(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、放熱部材とセルを固定するための加圧部材とを組み合わせるため、大型の組電池になってしまうおそれがある。
【0006】
また、特許文献2に記載の発明の場合、部品公差を考慮した構造ではセルと構造物との間に隙間が発生する。この隙間を無くし加圧を行う場合は調整機能を持たせるため、より大型の組電池になってしまう。
【0007】
加えて、セルを固定する加圧部材が金属類の場合は絶縁物を用いて絶縁対策を行うが、樹脂類の場合、絶縁に問題がなくとも、強度に劣るため、梁構造などの複雑な構造を取らざるを得ず、結果的に大型に成り易い。更に放熱も考慮した場合は伝熱経路を確保するため、ますます構造が複雑になり、部品点数が増加する問題がある。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、小型化が可能であり、部品点数が削減された蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールは、蓄電セルと熱伝導シートを具備する。
上記熱伝導シートは、上記蓄電セルに積層され、絶縁性を有し、少なくとも一方の主面に凸部と凹部からなる凹凸構造を備え、上記凸部の弾性変形による弾性を有する。
【0010】
この構成によれば、熱伝導シートは凸部を有する。ここで、凸部が弾性変形することにより、熱伝導シートに反発力を生じさせることができる。これにより、凸部を有する熱伝導シートは、蓄電セルの発熱に伴う熱を伝導するだけではなく、蓄電セルを押圧することができる。つまり、当該熱伝導シートは、蓄電セルを押圧する加圧部材と熱伝導部材を一体化した構成とすることができる。従って、当該熱伝導シートを用いることにより、小型化が可能であり、部品点数が削減された蓄電モジュールを提供することができる。
【0011】
上記凸部は、上記主面に平行な第1の方向に延伸し、上記主面に平行な方向であって上記第1の方向と直交する第2の方向に上記凹部を介して互いに離間してもよい。
【0012】
この構成によれば、凸部は、主面に平行な第1の方向に延伸し、第2の方向に凹部を介して互いに離間するものとなる。これにより、熱伝導シートは蓄電セルとの接触面積が増えるので、効率的に蓄電セル由来の熱を伝導することができる。
【0013】
上記凸部は、上記第1の方向と上記第2の方向に直交する第3の方向に突出してもよい。
【0014】
この構成によれば、凸部は、第3の方向に突出するように構成される。これにより、蓄電セルは、第3の方向に押圧され、固定されることができる。具体的には、凸部が蓄電セルに食い込んで潰れることによる第3の方向の反発力を利用して、蓄電セルが押圧され固定されるものとなる。
【0015】
上記凸部は、上記第1の方向と上記第2の方向に直交する第3の方向から上記第2の方向に傾斜する方向に突出してもよい。
【0016】
凸部が第2の方向に傾斜する方向に突出することにより、蓄電モジュールが振動等の影響を受けた場合に、蓄電セルのずれる方向を規制することができる。
【0017】
上記凸部は、突出する方向の上記第3の方向からの傾きが互いに異なる凸部を含んでもよい。
【0018】
この構成によれば、凸部は、突出する方向の第3の方向からの傾きが互いに異なる凸部を含むことができる。これにより、蓄電セルは凸部から一方向に反発力を受けないものとなる。つまり、凸部は蓄電セルを一方向に押圧するだけではなく、他方からも押圧することができる。
【0019】
上記凸部は、上記第3の方向から上記第2の方向に傾斜する方向に突出する第1の凸部と、上記第3の方向から上記第2の方向と反対方向に傾斜する方向に突出する第2の凸部とを含んでもよい。
【0020】
この構成によれば、凸部は第3の方向から第2の方向に傾斜する方向に突出する第1の凸部と、第3の方向から第2の方向と反対方向に傾斜する方向に突出する第2の凸部とを含むことができる。これにより、蓄電セルは、第1の凸部から第2の方向に傾斜する方向に反発力を受けるだけではなく、第2の凸部からも第2の方向と反対方向に傾斜する方向に反発力を受けるものとなるので、蓄電セルの位置ズレが軽減される。
【0021】
上記第1の凸部が突出する方向と上記第2の凸部が突出する方向は、上記第3の方向に対して対称であってもよい。
【0022】
第1の凸部が突出する方向と第2の凸部が突出する方向が第3の方向に対して対称となることにより、第1の凸部と第2の凸部は第3の方向から同じ角度で互いに反対方向に傾斜するものとなる。従って、第1の凸部から蓄電セルに与える反発力は、第2の凸部から蓄電セルに与える反発力と同等なものとなる。よって、蓄電セルが熱伝導シートから受ける押圧力の偏りがなくなるため、蓄電セルの位置ズレの発生を抑制することができる。
【0023】
上記凸部は、第1の凸部と、上記第1の凸部より上記主面からの高さが低い第2の凸部とを含んでもよい。
【0024】
この構成によれば、凸部は、第1の凸部と、第1の凸部より主面からの高さが低い第2の凸部とを含むことができる。これにより、凸部は、主に第1の凸部で蓄電セルを押圧し、第2の凸部で蓄電セルとの接触面積を確保する構成とすることができる。従って、凸部は第1の凸部と第2の凸部とを含むことにより、伝熱効率を低下させずに、加重をかけすぎないで蓄電セルを押圧することができる。
