【発明の効果】
【0011】
緩衝体は、前記真空ポンプもしくは前記レシピエントに前記緩衝体を固定するための、ポンプ側およびレシピエント側のフランジと、これらフランジの真空密な結合のための、波形ベローズとを有している。
本発明に従い、緩衝体は、前記ポンプ側及び/またはレシピエント側のフランジと結合された少なくとも1つの保護要素を有しており、前記保護要素が、前記波形ベローズの外側に配設されており、および、前記保護要素が、これらフランジの互いに相対的な捩れ及び/または軸線方向の引き離しを制限する。
【0012】
保護要素を用いての、これらフランジの相対的な捩れの制限によって、波形ベローズがロータークラッシュの発生の際に曝される捩れは制限される。換言すれば、保護要素は、これらフランジの最大の捩れを、その角度に相応する捩れによって波形ベローズの如何なる損傷も発生可能ではないような該角度に制限する。
選択的または付加的に、保護要素は、ロータークラッシュの場合に、軸線方向においてこれらフランジの間で発生する最大の距離を、および、これに伴って、これらフランジがそのような場合に波形ベローズに対して作用する力を、制限する。
【0013】
ロータークラッシュの発生の際に、ポンプ側のフランジにおいて発生する回転トルク、及び/または、相応する軸線方向の力は、少なくとも1つの保護要素を介して、真空ポンプからレシピエントへと伝達され、および、これに伴って、波形ベローズへは伝達されない。このようにして、波形ベローズは、ロータークラッシュの発生の際に、外側に位置する保護要素によって、引き裂きから保護されている。
【0014】
つまりは、これによって、同様に真空ポンプおよびレシピエントの周囲環境も、ロータークラッシュの危険から保護される。何故ならば、如何なる真空ポンプの制御されていない運動も、全体としてまたはこの真空ポンプのローターブレードから周囲環境内へと発生可能ではないからである。
【0015】
付加的に、波形ベローズの外側に配置された少なくとも1つの保護要素が、波形ベローズの内側で配設された、公知の緩衝体の保持ブラケットの機能、即ち、波形ベローズの許容されていない伸長及び/または延長の防止を引き受けることは可能であり、この伸長及び/または延長が、例えば、真空ポンプが緩衝体を用いて、懸吊りした状態でレシピエントに装着されている場合に発生可能である。
【0016】
従って、本発明に従い、波形ベローズの内側における保持ブラケットは省略され得、このことは、緩衝体の流動技術的なコンダクタンスに役立つ。これに伴って、外側に位置する保護要素によって、本発明に従う緩衝体の、同様に真空技術的な特性も、公知の緩衝体との比較において改善され得る。
【0017】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項、明細書、および、図内において提示されている。
【0018】
1つの実施形態に従い、ポンプ側のフランジに、保護要素の少なくとも1つの第1の固定位置が、および、レシピエント側のフランジに、保護要素の少なくとも1つの第2の固定位置が設けられており、および、第1の固定位置と第2の固定位置との間の間隔が、第1の固定位置と第2の固定位置との間の保護要素の長さよりも短い。
間隔という概念は、この場合、数学的な意味において、2つの固定位置の間の最小の距離と理解されるべきである。有利には、即ちフランジの中心軸線に対して平行な方向における、同様に軸線方向の間隔も、これら固定位置の間の保護要素の長さよりも短い。
【0019】
保護要素は、この実施形態において、これに伴って、ポンプ側のフランジとレシピエント側のフランジとの間の剛性の、または、ぴんと張った如何なる結合も形成しない。その代わりに、保護要素のある程度の遊隙が、これらフランジのために許容される。
保護要素の長さは、その際、有利には、しかしながら、ロータークラッシュの発生の際にただ極めて少しの捩れだけが、波形ベローズ内において発生し、且つ、この波形ベローズの損傷が防止されるように寸法設定されている。
この実施形態において、保護要素を用いて、これらフランジの間の剛性の、または、ぴんと張った如何なる結合も形成されないので、この保護要素を用いて、これらフランジの間のほぼ如何なる振動も伝達せず、従って、真空ポンプとレシピエントとの間の振動分離された結合は、外側に位置するこの保護要素によって阻害されない。
【0020】
有利には、ポンプ側のフランジとレシピエント側のフランジとに、保護要素のそれぞれに複数の固定位置が設けられており、この保護要素が、交互に、ポンプ側のフランジにおける固定位置と、レシピエント側のフランジにおける固定位置との間で延在している。
保護要素は、この実施形態において、これに伴って、これらフランジの間で、複数の結合部を形成しており、従って、ロータークラッシュの発生の際に、保護要素によって保持され得る最大の回転トルクが、相応してより大きい。このことによって、真空ポンプとレシピエントとの間の結合は、付加的に保護される。
