(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1A】ラマ405及び418についての免疫計画及びサンプル調製。(A、B)免疫計画の概略図及びP2X7 cDNA発現ベクター。ラマを、DNAプライム>タンパク質追加免疫戦略を用いて免疫した(Koch-Nolte et al., 2007 FASEB J. 21, 3490-3498)。4弾道DNA免疫後、動物を、mP2X7及びhP2X7を安定的にトランスフェクトしたHEK細胞及びビーズ上に吸着したmP2X7で追加免疫した。mP2X7及びhP2X7のcDNAコンストラクトのカクテルを、1μm金粒子上に吸着させた。ラマは、1免疫当たり1μgのDNA/mg金を各々用いた12ショット、mP2X7を安定的に発現するHEK細胞(2×10
7個、1mM ATPを用いた15分間にわたる前処理)又はhP2X7を安定的に発現するHEK細胞(3×10
7個)を用いた追加免疫、ならびにAminoLinkアガロースビーズ(Pierce)上に固定化されたHANO43及びHANO44(5μg/50μlビーズ)を用いて免疫沈降したマウスP2X7を用いた最終追加免疫を受けた。ファージライブラリーを、免疫の各々の段階(PBL1−6)の終了時に収集された血液サンプルから生成した。
【
図1B】ラマ405及び418についての免疫計画及びサンプル調製。(A、B)免疫計画の概略図及びP2X7 cDNA発現ベクター。ラマを、DNAプライム>タンパク質追加免疫戦略を用いて免疫化した(Koch-Nolte et al., 2007 FASEB J. 21, 3490-3498)。4弾道DNA免疫後、動物を、mP2X7及びhP2X7を安定的にトランスフェクトしたHEK細胞及びビーズ上に吸着したmP2X7で追加免疫した。mP2X7及びhP2X7についてのcDNAコンストラクトのカクテルを、1μm金粒子上に吸着させた。ラマは、1免疫当たり1μgのDNA/mg金を各々用いた12ショット、mP2X7を安定的に発現するHEK細胞(2×10
7個、1mM ATPを用いた15分間にわたる前処理)又はhP2X7を安定的に発現するHEK細胞(3×10
7個)を用いた追加免疫、ならびにAminoLinkアガロースビーズ(Pierce)上に固定化されたHANO43及びHANO44(5μg/50μlビーズ)を用いて免疫沈降したマウスP2X7を用いた最終追加免疫を受けた。ファージライブラリーを、免疫の各々の段階(PBL1−6)の終了時に収集された血液サンプルから生成した。
【
図1C】ラマ405及び418についての免疫化計画及びサンプル調製。(C)Alexa647結合mAbs HANO44(抗mP2X7)(Moller et al.2007 Purinergic Signalling DOI 10.1007/s11302-007-9084-9)及びL4(抗hP2X7)(Buell et al.1998 Blood, 92 pp 3521-3528)による免疫のために使用した安定的にトランスフェクトされたHEK細胞上でのP2X7発現レベルのFACS分析。同じ抗体を用いて染色した非トランスフェクト細胞を、コントロールとして使用した(灰色ヒストグラム)。
【
図1D】ラマ405及び418についての免疫化計画及びサンプル調製。(D)免疫のために使用されるビーズに結合した組換えmP2X7のSDS−PAGE分析(IP、レーン4)。mP2X7(80kd、赤色矢印)を、アガロースビーズ(アミノ連結、Pierce)上に固定化したmAb HANO44を使用し、mP2X7を用いて安定的にトランスフェクトしたHEK細胞のライセート(ライセート、レーン1)から免疫沈降した(マトリクス、レーン5、ビーズだけを用いたコントロールIP)。
【
図2A】P2X7結合についての選択されたNbのFACS分析。第1(A)及び第2(B)選択からのNbを用いた粗ペリプラズマ(periplasma)ライセートを、FITC結合抗myc抗体とプレインキュベートし、非トランスフェクトHEK細胞及びHEK_hP2X7細胞の混合物に加えた。細胞を洗浄し、データをフローサイトメトリー(FACS Calibur)により収集した。陽性クローンが二峰性染色を示すのに対し(wt細胞からのP2X7陽性細胞の描写)、陰性クローンは単一ピークを示す。灰色ヒストグラムは、非染色コントロール細胞を示す。
【
図2B】P2X7結合についての選択されたNbのFACS分析。第1(A)及び第2(B)選択からのNbを用いた粗ペリプラズマ(periplasma)ライセートを、FITC結合抗myc抗体を用いてプレインキュベートし、非トランスフェクトHEK細胞及びHEK_hP2X7細胞の混合物に加えた。細胞を洗浄し、データをフローサイトメトリー(FACS Calibur)により収集した。陽性クローンが二峰性染色を示すのに対し(wt細胞からのP2X7陽性細胞の描写)、陰性クローンは単一ピークを示す。灰色ヒストグラムは、非染色コントロール細胞を示す。
【
図3】抗hP2X7 Nbの特異性のFACS分析。HEK細胞を、GFP及びmP2X7、rP2X7、又はhP2X7のいずれかについての発現コンストラクトを用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、細胞を、穏やかなトリプシン処理により回収し、Nb−Fc融合タンパク質又はmAb L4とインキュベートした(上部に示す通り)。結合抗体を、Alexa647結合抗マウスIgGを用いて検出した。コントロールのために、非トランスフェクトHEK細胞(wt)を、同じ染色手順に供した。
【
図4】抗hP2X7 Nbの交差遮断分析。hP2X7を用いて安定的にトランスフェクトした5×10
5個のHEK細胞を、3μgのそれぞれの非結合抗体を用いて、95μlの完全DMEM中で、15分間にわたり室温でインキュベートした。洗浄を伴わず、1μl(〜250ng)のAlexa Fluor 647結合1c113−Fc、3c23−Fc又はmAb L4を加え、インキュベーションを4℃で20分間にわたり継続した。細胞を洗浄し、フローサイトメトリー(FACS Calibur、BD)により分析した。MFI、平均蛍光強度。染色のために使用したNb−Fc又はmAbのAlexa 647結合体を、パネルの下に示し、遮断のために使用したNb−Fc又はmAbを、右上に示す。(賦形剤=遮断Abを伴わない培地)。
【
図5A】hP2X7特異的Nb1c113−Fc及び3c23−Fcの組み合わせを用いた、初代白血球上のP2X7の改善された染色。(A)単一ドナーからの100μlの血液の一定分量を、1c113−Fc及び3c23−Fcの各々3μgの組み合わせとプレインキュベートした(「遮断」)。並列した一定分量を、3μgの1067−Fcだけとインキュベートした(「非遮断」)。室温での30分間のインキュベーション後、結合抗体のマスターミックスを加えた:1c113−Fc Alexa647(〜250ng);3c23−Fc Alexa647(〜250ng);及び抗CD4 Pacific Blue。細胞を、氷上で30分間にわたり、抗体染色のためにインキュベートした。赤血球を、2mlの1×BD溶解溶液を用いた10分間の室温でのインキュベートにより溶解した。細胞を、1回、3mlの完全RPMI 5% FCSを用いて洗浄し、フローサイトメトリー(FACS CantoII、BD)により分析した。リンパ球を、低前方散乱(FSC)対側方散乱(SSC)に基づいてゲートした(矢印)。黒色の数字は、それぞれの象限における細胞のパーセンテージを示す。左右のMFI値は、それぞれ、CD4
−及びCD4
+リンパ球の平均蛍光強度を示す。
【
図5B】hP2X7特異的Nb1c113−Fc及び3c23−Fcの組み合わせを用いた、初代白血球上のP2X7の改善された染色。(B)3人の異なるドナーからのPBLのFACS分析を、追加の抗CD8 Alexa488染色mAbを用いて、(A)における通りに実施した。顆粒球、単球、及びリンパ球のゲーティングは、FSC及びSSCに基づいた(示す通り)。CD4
+T細胞、CD8
+T細胞、及びCD4
−/CD8
−リンパ球のゲーティングは、CD4及びCD8の細胞表面染色に基づいた。P2X7の発現を連結表現で示す。非染色遮断及び非遮断Nb−Fcを用いたプレインキュベーションは、パネルの下に、それぞれ(+)及び(−)により示す。
【
図6A】1c81及び3c23のNbは、トランスフェクトHEK細胞におけるCD62LのATP誘導性切断放出を遮断する。(A)HEK細胞を、CD62LだけについてのcDNAコンストラクトを用いてトランスフェクトし、又はCD62L及びhP2X7についてのコンストラクトを用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を回収し、CD62Lの切断放出を、細胞を、60分間にわたり、4mM ATPを用いて、完全DMEM培地中で、37℃でインキュベートすることにより誘導した。
【
図6B】1c81及び3c23のNbは、トランスフェクトHEK細胞におけるCD62LのATP誘導性切断放出を遮断する。(B)ATP用量応答アッセイにおいて、P2X7及びCD62L同時トランスフェクト細胞を、0.25、1、2、又は4mM ATPを用いて、60分間にわたり、37℃でインキュベートした。一定分量の細胞を、2μgのNb−Fc融合タンパク質1c81−Fcもしくは3c23−Fcを用いて、又はコントロールNb−Fc(抗hCD38 1067−Fc)を用いて、15分間にわたり、室温で、2mM又は4mM ATPを用いた60分間のインキュベーションに先立ち、プレインキュベートした。細胞を、150μlの完全培地を用いて1回洗浄し、30分間にわたり4℃で染色し、CD62L(MEL−14 PE)及びP2X7(L4 AF647)発現を検出した。さらなる洗浄後、細胞をフローサイトメトリー(FACS Calibur、BD)により分析した。
【
図7】3c23及び1c81のNbは、トランスフェクトHEK細胞におけるCD62LのATP誘導性切断放出を遮断する。HEK細胞を、GFP、CD62L、及びhP2X7についてのcDNAコンストラクトを用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を回収し、15分間にわたり室温で、1:3希釈工程において滴定した、示したNbを伴う80μlのDMEM培地中でプレインキュベートした。最高及び最低Nb濃度は、2.8μg/ml及び4ng/mlであった。ATPを最終濃度4mMまで加えた。細胞を60分間にわたり37℃でインキュベートし、次に、フローサイトメトリー前にCD62Lについて染色した。CD62L細胞表面染色についての平均蛍光強度(MFI)を、GFP+細胞上でのゲーティング後に算出した。IC
50値を、半最大のCD62L MFIで算出した(赤色点線でマーク)(表3を参照のこと)。
【
図8A】ナノボディ1c81及び3c23は、RPMI8226細胞によるホスファチジルセリンのATP誘導性外在化を防止する。(A)RPMI8226細胞上でのP2X7発現を、Alexa647結合1c113−Fc及び3c23−Fcのカクテルを用いて2×10
5個細胞を染色することにより検出した(
図5中の通り)。灰色ヒストグラム=過剰の非結合1c113−Fc及び3c23−Fcを用いてプレインキュベートした細胞、オープンヒストグラム=過剰のコントロール1067−Fcを用いてプレインキュベートした細胞。
【
図8B】ナノボディ1c81及び3c23は、RPMI8226細胞によるホスファチジルセリンのATP誘導性外在化を防止する。(B)細胞を、APC結合アネキシンVを用いたPSについての染色前に、示された濃度のATPを用いて、60分間にわたり37℃でインキュベートした。
【
図8C】ナノボディ1c81及び3c23は、RPMI8226細胞によるホスファチジルセリンのATP誘導性外在化を防止する。(C)RPMI 8226細胞を、0.5μgの1067−Fc、1c113−Fc、1c81−Fc、3c23−Fc、又はmAb L4を用いて、15分間にわたり、室温で、最終濃度0(コントロール)又は4mMまでのATPの添加前に、プレインキュベートした。細胞を、37℃で60分間にわたり、さらにインキュベートし、APC結合アネキシンVを用いた染色に先立ち、アネキシンV染色緩衝液を用いて1回洗浄した。細胞を、フローサイトメトリー(FACS Canto II、BD)により分析した。
【
図9】Nb 1c81及び3c23は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死を防止する。RPMI8226細胞(150μl培地中の5×10
5個の細胞)を、900ngのそれぞれのFc融合タンパク質又はmAb L4を用いて、10分間にわたり室温でプレインキュベートした。150μl ATPの4mMストックを、また、最終ATP濃度2mM(1:2希釈)及び最終抗体濃度3μg/mlまで加えた。細胞を、37℃で60分間又は24時間にわたりインキュベートし、Annexin V染色緩衝液中で1回洗浄し、APC結合Annexin Vを用いたホスファチジルセリンの提示及びヨウ化プロピジウムを用いた細胞死について染色した。データ収集は、フローサイトメトリー(FACS CantoII、BD)により行った。
【
図10】NBS1c81及び3c23は、PSのATP誘導性外在化及びヒトT細胞によるCD62Lの切断放出を遮断する。3人のドナーからの全血液の100μlの一定分量を、0.5μgの1067−Fc、1c113−Fc、1c81−Fc、3c23−Fc又は1μgのmAb L4を用いて、30分間にわたり、室温で、100μl培地(非処理コントロール)又は完全培地中の8mM ATPストック溶液の添加前に、プレインキュベートした。細胞を、37℃で、30分間にわたりインキュベートし、1回、アネキシンV染色緩衝液を用いて洗浄し、抗CD62L FITC、アネキシンV−APC、抗CD4 APC/Cy7、及び抗CD8 Pacific Blueのマスターミックスを用いて、60分間にわたり、室温で染色した。赤血球を、2mlの1×BD溶解溶液中での10分間のインキュベーションにより溶解した。細胞を、1.5mlのアネキシンV染色緩衝液を用いて1回洗浄し、フローサイトメトリー(FACS CantoII、BD)により分析した。CD4
+及びCD8
+T細胞を、
図5における通りに、低FSC及びSSC、ならびにCD4及びCD8についての染色に基づき、順次、ゲートした。血液サンプルは、
図5において分析されたドナーと同じドナーからであった。
【
図11A】全身的に注射されたHLE−NbによるP2X7のインビボ遮断/増強の動態分析。(A)脾細胞及び肝臓細胞を、半減期延長Nb(P2X7及びアルブミンについて二種特異的)13A7−13A7−Alb8(20μg)、14D5−14D5−Alb8(100μg)、コントロールNb(100μg)の静脈内注射後2時間及び24時間に調製した。細胞を、CD3、CD4、CD25、及びNK1.1に対する抗体を用いて同時染色し、フローサイトメトリーにより分析した。Tregs(CD4
+細胞のパーセンテージ)の及びiNKT細胞(CD3
+細胞のパーセンテージ)の頻度を、FlowJoソフトウェアを用いて算出した。**P<0.01、***P<0.001(両側スチューデントt検定)。
【
図11B】全身的に注射されたHLE−NbによるP2X7のインビボ遮断/増強の動態分析。(B)CD27の切断放出を、25μM NAD
+、又は溶媒(sol)を用いたエクスビボの細胞の処理に続く、抗CD27を用いた共染色によりモニターした(脾臓:CD4
+細胞上でゲート;肝臓:CD3
+細胞上でゲート)。
【
図11C】全身的に注射されたHLE−NbによるP2X7のインビボ遮断/増強の動態分析。(C)細胞を、半減期延長Nb 13A7−13A7−Alb8、8G11−8G11−Alb8、コントロールNb(200μg静脈内投与)の注射後2時間目に調製し、(a、b)における通りに染色した。ホスファチジルセリンの外在化を、250μM ATP、25μM NAD
+、又は溶媒(sol)を用いたエクスビボの細胞の処理に続く、アネキシンVを用いた共染色によりモニターした(脾臓:CD4
+細胞上でゲート;肝臓:CD3
+細胞上でゲート)。
【
図12A】Nb 13A7の全身投与は、抗体誘導糸球体腎炎における疾患パラメーターを軽減し、Nb 14D5のそれは、強化する。抗体誘導腎炎のモデルにおける処置の時間経過。6週齢のC57BL6マウスの群(n=6)を、半減期延長Nb 13A7−13A7−Alb8、14D5−14D5−Alb8、又はコントロールNb(50μg)を、抗有足細胞(AP)又は免疫前(PI)血清の注射前2時間目に静脈内注射した。マウスは、Nb(25μg)の追加注射を3日毎に受けた。最終Nb注射後3日目に、マウスを屠殺し、腎臓及び血清を、さらなる分析に供した。(A)尿中アルブミンをELISAにより定量化し、クレアチニンレベルを自動測定により決定した。
【
図12B】Nb 13A7の全身投与は、抗体誘導糸球体腎炎における疾患パラメーターを軽減し、Nb 14D5のそれは、強化する。抗体誘導腎炎のモデルにおける処置の時間経過。6週齢のC57BL6マウスの群(n=6)を、半減期延長Nb 13A7−13A7−Alb8、14D5−14D5−Alb8、又はコントロールNb(50μg)を、抗有足細胞(AP)又は免疫前(PI)血清の注射前2時間目に静脈内注射した。マウスは、Nb(25μg)の追加注射を3日毎に受けた。最終Nb注射後3日目に、マウスを屠殺し、腎臓及び血清を、さらなる分析に供した。(B)屠殺の日、血液尿素窒素、血清トリグリセリド、及び血清コレステロールレベルを自動測定により決定した;血清中IL−6及び尿中MCP−1をELISAにより定量化した。有意性は、マンホイットニーU検定を用いて評価した。
【
図12C】Nb 13A7の全身投与は、抗体誘導糸球体腎炎における疾患パラメーターを軽減し、Nb 14D5のそれは、強化する。抗体誘導腎炎のモデルにおける処置の時間経過。6週齢のC57BL6マウスの群(n=6)を、半減期延長Nb 13A7−13A7−Alb8、14D5−14D5−Alb8、又はコントロールNb(50μg)を、抗有足細胞(AP)又は免疫前(PI)血清の注射前2時間目に静脈内注射した。マウスは、Nb(25μg)の追加注射を3日毎に受けた。最終Nb注射後3日目に、マウスを屠殺し、腎臓及び血清を、さらなる分析に供した。(C)脾細胞を、NAD
+の非存在(PBS)又は存在において、30分間にわたりインキュベートし、次に、CD4、CD25、及びCD27について、FACS分析前に染色した。ゲーティングを、CD4
+CD25
+Treg上で実施した。P2X7アゴニストNb14D5を用いて処置されたマウスからのTregは、より低い割合のCD27+T細胞を含んだが、その全てが、CD27のNAD
+誘導性喪失に感受性であった;P2X7アンタゴニストNb13A7を用いて処置されたマウスからのTregは、CD27のNAD
+誘導性切断放出に耐性であった。
【
図12D】Nb 13A7の全身投与は、抗体誘導糸球体腎炎における疾患パラメーターを軽減し、Nb 14D5のそれは、強化する。抗体誘導腎炎のモデルにおける処置の時間経過。6週齢のC57BL6マウスの群(n=6)を、半減期延長Nb 13A7−13A7−Alb8、14D5−14D5−Alb8、又はコントロールNb(50μg)を、抗有足細胞(AP)又は免疫前(PI)血清の注射前2時間目に静脈内注射した。マウスは、Nb(25μg)の追加注射を3日毎に受けた。最終Nb注射後3日目に、マウスを屠殺し、腎臓及び血清を、さらなる分析に供した。(D)腎臓切片を、PASを用いて染色した(上部)。尿細管性タンパク質キャストを、アスタリスクによりマークする。
【
図12E】Nb 13A7の全身投与は、抗体誘導糸球体腎炎における疾患パラメーターを軽減し、Nb 14D5のそれは、強化する。抗体誘導腎炎のモデルにおける処置の時間経過。6週齢のC57BL6マウスの群(n=6)を、半減期延長Nb 13A7−13A7−Alb8、14D5−14D5−Alb8、又はコントロールNb(50μg)を、抗有足細胞(AP)又は免疫前(PI)血清の注射前2時間目に静脈内注射した。マウスは、Nb(25μg)の追加注射を3日毎に受けた。最終Nb注射後3日目に、マウスを屠殺し、腎臓及び血清を、さらなる分析に供した。(E)腎臓切片を、DNA染色色素draq5、T細胞マーカーCD3に対する蛍光色素結合mAb、及びネフリン(腎臓濾過障壁での有足細胞膜タンパク質)に対する蛍光色素結合mAbを用いて染色した(下)。有足細胞核を、アスタリスクによりマークする。Nb14D5を用いて処置されたマウスからの腎臓切片は、Nb13A7又はコントロールNbを用いて処置されたマウスよりも、CD3
+T細胞のより強力な糸球体浸潤及びネフリンについての破壊染色を示す。
【
図12F】Nb 13A7の全身投与は、抗体誘導糸球体腎炎における疾患パラメーターを軽減し、Nb 14D5のそれは、強化する。抗体誘導腎炎のモデルにおける処置の時間経過。6週齢のC57BL6マウスの群(n=6)を、半減期延長Nb 13A7−13A7−Alb8、14D5−14D5−Alb8、又はコントロールNb(50μg)を、抗有足細胞(AP)又は免疫前(PI)血清の注射前2時間目に静脈内注射した。マウスは、Nb(25μg)の追加注射を3日毎に受けた。最終Nb注射後3日目に、マウスを屠殺し、腎臓及び血清を、さらなる分析に供した。(F)腎臓切片を、免疫蛍光顕微鏡法の前に、ネフリンに対するdraq5及び蛍光色素結合mAb、補体因子3(C3)、ならびにIgGを用いて染色した。AP血清を用いて処置されたマウスからの(しかし、PI血清を用いて処置されたマウスからではない)切片は、IgG及び3の糸球体沈着物を示す。IgG沈着物のパターンは、Nb13A7を用いて処置されたマウスにおいて規則的であるが、しかし、コントロールNbを用いて処置されたマウスにおいて部分的に破壊され、Nb14D5を用いて処置されたマウスにおいて強く破壊される。
【
図13A】Nb13A7及び14D5のNb−Fc融合タンパク質は、リンパ節、脾臓、及び肝臓からのリンパ球上のP2X7を検出する。野生型及びP2X7−/−マウスのリンパ節、脾臓、又は肝臓からのリンパ球を、蛍光色素結合マウスP2X7特異的13A7−Fc、14D5−Fc又はヒトP2X7特異的3c23−Fc(ネガティブコントロール)を用いて、ならびに、CD4、CD25、及びNK1.1に対する抗体を用いて、フローサイトメトリーの前に共染色した。
【
図13B】Nb13A7及び14D5のNb−Fc融合タンパク質によって、リンパ節、脾臓、及び肝臓からのリンパ球上のP2X7を検出する。野生型及びP2X7−/−マウスのリンパ節、脾臓、又は肝臓からのリンパ球を、蛍光色素結合マウスP2X7特異的13A7−Fc、14D5−Fc又はヒトP2X7特異的3c23−Fc(ネガティブコントロール)を用いて、ならびに、CD4、CD25、及びNK1.1に対する抗体を用いて、フローサイトメトリーの前に共染色した。
【
図13C】Nb13A7及び14D5のNb−Fc融合タンパク質によって、リンパ節、脾臓、及び肝臓からのリンパ球上のP2X7を検出する。野生型及びP2X7−/−マウスのリンパ節、脾臓、又は肝臓からのリンパ球を、蛍光色素結合マウスP2X7特異的13A7−Fc、14D5−Fc又はヒトP2X7特異的3c23−Fc(ネガティブコントロール)を用いて、ならびに、CD4、CD25、及びNK1.1に対する抗体を用いて、フローサイトメトリーの前に共染色した。
【
図14】Nb 3c23は、ヒトRPMI8226リンパ腫細胞におけるATP誘導性カルシウム流入を遮断する。RPMI8226細胞に、Ca
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷した。リアルタイムフローサイトメトリー分析を実施した(BD FACS Canto)。細胞を洗浄し、ヒトP2X7特異的Nb 3c23−3c23又はマウスP2X7特異的Nb 13A7−13A7(ネガティブコントロール)の非存在(溶媒)又は存在において、Ca
2+及びMg
2+を用いて添加したPBS(Invitrogen)中に再懸濁し、フローサイトメトリー(BD FACS Canto)により分析した。赤外線ランプを使用し、37℃の一定のサンプル温度を維持した。100秒間にわたる平衡化後、ATPを、最終濃度2mMまで加え、インキュベーションを、最終濃度5μmまでのイオノマイシンの添加前に、100秒間にわたり継続した。
【
図15】Nb 3c23は、ヒト血液細胞からのIL−1βのATP誘導性放出を遮断する。4人のドナーからのヘパリン化全血液の一定分量を、最終濃度5mMまでのATPの添加及び1時間にわたる37℃でのさらなるインキュベーションの前に、Nb3c23−3c23の非存在又は存在において、2時間にわたり、LPS(1μg/ml)を用いてインキュベートした。血漿を、サンプルの遠心分離により調製し、血漿中のIL−1βレベルを、ELISA(R&D Systems)により決定した。***P<0.001(一元配置ANOVA)。
【
図16】ヒト血液細胞からのIL−1βのATP誘導性放出を遮断するNb 3c23の用量応答分析。ヘパリン化全血液の一定分量を、最終濃度2mMまでのATPの添加及び1時間にわたる37℃でのさらなるインキュベーションの前に、示した濃度のNb 3c23、3c23−3c23、及び3c23Fcの非存在又は存在において、2時間にわたり、LPS(1μg/ml)を用いてインキュベートした。血漿を、細胞の遠心分離により調製し、血漿中のIL−1βレベルを、ELISA(R&D Systems)により決定した。マウスP2X7特異的Nb13A7を、ネガティブコントロールとして使用した。
【
図17】Nb13A7は、マウスP2X7を用いて安定的にトランスフェクトされたHEK細胞におけるATP誘導性カルシウム流入を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。濃度1μg/ml NbでのマウスP2X7特異的Nb 14D5−14D5、Nb 13A7−13A7又はヒトP2X7特異的Nb 3c23−3c23(ネガティブコントロール)の存在におけるCa
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷したマウスP2X7トランスフェクトHEK細胞のリアルタイムフローサイトメトリー分析。60秒間にわたる平衡化後、細胞を、最終濃度250μm又は1mMまで細胞外ATPに曝露し、2分後、濃度5μmでCa
2+イオノフォアイオノマイシンに曝露した。赤外線ランプを使用し、37℃の一定のサンプル温度を維持した。
【
図18】Nb13A7は、マウスP2X7を用いて安定的にトランスフェクトされたHEK細胞におけるATP媒介性カルシウム流入を逆転し、Nb14D5は、それを誘導及び強化する。Ca
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷したマウスP2X7トランスフェクトHEK細胞のリアルタイムフローサイトメトリー分析。60秒間にわたる平衡化後、細胞を、最終濃度2μg/ml NbまでのマウスP2X7特異的Nb 14D5−14D5、Nb 13A7−13A7又はヒトP2X7特異的Nb 3c23−3c23を用いた処理前2分間にわたり、示した濃度のATPを用いてインキュベートした。赤外線ランプを使用し、37℃の一定のサンプル温度を維持した。
【
図19】Nb13A7は、マウス腹腔マクロファージにおけるATP誘導性カルシウム流入をし、Nb14D5は、それを強化する。マウス腹腔マクロファージを、Ca
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷した。リアルタイムフローサイトメトリー分析を実施した(BD FACS Canto)。細胞を洗浄し、P2X7強化Nb 14D5又はP2X7拮抗的Nb 13A7(1μg/500μl)の非存在(溶媒)又は存在において、Ca
2+及びMg
2+添加のPBS(Invitrogen)中に再懸濁した。赤外線ランプを使用し、37℃の一定のサンプル温度を維持した。120秒間にわたる平衡化後、細胞を、示した濃度の細胞外ATPに曝露し、2分後、最終濃度1μmまでCa
2+イオノフォアイオノマイシンへ曝露した。
【
図20a】Nb13A7は、腹腔マクロファージによるIL−1βのプロセシング及び分泌を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。野生型又はP2X7−/−マウスからのヘパリン化血液を、一価Nb(1μg/200μl) 14D5、13A7、又は溶媒の存在において、2時間にわたり、LPS(1μg/ml)を用いて、示した最終濃度までのATPの添加及び30分間にわたる37℃でのさらなるインキュベーションの前に、インキュベートした。a)サンプルを遠心分離し、血漿中のIL−1βレベルをELISA(Biolegend)により分析した。
【
図20b】Nb13A7は、腹腔マクロファージによるIL−1βのプロセシング及び分泌を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。野生型又はP2X7−/−マウスからのヘパリン化血液を、一価Nb(1μg/200μl) 14D5、13A7、又は溶媒の存在において、2時間にわたり、LPS(1μg/ml)を用いて、示した最終濃度までのATPの添加及び30分間にわたる37℃でのさらなるインキュベーションの前に、インキュベートした。b)赤血球を溶解し、血液白血球を、2つの工程において、最初に、CD11b、Ly−6C、及びLy−6Gについての蛍光標識結合mAbを用いて染色した。細胞を、次に、プロIL−1β(e-Bioscience)についてのさらなる染色前に、固定(2% PFA)及び透過処理(0.3%サポニン及び0.1%BSAを含むPBS)した。フローサイトメトリー分析を実施し(BD FACS Canto)、ゲーティングをCD11b+ LY−6C
hi単球上で実施した。
【
図21a】Nb 13A7は、細胞外ATP又はNAD
+に応答して、Yac−1マウスリンパ腫細胞によるCD62Lの切断放出を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。マウスYac−1リンパ腫細胞上でのCD62Lの細胞表面発現を、13A7(a)、14D5(b)、又はコントロールNbの存在における、ATP又はNAD
+を用いた、37℃で20分間にわたる細胞の処理に続く、フローサイトメトリーによりモニターした。使用したATP及びNAD
+の濃度は、これらの細胞におけるP2X7の活性化のための閾値上の(a)及び下の(b)であった(それぞれ、(a)における100μM及び20μMならびに(b)における30μM及び1.5μM)。
【
図21b】Nb 13A7は、細胞外ATP又はNAD
+に応答して、Yac−1マウスリンパ腫細胞によるCD62Lの切断放出を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。マウスYac−1リンパ腫細胞上でのCD62Lの細胞表面発現を、13A7(a)、14D5(b)、又はコントロールNbの存在における、ATP又はNAD
+を用いた、37℃で20分間にわたる細胞の処理に続く、フローサイトメトリーによりモニターした。使用したATP及びNAD
+の濃度は、これらの細胞におけるP2X7の活性化のための閾値上の(a)及び下の(b)であった(それぞれ、(a)における100μM及び20μMならびに(b)における30μM及び1.5μM)。
【
図22】Nb 13A7は、細胞外ATP又はNAD
+に応答して、マウスT細胞によるCD62Lの切断放出を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。CD3及びCD62Lについての染色前に、14D5、13A7、又はコントロールNbの存在において、200μM ATP又は50μM NAD
+を用いた、37℃で20分間にわたり処理した脾細胞のフローサイトメトリー分析。コントロール細胞を、ATP又はNADの非存在において、溶媒(sol)中で、4℃で、インキュベートした。
【0072】
詳細な説明
免疫グロブリン配列、例えば抗体及びそれらに由来する抗原結合フラグメント(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン)は、研究及び治療的適用においてそれらのそれぞれの抗原を特異的に標的にするために用いられる。免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えば、例えば、VHHなど)の生成は、実験動物(例えばラマなど)の免疫、免疫組織からのファージライブラリーの構築、抗原結合免疫グロブリン単一可変ドメインをディスプレイするファージの選択、ならびに所望の特異性についての前記ドメイン及びそれらの操作コンストラクトのスクリーニングを含みうる(WO94/04678)。あるいは、同様の免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えば、例えば、dAbなど)を、天然又は合成ライブラリーから直接的に抗原結合免疫グロブリン単一可変ドメインをディスプレイするファージを選択すること、ならびに、その後の、所望の特異性について前記ドメイン及びそれらの操作コンストラクトのスクリーニングにより生成することができる(Ward et al., Nature, 1989, 341: 544-6; Holt et al., Trends Biotechnol., 2003, 21(11):484-490;ならびに、例えば、WO06/030220、WO06/003388及びDomantis Ltd.の他の公開特許出願)。残念なことに、モノクローナル及び/又は重く操作された抗体の使用は、また、高い製造コストを要し、他の戦略と比較し、最適以下の腫瘍浸潤をもたらしうる。
【0073】
本発明は、特定のポリペプチドに関し、また、以下を含む、又は、より好ましくは、本質的にそれらからなる、「本発明のポリペプチド」又は「本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン」又は「本発明のISV」として言及される:(i)1つの免疫グロブリン単一可変ドメインから本質的になる第1構築ブロック(ここで、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインは、P2X7及び特にヒトP2X7に対して向けられる);(ii)場合により、免疫グロブリン単一可変ドメインから本質的になる又はそれを含む第2構築ブロック(ここで、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインは、P2X7及び特にヒトP2X7に対して向けられる);及び(iii)場合により、免疫グロブリン単一可変ドメインを含む又はそれから本質的になる第3構築ブロック(ここで、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインは、血清アルブミン及び特にヒト血清アルブミンに対して向けられる(及び、さらにより好ましくは、ここで、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインは、Alb8又はAlb11(本明細書において定義する通り)である))。さらに、本発明は、また、そのようなポリペプチドをコードする核酸に;そのようなポリペプチドを調製するための方法に;そのようなポリペプチドを発現する又は発現することが可能である宿主細胞に;そのようなポリペプチド、核酸、及び/又は宿主細胞を含む組成物に及び特に医薬的組成物に;ならびに、予防的、治療的、又は診断的な目的のための、そのようなポリペプチド、核酸、宿主細胞、及び/又は組成物の使用に関する。本発明の他の局面、実施態様、利点、及び適用は、本明細書におけるさらなる記載から明らかになるであろう。
【0074】
この試験において、種々の抗P2X7ナノボディが開発され、炎症性疾患(腎炎を含む)の診断及び治療におけるそれらの潜在能について特徴付けた。
【0075】
定義
他に示さない又は定義しない限り、使用する全ての用語は、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有し、それらは、当業者に明らかであろう。例えば、標準的なハンドブック、例えばSambrook et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual ( 2nd Ed.)Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、F. Ausubel et al.(Current protocols in molecular biology, Green Publishing and Wiley Interscience, New York, 1987)、Lewin(Genes II, John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1985)、Old et al.(Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering (2nd edition) University of California Press, Berkeley, CA, 1981);Mosby/Elsevier, Edinburgh, 2001)、Roitt et al.(Roitt's Essential Immunology (10th Ed.)Blackwell Publishing, UK, 2001)、及びJaneway et al.(Immunobiology (6th Ed.)Garland Science Publishing/ChurC
hill Livingstone, New York, 2005)、ならびに本明細書において引用する一般的な背景技術が参照される。
【0076】
他に示さない限り、具体的に詳細に記載されていない全ての方法、工程、技術、及びマニピュレーションを実施することができ、それ自体が公知の様式において実施されており、当業者に明かであろう通りである。例えば、再び、標準的なハンドブック及び本明細書において言及される一般的な背景技術に、ならびに、本明細書において引用するさらなる参考文献に;ならびに、例えば、以下のレビュー、Presta(Adv. Drug Deliv. Rev. 58 (5-6): 640-56, 2006)、Levin and Weiss (Mol. Biosyst. 2(1): 49-57, 2006)、Irving et al.(J. Immunol. Methods 248(1-2): 31-45, 2001)、Schmitz et al.(Placenta 21 Suppl.A: S106-12, 2000)、Gonzales et al.(Tumour Biol. 26(1): 31-43, 2005)が参照され、それらは、タンパク質工学のための技術、例えば親和性成熟ならびにタンパク質(例えば免疫グロブリンなど)の特異性及び他の所望の特性を改善するための他の技術などを記載する。
【0077】
用語「配列」は、本明細書において使用する通り(例えば、「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「可変ドメイン配列」、「VHH配列」、「ポリペプチド配列」、又は「タンパク質配列」などの用語において)、一般的に、文脈がより限定された解釈を要求しない限り、関連するアミノ酸配列ならびに同をコードする核酸又はヌクレオチド配列の両方を含むと理解すべきである。
