(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記陰極部において、前記固体電解質は、ナシコン(Na superionic conductor、NASICON)、リシコン(Li superionic conductor、LISICON)、非晶質イオン伝導性物質、及びセラミックイオン伝導性物質のうちの少なくとも一つのものよりなる群から選択されるものである、請求項1に記載のコイン形二次電池。
前記陰極部において、前記陰極集電体上に位置する陰極活物質層をさらに含み、前記陰極活物質層は陰極活物質を含み、前記陰極活物質は、金属、金属酸化物、金属硫化物、金属リン化物、及びカーボン(carbon)系物質のうちの少なくとも一つのものよりなる群から選択される少なくとも一つの物質である、請求項1に記載のコイン形二次電池。
前記固体電解質は、ナシコン(Na superionic conductor、NASICON)、リシコン(Li superionic conductor、LISICON)、非晶質イオン伝導性物質、及びセラミックイオン伝導性物質のうちの少なくとも一つのものよりなる群から選択されるものである、請求項13に記載のコイン形二次電池の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した問題を克服するために、本発明者らは、陰極部に特定の金属イオンを選択的に通過させる固体電解質を適用し、陽極部にはナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液(例えば、海水)を適用し、前記イオン含有溶液は陽極部の外部から流入するものである、コイン(coin)の形態の二次電池、およびその製造方法を提案する。
【0009】
また、本発明者などはコイン(coin)形態の二次電池を容易に充放電させるためのコイン形二次電池充放電装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一具現例では、陰極部;陽極部;前記陰極部と前記陽極部との間に位置する、分離膜(separator);前記陰極部の外部に位置する、第1ケース(case);前記陽極部の外部に位置し、少なくとも一つ以上の開口部を含む、第2ケース(case);を含むコインの形態の二次電池であり、前記第1ケースおよび前記第2ケースは互いに接合された形態であり、前記接合された第1ケースおよび第2ケースによって、前記陰極部、前記分離膜、および前記陽極部が密封され、前記陰極部は、陰極下部ケース(case)、前記陰極下部ケース上に位置する陰極集電体、および少なくとも一つ以上の固体電解質が接合された陰極上部ケース(case)を含み、前記陰極上部ケースは少なくとも一つ以上の開口部を含み、前記固体電解質は前記陰極上部ケース内の開口部にそれぞれ位置し、前記陽極部は、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液、および前記イオン含有溶液に含浸された陽極集電体を含み、前記イオン含有溶液は、前記第2ケースの開口部により、前記第2ケースの外部から流入するものである、コイン形二次電池を提供する。
【0011】
具体的には、前記陰極部に関する説明は次の通りである。
【0012】
前記陰極部は、前記陰極上部ケース内の開口部にそれぞれ位置する、固体電解質上に位置するのであって、前記固体電解質を前記陰極上部ケースと接合させる接着剤をさらに含むものであり得る。
【0013】
より具体的には、前記接着剤は、シリコーン(Si)系物質、エポキシ系物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される、いずれか一つ以上の物質を含むものであり得る。
【0014】
前記陰極部において、前記固体電解質は、ナシコン(Na superionic conductor、NASICON)、リシコン(Li superionic conductor、LISICON)、非晶質イオン伝導性物質、セラミックイオン伝導性物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるものであり得る。
【0015】
前記陰極部において、前記陰極集電体上に位置する陰極活物質層をさらに含み、前記陰極活物質層は陰極活物質を含み、前記陰極活物質は、金属、金属酸化物、金属硫化物、金属リン化物、カーボン(carbon)系物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも一つ以上の物質であり得る。
【0016】
前記陰極部は、液体電解質をさらに含むものであり得る。
【0017】
前記液体電解質は、解離可能な塩および有機溶媒を含むものであり得る。
【0018】
この時、前記解離可能な塩は、ナトリウム化合物、リチウム化合物、アンモニウム化合物、およびこれらを含む群から選択される少なくとも一つ以上の物質であり得る。
【0019】
また、前記有機溶媒は、エーテル(ether)系有機溶媒、カーボネート(carbonate)系有機溶媒、ニトリル(nitrile)系有機溶媒、およびこれらを含む群から選択される少なくとも一つ以上の物質であり得る。
【0020】
一方、前記陽極部に関する説明は次の通りである。
【0021】
前記陽極部において、前記イオン含有溶液は、海水、塩水、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるものであり得る。
【0022】
前記陽極部は、前記陽極集電体上に位置する触媒電極をさらに含み、前記触媒電極は、金属酸化物、貴金属(noble metal)物質、炭素系物質、ペロブスカイト(perovskite)系物質、およびこれらの含む群から選択されるいずれか一つの物質を含むものであり得る。
【0023】
本発明の他の一具現例では、陰極上部ケース(case)に少なくとも一つ以上の固体電解質を接合させる段階;陰極集電体上に陰極活物質層を形成させる段階;陰極下部ケース(case)上に、陰極集電体、前記少なくとも一つ以上の固体電解質が接合された陰極上部ケースを順に積層させて、陰極部として得る段階;第1ケース上に、前記陰極部、分離膜、陽極集電体、および少なくとも一つ以上の開口部を含む第2ケースを順に積層させる段階;前記第1ケースおよび前記第2ケースを接合させる段階;および前記第2ケースの外部から内部にナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液を流入させる段階;を含むコイン形二次電池の製造方法であり、前記陰極上部ケース(case)に少なくとも一つ以上の固体電解質を接合させる段階;にて、前記陰極上部ケース内に少なくとも一つ以上の開口部が位置しており、前記陰極上部ケース内の開口部にそれぞれ前記固体電解質を接合させ、前記第2ケースの外部から前記陽極部にナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液を流入させる段階;にて、前記第2ケースの開口部により、前記第2ケースの外部から前記陽極部に前記イオン含有溶液を流入させるものである、コイン形二次電池の製造方法を提供する。
【0024】
具体的には、前記陰極上部ケース(case)に少なくとも一つ以上の固体電解質を接合させる段階;は、接着剤を使って前記固体電解質を前記陰極上部ケースと接合させることであり得る。
【0025】
この時、接着剤は、シリコーン(Si)系物質、エポキシ系物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるいずれか一つ以上の物質を含むものであり得る。
【0026】
前記複数の固体電解質は、それぞれ、ナシコン(Na superionic conductor、NASICON)、リシコン(Li superionic conductor、LISICON)、非晶質イオン伝導性物質、セラミックイオン伝導性物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるものであり得る。