【0025】
上記凸部は、上記主面に平行な第1の方向に延伸し、上記主面に平行な方向であって上記第1の方向と直交する第2の方向に上記凹部を介して互いに離間してもよい。
【0026】
この構成によれば、第1の凸部と、第1の凸部より主面からの高さが低い第2の凸部とを含む凸部は、第1の方向に延伸し、第2の方向に凹部を介して互いに離間する構成とすることができる。これにより、当該凸部は、蓄電セルとの接触面積が増えるので、伝熱効率の低下と蓄電セルに対する過剰な押圧を抑制するだけではなく、効率的に蓄電セル由来の熱を伝導することができる。
【0027】
上記凸部は、上記主面に平行な第1の方向と、上記主面に平行な方向であって上記第1の方向と直交する第2の方向に直交する第3の方向から、上記主面に向かって傾斜する方向に突出してもよい。
【0028】
この構成によれば、第1の凸部と、第1の凸部より主面からの高さが低い第2の凸部とを含む凸部は、主面の方向に傾斜する構成とすることもできる。これにより、伝熱効率の低下と蓄電セルに対する過剰な押圧を抑制するだけではなく、蓄電セルのずれる方向を規制することもできる。
【0029】
上記熱伝導シートは、シリコンゴムからなってもよい。
【0030】
熱伝導シートがシリコンゴムからなることにより、熱伝導シートが有する凸部の弾性力(反発力)が向上し、熱伝導シートの永久歪が発生しにくいものとなる。換言すれば、熱伝導シートは、同材料からなることにより、経年劣化が少ないものとなることができる。
【0031】
上記蓄電セルは、蓄電素子と、
上記蓄電素子を被覆し、電解液と共に封止する外装フィルムとを
具備してもよい。
【0032】
一般的に、外装材がフィルムである蓄電セルは、外装材の強度が小さいため、加圧部材等に押圧されにくいものとなるが、本発明に係る蓄電セルは、熱伝導シート側の面の全面が熱伝導シートに被覆されるものとなるので、外装フィルムを備える構成であったとしても、熱伝導シートによって効率的に押圧され、固定されることができる。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蓄電モジュールは、第1の蓄電セルと、第2の蓄電セルと、熱伝導シートと、第1のプレートと、第2のプレートとを具備する。
上記熱伝導シートは、上記第1の蓄電セルと上記第2の蓄電セルの間に積層され、絶縁性を有し、少なくとも一方の主面に凸部と凹部からなる凹凸構造を備え、上記凸部の弾性変形による弾性を有する。
上記第2のプレートは、上記第1のプレートと共に上記第1の蓄電セル、上記第2の蓄電セル及び上記熱伝導シートを挟持し、上記第1の蓄電素子と上記第2の蓄電素子を上記熱伝導シートを介して互いに押圧する。
【0034】
この構成によれば、熱伝導シートは凸部を有し、第1の蓄電セルと第2の蓄電セルの間に積層される。ここで、凸部が弾性変形することにより、熱伝導シートに反発力を生じさせることができる。これにより、凸部を有する熱伝導シートは、蓄電セルの発熱に伴う熱を伝導するだけではなく、蓄電セルを第1のプレート及び第2のプレート側へ押圧することができる。つまり、当該熱伝導シートは、蓄電セルを押圧する加圧部材と熱伝導部材を一体化した構成とすることができる。従って、当該熱伝導シートを用いることにより、小型化が可能であり、部品点数が削減された蓄電モジュールを提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、小型化が可能であり、部品点数が削減された蓄電モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0038】
[蓄電モジュールの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電モジュール10の斜視図である。
図2は、蓄電モジュール10の分解斜視図であり、
図3は断面図である。なお、以下の図においてX方向、Y方向及びZ方向は相互に直交する3方向である。
【0039】
図1乃至
図3に示すように、本実施形態に係る蓄電モジュール10は、第1蓄電セル20、第2蓄電セル21、熱伝導シート30、第1プレート40、第2プレート41、第1絶縁性シート50、第2絶縁性シート51及び支持部材60を備える。なお、
図2及び
図3においては支持部材60の図示を省略する。
【0040】
図2及び
図3に示すように、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21は、熱伝導シート30を介して積層されている。第1蓄電セル20の熱伝導シート30とは反対側には、第1絶縁性シート50を介して第1プレート40が積層され、第2蓄電セル21の熱伝導シート30とは反対側には、第2絶縁性シート51を介して第2プレート41が積層されている。第1プレート40及び第2プレート41は、互いに押圧された状態で支持部材60によって支持され、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を熱伝導シート30を介して挟持する。