【0078】
アミノ酸残基は、標準的な3文字又は1文字アミノ酸コードに従って示されうる。WO08/020079の48ページの表A−2が参照される。
【0079】
核酸又はアミノ酸は、例えば、それが得られた反応培地又は培養培地と比較し、それが、それが、通常、前記の供給源又は培地中で関連付けられる少なくとも1つの他の成分、例えば別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分もしくは巨大分子、又は少なくとも1つの混入物質、不純物、もしくは微量成分から分離されている場合、「(本質的に)単離された(形態)(における)」であると考えられる。特に、核酸又はアミノ酸は、それが、少なくとも2倍、詳細には、少なくとも10倍、さらに詳細には、少なくとも100倍、及び1000倍まで又はそれ以上で精製されている場合、「(本質的に)単離された」を考える。「(本質的に)単離された形態において」である核酸又はアミノ酸は、好ましくは、本質的に均質であり、適した技術、例えば適したクロマトグラフィー技術など、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動などを使用して決定される通りである。
【0080】
ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を、別のヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列をそれぞれ「含む」、又は別のヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列「から本質的になる」と言う場合、これは、後者のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、最初に言及したヌクレオチド又はアミノ酸配列にそれぞれ組み入れられていることを意味するが、しかし、通常は、これは、一般的に、最初に言及したヌクレオチド又はアミノ酸配列が、その配列内に、最初に言及した配列が、実際に、どのように生成された又は得られたかとは無関係に、同じヌクレオチド配列又はアミノ酸配列をそれぞれ後者の配列として有する、ヌクレオチド又はアミノ酸残基のストレッチをそれぞれ含むことを意味する。非限定的な例を用いて、本発明のポリペプチドが、免疫グロブリン単一可変ドメインを含むと言う場合、これは、前記の免疫グロブリン単一可変ドメイン配列が、本発明のポリペプチドの配列中に組み入れられていることを意味しうるが、しかし、より通常は、これは、一般的に、本発明のポリペプチドが、その配列内に、前記の本発明のポリペプチドがどのように生成された又は得られたかとは無関係に、免疫グロブリン単一可変ドメインの配列を含むことを意味する。また、核酸又はヌクレオチド配列が、別のヌクレオチド配列を含むと言う場合、最初に言及した核酸又はヌクレオチド配列は、好ましくは、それが発現産物(例えば、ポリペプチド)中に発現される場合、後者のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列は、前記の発現産物の部分を形成するようにする(言い換えると、後者のヌクレオチド配列は、最初に言及した、より大きな核酸又はヌクレオチド配列と同じリーディングフレーム中にある)。
【0081】
「から本質的になる」は、本発明の方法において使用する免疫グロブリン単一可変ドメインが、本発明のポリペプチドと厳密に同じある、又は、限定された数のアミノ酸残基、例えば1〜20アミノ酸残基、例えば、1〜10アミノ酸残基及び、好ましくは1〜6アミノ酸残基、例えば1、2、3、4、5、又は6アミノ酸残基(免疫グロブリン単一可変ドメインのアミノ末端に、カルボキシル末端に、又はアミノ末端及びカルボキシル末端の両方に加えられた)を有するポリペプチドに対応することを意味する。
【0082】
2つ又はそれ以上のヌクレオチド配列を比較する目的のために、第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列の間の「配列同一性」のパーセンテージを、[第2ヌクレオチド配列中の対応する位置でのヌクレオチドと同一である第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドの数]を、[第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドの総数]により割り、[100%]により乗じることにより算出してもよく、ここで、第2ヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの各々の欠失、挿入、置換、又は付加(第1ヌクレオチド配列と比較し)は、単一ヌクレオチド残基(位置)での違いとして考えられる。あるいは、2つ又はそれ以上のヌクレオチド配列の間での配列同一性の程度は、配列アラインメント用の公知のコンピューターアルゴリズム(例えばNCBI Blast v2.0など)を使用し、標準的な設定を使用して算出してもよい。配列同一性の程度を決定するための一部の他の技術、コンピューターアルゴリズム、及び設定は、例えば、WO04/037999、EP0967284、EP1085089、WO00/55318、WO00/78972、WO98/49185、及びGB2357768において記載されている。通常は、本明細書において上に概説する算出方法に従って、2つのヌクレオチド配列の間の「配列同一性」のパーセンテージを決定する目的のために、最大数のヌクレオチドを伴うヌクレオチド配列を、「第1」ヌクレオチド配列として取りうるが、他方のヌクレオチド配列は、「第2」ヌクレオチド配列として取りうる。
【0083】
2つ又はそれ以上のアミノ酸配列を比較する目的のために、第1アミノ酸配列と第2アミノ酸配列の間の「配列同一性」(また、本明細書において「アミノ酸同一性」として言及される)のパーセンテージを、[第2アミノ酸配列中の対応する位置でのアミノ酸残基と同一である第1アミノ酸配列中のアミノ酸残基の数]を、[第1アミノ酸配列中のアミノ酸残基の総数]により割り、[100%]により乗じることにより算出してもよく、ここで、第2アミノ酸配列におけるアミノ酸残基の各々の欠失、挿入、置換、又は付加(第1アミノ酸配列と比較し)は、単一アミノ酸残基(位置)での違いとして、即ち、本明細書において定義する通りの「アミノ酸の違い」として考えられる。あるいは、2つのアミノ酸配列の間での配列同一性の程度を、公知のコンピューターアルゴリズム(例えば、ヌクレオチド配列についての配列同一性の程度を決定するための、上に言及するものなど)を使用し、再び、標準的な設定を使用し、算出してもよい。通常は、本明細書において上に概説する算出方法に従って、2つのアミノ酸配列の間の「配列同一性」のパーセンテージを決定する目的のために、最大数のアミノ酸残基を伴うアミノ酸配列を、「第1」アミノ酸配列として取りうるが、他方のアミノ酸配列は、「第2」アミノ酸配列として取りうる。
【0084】
また、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性の程度を決定する際、当業者は、いわゆる「保存的」アミノ酸置換を考慮に入れうるが、それは、一般的に、アミノ酸残基が、同様の化学的構造の別のアミノ酸残基を用いて置換されており、ポリペプチドの機能、活性、又は他の生物学的特性に対する影響がほとんどない又は本質的にない、アミノ酸置換として記載することができる。そのような保存的アミノ酸置換は、当技術分野において、例えば、WO04/037999、GB335768、WO98/49185、WO00/46383、及びWO01/09300から周知であり;ならびに、そのような置換の(好ましい)型及び/又は組み合わせは、WO04/037999ならびにWO98/49185からの及び本明細書において引用するさらなる参考文献からの関連のある教示に基づいて選択されうる。
【0085】
そのような保存的置換は、好ましくは、ここで、以下の群(a)−(e)内の1つのアミノ酸が、同じ群内の別のアミノ酸により置換されている置換である:(a)小さな脂肪族、非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、及びGly;(b)極性、負に荷電した残基及びそれらの(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu、及びGln;(c)極性、正に荷電した残基:His、Arg、及びLys;(d)大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、及びCys;ならびに(e)芳香族残基:Phe、Tyr、及びTrp。特に好ましい保存的置換は、以下の通りである:AlaをGlyに又はSerに;ArgをLysに;AsnをGlnに又はHisに;AspをGluに;CysをSerに;GlnをAsnに;GluをAspに;GlyをAlaに又はProに;HisをAsnに又はGlnに;IleをLeuに又はValに;LeuをIleに又はValに;LysをArgに、Glnに、又はGluに;MetをLeuに、Tyrに、又はIleに;PheをMetに、Leuに、又はTyrに;SerをThrに;ThrをSerに;TrpをTyrに;TyrをTrpに;ならびに/あるいはPheをValに、Ileに、又はLeuに。
【0086】
本明細書において記載するポリペプチドに適用される任意のアミノ酸置換は、また、Schulz et al., Principles of Protein Structure, Springer-Verlag, 1978により開発された異なる種の相同タンパク質の間のアミノ酸バリエーションの頻度の分析に、Chou and Fasman, Biochemistry 13: 211, 1974及びAdv. Enzymol., 47: 45-149, 1978により開発された潜在能を形成する構造の分析に、ならびにEisenberg et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 81: 140-144, 1984;Kyte & Doolittle;J Molec. Biol. 157: 105-132, 1981、及びGoldman et al., Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986により開発されたタンパク質における疎水性パターンの分析に基づきうる(全てが、本明細書において、それらの全体において、参照により組み入れられる)。ナノボディの一次、二次、及び三次構造に関する情報は、本明細書における記載において及び上に引用する一般的な背景技術において与える。また、この目的のために、ラマからのVHHドメインの結晶構造は、例えば、Desmyter et al., Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803 (1996); Spinelli et al., Natural Structural Biology (1996); 3, 752-757; 及びDecanniere et al., Structure, Vol. 7, 4, 361 (1999)により与えられる。従来のVHドメインにおいて、VH/VL接触面及び潜在的なラクダ化置換をこれらの位置で形成するアミノ酸残基の一部に関するさらなる情報を、上に引用する先行技術において見出すことができる。
【0087】
アミノ酸配列及び核酸配列は、それらが、それらの全長にわたり100%配列同一性(本明細書において定義する通り)を有する場合、「厳密に同じ」であると言う。
【0088】
2つのアミノ酸配列を比較する場合、用語「アミノ酸の違い」は、第2配列と比較した、第1配列の位置での単一アミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換を指す;2つのアミノ酸配列が、1、2、又はそれ以上のそのようなアミノ酸の違いを含みうることが理解されている。さらに詳細には、本発明のアミノ酸配列及び/又はポリペプチドにおいて、用語「アミノ酸の違い」は、それぞれa)、d)、又はg)のCDR配列と比較し、c)、f)、又はi)において指定するCDR配列の位置上での単一アミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換を指し;c)、f)、及びi)のCDR配列が、それぞれa)、d)、又はg)のCDR配列(上記)と比較し、1、2、又は最大3つのそのようなアミノ酸の違いを含みうる。
【0089】
「アミノ酸の違い」は、1、2、又は最大3つの置換、欠失、もしくは挿入、又はそれらの任意の組み合わせでありうるが、それは、本発明のポリペプチドの特性を改善する、あるいは、本発明のポリペプチドの所望の特性から又は所望の特性のバランスもしくは組み合わせを少なくとも過剰に損なわない。この点において、本発明の結果として得られるポリペプチドは、1つ以上のCDR配列を含むが、1、2、又は最大3つの置換、欠失、もしくは挿入を伴わないポリペプチドと比較し、同じ、ほとんど同じ、又はより高い親和性を伴い、P2X7に少なくとも結合すべきであり、前記親和性は、表面プラズモン共鳴により測定される通りである。
【0090】
この点において、c)、f)、及び/又はi)に従ったアミノ酸配列は、それ自体が公知の(上記の)親和性成熟の1つ以上の技術を使用した親和性成熟を用いて、それぞれa)、d)、及び/又はg)に従ったアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列でありうる。
【0091】
例えば、また、そのような欠失及び/又は置換は、本発明のポリペプチドを発現するために使用される宿主生物に依存し、翻訳後修飾のための1つ以上の部位(例えば1つ以上のグリコシル化部位など)を除去するように設計されうるが、当業者の能力内であろう通りである。
【0092】
用語「エピトープ」及び「抗原決定基」は、それらは互換的に使用することができ、抗原結合分子(例えば本発明の免疫グロブリン、従来の抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、及び/又はポリペプチドなど)により、さらに詳細には、前記分子の抗原結合部位により認識される、マクロ分子(例えばポリペプチド又はタンパク質など)の部分を指す。エピトープは、免疫グロブリンのための最小結合部位を定義し、このように、免疫グロブリンの特異性の標的を表す。
【0093】
エピトープを認識する抗原結合分子の部分(例えば本発明の免疫グロブリン、従来の抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、及び/又はポリペプチドなど)は、「パラトープ」と呼ばれる。
【0094】
特定のエピトープ、抗原、又はタンパク質(又は、その少なくとも1つの部分、フラグメント、又はエピトープについて)「に結合する」又は「に特異的に結合する」ことができる、「について親和性を有する」及び/又は「について特異性を有する」ポリペプチド(例えば本発明の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は、一般的に、抗原結合分子もしくはそのフラグメントなど)は、前記エピトープ、抗原、又はタンパク質「に対する」又は「に対して向けられた」と言い、あるいは、そのようなエピトープ、抗原、又はタンパク質に関して「結合」分子である、あるいは「抗」エピトープ、「抗」抗原、又は「抗」タンパク質(例えば、「抗」P2X7)であると言う。
【0095】
用語「特異性」は、WO08/020079の53〜56ページのパラグラフn)において、それに与えられる意味を有する;及び、本明細書において言及する通り、特定の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(例えば本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドなど)分子が結合することができる異なる型の抗原又は抗原決定基の数を指す。抗原結合タンパク質の特異性は、WO08/020079(本明細書において参照により組み入れられる)の53〜56ページに記載される通り、親和性及び/又は結合力に基づいて決定することができ、それは、また、抗原結合分子(例えば本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドなど)と関連抗原の間の結合を測定するための一部の好ましい技術を記載する。典型的には、抗原結合タンパク質(例えば本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドなど)は、それらの抗原に、10
−5〜10
−12モル/リットル又はそれ以下、及び、好ましくは10
−7〜10
−12モル/リットル又はそれ以下、及び、好ましくは10
−8〜10
−12モル/リットルの解離定数(K
D)で(即ち、10
5〜10
12リットル/モル又はそれ以上、及び、好ましくは10
7〜10
12リットル/モル又はそれ以上、及び、より好ましくは10
8〜10
12リットル/モルの会合定数(K
A)で)結合しうる。10
4モル/リットル(又は10
4M
−1より低い任意のK
A値)リットル/モルより大きい任意のK
D値は、一般的に、非特異的な結合を示すと考えられる。好ましくは、本発明の一価ポリペプチドは、所望の抗原に、親和性500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば、10と5nMの間又はそれ以下などで結合する。抗原又は抗原決定基への抗原結合タンパク質の特異的な結合は、それ自体が公知の任意の適した様式(例えば、スキャッチャード分析及び/又は競合結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、及びサンドイッチ競合アッセイなど)及び当技術分野においてそれ自体が公知のその異なるバリアント;ならびに本明細書において言及する他の技術において決定することができる。当業者に明かであろう通り、及びWO08/020079の53〜56ページに記載される通り、解離定数は、実際の又は見かけ上の解離定数でありうる。解離定数を決定するための方法は、当業者に明らかであろうが、例えば、WO08/020079の53〜56ページに言及される技術を含む。
【0096】
免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドは、第1抗原に、免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドが第2標的又は抗原に結合する親和性よりも、少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、及び、好ましくは、少なくとも1000倍、及び、10000倍まで又はそれ以上良い親和性(上に記載する通りで、K
D値、K
A値、K
off速度、及び/又はK
on速度として適切に表現される)を用いて結合する場合、第2標的又は抗原と比較し、第1標的又は抗原について「特異的」であると言う。例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドは、前記免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドが第2標的又は抗原に結合するK
Dよりも、少なくとも10倍少ない、例えば少なくとも100倍少ない、及び、好ましくは、少なくとも1000倍少ない、例えば10.000倍少ない又はそれよりさらに少ないK
D値で第1標的又は抗原に結合しうる。好ましくは、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドが、第2標的又は抗原と比較し、第1標的又は抗原に「特異的」である場合、それは、前記の第2標的又は抗原に対してではなく、前記の第1標的又は抗原に対して向けられる(本明細書において定義する通り)。
【0097】
用語「(交差)遮断する」、「(交差)遮断した」、「(交差)遮断している」、「競合的結合」、「(交差)競合する」、「(交差)競合している」、及び「(交差)競合」を本明細書において互換的に使用し、所与の標的への他の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は結合薬剤の結合を妨げる、免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤の能力を意味する。免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤が、標的への別のものの結合と干渉することができる範囲は、従って、それが、本発明に従って交差遮断すると言うことができるか否かを問わず、競合結合アッセイを使用して決定することができる。1つの特に適した定量的な交差遮断アッセイでは、表面プラズモン共鳴技術を使用して相互作用の範囲を測定することができるBIAcore機器を使用する。別の適した定量的な交差遮断アッセイでは、標的へのそれらの結合という点で、免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤の間での競合を測定するためのELISAベースのアプローチを使用する。
【0098】
以下では、一般的に、免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤が、本発明に従って交差遮断する又は交差遮断することが可能であるかを決定するための適したBIAcoreアッセイを記載する。アッセイを、本明細書において記載する免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤のいずれかと使用することができることが認められるであろう。BIAcore機器(例えば、BIAcore 3000)は、製造者の推奨に沿って操作する。このように、1つの交差遮断アッセイにおいて、標的タンパク質(例えば、P2X7)は、CM5 BIAcoreチップに、標準的なアミンカップリング化学を使用して結合され、標的によってコートされている表面が生成される。典型的には、標的の200〜800共鳴単位によってチップに結合させうる(簡単に測定可能な結合レベルであるが、しかし、使用されているテスト試薬の濃度により容易に飽和可能である量)。互いに交差遮断するそれらの能力について評価すべき2つのテスト結合薬剤(A
*及びB
*と名付ける)を、適した緩衝液中での結合部位の1対1モル比で混合し、テスト混合物を作製する。結合部位ベースで濃度を算出する場合、結合薬剤の分子量は、その結合薬剤上の標的結合部位の数により割った結合薬剤の全分子量であると仮定される。テストミックス中の各々の結合薬剤の濃度は、BIAcoreチップ上に捕捉された標的分子上のその結合薬剤についての結合部位を容易に飽和させるために十分に高いはずである。混合物中の結合薬剤は同じモル濃度(結合ベースで)であり、その濃度は、典型的には、1.00と1.5マイクロモル(結合部位ベースで)の間でありうる。A
*単独及びB
*単独を含む別々の溶液も調製する。これらの溶液中のA
*及びB
*は、同じ緩衝液中で、テストミックス中と同じ濃度であるべきである。テスト混合物を、標的コートBIAcoreチップの上に通し、結合の全量を記録する。チップを、次に、チップが結合した標的を損傷することなく、結合した結合薬剤を除去するような方法において処理する。典型的には、これは、チップを、30mM HClを用いて、60秒間にわたり処理することにより行う。A
*単独の溶液を、次に、標的コート表面の上に通し、結合の量を記録する。チップを再び処理し、チップが結合した標的を損傷することなく、結合した結合薬剤の全てを除去する。B
*単独の溶液を、次に、標的コート表面の上に通し、結合の量を記録する。A
*及びB
*の混合物の最大理論的結合を次に算出し、標的表面単独の上を通した場合での各々の結合薬剤の結合の合計である。混合物での実際の記録された結合が、この理論的最大値未満である場合、次に、2つの結合薬剤は、それぞれ交差遮断すると言う。このように、一般的に、本発明に従った、交差遮断する免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤は、上のBIAcore交差遮断アッセイにおいて標的に結合するであろうものであり、アッセイの間に、及び第2免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤の存在において、記録された結合が、2つの免疫グロブリンの最大理論的結合の80%〜0.1%(例えば、80%〜4%)の間、特に、最大理論的結合の75%〜0.1%(例えば、75%〜4%)の間、より特に、最大理論的結合(ちょうど上に定義する通り)の70%〜0.1%(例えば、70%〜4%)の間であるようにする。上に記載するBIAcoreアッセイは、免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤が、本発明に従い、互いに交差遮断するか否かを決定するために使用される一次アッセイである。稀な場合では、特定の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤は、アミン化学を介して、CM5 BIAcoreチップに結合させた標的に結合しないであろう(これは、通常、標的上の関連する結合部位が、チップへの結合によりマスク又は破壊される場合に生じる)。そのような場合において、交差遮断は、標的のタグ付きバージョン、例えば、N末端Hisタグ付きバージョンを使用して決定することができる。この特定のフォーマットにおいて、抗His抗体は、BIAcoreチップに結合されうるが、次に、Hisタグ付き標的は、チップの表面の上を通し、抗His抗体により捕捉されうる。交差遮断分析は、本質的に上に記載する通りに行いうる(各々のチップ再生サイクル後、新たなHisタグ付き標的を、抗His抗体コート表面上に戻し充填しうることを除く)。N末端Hisタグ付き標的を使用して与えられた例に加えて、C末端Hisタグ付き標的を代わりに使用することができる。さらに、当技術分野において公知である種々の他のタグ及びタグ結合タンパク質の組み合わせを、そのような交差遮断分析のために使用することができる(例えば、抗HA抗体を伴うHAタグ;抗FLAG抗体を伴うFALGタグ;ストレプトアビジンを伴うビオチンタグ)。
【0099】
以下は、一般的に、標的(例えば、P2X7)に対して向けられた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤が、本明細書において定義する通り、交差遮断する又は交差遮断することが可能であるか否かを決定するためのELISAアッセイを記載する。このアッセイは、本明細書において記載する免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤のいずれかについて使用することができることが認められるであろう。アッセイの一般的な原理は、ELISAプレートのウェル上にコートされた標的に対して向けられた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は結合薬剤を有することである。第2の、潜在的に交差遮断する、抗標的免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドの過剰量を、溶液中に加える(即ち、ELISAプレートに結合していない)。限定された量の標的を、次に、ウェルに加える。コートされた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチド及び溶液中の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドは、限定された数の標的分子の結合について競合する。プレートを洗浄し、コートされた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドにより結合されていない過剰な標的を除去し、また、第2の溶液相の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドならびに第2の溶液相の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドと標的の間に形成された任意の結合体を除去する。結合した標的の量を、次に、標的を検出するために適切である試薬を使用して測定する。コートされた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドを交差遮断することができる溶液中の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドは、コートされた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドが結合することができる標的分子の数を、コートされた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドが、第2の溶液相の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドの非存在において結合することができる標的分子の数と比べ、減少させることができる。第1免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチド(例えば、Ab−X)が、固定化された免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドとして選定され、それは、ELISAプレートのウェル上にコートされる。その後、プレートを、適したブロッキング溶液を用いてブロックし、その後に加えられた試薬の非特異的結合を最小限にする。1ウェル当たりのAb−Y標的結合部位のモルが、ELISAプレートのコーティングの間に1ウェル当たりに使用されたAb−X標的結合部位のモルよりも少なくとも10倍高いように、第2の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチド(例えば、Ab−Y)の過剰量を、次に、ELISAプレートに加える。する。次に、標的を、加え、1ウェル当たりの標的のモルが、各々のウェルをコートするために使用されたAb−X標的結合部位のモルよりも少なくとも25倍低いようにする。適したインキュベーション期間に続き、ELISAプレートを洗浄し、標的を検出するための試薬を加え、コートされた抗標的免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチド(この場合においてAb−X)により特異的に結合された標的の量を測定する。アッセイについてのバックグラウンドシグナルは、コートされた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチド(この場合においてAb−X)、第2溶液相の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド(この場合においてAb−Y)、標的緩衝液だけ(即ち、標的を伴わない)、及び標的検出試薬を伴うウェルにおいて得られたシグナルとして定義する。アッセイについての陽性コントロールシグナルは、コートされた免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチド(この場合においてAb−X)、第2溶液相の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド緩衝液だけ(即ち、第2溶液相の免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドを伴わない)、標的及び標的検出試薬を伴うウェルにおいて得られたシグナルとして定義する。ELISAアッセイは、陽性コントロールシグナルがバックグラウンドシグナルの少なくとも6倍であるように、実行してもよい。コーティングする免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドとして使用するための及び第2の(コンペティター)免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドとして使用するための免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドの選択から結果として得られる任意のアーチファクト(例えば、標的についてのAb−XとAb−Yの間の有意に異なる親和性)を回避するために、交差遮断アッセイを2つのフォーマットにおいて実行しうる:1)フォーマット1は、Ab−Xが、ELISAプレート上にコートされている免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドであり、Ab−Yが、溶液中にあるコンペティターの免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドである場合であり、及び、2)フォーマット2は、Ab−Yが、ELISAプレート上にコートされている免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドであり、Ab−Xが、溶液中にあるコンペティターの免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドである場合である。Ab−X及びAb−Yは、フォーマット1において又はフォーマット2において、溶液相の抗標的免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドが、溶液相の抗標的免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドの非存在(即ち、陽性コントロールウェル)において得られた標的検出シグナルと比較し、標的検出シグナル(即ち、コートされている免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はポリペプチドにより結合された標的の量)の60%〜100%の間、特に70%〜100%の間、より特に80%〜100%の間の低下を起こすことができる場合、交差遮断するとして定義される。
【0100】
「エピトープビニング」は、免疫グロブリンの対、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤を同定するための競合結合アッセイ又は交差遮断アッセイの使用を指し、それらは、標的(例えば、P2X7)に同時に結合することが可能である、又は可能ではなく、それにより、同じ又は重複するエピトープに結合する免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤を、標的上で同定する。
【0101】
「エピトープビン」は、本明細書において使用する通り、従って、同じ又は重複する結合特異性を有する免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤のファミリーである。上に記載する通り、エピトープビン中への免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤の選別は、抗原結合についての、免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤の交差競合(交差遮断)に基づく。交差競合(交差遮断)アッセイによって、抗原への免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤の同時結合(対合)を分析し、類似の対合プロファイルを伴う免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤を一緒にグループ化する。類似のプロファイルを伴う(即ち、同じエピトープビンに属する)免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、又は他の結合薬剤は、同じ、密接に関連した、及び/又は重複エピトープに結合しうる。
【0102】
アミノ酸配列は、2つの異なる抗原又は抗原決定基(例えば哺乳動物の2つの異なる種からの血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン及びカニクイザル血清アルブミン、例えば異なる哺乳動物からのP2X7など)について、それが、これらの異なる抗原又は抗原決定基の両方について特異的(本明細書において定義する通り)である場合、「交差反応性」であると言う()。
【0103】
本明細書において使用する通り、「に特異的に結合することができる」及び「に特異的に結合する」を同義で使用し、それぞれの示した実体に特異的に結合するための能力を指す。
【0104】
用語「P2X7」は、本明細書において使用する通り、(ホモ)三量体細胞外ATPゲートカチオンチャネル「P2X7受容体」、特に、配列番号1〜5により表されるタンパク質、ならびに、そのアイソフォームの全て、特に配列番号1〜3及びそのアイソフォームを形成するタンパク質を指す。(ヒト)アイソフォームは、全てのスプライスバリアント(例えば、P2X7(b)−P2X7(k))、ならびに、ヒトP2X7受容体において同定された全ての単一ヌクレオチド多型を含み、代替N末端及び膜貫通ドメイン1(全て、当技術分野において公知、例えば、Cheewatrakoolpong et al.(2005) Biochem. Biophys. Res. Commun. 332, 17-27及びFeng et al.(2006) J. Biol. Chem.281, 17228-17237を参照のこと)を含む。P2X7受容体のゲーティングは、インフラマソームの及び細胞表面メタロプロテアーゼの活性化を誘導する。
【0105】
本発明のポリペプチドの用語「効力」は、本明細書において使用する通り、その特定の効果が生じるために要求される、所定量の本発明のポリペプチドの機能である。それは、そのポリペプチドについてのIC
50の逆として単純に測定される。それは、P2X7活性を中和するための、本発明の前記ポリペプチドの能力を指す;P2X7活性を調節、阻害、及び/又は防止し、P2X7活性により誘導される組織損傷の誘発を調節、阻害、及び/又は防止するようにする。
【0106】
効力は、当技術分野において公知の又は本明細書において記載する、任意の適したアッセイにより測定されうる(例えば、実施例のセクションにおいて記載される通り、など)。
【0107】
対照的に、本発明のポリペプチドの「有効性」は、効果自体の最高強度を、飽和ポリペプチド濃度で測定する。効力は、本発明のポリペプチドから達成可能な最高応答を示す。それは、所望の(治療的)効果を産生するためのポリペプチドの能力を指す。
【0108】
