動可能とされており、運転手又は作業者により、ボンネット8を後方へ移動させるにあたって、後方へ倒すことが可能とされている。リアフェンス15の片側である左側方には、左側のサイドフロア12の後部に隣接して、乗降用ステップ16が回動可能に立設される。乗降用ステップ16は後側へ回動可能とされており、運転手又は作業者の乗降の際に後側へ回動される。
【0025】
ここで、本実施形態のブームスプレーヤ100にあっては、図3に示すように、ボンネット8の開閉をスライドにより行う左右一対のスライド機構17を備える(図3においては車両左側のスライド機構のみ図示)。スライド機構17は、構成部品として固定レール18及び移動レール19を有しており、前後方向に延び車体フレーム1上に固定された固定レール18に対して、前後方向に延びボンネット8の内側面に固定された移動レール19がスライドするものである。スライド機構17としては、円滑なスライドを可能とすべく、ボールやボールベアリングが採用されるが、ここでは、ボールベアリングが採用されている。なお、ボンネット8内には、図3及び図5図9に示すように、ボンネット8内面に沿うと共にその上部がボンネット8の上部から下方へ離間するフレーム20が固定されている。
【0026】
本実施形態では、ボンネット8を車体側に固定し閉位置にロックするためのロック機構21、及び、ロック機構21によるロックを解除するためのロック解除機構22を備える。図4は、薬液タンクに設けられたロック機構のストライカを上方から見た斜視図、図5は、ロック機構のフック及びストライカを示す側面図であってボンネットのロック時及びロック解除時の状態を示す側面図、図6は、ストライカを除くロック機構及びロック解除機構を前方から見た斜視図であってボンネットのロック時の状態を示す斜視図、図7は、図6の正面図、図8は、ストライカを除くロック機構及びロック解除機構を示す斜視図であって車両右側のロック解除機構によるボンネットのロック解除時の状態を示す斜視図、図9は、ストライカを除くロック機構及びロック解除機構を示す斜視図であって車両左側のロック解除機構によるボンネットのロック解除時の状態を示す斜視図である。
【0027】
ロック機構21は、車体側である薬液タンク5に設けられた第1の係止部としてのストライカ23(図4及び図5参照)と、ボンネット8内に設けられた第2の係止部としてのフック24(図5図9参照)と、ボンネット8内に設けられ、フック24がストライカ23に係止するように付勢する付勢手段としての捩りコイルバネ25(図7及び図9参照)と、を備える。
【0028】
図4に示すように、ストライカ23は、平面視コの字状を呈し、コの字状を構成する中央の直線状のバー26に対して直角に折り曲げられた両端部が、薬液タンク5の後端面の上部に固定されている。
【0029】
図5図9に示すように、フック24は、平板部27と、平板部27の左右端に下方を向くようにそれぞれ連設された側板部28と、側板部28のそれぞれの先端に設けられた鉤状突起29と、を備える。鉤状突起29は、その先端部(先端面)が、図5に示すように、上から下に向かうに連れ後方へ徐々に湾曲していく傾斜部30とされ、傾斜部30の下端は、側板部28の下端面より下方へ突出し、この突出している部分の後端面が、ストライカ23のバー26に係止可能とされている。
【0030】
側板部28の後端部には、図6図9に示すように、左右方向に延びる軸部31が貫通固定されており、当該軸部31は、図7及び図9に示すように、台座部32に回転可能に支持される。台座部32は、前後方向視においてコの字を呈し、コの字を構成する平板状の中央部が、フレーム20の中央の上部に固定されている。この台座部32のコの字を構成し上方へ突出する両側部の外側に、フック24の両側板部28がそれぞれ対向し、この台座部32の側部に軸部31が通され回転可能に支持される。
【0031】
捩りコイルバネ25は、軸部31に巻き付くように配置され、一端が軸部31に固定されると共に、他端が台座部32に固定され、フック24の鉤状突起29がストライカ23のバー26に係合する方向(図5における反時計回り)へ軸部31を付勢する。
【0032】
一方、ロック解除機構22のそれぞれは、図6図9に示すように、ボンネット8外に設けられたレバーハンドル35と、ボンネット8内に設けられ、レバーハンドル35(詳しくは後述の握部41)に外力が与えられると、捩りコイルバネ25の付勢力に抗してストライカ23に対する係止を解除するようにフック24を押圧し、フック24を回動させるリンク機構36と、を備える。ロック解除機構22は、ボンネット8の左右両側に対応してそれぞれ配置される。
【0033】