【0027】
本発明の一具現例に係る充放電装置は、(i)ナトリウムイオンまたは水を含む溶液が満たされる容器、(ii)前記容器に設置され内部にはコイン形二次電池が装着されてコイン形二次電池の陽極部を容器内部の溶液に接するようにする治具部、(iii)前記治具部に設置されて前記コイン形二次電池の陰極部と電気的に接続される陰極端子部、および(iv)前記コイン形二次電池の陽極部と電気的に接続される陽極端子部を含むことができる。
【0028】
前記治具部は、(i)容器に設置され、容器の内部に向かう前面にはコイン形二次電池が置かれる載置部が形成されたケース、(ii)前記コイン形二次電池の外周部を取り囲んで設置され、前記ケース内で前記コイン形二次電池の陰極部とケースの間をシーリングして溶液が陰極部に流入することを遮断するシーリング部材、および(iii)前記ケースの前面に結合して前記シーリング部材を加圧密着させ、前面にはコイン形二次電池の陽極部が露出するように孔が形成されたカバー部材を含むことができる。
【0029】
前記ケースは、前面の外周部に沿って円形のフランジが形成されており、前記フランジの外周面には雄螺子が形成されることで、前記容器の側面に形成された雌螺子ホールに螺子結合されて着脱可能に設置される構造であり得る。
【0030】
前記ケースは、フランジに、シーリングのためのリング部材が設置されて、ケースと容器の間を密閉する構造であり得る。
【0031】
前記カバー部材は、先端の外周面に雄螺子が形成され、前記ケースのフランジの内周面には雌螺子が形成されることで、ケースフランジに螺子結合されて着脱可能に設置される構造であり得る。
【0032】
前記カバー部材には、ケースに対してカバー部材を回転させるための取っ手が突出形成された構造であり得る。
【0033】
前記シーリング部材は、コイン形二次電池の陽極部が露出するように孔が形成されたリング状をなし、内周面にはコイン形二次電池の外周部に対応するように段付き加工がなされてコイン形二次電池の外周部を取り囲む構造であり得る。
【0034】
前記シーリング部材はシリコーン材質で形成され得る。
【0035】
前記陰極端子部は、ケース内部へと貫通設置されて前記コイン形二次電池の陰極部と電気的に接続される陰極ロッドを含むことができる。
【0036】
前記陰極端子部は、前記ケース載置部に設置されてコイン形二次電池の陰極部に接する電極板をさらに含み、前記陰極ロッドは電極板を通じてコイン形二次電池の陰極部と電気的に接続する構造であり得る。
【0037】
前記陰極端子部は、前記陰極ロッドがボルトの形態に形成され、前記ケースに螺子結合して前記電極板を加圧することによって、コイン形二次電池の陰極部に密着させる構造であり得る。
【0038】
前記陽極端子部は、前記カバー部材の内部に貫通設置されて前記コイン形二次電池の陽極部に電気的に接続される、陽極ロッドを含むことができる。
【0039】
前記陽極端子部は、陽極ロッドと、前記コイン形二次電池の陽極部との間に設置されて陽極部に接するカーボンフェルトをさらに含むことができる。
【0040】
前記陽極ロッドは、コイン形二次電池の陽極部に接する先端部が、コイルの形態に巻かれて、カバー部材と陽極部の間で弾性力を加える、コイルスプリングをなす構造であり得る。
【0041】
前記陽極ロッドは、チタンの材質で形成され得る。
【0042】
前記充放電装置は、前記溶液内に酸素を供給するための酸素供給部をさらに含むことができる。
【0043】
前記酸素供給部は、(i)溶液が収容される容器に連結されて溶液が排出される循環管と、(ii)前記循環管に連結されて溶液を循環させるポンプと、(iii)前記ポンプの排出側に連結され、容器の上部に延びてポンプを通じて排出される溶液を容器の溶液上に排出する吐出管とを含むことができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一具現例では、陰極部に、特定の金属イオンを選択的に通過させる固体電解質を適用し、陽極部には、外部から流入する、環境に優しくかつ安全な物質であるナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液を使うことによって、大規模の貯蔵システムが位置するに適合する場所としては、前記イオン含有溶液の代表的なものである海水が豊富な海を選択することができるのであり、これによって、諸費用が減少し、環境問題が比較的少なく誘発され得る、コイン形二次電池を提供することができる。
【0045】
本発明の他の一具現例では、製造工程が単純であるために商業化および大量生産に有利である、コイン形二次電池の製造方法を提供することができる。
【0046】
本具現例によると、コイン形二次電池に対して、より容易に充放電を実施することができるようになる。
【0047】
本具現例によると、コイン形二次電池の陽極部と陰極部の分離が正常になされるため、海水に対する陰極部と陽極部の短絡の発生を確実に防止することができる。
【0048】
本具現例によると、組立が容易であり、コイン形二次電池に対する充放電実験を容易に実施することができる。したがって、コイン形二次電池に対する多様な充放電実験をより容易に実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の具現例を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものに過ぎず、これによって本発明が制限されるものではなく、本発明は後述する請求項の範疇によって定義されるのみである。
【0051】
本発明の一実施例では、陰極部;陽極部;前記陰極部と前記陽極部との間に位置する、分離膜(separator);前記陰極部の外部に位置する、第1ケース(case);前記陽極部の外部に位置し、少なくとも一つ以上の開口部を含む、第2ケース(case);を含むコインの形態の二次電池であり、前記第1ケースおよび前記第2ケースは互いに接合された形態であり、前記接合された第1ケースおよび第2ケースによって前記陰極部、前記分離膜、および前記陽極部が密封され、前記陰極部は、陰極下部ケース(case)、前記陰極下部ケース上に位置する陰極集電体、および少なくとも一つ以上の固体電解質が接合された陰極上部ケース(case)を含み、前記陰極上部ケースは少なくとも一つ以上の開口部を含み、前記固体電解質は、前記陰極上部ケース内の開口部に、それぞれ位置し、前記陽極部は、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液と、前記イオン含有溶液に含浸された陽極集電体とを含み、前記イオン含有溶液は、前記第2ケースの開口部により、前記第2ケースの外部から流入するものである、コイン形二次電池を提供する。
【0052】
これと関連して、
図1は、前記コイン形二次電池を側面から見た姿を概略的に図示した図面である。一方、前記コイン形二次電池は、
図1に図示された通り、1個の陽極部を含むことができるが、
図2に図示された通り、2個の陽極部を含むこともできる。
【0053】
特に、
図1に図示されたコイン形二次電池は、実際に、本発明の一実施例において、
図3の形態で具現された。
図3を参照して、より具体的に説明すると、前記コイン形二次電池は、陰極下部ケース1、陰極集電体2、陰極プレートスペーサー3、陰極活物質4、陰極内分離膜5、固体電解質6、および陰極上部ケース8が順に積層された陰極部と、陽極触媒電極10および陽極集電体11が順に積層された陽極部を含み、前記陽極部と前記陰極部との間にはこれらの短絡を防止する非電子伝導性隔膜である分離膜9が位置している。また、前記接合された第1ケース13および第2ケース12により、前記陰極部および前記陽極部が密封されている。
【0054】
特に、前記第2ケース12には少なくとも一つ以上の開口部があるため、前記コイン形二次電池の外部に位置する前記イオン含有溶液が前記第2ケースの開口部を通じて前記陽極部に流入することができる。
図3では、前記第2ケース12の開口部が3個の場合を例示したが、これに限定されるものではない。
【0055】