【0041】
第1蓄電セル20は、充電及び放電が可能なセルである。
図4は、第1蓄電セル20の構造を示す模式図である。
図4に示すように、第1蓄電セル20は、蓄電素子22、外装フィルム23、正極端子24及び負極端子25を有する。
【0042】
蓄電素子22は、
図4に示すように、正極26、負極27及びセパレータ28を備える。正極26、負極27はセパレータ28を介して互いに対向する。
【0043】
正極26は正極活物質やバインダ等を含む正極材料からなるものとすることができる。正極活物質は例えば活性炭である。正極活物質は、第1蓄電セル20の種類に応じて適宜変更することができる。また、正極26は正極配線26aに連続する集電体上に形成しても良い。
【0044】
負極27は負極活物質やバインダ等を含む負極材料からなるものとすることができる。負極活物質は例えば炭素系材料である。負極活物質は、第1蓄電セル20の種類に応じて適宜変更することが可能である。また、負極27は負極配線27aに連続する集電体上に形成しても良い。
【0045】
セパレータ28は、正極26と負極27の間に配置され、電解液を通過させると共に正極26と負極27の接触を防止(絶縁)する。セパレータ28は、織布、不織布又は合成樹脂微多孔膜等であるものとすることができる。
【0046】
図4においては、正極26と負極27がそれぞれ一つずつ設けられているが、それぞれが複数設けられるものとすることも可能である。この場合、複数の正極26と負極27がセパレータ28を介して交互に積層されるものとすることができる。
【0047】
外装フィルム23は、
図4に示すように蓄電素子22を被覆し、電解液と共に蓄電素子22を封止する。外装フィルム23は例えば、金属箔の表裏両面を合成樹脂によって被覆したものとすることができ、蓄電素子22の周縁において当該合成樹脂が熱融着し、内部を封止したものとすることができる。
【0048】
一般的に、外装材がフィルムである蓄電セルは、外装材の強度が小さいため、加圧部材等に押圧されにくいものとなるが、本実施形態に係る第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21は、熱伝導シート30側の面の全面が熱伝導シート30に被覆されるものとなるので(
図3参照)、外装材がフィルムであったとしても、熱伝導シート30によって第1プレート40及び第2プレート41側へ効率的に押圧され、固定されることができる。なお、第1蓄電セル20は必ずしも外装フィルム23を備えるものでなくてもよく、缶パッケージ等の外装材を備えるものであってもよい。
【0049】
電解液は、例えばSBP・BF
4(spirobipyyrolydinium tetrafuloroborate)等の電解質をプロピレンカーボネート等の非水溶媒に溶解した溶液であり第1蓄電セル20の種類に応じて選択されることができる。
【0050】
正極端子24は、正極26の外部端子である。
図4に示すように、正極端子24は、正極配線26aを介して正極26と電気的に接続され、2枚の外装フィルム23の間を介して外部へ引き出されている。正極端子24は導電性材料からなる箔や線材であるもとすることができる。正極端子24と正極配線26aとの接合には超音波溶接等を用いることができる。
【0051】
負極端子25は、負極27の外部端子である。
図4に示すように、負極端子25は、負極配線27aを介して負極27と電気的に接続され、2枚の外装フィルム23の間を介して外部へ引き出されている。負極端子25は導電性材料からなる箔や線材であるもとすることができる。負極端子25と負極配線27aとの接合には超音波溶接等を用いることができる。
【0052】
第1蓄電セル20の種類はとくに限定されず、リチウムイオンキャパシタやリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等とすることができる。また、第1蓄電セル20の構成は、
図4の構成に限定されるものではなく、例えば、1枚の外装フィルム23で蓄電素子22を封止する構成であってもよい。
【0053】
第2蓄電セル21は、充電及び放電が可能なセルであり、第1蓄電セル20と同一の構造とすることができる。また、第2蓄電セル21は、第1蓄電セル20とは異なる構造を有する蓄電セルであってもよい。
【0054】
熱伝導シート30は、
図1乃至
図3に示すように、第1蓄電セル20と第2蓄電セル21に押圧される。熱伝導シート30は、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21の発熱に伴う熱を第1プレート40又は第2プレート41に伝導する機能を有する。
【0055】
熱伝導シート30は、絶縁性、熱伝導性、一定以上の剛性(ひずみが生じにくい)を有する材料からなるものとすることができ、例えばビニルメチルシリコンゴムからなるシリコンゴム等からなるものとすることができるが、この材料に限定されるものではない。熱伝導シート30については後述する。
【0056】
第1プレート40は、
図2及び