本発明の文脈において、「調節している」又は「調節すること」は、P2X7及び特にヒトP2X7(配列番号1〜3)ならびにそのアイソフォームの活性を増加、促進、又は増強することを意味し、適したインビトロ、細胞、又はインビボアッセイ(例えば、本明細書において言及するものなど)を使用して測定される通りである。特に、P2X7及び特にヒトP2X7(配列番号1〜3)の活性を、同じ条件下の同じアッセイ(しかし、本発明のポリペプチドの存在を伴わない)におけるP2X7及び特にヒトP2X7(配列番号1〜3)の活性と比較し、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば、少なくとも10%又は少なくとも25%だけ、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、あるいは90%又はそれ以上だけ低下又は阻害することは、適したインビトロ、細胞、又はインビボアッセイ(例えば、本明細書において言及するものなど)を使用して測定される通りである。
【0109】
調節は、例えば、P2X7受容体への細胞外ATPの結合を低下又は阻害すること、あるいは、P2X7受容体のArg 125でのNAD依存的ADPリボシル化を阻害することを含みうる。調節は、例えば、P2X7受容体によるゲーティングを低下又は阻害することを含みうる。P2X7受容体のゲーティングは、インフラマソームの活性化、細胞表面メタロプロテイナーゼの活性化、TACEによるエクトドメイン切断放出、ホスファチジルセリンの外在化、及び/又はアポトーシスを誘導する。
【0110】
あるいは、調節は、P2X7受容体によるゲーティングを増加、強化、又は増強することを含みうる。
【0111】
本発明のポリペプチドの半減期は、一般的に、WO08/020079の57ページ上のパラグラフo)において記載される通りに定義することができ、本明細書において言及する通り、ポリペプチドの血清濃度が、、インビボで、例えば、自然の機構による、ポリペプチドの分解及び/又はポリペプチドのクリアランスもしくは隔離に起因して50%低下するために要する時間を指す。本発明のポリペプチドのインビボでの半減期を、それ自体が公知の任意の様式において、例えば薬物動態分析により決定することができる。適した技術が当業者に明らかであろうが、例えば、一般的には、WO08/020079の57ページ上のパラグラフo)において記載される通りでありうる。また、WO08/020079の57ページ上のパラグラフo)において言及される通り、半減期は、パラメーター、例えばt1/2アルファ、t1/2ベータ、及び曲線下面積(AUC)などを使用して表すことができる。例えば、標準的なハンドブック、例えばKenneth et al.(Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists, John Wiley & Sons Inc, 1986)及びM Gibaldi and D Perron("Pharmacokinetics", Marcel Dekker, 2nd Rev. Edition, 1982)などが参照できる。用語「半減期の増加」又は「増加した半減期」は、また、WO08/020079の57ページ上のパラグラフo)において定義される通りであり、特に、t1/2ベータにおける増加(t1/2アルファ及び/又はAUCあるいは両方における増加を伴う又は伴わない)を指す。
【0112】
他に示さない限り、用語「免疫グロブリン」は、本明細書において重鎖抗体に又は従来の4鎖抗体に言及するために使用されるかにかかわらず、一般的な用語として使用され、完全サイズの抗体、その個々の鎖、ならびにその全ての部分、ドメイン、又はフラグメント(しかし、限定しないが、抗原結合ドメイン又はフラグメント、例えばそれぞれVHHドメイン又はVH/VLドメインなど)の両方を含む。
【0113】
用語「ドメイン」(ポリペプチド又はタンパク質の)は、本明細書において使用する通り、その三次元構造を、タンパク質の残りに非依存的に保持する能力を有する、折り畳まれたタンパク質構造を指す。一般的に、ドメインは、タンパク質の別々の機能的特性に関与し、多くの場合において、他のタンパク質に、タンパク質の及び/又はドメインの残部の機能の喪失を伴わず、加えられたり、除去されたり、又は移されたりしてもよい。
【0114】
用語「免疫グロブリンドメイン」は、本明細書において使用する通り、抗体鎖(例えば、従来の4鎖抗体の又は重鎖抗体の鎖など)の球状領域、又はそのような球状領域から本質的になるポリペプチドを指す。免疫グロブリンドメインは、それらが、抗体分子に特徴的な免疫グロブリン折り畳みを保持する点において特徴付けられ、それは、2つのベータ−シート中に配置された約7つの逆平行ベータ−ストランドの2層サンドイッチからなり、場合により、保存されたジスルフィド結合により安定化される。
【0115】
用語「免疫グロブリン可変ドメイン」は、本明細書において使用する通り、4つのフレームワーク領域から本質的になる免疫グロブリンドメインを意味し、それらは、当技術分野において、本明細書において下に、「フレームワーク領域1」又は「FR1」として;「フレームワーク領域2」又は「FR2」として;「フレームワーク領域3」又は「FR3」として;及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」としてそれぞれ言及される。それらのフレームワーク領域は、3つの「相補性決定領域」又は「CDR」により中断され、 それらは、当技術分野において、及び、本明細書において下に、「相補性決定領域1」又は「CDR1」として;「相補性決定領域2」又は「CDR2」として;及び「相補性決定領域3」又は「CDR3」としてそれぞれ言及される。このように、免疫グロブリン可変ドメインの一般的な構造又は配列は、以下の通りに示すことができる:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4。抗原結合部位を持つことにより、抗原についての特異性を、抗体に、与えるのは、免疫グロブリン可変ドメインである。
【0116】
用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」は、「単一可変ドメイン」と互換可能に使用され、抗原結合部位が、単一の免疫グロブリンドメイン上に存在し、及びそれにより形成される分子を定義する。これは、免疫グロブリン単一可変ドメインを、「従来の」免疫グロブリン又はそれらのフラグメントから離れて設定し、ここで、2つの免疫グロブリンドメイン、特に、2つの可変ドメインは、相互作用し、抗原結合部位を形成する。典型的には、従来の免疫グロブリンにおいて、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)は、相互作用し、抗原結合部位を形成する。この場合において、VH及びVLの両方の相補性決定領域(CDR)は、抗原結合部位に寄与しうる。即ち、合計6つのCDRが、抗原結合部位形成に含まれうる。
【0117】
上の定義の観点において、従来の4鎖抗体(例えばIgG、IgM、IgA、IgD、又はIgE分子;当技術分野において公知である)又はFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、例えばジスルフィド連結したFvもしくはscFvフラグメント、又はそのような従来の4鎖抗体に由来するダイアボディ(全てが当技術分野において公知である)の抗原結合ドメインは、正常には、免疫グロブリン単一可変ドメインとして見なされないであろう。なぜなら、これらの場合において、抗原のそれぞれのエピトープへの結合は、正常には、1つの(単一の)免疫グロブリンドメインにより生じないであろうが、しかし、(会合する)免疫グロブリンドメイン、例えば軽及び重鎖可変ドメインなどの対により、即ち、免疫グロブリンドメインのVH−VL対(それは、それぞれの抗原のエピトープに合同で結合する)により生じうるからである。
【0118】
対照的に、免疫グロブリン単一可変ドメインは、追加の免疫グロブリン可変ドメインと対合することを伴わず、抗原のエピトープに特異的に結合することが可能である。免疫グロブリン単一可変ドメインの結合部位は、単一のVH、VHH、又はVLドメインにより形成される。故に、免疫グロブリン単一可変ドメインの抗原結合部位は、3を上回らないCDRにより形成される。
【0119】
そのようなものとして、単一の可変ドメインは、軽鎖可変ドメイン配列(例えば、VL配列)もしくはその適したフラグメント;又は、重鎖可変ドメイン配列(例えば、VH配列又はVHH配列)もしくはその適したフラグメントでありうる;それが、単一の抗原結合単位(即ち、単一の可変ドメインから本質的になる機能的な抗原結合単位で、単一の抗原結合ドメインが、別の可変ドメインと相互作用し、機能的な抗原結合単位を形成する必要がないようにする)を形成することが可能である限り。
【0120】
本発明の一実施態様において、免疫グロブリン単一可変ドメインは、重鎖可変ドメイン配列(例えば、VH配列)である;より具体的には、免疫グロブリン単一可変ドメインは、従来の4鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列又は重鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列でありうる。
【0121】
例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインは、(単一)ドメイン抗体(又は、(単一)ドメイン抗体としての使用のために適しているアミノ酸)、「dAb」又はdAb(又は、dAbとしての使用のために適しているアミノ酸)又はナノボディ(本明細書において定義する通りで、しかし、限定しないが、VHHを含む);他の単一可変ドメイン、又はそれらの任意の1つの任意の適したフラグメントでありうる。
【0122】
特に、免疫グロブリン単一可変ドメインは、ナノボディ(登録商標)(本明細書において定義する通り)又はその適したフラグメントでありうる。[注意:ナノボディ(登録商標)、ナノボディ(登録商標)、及びナノクローン(登録商標)は、Ablynx N.V.の登録商標である]ナノボディの一般的な記載について、参照が、下のさらなる記載に、ならびに本明細書において引用する、例えば、例えば、WO08/020079(16ページ)において記載される先行技術に作られる。
【0123】
「VHHドメイン」は、また、VHH、VHHドメイン、VHH抗体フラグメント、及びVHH抗体として公知であり、本来は、「重鎖抗体」の(即ち、「軽鎖の欠けた抗体」の;Hamers-Casterman et al. Nature 363: 446-448, 1993)抗原結合免疫グロブリン(可変)ドメインとして記載されている。用語「VHHドメイン」が、これらの可変ドメインを、従来の4鎖抗体中に存在する重鎖可変ドメイン(それらは、本明細書において「VHドメイン」又は「VHドメイン」として言及される)から、及び従来の4鎖抗体中に存在する軽鎖可変ドメイン(それらは、本明細書において「VLドメイン」又は「VLドメイン」として言及される)から区別するために選ばれている。VHH及びナノボディのさらなる記載については、Muyldermansによるレビュー文献(Molecular Biotechnology 74: 277-302, 2001におけるレビュー)に、ならびに以下の特許出願が参照され、それらは、一般的な背景技術として言及される:Vrije Universiteit BrusselのWO94/04678、WO95/04079、及びWO96/34103;UnileverのWO94/25591、WO99/37681、WO00/40968、WO00/43507、WO00/65057、WO01/40310、WO01/44301、EP1134231、及びWO02/48193;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)のWO97/49805、WO01/21817、WO03/035694、WO03/054016、及びWO03/055527;Algonomics N.V.及びAblynx N.VのWO03/050531;National Research Council of CanadaによるWO01/90190;Institute of AntibodiesによるWO03/025020(=EP1433793);ならびに、Ablynx N.V.によるWO04/041867、WO04/041862、WO04/041865、WO04/041863、WO04/062551、WO05/044858、WO06/40153、WO06/079372、WO06/122786、WO06/122787、及びWO06/122825ならびにAblynx N.V.によるさらなる公開特許出願。また、これらの出願において言及されるさらなる先行技術に、特に、国際出願WO06/040153の41〜43ページ上に言及される参考文献のリストが参照され、そのリスト及び参考文献は、本明細書において、参照により組み入れられる。これらの参考文献において記載される通り、ナノボディ(特に、VHH配列及び部分的にヒト化されたナノボディ)は、特に、フレームワーク配列の1つ以上における1つ以上の「ホールマーク残基」の存在により特徴付けることができる。ナノボディ(ナノボディのヒト化及び/又はラクダ化を含む)ならびに他の修飾、部分又はフラグメント、誘導体又は「ナノボディ融合体」、多価コンストラクト(リンカー配列の一部の非限定的な例を含む)及びナノボディ及びそれらの調製物の半減期を増加させるための異なる修飾のさらなる記載が、例えば、WO08/101985及びWO08/142164において見出すことができる。ナノボディのさらなる一般的な記載について、本明細書において引用する、例えば、例えば、WO08/020079(16ページ)において記載される先行技術が参照される。
【0124】
「ドメイン抗体」は、また、「Dab」、「ドメイン抗体」、及び「dAb」(用語「ドメイン抗体」及び「dAb」は、商標として、企業のGlaxoSmithKlineグループにより使用されている)として公知であり、例えば、EP0368684、Ward et al.(Nature 341: 544-546, 1989)、Holt et al.(Tends in Biotechnology 21: 484-490, 2003)及びWO03/002609ならびに、例えば、WO04/068820、WO06/030220、WO06/003388及びDomantis Ltdの他の公開特許出願において記載されている。ドメイン抗体は、本質的に、非ラクダ哺乳動物、特に、ヒト4鎖抗体のVH又はVLドメインに対応する。単一の抗原結合ドメインとして(即ち、VL又はVHドメインとそれぞれ対合することなく)エピトープに結合するために、そのような抗原結合特性についての特定の選択(例えば、ヒト単一VH又はVLドメイン配列のライブラリーを使用することによる)が要求される。ドメイン抗体は、VHHのように、完全ヒト配列に由来する場合、約13〜約16kDaの分子量を有し、例えば、ヒトにおける治療的使用のためのヒト化を要求しない。
【0125】
それらが哺乳動物由来ではないため、本発明の文脈においてあまり好ましくないが、単一の可変ドメインが、サメの特定の種に由来しうることにも注意すべきである(例えば、いわゆる「IgNARドメイン」、例えば、WO05/18629を参照のこと)。
【0126】
このように、本発明の意味において、用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」又は「単一の可変ドメイン」は、非ヒト供給源、好ましくはラクダ、好ましくはラクダ重鎖抗体に由来するポリペプチドを含む。それらは、以前に記載された通りに、ヒト化してもよい。さらに、この用語は、非ラクダ供給源、例えば、マウス又はヒトに由来するポリペプチドを含み、それは「ラクダ化」されており、例えば、Davies and Riechmann(FEBS 339: 285-290, 1994; Biotechnol. 13: 475-479, 1995; Prot. Eng. 9: 531-537, 1996)及びRiechmann and Muyldermans(J. Immunol. Methods 231: 25-38, 1999)において記載されている通りである。
【0127】
VHHドメインのアミノ酸残基に、Kabat et al.("Sequence of proteins of immunological interest", US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)により与えられたVHドメインについての一般的なナンバリングに従い番号を付け、ラクダからのVHHドメインに適用された通りであり、例えば、Riechmann and Muyldermans(J. Immunol. Methods 231: 25-38, 1999)の
図2において示されている通りである。VHドメインのアミノ酸残基をナンバリングするための代替方法は、その方法が、また、類似の様式において、VHHドメインに適用することができ、当技術分野において公知である。しかし、本明細書の記載、特許請求の範囲、及び図において、他に示さない限り、上に記載された通りにVHHドメインに適用された、Kabatに従ったナンバリングに従うであろう。
【0128】
VHドメインについて及びVHHドメインについて当技術分野において周知である通り、CDRの各々におけるアミノ酸残基の総数は変動しうるが、Kabatナンバリングにより示されたアミノ酸残基の総数に対応しないであろう(すなわち、Kabatナンバリングに従った1つ以上の位置が、実際の配列において占められないであろう、又は実際の配列が、Kabatナンバリングにより許される数よりも多いアミノ酸残基を含みうる)ことに注意すべきである。これは、一般的に、Kabatに従ったナンバリングが、実際の配列中のアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応しうる又はしないであろうことを意味する。VHドメイン及びVHHドメイン中のアミノ酸残基の総数は、通常、110〜120の範囲中、しばしば、112と115の間にありうる。しかし、より小さい及びより長い配列が、また、本明細書において記載する目的のために適しうることに注意すべきである。
【0129】
CDR領域の決定は、また、異なる方法に従って行ってもよい。Kabatに従ったCDR決定において、VHHのFR1は位置1〜30のアミノ酸残基を含み、VHHのCDR1は位置31〜35のアミノ酸残基を含み、VHHのFR2が位置36〜49にアミノ酸を含み、VHHのCDR2が位置50〜65のアミノ酸残基を含み、VHHのFR3が位置66〜94のアミノ酸残基を含み、VHHのCDR3が位置95〜102のアミノ酸残基を含み、及びVHHのFR4が位置103〜113のアミノ酸残基を含む。
【0130】
CDR配列は、Kontermann and Dubel(Eds., Antibody Engineering, vol 2, Springer Verlag Heidelberg Berlin, Martin, Chapter 3, pp.33-51, 2010)に従って決定されうる。この方法に従い、FR1は、位置1〜25のアミノ酸残基を含み、CDR1は、位置26〜35のアミノ酸残基を含み、FR2は、位置36〜49のアミノ酸を含み、CDR2は、位置50〜58のアミノ酸残基を含み、FR3は、位置59〜94のアミノ酸残基を含み、CDR3は、位置95〜102のアミノ酸残基を含み、及びFR4は、位置103〜113のアミノ酸残基を含む。
【0131】
免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばドメイン抗体及びナノボディ(VHHドメインを含む)などは、ヒト化に供することができる。特に、ヒト化免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばナノボディ(VHHドメインを含む)などは、以前のパラグラフにおいて、そのために一般的に定義される免疫グロブリン単一可変ドメインでありうるが、しかし、ここで、少なくとも1つのアミノ酸残基が(及び特にフレームワーク残基の少なくとも1つにおいて)存在し、それは、ヒト化置換(本明細書において定義する通り)である及び/又はそれに対応する。潜在的に有用なヒト化置換は、自然発生するVHH配列のフレームワーク領域の配列を、1つ以上の密接に関連するヒトVH配列の対応するフレームワーク配列と比較することにより確認することができ、その後、このようにして決定した潜在的に有用なヒト化置換の1つ以上(又はその組み合わせ)を、前記VHH配列中に(それ自体が公知の任意の様式において)導入することができ、結果として得られるVHH配列を、標的についての親和性について、安定性について、発現の簡単さ及びレベルについて、及び/又は他の所望の特性についてテストすることができる。この方法において、限定された程度の試行錯誤によって、他の適したヒト化置換(又はその適した組み合わせ)が、当業者により、本明細書における開示に基づき、決定されることができる。また、前述のものに基づき、免疫グロブリン単一可変ドメイン(のフレームワーク領域)、例えばナノボディ(VHHドメインを含む)などは、部分的にヒト化又は完全にヒト化してもよい。
【0132】
免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばドメイン抗体及びナノボディなど(VHHドメイン及びヒト化VHHドメインを含む)は、また、1つ以上の変化を、1つ以上のCDRのアミノ酸配列中に導入することにより、親和性成熟に供することができ、それらの変化は、それぞれの親分子と比較し、そのそれぞれの抗原についての結果として得られる免疫グロブリン単一可変ドメインの改善された親和性をもたらす。本発明の親和性成熟した免疫グロブリン単一可変ドメイン分子は、当技術分野において公知の方法により、例えば、Marks et al.(Biotechnology 10: 779-783, 1992)、Barbas et al.(Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91: 3809-3813, 1994)、Shier et al.(Gene 169: 147-155, 1995)、Yelton et al.(Immunol. 155: 1994-2004, 1995)、Jackson et al.(J. Immunol. 154: 3310-9, 1995)、Hawkins et al.(J. MoI. Biol. 226: 889 896, 1992)、Johnson and Hawkins(Affinity maturation of antibodies using phage display, Oxford University Press, 1996)により記載される通りに、調製されうる。
【0133】
ポリペプチドを設計/選択及び/又は調製するプロセスは、免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばドメイン抗体又はナノボディなどから開始し、また、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインを「フォーマット化する」として言及される;及び、ポリペプチドの作られた部分である免疫グロブリン単一可変ドメインが、「フォーマット化」される又は前記ポリペプチド「のフォーマット中」にあると言う。免疫グロブリン単一可変ドメインをフォーマット化することができる方法の例及びそのようなフォーマットの例は、本明細書における開示に基づき、当業者に明らかであろう;及び、そのようなフォーマット化された免疫グロブリン単一可変ドメインは、本発明のさらなる局面を形成する。
【0134】
例えば及び限定を伴わず、1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを、ポリペプチドの調製のための「結合単位」「結合ドメイン」、又は「結合ブロック」(これらの用語は互換可能に使用される)として使用してもよく、それらは、場合により、結合単位(即ち、P2X7上の同じもしくは別のエピトープに対する及び/又はP2X7以外の1つ以上の他の抗原、タンパク質、もしくは標的に対する)として役立ちうる1つ以上のさらなる免疫グロブリン単一可変ドメインを含みうる。
【0135】
一価ポリペプチドは、1つだけの結合単位(例えば、例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインなど)を含む又はそれから本質的になる。1つ以上の結合単位(例えば、例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインなど)を含むポリペプチドは、また、本明細書において、「多価」ポリペプチドとして言及されうるが、そのようなポリペプチド中に存在する結合単位/免疫グロブリン単一可変ドメインは、また、本明細書において、「多価」フォーマット中にあるとして言及されうる。例えば、「二価」ポリペプチドは、2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(場合により、リンカー配列を介して連結されている)を含みうるのに対し、「三価」ポリペプチドは、3つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(場合により、2つのリンカー配列を介して連結されている)を含みうる;など。
【0136】
多価ポリペプチドにおいて、2つ又はそれ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、同じもしくは異なりうるが、同じ抗原もしくは抗原決定基に対して(例えば、同じ部分もしくはエピトープに対して、又は異なる部分もしくはエピトープに対して)向けられうる、あるいは、代わりに、異なる抗原もしくは抗原決定基;又はそれらの任意の適した組み合わせに対して向けられうる。少なくとも1つの結合単位が第1抗原(例えば、P2X7)に対して向けられており、少なくとも結合単位が第2抗原(例えば、P2X7とは異なる)に対して向けられている少なくとも2つの結合単位(例えば、例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインなど)を含むポリペプチドは、また、「多特異的」ポリペプチドとして言及されうるが、そのようなポリペプチド中に存在する結合単位(例えば、例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインなど)は、また、本明細書において、「多特異的フォーマット」中にあるとして言及されうる。このように、例えば、本発明の「二重特異的」ポリペプチドは、第1抗原(例えば、P2X7)に対して向けられた少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン及び第2抗原(例えば、P2X7とは異なる)に対して向けられた少なくとも1つのさらなる免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであるのに対し、本発明の「三重特異的」ポリペプチドは、第1抗原(例えば、P2X7)に対して向けられた少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン、第2抗原(例えば、P2X7とは異なる)に対して向けられた少なくとも1つのさらなる免疫グロブリン単一可変ドメイン、及び第3抗原(例えば、P2X7及び第2抗原の両方とは異なる)に対して向けられた少なくとも1つのさらなる免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドである。
【0137】
「マルチパラトープポリペプチド」、例えば「バイパラトープポリペプチド」又は「トリパラトープポリペプチド」などは、異なるパラトープを各々有する2つ又はそれ以上の結合単位を含む又はそれから本質的になる(本明細書においてさらに記載する通り;本発明の多価ポリペプチドに関するチャプターを参照のこと)。
【0138】
P2X7
本発明のISV及びポリペプチドは、一般的に、P2X7へのATPの結合又は、P2X7及び特にヒトP2X7の細胞外ATP媒介性活性化を調節ならびに、特に阻害及び/又は防止し(表B−2を参照のこと)、このように、P2X7及び特にヒトP2X7(配列番号1〜3)によるゲーティングを調節及び特に阻害もしくは防止する、及び/又は、そのようなゲーティング(P2X7構築ブロック)に関連する生物学的機構、応答、及び効果を調節するために使用することができる。好ましくは、本発明のISVは、1c81様配列、3c23様配列、1c113様配列、13a7様配列、14d5様配列からなる群より選ばれる。
【0139】
本発明により提供されるアミノ酸配列は、好ましくは、本質的に単離された形態(本明細書において定義する通り)、又は本発明のタンパク質又はポリペプチドの形態部分(本明細書において定義する通り)中にあり、それは、本発明の1つ以上のアミノ酸配列を含みうる又はそれから本質的になりうるが、それは、場合により、1つ以上のさらなるアミノ酸配列(全てが、場合により、1つ以上の適したリンカーを介して連結される)をさらに含みうる。例えば、限定を伴わず、本発明の1つ以上のアミノ酸配列を、そのようなタンパク質又はポリペプチド中の結合単位として使用してもよく、それは、場合により、結合単位(即ち、P2X7以外の1つ以上の他の標的に対する)として役立ちうる1つ以上のさらなるアミノ酸配列を含みうるが、本発明の一価、多価、又は多特異的ポリペプチドをそれぞれ提供するようにし、全てが、本明細書において記載する通りである。そのようなタンパク質又はポリペプチドは、また、本質的に単離された形態でありうる(本明細書において定義する通り)。
【0140】
本発明のアミノ酸配列及びポリペプチドは、そのようなものとして、好ましくは、ジスルフィド架橋を介して、任意の他のアミノ酸配列又は鎖に連結されていない(しかし、1つ以上の分子内ジスルフィド架橋を含みうる又は含まないであろう)単一のアミノ酸鎖から本質的になる。例えば、ナノボディ(本明細書において記載する通り)は、時折、CDR3とCDR1又はFR2の間にジスルフィド架橋を含みうることが公知である。しかし、本発明の1つ以上のアミノ酸配列が、互いに及び/又は他のアミノ酸配列に(例えば、ジスルフィド架橋を介して)連結され、また、本発明において有用でありうるペプチドコンストラクト(例えば、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、ScFvコンストラクト、「ダイアボディ」、及び他の多特異的コンストラクト)を提供しうることに注意すべきである。例えば、Holliger and Hudson, Nat Biotechnol. 2005 Sep; 23(9): 1126-36によるレビューを参照できる。
【0141】
一般的に、本発明のアミノ酸配列(又は、同を含む化合物、コンストラクト、もしくはポリペプチド)が、被験者への投与のために(例えば、本明細書において記載する通りの、治療的及び/又は診断的目的のために)意図される場合、それは、好ましくは、前記被験者において自然発生しないアミノ酸配列;又は、それが前記被験者において自然発生する場合、本質的に単離された形態(本明細書において定義する通り)のいずれかである。
【0142】
さらに、本発明のアミノ酸配列は、場合により、P2X7に対する結合のための少なくとも1つの結合部位に加えて、他の抗原、タンパク質、又は標的に対する結合のための1つ以上のさらなる結合部位を含む。
【0143】
本記載及び請求項において、以下の用語を、以下の通りに定義する:
A)1C81様配列:本明細書において定義する通り、「1C81様配列」、「1C81様ISV」、又は「1C81様構築ブロック」は、以下を含むISV(本明細書において記載する通り)として定義される:
a)(i)アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)又は(ii)アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列、のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR1;及び/又は
b)(i)アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)又は(ii)アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列、のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR2;及び/又は
c)(i)アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)又は(ii)アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列、のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(当技術分野において公知の通り)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0144】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の抑制により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0145】
好ましくは、そのような1C81様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれa)及びb)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれa)及びc)の下に定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれb)及びc)の下に定義される通りである。より好ましくは、そのような1C81様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれa)、b)、及びc)の下に定義される通りである。再び、そのような1C81様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイを用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0146】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の抑制により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0147】
例えば、そのような1C81様配列において:CDR1が、アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)(それぞれb)及びc)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)(それぞれa)及びc)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)(それぞれa)及びb)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。特に、1C81様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR2が、アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)(上のc)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)(上の(b)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)(上のa)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。再び、そのような1C81様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0148】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0149】
具体的に好ましい局面において、「1C81様配列」、「1C81様ISV」、又は「1C81様構築ブロック」は、以下を含むISVである:
d)(i)アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)又は(ii)アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR1;及び/又は
e)(i)アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)又は(ii)アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR2;及び/又は
f)(i)アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)又は(ii)アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0150】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0151】
好ましくは、この具体的に好ましい局面に従った1C81様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれd)及びe)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれ、d)及びf)の下で定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれ、e)及びf)の下で定義される通りである。より好ましくは、そのような1C81様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれ、d)、e)、及びf)の下で定義される。再び、そのような1C81様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0152】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0153】
