特許第6681401号(P6681401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681401
(24)【登録日】2020年3月25日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】加圧スラリー供給を用いる付加製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20200406BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20200406BHJP
   C06B 21/00 20060101ALI20200406BHJP
   C06D 5/00 20060101ALI20200406BHJP
   C06B 25/18 20060101ALI20200406BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200406BHJP
【FI】
   B29C64/106
   B29C64/209
   C06B21/00
   C06D5/00 A
   C06B25/18
   B33Y10/00
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-533708(P2017-533708)
(86)(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公表番号】特表2017-533131(P2017-533131A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】US2015049327
(87)【国際公開番号】WO2016064489
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年5月17日
(31)【優先権主張番号】62/051,227
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ハズバンド,クラレンス
(72)【発明者】
【氏名】ウェンドルバーガー,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッシュウッド,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ドール,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,ロバート
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−285890(JP,A)
【文献】 特表2000−500709(JP,A)
【文献】 特開2006−044975(JP,A)
【文献】 米国特許第05714711(US,A)
【文献】 国際公開第2013/019876(WO,A1)
【文献】 米国特許第03290190(US,A)
【文献】 米国特許第05205983(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 − 64/40
C06B 21/00
C06D 5/00
C06D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチゾルと固体エネルギー材料粒子とを含んだスラリーを、(1)ノズルに隣接してノズルの上流にある加熱ブロック内、および(2)ノズル内のうちの一つにおいて、加圧し、かつスラリーの硬化温度と同じかそれを上回る温度まで加熱し、
加圧、加熱されたスラリーをノズルを通して流し、
スラリーの硬化および固化を開始させるように、加熱時にスラリーのプラスチゾルの溶媒和を開始させ、
スラリーを所定のパターンで堆積させる、
ことを含むことを特徴とする、付加製造プロセス。
【請求項2】
プラスチゾルが、ポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
プロセスは、加圧された容器からノズルへとスラリーを供給することをさらに含み、加圧された容器は、0.138〜3.447MPa(20〜500ポンド毎平方インチ)の圧力を有することを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
加熱は、76.67〜104.44°C(170〜220°F)においてなされることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
プラスチゾルは、ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つのポリマー粒子、および液体可塑剤を含むことを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項6】
液体可塑剤は、フタル酸塩可塑剤またはアジピン酸塩可塑剤の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項7】
プラスチゾルは、重量で、80:20〜20:80の範囲にある、ポリ塩化ビニルの可塑剤に対する比を有することを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項8】
スラリーは、重量で、1:1の比の可塑剤と、ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つと、さらに最大85%の固体エネルギー材料とを含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項9】
プラスチゾルと固体エネルギー材料粒子とを含んだスラリーの硬化温度と同じかそれを上回る温度へとノズルを加熱し、
スラリーのプラスチゾルの溶媒和を開始させ、かつスラリーの硬化および固化を開始させるようにスラリーにノズルを通過させ、
コンピュータで処理されたパターンに関してノズルから硬化スラリーを供給する、
ことを含むことを特徴とする、付加製造プロセス。
【請求項10】
プロセスは、加圧された容器からノズルへとスラリーを供給することをさらに含み、加圧された容器は、0.138〜3.447MPa(20〜500ポンド毎平方インチ)の圧力を有することを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項11】
スラリーは、固体エネルギー材料を含むことを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項12】
プラスチゾルは、ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つと、フタル酸塩可塑剤またはアジピン酸塩可塑剤の少なくとも1つとを含むことを特徴とする請求項記載のプロセス。
【請求項13】
プラスチゾルは、重量で、80:20〜20:80の範囲にある、ポリ塩化ビニルの可塑剤に対する比を有することを特徴とする請求項12記載のプロセス。