また、前記陰極上部ケース8にも少なくとも一つ以上の開口部があり、前記陰極上部ケース8の開口部には前記固体電解質6が接合されていてもよく、前記陰極上部ケース8と前記固体電解質6との接合は、接着剤(図示されず)によって行われ得る。
図3では、前記陰極上部ケース8の開口部が1個の場合を例示したが、これに限定されるものではない。
【0056】
一方、前記陰極部には液体電解質(図示されず)が含まれ得るのであり、前記液体電解質(図示されず)は、前記陰極集電体2、前記陰極プレートスペーサー3、前記陰極活物質4、前記陰極内分離膜5、および前記固体電解質6に含浸され得る。さらには、前記陰極下部ケース1と前記陰極上部ケース8との間の空間にはガスケット7が位置することができ、前記ガスケット7は、内部物質を保護し、前記陰極部の内部に注入された前記液体電解質(図示されず)が外部に漏れることを防止する役割を果たすことができる。
【0057】
以下、
図1〜
図3を参照して前記コイン形二次電池の各構成要素を説明する。
【0058】
まず、前記陰極部に関する説明は次の通りである。
【0059】
前記陰極部は、前記陰極下部ケースと、前記少なくとも一つ以上の開口部を含む陰極上部ケースとの間に陰極集電体を含んでおり、前記陰極上部ケースの開口部には固体電解質がそれぞれ接合されている。
【0060】
このように、前記陰極部に、前記少なくとも一つ以上の固体電解質を適用することによって、前述した通り、特定の金属イオンを選択的に通過させて電池を安定して駆動できるようにする。ここで、前記固体電解質を適用した形態は、
図4に図示された通りである。
【0061】
具体的には、
図4は、前記陰極上部ケース内の開口部に、前記固体電解質がそれぞれ接合された形態について、側面から見た姿の一部分を概略的に図示した図面である。
図4では、前記陰極上部ケースの開口部および前記固体電解質が、それぞれ1個の場合を図示した。しかし、前記陰極上部ケースの開口部および前記固体電解質が、それぞれ少なくとも一つ以上存在するものであることを参照すると、前記接合された形態を把握することができる。
【0062】
図4において、前記陰極上部ケースに開口部が位置し、前記陰極上部ケースの後面には、前記開口部の大きさより大きい固体電解質が位置し、前記陰極上部ケースの開口部により、前記固体電解質が、前記陰極上部ケースの前面に露出している。
【0063】
これを参照すると、前記陰極上部ケースの開口部により、前記固体電解質が露出することを把握することができる。このように、前記固体電解質が露出した部位は、特定の金属イオンが選択的に通過する経路となり、一般に知られている固体電解質の面積より広く形成され得るものである。
【0064】
一方、前記陰極部は、前記陰極上部ケース内の開口部にそれぞれ位置する固体電解質上に位置して、前記固体電解質を前記陰極上部ケースと接合させる、接着剤をさらに含むものであり得る。
【0065】
図5は、前記接着剤によって前記陰極上部ケースに前記固体電解質が接合されたものについて、側面から見た姿の一部分を概略的に図示したものである。具体的には、
図5には、前記陰極上部ケース内の開口部および前記固体電解質が、それぞれ1個の場合を図示した。
【0066】
図5を参照すると、前記接着剤が、前記固体電解質と前記陰極上部ケースを接合させる形態は、前記接着剤が前記固体電解質の一部を覆うように位置し、かつ前記陰極上部ケースと接合させることができる形態であれば、特に限定されないことがわかる。
【0067】
より具体的には、前記接着剤は、シリコーン(Si)系物質、エポキシ系物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるいずれか一つ以上の物質を含むものであり得る。
【0068】
一方、前記固体電解質の場合、特定の金属イオン(例えば、Li
+、Na
+など)を選択的に通過させる物質であれば限定されはしない。特に、前記金属イオンを選択的に通過させる速度が速く、水溶液および有機溶液との界面が安定して形成される物質であり得る。
【0069】
例えば、前記固体電解質は、ナシコン(Na superionic conductor、NASICON)、リシコン(Li superionic conductor、LISICON)、非晶質イオン伝導性物質、セラミックイオン伝導性物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるものであり得る。
【0070】
具体的には、前記非晶質イオン伝導性物質の例としては、リン系ガラス(phosphorus−based glass)、酸化物系ガラス(oxide−based glass)、酸化物/硫化物系ガラス(oxide/sulfide−based glass)などが挙げられる。
【0071】
また、前記セラミックイオン伝導性物質の例としては、リチウムβ−アルミナ(lithium beta−alumina)、ナトリウムβ−アルミナ(sodium beta−alumina)などが挙げられる。
【0072】
より具体的には、前記固体電解質としてナシコンを選択する場合、前記固体電解質のイオン伝導度がさらに向上され得る。
【0073】
一方、前記陰極部は、前記接着剤および前記互いに隣り合う固体電解質を同時に覆うように位置する、伝導性高分子膜;をさらに含むものであり得る。この場合、前記伝導性高分子膜によって電子伝導性が向上され得る。
【0074】
前記伝導性高分子膜に含まれた高分子は、伝導性を有する高分子であれば特に制限されはしない。例えば、ポリアセチレン(Polyacetylene)、ポリピロール(Polypyrrole)、ポリアニリン(Polyaniline)、ポリフェニレン(PPS、polyphenylene sulfide)、ポリチオフェン(Polythiophene)、PEDOT系ポリマー(PEDOT)およびこれらの組み合わせのうちから選択されたいずれか一つであり得る。
【0075】
前記陰極部において、前記陰極集電体上に位置する陰極活物質層をさらに含み、前記陰極活物質層は陰極活物質を含み、前記陰極活物質は金属、金属酸化物、金属硫化物、金属リン化物、カーボン(carbon)系物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも一つ以上の物質であり得る。
【0076】
例えば、前記陰極活物質としては、ナトリウム(Na)、錫(Tn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、およびこれらの合金、これらの酸化物、これらの硫化物、およびこれらのリン化物だけでなく、カーボン系物質と、前述した物質の混合物など、一般に当業界に知られている陰極活物質を選択することができる。
【0077】
一方、前記陰極活物質層は、前記陰極活物質、導電材、および/またはバインダーを含むことができる。前記導電材は、導電性を付与するために使われるものであって、構成される電池において化学変化を引き起こさず、かつ電子伝導性を有する物質であればいずれのものも使用可能である。また、前記バインダーとしては、前記陰極活物質の粒子同士を互いに良好にくっつけ、また、前記陰極活物質を前記陰極集電体に良好にくっつける役割を果たす物質であれば、いずれのものも使用可能である。
【0078】
前記陰極部は、液体電解質をさらに含むものであり得る。
【0079】
前記液体電解質は、解離可能な塩および有機溶媒を含むものであり得る。
【0080】
ここで、前記有機溶媒は電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をする。例えば、前記有機溶媒は、エーテル(ether)系有機溶媒、カーボネート(carbonate)系有機溶媒、ニトリル(nitrile)系有機溶媒、およびこれらを含む群から選択される少なくとも一つ以上の物質であり得る。
【0081】