例えば、この具体的に好ましい局面に従った1C81様配列において:CDR1が、アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)(それぞれe)及びf)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)(それぞれd)及びf)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)(それぞれd)及びe)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)である。特に、1C81様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)であり、及び、CDR2が、アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)(上のf)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)(上のe)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)(上のd)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)である。再び、そのような1C81様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0154】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の遮断により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0155】
特に好ましい1C81様配列において:CDR1が、アミノ酸配列RTFSFSTSTMG(配列番号34)であり、CDR2が、アミノ酸配列AIDWSDFN(配列番号62)であり;及び、CDR3が、アミノ酸配列HSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)である。
【0156】
このセクションA)に記載する全ての1C81様配列において、フレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りでありうる。好ましくは、フレームワーク配列は、フレームワーク配列が、1C81のフレームワーク配列と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、例えば少なくとも95%などの配列同一性を有するようにする(それは、例えば、所与の配列と、1C81の配列との配列同一性の全体の程度を決定することにより決定することができ、算出においてCDRは無視する)。再び、所与の配列中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、好ましくは、結果として得られる1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0157】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の遮断により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0158】
1つの特定の局面において、1C81様配列は、配列番号6と少なくとも70%、例えば少なくとも80%など、例えば、少なくとも85%、例えば少なくとも90%など、又は95%を上回る配列同一性を有するISVである。例えば、この局面に従った1C81様配列において、CDRは、上に記載する具体的に好ましい局面に従いうるが、特に(しかし、限定を伴わず)RTFSFSTSTMG(配列番号34)(CDR1);AIDWSDFN(配列番号62)(CDR2);及びHSETRGGTRYFDRPSLYNY(配列番号90)(CDR3)でありうる。再び、好ましくは、そのような1C81様ISV中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、結果として得られる1C81様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0159】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、1C81様ISVは、250nM未満、より好ましくは、200nM未満、175nMもしくはさらに少ない、例えば150nMもしくは125nM未満の、又は、さらにより好ましくは、110nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の遮断により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0160】
1つの特別な局面において、任意の1C81様配列は、本明細書においてさらに記載する通り、ヒト化及び/又は配列最適化されうる。
【0161】
B)3C23様配列:「3C23様配列」、「3C23様ISV」、又は「3C23様構築ブロック」を、以下を含むISV(本明細書において記載する通り)として定義する:
a)(i)アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)又は(ii)アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR1;及び/又は
b)(i)アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)又は(ii)アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR2;及び/又は
c)(i)アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)又は(ii)アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(当技術分野において公知の通り)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0162】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の遮断により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0163】
好ましくは、そのような3C23様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれa)及びb)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれa)及びc)の下に定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれb)及びc)の下に定義される通りである。より好ましくは、そのような3C23様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれa)、b)、及びc)の下に定義される通りである。再び、そのような3C23様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイを用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0164】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0165】
例えば、そのような3C23様配列において:CDR1が、アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)(それぞれb)及びc)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)(それぞれa)及びc)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)(それぞれa)及びb)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。特に、3C23様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR2が、アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)(上のc)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)(上の(b)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)(上のa)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。再び、そのような3C23様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0166】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0167】
具体的に好ましい局面において、「3C23様配列」、「3C23様ISV」、又は「3C23様構築ブロック」は、以下を含むISVである:
d)(i)アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)又は(ii)アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR1;及び/又は
e)(i)アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)又は(ii)アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR2;及び/又は
f)(i)アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)又は(ii)アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0168】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0169】
好ましくは、この具体的に好ましい局面に従った3C23様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれd)及びe)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれ、d)及びf)の下で定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれ、e)及びf)の下で定義される通りである。より好ましくは、そのような3C23様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれd)、e)、及びf)の下に定義される通りである。再び、そのような3C23様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0170】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の遮防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0171】
例えば、この具体的に好ましい局面に従った3C23様配列において:CDR1が、アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)(それぞれe)及びf)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)(それぞれd)及びf)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)(それぞれd)及びe)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)である。特に、3C23様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)であり、及び、CDR2が、アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)(上のf)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)(上のe)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列AISSYGSTであり、及び、CDR3が、アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)(上のd)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)である。再び、そのような3C23様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0172】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0173】
特に好ましい3C23様配列において:CDR1が、アミノ酸配列RTFRHYAMG(配列番号40)であり、CDR2が、アミノ酸配列AISSYGST(配列番号68)であり;及び、CDR3が、アミノ酸配列DETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)である。
【0174】
このセクションB)に記載する全ての3C23様配列において、フレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りでありうる。好ましくは、フレームワーク配列は、フレームワーク配列が、3C23のフレームワーク配列と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、例えば少なくとも95%などの配列同一性を有するようにする(それは、例えば、所与の配列と、3C23の配列との配列同一性の全体の程度を決定することにより決定することができ、算出においてCDRは無視する)。再び、所与の配列中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、好ましくは、結果として得られる3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0175】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0176】
1つの特定の局面において、3C23様配列は、配列番号6と少なくとも70%、例えば少なくとも80%など、例えば、少なくとも85%、例えば少なくとも90%など、又は95%を上回る配列同一性を有するISVである。例えば、この局面に従った3C23様配列において、CDRは、上に記載する具体的に好ましい局面に従いうるが、特に(しかし、限定を伴わず)、RTFRHYAMG(配列番号40)(CDR1);AISSYGST(配列番号68)(CDR2);及びDETLGAVPNFRLHEKYEYEY(配列番号96)(CDR3)でありうる。再び、好ましくは、そのような3C23様ISV中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、結果として得られる3C23様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0177】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイ(例えば、実施例1.7又は1.8において記載する通り、など)におけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される。好ましくは、3C23様ISVは、100nM未満、より好ましくは、50nM未満、25nMもしくはさらに少ない、例えば20nMもしくは15nM、10nM、8nM未満の、又は、さらにより好ましくは、5nM未満のIC
50を伴う調節活性を有する;あるいは、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される(例えば、実施例1.11において記載する通り);あるいは、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される(例えば、実施例1.10において記載する通り)。
【0178】
1つの特別な局面において、任意の3C23様配列は、本明細書においてさらに記載する通り、ヒト化及び/又は配列最適化されうる。
【0179】
C)1C113様配列:「1C113様配列」、「1C113様ISV」、又は「1C113様構築ブロック」は、以下を含むISV(本明細書において記載する通り)として定義される:
a)(i)アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)又は(ii)アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR1;及び/又は
b)(i)アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)又は(ii)アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR2;及び/又は
c)(i)アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)又は(ii)アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(当技術分野において公知の通り)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0180】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の遮防止により決定される。
【0181】
好ましくは、そのような1C113様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれa)及びb)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれa)及びc)の下に定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれb)及びc)の下に定義される通りである。より好ましくは、そのような1C113様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれa)、b)、及びc)の下に定義される通りである。再び、そのような1C113様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイを用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0182】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される。
【0183】
例えば、そのような1C113様配列において:CDR1が、アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)(それぞれb)及びc)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)(それぞれa)及びc)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)(それぞれa)及びb)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。特に、1C113様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR2が、アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)(上のc)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)(上の(b)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)(上のa)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。再び、そのような1C113様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0184】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される。
【0185】
具体的に好ましい局面において、「1C113様配列」、「1C113様ISV」、又は「1C113様構築ブロック」は、以下を含むISVである:
d)(i)アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)又は(ii)アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR1;及び/又は
e)(i)アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)又は(ii)アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列DISPGGHTとわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR2;及び/又は
f)(i)アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)又は(ii)アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0186】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される。
【0187】
好ましくは、この具体的に好ましい局面に従った1C113様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれd)及びe)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれ、d)及びf)の下で定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれ、e)及びf)の下で定義される通りである。より好ましくは、そのような1C113様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれd)、e)、及びf)の下に定義される通りである。再び、そのような1C113様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0188】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される。
【0189】
例えば、この具体的に好ましい局面に従った1C113様配列において:CDR1が、アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)(それぞれe)及びf)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)(それぞれd)及びf)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)(それぞれd)及びe)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)である。特に、1C113様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)であり、及び、CDR2が、アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)(上のf)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列IAFNYYSMS(配列番号35)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)(上のe)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)(上のd)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)である。再び、そのような1C113様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0190】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の防止により決定される。
【0191】
特に好ましい1C113様配列において:CDR1はアミノ酸配列IAFNYYSMSであり、CDR2はアミノ酸配列DISPGGHT(配列番号63)であり;及び、CDR3はアミノ酸配列RLRFEVSSNY(配列番号91)である。
【0192】
このセクションC)において記載する全ての1C113様配列において、フレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りでありうる。好ましくは、フレームワーク配列は、フレームワーク配列が、1C113のフレームワーク配列と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、例えば少なくとも95%などの配列同一性を有するようにする(それは、例えば、所与の配列と、1C113の配列との配列同一性の全体の程度を決定することにより決定することができ、算出においてCDRは無視する)。再び、所与の配列中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、好ましくは、結果として得られる1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0193】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の阻害により決定される。
【0194】
1つの特定の局面において、1C113様配列は、配列番号6と少なくとも70%、例えば少なくとも80%など、例えば、少なくとも85%、例えば少なくとも90%など、又は95%を上回る配列同一性を有するISVである。例えば、この局面に従った1C113様配列において、CDRは、上に記載する具体的に好ましい局面に従いうる、特に(しかし、限定を伴わず)、IAFNYYSMS(配列番号35)(CDR1);DISPGGHT(配列番号63)(CDR2);及びRLRFEVSSNY(配列番号91)(CDR3)でありうる。再び、好ましくは、そのような1C113様ISV中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、結果として得られる1C113様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0195】
好ましくは、調節活性は、トランスフェクトHEK細胞ベースのアッセイにおけるCD62LのATP誘導性切断放出により決定される;又は、ヒトT細胞によるホスファチジルセリン(PS)のATP誘導性外在化により決定される;又は、ヒトT細胞によるCD62L(PS)のATP誘導性切断放出により決定される;又は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死の阻害により決定される。
【0196】
1つの特別な局面において、任意の1C113様配列は、本明細書においてさらに記載する通り、ヒト化及び/又は配列最適化されうる。
【0197】
D)13A7様配列:「13A7様配列」、「13A7様ISV」、又は「13A7様構築ブロック」は、以下を含むISV(本明細書において記載する通り)として定義される:
a)(i)アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)又は(ii)アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR1;及び/又は
b)(i)アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)又は(ii)アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR2;及び/又は
c)(i)アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)又は(ii)アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(当技術分野において公知の通り)を用いて、細胞ベースのアッセイ(当技術分野において公知の通り)により、インビボアッセイにより決定することができる。
【0198】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0199】
好ましくは、そのような13A7様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれa)及びb)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれa)及びc)の下に定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれb)及びc)の下に定義される通りである。より好ましくは、そのような13A7様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれa)、b)、及びc)の下に定義される通りである。再び、そのような13A7様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイを用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0200】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0201】
例えば、そのような13A7様配列において:CDR1が、アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)(それぞれb)及びc)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)(それぞれa)及びc)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)(それぞれa)及びb)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。特に、13A7様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR2が、アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)(上のc)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)(上の(b)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)(上のa)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。再び、そのような13A7様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0202】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0203】
具体的に好ましい局面において、「13A7様配列」、「13A7様ISV」、又は「13A7様構築ブロック」は、以下を含むISVである:
d)(i)アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)又は(ii)アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR1;及び/又は
e)(i)アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)又は(ii)アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR2;及び/又は
f)(i)アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)又は(ii)アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0204】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0205】
好ましくは、この具体的に好ましい局面に従った13A7様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれd)及びe)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれ、d)及びf)の下で定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれ、e)及びf)の下で定義される通りである。より好ましくは、そのような13A7様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれ、d)、e)、及びf)の下で定義される通りである。再び、そのような13A7様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0206】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0207】
例えば、この具体的に好ましい局面に従った13A7様配列において:CDR1が、アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)(それぞれe)及びf)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)(それぞれd)及びf)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)(それぞれd)及びe)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)である。特に、13A7様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)であり、及び、CDR2が、アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(上のf)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)(上のe)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)(上のd)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)である。再び、そのような13A7様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0208】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0209】
特に好ましい13A7様配列において:CDR1が、アミノ酸配列YYDIG(配列番号47)であり、CDR2が、アミノ酸配列CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)であり;及び、CDR3が、アミノ酸配列GPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)である。
【0210】
このセクションD)に記載する全ての13A7様配列において、フレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りでありうる。好ましくは、フレームワーク配列は、フレームワーク配列が、13A7のフレームワーク配列と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、例えば少なくとも95%などの配列同一性を有するようにする(それは、例えば、所与の配列と、13A7の配列との配列同一性の全体の程度を決定することにより決定することができ、算出においてCDRは無視する)。再び、所与の配列中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、好ましくは、結果として得られる13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0211】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0212】
1つの特定の局面において、13A7様配列は、配列番号6と少なくとも70%、例えば少なくとも80%など、例えば、少なくとも85%、例えば少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するISVである。例えば、この局面に従った13A7様配列において、CDRは、上に記載する具体的に好ましい局面に従いうる、特に(しかし、限定を伴わず)、YYDIG(配列番号47)(CDR1);CRFTNDGSTAYADSVKG(配列番号75)(CDR2);及びGPLTKRRQCVPGDFSMDF(配列番号103)(CDR3)でありうる。再び、好ましくは、そのような13A7様ISV中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、結果として得られる13A7様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0213】
好ましくは、調節活性を、13A7様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.3において記載する通り、など)。好ましくは、13A7様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0214】
1つの特別な局面において、任意の13A7様配列は、本明細書においてさらに記載する通り、ヒト化及び/又は配列最適化されうる。
【0215】
E)14D5様配列:「14D5様配列」、「14D5様ISV」、又は「14D5様構築ブロック」は、以下を含むISV(本明細書において記載する通り)として定義される:
a)(i)アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)又は(ii)アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR1;及び/又は
b)(i)アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)又は(ii)アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR2;及び/又は
c)(i)アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)又は(ii)アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列RVRYDYとわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかを含む又はそれから本質的になるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(当技術分野において公知の通り)を用いて、細胞ベースのアッセイ(当技術分野において公知の通り)により、インビボアッセイにより決定することができる。