【請求項14】
供給は、スラリーの複数の層を、コンピュータで処理されたパターンに関して、互いに上に堆積させることを含むことを特徴とする請求項記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付加製造プロセスに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2014年9月16日に出願された米国特許仮出願第62/051,227号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
ロケットモータおよび同様のものは、ノズルを通って放出されて推力を生じさせ得る加圧ガスを燃焼時に発生する固体エネルギー材料を備える。固体エネルギー材料は一般に、ロケットモータの所望の形状へと、鋳造、成形および/または機械加工される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例による付加製造プロセスは、スラリーを加圧し、加熱し、加圧、加熱されたスラリーをノズルを通して流し、スラリーを所定のパターンで堆積させる、ことを含む。
【0005】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、加熱は、ノズルに隣接してノズルの上流にある加熱ブロック内で実行される。
【0006】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、加熱はノズル内で実行される。
【0007】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、加熱は、スラリーの硬化温度と同じかそれを上回る温度へとなされる。
【0008】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例は、加熱時に、スラリーのポリ塩化ビニル組成の溶媒和を開始させることを含む。
【0009】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例は、スラリーの堆積時に、スラリーの固化を開始させることを含む。
【0010】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例は、加圧された容器からノズルへとスラリーを供給することを含む。加圧された容器は、約20〜500ポンド毎平方インチの圧力を有する。
【0011】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、加熱は、約170〜220°Fにおいてなされる。
【0012】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、スラリーは、プラスチゾルおよび固体エネルギー材料を含む。
【0013】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、プラスチゾルは、ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つを含む。
【0014】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、プラスチゾルは、フタル酸塩可塑剤またはアジピン酸塩可塑剤の少なくとも1つを含む。
【0015】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、プラスチゾルは、重量で、80:20〜20:80の範囲にある、ポリ塩化ビニルの可塑剤に対する比を有する。
【0016】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、スラリーは、重量で、約1:1の比の可塑剤と、ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つと、さらに最大約85%の固体エネルギー材料とを含む。
【0017】
本開示の実施例による付加製造プロセスは、スラリーの硬化温度と同じかそれを上回る温度へとノズルを加熱し、スラリーの硬化を開始させるようにスラリーにノズルを通過させ、コンピュータで処理されたパターンに関してノズルから硬化スラリーを供給する、ことを含む。
【0018】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例は、加圧された容器からノズルへとスラリーを供給することを含む。加圧された容器は、約20〜500ポンド毎平方インチの圧力を有する。
【0019】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、スラリーは、固体エネルギー材料を含む。
【0020】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、スラリーは、プラスチゾルおよび固体エネルギー材料を含む。
【0021】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、プラスチゾルは、ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つと、フタル酸塩可塑剤またはアジピン酸塩可塑剤の少なくとも1つとを含む。
【0022】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、プラスチゾルは、重量で、80:20〜20:80の範囲にある、ポリ塩化ビニルの可塑剤に対する比を有する。
【0023】
上述の実施例のいずれかのさらなる実施例において、供給は、スラリーの複数の層を、コンピュータで処理されたパターンに関して、互いに上に堆積させることを含む。
【0024】
本開示のさまざまな特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。詳細な説明を伴う図面は、以下に簡単に説明できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例の付加製造プロセスを示す図。
図2図1のプロセスを実行するための実施例のシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、実施例の付加製造プロセス20を示し、図2は、プロセス20を実行するための実施例のシステム40を示す。説明するように、プロセス20は、所望の幾何学形状へと固体エネルギー材料または他の材料を形成または「印刷」するために使用できる。例えば、固体エネルギー材料は、ロケットモータおよび同様のもののための所望の三次元幾何学形状へと印刷できる。
【0027】