より具体的には、前記エーテル系有機溶媒の例としては、TEGDME(トリエチレングリコール-ジメチルエーテル;Tri−Ethylene Glycol−Di−Methyl Ether)などが挙げられ、前記カーボネート系有機溶媒の例としては、PC(炭酸プロピレン;Propylene Carbonate)、EMC(炭酸エチルメチル;Ethyl−Methylene Carbonate)、DMC(炭酸ジメチル;Di−Methylene Carbonate)、EC(炭酸エチレン;Ethylene Carbonate)などが挙げられ、前記ニトリル系有機溶媒の例としては、ACN(アセトニトリル;Acetonitrile)などが挙げられる。
【0082】
また、前記解離可能な塩は、前記有機溶媒に溶解して電池内で陽イオンの供給源として作用することによって基本的な二次電池の作動を可能にし、陽極と陰極の間の陽イオンの移動を促進する役割を果たす物質である。例えば、前記解離可能な塩は、ナトリウム化合物、リチウム化合物、アンモニウム化合物、およびこれらを含む群から選択される少なくとも一つ以上の物質であり得る。
【0083】
より具体的には、前記ナトリウム化合物の例としては、NaCF
3SO
3、NaPF
6、NaBF
4などが挙げられ、前記リチウム化合物の例としては、LiPF
6、LiBF
4、LIClO
4などが挙げられ、前記アンモニウム化合物の例としては、Et
4NBF
4、Et
4NPF
6などが挙げられる。
【0084】
前記陰極下部ケースおよび前記陰極上部ケースとしては、それぞれ、ステンレス金属(Steel Use Stainless、SUS)、アルミニウム(Al)、スチール(Steel)等の金属または非鉄金属材質のものを使うことができる。ここで、前記陰極下部ケースおよび前記陰極上部ケースは、直径が2〜10cmであるコインの形態であり得、その厚さは0.1〜2.0tであり得る。また、前記陰極上部ケースは、前述した通り、少なくとも一つ以上の開口部を含み、前記陰極上部ケースの開口部は、直径が0.5〜9cmであり得る。
【0085】
前述した通り、前記固体電解質の大きさは、前記陰極上部ケースの開口部の大きさより大きなものであり得る。これとは違い、前記固体電解質の大きさが前記開口部の大きさより小さいと、前記固体電解質は、前記陰極上部ケースに接合することができず、前記開口部を通じて離脱され得る。具体的には、前記陰極上部ケースに接合される固体電解質のそれぞれの直径は1〜10cmであり得、前述した通り、その形状は限定されない。
【0086】
前記陰極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材などの非鉄金属材質のものを使うことができる。ここで、前記陰極集電体は、直径が1〜9cmであるコインの形態であり得、その厚さは0.1〜2.0tであり得る。
【0087】
前記陽極部に関する説明は次の通りである。
【0088】
前記陽極部において、前記ナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液は、海水、塩水、およびこれらを含む群から選択されるものであり得る。
【0089】
特に、前記イオン含有溶液として海水を選択する場合、前記コイン形二次電池の設置場所は海となり、このため、海水が、前記第2ケースの開口部によって、前記第2ケースの外部から前記陽極部に流入することができる。この場合、大規模の貯蔵システムとして前記コイン形二次電池を設置するのに適しているため、諸費用を節減することができ、環境問題が比較的少なく誘発され得る。
【0090】
一方、前記陽極集電体は直径が1〜9cmであるコインの形態であり得、その厚さは0.1〜2.0tであり得る。また、前記陽極集電体としては、カーボンペーパー、炭素繊維、炭素布、カーボンフェルト、金属薄膜、またはこれらの組み合わせである物質を使うことができる。前記カーボンペーパーの場合、ナトリウム含有溶液内に含まれたその他の金属イオンの酸化/還元反応から発生し得る副産物を最小化することができる。
【0091】
また、前記陽極集電体上に前記触媒電極が位置する場合、反応性をより改善することができる。具体的には、前記陽極部は、前記陽極集電体上に位置する触媒電極をさらに含み、前記触媒電極は、金属酸化物、貴金属(noble metal)物質、炭素系物質、ペロブスカイト(perovskite)系物質、およびこれらの、を含む群から選択されるいずれか一つの物質を含むものであり得る。
【0092】
より具体的には、前記金属酸化物の例としては、RuO
2、MnO
2、Co
3O
4、TiO
2、LiCoO
2、Ni(OH)
2などが挙げられ、前記貴金属物質の例としては、Pt、Ag、Auなどが挙げられ、前記炭素系触媒の例としては、酸化グラフェン(Graphene Oxide)、カーボンペーパー(Carbon Paper)、カーボンフェルト(Carbon Felt)、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube)、グラフェン(Graphene)、カーボンナノワイヤー(Carbon Nano Wire)などが挙げられ、前記ペロブスカイト系物質はABOxの化学式で表示される酸化物であり得る。
【0093】
以下、前記コイン形二次電池に含まれた残りの構成要素を説明し、以下で説明されない構成要素は一般に当業界で知られている通りである。
【0094】
前記第1ケースおよび前記第2ケースではそれぞれ、プラスチック(Plastic)、アクリル(Acryl)、PEEK(ポリエーテル-エーテルケトン;Polyether ether ketone)、テフロン(登録商標)(Teflon)、エンジニアリングプラスチック(Engineering Plastic)、PC(ポリカーボネート)等の材質のものを使うことができる。この時、前記第1ケースおよび前記第2ケースはそれぞれ、横および縦がそれぞれ4〜30cmの四角形の形態であり得、その厚さは0.5〜5.0tであり得る。
【0095】
また、前記第2ケースは、前述した通り少なくとも一つ以上の開口部を含み、前記第2ケース内の開口部のそれぞれの直径は1〜9cmであり得、その形状は限定されない。
【0096】
これと関連して、前記コイン形二次電池は、前記第1ケースおよび前記第2ケースを接合させる、接合部;をさらに含むことができる。前記接合部は、プラスチック(Plastic)、アクリル(Acryl)、PEEK(ポリエーテル-エーテルケトン;Polyether ether ketone)、テフロン(登録商標)(Teflon)、エンジニアリングプラスチック(Engineering Plastic)、PC(ポリカーボネート)等の材質のものを使うことができる。
【0097】
前記分離膜は、ポリマー(Polymer)、ペーパー(paper)、セルロース(cellulose)等の材質のものを使うことができ、直径が1〜9cmであるコインの形態であり得、その厚さは0.1〜2.0tであり得る。
【0098】
一方、前記陰極部は、プレートスペーサー(plate spacer)をさらに含むことができ、前記プレートスペーサーは前記陰極部で陰極活物質を固定させ、かつ前記陰極集電体および前記陰極下部ケースを連結させる役割をする。この時、前記プレートスペーサーは、直径が1〜9cmであるコインの形態であり得、その厚さは0.1〜2.0tであり得る。
【0099】
本発明の他の一実施例では、陰極上部ケース(case)に少なくとも一つ以上の固体電解質を接合させる段階;陰極集電体上に陰極活物質層を形成させる段階;陰極下部ケース(case)上に、陰極集電体と、前記固体電解質が接合された陰極上部ケースを順に積層させて、陰極部として得る段階;第1ケース上に、前記陰極部、分離膜、陽極集電体、および、少なくとも一つ以上の開口部を含む第2ケースを、順に積層させる段階;前記第1ケースおよび前記第2ケースを接合させる段階;および前記第2ケースの外部から内部にナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液を流入させる段階;を含むコイン形二次電池の製造方法であり、前記陰極上部ケース(case)に一つ以上の固体電解質を接合させる段階;にて、前記陰極上部ケース内に少なくとも一つ以上の開口部が位置するのであり、前記陰極上部ケース内の開口部にそれぞれ前記固体電解質を接合させ、前記第2ケースの外部から前記陽極部にナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液を流入させる段階;にて、前記第2ケースの開口部により、前記第2ケースの外部から前記陽極部に、前記イオン含有溶液を流入させるのである、コイン形二次電池の製造方法を提供する。