【0216】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0217】
好ましくは、そのような14D5様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれa)及びb)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれa)及びc)の下に定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれb)及びc)の下に定義される通りである。より好ましくは、そのような14D5様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれa)、b)、及びc)の下に定義される通りである。再び、そのような14D5様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイを用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0218】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0219】
例えば、そのような14D5様配列において:CDR1が、アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)(それぞれb)及びc)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)(それぞれa)及びc)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列RVRYDY(それぞれa)及びc)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;特に、14D5様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR2が、アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)(上のc)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)(上の(b)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)を含みうる又はそれから本質的になりうる、及び、CDR3が、アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)(上のa)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)を含みうる又はそれから本質的になりうる。再び、そのような14D5様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0220】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0221】
具体的に好ましい局面において、「14D5様配列」、「14D5様ISV」、又は「14D5様構築ブロック」は、以下を含むISVである:
d)(i)アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)又は(ii)アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)とわずか3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR1;及び/又は
e)(i)アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)又は(ii)アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR2;及び/又は
f)(i)アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)又は(ii)アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、又は95%を上回る配列同一性を有するアミノ酸配列;又は(iii)アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)とわずか7、6、5、4、3、2、又は1アミノ酸の違い(本明細書において定義する通り)を有するアミノ酸配列のいずれかであるCDR3;
ここで、そのようなISV中に存在するフレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りであり、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0222】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0223】
好ましくは、この具体的に好ましい局面に従った14D5様配列において、CDR1及びCDR2は、それぞれd)及びe)の下に定義される通りであり;又は、CDR1及びCDR3は、それぞれ、d)及びf)の下で定義される通りであり;又は、CDR2及びCDR3は、それぞれ、e)及びf)の下で定義される通りである。より好ましくは、そのような14D5様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、全て、それぞれ、d)、e)、及びf)の下で定義される。再び、そのような14D5様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0224】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0225】
例えば、この具体的に好ましい局面に従った14D5様配列において:CDR1が、アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)(それぞれe)及びf)の下に定義される通りであるCDR2及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)(それぞれd)及びf)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR3が、アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)(それぞれd)及びe)の下に定義される通りであるCDR1及びCDR2を伴う)である。特に、14D5様配列がこの局面に従う場合:CDR1が、アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)であり、及び、CDR2が、アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)(上のf)の下に定義される通りであるCDR3を伴う)であり;及び/又は、CDR1が、アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)(上のe)の下に定義される通りであるCDR2を伴う)であり;及び/又は、CDR2が、アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)であり、及び、CDR3が、アミノ酸配列RVRYDY(上のd)の下に定義される通りであるCDR1を伴う)である。再び、そのような14D5様配列において、CDR1、CDR2、及びCDR3は、好ましくは、14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0226】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0227】
特に好ましい14D5様配列において:CDR1が、アミノ酸配列SYAMG(配列番号46)であり、CDR2が、アミノ酸配列RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)であり;及び、CDR3が、アミノ酸配列RVRYDY(配列番号102)である。
【0228】
このセクションE)において記載する全ての14D5様配列において、フレームワーク配列は、本明細書においてさらに記載する通りでありうる。好ましくは、フレームワーク配列は、フレームワーク配列が、14D5のフレームワーク配列と少なくとも80%、例えば少なくとも85%など、例えば、少なくとも90%、例えば少なくとも95%などの配列同一性を有するようにする(それは、例えば、所与の配列と、14D5の配列との配列同一性の全体の程度を決定することにより決定することができ、算出においてCDRは無視する)。再び、所与の配列中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、好ましくは、結果として得られる14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0229】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0230】
1つの特定の局面において、14D5様配列は、配列番号6と少なくとも70%、例えば少なくとも80%など、例えば、少なくとも85%、例えば少なくとも90%など、又は95%を上回る配列同一性を有するISVである。例えば、この局面に従った14D5様配列において、CDRは、上に記載する具体的に好ましい局面に従いうる、特に(しかし、限定を伴わず)、SYAMG(配列番号46)(CDR1);RIYTGGTAWYEDSVKG(配列番号74)(CDR2);及びRVRYDY(配列番号102)(CDR3)でありうる。再び、好ましくは、そのような14D5様ISV中に存在するCDR及びフレームワークの組み合わせは、結果として得られる14D5様ISVが調節活性を有するようにし、それは、当業者に公知の任意の適したアッセイにより、例えば、Alphascreenアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)を用いて、又は細胞ベースのアッセイ(例えば、本明細書において記載する通り、など)により決定することができる。
【0231】
好ましくは、調節活性を、14D5様ISVを用いて注射したマウスからの脾臓細胞及び肝臓細胞中でのCD27のATP誘導性切断放出又はPS外在化の調節により決定する(例えば、実施例2.2において記載する通り、など)。好ましくは、14D5様ISVは、抗有足細胞誘導性の腎炎モデルにおいて決定される調節活性を有する(実施例3において記載する通り)。
【0232】
1つの特別な局面において、任意の14D5様配列は、本明細書においてさらに記載する通り、ヒト化及び/又は配列最適化されうる。
【0233】
実施例1.5において記載する通り、本発明のISVを、異なるエピトープビン又はファミリー中に、本明細書において詳述する通りの交差遮断分析を用いてグループ化することができる。グループAのISVは、1c81様ISV及び1c113様ISVにより表され、グループBのISVは、3c23様ISVにより表される。
【0234】
実施例1.4において記載する通り、本発明のISVを、交差反応性の存在又は非存在に基づいてグループ化することができる。「ヒト特異的」ISVは、3c23様ISV及び1c113様ISVにより表される;「ヒト/ラット/マウス特異的」ISVは、1c81様ISVにより表される;「マウス特異的」ISVは、13A7様ISV及び14D5様ISVにより表される。
【0235】
一般的に、免疫グロブリン単一可変ドメイン(特に、VHH配列及び配列最適化された免疫グロブリン単一可変ドメイン)は、特に、フレームワーク配列(再び、本明細書においてさらに記載する通り)の1つ以上における1つ以上の「ホールマーク残基」(本明細書において記載する通り)の存在により特徴付けることができる。
【0236】
このように、一般的に、免疫グロブリン単一可変ドメインは、(一般的な)構造
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
を伴うアミノ酸配列として定義することができ、
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を指し、及び、ここでCDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を指す。
【0237】
好ましい局面において、本発明は、(一般的な)構造
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
を伴うアミノ酸配列である少なくとも免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドを提供し、
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を指し、及び、ここでCDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を指し、及び、ここで:
i)Kabatナンバリングに従った位置11、37、44、45、47、83、84、103、104、及び108のアミノ酸残基の少なくとも1つが、下の表A−1において言及されるホールマーク残基より選ばれる;及び、ここで:
ii)前記アミノ酸配列が、WO2009/138519に示す通りの免疫グロブリン単一可変ドメイン(WO2009/138519における配列番号1〜125を参照のこと)の少なくとも1つと少なくとも80%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%のアミノ酸同一性を有し、ここで、アミノ酸同一性の程度を決定する目的のために、CDR配列を形成するアミノ酸残基(配列中でXを用いて示される)を無視し;及び、ここで:
iii)CDR配列は、一般的に、本明細書においてさらに定義する通りであり(例えば、表(B−2)中に提供する通り、組み合わせにおけるCDR1、CDR2、及びCDR3。CDRの定義は、Kabatナンバリングシステムに従って算出されることに注意すること)。
【0238】
【表1】
【0239】
再び、そのような免疫グロブリン単一可変ドメインは、任意の適した様式において、及び、任意の適した供給源から由来しうるが、例えば、自然発生するVHH配列(即ち、ラクダの適した種、例えばラマから)又は合成もしくは半合成VHもしくはVL(例えば、ヒトから)でありうる。そのような免疫グロブリン単一可変ドメインは、「ヒト化」又は、そうでなければ、「配列最適化された」VHH、「ラクダ化」免疫グロブリン配列(及び特にラクダ化重鎖可変ドメイン配列、即ち、ラクダ化VH)、ならびに、技術、例えば親和性成熟(例えば、合成、無作為、又は自然発生する免疫グロブリン配列から開始する)、CDR移植、ベニヤリング、異なる免疫グロブリン配列から由来するフラグメントの組み合わせ、重複プライマーを使用したPCRアセンブリー、及び当業者に周知の免疫グロブリン配列を操作するための同様の技術;又は、本明細書においてさらに記載する通りの前述のもののいずれかの任意の適した組み合わせなどにより変えられている、ヒトVH、ヒトVL、ラクダVHHを含みうる。
【0240】
本発明は、P2X7への結合のために特に適したアミノ酸残基(配列番号34〜47、配列番号62〜75、及び配列番号90〜103;表B−1)のストレッチを提供する。アミノ酸残基のこれらのストレッチは、特に、それらが、本発明のポリペプチドの抗原結合部位(の部分)を形成するような方法において、本発明のポリペプチド中に存在する、及び/又はその中に組み入れてもよい。アミノ酸残基のこれらのストレッチは、重鎖抗体のCDR配列又はP2X7に対して産生されたVHH配列として生成されている。アミノ酸残基のこれらのストレッチは、また、本明細書において「本発明のCDR配列」として言及される(即ち、それぞれ「本発明のCDR1配列」、「本発明のCDR2配列」、及び「本発明のCDR3配列」)。
【0241】
しかし、本発明は、アミノ酸残基のこれらのストレッチによって、本発明のポリペプチドが、特定の親和性及び効力(本明細書において定義する通り)を用いてP2X7に結合することを許す限り、その最も広い意味において、アミノ酸残基のこれらのストレッチが、本発明のポリペプチド中に有しうる特定の構造的役割又は機能に限定されないことに注意すべきである。このように、一般的に、本発明は、その最も広い意味において、特定の指定された親和性、結合力、有効性、及び/又は効力を伴いP2X7に結合することが可能である、ならびに、本明細書において記載する通りの1つ以上のCDR配列、特に2つ又はそれ以上のそのようなCDR配列の適した組み合わせを含み、互いに、1つ以上のさらなるアミノ酸配列を介して適切に連結され、全ポリペプチドが、P2X7へ結合することが可能である結合ドメイン及び/又は結合単位を形成するようにする、一価ポリペプチド(また、本明細書において、「本発明の一価ポリペプチド」として言及される)を提供する。しかし、本発明の一価ポリペプチド中でのわずか1つのそのようなCDR配列の存在は、それ自体が既に、本発明の一価ポリペプチドに、P2X7への結合の能力を提供するために十分でありうることに注意すべきである;参照が、例えば、再び、WO03/050531に記載されている、いわゆる「促進(Expedite)フラグメント」に作られる。
【0242】
このように、特定の、しかし、非限定的な局面において、本発明の一価ポリペプチドは、以下からなる群より選ばれるアミノ酸残基の少なくとも1つのストレッチを含みうる:CDR1配列:
a)配列番号34〜47;
b)配列番号34〜47のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
c)配列番号34〜47のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ;
及び/又はCDR2配列:
d)配列番号62〜75;
e)配列番号62〜75のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
f)配列番号62〜75のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ;
及び/又はCDR3配列:
g)配列番号90〜103;
h)配列番号90〜103のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
i)配列番号90〜103のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ。
【0243】
アミノ酸残基の上の指定されたストレッチの1つ以上を含む一価ポリペプチドは、改善された特性、例えば、改善された結合特徴(K
D値(実際の又は見かけ上の)、K
A値(実際の又は見かけ上の)、k
on率及び/又はk
off率、あるいは、代わりに、IC
50値として適切に測定及び/又は表現され、本明細書においてさらに記載する通り)、P2X7についての改善された親和性及び/又は改善された結合力、ならびにP2X7を調節するための改善された有効性及び/又は効力などを示す。
【0244】
さらに特に、アミノ酸残基の上の指定されたストレッチの1つ以上を含む一価ポリペプチドは、親和性(K
D値(実際の又は見かけ上の)、K
A値(実際の又は見かけ上の)、k
on率及び/又はk
off率、あるいは、代わりに、IC
50値として適切に測定及び/又は表現され、本明細書においてさらに記載する通り)を伴い、タンパク質P2X7に結合することができ、好ましくは、それらは:
− 1000nM〜1nM又はそれ以下、好ましくは100nM〜1nM又はそれ以下、より好ましくは15nM〜1nM又はさらに10nM〜1nM又はそれ以下の会合定数(K
D)を伴い、P2X7に結合するようにし;
及び/又は、それらは:
− 10
4M
-1s
-1〜約10
7M
-1s
-1の間、好ましくは10
5M
-1s
-1と10
7M
-1s
-1の間、より好ましくは10
6M
-1s
-1又はそれ以上のkon率を伴い、P2X7に結合するようにし;
及び/又は、それらは:
− 10
−2s
-1(t
1/2=0.69s)と10
−4s
-1の間(複数の日のt
1/2を伴う不可逆的に近い結合体を提供する)、好ましくは10
−3s
-1と10
−4s
-1又はそれ以下のkoff率を伴い、P2X7に結合するようにする。
【0245】
P2X7への本発明の一価ポリペプチドの結合のための一部の好ましいIC
50値が、本明細書におけるさらなる記載及び実施例から明らかになるであろう。IC
50を決定するためのアッセイは、ELISAにおける結合を含む。
【0246】
特に、本発明の一価ポリペプチドは、1つの抗原結合部位を含む一価ポリペプチドでありうるが、ここで、前記抗原結合部位は、上に記載する通りのCDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列(又はそれらの任意の適した組み合わせ)からなる群より選ばれるアミノ酸残基の少なくとも1つのストレッチを含む。好ましい局面において、しかし、本発明の一価ポリペプチドは、本発明のCDR1配列、本発明のCDR2配列、及び/又は本発明のCDR3配列からなる群より選ばれたアミノ酸残基の1つ以上、例えば2つ以上のストレッチを含む。好ましくは、本発明の一価ポリペプチドは、それぞれ、本発明のCDR1配列、本発明のCDR2配列、及び本発明のCDR3配列からなる群より選ばれたアミノ酸残基の3つのストレッチを含む。本発明の一価ポリペプチドについて好ましいとして、本明細書において記述されるCDRの組み合わせを、表B−1中に列挙する。
【0247】
本発明が、本発明の一価ポリペプチドの(又は、それを発現させるために使用された、本発明の核酸の)起源に関して、また、本発明の一価ポリペプチド又は核酸が生成又は入手される(されてきた)方法に関して、限定されないことに注意すべきである。このように、本発明の一価ポリペプチドは、自然発生する一価ポリペプチド(任意の適した種から)又は合成もしくは半合成一価ポリペプチドでありうる。
【0248】
さらに、また、上に記述するCDRの1つ以上以上を、他の「スキャフォールド」(しかし、限定しないが、ヒトスキャフォールド又は非免疫グロブリンスキャフォールドを含む)上に「移植」することが可能であることが、当業者に明らかであろう。そのようなCDR移植のための適したスキャフォールド及び技術は、当業者に明かであり、当技術分野において周知であり、例えば、US7,180,370、WO01/27160、EP0605522、EP0460167、US7,054,297、Nicaise et al.(Protein Science 13: 1882-1891, 2004)、Ewert et al.(Methods 34: 184-199, 2004)、Kettleborough et al.(Protein Eng. 4: 773-783, 1991)、O'Brien and Jones(Methods Mol.Biol. 207: 81-100, 2003)、Skerra(J. Mol. Recognit. 13: 167-187, 2000)、及びSaerens et al.(J. Mol. Biol. 352: 597-607, 2005)ならびに本明細書において引用するさらなる参考文献を参照のこと。例えば、マウス又はラットCDRを、ヒトフレームワーク及びスキャフォールド上に移植するための、それ自体が公知の技術を、類似の様式において使用し、本発明の一価ポリペプチドについて本明細書において定義するCDR配列の1つ以上及び1つ以上のヒトフレームワーク領域又は配列を含むキメラタンパク質を提供することができる。アミノ酸配列を提示するための適したスキャフォールドが、当業者に明らかでありうるが、例えば、限定を伴わず、免疫グロブリンに基づく又はそれに由来する結合スキャフォールド(即ち、本明細書において既に記載した免疫グロブリン配列以外)、プロテインAドメインに由来するタンパク質スキャフォールド(例えばAffibodies(商標)など)、テンダミスタット、フィブロネクチン、リポカリン、CTLA−4、T細胞受容体、設計されたアンキリン反復、アビマー及びPDZドメイン(Binz et al.Nat.Biotech., 23: 1257, 2005)、ならびにDNA又はRNAに基づく結合部分(しかし、限定しないが、DNA又はRNAアプタマーを含む)(Ulrich et al.Comb.Chem. High Throughput Screen 9: 619-32, 2006)を含む。
【0249】
本発明の前記の一価ポリペプチドにおいて、CDRを、さらなるアミノ酸配列に連結してもよく、及び/又は、互いに、アミノ酸配列を介して連結してもよく、ここで、前記アミノ酸配列は、好ましくは、フレームワーク配列である、又は、フレームワーク配列として作用する、もしくはCDRを提示するためのスキャフォールドを一緒に形成するアミノ酸配列である。
【0250】
好ましいが、しかし、非限定的な実施態様に従い、本発明の一価ポリペプチドは、少なくとも2つのフレームワーク配列に連結された少なくとも3つのCDR配列を含み、ここで、好ましくは、3つのCDR配列の少なくとも1つが、CDR3配列であり、他の2つのCDR配列は、CDR1又はCDR2配列であり、好ましくは、1つのCDR1配列及び1つのCDR2配列である。1つの具体的に好ましいが、しかし、非限定的な実施態様に従い、本発明の一価ポリペプチドは、構造FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4を有し、ここで、CDR1、CDR2、及びCDR3は、本発明の一価ポリペプチドについて本明細書において定義する通りであり、FR1、FR2、FR3、及びFR4は、フレームワーク配列である。本発明のそのような一価ポリペプチドにおいて、フレームワーク配列は、任意の適したフレームワーク配列でありうるが、適したフレームワーク配列の例が、例えば、標準的なハンドブックならびに本明細書において言及するさらなる開示及び先行技術に基づき、当業者に明かであろう。
【0251】
したがって、本発明は、また、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1からFR4)及び3つの相補性決定領域(それぞれCDR1からCDR3)から本質的になる、P2X7に対する一価ポリペプチドに関し、ここで:CDR1は、以下からなる群より選ばれる:
a)配列番号34〜47;
b)配列番号34〜47のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
c)配列番号34〜47のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ;
及び/又は
CDR2は、以下からなる群より選ばれる:
d)配列番号62〜75;
e)配列番号62〜75のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
f)配列番号62〜75のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ;
及び/又は
CDR3は、以下からなる群より選ばれる:
g)配列番号90〜103;
h)配列番号90〜103のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
i)配列番号90〜103のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ。
【0252】
特に、この好ましいが、しかし、非限定的な局面に従い、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1からFR4)及び3つの相補性決定領域(それぞれCDR1からCDR3)からなる、P2X7に対する一価ポリペプチドに関し、ここで:CDR1は、以下からなる群より選ばれる:
a)配列番号34〜47;
b)配列番号34〜47のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
c)配列番号34〜47のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ;
及び
CDR2は、以下からなる群より選ばれる:
d)配列番号62〜75;
e)配列番号62〜75のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
f)配列番号62〜75のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ;
及びCDR3は、以下からなる群より選ばれる:
g)配列番号90〜103;
h)配列番号90〜103のアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも80%アミノ酸同一性を有するアミノ酸配列のストレッチ;
i)配列番号90〜103のアミノ酸配列の少なくとも1つと3、2、又は1つのアミノ酸の違いを有するアミノ酸配列のストレッチ。
【0253】
本発明は、また、CDR配列が、配列番号6〜19のアミノ酸配列の少なくとも1つと、少なくとも70%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも80%のアミノ酸同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性、例えば95%のアミノ酸同一性又はそれ以上など、あるいはさらに(本質的に)100%のアミノ酸同一性を有する、一価ポリペプチドに関する。
【0254】
1つの特定の、しかし、非限定的な局面において、本発明の一価ポリペプチドは、免疫グロブリンフォールドを含む一価ポリペプチド又は、適した条件(例えば生理学的条件など)下で、免疫グロブリンフォールドを形成する(即ち、フォールディングにより)ことが可能である一価ポリペプチドでありうる。とりわけ、Halaby et al.(J. Protein Eng. 12: 563-71, 1999)によるレビューが参照される。好ましくは、免疫グロブリンフォールドを形成するように、適当にフォールドされた場合、アミノ酸残基のストレッチは、P2X7に結合するための抗原結合部位を適当に形成することが可能でありうる。
【0255】
したがって、フレームワーク配列は、好ましくは、免疫グロブリンフレームワーク配列又は免疫グロブリンフレームワーク配列に由来しているフレームワーク配列(の適した組み合わせ)である(例えば、配列最適化、例えばヒト化又はラクダ化などによる)。例えば、フレームワーク配列は、免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば軽鎖可変ドメイン(例えば、VL配列)などに及び/又は重鎖可変ドメイン(例えば、VH配列)に由来するフレームワーク配列でありうる。1つの特に好ましい局面において、フレームワーク配列は、VHH配列に由来しているフレームワーク配列(ここで、前記フレームワーク配列は、場合により、部分的に又は完全にヒト化しうる)である、又は、ラクダ化されている従来のVH配列(本明細書において定義する通り)のいずれかである。
【0256】
フレームワーク配列が、好ましくは、本発明の一価ポリペプチドが、免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばドメイン抗体(又は、ドメイン抗体としての使用のために適しているアミノ酸配列)などである;単一ドメイン抗体(又は、単一ドメイン抗体としての使用のために適しているアミノ酸)である;「dAb」(又は、「dAb」としての使用のために適しているアミノ酸)である;又はナノボディ(登録商標)(しかし、限定しないが、VHHを含む)であるようにしうる。再び、適したフレームワーク配列が、標準的なハンドブックならびに本明細書において言及するさらなる開示及び先行技術に基づき、当業者に明かであろう。
【0257】
特に、本発明の一価ポリペプチド中に存在するフレームワーク配列は、本発明の一価ポリペプチドがナノボディであるように、1つ以上のホールマーク残基(WO08/020079(表A−3〜A−8)中で定義される通り)を含みうる。そのようなフレームワーク配列(の適した組み合わせ)の好ましいが、しかし、非限定的な例が、本明細書におけるさらなる開示から明らかになるであろう(例えば、表B−1を参照のこと)。一般的には、ナノボディ(特に、VHH配列及び部分的にヒト化したナノボディ)は、特に、フレームワーク配列の1つ以上における1つ以上の「ホールマーク残基」の存在により特徴付けることができる(例えば、WO08/020079、61ページ、24行から98ページ、3行においてさらに記載される通り)。
【0258】
さらに特に、ナノボディは、(一般的な)構造
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
を伴う免疫グロブリン単一可変ドメイン及び/又はポリペプチドでありうるが、
ここで、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を指し、及び、ここで、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を指し、及び、それらは:
i)配列番号6〜19(表B−3を参照のこと)のアミノ酸配列の少なくとも1つと、少なくとも80%のアミノ酸同一性を有し、ここで、アミノ酸同一性の程度を決定する目的のために、CDR配列を形成するアミノ酸残基を無視する。この点において、参照が、また、表B−1に作られ、それは、配列番号6〜19(表B−3を参照のこと)の免疫グロブリン単一可変ドメインのフレームワーク1配列(配列番号20〜33)、フレームワーク2配列(配列番号48〜61)、フレームワーク3配列(配列番号76〜89)、及びフレームワーク4配列(配列番号104〜117)を列挙する;又は
ii)表B−1中に描写する通りのフレームワーク配列の組み合わせ;
及び、ここで:
iii)好ましくは、Kabatナンバリングに従った位置11、37、44、45、47、83、84、103、104、及び108でのアミノ酸残基の1つ以上が、WO08/020079の表A−1から表A−8中で言及するホールマーク残基より選ばれる。
【0259】
好ましい局面において、本発明は、配列番号6〜19のいずれかより選択される免疫グロブリン単一可変ドメイン又は一価ポリペプチドを提供する。
【0260】
本発明は、また、配列番号6〜19を伴う免疫グロブリン単一可変ドメインのいずれか1つと同じエピトープビンに属する一価ポリペプチドを提供する。したがって、本発明は、また、配列番号6〜19を伴う免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも1つのP2X7への結合を交差遮断する、及び/又は、配列番号6〜19を伴う免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも1つによるP2X7への結合を交差遮断する、P2X7に対して向けられた一価ポリペプチドに関する。
【0261】
再び、そのような一価ポリペプチドは、任意の適した様式において、任意の適した供給源から由来する免疫グロブリン単一可変ドメインでありうるが、自然発生するVHH配列(即ち、適した種のラクダのから)又は合成もしくは半合成アミノ酸配列(しかし、限定しないが、「ヒト化」(本明細書において定義する通り)ナノボディ又はVHH配列、「ラクダ化」(本明細書において定義する通り)免疫グロブリン配列(及び特にラクダ化重鎖可変ドメイン配列)、ならびに、技術、例えば親和性成熟(例えば、合成、無作為、又は自然発生する免疫グロブリン配列から開始する)、CDR移植、ベニヤリング、異なる免疫グロブリン配列から由来するフラグメントの組み合わせ、重複プライマーを使用したPCRアセンブリー、及び当業者に周知の免疫グロブリン配列を操作するための同様の技術;又は、本明細書においてさらに記載する通りの前述のもののいずれかの任意の適した組み合わせなどにより得られたナノボディでありうる。また、免疫グロブリン単一可変ドメインがVHH配列を含む場合、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインは、適切にヒト化してもよく(本明細書においてさらに記載する通り)、本発明の1つ以上のさらなる(部分的又は完全)ヒト化免疫グロブリン単一可変ドメインを提供するようにする。同様に、免疫グロブリン単一可変ドメインが、合成又は半合成配列(例えば部分的にヒト化された配列など)を含む場合、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインは、場合により、さらに適切にヒト化してもよく(再び、本明細書において記載する通り)、再び、本発明の1つ以上のさらなる(部分的又は完全)ヒト化免疫グロブリン単一可変ドメインを提供するようにする。
【0262】
本発明のこれらの一価ポリペプチド、及び特に本発明のCDR配列を含む免疫グロブリン単一可変ドメインは、多価ポリペプチドの調製のための構築ブロック又は結合単位としての使用のために特に適する。
【0263】
したがって、P2X7に結合する本発明の一価ポリペプチドは、本質的に単離された形態(本明細書において定義する通り)でありうる、あるいは、それらは、タンパク質又はポリペプチドの部分を形成しうる、それは、P2X7に結合する1つ以上の一価ポリペプチドを含みうる又はそれから本質的になり、場合により、1つ以上のさらなるアミノ酸配列(全てが、場合により、1つ以上の適したリンカーにより連結される)をさらに含みうる。本発明は、また、本発明の1つ以上の一価ポリペプチド(又はその適したフラグメント)を含む又はそれから本質的になるタンパク質又はポリペプチドに関する。
【0264】
本発明の1つ以上の一価ポリペプチドは、このように、そのようなタンパク質又はポリペプチドにおいて結合単位又は構築ブロックとして使用され、それぞれ、本発明の一価、多価、又はマルチパラトープポリペプチドを提供するようにする(全てが、本明細書において記載する通り)。本発明は、このように、また、本発明の1つの一価ポリペプチドを含む又はそれから本質的になる一価コンストラクトであるポリペプチドに関する。本発明は、このように、また、本発明の2つ又はそれ以上の一価ポリペプチドを含む又はそれから本質的になる多価ポリペプチド、例えば二価又は三価ポリペプチドであるポリペプチドに関する(1つ以上のVHHドメインを含む多価及び多特異的ポリペプチドならびにそれらの調製については、また、Conrath et al., J. Biol. Chem. 276: 7346-7350, 2001、ならびに、例えば、WO96/34103、WO99/23221、及びWO2010/115998が参照される)。
【0265】