プロセス20は、本明細書では、ステップ22、24、26、およびシステム40に関して説明する。さらなる処理ステップを、ステップ22、24、26の前、間、または後に使用できる。一般に、システム40は、スラリー44を保持する容器42と、スラリー44を供給するノズル46と、パイプまたは管などの、容器42からノズル46へとスラリー44が移動する1つまたは複数のライン48と、を備える。ノズル46は、加熱ブロック46aを備えることができる。代替としてまたは追加として、加熱ブロック46aは、46a’で示すように、ノズル46に隣接してノズル46の上流に配置することができる。容器42、ライン48、およびノズル46は、1つまたは複数の弁、1つまたは複数のポンプ、またはスラリー44を移動させるための同様のものなどを備えることができる。制御装置50が、少なくともノズル46と連通しており、また、システム40の作動を制御するために、容器42、ライン48、加熱ブロック46a/46a’、および任意の1つまたは複数の弁、または1つまたは複数のポンプと連通することもできる。この点では、制御装置50は、プロセス20を実行するように構成および/またはプログラムされる、マイクロプロセッサなどのハードウェアおよびソフトウェアのいずれか一方または両方を備える。
【0028】
固体エネルギー材料を印刷するために、スラリー44は、プラスチゾルおよび固体エネルギー材料の混合物を含むことができる。プラスチゾルは、液体可塑剤中のポリマー粒子の混合物または懸濁液である。例えば、可塑剤は、フタル酸塩、またはアジピン酸塩、またはこれらの混合物を含む。フタル酸塩は、限定される訳ではないが、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、およびフタル酸ジ−2−エチルヘキシルを含むことができ、アジピン酸塩は、限定される訳ではないが、アジピン酸ジオクチル(DOA)およびセバシン酸ジオクチル(DOS)を含むことができる。例えば、プラスチゾルは、ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つのポリマー粒子、および液体可塑剤を含む。固体エネルギー材料はまた、粒子の形態で提供され、プラスチゾルと混合される。
【0029】
固体エネルギー材料は、所望の最終使用要求に従って選択される。例えば、固体エネルギー材料は、限定される訳ではないが、金属燃料、酸化剤、および燃料/酸化剤混合物を含むことができる。固体エネルギー材料は、1つまたは複数の不活性バインダー、燃焼変更剤(modifier)、安定剤、および同様のものなどを含むこともできる。一実施例では、スラリー44は、重量で、約7.5%のポリ塩化ビニル、約7.5%の可塑剤、および約85%の固体エネルギー材料を含む。さらなる実施例では、固体エネルギー材料は、重量で、約18%の金属燃料を含む。
【0030】
再びプロセス20を見ると、ステップ22においてスラリーを加圧し、加熱する。スラリー44は、容器42からライン48を通ってノズル46へと流れるのが容易になるように加圧する。例えば、スラリー44は、容器42内で約20〜500ポンド毎平方インチで加圧する。スラリー44は次いで、この圧力下で容器42からノズル46へと供給する。加圧することによって、グロッビング(globbing)を低減するようにノズル46の前での硬化の抑制も容易になる。ポリ塩化ビニルまたはニトロセルロースの少なくとも1つ、アジピン酸ジオクチル、および固体エネルギー材料を含む上述したスラリー組成に基づくさらなる一実施例では、スラリー44は、20キロポアズより低い粘性率を有し、容器42内で約30〜40ポンド毎平方インチで加圧され、約170〜220°Fに加熱される。
【0031】
スラリー44は、加熱までは実質的に周囲温度とすることができる。この点では、一実施例では、プロセス20は、加熱ブロック46aを介してノズル46内でスラリー44を加熱することを含む。代替として、加熱ブロック46a’を使用すると、スラリー44は、ノズル46の前で加熱される。スラリー44は、加熱される前には、完全に硬化されず、または実質的に完全に硬化されないようにすることができる。適切な温度および圧力で、加熱は、液体可塑剤によるポリマー粒子(例えばポリ塩化ビニル)の溶媒和を開始させる。
【0032】
ステップ24において、加圧され、加熱されたスラリー44がノズル46を通って流れ、ステップ26において、スラリー44は、ノズル46から所定のパターンで堆積する。スラリー44は、加圧され、ノズルの46の加熱ブロック46aまたは46a’において適切な温度に加熱されるとはいえ、ノズル46から供給され、冷却された後で、実質的に完全に硬化または固化した状態に到達することができる。例えば、スラリー44の流れに依存して、溶媒和および硬化は、ノズル46内で、またはノズル46から供給された後に開始することができる。一実施例では、スラリーの硬化温度と同じかそれを上回る温度への加熱が、液体可塑剤によるポリマー粒子の溶媒和を開始させ、従って、スラリー44の硬化および固化を開始させる。
【0033】
所定のパターンは、形成される物品のコンピュータで処理されたパターンとすることができる。この点では、ノズル46が、コンピュータで処理されたパターンでスラリー44を選択的に堆積させるように前後に移動する。追加としてまたは代替として、スラリー44が供給される基板を、コンピュータで処理されたパターンで移動させることができる。スラリー44の複数の層を、コンピュータで処理されたパターンに従って物品を構築するように、互いに上に選択的に堆積させることができる。
【0034】
さらなる実施例では、ノズル46は、スラリー組成に関しても設計または選択される。例えば、スラリー44は、ポリマー粒子および固体エネルギー材料粒子を含むので、スラリー44が通って堆積されるノズル46の供給オリフィスは、少なくとも組成中の最も大きな粒子と同じくらいの大きさである。より典型的には、オリフィスは、ノズル46の架橋および詰まり(plugging)を低減するように、組成中の最も大きな粒子より少なくとも数倍大きなものとすることができる。例えば、ノズルオリフィスは、限定される訳ではないが、1/64〜3/64インチとすることができる。
【0035】
さらなる実施例では、スラリー44の組成は、加熱ブロック46aまたは46a’において提供される加熱の量に関して選択される。例えば、スラリー組成は、ポリ塩化ビニルおよび/またはニトロセルロースの量のアジピン酸ジオクチルの量に対するものに関して、重量で、80:20〜20:80の比を有する。さらなる実施例では、比は、60:40〜40:60である。
【0036】
特徴部の組み合わせを例示の実施例に示したとはいえ、それらの全てを、この開示のさまざまな実施例の恩恵を得るために組み合わせる必要はない。すなわち、この開示の実施例に従って設計されたシステムは、いずれか1つの図面に示した全ての特徴部または図面に概略的に示した全ての部分を必ずしも含まない。さらに、例示的な一実施例の選択された特徴部を、他の例示的な実施例の選択された特徴部と組み合わせることができる。
【0037】
上述した説明は、本質的に限定ではなく例示である。この開示から必ずしも逸脱しない、開示した実施例の変更および変形は、当業者には明らかになるであろう。この開示に与えられる法的保護範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することで判断できるだけである。
図1
図2