【0100】
この製造方法は、前記固体電解質が接合された陰極上部ケースを製造した後、これを含む陰極部を製造し、これと独立して前記各構成要素を準備して前記の順に積層させた後、前記第2ケースの外部から前記陽極部にイオン含有溶液を流入させるという単純な方法によって、前述したコイン形二次電池の商業化および大量生産に有利なものである製造方法に該当する。
【0101】
特に、前記コイン形二次電池を大規模の貯蔵システムとして具現するために、その適した設置場所としては、前記イオン含有溶液の代表的ものである、海水が豊富な海を選択することができ、このため、諸費用が減少し、環境問題が比較的少なく誘発され得る。
【0102】
また、前記各構成要素および前記製造方法によって最終的に得られるコイン形二次電池は、前述の通りであり、前記製造方法は、後述される実施例を通して、より明確に理解され得る。
【0103】
以下では、前記コイン形二次電池を製造する各段階について詳しく説明する。
【0104】
まず、前記陰極部を製造する段階は、前述した通り、陰極上部ケース(case)に、少なくとも一つ以上の固体電解質を接合させる段階;陰極集電体上に陰極活物質層を形成させる段階;及び、陰極下部ケース(case)上に、陰極集電体と、前記固体電解質が接合された陰極上部ケースを順に積層させて、陰極部として得る段階;を含む。
【0105】
具体的には、前記陰極上部ケース(case)に少なくとも一つ以上の固体電解質を接合させる段階;にて、前記陰極上部ケース内に少なくとも一つ以上の開口部が位置し、前記陰極上部ケース内の開口部にそれぞれ前記固体電解質を接合させるのであり得る。
【0106】
より具体的には、前記陰極上部ケース(case)に少なくとも一つ以上の固体電解質を接合させる段階;では、接着剤を使って前記固体電解質を前記陰極上部ケースと接合させるのであり得る。
【0107】
前記接合は熱処理によって遂行され得るのであり、前記熱処理が遂行される温度範囲は150〜200℃であり得、前記熱処理の遂行時間は1〜30分であり得る。
【0108】
ここで、前記接着剤は、シリコーン(Si)系物質、エポキシ系物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるいずれか一つ以上の物質を含むものであり得る。
【0109】
前記固体電解質は、ナシコン(Na superionic conductor、NASICON)、リシコン(Li superionic conductor、LISICON)、非晶質イオン伝導性物質、セラミックイオン伝導性物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるものであり得る。
【0110】
なお、前記接着剤によって前記陰極上部ケースに前記固体電解質を接合させる形態は、前述した通りである。
【0111】
前記陰極集電体の表面には、前述した陰極活物質層を形成することができ、前記陰極活物質層は陰極活物質、バインダー、および導電材を溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。これと電極製造方法は当該分野に広く知られている内容であるため、本明細書では詳細な説明を省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使うことができるがこれに限定されるものではない。
【0112】
前述した通り、陰極部を製造した後、前記第1ケース上に、前記陰極部、分離膜、陽極集電体、および少なくとも一つ以上の開口部を含む第2ケースを、順に積層させる段階;を遂行できる。
【0113】
この段階を遂行した結果、前記順序の積層体を得ることができるのであれば、前記段階を遂行する中での、前記それぞれの構成要素を積層させる細部の順序は限定されない。
【0114】
例えば、後述される実施例の通り、前記製造された陰極部を前記第1ケース上に位置させた後、前記第1ケース上に位置する陰極部上に前記分離膜を位置させた後、触媒電極を位置させ、その上に前記陽極集電体を位置させた後、前記第2ケースを位置させるのであり得るが、必ずしも、このような細部の順序に限定されるものではない。
【0115】
前記第1ケースおよび前記第2ケースを接合させる段階;を通じて接合された第1ケースおよび前記第2ケースによって、前記陰極部および前記陽極部は密封され得る。この際、前述した通り、前記接合は、前記接合部によって遂行され得る。
【0116】
前記第2ケースの外部から内部に、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、およびこれらの組み合わせを含むイオン含有溶液を流入させる段階;は、前記第2ケースの開口部により、前記第2ケースの外部から前記陽極部に前記イオン含有溶液を流入させるのであるが、これは、前記第1ケースと前記第2ケースを接合させた後で、前記イオン含有溶液に浸すということであり得る。このことにより、前記接合された第1ケースおよび第2ケースの外部には、前記イオン含有溶液が存在するのであり、前記第2ケースの外部から、前記イオン含有溶液が前記陽極部に流入することができる。
【0117】
以下本発明の好ましい実施例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0119】
図3に図示されたコイン形二次電池を製造するために、陰極部を製造した後、これを前記第1ケース上に位置させ、前記第1ケース上に位置する陰極部上に前記分離膜を位置させてから、その上に触媒電極を位置させ、その上に前記陽極集電体を位置させたのであり、この後、前記第2ケースを位置させる一連の工程を遂行した。以下、その具体的な工程を説明する。
【0121】
陰極部の製造工程は、以下のように、組み立てられた陰極上部ケース(Assembled Anode Upper Case)、および、組み立てられた陰極下部ケース(Assembled Anode Bottom Case)を、それぞれ製造した後、これらを相互に接合させる工程として遂行された。
【0122】
1)組み立てられた陰極下部ケース(Assembled Anode Bottom Case)の製造
【0123】
プレートスペーサー(Plate Spacer、直径:Φ19mm)の上に、陰極集電体(Current Collector、直径:Φ10mm)を溶接することで、溶接されたプレートスペーサー(Welded Plate Spacer)を製造した。前記溶接されたプレートスペーサー(Welded Plate Spacer)の上に、陰極活物質(Anode active Material)を固定させることで、組み立てられた陰極プレート(Assembled Anode Plate)を製造した。
【0124】
この際、前記陰極活物質はナトリウム金属を使い、前記溶接されたプレートスペーサー(Welded Plate Spacer)の上に圧着して固定させた。
【0125】
以後、陰極下部ケース(Bottom Case、直径:Φ20mm)の上にメタルフォームスペーサー(Metal Foam Spacer、横:4mm 縦:4mm)、前記組み立てられた陰極プレート(Assembled Anode Plate)および陰極分離膜(Separator、直径:Φ19mm)を順次載置した後、一定量の液体電解質(NaCF
3SO
3溶液)を注入して、組み立てられた下部ケース(Assembled Anode Bottom Case)を製作した。
【0126】
2)組み立てられた陰極上部ケース(Assembled Anode Upper Case)の製造
【0127】