上のさらなる記載から及び本明細書において明らかでありうる通り、本発明のアミノ酸配列(又はISV)が、本発明のポリペプチドを形成するための「構築ブロック」として、即ち、それらを、互いに、1つ以上を、本発明の他のアミノ酸配列と、ならびに/あるいは1つ以上の他の基、残基、部分、又は結合単位と適切に組み合わせることにより、本明細書において記載する通りの化合物又はコンストラクト(例えば、限定を伴わず、本明細書において記載する、本発明のバイパラトープ、二/多価、及び二/多特異的ポリペプチドなど)を形成するために使用することができ、それは、1つの分子内で、1つ以上の所望の特性又は生物学的機能を組み合わせる。
【0266】
本発明により提供される遮断ポリペプチド又はISVは、優先的に、炎症(例えばMS又は腎炎など)を低下させる。
【0267】
したがって、本発明は、それらの各々が、P2X7、好ましくはヒトP2X7(本明細書において「P2X7」として言及される)に特異的に結合する、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む又は本質的にそれからなるポリペプチドを提供する。そのようなポリペプチドは、また、本明細書において、「本発明の多価ポリペプチド」として言及される。2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、場合により、1つ以上のペプチドリンカーを介して連結されうる。
【0268】
好ましくは、多価ポリペプチドは、P2X7に対して向けられる2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含み、ここで、P2X7に対して向けられる「第1の」免疫グロブリン単一可変ドメイン及びP2X7に対して向けられる「第2の」免疫グロブリン単一可変ドメインは、同じ又は異なるパラトープを有する。後者のポリペプチドは、また、本明細書において、「本発明のマルチパラトープポリペプチド」として言及される。したがって、本発明は、P2X7に対して向けられる2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む又はそれからなるポリペプチドに関し、ここで、P2X7に対して向けられる「第1の」免疫グロブリン単一可変ドメイン及びP2X7に対して向けられる「第2の」免疫グロブリン単一可変ドメインは、異なるパラトープを有する。そのようなポリペプチドは、P2X7上の異なるエピトープに対して向けられる2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む又はそれからなる。より具体的には、そのようなポリペプチドは、P2X7上の第1エピトープに対して向けられる少なくとも1つの「第1の」免疫グロブリン単一可変ドメイン及びP2X7上の第1エピトープとは異なるP2X7上の第2エピトープに対して向けられる少なくとも1つの「第2の」免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。好ましくは、本発明のこれらのマルチパラトープポリペプチドは、バイパラトープ又はトリパラトープポリペプチド(また、本明細書において、「本発明のバイパラトープ」及び「本発明のトリパラトープ」として言及される)である(本明細書において定義する通り)。本発明に従い特に好ましいバイパラトープポリペプチドは、本明細書において記載する実施例及び表B−4において示すものである。
【0269】
少なくとも2つのナノボディを含む本発明のポリペプチド、ここで、少なくとも1つのナノボディは、第1抗原に対して(即ち、P2X7に対して)向けられ、少なくとも1つのナノボディは、第2抗原に対して(即ち、P2X7とは異なる)向けられ、また、本発明の「多特異的」ポリペプチドとして言及され、そのようなポリペプチド中に存在するナノボディは、また、本明細書において、「多特異的フォーマット」中にあるとして言及される。このように、例えば、本発明の「二特異的」ポリペプチドは、第1抗原(即ち、P2X7)に対して向けられた少なくとも1つのナノボディ及び第2抗原(即ち、P2X7とは異なる)に対して向けられた少なくとも1つのさらなるナノボディを含むポリペプチドであるのに対し、本発明の「三特異的」ポリペプチドは、第1抗原(即ち、P2X7)に対して向けられた少なくとも1つのナノボディ、第2抗原(即ち、P2X7とは異なる)に対して向けられた少なくとも1つのさらなるナノボディ、及び第3抗原(即ち、P2X7とは異なる)に対して向けられた少なくとも1つのさらなるナノボディなどを含むポリペプチドである。
【0270】
したがって、その最も単純な形態において、本発明の二特異的ポリペプチドは、本発明の二価ポリペプチド(本明細書において定義する通り)であり、P2X7に対して向けられた第1ナノボディ、及び第2抗原に対して向けられた第2ナノボディを含み、ここで、前記の第1及び第2ナノボディが、場合により、リンカー配列を介して連結されるのに対し(本明細書において定義する通り);本発明の三特異的ポリペプチドは、その最も単純な形態において、本発明の三特異的ポリペプチドであり(本明細書において定義する通り)、P2X7に対して向けられた第1ナノボディ、第2抗原に対して向けられた第2ナノボディ、及び第3抗原に対して向けられた第3ナノボディを含み、ここで、前記の第1、第2、及び第3ナノボディは、場合により、1つ以上、特に1つ及び複数、特に2つのリンカー配列を介して連結されうる。
【0271】
P2X7に対して向けられた少なくとも2つのナノボディを含む本発明のポリペプチドは、ここで、少なくとも1つの「第1」ナノボディが、P2X7(例えば、hP2X7)の第1抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられ;及び、ここで、少なくとも1つの「第2」ナノボディが、第1とは異なる、前記P2X7の第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造(例えば、hP2X7)に対して向けられ、そのようなポリペプチド中に存在するナノボディは、また、本明細書において、「マルチパラトープフォーマット」中にあるとして言及される。このように、例えば、本発明の「バイパラトープ」ポリペプチドは、抗原(即ち、P2X7)の第1抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた少なくとも1つのナノボディ及び第1とは違う前記抗原(即ち、同じP2X7)の第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた少なくとも1つのさらなるナノボディを含むポリペプチドであるのに対し、本発明の「トリパラトープ」は、抗原(即ち、P2X7)の第1抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた少なくとも1つのナノボディ、第1とは異なる前記抗原(即ち、同じP2X7)の第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた少なくとも1つのさらなるナノボディ、ならびに、しかし、前記抗原の前記第1及び前記第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造とは異なる抗原(即ち、同じP2X7)の第3抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた少なくとも1つのさらなるナノボディなどを含むポリペプチドである。
【0272】
したがって、その最も単純な形態において、本発明のバイパラトープポリペプチドは、本発明の二価ポリペプチド(本明細書において定義する通り)であり、P2X7の第1抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた第1ナノボディ、及び、第1とは異なる前記P2X7の第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた第2ナノボディを含み、ここで、前記第1及び前記第2ナノボディは、場合により、リンカー配列(本明細書において定義する通り)を介して連結されうるのに対し;本発明のトリパラトープポリペプチドは、その最も単純な形態において、本発明の三価ポリペプチド(本明細書において定義する通り)であり、P2X7の第1抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた第1ナノボディ、及び、第1とは異なる、前記P2X7の第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造(例えば、同じP2X7)に対して向けられた第2ナノボディ、しかし、前記第1及び前記第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造とは異なる同じP2X7の第3抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられた第3ナノボディを含み、ここで、前記第1、第2、及び第3ナノボディは、場合により、1つ以上の、特に1つ及び複数の、特に2つのリンカー配列を介して連結されうる。
【0273】
しかし、本明細書における上の記載から明かな通り、本発明は、本発明の多特異的ポリペプチドが、P2X7に対する少なくとも1つのナノボディ、及びP2X7とは異なる1つ以上の抗原に対して向けられた任意の数のナノボディを含みうるという意味において、それに限定されない。
【0274】
さらに、本発明のポリペプチドにおける種々のナノボディの特定の順番又は配置が、本発明の最終的なポリペプチドの特性(しかし、限定しないが、P2X7についての、あるいは1つ以上の他の抗原に対する親和性、特異性、又は結合力を含む)に対して特定の影響を有しうることが、本発明の範囲内に包含されるが、前記順番又は配置は、通常、決定的ではなく、場合により、本明細書における開示に基づく一部の限定的なルーチン実験後、当業者により適切に選ばれうる。このように、参照が、本発明の特定の多価又は多特異的ポリペプチドに作られる場合、これが、他に明示しない限り、関連するナノボディの任意の順番又は配置を包含することに注意すべきである。
【0275】
最終的に、また、本発明のポリペプチドが、2つ又はそれ以上のナノボディ及び1つ以上のさらなるアミノ酸配列(本明細書において言及する通り)を含むことが、本発明の範囲内である。
【0276】
1つ以上のVHHドメイン及びそれらの調製物を含む多価及び多特異的ポリペプチドについて、また、Conrath et al., J. Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001; Muyldermans, Reviews in Molecular Biotechnology 74 (2001), 277-302;ならびに、例えば、WO96/34103及びWO99/23221が参照される。本発明の一部の特定の多特異的及び/又は多価ポリペプチドの一部の他の例が、本明細書において参照されるAblynx N.V.による出願において見出すことができる。
【0277】
本発明の化合物又はポリペプチドは、一般的に、本発明の1つ以上のアミノ酸配列(又はISV)を、1つ以上のさらなる基、残基、部分、又は結合単位に、場合により、1つ以上の適したリンカーを介して、適切に連結する少なくとも1つの工程を含む方法により調製することができ、本発明の化合物又はポリペプチドを提供する。本発明のポリペプチドは、また、一般的に、本発明のポリペプチドをコードする核酸を提供し、前記核酸を適した様式において発現させ、及び本発明の発現ポリペプチドを回収する工程を少なくとも含む方法により調製することができる。そのような方法は、それ自体が公知の様式において実施することができ、それは、当業者に明らかであろうが、例えば、本明細書においてさらに記載する方法及び技術に基づく。
【0278】
本明細書において「好ましい」(又は「より好ましい」、又は「さらにより好ましい」、など)として言及されるナノボディ(又はISV)が、また、本明細書において記載するポリペプチド中での使用のために好ましい(又はより好ましい、又はさらにより好ましい、など)ことが当業者に明かであろう。このように、本発明の1つ以上の「好ましい」ナノボディ(又はISV)を含む又はそれから本質的になるポリペプチドが、一般的に好ましく、本発明の1つ以上の「より好ましい」免疫グロブリン単一可変ドメインを含む又はそれから本質的になるポリペプチドが、一般的により好ましい、など。
【0279】
本発明の1つの特定の局面において、本発明のナノボディ(又はISV)又は本発明の少なくとも1つのナノボディ(又はISV)を含む、本発明の化合物、コンストラクト、もしくはポリペプチドは、本発明の対応するアミノ酸配列と比較し、増加した半減期を有しうる。そのようなナノボディ(又はISV)、化合物、及びポリペプチドの一部の好ましいが、しかし、非限定的な例が、本明細書におけるさらなる開示に基づき、当業者に明らかであろうが、例えば、その半減期を増加するために(例えば、ペグ化を用いて)化学的に修飾された本発明のナノボディ(又はISV)配列又はポリペプチド;血清タンパク質への結合のための少なくとも1つの追加の結合部位を含む本発明のアミノ酸配列(例えば血清アルブミンなど、例えば、EP0368684B1、4ページを参照のこと);又は本発明のナノボディ(又はISV)の半減期を増加する少なくとも1つの部分(及び特に少なくとも1つのアミノ酸配列)に連結された本発明の少なくとも1つのナノボディ(又はISV)を含む本発明のポリペプチドを含む。そのような半減期延長部分又はアミノ酸配列を含む本発明のポリペプチドの例が、本明細書におけるさらなる開示に基づき、当業者に明らかになるであろうが;例えば、限定を伴わず、本発明の1つ以上のナノボディ(又はISV)を、1つ以上の血清タンパク質あるいはそのフラグメント(例えば血清アルブミン又はその適したフラグメントなど)に、あるいは血清タンパク質に結合することができる1つ以上の結合単位(例えば、血清タンパク質、例えば血清アルブミンなど、血清免疫グロブリン、例えばIgGなど、又はトランスフェリンに結合することができるナノボディ(又はISV)又は(単一)ドメイン抗体など)に適切に連結するポリペプチド;本発明のナノボディ(又はISV)を、Fc部分(例えばヒトFcなど)あるいはその適した部分又はフラグメントに連結するポリペプチド;又は、本発明の1つ以上のナノボディ(又はISV)を、血清タンパク質に結合することができる1つ以上の小タンパク質又はペプチド(例えば、限定を伴わず、WO91/01743、WO01/45746、WO02/076489において記載するタンパク質及びペプチドならびにAblynx N.V.の米国仮出願、2006年12月5日出願のAblynx N.V.の表題「Peptides capable of binding to serum proteins」(また、PCT/EP/2007/063348を参照のこと))に連結するポリペプチドを含む。
【0280】
再び、当業者に明かな通り、そのようなナノボディ(又はISV)、化合物、コンストラクト、又はポリペプチドは、1つ又は追加の基、残基、部分、又は結合単位、例えば1つ以上のさらなるアミノ酸配列及び特に1つ以上のナノボディ(又はISV)(即ち、P2X7に対して向けられない)を含んでもよく、多特異的ナノボディ(又はISV)コンストラクトの三特異的ナノボディを提供するようにする。
【0281】
一般的に、増加した半減期を伴う本発明のナノボディ(又はISV)(又は化合物、コンストラクト、もしくはポリペプチド)は、本発明の対応するアミノ酸配列それ自体の半減期よりも、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、例えば少なくとも5倍など、例えば、少なくとも10倍又は20倍を上回る大きい半減期を有する。例えば、増加した半減期を伴う、本発明のナノボディ(又はISV)、化合物、コンストラクト、又はポリペプチドは、本発明の対応するアミノ酸配列それ自体と比較し、1時間を上回る、好ましくは2時間を上回る、より好ましくは6時間を上回る、例えば12時間を上回るなど、あるいはさらに24、48、又は72時間を上回る増加した半減期を有しうる。
【0282】
好ましいが、しかし、非限定的な局面において、本発明のそのようなナノボディ(又はISV)、化合物、コンストラクト、又はポリペプチドは、ヒトにおいて、少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間又はそれ以上の血清中半減期を示す。例えば、本発明の化合物又はポリペプチドは、少なくとも5日(例えば約5〜10日など)、好ましくは少なくとも9日(例えば約9〜14日など)、より好ましくは少なくとも約10日(例えば約10〜15日など)、又は少なくとも約11日(例えば約11〜16日など)、より好ましくは少なくとも約12日(例えば約12〜18日又はそれ以上など)、又は14日を上回る(例えば約14〜19日など)の半減期を有しうる。
【0283】
本発明の別の1つの局面において、本発明のポリペプチドは、結果として得られる本発明のポリペプチドが、血液脳関門を通過することを可能にする1つ以上の(例えば2つ及び、好ましくは、1つの、など)アミノ酸配列に連結された(場合により、1つ以上の適したリンカー配列を介して)本発明の1つ以上の(例えば2つ及び、好ましくは、1つの、など)ナノボディ(又はISV)を含む。特に、結果として得られる本発明のポリペプチドが、血液脳関門を通過することを可能にする前記の1つ以上のアミノ酸配列は、1つ以上の(例えば2つ及び、好ましくは、1つの、など)ナノボディ(又はISV)、例えば、WO02/057445において記載されるナノボディ(又はISV)などでありうるが、その内の、FC44(WO06/040153の配列番号189)及びFC5(WO06/040154の配列番号189)が好ましい例である。
【0284】
一般的に、医薬的使用のために、本発明のポリペプチドは、本発明の少なくとも1つのポリペプチド及び少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体、希釈剤、もしくは賦形剤及び/又はアジュバント、ならびに、場合により、1つ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチド及び/又は化合物を含む、医薬的調製物又は組成物として製剤化されうる。非限定的な例を用いて、そのような製剤は、経口投与のため、非経口投与のために(例えば静脈内、筋肉内、もしくは皮下注射又は静脈内注入などによる)、局所投与のために、吸入による、皮膚パッチによる、インプラントによる、座剤などによる投与のために適した形態でありうるが、ここで、非経口投与が好ましい。そのような適した投与形態(それは、投与の様式に依存して、固形、半固形、又は液体でありうる)ならびに方法及びその調製物中での使用のための担体が、当業者に明らかであろうが、本明細書においてさらに記載する。そのような医薬的調製物又は組成物は、一般的に、本明細書において、「医薬的組成物」として言及されるであろう。非ヒト生物における使用のための医薬的調製物又は組成物は、一般的に、本明細書において、「獣医用組成物」として言及されるであろう。
【0285】
このように、さらなる局面において、本発明は、本発明の少なくとも1つのアミノ酸、本発明の少なくとも1つのポリペプチド、又は本発明の少なくとも1つポリペプチド及び少なくとも1つの適した担体、希釈剤、又は賦形剤(即ち、医薬的使用のために適する)、及び、場合により、1つ以上のさらなる活性物質を含む医薬的組成物に関する。
【0286】
一般的に、本発明のポリペプチドは、それ自体が公知の任意の適した様式において製剤化及び投与することができる。例えば、上に引用する一般的な背景技術(ならびに特にWO04/041862、WO04/041863、WO04/041865、WO04/041867、及びWO08/020079に)ならびに標準的なハンドブック、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Company, USA (1990), Remington, the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition, Lippincott Williams and Wilkins (2005);又はthe Handbook of Therapeutic Antibodies (S. Dubel, Ed.), Wiley, Weinheim, 2007(例えば、252〜255ページを参照のこと)が参照される。
【0287】
本発明のポリペプチドは、従来の抗体及び抗体フラグメント(ScFv及びダイアボディを含む)ならびに他の医薬的に活性なタンパク質のためのそれ自体が公知の任意の様式で製剤化及び投与されうる。これらを調製するためのそのような製剤及び方法は、当業者に明らかであろうが、例えば、非経口投与(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、腔内、動脈内、又はくも膜下腔内投与)のために又は局所(即ち、経皮又は皮内)投与のために適した調製物を含む。
【0288】
非経口投与のための調製物は、例えば、注入又は注射のために適している滅菌溶液、懸濁剤、分散剤、又は乳剤でありうる。そのような調製物のための適した担体又は希釈剤は、例えば、限定を伴わず、WO08/020079の143ページ上に言及されるものを含む。一実施態様において、調製物は水性溶液又は懸濁液である。
【0289】
本発明のポリペプチドは、遺伝子治療からの公知の送達の方法を使用し、投与することができ、例えば、米国特許第5,399,346号
(その遺伝子治療の送達方法のために参考として組み入れられる)を参照。送達の遺伝子治療方法を使用し、本発明のアミノ酸配列、ポリペプチドをコードする遺伝子を用いてトランスフェクトした初代細胞を、追加で、組織特異的プロモーターを用いてトランスフェクトし、特定の器官、組織、移植片、腫瘍、又は細胞を標的とすることができ、加えて、細胞内での局在化した発現のためのシグナル及び安定化配列を用いてトランスフェクトすることができる。
【0290】
このように、本発明のポリペプチドは、全身的に、例えば、医薬的に許容可能な培地(例えば不活性希釈剤又は同化可能な食用担体など)との組み合わせにおいて経口的に投与してもよい。それらは、硬質又は軟質シェルゼラチンカプセル中に封入してもよく、錠剤中に圧縮してもよく、又は患者の食事での食物と直接的に組み入れてもよい。経口的な治療的投与のために、本発明のポリペプチドは、1つ以上の賦形剤と組み合わせてもよく、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウエハなどの形態において使用してもよい。そのような組成物及び調製物は、少なくとも0.1%の本発明のポリペプチドを含むべきである。組成物及び調製物中のそれらのパーセンテージは、もちろん、変動しうるが、便利には、所与の単位投与形態の重量の約2〜約60%の間でありうる。そのような治療的に有用な組成物中での本発明のポリペプチドの量は、効果的な投与量レベルが得られるようにする。
【0291】
腫瘍切除の部位での局所投与のために、本発明のポリペプチドを、生物分解性ポリマー薬物送達系、徐放性ポリ(乳酸)−co−グリコール酸製剤などにおいて使用してもよい(Hart et al., Cochrane Database Syst Rev. 2008 Jul 16; (3): CD007294)。
【0292】
本発明のさらに好ましい局面において、本発明のポリペプチド、例えば、1つの一価抗ヒトP2X7免疫グロブリン単一可変ドメイン及び1つの一価抗ヒト血清アルブミン免疫グロブリン単一可変ドメインから本質的になる(GSリンカーにより連結されている)ポリペプチドなどは、従来の抗体(例えばIgGなど)と比較し、固形腫瘍において有益な分布及び動態プロファイルを有しうる。
【0293】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは、また、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤及び甘味剤又は香味剤、例えば、WO08/020079の143〜144ページに言及されるものを含みうる。単位投与形態がカプセルである場合、それは、上の型の材料に加えて、液体担体(例えば植物油又はポリエチレングリコールなど)を含みうる。種々の他の材料が、コーティングとして存在しうる、又は、そうでなければ、固形の単位投与形態の物理的形態を修飾しうる。例えば、錠剤、ピル、又はカプセルは、ゼラチン、ワックス、セラック、又は糖などを用いてコーティングしてもよい。シロップ又はエリキシルは、本発明のポリペプチド、甘味剤としてのスクロース又はフルクトース、保存剤としてのメチル及びプロピルパラベン、色素、及び香料(例えばチェリー又はオレンジフレーバーなど)を含みうる。無論、任意の単位投与形態を調製する際に使用される任意の材料は、医薬的に許容可能であり、用いられる量において実質的に非毒性であるべきである。また、本発明のポリペプチドは、持続放出調製物及びデバイス中に組み入れてもよい。
【0294】
経口投与のための調製物及び製剤は、また、本発明のコンストラクトが、胃環境に耐性であり、腸中へ通過することを許しうる腸溶コーティングを伴い提供されうる。より一般的には、経口投与のための調製物及び製剤を、胃腸管の任意の所望の部分中への送達のために適切に製剤化してもよい。また、適した坐剤を、胃腸管中への送達のために使用してもよい。
【0295】
本発明のポリペプチドは、また、注入又は注射により、静脈内又は腹腔内に投与してもよい。特定の例は、WO08/020079の144及び145ページ及びPCT/EP2010/062975(全文書)中にさらに記載されている通りである。
【0296】
局所投与のために、本発明のポリペプチドを、純粋な形態(即ち、それらが液体である場合)において適用してもよい。しかし、一般的に、それらを、皮膚に、組成物又は製剤として、皮膚科学的に許容可能な担体(それは、固体又は液体でありうる)との組み合わせにおいて投与することが望ましいであろう。特定の例が、WO08/020079の145ページにさらに記載されている通りである。
【0297】
一般的に、液体組成物(例えばローションなど)中での本発明のポリペプチドの濃度は、約0.1〜25wt-%から、好ましくは約0.5〜10wt-%からでありうる。半固形又は固形組成物(例えばゲル又は粉末など)中での濃度は、約0.1〜5wt-%、好ましくは約0.5〜2.5wt-%でありうる。
【0298】
処置における使用のために要求される本発明のポリペプチドの量は、選択された特定のポリペプチドだけでなく、しかし、また、投与の経路、処置されている状態の性質、ならびに患者の年齢及び状態に伴い変動しうるが、究極的には、担当医又は臨床医の判断によるであろう。また、本発明のポリペプチドの投与量は、標的細胞、腫瘍、組織、移植片、又は器官に依存して変動する。
【0299】
所望の用量は、便利に、単一用量中で又は適切な間隔で投与される分割用量として(例えば、2、3、4又はそれ以上のサブ用量/日として)提示されうる。サブ用量自体は、さらに、例えば、多数の別々の緩く間隔を置いた投与中に分割されうる。
【0300】
投与レジメンは、長期間の毎日の処置を含みうる。「長期間」により、少なくとも2週間及び好ましくは、いくつかの週、月、又は年の持続期間を意味する。この投与量の範囲における必要な改変が、当業者により、本明細書における与えられた教示のルーチン実験だけを使用して決定されうる。Remington's Pharmaceutical Sciences (Martin, E.W., ed.4), Mack Publishing Co., Easton, PAを参照のこと。投与量は、また、任意の合併症の事象において個々の医師により調整されることができる。
【0301】
別の局面において、本発明は、P2X7に関連する少なくとも1つの疾患又は障害の防止及び/又は処置のための方法に関し、前記方法は、それを必要とする被験者に、本発明のポリペプチド及び/又は同を含む医薬的組成物の医薬的に活性な量を投与することを含む。
【0302】
本発明の文脈において、用語「防止及び/又は処置」は、疾患を防止及び/又は処置することを含むだけでなく、しかし、また、一般的に、疾患の発症を防止すること、疾患の進行を遅らせる又は逆転させること、疾患に関連付けられる1つ以上の症状の発生を防止する又は遅らせること、疾患に関連付けられる1つ以上の症状を低下及び/又は軽減すること、疾患の及び/又はそれに関連付けられる任意の症状の重症度及び/又は持続時間を低下させること、ならびに/あるいは、疾患の及び/又はそれに関連付けられる任意の症状の重症度におけるさらなる増加を防止すること、疾患により起こされる任意の生理学的な傷害を防止、低下、又は逆転させること、ならびに、一般的に、処置されている患者に有益である任意の薬理学的な作用を含む。
【0303】
処置すべき被験者は、任意の温血動物でありうるが、しかし、特に哺乳動物、及び、さらに特にヒトである。当業者に明らかであろう通り、処置すべき被験者は、特に、本明細書において言及する疾患及び障害に苦しむ、又はそのリスクがあるヒトであろう。
【0304】
本発明は、P2X7に関連する少なくとも1つの疾患もしくは障害の防止及び/又は処置のための方法に関し、その生物学的もしくは薬理学的な活性を伴い、及び/又はP2X7が含まれる生物学的な経路もしくはシグナル伝達を伴い、前記方法は、それを必要とする被験者に、本発明のアミノ酸配列の、本発明のポリペプチドの、及び/又はそれらを含む医薬的組成物の医薬的に活性な量を投与することを含む。実施態様において、本発明は、P2X7、その生物学的もしくは薬理学的な活性、及び/又はP2X7が含まれる生物学的な経路もしくはシグナル伝達を調節することにより処置することができる少なくとも1つの疾患もしくは障害の防止及び/又は処置のための方法に関し、前記方法は、それを必要とする被験者に、本発明のポリペプチド及び/又は同を含む医薬的組成物の医薬的に活性な量を投与することを含む。実施態様において、前記の医薬的に効果的な量は、P2X7、その生物学的もしくは薬理学的活性、及び/又はP2X7が含まれる生物学的経路もしくはシグナル伝達を調節するために十分である量;及び/又は、P2X7、その生物学的もしくは薬理学的活性、及び/又はP2X7が含まれる生物学的経路もしくはシグナル伝達を調節するために十分である、循環中の本発明のポリペプチドのレベルを提供する量でありうる。
【0305】
実施態様において、本発明は、本発明のポリペプチド、又は同をコードする本発明のヌクレオチドコンストラクト、及び/又はこれらを含む医薬的組成物を、患者に投与することにより、遮断及び/又は処置することができる少なくとも1つの疾患又は障害の遮断及び/又は処置のための方法に関する。実施態様において、方法は、本発明のポリペプチド、又はこれらをコードする本発明のヌクレオチドコンストラクトの、及び/又はこれらを含む医薬的組成物の医薬的に活性な量を、それを必要とする被験者に投与することを含む。
【0306】
実施態様において、本発明は、P2X7へのATPの結合を、処置すべき被験者の特定の細胞において又は特定の組織において阻害することにより(及び特にMS患者においてP2X7へのATPの結合を阻害することにより)遮断及び/又は処置することができる少なくとも1つの疾患もしくは障害の遮断及び/又は処置のための方法に関し、前記方法は、本発明のポリペプチド、又は同をコードする本発明のヌクレオチドコンストラクト、及び/又は同を含む医薬的組成物の医薬的に活性な量を、それを必要とする被験者に投与することを含む。
【0307】
実施態様において、本発明は、本明細書において列挙する疾患及び障害からなる群より選ばれる少なくとも1つの疾患もしくは障害の遮断及び/又は処置のための方法であって、前記方法は、それを必要とする被験者に、本発明のポリペプチド、又はこれらをコードする本発明のヌクレオチドコンストラクト、及び/又はこれらを含む医薬的組成物を投与することを含む。
【0308】
実施態様において、本発明は、免疫療法のため、特に受動免疫療法のための方法に関し、その方法は、本明細書において言及する疾患及び障害に苦しむ又はそのリスクがある被験者に、本発明のポリペプチド、又は同をコードする本発明のヌクレオチドコンストラクト、及び/又は同を含む医薬的組成物の医薬的に活性な量を投与することを含む。
【0309】
上の方法において、本発明のアミノ酸配列、ポリペプチド及び/又は同を含む組成物を、使用される特定の医薬的製剤又は組成物に依存して、任意の適した様式で投与することができる。このように、本発明のポリペプチド及び/又は同を含む組成物を、例えば、使用される特定の医薬的製剤又は組成物に依存して、経口、腹腔内(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、又は胃腸管内を回避する他の任意の投与経路を介して)、鼻腔内、経皮、局所、坐剤を用いて、吸入により投与することができる。臨床医は、そのような投与において使用される適した投与経路及び適した医薬的製剤又は組成物を、遮断又は処置すべき疾患又は障害及び臨床医に周知である他の因子に依存して、選択することができるであろう。
【0310】
本発明のポリペプチド及び/又はこれらを含む組成物を、遮断又は処置すべき疾患又は障害を遮断及び/又は処置するために適している処置レジメンに従って投与する。臨床医は、一般的に、適した処置レジメンを、因子、例えば、遮断又は処置すべき疾患又は障害、処置すべき疾患の重症度及び/又はその症状の重症度、使用すべき本発明のポリペプチド、使用すべき特定の投与経路及び医薬的製剤又は組成物、患者の年齢、性別、体重、食事、全身状態、ならびに臨床医に周知の同様の因子などに依存して、決定することができるであろう。
【0311】
一般的に、処置レジメンは、本発明の1つ以上のポリペプチドの、又はこれらを含む1つ以上の組成物の、1つ以上の医薬的に効果的な量又は用量における投与を含みうる。投与される特定の量又は用量は、臨床医により、再び、上に引用する因子に基づき、決定することができる。
【0312】
一般的に、本明細書において言及する疾患及び障害の遮断及び/又は処置のために、処置すべき特定の疾患又は障害、使用される本発明の特定のポリペプチドの効力、特定の投与経路、及び使用される特定の医薬的製剤又は組成物に依存して、本発明のポリペプチドは、一般的に、1グラム〜0.01マイクログラム/kg体重/日、好ましくは0.1グラム〜0.1マイクログラム/kg体重/日、例えば約1、10、100、又は1000マイクログラム/kg体重/日の量で、連続的(例えば、注入による)、単一の1日用量として又は1日の間の複数の分割用量として投与されうる。臨床医は、一般的には、適した一日用量を、本明細書において言及する因子に依存して、決定することができるであろう。また、特定の場合において、臨床医は、これらの量から逸脱することを、例えば、上に引用する因子及び彼の専門家判断に基づき、選んでもよいことが明らかであろう。一般的に、投与される量に関する一部のガイダンスは、しかし、親和性/結合力、有効性、生物分布、半減期、及び当業者に周知の同様の因子における違いを考慮に入れて、本質的に同じ経路を介して投与される、同じ標的に対する同等の従来の抗体又は抗体フラグメントについて通常投与される量から得ることができる。
【0313】
実施態様において、本発明の単一の隣接ポリペプチドを使用しうる。一実施態様において、本発明の2つ以上のポリペプチドを、組み合わせにおいて提供する。
【0314】
本発明のポリペプチドを、1つ以上のさらなる医薬的に活性な化合物又は成分との組み合わせにおいて、即ち、組み合わせ処置レジメンとして使用してもよく、それは、相乗効果に導きうる又は導かないであろう。再び、臨床医は、そのようなさらなる化合物又は成分、ならびに適した組み合わせの処置レジメンを、上に引用する因子及び彼の専門家判断に基づき、選択することができるであろう。
【0315】
特に、本発明のポリペプチドを、本明細書において引用する疾患及び障害の防止及び/又は処置のために使用する又は使用することができる他の医薬的に活性な化合物又は成分との組み合わせにおいて使用してもよく、その結果として、相乗効果が得られうる又は得られないであろう。そのような化合物及び成分、ならびにそれらを投与するための経路、方法、及び医薬的製剤又は組成物の例は、臨床医には明らかでありうる。
【0316】
本発明に従って使用される処置レジメンの有効性は、含まれる疾患又は障害についてそれ自体が公知である任意の様式で決定及び/又は追跡してもよく、臨床医に明らかであろう通りである。臨床医は、また、適切な場合、及び、ケースバイケースに基づき、特定の処置レジメンを変化又は修飾することができ、所望の治療的効果を達成し、不要な副作用を回避、限定、もしくは低下させ、及び/又は、一方で所望の治療的効果を達成すること、他方で不要な副作用を回避、限定、もしくは低下させることの間で適切なバランスを達成するようにする。
【0317】
一般的に、処置レジメンには、所望の治療的効果が達成されるまで及び/又は所望の治療的効果が維持されるべきである限り、従いうる。再び、これは、臨床医により決定されることができる。
【0318】
別の局面において、本発明は、P2X7に関連する疾患及び障害の少なくとも1つの防止及び/又は処置のため;及び/又は、本明細書において言及する処置の方法の1つ以上における使用のための医薬的組成物の調製における本発明のポリペプチドの使用に関する。
【0319】
処置すべき被験者は、任意の温血動物でありうるが、しかし、特に哺乳動物、及び、さらに特にヒトである。獣医学的な適用において、処置すべき被験者は、商業的な目的のために産生された又はペットとして保たれた任意の動物を含む。当業者に明らかであろう通り、処置すべき被験者は、特に、本明細書において言及する疾患及び障害に苦しむ、又はそのリスクがあるヒトであろう。
【0320】
本発明は、本発明のポリペプチド、又は同をコードするヌクレオチド、及び/又は同の医薬的組成物を、患者に投与することにより防止及び/又は処置することができる少なくとも1つの疾患又は障害の防止及び/又は処置のための医薬的組成物の調製における、本発明のポリペプチド、又は同をコードするヌクレオチドの使用に関する。
【0321】
さらに特に、本発明は、P2X7に関連する疾患及び障害の防止及び/又は処置のための、特に、本明細書において列挙する疾患及び障害の1つ以上の防止及び処置のための医薬的組成物の調製における、本発明のポリペプチド、又は同をコードするヌクレオチドの使用に関する。
【0322】
再び、そのような医薬的組成物において、本発明の1つ以上のポリペプチド、又は同をコードするヌクレオチド、及び/又は同の医薬的組成物を、また、1つ以上の他の活性成分(例えば本明細書において言及するものなど)と適切に組み合わせてもよい。
【0323】
本発明は、また、インビトロ(例えば、インビトロ又は細胞アッセイにおいて)又はインビボ(例えば、単一細胞又は多細胞生物において、特に、哺乳動物において、及び、さらに特にヒトにおいて、例えば、本発明の疾患又は障害のリスクがある又はそれに苦しむヒトにおいて)のいずれかでの使用のための組成物(例えば、限定を伴わず、本明細書においてさらに記載する通りの医薬的組成物又は調製物など)に関する。