図3に示すように、第1絶縁性シート50に積層され、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21の発熱に伴う熱を放熱する機能を有する。第1プレート40は、金属材料からなり、例えば、アルミニウムからなる金属板とすることでき、この他にも銅、ニッケル又はステンレス等からなる金属板であってもよい。第1プレート40が金属からなることにより、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21由来の熱が効率的に放熱される。第1プレート40の厚みは、数mm程度とすることができる。
【0057】
第2プレート41は、
図2及び
図3に示すように、第2絶縁性シート51に積層され、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21の発熱に伴う熱を放熱する機能を有する。第2プレート41は、第1プレート40と同じ材料からなるものとすることができ、数mm程度厚さとすることができる。
【0058】
第1絶縁性シート50は、
図2及び
図3に示すように、第1蓄電セル20と第1プレート40の間に積層される。第1絶縁性シート50は、絶縁性を有する材料からなり、第1蓄電セル20の正極端子24及び負極端子25と第1プレート40との接触を防止(絶縁)する。第1絶縁性シート50は、例えば、合成樹脂や合成ゴム等からなるものとすることができる。第1絶縁性シート50の厚みは数mm程度とすることができる。
【0059】
第2絶縁性シート51は、
図2及び
図3に示すように、第2蓄電セル21と第2プレート41の間に積層される。第2絶縁性シート51は、第2蓄電セル21の正極端子24及び負極端子25と第2プレート41との接触を防止(絶縁)する。第2絶縁性シート51は、第1絶縁性シート50と同じ材料からなるものとすることができ、数mm程度の厚さとすることができる。
【0060】
本実施形態に係る蓄電モジュール10は以上のような構成を有する。
【0061】
[熱伝導シートについて]
熱伝導シート30の詳細について説明する。
図5は熱伝導シート30の斜視図である。また、
図6は熱伝導シート30の側面図であり、
図7は平面図である。
【0062】
熱伝導シート30は、
図5及び
図6に示すように、凸部31と凹部32から成る凹凸構造を有する。凸部31及び凹部32は、熱伝導シート30の少なくとも一方の主面30aに備えられる。
【0063】
ここで、X方向は主面30aに平行な一方向、Y方向は主面30aに平行でX方向と直交する方向、Z方向はX方向及びY方向と直交する方向とすると、凸部31は、
図5乃至
図7に示すように、X方向に延伸し、Y方向に凹部32を介して互いに離間する構成とすることができる。
【0064】
また、凸部31は、
図6に示すように、Z方向に突出するように構成される。換言すれば、上記のように凸部31はX方向に延伸し、即ちX方向において一様な形状を有するため、X−Z平面(図中矢印L1)に沿って突出する。
【0065】
[熱伝導シートの効果]
本実施形態に係る熱伝導シート30は、凸部31が弾性変形することにより、熱伝導シート30に反発力を生じさせることができる。
【0066】
これにより、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21の発熱に伴う熱を伝導させるだけではなく、第1蓄電セル20を第1プレート40側へ押圧し、第2蓄電セル21を第2プレート41側へ押圧することができる。よって、熱伝導シート30は、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を押圧する加圧部材と熱伝導部材を一体化した構成とすることができる。ここで、熱伝導シート30が第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を押圧する圧力は、0.012MPaとするのが好適である。
【0067】
本実施形態に係る熱伝導シート30は、上述したとおり、主面30aに平行なX方向に延伸し、主面30aに平行でX方向と直交するY方向に凹部32を介して互いに離間する凸部31を備える構成とすることができる(
図5乃至
図7参照)。
【0068】
これにより、熱伝導シート30は凸部31を介して、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21との接触面積が増えるので、効率的に第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21由来の熱を第1プレート40又は第2プレート41に伝導することができる。
【0069】
また、
図6に示すように、凸部31は、矢印L1の方向に突出するように構成されることにより、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21をZ方向に押圧して、固定させることができる。具体的には、凸部31が第1蓄電セル20又は第2蓄電セル21に食い込んで潰れることによるZ方向の反発力を利用して、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を押圧し固定するものとなる。さらに、凸部31は、