これと独立して、開口部が形成された陰極上部ケース(Punched Anode Upper Case、直径:Φ20mm)に、シリコーン系接着剤を使って前記陰極上部ケースの開口部に固体電解質を接合させることで、組み立てられた陰極上部ケース(Assembled Anode Upper Case)を製作した。
【0128】
具体的には、前記陰極上部ケース内の開口部および前記固体電解質の個数はそれぞれ1個である。
【0129】
また、前記接合時、前記固体電解質の他面に、前記開口部が形成された陰極上部ケースを位置させ、180℃の熱を10分の間加えて、前記固体電解質を陰極上部ケースと接合させた。
【0131】
前記組み立てられた陰極下部ケース(Assembled Anode Bottom Case)および前記組み立てられた陰極上部ケース(Assembled Anode Upper Case)を互いに圧着固定して、陰極部(Anode Part)として完成した。この際、前記圧着固定には、クリンパー(Crimper)を利用した。
【0133】
前記完成された陰極部(Anode Part)をプラスチック材質の第1ケース(Plastic、横:4cm、縦:4cm)に固定させた。前記第1ケースに固定された陰極部上に、ポリマー(Polymer)材質の分離膜(Separator、直径:Φ19mm)および炭素系触媒電極(Catalyst Electrode)を順次位置させた後、その上にプラスチック材質の第2ケース(横:4cm、縦:4cm)で覆った。
【0134】
具体的には、前記第2ケースには、3個の開口部が形成されているものを使った。
【0135】
以後、プラスチック材質の固定バー(Plastic Fix Bar)を接合部として利用して、前記第1ケースおよび前記第2ケースを接合させた後、海水(購入先:Sigma−Aldrich)に浸して、前記第2ケースの開口部を通じて内部に海水が流入するようにして、コイン形海水二次電池を完成した。
【0136】
評価例1:コイン形二次電池の電気化学的特性の評価
【0137】
実施例1のコイン形二次電池に対して、電気化学的評価を5回実施した。
【0138】
具体的には、それぞれの評価の番号(何回目か)による評価結果は、下記の表1の通りである。
【0140】
具体的には、海水内で実施例1のコイン形二次電池の充電および放電を進めた結果、表1および
図6に示した通り、開放回路電圧(OCV)、充電時電圧(Charge Voltage)、放電時電圧(Discharge Voltage)、および抵抗がそれぞれ測定され、このような測定値に基づいてクーロン効率が計算された。これによって、実施例1のコイン形二次電池は90%以上の優れたクーロン効率を発現するということがわかる。
【0141】
一方、前記コイン形二次電池を充放電させるための充放電装置について説明すると、次の通りである。
【0142】
図7には、本実施例に係るコイン形二次電池充放電装置の外形を図示している。
図8には前記充放電装置の構成を分解して図示しており、
図9には、前記充放電装置についての結合された状態の断面構造を図示している。
【0143】
以下、
図7〜
図9を参照して、前記コイン形二次電池充放電装置の各構成要素を説明する。
【0144】
本実施例の充放電装置100は、ナトリウムイオンまたは水を含む溶液が満たされる容器110と、前記容器110に設置され、内部にはコイン形二次電池200が装着されて、コイン形二次電池200の陽極部210を容器110の内部の溶液に接するようにする治具部120とを含む。
【0145】
また、前記充放電装置100は、コイン形二次電池200に電流または抵抗体などの負荷を連結することができるように、治具部120に設置されて前記コイン形二次電池200の陰極部220と電気的に接続される陰極端子部、および、前記コイン形二次電池200の陽極部210と電気的に接続される陽極端子部を、さらに含むことができる。
【0146】
これによって、コイン形二次電池200の陽極部210を溶液に接触させて二次電池200に電流を印加したり、抵抗を連結することで、二次電池200を充放電させることができるようになる。ここで、コイン形二次電池200は、充放電が容易であるように、例えば第1ケースと第2ケースが除去された状態の電池であると理解することができる。
【0147】
前記溶液は、コイン形二次電池200の充電のために必要な、ナトリウムを含む溶液であって、例えば、海水であり得る。また、コイン形二次電池200の放電時には、溶液として、ナトリウムを含む溶液の他にも、水を含む水溶液であれば適用可能である。例えば、充電時に使われる海水を、そのまま放電時にも使うことができるのであり、別途に、水だけを溶液として使うことができる。
【0148】
前記容器110は、内部に溶液収容空間が形成され、上端は開放されて溶液を供給するか排出することができる。前記容器110の大きさや形態は多様に変形可能であり、特に限定されない。前記容器110は、海水を収容できるように、海水により腐食や変形がされない材質で構成され得る。
【0149】
容器110の一側面には治具部120との結合のためにホール(hole)が貫通形成される。これによって、治具部120が容器110のホールに結合して、コイン形二次電池200の陽極部210が、溶液に接するようになる。本実施例において、前記治具部120は、容器110のホールに着脱可能に結合される。したがって、海水が収容された容器110から、コイン形二次電池200が設置される治具部120を分離して、より簡便に二次電池200を治具部120に設置することができるようになる。容器110に対する治具部120の着脱構造については、後で、より詳しく説明する。
【0150】
前記治具部120は、コイン形二次電池200の陽極部210のみを、容器110の内部に収容された溶液に接触させる。
【0151】
このために、前記治具部120は、(i)容器110に設置され、容器110の内部を向いた前面にはコイン形二次電池200が置かれるための載置部132が形成されたケース130と、(ii)前記コイン形二次電池200の外周部を取り囲んで設置され、前記ケース130内にて、前記コイン形二次電池200の陰極部220とケース130の間をシーリングして、溶液が陰極部220に流入することを遮断するシーリング部材140と、(iii)前記ケース130の前面に結合して前記シーリング部材140を加圧密着させるものであり、前面には、コイン形二次電池200の陽極部210が露出するようにするための孔152が形成されたカバー部材150とを含む。
【0152】
これによって、ケース130とカバー部材150の間に密着するシーリング部材140により、コイン形二次電池200の陰極部220がケース130内でシーリングされ、陽極部210のみが、カバー部材150の孔152を通じて容器110の溶液に接しており、陰極部220へは溶液の流入が遮断される。
【0153】
前記ケース130は、コイン形二次電池200と同様に、円形の断面構造で構成され得る。前記ケース130の形態は、多様に変形可能であり、円形に限定されない。容器110の内部と接するケース130の前面の中央には、二次電池200が置かれるように凹部の形態の載置部132が形成される。そして、前面の外周部に沿って前記載置部132を囲むようにフランジ134が突出形成される。
【0154】
前記ケース130は、容器110に螺子結合方式で設置され得る。前記ケース130は、前面の外周部に沿って形成された円形のフランジ134の外周面に、雄螺子が形成されており、前記容器110の側面に形成されたホール(hole)は、内周面に雌螺子が形成された雌螺子ホール112をなしているのであり、前記ケース130のフランジ134が、雌螺子ホール112に螺子結合されて設置され得る。
【0155】
前記ケース130のフランジ134と、容器110の雌螺子ホール112との間を通じて溶液が流出することを防止できるように、前記ケース130は、フランジ134に、シーリングのためのリング部材114が設置されて、ケース130と容器110の間を密閉する構造であり得る。
【0156】