【0324】
本発明のISVは、糸球体腎炎の関連する実験モデルにおいて、炎症の効果を寛解する。それらの作用様式に基づき、本発明のISV及びコンストラクトは、他のP2X7関連疾患(しかし、限定しないが、MS、IBD、神経因性疼痛、てんかん、脳卒中、糖尿病、高血圧、及び癌を含む)の処置において有用でありうる。
【0325】
本発明のISVが、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの効果に拮抗することが可能であるため、これらの化合物は、また、P2X7関連疾患(神経変性疾患を含む)の処置において有用でありうることが考えられる。神経変性疾患は、認知症、特に変性認知症(例えば老人性認知症、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病及びクロイツフェルト・ヤコブ病、ALS、又は運動ニューロン疾患;特にアルツハイマー病など);血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに頭蓋内空間を占める病変に関連する認知症;外傷;感染症及び関連症状(HIV感染、髄膜炎、及び帯状疱疹を含む);代謝;毒素;無酸素症及びビタミン欠乏症;及び軽度認知障害(例えば、加齢、特に加齢に関連する記憶障害)を含む。神経変性疾患(例えば、本発明のISVS又はコンストラクトにより処置されるべき)は、例えば、変性認知症(特にアルツハイマー病)、血管性認知症(特に多発梗塞性認知症)、又は軽度認知障害(MCI)、例えば、加齢に関連するMCI、例えば年齢に関連する記憶障害などでありうる。
【0326】
本発明の組み合わせは、また、神経保護剤として、及び、外傷、例えば脳卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳傷害、脊髄傷害などに続く神経変性の処置において有用である。
【0327】
本発明のISVが、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの効果に拮抗することが可能であるため、これらの化合物は、疼痛(急性疼痛、慢性疼痛、慢性関節痛、筋骨格痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、内臓痛、癌に関連する疼痛、片頭痛に関連する疼痛、緊張性頭痛及び群発頭痛、機能性腸障害に関連する疼痛、腰痛及び頸部痛、捻挫及び筋挫傷に関連する疼痛、交感神経により維持される疼痛;筋炎、インフルエンザ又は他のウイルス感染に関連する疼痛、例えば一般的な風邪など、リウマチ熱に関連する疼痛、心筋虚血に関連する疼痛、術後疼痛、癌化学療法、頭痛、歯痛、及び月経困難症を含む)の処置において有用でありうることが考えられる。
【0328】
処置への参照は、他に明記されない限り、確立された症状の処置及び予防的処置の両方を含むことを理解すべきである。
【0329】
本発明のさらなる局面に従い、本発明者らは、従って、ヒト又は獣医学における使用のため及び/又は治療における使用のために、本明細書において定義するISVのコンストラクトを提供する。
【0330】
本発明の別の局面に従い、本発明者らは、P2X7により媒介される状態の処置又は防止(例えば、処置)における使用のための、本明細書において定義する通りの組み合わせを提供する。組み合わせは、疼痛、炎症(例えば、MS、関節リウマチ、又は変形性関節症)、又は神経変性疾患の処置又は防止(例えば、処置)における使用のため、あるいは、特に、炎症性疼痛、神経因性疼痛、内臓痛、関節リウマチ、又は変形性関節症の処置における使用のために、例えば、哺乳動物、例えばヒトなどにおいて有用でありうる。
【0331】
本発明のさらなる局面に従い、本発明者らは、P2X7により媒介される状態、例えば、本明細書において開示する状態又は疾患(特に、疼痛、炎症、MS、関節リウマチ、変形性関節症、又は神経変性疾患)に苦しんでいるヒト又は動物(例えば、齧歯類、例えば、ラット)被験者、例えばヒト被験者を処置する方法を提供し、本明細書において定義する通りの組み合わせの効果的な量を被験者に投与することを含む。
【0332】
本発明のさらなる局面に従い、本発明者らは、疼痛、炎症(例えば、MS、関節リウマチ、又は変形性関節症)、又は神経変性疾患(さらに特に、関節リウマチ又は変形性関節症、及び/又は疼痛、例えば炎症性疼痛、神経因性疼痛、又は内臓痛など)に苦しんでいるヒト又は動物(例えば、齧歯類、例えば、ラット)被験者、例えばヒト被験者を処置する方法を提供し、方法は、本明細書において定義する通りのコンストラクト又はISVの効果的な量を前記被験者に投与することを含む。
【0333】
本発明の別の局面に従い、本発明者らは、P2X7受容体の作用により媒介される状態、例えば、本明細書において開示する状態又は疾患の、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト又は齧歯類など、例えば、ヒト又はラット、例えば、ヒトにおける処置又は防止(例えば、処置)のための医薬品の製造のための、本明細書において定義する通りのコンストラクト又はISVの使用を提供する。本発明の別の局面に従い、本発明者らは、疼痛(例えば、炎症性疼痛、神経因性疼痛、又は内臓痛)、炎症(例えば、MS、関節リウマチ、又は変形性関節症)、又は神経変性疾患の、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト又は齧歯類など、例えば、ヒト又はラット、例えば、ヒトにおける処置又は防止(例えば、処置)のための医薬品の製造のための、本明細書において定義する通りの組み合わせの使用を提供する。
【0334】
ヒト及び他の哺乳動物の処置のための本明細書において定義する通りの組み合わせを使用するために、それを、場合により、医薬的実践に従って、医薬的組成物として製剤化することができる。従って、本発明の別の局面において、ヒト又は獣医学における使用のために適合された、本明細書において定義する通りの組み合わせを含む医薬組成物が提供される。
【0335】
治療における本明細書において定義する通りの組み合わせを使用するために、それらは、場合により、医薬的実践に従って、医薬組成物に製剤化することができる。本発明は、また、医薬的組成物(本明細書において定義する通りの組み合わせを含む)、又はその医薬的に許容可能な塩、及び、場合により、医薬的に許容可能な担体を提供する。本発明を、現在、以下の非限定的な好ましい局面、実施例えば、及び図を用いてさらに記載する。
【0336】
局面
A1.50nM未満のKdを伴いP2X7に結合することができる、P2X7関連疾患を処置する際での使用のための少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであって、ここで、前記P2X7への前記免疫グロブリン単一可変ドメインの結合が、P2X7の活性を阻害する。
【0337】
A2.局面A1に従ったポリペプチドであって、前記のP2X7関連疾患が、MS、IBD、神経因性疼痛、てんかん、脳卒中、糖尿病、高血圧、及び癌からなる群より選択される。
【0338】
A3.局面A1又はA2に従ったポリペプチドであって、ここで、前記P2X7がヒトP2X7である。
【0339】
A4.局面A1〜A3のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、前記の免疫グロブリン単一可変ドメインが、配列番号1、配列番号2、及び/又は配列番号3に結合する。
【0340】
A5.局面A1〜A4のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインが、式1のアミノ酸配列を含む:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4 (1);ここで、FR1〜FR4が、フレームワーク領域1〜4を指し、免疫グロブリン単一可変ドメインのフレームワーク領域(FR)である;及び
− ここで、CDR1は、以下からなる群より選ばれる:
− 配列番号34〜47、
− 配列番号34〜47と少なくとも80%アミノ酸同一性を有するポリペプチド、及び
− 配列番号34〜47と3、2、又は1アミノ酸の違いを有するポリペプチド;及び
− ここで、CDR2は、以下からなる群より選ばれる:
− 配列番号62〜75;
− 配列番号62〜75と少なくとも80%アミノ酸同一性を有するポリペプチド;及び
− 配列番号62〜75と3、2、又は1アミノ酸の違いを有するポリペプチド;及び
− ここで、CDR3は、以下からなる群より選ばれる:
− 配列番号90〜103;
− 配列番号90〜103と少なくとも80%アミノ酸同一性を有するポリペプチド;及び
− 配列番号90〜103と3、2、又は1アミノ酸の違いを有するポリペプチド。
【0341】
A6.局面A5に従ったポリペプチドであって、ここで、フレームワーク領域(FR)が、配列番号6〜19のFRと80%を上回る配列同一性を有する。
【0342】
A7.局面A5又はA6に従ったポリペプチドであって、ここで、少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインが、免疫グロブリン単一可変ドメインの群より選ばれ、ここで:
− CDR1は配列番号34であり、CDR2は配列番号62であり;及び、CDR3は配列番号90;
− CDR1は配列番号35であり、CDR2は配列番号63であり;及び、CDR3は配列番号91;
− CDR1は配列番号40であり、CDR2は配列番号68であり;及び、CDR3は配列番号96;
− CDR1は配列番号36であり、CDR2は配列番号64であり;及び、CDR3は配列番号92;
− CDR1は配列番号37であり、CDR2は配列番号65であり;及び、CDR3は配列番号93であり;
− CDR1は配列番号38であり、CDR2は配列番号66であり;及び、CDR3は配列番号94であり;
− CDR1は配列番号39であり、CDR2は配列番号67であり;及び、CDR3は配列番号95であり;
− CDR1は配列番号41であり、CDR2は配列番号69であり;及び、CDR3は配列番号97であり;
− CDR1は配列番号42であり、CDR2は配列番号70であり;及び、CDR3は配列番号98であり;
− CDR1は配列番号43であり、CDR2は配列番号71であり;及び、CDR3は配列番号99であり;
− CDR1は配列番号44であり、CDR2は配列番号72であり;及び、CDR3は配列番号100であり;
− CDR1は配列番号45であり、CDR2は配列番号73であり;及び、CDR3は配列番号101であり;
− CDR1は配列番号46であり、CDR2は配列番号74であり;及び、CDR3は配列番号102であり;及び
− CDR1は配列番号47であり、CDR2は配列番号75であり;及び、CDR3は配列番号103である;
【0343】
A8.局面A5〜A7のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドは、配列番号6〜19と80%を上回る配列同一性を伴うアミノ酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドからなる群より選択される。
【0344】
A9.局面A5〜A7のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドは、配列番号6〜19と90%を上回る配列同一性を伴うアミノ酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドからなる群より選択される。
【0345】
A10.P2X7に結合することができる少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含む、局面A1〜A9のいずれか1つに従ったポリペプチド。
【0346】
A11.局面A10に従ったポリペプチドであって、ここで、少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインが、式1のアミノ酸配列を含む:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4 (1);ここで、FR1〜FR4が、フレームワーク領域1〜4を指し、免疫グロブリン単一可変ドメインのフレームワーク領域(FR)である;及び
− ここで、CDR1は、以下からなる群より選ばれる:
− 配列番号34〜47、
− 配列番号34〜47と少なくとも80%アミノ酸同一性を有するポリペプチド、及び
− 配列番号34〜47と3、2、又は1アミノ酸の違いを有するポリペプチド;及び
− ここで、CDR2は、以下からなる群より選ばれる:
− 配列番号62〜75;
− 配列番号62〜75と少なくとも80%アミノ酸同一性を有するポリペプチド;及び
− 配列番号62〜75と3、2、又は1アミノ酸の違いを有するポリペプチド;及び
− ここで、CDR3は、以下からなる群より選ばれる:
− 配列番号90〜103;
− 配列番号90〜103と少なくとも80%アミノ酸同一性を有するポリペプチド;及び
− 配列番号90〜103と3、2、又は1アミノ酸の違いを有するポリペプチド。
【0347】
A12.局面A11に従ったポリペプチドであって、ここで、フレームワーク領域(FR)が、配列番号6〜19のFRと80%を上回る配列同一性を有する。
【0348】
A13.局面A11又はA12に従ったポリペプチドであって、ここで、少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインが、免疫グロブリン単一可変ドメインの群より選ばれ、ここで:
− CDR1は配列番号34であり、CDR2は配列番号62であり;及び、CDR3は配列番号90であり;
− CDR1は配列番号35であり、CDR2は配列番号63であり;及び、CDR3は配列番号91であり;
− CDR1は配列番号40であり、CDR2は配列番号68であり;及び、CDR3は配列番号96であり;
− CDR1は配列番号36であり、CDR2は配列番号64であり;及び、CDR3は配列番号92であり;
− CDR1は配列番号37であり、CDR2は配列番号65であり;及び、CDR3は配列番号93であり;
− CDR1は配列番号38であり、CDR2は配列番号66であり;及び、CDR3は配列番号94であり;
− CDR1は配列番号39であり、CDR2は配列番号67であり;及び、CDR3は配列番号95であり;
− CDR1は配列番号41であり、CDR2は配列番号69であり;及び、CDR3は配列番号97であり;
− CDR1は配列番号42であり、CDR2は配列番号70であり;及び、CDR3は配列番号98であり;
− CDR1は配列番号43であり、CDR2は配列番号71であり;及び、CDR3は配列番号99であり;
− CDR1は配列番号44であり、CDR2は配列番号72であり;及び、CDR3は配列番号100であり;
− CDR1は配列番号45であり、CDR2は配列番号73であり;及び、CDR3は配列番号101であり;
− CDR1は配列番号46であり、CDR2は配列番号74であり;及び、CDR3は配列番号102であり;及び
− CDR1は配列番号47であり、CDR2は配列番号75であり;及び、CDR3は配列番号103である。
【0349】
A14.局面A10〜A13のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドは、配列番号6〜19と80%を上回る配列同一性を伴うアミノ酸配列を各々有する少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドからなる群より選択される。
【0350】
A15.局面A10〜A13のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドは、配列番号6〜19と90%を上回る配列同一性を伴うアミノ酸配列を各々有する少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドからなる群より選択される。
【0351】
A16.P2X7に結合することができる少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含む、局面A10〜A15のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、P2X7に結合することができる前記の少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、同じでありうる又は異なりうる。
【0352】
A17.免疫グロブリン単一可変ドメイン結合ヒト血清アルブミン、例えばAlb8(配列番号126)又はAlb11(配列番号125)などをさらに含む、局面A1〜A16のいずれかに従ったポリペプチド。
【0353】
A18.局面A1〜A17のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドが、配列番号118〜124と80%を上回る配列同一性を伴うアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群より選択される。
【0354】
A19.局面A1〜A18のいずれか1つに従ったポリペプチドポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドは、配列番号118〜124と90%を上回る配列同一性を伴うアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群より選択される。
【0355】
A20.局面A1〜A19のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、ポリペプチドは、配列番号118〜124からなる群より選択される。
【0356】
A21.P2X7に対して向けられた少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであって、ここで
a)少なくとも1つの第1免疫グロブリン単一可変ドメインが、P2X7の第1抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられ;及び、ここで、
b)少なくとも1つの第2免疫グロブリン単一可変ドメインが、第1抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造とはそれぞれ異なる、前記P2X7の第2抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又は立体構造に対して向けられる。
【0357】
A22.局面A1〜A21のいずれか1つに従ったポリペプチドであって、ここで、前記免疫グロブリン単一可変ドメインが、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために適しているアミノ酸配列、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために適しているアミノ酸配列、dAb、dAbとしての使用のために適しているアミノ酸配列、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、又はラクダ化VH配列からなるポリペプチド。
【0358】
A23.局面A1〜A22のいずれかに従ったポリペプチドであって、ここで、AlphascreenアッセイにおけるIC
50が30nM又はそれ以下である。
【0359】
A24.局面A1〜A23のいずれかに従ったポリペプチドであって、ここで、AlphascreenアッセイにおけるIC
50が3nM又はそれ以下である。
【0360】
A25.医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含む、局面A1〜A24のいずれかに従ったポリペプチド。
【0361】
A26.局面A1〜A25のいずれかに従ったポリペプチドを産生するための方法であって、前記方法が、以下の工程を少なくとも含む:
a)適した宿主細胞もしくは宿主生物において又は別の適した発現系において、局面A1〜A25のいずれか1つに従ったポリペプチドをコードする核酸又はヌクレオチド配列を発現させること;場合により、以下が続く:
b)前記免疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記ポリペプチドを単離及び/又は精製すること。
【0362】
A27.少なくとも以下の工程を含む、P2X7及び特にヒトP2X7(配列番号1〜3)に対して向けられた免疫グロブリン単一可変ドメインをスクリーニングするための方法:
a)免疫グロブリン単一可変ドメインのセット、コレクション、又はライブラリーを提供すること;及び
b)P2X7及び特にヒトP2X7(配列番号1〜3)に結合することができる及び/又はそれについての親和性を有する免疫グロブリン単一可変ドメインについて、免疫グロブリン単一可変ドメインの前記セット、コレクション、又はライブラリーをスクリーニングすること;及び
c)P2X7及び特にヒトP2X7(配列番号1〜3)に結合することができる及び/又はそれについての親和性を有するアミノ酸配列を単離すること。
【0363】
A28.50nM未満のKdを伴いP2X7に結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインであって、ここで、前記P2X7への前記免疫グロブリン単一可変ドメインの結合によって、P2X7の活性が阻害される。
【0364】
本願を通じて引用する参考文献(文献・参考文献、発行された特許、公開特許出願、及び同時係属中の特許出願を含む)の全ての全内容が、本明細書により、参照により、特に、本明細書において上に参照する教示について、明確に組み入れられる。
【0365】
【表2】
【0366】
【表3】
【0367】
【表4】
【0368】
【表5】
【0369】
【表6】
【0370】
実施例
実施例1.1:ラマ405及び418の免疫化ならびにファージディスプレイライブラリーの構築
ラマを、DNAプライム>タンパク質の追加免疫戦略により免疫化した(Koch-Nolte et al.2007 Faseb J 21: 3490-3499)。ラマを、遺伝子銃(Biorad)当たり、剃毛した左右の脇腹上に、金粒子上に吸着されたマウスP2X7(mP2X7)及びヒトP2X7(hP2X7)用のcDNAコンストラクトを用いて免疫化し(1μm、1μg DNA/mg金を用いた各々、12ショット)、同を用いて、3回、2週間間隔で追加免疫した(
図1)。最終的なDNA免疫化の3及び9日後、100mlの末梢血液を、各々、収集した。全RNAを血液リンパ球から調製し、VHHレパートリーをRT−PCRにより増幅し、pAX50ファージミド中にクローン化し、ファージライブラリーPBL1及びPBL2を生成した。ラマを、さらに、1回、mP2X7又はhP2X7を安定的に発現するようにトランスフェクトされたHEK細胞を用いて追加免疫した(Adriouch et al., 2008 FASEB J. 22, 861-869)(2×10
7個のHEK_mP2X7細胞及び3×10
7個のHEK_hP2X7細胞、15分間にわたり、1mM ATPを用いて前処理し、次に、2%パラホルムアルデヒド中で10分間にわたり氷上で固定)。4及び8日後、末梢血を収集し、ファージライブラリーPBL3及びPBL4を生成した。最終的な追加免疫を、HEK_mP2X7細胞ライセートからのアガロース共役mAbs HANO43及びHANO44(Adriouch et al. 2005, Moller et al.2007)を用いて免疫沈降した、精製ビーズ結合組換えmP2X7(5μg/50μlビーズ)を用いて実施した。4及び10日後、ファージライブラリーPBL5及びPBL6を生成した。RNAをcDNAに逆転写し、VHHレパートリーをPCRにより増幅し、pAX50ファージミドベクター中にクローン化した。ファージをTG1大腸菌中で増幅した。
【0371】
実施例1.2:ヒトP2X7特異的Nbの選択、シークエンシング、及び初期特徴付け
抗hP2X7ナノボディ(Nb)の選択を、組み合わせたファージライブラリーPBL5及びPBL6を用いて行った。2つの選択を行い、各々が、hP2X7発現細胞上での2ラウンドのパニングを含んだ。セクション1において、ファージライブラリーPBL5+6(200μl)を、ヒトP2X7を安定的に発現するためのトランスフェクトされたマウスYac−1リンパ腫細胞(2.5×10
7個の細胞)上にパニングした。細胞結合ファージを、トリプシン処理(15分間、室温)により溶出し、上清を使用し、TG1大腸菌中での再感染当たりで、ファージを増幅させた。第1ラウンドの選択(200μl)からのレスキューファージを、hP2X7を発現するように安定的にトランスフェクトされたHEK細胞上にさらにパニングした(2×10
7個の細胞)。各々のラマについて、クローンを、ラウンド2(R2)だけから選定した。ファージミドを各々のクローンから調製し、pAX50シークエンシングプライマーを用いて配列決定した。単一ドメイン抗体としてのNbの発現のために、pAX50ファージミドベクターを、HB2151大腸菌中に個々に形質転換した。一価Nbを、可溶性His6xタグ付きタンパク質として発現させ、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーによりペリプラズム溶解物から精製した。
【0372】
シークエンシング結果によって、ラマ405のライブラリーPBL5+6のR2選択からの34の同一クローンが明らかになった(ファミリーa)(表1)。41クローンを、ラマ418のライブラリーPBL5+6のR2選択から配列決定し、3つの異なるファミリーからなり(表1)、その内の39は同一であった(ファミリーb、1c113)。HEK_hP2X7細胞上でのテスト発現及び結合分析によって、1c81(ファミリーa)及び1c113(ファミリーb)がhP2X7に特異的に結合するのに対し、2つの他の選択されたクローン(1c121及び1c126)は非結合剤であった(
図2A)。
【0373】
故に、同定されたクローンは、ラマ特異的であった。それにもかかわらず、2つの精緻化されたラウンドのパニング後でさえ、非結合剤が選択された。さらに、結果が、見かけ上のドミナントファージの存在により激しく歪められた。
【0374】
【表7】
【0375】
選択されたクローンの数及び多様性を増加させるために、第2選択を、上の通りの同じ細胞を使用して行った:R1におけるYac−1_hP2X7、及びR2におけるHEK_hP2X7。見かけ上のドミナントファージの再選択を防止するために、結合部位を、パニングに先立ち、過剰の精製1c81及び1c113 Nb(0.7μg/2×10
7個の細胞)を用いた、R1におけるYac−1細胞のプレインキュベーションにより飽和させた。
【0376】
ドミナントファージを対比選択したが、第2選択手順によって、任意の他の中程度から強い結合剤は明らかにならなかった。特に、ラマ418ライブラリーのR2からの8クローンのシークエンシングによって、2つの異なるファミリーに属するクローンが明らかになり、各々が、同一の配列の4つのクローンを伴った。HEK_hP2X7細胞上でのテスト発現及び結合分析によって、HEK_hP2X7細胞への無の(3c34)又は非常に弱い結合だけ(3c39)が示された。
【0377】
ラマ405ライブラリーのR2からの10クローンのシークエンシングによって、3つの異なるファミリーに属するクローンが明らかになった。10クローン中5つが、わずかに異なるアミノ酸配列を伴うにもかかわらず、ファミリーa、即ち、1c81と同じファミリーに属した。これらの4つは、同一のアミノ酸配列を有した。2つの別個の配列からなるさらなる3つのクローンが、新たなファミリーに属した(ファミリー c、3c23及び3c28)。HEK_hP2X7細胞上でのテスト発現及び結合分析によって、3c23(ファミリーc)がhP2X7に特異的に結合したのに対し、1つの他の選択されたクローン(3c31)が非結合剤であったことが示された(
図2B)。
【0378】
これらの結果によって、以前の治験、任意のP2X7結合剤の同定が、簡単ではないことが確証される。
【0379】
実施例1.3:二価分子中へのNbの再フォーマット化及び組換えタンパク質の産生
Nb1c81、1c113、3c23のホモマー及びヘテロマー二量体をPCRにより構築し、長い隣接プライマーを使用し、35−GSリンカー(SfiI−Nb1−20GS−BamHI−15GS−Nb2−NotI)を挿入するようにした。VHHドメインを、また、真核生物発現ベクターpME(Scheuplein et al., 2010)中への、適した制限酵素部位(5’BamH1及び3’XhoI)により隣接されたプライマーを用いたPCR増幅により、マウスIgG1のFcドメインへの融合タンパク質として再クローン化した。
【0380】
一価及び二価Nbを、可溶性His6xタグ付きタンパク質としてHB2151大腸菌中で発現させ、大腸菌ペリプラズマライセートから、固定化金属親和性クロマトグラフィーにより精製した。二価Nbを、N末端FLAGタグ付きNb−Fc融合タンパク質として、一過性にトランスフェクトされたHEK細胞中で発現させた。トランスフェクションから5日後、Nb−Fc融合タンパク質を、細胞上清から、アガロースビーズ上に固定化されたM2−抗FLAG上での親和性クロマトグラフィーにより精製した。Nbs及びNb−Fc融合タンパク質を、Alexa647に、製造者の説明書(Pierce, Invitrogen)に従って結合させた。
【0381】
実施例1.4:トランスフェクトHEK細胞のFACS分析によって、P2X7 Nbの特異性が確認される
選択したNbの特異性を検証し、Nbが、また、マウスP2X7又はラットP2X7に結合しうるか否かを決定するために、HEK細胞を、GFP及びhP2X7、mP2X7、又はrP2X7のいずれかについての発現コンストラクトを用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、細胞を、Nb−Fc融合タンパク質又はmAb L4を用いて、FACS分析前に染色した(
図3)。結果は、Nb3c23(図中でWD3c23Fcとして命名される)及び1c113(図中でWD1c113Fcとして命名される)が、hP2X7を認識するが、しかし、rP2X7又はmP2X7はしないのに対し、Nb1c81(図中でWD1c81Fcとして命名される)は、hP2X7、rP2X7、及びmP2X7を用いてトランスフェクトされた細胞と特異的に反応する。比較により、以前に記載されたNb13A7及び14D5(WO2010/070145)が、mP2X7を認識するが、しかし、hP2X7又はrP2X7はせず、mAb L4は、hP2X7及びrP2X7を認識するが、しかし、mP2X7はしない。
【0382】
予想外に、異なる種特異性及び交差反応性を伴うクローンが、同定及び選択されたが、マウス及びヒトP2X7 DNAならびにP2X7細胞を使用した同じ免疫化及び追加免疫戦略に由来した。
【0383】
実施例1.5:交差遮断結合分析によって、Nb 1c81(ファミリーa)及び1c113(ファミリーb)が、抗hP2X7 mAb L4と重複結合部位を共有することが示される
初代リンパ球は、低レベルのP2X7を発現する。異なるエピトープを認識する抗体を組み合わせること、又は立体構造に非依存的な抗体を使用することは、プリン受容体の可視化のための利点でありうる。選択したNbが重複エピトープを認識するか否かを検討するために、交差遮断分析を、非結合Nb−Fc融合タンパク質ならびにAlexa647結合mAb L4及びNb1c113−Fc及び3c23−Fcを用いて実施した(
図4)。高レベルのhP2X7を安定的に発現するようにトランスフェクトされたHEK細胞を、飽和レベルの非結合mAb L4、Nb 1c81−Fc、Nb 1c113−Fc、Nb 3c23−Fc、コントロールNb(1067−Fc、抗hCD38)、又は培地(賦形剤)のいずれかを用いてプレインキュベートした。洗浄を伴わず、細胞を、非結合抗体より10倍少ない量で、示した結合抗体を用いて染色した。
【0384】
全ての場合において、コントロールNb1067−Fcは、Alexa647結合P2X7 mAb/Nbによる染色に影響しなかった。Alexa647結合1c113−Fcを用いた染色は、非標識1c113−Fc、1c81−Fc、及びmAb L4により完全に遮断されたが、しかし、3c23−Fcによりされなかった。同時に、3c23−Fc Alexa647染色は、非結合3c23−Fcにより完全に抑止されたが、しかし、他の抗体により影響されなかった。最終的に、mAb L4 AF647の結合が、3c23−Fcにより影響されなかったのに対し、染色は、非結合L4及び1c113−Fcの存在において抑止された。1c81−Fcは、また、不完全ではあるが、L4 AF647染色を遮断した。
【0385】
Nb13A7及び14D5のNb−Fc融合タンパク質の有用性をさらに評価するために、野生型及びP2X7−/−マウスのリンパ節、脾臓、又は肝臓からのリンパ球を、蛍光色素結合マウスP2X7特異的13A7−Fc、14D5−Fc又はヒトP2X7特異的3c23−Fc(ネガティブコントロール)を用いて、ならびに、CD4、CD25、及びNK1.1に対する抗体を用いて、フローサイトメトリーの前に共染色した。
図13は、Nb13A7及び14D5のNb−Fc融合タンパク質によって、リンパ節、脾臓、及び肝臓からのリンパ球上でP2X7が検出されることを実証する。
【0386】
故に、これらのNbは、リンパ節、脾臓、及び肝臓からの初代細胞上でP2X7の発現をモニターするための有用なツールである。
【0387】
実施例1.6:エピトープ非依存的Nbの組み合わせによって、ヒト末梢血リンパ球及び単球上でのP2X7の可視化が許される
初代リンパ球上でのP2X7の表面発現の検出は、適したツールの可用性及びリンパ球サブセット上でのプリン受容体の固有の低発現により限定される(Buell et al.1998)。3c23−Fcが、1c81−Fc及び1c113−Fcに非依存的に結合することを示しているため、本発明者らは、蛍光色素標識Nb−Fc融合タンパク質の組み合わせによって、ヒト末梢血中のリンパ球及び単球集団上でのP2X7の検出が改善されるか否かをテストした(
図5)。この目的のために、単一ドナーからのPBLの比較染色を、mAb L4対1c113−Fc、3c23−Fc、又は後者の2つのNb−Fc融合タンパク質の組み合わせを用いて実施した。結果は、mAb L4単独を用いた染色と比較し、Nb−Fc融合タンパク質の組み合せによって、改善された検出感度がもたらされることを実証する(CD4
+細胞についてMFI21対11及びCD4
−細胞についてMFI17対10)(
図5A)。観察された染色の特異性を検証するために、遮断分析を、染色のために使用したのと同じ非標識Nb−Fc融合タンパク質又はコントロールの組み合わせの10倍過剰量を用いて実施した。
【0388】
異なるドナーにおけるP2X7の検出のために1c113−Fc及び3c23−Fcを組み合わせることの有用性を検証するために、3人の別々のドナーからの全血の一定分量を、同じ手順により染色した(
図5B)。単球、顆粒球、及びリンパ球を、FSC対SSCによりゲートした。CD4
+T細胞、CD8
+T細胞、及びCD4
−/CD8-リンパ球(主にB細胞に対応する)を、CD4及びCD8発現に基づいてゲートした。結果を連結表現で示す。特異的染色の範囲を、非遮断(−)対遮断(+)染色のMFIにおける増加倍率として算出した(表1.2)。結果は、単球及び全てのリンパ球サブセット中での(しかし、顆粒球中ではない)細胞表面P2X7の特異的染色を示す。P2X7発現のレベルは、単球>CD4>CD8>CD4
−/CD8-として定性的に順序付けることができる。
【0389】
表1.2.ヒト末梢血白血球上でのP2X7の発現についてのシグナル対バックグラウンド比率。平均蛍光強度を、
図5に示す細胞の各々の集団について決定した。それぞれの非遮断(−)対遮断(+)比率を、バックグラウンドを上回るシグナルの増加倍数として算出した。
【0390】
【表8】
【0391】
実施例1.7:Nb1c81及び3c23は、トランスフェクトHEK細胞におけるCD62LのATP誘導性切断放出を遮断する
本発明者らは、以前に、P2X7及びCD62L(Lセレクチン)を同時トランスフェクトしたHEK細胞のATPを用いた処置が、CD62LのP2X7依存的切断放出(内因性メタロプロテイナーゼのP2X7依存的活性化を介して)をもたらすことを示している。選択したNbがP2X7機能を遮断しうるか否かを決定するために、CD62L切断放出分析を、トランスフェクトHEK細胞を用いて行った(
図6)。細胞を、CD62LだけについてのcDNA発現コンストラクトを用いてトランスフェクトした、又はCD62L及びhP2X7についてのコンストラクト(Y155_T348)を用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、細胞を回収し、CD62Lの切断放出を、ATPを用いたインキュベートにより誘導した。
【0392】
CD62Lだけを用いてトランスフェクトしたHEK細胞において、4mMのATPを用いたインキュベーションは、CD62Lの細胞表面レベルに対する効果を示さなかった(
図6A)。CD62L及びhP2X7を用いて同時トランスフェクトしたHEK細胞において、対照的に、ATPを用いた処理は、CD62Lの切断放出を、用量依存的な様式において誘導した(EC−50 1.5mM;
図6B)。2mM又は4mMのATPを用いた処理に先立つ、Nbs1c81又は3c23のFc融合コンストラクトを用いた細胞のプレインキュベーションによって、CD62Lの切断放出が抑止された。コントロールFc融合タンパク質1067−Fc(抗hCD38)は、切断放出に影響しなかった(
図6B)。
【0393】
実施例1.8:Nb1c81及び3c23は、トランスフェクトHEK細胞におけるCD62Lの切断放出を遮断する
マウスmAb L4が、ヒト単球上でのP2X7活性化を遮断することが報告されている(Buell et al.1998)。選択されたNb、Nb−Fc融合タンパク質、及びmAb L4の遮断効力を比較するために、比較用量応答アッセイを、トランスフェクトHEK細胞を用いて実施した(
図7)。この目的のために、HEK細胞を、GFP、CD62L、及びhP2X7を用いて同時トランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、細胞を、穏やかなトリプシン処理により回収し、15分間にわたり室温で、示した量のNb、Nb−Fc融合タンパク質、又はmAb L4を用いてインキュベートした。細胞を、60分間にわたり37℃で、4mMのATPの非存在又は存在において、細胞表面CD62Lについての染色及びFACS分析の前に、さらにインキュベートした。
【0394】