レバーハンドル35は、運転手又は作業者に握られるハンドル部38及び操作レバー39を備える。ハンドル部38は、前後方向視においてコの字状を呈する。このハンドル部38は、形状に沿ったコの字状の内部空間を有し、その内側が外部開放されている。ハンドル部38は、ボンネット8の側方上部の外面に固定される。
【0034】
操作レバー39は、前後方向視において略レの字状を呈し、ハンドル部38においてコの字状を構成するL字部分内に概ね収容可能とされている(図8における車両右側の操作レバー39参照)。操作レバー39は、略レの字状の折曲部が、ハンドル部38のコの字状の左右方向外側の折曲部に対して、前後方向に延びる軸部40を支点として回動可能に取り付けられている。図7に示すように、操作レバー39の下方へ延びる一端側(車両左側の操作レバー39の場合は車両左側下端部;車両右側の操作レバー39の場合は車両右側下端部)は、ボンネット8内に進入している。
【0035】
操作レバー39の折曲部と他端側との間の部分である握部(操作部)41は、ボンネット8のロック時においては、運転手や作業者等により握ることが可能なように(外力を与えることが可能なように)、前後方向視において、コの字状のハンドル部38から軸部40を支点として下方へ回動し、ハンドル部38外に露出し斜めに傾いて位置している(図7参照)。
【0036】
リンク機構36は、図7及び図8に示すように、操作レバー39の一端に連結された連結部材42と、一端が連結部材42に連結され、台座部32側へ向かって延びるロッド43と、一端がロッド43の他端に回動可能に連結されると共に、途中部分が上記フレーム20の前後方向に延びる軸部44に回動可能に支持されたレバー45と、を備える。
【0037】
レバー45は、左右方向外方へ延びてから上方へ折曲する一端に、ロッド43の他端が回動可能に連結される第1レバー46と、その一端が、第1レバー46の他端に連設され、上方へ短尺に延びてから折曲されて後方へ延び、さらに折曲されて上方へ延びてから、折曲されてフック24の平板部27の後端部の左右片側の上面(車両左側のリンク機構36の場合は平板部27の後端部の車両左側の上面、車両右側のリンク機構36の場合は平板部27の後端部の車両右側の上面)上へ向かう第2レバー47と、を有する。そして、第1レバー46と第2レバー47との境界部が、フレーム20に固着され前後方向に延びる上記軸部44に回動可能に支持されている。すなわち、レバー45は、前後方向に延びる軸部44周りに回動可能となっている。
【0038】
また、図1図4図6及び図7に示すように、ボンネット8には、ボンネット排気管48が固定されている。ボンネット排気管48は、下部がボンネット8内に位置すると共に、上部がボンネット8外に位置している。ボンネット排気管48の下部には、図6及び図7に示すように、ボンネット排気管48の内外を連通し前方に開放されると共に下方に開放される開口49が設けられる。開口49は、ボンネット8のスライド時に、エンジン7に対して設けられたマフラー側排気パイプ50の上部(図3参照)を、退出/進入可能とするものである。
【0039】
このように構成されたブームスプレーヤ100にあっては、ボンネット8が閉位置に位置し閉じられている状態(図1図2及び図5参照)では、ロック機構21により、ボンネット8は車体側にロックされている。
【0040】
すなわち、フック24は、捩りコイルバネ25の付勢力により付勢され、図5に示すように、フック24の鉤状突起29が、車体側となる薬液タンク5の後端面のストライカ23のバー26を上方から係止し、ボンネット8は後方へ移動不能となっている。
【0041】
このとき、図6及び図7に示すように、フック24の平板部27の後端部の両側の上面には、それぞれリンク機構36の第2レバー47の他端が当接しており、第2レバー47の軸部44を支点とした回動によりそれぞれのロッド43が左右方向外側へ押し込まれ、操作レバー39は軸部40を支点として回動し、その握部41がハンドル部38外へ位置した状態となっている。なお、この状態で、操作レバー39の先端又は後端は、ハンドル部38内面に当接しており、ストライカ23がなくても、操作レバー39のそれ以上下方への回動は阻止され、フック24は、図5に実線で示す略水平な係止位置(図8では仮想線で示す係止位置)を維持するようになっている。
【0042】
ここで、例えばメンテナンス等を行うべく、ボンネット8を開ける場合には、先ず、運転手又は作業者は、図1に示すリアフェンス15を後方へ倒す。次いで、運転手又は作業者は、サイドフロア12上に立って近くに位置するレバーハンドル35のみを操作する。すなわち、運転手又は作業者は、手近なレバーハンドル35を握り握部41を握る。ここでは、図8に示すように、車両右側のレバーハンドル35の握部41を握ることとする。