これによって、前記治具部120は、ケース130のフランジ134を容器110の雌螺子ホール112に螺子結合させて、容易に装着または分離させることができるようになる。
【0157】
前記治具部120は、容器110に装着され、内部に、充放電のためのコイン形二次電池200を収容する。コイン形二次電池200は、ケース130のフランジ134の内部に位置し、ケース130のフランジ134に結合されるカバー部材150により固定される。
【0158】
前記カバー部材150は円形の断面構造からなる。カバー部材150の内部は、シーリング部材140が差し込まれ得るようになっており、前面の中央部には孔152が貫通形成された構造となっている。
【0159】
前記カバー部材150は、前記ケース130のフランジ134に螺子結合方式で装着され得る。前記カバー部材150は、先端の外周面に雄螺子が形成され、前記ケース130のフランジ134の内周面には雌螺子が形成されており、ケース130のフランジ134に螺子結合されて着脱可能に設置される構造であり得る。
【0160】
これによって、前記カバー部材150は、ケース130のフランジ134に螺子結合されて、容易にケース130に装着または分離することができるようになる。
【0161】
前記カバー部材150には、ケース130に対してカバー部材150を回転させるための取っ手154が突出形成される。前記取っ手154は、カバー部材150の中心軸を通って長く延びた構造であって、カバー部材150の中心部に形成された孔152を横切って形成される。前記取っ手154は、カバー部材150に形成された孔152の直径よりも、十分に小さい厚さで形成されるため、穴と干渉しない。これによって、取っ手154が孔152を横切って形成されても、孔152は、取っ手154によって塞がることなく外部と連通する。
【0162】
前記シーリング部材140は、コイン形二次電池200の陽極部210が露出するように孔142が形成されたリング状をなし、内周面にはコイン形二次電池200の外周部に対応するように段付き加工がなされて、コイン形二次電池200の外周部を取り囲む構造になっている。本実施例において、前記シーリング部材140はシリコーン材質で形成され得る。
【0163】
図9に図示された通り、前記シーリング部材140は、ケース130のフランジ134の内部で、カバー部材150により加圧されて二次電池200の陰極部220をシーリングする。前記カバー部材150をケース130に装着すると、コイン形二次電池200を囲んでいるシーリング部材140が、ケース130とカバー部材150の間にて密着されることで、コイン形二次電池200の陰極部220と、ケース130との間がシーリング部材140によってシーリングされる。したがって、カバー部材150の孔152を通じて二次電池200側に流入する溶液が、シーリング部材140により遮断されて、二次電池200の陰極部220へと移動しない。
【0164】
前記治具部120内に装着されたコイン形二次電池200の充放電のために、前記コイン形二次電池200に電流または負荷を連結しなければならない。このため、前記治具部120には、治具部120内に位置したコイン形二次電池200の陽極部210及び陰極部220との電気的連結のための陽極端子部及び陰極端子部が備えられる。
【0165】
前記陰極端子部は、ケース130の内部へと貫通するように設置されて、前記コイン形二次電池200の陰極部220と電気的に接続される、陰極ロッド160を含むことができる。
【0166】
前記陰極ロッド160は、長く延びたバーの形態をなしており、ケース130の外部から、ケース130の中心を貫通して、ケース130の内部へと延びる。このため、ケース130の外部から、陰極ロッド160を通じて、二次電池200の陰極部220に電気的に接続することができる。
【0167】
前記陰極端子部は、前記ケース130の載置部132に設置されて、コイン形二次電池200の陰極部220に接する電極板162をさらに含み、前記陰極ロッド160は、電極板162を通じて、コイン形二次電池200の陰極部220と電気的に接続するという構造であり得る。
【0168】
前記電極板162は円形の板の構造物であって、コイン形二次電池200の陰極部220が結合するように溝が形成された構造となっている。前記ケース130の載置部132は電極板162の外形に対応する大きさで形成され得る。
【0169】
このため、コイン形二次電池200の陰極部220は、電極板162を通じて陰極ロッド160と電気的に接続されており、ケース130の外部に延びた陰極ロッド160を通じて、二次電池200の陰極部220に電流または負荷を連結することができる。
【0170】
本実施例において、前記陰極端子部は、電極板162を二次電池200の陰極部220に加圧密着させる構造であり得る。
【0171】
このために、前記陰極端子部は、前記陰極ロッド160がボルトの形態に形成されて、前記ケース130に螺子結合された構造となっている。このため、陰極ロッド160を回転させてケース130に対して締め付けると、陰極ロッド160が、前記電極板162を加圧してコイン形二次電池200の陰極部220に密着させる。
【0172】
このように、陰極ロッド160を締め付けて電極板162を加圧することによって、ケース130の内部で、電極板162により加圧された二次電池200を、シーリング部材140にさらに密着させて、シーリング効果をより高めることができる。
【0173】
前記陽極端子部は、前記カバー部材150の内部へと貫通設置されて、前記コイン形二次電池200の陽極部210に電気的に接続される、陽極ロッド170を含むことができる。
【0174】
本実施例において、前記陽極ロッド170は、海水などの溶液に接触するため、海水に腐食されないチタンの材質で形成され得る。
【0175】
前記陽極ロッド170は、長く延びたバーの形態をなし、カバー部材150の外部から、カバー部材150に形成された取っ手154を貫通して、ケース130の内部へと延びる。このため、カバー部材150の外部から、陽極ロッド170を通じて、二次電池200の陽極部210に電気的に接続することができる。前記陽極ロッド170の外側の先端は、容器110の上側へと延びて、容器110に収容された溶液の上に露出するのであり得る。
【0176】
本実施例において、前記陽極端子部は、陽極ロッド170と、前記コイン形二次電池200の陽極部210との間に設置されて、陽極部210に接するカーボンフェルト172をさらに含むことができる。前記カーボンフェルト172は、シーリング部材140の中央孔142の直径に対応する直径に形成されて、前記孔に置かれて陽極部210に接触する。
【0177】
前記カーボンフェルト172は、コイン形二次電池200の陽極部210に接して陽極部210のカレントコレクター(current collector)の役割を遂行する。
【0178】
また、前記陽極端子部は、前記カーボンフェルト172をコイン形二次電池200の陽極部210に、より緊密に接触させ得るように、カーボンフェルト172を加圧密着させる構造となっている。このために、前記陽極ロッド170は、コイン形二次電池200の陽極部210に接する先端部が、コイルの形態に巻かれて、カバー部材150と陽極部210の間で弾性力を加えるコイルスプリング174をなす構造であり得る。前記コイルスプリング174の直径は、カーボンフェルト172を加圧できればよく、特に限定されない。
【0179】
このように、陽極ロッド170の内側の先端をなすコイルスプリング174は、カバー部材150の取っ手154に係止された状態で、カーボンフェルト172に弾性力を加えることによって、カーボンフェルト172を二次電池200の陽極部210に加圧密着させる。このため、陽極部210に対するカーボンフェルト172の接触が緊密になされて、集電効果を高めることができる。
【0180】
図10は、コイン形二次電池充放電装置のさらに他の実施例を図示している。
【0181】
本実施例の充放電装置100は、容器110内の溶液を循環させて酸素を供給する構造になっている。本実施例の充放電装置は、酸素の供給構造を除く他の構造は他の実施例とおなじであるため、以下の説明において、すでに説明された構成部に対しては同じ符号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0182】