図6に示すように、主面30aからの高さをD1とし、幅をD2とすると、D1とD2が調整されることにより、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を押圧する反発力を調節することができる。
【0070】
また、熱伝導シート30は、絶縁性を有する。これにより、
図3に示すように、第1蓄電セル20と第2蓄電セル21の間に積層されることによって、第1蓄電セル20の正極端子24及び負極端子25と、第2蓄電セル21の正極端子24及び負極端子25が接触することによる蓄電モジュール10の短絡を防止することができる。
【0071】
さらに、熱伝導シート30はビニルメチルシリコンゴムからなるシリコンゴムからなることにより、凸部31の弾性力(反発力)が向上し、永久歪が発生しにくいものとなることができる。換言すれば、熱伝導シート30は、同材料からなることにより、経年劣化が少ないものとなることができる。
【0072】
一般的な熱伝導シートは、材料自体のゴム弾性に由来する弾性力を利用して蓄電セルを押圧するものとなる。これにより、長時間使用し続けると永久歪が大きくなり、数時間後には押圧力がなくなってしまうものとなる。
【0073】
一方、本発明に係る熱伝導シート30は、硬度が高い材料からなり、凸部31が有する弾性力を利用して蓄電セルを押圧するものとなるため、一般的な熱伝導シートよりも蓄電セルから受ける反発力が軽減し、永久歪が発生しにくいものとなる。
【0074】
図8乃至
図13は、各種構造を有する熱伝導シート30の側面図である。凸部31は、
図5乃至
図7に示す形状だけではなく、
図8に示すように、Z方向からY方向に傾斜する方向に突出する構成とすることもできる。
【0075】
具体的には、
図8に示すように、主面30aと直交する平面である矢印L1からY方向に傾斜する平面を矢印L2とすると、凸部31は、矢印L2の方向に突出する構成とすることができる。これにより、蓄電モジュール10が振動等の影響を受けた場合に、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21のずれる方向を規制することができる。
【0076】
凸部31は、
図9に示すように、突出する方向のZ方向からの傾きが互いに異なるものとすることができる。具体的には、
図9に示すように、主面30aと直交する平面である矢印L1から矢印L2と異なる傾きでY方向に傾斜する平面を矢印L3とすると、凸部31は、矢印L2の方向に突出する凸部31と、矢印L3の方向に突出する凸部31とを含むものとすることができる。
【0077】
これにより、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21は凸部31から一方向に反発力を受けないものとなる。つまり、凸部31は第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を一方向に押圧するだけではなく、他方からも押圧することができる。
【0078】
また、凸部31は、Z方向からY方向に傾斜する方向に突出する凸部31bと、Z方向からY方向と反対方向に傾斜する方向に突出する凸部31cとを含むものとすることができる。
【0079】
具体的には、
図10に示すように、主面31aと直交する平面である矢印L1からY方向と反対方向に傾斜する平面を矢印L4とすると、凸部31bは矢印L2の方向に突出し、凸部31cは矢印L4の方向に突出する構成とすることができる。
【0080】
これにより、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21は、凸部31bからY方向に傾斜する方向に反発力を受けるだけではなく、凸部31cからもY方向と反対方向に傾斜する方向に反発力を受けるものとなるので、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21の位置ズレが軽減される。
【0081】
加えて、凸部31bが突出する方向と、凸部31cが突出する方向はZ方向に対して対称とすることもできる。具体的には、
図10に示すように、主面31aと直交する平面である矢印L1に対する矢印L2の角度A1と、矢印L4の角度A2が同じ角度となる。
【0082】
つまり、凸部31bと凸部31cは、
図10に示すように、Z方向から同じ角度で互いに反対方向に傾斜することができる。従って、凸部31bから第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21に与える反発力は、凸部31cから第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21に与える反発力と同等なものとなる。よって、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21が熱伝導シート30から受ける押圧力の偏りがなくなるため、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21の位置ズレの発生を抑制することができる。