【0043】
このように握部41を握り、捩りコイルバネ25の付勢力に抗し握部41をハンドル部38内に押し込むと、操作レバー39は、軸部40を支点として回動する。すると、操作レバー39に連結されたリンク機構36が作動する。具体的には、台座部32側(フック24側)へ向かってロッド43が押し出され、レバー45が軸部44を支点として回動し、フック24の平板部27の後端部の上面に当接している第2レバー47の他端が当該上面を押圧し、フック24は、軸部31を支点として上方へ回動する(図8に実線で示すフック24、図5に仮想線で示すフック24参照)。
【0044】
すると、フック24の鉤状突起29がストライカ23のバー26から離れ、フック24のストライカ23に対する係止が解除されてロックが解除され、この状態で、運転手又は作業者は、ボンネット8を、図3に示すように、後方へスライドする。
【0045】
このボンネット8の後方へのスライドの際に、マフラー側排気パイプ50の上部は、ボンネット排気管48の下部の開口49(図6及び図7参照)を通してボンネット排気管48から退出する。
【0046】
また、ボンネット8の後方へのスライドが始まると、ストライカ23とフック24の係止が解除されているため、運転手又は作業者は握部41を握ってハンドル部38内に押し込んでおく必要はなく、ハンドル部38を持ち、例えば握部41に指を添え又は握部41から指を離した状態で、ボンネット8をそのまま後方へスライドさせていけば良い。勿論、握部41を握った状態でボンネット8を後方へスライドさせても良い。
【0047】
そして、レバーハンドル35の握部41の握りを解除すると、リンク機構36に働いていた外力がなくなるため、フック24は、捩りコイルバネ25の付勢力により、軸部31を支点として下方へ回動する。フック24の下方への回動により、フック24の平板部27の後端部の上面に当接していたリンク機構36の第2レバー47の他端が、押し戻され、図6及び図7に示すように、軸部44を支点として上方へ回動し、ロッド43も押し込まれてレバーハンドル35の握部41は、ハンドル部38外の元の位置へ復帰する。そして、フック24も元の係止位置に復帰する。
【0048】
一方、ロック状態にあるボンネット8をスライドさせようとしているときに、運転手又は作業者が、車両右側ではなく車両左側のレバーハンドル35の近くに位置している場合には、こんどは、手近な車両左側のレバーハンドル35を握り握部41を握れば良い。すると、図9に示すように、車両左側のリンク機構36が作動してフック24が上方へ回動し、フック24のストライカ23に対する係止が解除されてロックが解除され、この状態で、運転手又は作業者は、ボンネット8を後方へスライドできる。
【0049】
このように、いずれのレバーハンドル35の握部41からでも、ボンネット8のロックを解除できる。
【0050】
そして、ボンネット8を閉める場合には、運転手又は作業者は、レバーハンドル35の握部41を握る必要はなく、ボンネット8を前方へスライド機構17によりスライドさせれば良い。このようにボンネット8をスライドさせて閉じていくと、略水平な係止位置に位置しているフック24のその先端の傾斜部30が、ストライカ23のバー26に当接する。すると、捩りコイルバネ25の付勢力に抗し、傾斜部30がガイドとなってフック24が軸部31を支点として上方へ回動していく。
【0051】
ボンネット8が閉位置に近づき閉位置へ達する間にあっては、マフラー側排気パイプ50の上部は、ボンネット排気管48の下部の開口49を通してボンネット排気管48内に進入する。
【0052】
そして、ボンネット8が閉位置に位置すると、傾斜部30がバー26を乗り越えて傾斜部30によるガイドが終端を越え、捩りコイルバネ25の付勢力によりフック24が軸部31を支点として回動し、フック24の鉤状突起29がストライカ23のバー26に係止しボンネット8がロックされる。そして、運転手又は作業者は、後方へ倒れたリアフェンス15を元の位置に起立させ、転落防止フェンスを元に戻す。
【0053】
このように、本実施形態によれば、スライド機構17によるボンネット8のスライドによりボンネット8を開閉できるため、メンテナンス等でボンネット8を開ける際に当該ボンネット8と車庫、倉庫等の天井や照明とが干渉することはない。また、スライド機構17では、円滑にスライドすべくボールベアリング等が一般的に用いられており、大きな重量のボンネット8でも小さい力でスライドできるため、ボンネット8の開閉を容易にできる。また、スライド機構17にあっては、スライド機構17の構成部品18,19を、ボンネット8で覆われる領域であるエンジンルーム6の中央部に配置する必要はなく、車体側の両側部に配置しているため、スライド機構17がメンテナンスの邪魔になることはなくメンテナンスを容易に行うことができる。また、ボンネット8を開けた状態で、当該ボンネット8がエンジンルーム6の上方に存在しないため、メンテナンス性に優れている。また、このように、エンジンルーム6の上方は空いているため、例えば天井クレーン等を用いたメンテナンスをできるという利点もある。