図10に図示された通り、本実施例の充放電装置100は、容器110の溶液内に酸素を供給するための酸素供給部230をさらに含む。
【0183】
溶液内に酸素を供給することによって、コイン形二次電池に対する充放電装置の放電効率を高めることができる。
【0184】
前記酸素供給部230は、溶液が収容される容器110に連結されて溶液が排出される循環管233と、前記循環管233に連結されて溶液を循環させるポンプ232と、前記ポンプ232の排出側に連結され、容器の上部に延びてポンプ232を通じて排出される溶液を容器110の溶液の水面上に排出する吐出管234とを、含むことができる。
【0185】
前記容器の外側に、ポンプ232の設置のためのハウジング231が結合される。前記ハウジング231の内部に、ポンプ232、および、ポンプ232の駆動や流量調節のための構成が備えられ得る。また、前記ポンプ232の操作のために、前記ハウジング231の外側には、ポンプ232のオンオフスイッチや、流量調節のためのスイッチ235が設置され得る。
【0186】
前記ポンプ232の吸入側は、循環管233を介して、容器の内部と直接連結される。前記循環管233は、例えば、容器110の下部の側面に貫通設置されてポンプ232の吸入側に連結され得る。このため、容器110の内部に収容された溶液が循環管233を通じてポンプ232に流入する。
【0187】
前記ポンプ232の排出側は、吐出管234を介して容器の上部と連結される。容器110の上部に延びた吐出管234の先端は、容器内に収容された溶液と直接に接触しないように、溶液の水面から離隔して配置される。このため、ポンプ232の駆動により吐出管234に移送された溶液は、吐出管234の先端から排出されて、溶液の水面上に落ちてくる。
【0188】
この過程にて、吐出管234から落下する溶液と共に、空気の気泡が、容器内に収容された溶液の内部に流入して、溶液内に空気中の酸素が供給される。ポンプ232の駆動により連続的に溶液が循環して、空気が溶液に供給されて、空気中の酸素が溶液に持続的に供給される。
【0189】
このように、溶液内に持続的に酸素を供給することによって、放電効率をより高めることができる。
【0190】
すなわち、コイン形二次電池の放電メカニズムにおいては放電時には酸素(O
2)が必要であるが、本装置の場合、前記の通りに、溶液を循環させて空気中の酸素を溶液内に持続的に供給することによって、放電反応効率を最大化することができる。
【0191】
また、溶液を循環させて、容器の溶液の上部に落下し続けることによって、本実施例の装置を、波打つ実際の海水環境にできるだけ近い環境に模することができる。したがって、実際の海水の条件と類似の条件で、コイン形二次電池に対する充放電実験を容易に実施することができる。
【0192】
以下、本実施例に係る充放電装置を通じてのコイン形二次電池の充電および放電過程を説明する。
【0193】
本実施例の充放電装置100を通じて、コイン形二次電池200に対する充放電を容易に実施することができる。
【0194】
溶液が収容される容器110と別途に、二次電池200が装着される治具部120が分離されているため、容器110から治具部120を分離して、二次電池200を容易に装着することができる。
【0195】
治具部120に二次電池200を装着するために、まず、コイン形二次電池200にシーリング部材140を設置する。シーリング部材140は、リング状からなり、コイン形二次電池200の外周面を囲むようにして結合される。シーリング部材140の開放された両面を通じては、二次電池200の陽極部210及び陰極部220が、それぞれ露出される。
【0196】
二次電池200が結合されたシーリング部材140は、ケース130の据え付け凹部に置かれる。前記ケース130の据え付け凹部には二次電池200の陰極部220が差し込まれて接する電極板162が装着されており、二次電池200の陰極部220は電極板162と結合してケース130内に置かれる。
【0197】
この状態で、二次電池200の陽極部210にカーボンフェルト172を位置させ、ケース130にカバー部材150を結合する。カバー部材150がケース130に完全に結合すると、カバー部材150によりシーリング部材140が加圧されることで、カバー部材150と、二次電池200およびケース130との間が、完全にシーリング部材140により密着されて、二次電池200の陰極部220とケース130との間がシーリングされる。このため、容器110の内部の溶液が、治具部120に流入した際、溶液がシーリング部材140により塞がっていて、二次電池200の陰極部220へと移動することができなくなる。
【0198】
ここで、前記カバー部材150は、コイルスプリング174が形成された陽極ロッド170が装着された状態で、ケース130にカバー部材150が結合すると、コイルスプリング174がカーボンフェルト172を加圧し、カーボンフェルト172は二次電池の陽極部210に密着する。
【0199】
この状態で、ケース130に装着されている陰極ロッド160を一方向に回転させて締め付けると、陰極ロッド160がケース130の内部に進入しながら電極板162を押すようになる。このため、電極板162が二次電池200を加圧して、電極板162とカーボンフェルト172による集電効率を最大化することができる。また、電極板162が二次電池200を加圧することによって、シーリング部材140の密着力が大きくなるので、溶液に対する陰極部220のシーリング効果をより高めることができる。
【0200】
治具部120に対する組立が完了すると、治具部120を容器110に結合する。容器110に形成された雌螺子ホールに、治具部120を螺子結合させると、治具部120のカバー部材150は、容器110の内部に位置するようになる。この状態で容器110の内部に溶液を供給する。このため、溶液は、カバー部材150に形成された孔152を通じて治具部120の内部に流入し、治具部120に設置された二次電池200の陽極部210に、溶液が接触する。二次電池200の陰極部220は陽極部210の反対側に配置され、シーリング部材140によりシーリングされているため、溶液と接触しない。
【0201】
充電の場合、溶液としてナトリウムが含まれた溶液、例えば海水を、容器110に供給する。そして、治具部120に装着された陰極ロッド160と陽極ロッド170に電流を印加することによって、コイン形二次電池200を充電することができる。
【0202】
陰極ロッド160と陽極ロッド170に電流を印加すると、溶液に含まれたナトリウムイオンが、カーボンフェルト172を通じて二次電池200の陽極部210に移動する。これによって、コイン形二次電池200の充電が行われる。
【0203】
放電の場合、溶液として海水をそのまま使うか、別途に水を容器110内に供給することができる。容器110内に海水などの溶液が満たされた状態で、治具部120に装着された陰極ロッド160と陽極ロッド170に負荷をかけると、二次電池200の陽極部210から、陽極部210に接している溶液にナトリウムイオンが移動して放電がなされる。
【0204】
放電過程において、必要に応じてポンプ232の駆動を通じて容器110内の海水を循環させて、溶液内に酸素を供給することによって、放電効率をより高めることができる。
【0205】
このように、本実施例の充放電装置100を通じて、海水などの溶液を利用して、コイン形二次電池200を容易に充電または放電させることができる。
【0206】
本発明は前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態で製造され得、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施され得ることが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり、限定的ではないものと理解されるべきである。