結果は、飽和用量のNb1c81及び3c23によるCD62L切断放出の完全遮断、飽和用量のNb1c113及びmAb L4による部分的遮断、ならびにコントロールNb及びNb−Fc融合タンパク質による無遮断を示す。滴定分析によって、二価Nb−Fc融合タンパク質が、それらの単一ドメイン対応物を上回る改善されたモル阻害効力を有すること:3c23−Fcが、3c23を上回る4倍増加を示したのに対し、1c81−Fcが、1c81よりも20倍より強力であることが明らかになった。故に、CD62LのATP誘導性切断放出を遮断又は強化するための効力に基づき、抗hP2X7抗体を、効力の降順において、3c23−Fc>3c23>1c81−Fc>1c81>1c113−Fc>1c113、mAb L4として順序付けることができた(表1.3)。
【0395】
表1.3.トランスフェクトHEK細胞におけるLセレクチン切断放出の遮断における抗hP2X7抗体の算出されたIC
50値。IC
50値を、
図7中の曲線から、半最大遮断の点(赤色点線)としてマークした抗CD62Lの700蛍光単位を用いて算出した。IC
50値は、閾値を下回る最高阻害を伴う曲線について推定することができなかった。nMでのIC
50値を、それぞれの平均分子量を考慮に入れて算出した。n/a=適用できない。
【0396】
【表9】
【0397】
実施例1.9:Nb3c23及び1c81は、RPMI 8226リンパ腫細胞によるホスファチジルセリンのATP媒介性外在化及び細胞死を遮断する
RPMI 8226は、P2X7を内因性に発現するB細胞ミエローマ細胞株である(
図8A)。この細胞株は、ホスファチジルセリン(PS)の外在化及び細胞死(ヨウ化プロピジウムの不可逆取り込み)を伴うATP処理に応答する(Farrell et al. 2010 BioChimica et Biophysica Acta 1800 pp 1173-1182)。FACS分析では、RPMI 8226細胞によるPSのATP用量依存的な外在化が確認された(EC50 1.8mM)(
図8B)。選択したNbが、内因性に発現されたP2X7のATP誘導性活性化を遮断することができるか否かをテストするために、RPMI8226細胞によるATP媒介性PS外在化を遮断するNbの能力を検討した(
図8C)。この目的のために、RPMI 8226細胞を、mAb L4、抗hP2X7 Nb−Fc融合タンパク質1c113−Fc、1c81−Fc、3c23−Fcを用いて、又はコントロールNb−Fc融合タンパク質1067−Fcを用いて、15分間にわたり室温でプレインキュベートし、次に、60分間にわたり37℃で、4mMのATPを用いてさらにインキュベートした。P2X7活性化の範囲を、蛍光色素標識アネキシンVを用いた外在化ホスファチジルセリンの可視化によりアッセイした(
図8C)。結果が、1c81−Fc及び3c23−FcによるATP誘導性PS外在化の完全に近い遮断を示すのに対し、mAb L4及び1c113−Fcは、両方が、PS外在化、及びコントロールNb−Fc融合タンパク質1067−Fcによる遮断の完全欠如を部分的にだけ遮断した。
【0398】
実施例1.10:Nb1c81及び3c23は、RPMI8226細胞のP2X7媒介性細胞死を遮断する
ATPによるRPMI 8226細胞上でのP2X7の長期活性化が、ヨウ化プロピジウムの不可逆的取り込みにより検出された通り、細胞死をもたらすことが以前に実証されている(Farrell et al.2010)。次に、P2X7特異的Nbが細胞死を遮断しうるか否かを検討した。この目的のために、RPMI 8226細胞を、それぞれの抗体を用いて、ATPを用いた処理に先立ち、60分間又は24時間にわたりプレインキュベートした。細胞を、次に、洗浄し、アネキシンV及びヨウ化プロピジウムを用いて染色し、ホスファチジルセリンの外在化及び細胞死を評価した(
図9)。
【0399】
2mMのATPを用いた60分間のインキュベーションの間に、mAb L4及びNb 1c113−Fcは、両方が、コントロールと比較し、ホスファチジルセリンの提示を部分的に遮断した(
図9、上パネル)。この部分的な遮断は、ATPを用いた一晩インキュベーションの間に細胞死を遮断するために十分ではなかった(
図9、下パネル)。対照的に、Nb−Fc融合タンパク質1c81−Fc及び3c23−Fcは、両方が、ATP処理の持続期間に無関係に、P2X7媒介性のホスファチジルセリンの提示及び細胞死を完全に遮断した(
図9、上及び下パネル)。
【0400】
実施例1.11:Nb1c81及び3c23は、ヒトT細胞によるPSのATP誘導性外在化及びCD62Lの切断放出を遮断する
Nb1c81及び3c23が、P2X7を内因的に発現するRPMI8226リンパ腫細胞によるPSのATP誘導性外在化を効果的に遮断することを実証しているため、本発明者らは、次に、これらのNbが、また、CD4
+ T細胞及びCD8
+ T細胞によるPSのATP誘導性外在化及びCD62Lの切断放出を遮断することができるか否かを検討した。この目的のために、一定分量の全血液を、30分間にわたり室温で、それぞれのNb−Fc融合タンパク質を用いて又はmAb L4を用いて、4mMのATPを用いた30分間にわたる37℃での処理に先立ち、プレインキュベートした。その後、細胞を、P2X7活性化についての読み出しの通り、CD62L発現及びPSの外在化(アネキシンV)について染色した。
【0401】
3人のドナーからのT細胞が、CD62L切断放出及びアネキシンV染色により、異なる程度でATPに応答した(
図10)。ドナー1及び2からのT細胞は、ATPへのより弱い応答を示したのに対し、ドナー3からの細胞は、P2X7活性化に強く応答した。P2X7感度の大きさにおいて、ドナーは、ドナー3>ドナー2>ドナー1として順序付けることができる。CD4
+T細胞によるATPへの応答は、それぞれのドナーにおけるCD8
+T細胞と同等である。mAb L4及び1c113−Fcの両方が、CD62L切断放出及びPSの提示の部分的な遮断を示した;コントロール抗体1067−Fcは、P2X7のATP媒介性活性化に影響しなかった。Nb−Fcタンパク質1c81−Fc及び3c23−Fcは、P2X7のATP媒介性活性化を完全に遮断した。
【0402】
実施例1.12:Nb 3c23は、ヒトRPMI8226リンパ腫細胞におけるATP誘導性カルシウム流入を遮断する
RPMI8226細胞に、Ca
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷した。リアルタイムフローサイトメトリー分析を実施した(BD FACS Canto)。細胞を洗浄し、ヒトP2X7特異的Nb 3c23−3c23又はマウスP2X7特異的Nb 13A7−13A7(ネガティブコントロール)の非存在(溶媒)又は存在において、Ca
2+及びMg
2+を用いて添加したPBS(Invitrogen)中に再懸濁し、フローサイトメトリー(BD FACS Canto)により分析した。赤外線ランプを使用し、37℃の一定のサンプル温度を維持した。100秒間にわたる平衡化後、ATPを、最終濃度2mMまで加え、インキュベーションを、最終濃度5μmまでのイオノマイシンの添加前に、100秒間にわたり継続した。
図14は、Nb 3c23が、ヒトRPMI8226リンパ腫細胞におけるATP誘導性カルシウム流入を遮断することを実証する。
【0403】
実施例1.13:Nb 3c23は、ヒト血液細胞からのIL−1βのATP誘導性放出を遮断する
4人のドナーからのヘパリン化全血液の一定分量を、最終濃度5mMまでのATPの添加及び1時間にわたる37℃でのさらなるインキュベーションの前に、Nb3c23−3c23の非存在又は存在において、2時間にわたり、LPS(1μg/ml)を用いてインキュベートした。血漿を、細胞の遠心分離により調製し、血漿中のIL−1βレベルを、ELISA(R&D Systems)により決定した。***P<0.001(一元配置ANOVA)。
図15は、Nb 3c23が、ヒト血液細胞からのIL−1βのATP誘導性放出を遮断することを実証する。
【0404】
実施例1.14:ヒト血液細胞からのIL−1βのATP誘導性放出を遮断するNb3c23の用量応答分析
ヘパリン化全血液の一定分量を、最終濃度2mMまでのATPの添加及び1時間にわたる37℃でのさらなるインキュベーションの前に、示した濃度のNb 3c23、3c23−3c23、及び3c23Fcの非存在又は存在において、2時間にわたり、LPS(1μg/ml)を用いてインキュベートした。血漿を、細胞の遠心分離により調製し、血漿中のIL−1βレベルを、ELISA(R&D Systems)により決定した。マウスP2X7特異的Nb13A7を、ネガティブコントロールとして使用した。
図16は、ヒト血液細胞からのIL−1βのATP誘導性放出を遮断するNb 3c23の用量応答分析を描写する。
【0405】
実施例1.15:マウスNb13A7は、リンパ腫細胞株Yac−1によるCD62LのNAD
+及びATP誘導性切断放出を遮断し、Nb14D5は、それを強化する
マウス特異的Nbの機能的な効果を、P2X7発現マウス細胞を使用して、さらに評価した。リンパ腫細胞株Yac−1は、マウスP2X7及び毒素関連エクト−ADP−リボシルトランスフェラーゼART2.2を内因性に発現する。これらの細胞上で、P2X7は、細胞外ATPにより、ならびにART2.2により触媒されるR125のNAD
+依存的ADPリボシル化により活性化されうる(Adriouch et al., 2008)。Nb13A7は、これらの細胞によるCD62LのNAD
+誘導性及びATP誘導性の両方の切断放出を遮断した;二価フォーマット中への変換によって、このNbの遮断効力が著しく増強された。対照的に、Nb14D5は、Yac−1細胞によるCD62LのATP及びNAD
+誘導性切断放出を促進した。再び、二価フォーマット中への変換によって、このNbの効力が著しく増強された(
図1000b)。Nb14D5の結合は、それ自体で、マウスP2X7のゲーティングを誘導しないが、それは、ATP及びNAD
+の両方についてのゲーティングの閾値を下げた(WO2010/070145)。同様に、Nb13A7は、初代T細胞からのCD62LのNAD
+及びATP誘導性切断放出を効果的に遮断し、Nb14D5は、それを促進した(
図22)。Nb13A7は、また、腹腔マクロファージによるATP誘導性Ca
2+流入ならびにIL−1βのATP誘導性プロセシング及び分泌を効果的に遮断した(下の実施例1.18及び1.19を参照のこと)。
【0406】
実施例1.16:Nb13A7は、マウスP2X7を用いて安定的にトランスフェクトされたHEK細胞におけるATP誘導性カルシウム流入を遮断し、Nb14D5は、それを強化する
マウスP2X7特異的Nb 14D5−14D5、Nb 13A7−13A7又はヒトP2X7特異的Nb 3c23−3c23(ネガティブコントロール)の存在におけるCa
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷したマウスP2X7トランスフェクトHEK細胞のリアルタイムフローサイトメトリー分析。細胞を、最終濃度250μm又は1mMまで細胞外ATPに曝露し、2分後、濃度5μmでCa
2+イオノフォアイオノマイシンに曝露した。
図17において実証する通り、Nb13A7は、マウスP2X7を用いて安定的にトランスフェクトされたHEK細胞におけるATP誘導性カルシウム流入を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。
【0407】
実施例1.17:Nb13A7は、マウスP2X7を用いて安定的にトランスフェクトされたHEK細胞におけるATP媒介性カルシウム流入を逆転し、Nb14D5は、それを誘導及び強化する
Ca
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷したマウスP2X7トランスフェクトHEK細胞のリアルタイムフローサイトメトリー分析。細胞を、示した濃度のATPを用いて、2分間にわたり、マウスP2X7特異的Nb14D5−14D5、Nb13A7−13A7又はヒトP2X7特異的Nb3c23−3c23を用いた処置の前にインキュベートした。
図18において実証する通り、Nb13A7は、マウスP2X7を用いて安定的にトランスフェクトされたHEK細胞におけるATP媒介性カルシウム流入を逆転し、Nb14D5は、それを誘導及び強化する。
【0408】
実施例1.18:Nb13A7は、マウス腹腔マクロファージにおけるATP誘導性カルシウム流入を遮断し、Nb14D5は、それを強化する
マウス腹腔マクロファージを、Ca
2+指示薬Fluo−4を用いて負荷した。リアルタイムフローサイトメトリー分析を実施した(BD FACS Canto)。細胞を洗浄し、P2X7強化Nb 14D5又はP2X7拮抗的Nb 13A7(1μg/500μl)の非存在(溶媒)又は存在において、Ca
2+及びMg
2+を用いて添加したPBS(Invitrogen)中に再懸濁した。赤外線ランプを使用し、37℃の一定のサンプル温度を維持した。120秒間にわたる平衡化後、細胞を、示した濃度の細胞外ATPに曝露し、2分後、最終濃度1μmまでCa
2+イオノフォアイオノマイシンへ曝露した。
図19において示す通り、Nb13A7は、マウス腹腔マクロファージにおけるATP誘導性カルシウム流入を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。
【0409】
実施例1.19:Nb13A7は、腹腔マクロファージによるIL−1βのプロセシング及び分泌を遮断し、Nb14D5は、それを強化する
野生型又はP2X7
−/−マウスからのヘパリン化血液を、一価Nb(1μg/200μl) 14D5、13A7、又は溶媒の存在において、2時間にわたり、LPS(1μg/ml)を用いて、示した最終濃度までのATPの添加及び30分間にわたる37℃でのさらなるインキュベーションの前に、インキュベートした。a)サンプルを遠心分離し、血漿中のIL−1βレベルをELISA(Biolegend)により分析した。b)赤血球を溶解し、血液白血球を、2つの工程において、最初に、CD11b、Ly−6C、及びLy−6Gについての特異的な蛍光標識結合mAbを用いて染色した。細胞を、次に、プロIL−1β(e-Bioscience)についての染色前に、固定(2% PFA)及び透過処理(0.3%サポニン及び0.1%BSAを含むPBS)した。フローサイトメトリー分析を実施し(BD FACS Canto)、ゲーティングをCD11b
+ LY−6C
hi単球上で実施した。
図20において実証する通り、Nb13A7は、腹腔マクロファージによるIL−1βのプロセシング及び分泌を遮断し、Nb14D5は、それを強化する。
【0410】
実施例1.20:結論
Nbの3つの異なるファミリーを、ヒトP2X7(hP2X7)を発現する細胞上でのパンニングにより、2頭のラマより選択し、hP2X7の特異性について確認した。ファミリーa(1c81、ラマ418)及びb(1c113、ラマ405)を、hP2X7トランスフェクトYac−1及びHEK細胞上で、順次、ファージライブラリーをパニングすることにより選択した。ファミリーc(3c23、ラマ405)を、精製Nbを用いて1c81及び1c113エピトープをマスクし、パニングを繰り返すことにより選択した。Nbを、二価コンストラクト及びNb−Fc融合タンパク質に再フォーマット化した。一価及び二価Hisタグ付きNbを、大腸菌において発現させ、ペリプラズマライセートから、固定化した金属アフィニィークロマトグラフィーにより精製した。FLAGタグ付きNb−Fc融合タンパク質を、HEK細胞において発現させ、HEK細胞上清から、アフィニティークロマトグラフィーにより、固定化した抗FLAG mAb M2上で精製した。Nbの特異性を、ヒトP2X7、マウスP2X7、又はラットP2X7を用いてトランスフェクトしたHEK細胞上で検証した。エピトープ特異性を、選択されたNb及び抗hP2X7 mAb L4を用いた交差遮断分析によりテストした。Nb1c81及び1c113は、L4と共有されるエピトープを認識した。Nb3c23は、別個の非重複エピトープを認識する。Nbを異なるエピトープと組み合わせることによって、ヒト末梢血リンパ球及び単球上での細胞表面P2X7の改善された染色が許された。特に、Nb1c113−Fc及び3c23−Fcは、初代ヒト血液細胞上でのP2X7の発現をモニターするために有用である。Lセレクチン(CD62L)のP2X7依存的なATP誘導性切断放出及びホスファチジルセリン(PS)の外在化を遮断するためのNbの効力を、トランスフェクトHEK細胞、ヒトRPMI−8226リンパ腫細胞、及び初代ヒト末梢血白血球上でテストした。Nb1c81及び3c23は、mAb L4よりも効率的に、P2X7のATP誘導性活性化を遮断した。1c81及び3c23の再フォーマット化した二価Nb−Fc融合タンパク質は、それらの一価対応物よりも5〜20倍増強された、P2X7の活性化を遮断するための効力を示した。実施例1.15〜1.19は、ATP誘導性カルシウム流入及びIL−1βのATP誘導性放出に対するマウス特異的Nbの機能的な効果を示し、それは、ヒトP2X7特異的Nbを用いた結果を写す(実施例1.12〜1.14)。実施例1.20は、Nb13A7及び14D5が、リンパ節、脾臓、及び肝臓からの初代細胞上でP2X7の発現をモニターするための有用なツールであることを示す。
【0411】
実施例2:抗マウスP2X7ナノボディのエクスビボ及びインビボ遮断及び活性化
インビボでの全身注射後にP2X7を調節するナノボディの能力を評価するために、P2X7のNAD
+及びATP媒介性ゲーティングに高い感度を提示することが以前に示されている2つの調節T細胞サブセット:CD4
+CD25
+Treg及びiNKT細胞をさらに精緻化した(Hubert et al. 2010 J. Exp. Med. 207 pp 2561-2568;Scheuplein et al., 2010)。
【0412】
実施例2.1:方法論
ナノボディを、マウスの尾静脈により静脈内注射した。マウスを1.5時間及び24時間後に屠殺し、P2X7活性化の遮断又は増強についてインビボ及びエクスビボの両方で分析した。
【0413】
プロトコール設定:野生型C57bl/6を、それぞれの量のナノボディを用いて、静脈内により、尾静脈中に注射した。注射後(p.i.)1.5時間又は24時間目に、マウスを屠殺し、脾細胞及び肝臓リンパ球を、以前の実験において記載する通りに調製した。200μlの脾細胞又は肝臓白血球懸濁液を、遠心分離によりペレット化した。ペレットを、100μlのRPMIだけ、RPMI中の25μM NAD又は250μM ATP中に再懸濁し、37℃で15分間にわたりインキュベートし、P2X7活性化を誘導し、エクスビボのP2X7活性化を伴わない氷上(4℃)で保ったサンプルと比較した。インキュベーション後、細胞をアネキシンV結合緩衝液中で洗浄し、アネキシン結合緩衝液中で染色した。
【0414】
蛍光色素結合Nb13A7を用いた脾臓及び肝臓からの初代細胞の染色によって、Tregs及びiNKT細胞によるP2X7の顕著な発現が確認された(実施例1.5、
図13を参照のこと)。マウス中へのこれらのNbの静脈内注射は、リンパ節、脾臓、及び肝臓におけるこれらの調節T細胞の効果的な染色を、注射後30分以内にもたらした(データ示さず)。
【0415】
実施例2.2:HLEナノボディ14D5(14D5−14D5−Alb8)を増強することによるP2X7のインビボ活性化
14D5−14D5−Alb8 Nbの注射は、顕著に、注射後2時間目、脾臓から回収したTregの分解における2倍低下及び肝臓から回収したiNKT細胞のさらにより劇的な低下をもたらした(
図11a)。Treg数(CD4
+細胞のパーセンテージとして)は、14D5−14D5−Alb8を用いて注射したマウスにおける4%(n=3)対13A7−13A7−Alb8を用いて注射したマウスにおける9%(n=3)及びダミーNbを用いて注射したマウスにおける12%(n=1)まで下がった。iNKT細胞数(CD3ポジティブ細胞のパーセンテージとして)は、13A7−13A7−Alb8及び14D5−14D5−Alb8を用いて処置したマウスにおける、それぞれ10%対45%まで、ダミーNbを用いて処置したマウスにおける55%(n=1)まで下がった。注射後24時間目、Tregs及びiNKT細胞の数は、14D5−14D5−Alb8を用いて注射したマウスにおいて部分的な回復を示したが、しかし、依然として、13A7−13A7−Alb8又はDum−Alb8−Dum(ダミーNb)を用いて注射したマウスのそれを下回っていた。別の実験において、8G11−8G11−Alb8を用いて注射したマウスは、ダミーNb注射マウスのそれと同程度のTregs及びiNKT細胞の数を示した(
図11c)。14D5−14D5−Alb8注射マウスの脾臓から回収されたT細胞は、ダミーNbを用いて注射したマウスと比較し、外因性NADを用いた37℃での15分間のインキュベーションに応答し、増強したCD27の切断放出を示した(
図11b)。
【0416】
このように、14D5−14D5−Alb8 Nbは、マウスP2X7を強化する。
【0417】
実施例2.3:アンタゴニスト HLEナノボディ8G11及び13A7(それぞれ8G11−8G11−Alb8及び13A7−13A7−Alb8)によるP2X7のインビボ遮断
HLE−Nbsの腹腔内注射後2時間目に調製された脾臓及び肝臓細胞上で実施した機能アッセイの結果によって、P2X7上での8G11−8G11−Alb8及び13A7−13A7−Alb8の両方の遮断効果が明らかになる(
図11c)。
【0418】
13A7−13A7−Alb8の注射は、エクスビボで加えられた外因性NADに応答して、脾臓TregによるCD27の切断放出を完全に遮断し、肝臓iNKT細胞によるCD27の切断放出を部分的に遮断した(
図11b)。13A7−13A7−Alb8の注射は、また、エクスビボで加えられた外因性NADに応答して、脾臓Treg及び肝臓iNKT細胞によるホスファチジルセリンの外在化を効果的に遮断した(
図11c)。Yac−1リンパ腫細胞でのインビトロの結果と沿って(実施例1.15を参照のこと)、13A7−13A7−Alb8は、抗mycを用いた8G11についてよりも、13A7について見られたより低い染色レベルにもかかわらず、8G11−8G11−Alb8よりも、P2X7を遮断する際により効果的であった。結果は、注射後2時間目に、最低用量の13A7−13A7−Alb8(15μg)が、依然として、最高用量の8G11−8G11−Alb8(200μg)よりも効果的であり、最高用量の13A7−13A7−Alb8(200 μg)よりも、わずかだけ効果的ではなかったことを示す。動態分析の結果は、注射後2時間目と比較し、注射後24時間目での同様の遮断HLE−Nbの機能的効果を示す(
図11b)。
【0419】
実施例3.炎症モデルにおける抗P2X7ナノボディの評価
実施例3.1:方法論
再フォーマット化Nbを、治療的な潜在能について、実験的に誘導された炎症:抗有足細胞抗体誘導性の糸球体腎炎のマウスモデルにおいてテストした。以前の試験では、P2X7欠損マウスが、これらの疾患のより軽度の形態を発生することが示されており、野生型マウスにおけるP2X7の薬理学的阻害が、P2X7の遺伝子欠失の有益な効果を模倣しうるとの仮説に導く。逆に、P2X7の薬理学的活性化は、これらの炎症応答を強化しうる。
【0420】
実施例3.2:抗体誘導性腎炎
マウス有足細胞を用いて免疫化した動物からの血清の全身注射は、腎臓の遅く進行する炎症を起こす。尿中のアルブミン(アルブミン尿)の出現は、糸球体濾過装置への損傷の読み出しとして使用することができる。尿の容積は広く変動しうるため、主に水分摂取量に依存して、尿中のアルブミン濃度を、クレアチニンの濃度に対して、正常化することが一般的である。疾患進行は、ConA誘導性肝炎のそれよりもずっと遅い。野生型マウスにおいて、アルブミン尿は、通常、血清注射後7−9日目から検出可能である。動物は、通常、疾患に屈し、血清注射後14〜15日目に屠殺しなければならない。
【0421】
腎炎モデルにおける抗P2X7 HLE−Nbの潜在的な治療的及び/又は炎症性効果を評価するために、6週齢のC57BL6マウスの群(n=6)が、HLE−Nbの5つの注射を受けた(抗有足細胞血清(APN)の注射前2時間での初回用量50μgならびに3、6、9、及び12日目での各々25μg)。コントロールマウスは、免疫前血清(PI)の注射を受けた。5〜6匹のマウスの群が、ダミーNb、13A7−13A7−ALB8、又は14D5−14D5−ALB8を用いた注射を受けた。24時間尿を、3、6、9、12、15、及び21日目に代謝ケージ中に収集した。動物を15又は21日目に屠殺し、腎臓及び血液サンプルを収集し、さらなる分析(血清コレステロール、トリグリセリド、及びクレアチニンの決定を含む)に供した。
【0422】
実施例3.3:Nb14D5は、腎炎モデルにおいて疾患パラメーターを増強し、Nb13D7は、それを減少する
尿中のアルブミンをELISAにより定量化し、クレアチニンレベルを、自動化測定により決定した(
図12A)。屠殺の日、血液尿素窒素、血清トリグリセリド、及び血清コレステロールレベルを自動測定により決定した;血清中IL−6及び尿中MCP−1をELISAにより定量化した。有意性を、マンホイットニーU検定を用いて評価した(
図12B)。尿分析の結果は、抗有足細胞血清及びダミーNBを用いて処置した動物における検出可能なタンパク尿を示し、9日目に開始し、15又は21日の実験終了まで、着実に増加する尿アルブミンレベルを伴う(
図12A)。P2X7アンタゴニスト13A7−13A7−ALB8を用いて処置されたマウスは、ダミーNbを用いて処置されたマウスよりも、屠殺の時にずっと低い尿中アルブミンレベルを示した(
図12)。これらの差は、統計的に有意であった(p<0.05)。対照的に、P2X7増強14D5−14D5−ALB8を用いて処置されたマウスは、血清注射後3日目に既に、検出可能なアルブミン尿を発生し、ダミーNb又は13A7−13A7−ALB8処置マウスよりも有意に高い尿中アルブミンを、実験の経過を通じて提示し続けた。増強14D5−14D5−ALB8を受けるマウスにおけるより重度の腎炎症候群と一致して、これらのマウスは、また、血清トリグリセリド、コレステロール、及びクレアチニンの著しくより高いレベルを、15及び21日目に示し、13A7−13A7−ALB8を用いて処置されたマウスは、これらの血清パラメーターの正常レベルを示した。
【0423】
実施例3.4:Nb13A7は、CD27
+T細胞のNAD
+誘導性切断放出に抵抗し、Nb14D5は、それを誘導及び強化する
屠殺の日(抗有足細胞抗体の注射後21日目、ナノボディの最終注射後3日目)、脾細胞を、NAD
+の非存在(PBS)又は存在において、30分間にわたりインキュベートし、次に、CD4、CD25、及びCD27についてFACS分析前に染色した。ゲーティングは、CD4
+CD25
+Treg上で実施した。P2X7アゴニストNb14D5を用いて処置されたマウスからのTregは、より低い割合のCD27
+T細胞を含んだが、その全てが、CD27のNAD
+誘導性喪失に感受性であった;P2X7アンタゴニストNb13A7を用いて処置されたマウスからのTregは、CD27のNAD
+誘導性切断放出に耐性であった。これらの結果は、脾臓Tregが、屠殺の日になおも、P2X7特異的Nbで、コートされたことを示す。
【0424】
実施例3.5::Nb14D5は、炎症性腎臓損傷を増強し、Nb13D7は、それを減少する
屠殺の日(抗有足細胞抗体の注射後21日目)、腎臓切片を、過ヨウ素酸シッフ染色(PAS)を用いて染色した(
図12D上部)。尿細管性タンパク質キャストを、アスタリスクによりマークする。腎臓切片を、DNA染色色素draq5、T細胞マーカーCD3に対する蛍光色素結合mAb、及びネフリン(腎臓濾過障壁での有足細胞膜タンパク質)に対する蛍光色素結合mAbを用いて染色した(
図12E、下)。有足細胞核を、アスタリスクによりマークする。Nb14D5を用いて処置されたマウスからの腎臓切片は、Nb13A7又はコントロールNbを用いて処置されたマウスよりも、CD3
+T細胞のより強力な糸球体浸潤及びネフリンについての破壊染色を示す。
【0425】
腎臓切片を、免疫蛍光顕微鏡法の前に、ネフリンに対するdraq5及び蛍光色素結合mAb、補体因子3(C3)、ならびにIgGを用いて染色した(
図12F)。AP血清を用いて処置されたマウスからの(しかし、PI血清を用いて処置されたマウスからではない)切片は、IgG及び3の糸球体沈着物を示す。IgG沈着物のパターンは、Nb13A7を用いて処置されたマウスにおいて規則的であるが、しかし、コントロールNbを用いて処置されたマウスにおいて部分的に破壊され、Nb14D5を用いて処置されたマウスにおいて強く破壊される。
【0426】
故に、P2X7遮断Nb 13A7を用いて処置された動物は、仮にあっても、少ない腎臓損傷の又は炎症の徴候を示したのに対し、P2X7強化Nb 14D5を用いて処置された動物は、悪化した炎症及び腎臓損傷を示した;アルブミン尿は、Nb14D5又はコントロールNbを用いて処置された動物において有意に増大されたが、しかし、Nb13A7を用いて処置された動物においては低いままであった。さらに、前者(しかし、後者ではない)は、ネフローゼ症候群と一致した腎臓損傷の明らかな組織病理学的徴候、即ち、尿細管性タンパク質キャスト、糸球体毛細血管閉塞、有足細胞の膨張、濾過バリアでの破壊されたネフリン染色、ならびに炎症性細胞の細管周囲及び糸球体周辺浸潤を示した。一貫して、コントロールNbを用いて又はP2X7強化Nb14D5を用いて処置された動物は、血液尿素窒素、血清トリグリセリド、及びコレステロールの上昇濃度を示した。逆に、P2X7遮断Nb 13A7を用いて処置された動物は、P2X7強化Nb14D5を用いて処置された動物よりも、血清中炎症性サイトカインIL−6及び尿中MCP−1のより低いレベルを示した。これらの結果は、P2X7遮断Nbは炎症性腎臓損傷を寛解することができること、P2X7強化Nbはそれを悪化することができることを示す。
【0427】
実施例3.4:考察及び結論
Yac−1リンパ腫細胞株でのP2X7のヌクレオチド誘導性活性化のインビトロ分析での結果は、二価及びHLE−Nbの同様の機能的な効力を明らかにした。2つのP2X7アンタゴニストHLE−Nb13A7及び8G11は、両方が、ATP誘導性活性化よりも、P2X7のNAD(ADPリボシル化)誘導性活性化のより効率的な遮断を示し、13A7は、一貫して、8G11よりも良い遮断有効性を示した。P2X7増強14D5 Nbの場合において、価数を一価から二価へ増加させることは、著しく増強された効力を伴ったが、さらなる価数の増加は、効力において、わずかなさらなる増加だけを示した。
【0428】
高用量(100μg/マウス、5mg/kgに対応する)でのHLE−Nbの全身注射に続き、3つのP2X7特異的HLE−Nbが、脾臓及び肝臓におけるT細胞上でのP2X7機能に対する明らかに検出可能な効果を示し、リンパ腫細胞のインビトロ処置を用いて観察された効果、即ち、8G11によるより、13A7による、より効率的な遮断及び14D5によるP2X7機能の著しい増強を忠実に再現した。抗myc抗体を使用し、Nbは、脾臓及び肝臓T細胞の表面上で検出することができ、脾臓において最高レベルのP2X7:Treg(CD4
+CD25
+)を発現することが公知である2つの亜集団の最も顕著な染色を伴った。
【0429】
脾臓において、13A7は、細胞調製の間に放出された低レベルのNADに応答した、CD27のP2X7誘導性切断放出を、CD4
+ヘルパーT細胞の両方の亜集団(Tregの高感度CD25
+集団ならびにCD25ネガティブの天然CD4
+T細胞の感度のより低い亜集団)上で完全に遮断した(
図11)。13A7は、また、より高濃度の外因性NADの添加への応答において、CD27のP2X7誘導性切断放出に対して、両方の亜集団を完全に保護した。13A7は、さらに、高濃度の外因性NADの添加への応答において、CD27のP2X7誘導性切断放出に対して、天然T細胞を完全に保護したが、しかし、Tregsは部分的にだけ保護した。時間経過分析は、13A7の注射後24時間対1.5時間で同様の遮断活性を示した。滴定分析では、用量を、200μgから15μg/マウスに低下させた場合、仮にある場合でも、少ない13A7の遮断活性の低下が明らかになった。
【0430】
インビボ実験では、実験的に誘導された腎炎のマウスモデルにおいて、また、P2X7機能及び疾患進行に対するP2X7特異的HLE−Nbの検出可能な効果が明らかになった。効果は、この腎炎モデルにおいて明らかに明白であった。強力なP2X7アンタゴニスト13A7 HLE−Nbは、このモデルにおいて有益な効果を示し、統計的な有意性を達成した。P2X7増強14D5 HLE−Nbは、腎炎モデルにおいて疾患進行を有意に促進した。腎炎モデルにおいて、強力なアンタゴニスト13A7 HLE−Nbを用いて処置されたマウスは、屠殺時に、ダミーNbを用いて処置されたマウスより、ずっと低いレベルの尿中アルブミンを示した(アルブミンが、糸球体濾過装置への損傷の指標として役立った)。これらの差は、統計的に有意であった(p<0.05)。著しく対照的に、P2X7増強14D5 HLE Nbを用いて処置されたマウスは、ダミーNbを用いて処置されたマウスよりも、ずっと高いレベルのアルブミン尿、及び、より高いレベルの血清コレステロール及びクレアチニンを有した(より重度の腎炎症候群と一致した)。これらの差は、また、統計的に有意であった(p<0.05)。
【0431】
故に、アンタゴニストISV(例えばNb13A7など)の全身投与は、抗体誘導性の糸球体腎炎における疾患パラメーターを軽減し、アゴニストISV(例えばNb14D5など)の全身投与は、それを強化する。
【0432】
実施例3.5:展望
まとめると、このプロジェクト拡張の結果は、T細胞上のP2X7イオンチャネルの機能をインビボで操作するためにHLE Nbを使用することの実行可能性を強調する。腎炎のマウスモデルを用いた実験は、P2X7遮断Nbが、この及び他の疾患において過剰な炎症反応の勢いを弱める際に、治療的に有益な効果を有することを示す。
【0433】
P2X7増強14D5 HLE−Nbが、腎炎モデルにおいて炎症応答を悪化させたとの知見は、Nbを、例えば、細胞内寄生虫(例えばクラミジア及びトキソプラズマなど)を用いた慢性感染において、所望の炎症応答を増強するために使用することができ、ここで、P2X7の活性化は、有益な効果を有することが示されてきた。
【0434】
Nbは、一般的に、小分子阻害剤を上回る多数の利点を提供し、これらは、また、P2X7イオンチャネルに対して向けられたNbに関係する:低い毒性、生分解性、より大きなタンパク質ファミリーの個々のメンバーについての高い特異性、及び種々の再フォーマット化オプション。
【0435】
実施例4:MSモデルにおける抗P2X7ナノボディの評価
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)ペプチド残基35〜55を使用した、MS、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の動物モデルを、野生型C57BL6マウスにおいて誘導する。疾患マウスは、抗P2X7 Nb又はダミーNbを受ける。疾患進行を、臨床徴候の出現、脳炎症及び神経損傷を評価するための免疫細胞化学染色により、及びT細胞サイトカイン産生の測定によりモニターする。
【0436】
実施例4.1:EAEの誘導
EAEを、合成ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35〜55(MOG35−55)を使用し、C57BL/6マウスにおいて能動的に誘導する(記載されている通り)(Matute et al., 2007)。マウスを、500μgのマイコバクテリウム・ツベルクローシスを含む100μLのCFAと混合した、100μLのPBS中に溶解した300μgのMOG35-55の乳剤を用いて皮下注射(1つの後肢において隣接領域中に2つの100μL注射)する。MOG35-55注射直後、動物は、百日咳毒素(200μLのPBS中のPTの200ng)の腹腔内注射を受ける。2日後、マウスは第2PT注射を受け、1週間後、MOG35−55の追加免疫注射を受ける。臨床徴候を、5ポイントスケールでスコア化する:グレード0、無臨床徴候;1、尾の引きずり及び/又は損なわれた立ち直り;2;1つの後肢での不全麻痺;3;2つの後肢での不全麻痺;4;瀕死;5、死亡。スコアリングは、盲検化研究者により毎日同じ時間に行われる。
【0437】
実施例4.2:抗P2X7ナノボディの注射
ナノボディを、MOG35−55免疫化プロトコールと同時に、尾静脈により静脈内注射する。5−6匹のマウスの群が、ダミーNb、13A7−13A7−ALB8、又は14D5−14D5−ALB8を用いた注射を受ける(実施例2において記載する通り)。
【0438】
実施例4.3:T細胞の単離及びサイトカイン測定
脾細胞を、追加免疫MOG注射/Nb注射後4日目又は21日目に、MOG35−55免疫化EAEマウスから単離する。赤血球細胞の溶解後、脾細胞を、24ウェルプレート中に、1ウェル当たり2×10
5個細胞の密度で、400μlのRPMI培地中にプレーティングし、免疫原(0又は25μg/mlのMOG35−55ペプチド)を用いてインキュベートする。1日後、培地の一定分量を、IL−17又はIFNγのレベルについて、ELISAにより、推奨手順に従ってアッセイする。各々のサンプルを、少なくとも3通りにおいてアッセイし、ng/mlサイトカインの算出を標準曲線から決定し、MOGペプチドの存在に起因する増加を決定する。活性化した脾細胞により産生された64の炎症性分子の半定量分析を、マウスサイトカイン抗体アレイIII(例えば、RayBiotech)を使用し、製造者のプロトコールに従って行う。
【0439】
実施例4.4:浸潤細胞についての分析
マウス脳を、生理食塩水を用いて灌流し、4%パラホルムアルデヒド中で一晩後固定した。脳半球の脱水、洗浄、乾燥、及び固化は、標準的なプロトコールに従う。組織を、8μm厚に切断する。矢状切片(8又は10μm)は、正中線から始めて切断し、マウントする。切片のさらなる調製は、標準的なプロトコールに従っている。各々の動物からの4つの連続切片を、嗅球から背側第三脳室までの領域中に存在する浸潤細胞の数について分析する。全ての染色切片の白黒画像は、10×対物レンズを用いた同じ露光時間を使用して得られる。小さな丸い好ヘマトキシリン(hematoxylinophyllic)核を含む特定の視野を定義し、コントラストを調整し、より大きな丸い細胞、恐らくは、オリゴデンドロサイトをカウントしないようにする。データを、mm2当たりの細胞数として提示する。
【0440】
免疫組織化学を使用し、T細胞を検出する。このために、凍結切片を、抗CD8抗体を使用して染色する。切片を、PBS+抗体中の3%BSA中で、一晩、4℃でインキュベートし、洗浄し、次に、FITCを用いて標識した二次抗体を用いて展開する。
【0441】
等価物
前述の文書による明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分であると考えられる。本発明は、提供する実施例により、範囲において限定されない。なぜなら、実施例は、本発明の特定の局面及び実施態様の例証として意図されるからである。他の機能的に等価の実施態様が、本発明の範囲内にある。本発明の種々の改変が、本明細書において示し、記載するものに加えて、前述の記載から当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲内に入るであろう。本発明の利点及び目的は、本発明の各々の実施態様により必ずしも包含されない。