【0054】
また、本実施形態によれば、ボンネット8を車体側の閉位置にロックするロック機構21と、ロック機構21のロックを解除可能な2つのロック解除機構22,22と、を備え、いずれのロック解除機構22,22からでもロック機構21のロックを解除可能であるため、2つのロック解除機構22,22のうち、手近なロック解除機構22により1人でボンネット8のロックを解除できる。従って、ボンネット8のロックの解除が容易である。なお、ここでは、ロック解除機構22を2個としているが、3個以上であっても良い。
【0055】
また、本実施形態によれば、ロックが解除されボンネット8が開方向へスライドを開始したら、運転手又は作業者による握部41の握りは不要となり、握り続ける必要がなくなる。すなわち、運転手又は作業者は、ロックが解除されたら、握部41を握り続けることなく、ボンネット8をスライドさせるだけで開位置へと容易に移動できる。
【0056】
また、本実施形態によれば、ボンネット8を閉方向へスライドさせていくと、ストライカ23にフック24の傾斜部30が当接し、握部41を握らなくても、傾斜部30によりフック24が捩りコイルバネ25の付勢力に抗する方向へガイドされて自ずと回動し、ボンネット8が閉位置に達すると捩りコイルバネ25の付勢力によりフック24が回動してストライカ23に係止され、ボンネット8が車体側にロックされる。すなわち、握部41に上記ロック解除のときのような握りを与えることなくスライドのみで容易にボンネット8を閉にロックできる。
【0057】
また、本実施形態によれば、ボンネット排気管48の下部に開口49が設けられているため、ボンネット8のスライドの際に、マフラー側排気パイプ50の上部は、ボンネット排気管48の下部に干渉することなく、開口49を通してボンネット排気管48に対して容易に退出/進入できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、車体の左右両側及び後側の転落防止フェンス14,14,15により、安全を確保できると共に、後側の転落防止フェンス15を後方へ倒すことにより、車体の後部上に配置されたボンネット8を後方へ容易にスライドできる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、第1の係止部をストライカ23とし、第2の係止部をフック24とし、付勢手段を捩りコイルバネ25としているが、これらに限定されるものではなく、同一の機能果たせれば、他のものであっても良い。また、リンク機構36も上記実施形態の構成に限定されるものではなく、同一の機能を果たせれば、他の構成であっても勿論良い。
【0060】
また、上記実施形態においては、操作部としての握部41を備え、握部41を握ることにより、握部41に対応するリンク機構36を作動させ、ボンネット8のロックを解除するようにしているが、例えば、ペダルを踏んだり、スイッチを引っ張ることにより、リンク機構を作動させ、ボンネット8のロックを解除するようにしても良く、要は、握部、ペダル、スイッチ等の操作部に与えられる運転手や作業者等の外力により、操作部に対応するリンク機構を作動させ、当該リンク機構により付勢手段の付勢力に抗して第2の係止部が押圧されて回動され、第2の係止部による第1の係止部に対する係止が解除されれば良い。
【0061】
また、上記実施形態においては、ブームスプレーヤ100に対する適用を述べているが、自動車、農業機械、建設機械等、エンジンや電気モータを動力源として走行し、当該動力源を開閉可能に覆うボンネットを備えた車両全てに対して適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1…車体フレーム、7…エンジン(動力源)、8…ボンネット、14…サイドフェンス(転落防止フェンス)、15…リアフェンス(転落防止フェンス)、17…スライド機構、21…ロック機構、22…ロック解除機構、23…ストライカ(第1の係止部)、24…フック(第2の係止部)、25…捩りコイルバネ(付勢手段)、30…傾斜部、36…リンク機構、41…握部(操作部)、48…ボンネット排気管、49…開口、50…マフラー側排気パイプ、100…ブームスプレーヤ(車両)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9