【0083】
凸部31は、
図5乃至
図10に示す構成に限定されるものではなく、
図11に示すように、凸部31dと、凸部31dより主面30aからの高さが低い凸部31eとを含むものとすることができる。ここで、凸部31d及び凸部31eは、
図11に示すように、主面30aと直交する平面である矢印L1の方向に突出する構成とすることができる。
【0084】
凸部31dは、
図11に示すように、主面30aから高さをD3とすると、D3は熱伝導シート30が第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を所定の圧力で押圧する高さに設定される。
【0085】
凸部31eは、
図11に示すように、主面30aからの高さをD4とすると、D4は第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21との接触面積を確保することができる程度の高さに設定される。
【0086】
よって、熱伝導シート30は、主に凸部31dで第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を押圧し、凸部31eで第1蓄電セル20との接触面積を確保する構成とすることができる。
【0087】
従って、熱伝導シート30は、凸部31dと凸部31eを有することにより、伝熱効率を低下させずに、加重をかけすぎないで第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21を押圧することができる。
【0088】
また、凸部31d及び凸部31eは、その数が調整されることにより、熱伝導シート30の熱伝導性と、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21に対する押圧力が調整されることができる。具体的には、熱伝導シート30が備える凸部31dと凸部31eの数の比を1:8とするのが好適である。
【0089】
さらに、凸部31d及び凸部31eは、
図12に示すように、主面30aの方向に傾斜する構成とすることもできる。具体的には、
図12に示すように、凸部31d及び凸部31eは、主面30aと直交する平面である矢印L1からY方向に傾斜する平面である矢印L2の方向に突出するように構成されることができる。
【0090】
これにより、伝熱効率の低下と、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21に対する過剰な押圧が抑制されるだけではなく、第1蓄電セル20及び第2蓄電セル21のずれる方向を規制することもできる。
【0091】
凸部31d及び凸部31eの形状は、
図11及び
図12の構成に限定されるものではなく、
図13に示すように、凸部31d及び凸部31eは、突出するZ方向からの傾きが互いに異なる構成とすることもできる。
【0092】
具体的には、
図13に示すように、凸部31eは、主面31aと直交する平面である矢印L1からY方向に傾斜する平面である矢印L2の方向に突出し、凸部31dは、矢印L1からY方向と反対方向に傾斜する平面である矢印L4の方向に突出する構成とすることができる。なお、凸部31d及び凸部31eが突出する方向は、
図13に示す構成に限定されるものではなく、凸部31dは矢印L2の方向に突出してもよく、凸部31eは矢印L4の方向に突出してもよい。
【0093】
図14乃至
図19は凸部31の形状の他の構造を示す図である。凸部31をX方向から見た形状(凸部31の側面図)は、
図6に示す構成に限定されるものではなく、
図14及び
図15に示すように、三角状や矩形状等とすることができる。また、Z方向から見た形状(凸部31の平面図)も
図7に示す構成に限定されるものではなく、
図16乃至
図18に示すように、波形状、曲線状、及び屈曲点を有する直線状等とすることができる。
【0094】
また、凸部31をZ方向から見た形状は、
図7、
図16、
図17及び
図18に示すような線状に限定されるものではなく、
図19に示すように、凹部32を介して互いに独立した凸部31が複数形成されたものであってもよい。
【0095】
図20は、熱伝導シート30の他の構造を示す模式図である。凸部31は、
図20に示すように、熱伝導シート30の片面だけではなく、両面に設けられることもできる。
【0096】
[変形例]
図21は、変形例に係る蓄電モジュール10を示す断面図である。上記実施形態において、蓄電モジュール10は、第1蓄電セル20と第2蓄電セル21を有するものとしたが、この構成に限定されるものではない。蓄電モジュール10は、
図21に示すように、第1蓄電セル20のみを有するものとすることができ、3つ以上蓄電セルを有するものとすることもできる。蓄電セルの数が2つ以上の場合は、複数の蓄電セルの最上面が第1絶縁性シート50に積層され、最下面が第2絶縁性シート51に積層される。
【0097】
また、上記実施形態において第1プレート40及び第2プレート41は金属からなるものとしたが、合成樹脂等の絶縁性材料からなるものとすることもできる。この場合、第1絶縁性シート50及び第2絶縁性シート51は、蓄電モジュール10に設けられなくてもよい。