【0021】
保護要素は、有利には、ワイヤーロープとして形成されている。
ワイヤーロープは、曲げ柔軟であり、且つ、従って、ほぼ如何なる振動も、これらフランジの間で伝達しない。ワイヤーロープは、それにも拘らず、ロータークラッシュの発生の際の、真空ポンプとレシピエントとの間の結合の保護のための高い引張り強度を有している。
【0022】
選択的に、保護要素が、チェーンとして形成されていることは可能である。
緩衝体の真空にされた状態において、および、ロータークラッシュの発生無しに、チェーンの個々の要素は、ただ緩く互いの中に位置しているだけであり、且つ、これら要素が、従って、ほぼ如何なる振動も、これらフランジの間で伝達しない。チェーンは、しかしながら、同様に、ロータークラッシュの発生の際の、真空ポンプとレシピエントとの間の結合を保護するための、高い引張り強度を有している。
【0023】
選択的な実施形態に従い、保護要素は、少なくとも1つの剛性の保護部材を備えている。
緩衝体が真空にされた状態にある場合に、少なくとも1つの剛性の保護部材が、有利には、これらフランジの内の一方のフランジに遊隙無しに、および、これらフランジの内の、それぞれに他方のフランジに遊隙を有して装着されている。
保護部材が、この場合に、ポンプ側のフランジとレシピエント側のフランジとの間の、如何なる直接的な結合も形成しないので、この実施形態において、如何なる振動も、これらフランジの間で伝達されない。何故ならば、剛性の保護部材と両方のフランジとの間の係合が、ただ、レシピエントの真空にされていない状態もしくは通気された状態において、または、ロータークラッシュの発生の際にだけ行われるからである。
【0024】
更に別の実施形態に従い、保護要素が、剛性の保護部材の少なくとも1つの対体を備えており、これら保護部材の内の一方の保護部材が、ポンプ側のフランジにおける第1の固定位置に、および、他方の保護部材が、レシピエント側のフランジにおける第2の固定位置に装着されている。その際、第1および第2の固定位置が、フランジの外周方向において離間されている。
第1の固定位置と第2の固定位置との間の間隔によって、波形ベローズが損傷を与えられることなくロータークラッシュの発生の際に許容され得る、これらフランジの間の最大の捩れの角度は調節され得る。
【0025】
有利には、緩衝体が真空にされた状態にある場合に、それぞれの対体の保護部材は、フランジの外周方向において離間されている。
保護部材は、この実施形態において、これに伴って、これらフランジの捩れが、相対して、ロータークラッシュの発生の際に行われる場合にだけ、互いに接触する。このようにして、真空にされた状態において、保護部材を用いて、如何なる振動も、これらフランジの間で伝達されないことが保障されている。
【0026】
有利には、1つの対体の少なくとも一方の保護部材は、切欠き部を有しており、この切欠き部内へと、この対体の他方の保護部材の突出部が係合している。
その際、緩衝体の真空にされた状態において、対体のこれら保護部材の間の、如何なる直接的な接触も存在せず、従って、如何なる振動も、これら保護部材を通って伝達されない。それぞれに他方の保護部材の切欠き部内における、一方の保護部材の突出部の配設によって、付加的な保護が、軸線方向において、即ちフランジの中心軸線に対して平行な方向において行われる。波形ベローズは、この実施形態において、ロータークラッシュの場合に、回転トルクに対してだけでなく、軸線方向の力に対しても保護される。
【0027】
更に別の実施形態に従い、複数の保護要素は、それぞれに、第1の固定位置において、ポンプ側のフランジと、並びに、第2の固定位置において、レシピエント側のフランジと結合されており、および、一方の保護要素の第1の固定位置と第2の固定位置との間の間隔が、少なくとも2つの保護要素に関して異なっている。
この間隔は、同様にここでも、第1の固定位置と第2の固定位置との間の最小の距離に関連する。有利には、同様に、それぞれの第1の固定位置と第2の固定位置との間の軸線方向、即ちフランジの中心軸線に対して平行な方向の間隔も、少なくとも2つの保護要素に関して異なっている。複数の保護要素によって、波形ベローズの更により良好な保護が、ロータークラッシュの場合の引き裂きに対して行われる。
【0028】
有利には、緩衝体は、更に、エラストマー材料から成るスリーブを備えており、このスリーブが、波形ベローズを取り囲んでおり、且つ、ポンプ側のフランジとレシピエント側のフランジとの間に配設されている。
スリーブは、波形ベローズが、真空ポンプの作動状態において、即ちレシピエントおよび緩衝体の真空にされた状態において、所望されるよりも更に収縮されることを防止する。更に、エラストマー材料から成るスリーブは、少なくともほぼ完全に、真空ポンプとレシピエントとの間の振動伝達を防止する。
【0029】
本発明を、まさに例示的に、本発明に従う緩衝体の実施形態を図示する添付された図に基づいて説明する。