(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る実施例を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る有機発光装置を示す平面図であり、
図2は、
図1に示された有機発光装置を示す断面図である。
【0010】
図1及び
図2に示された有機発光装置は、基板101上に配置される発光素子130、画素絶縁膜138、及び封止保護層140を備える。
【0011】
発光素子130は、アノード電極132と、アノード電極132上に形成される発光層134と、発光層134上に形成されたカソード電極136とを備える。
【0012】
アノード電極132は基板101上に形成される。このアノード電極132は、インジウムティンオキサイド(ITO)又はインジウムジンクオキサイド(IZO)のような透明導電層で形成される。このようなアノード電極132は、
図3に示されるように、アノード部132a、接触部132b、及び短絡防止部132cを備える。
【0013】
アノード部132aは、画素絶縁膜138によって設けられた発光領域と重なる領域であって、発光層134を挟んでカソード電極136と重なる。
【0014】
接触部132bは、下部補助電極122上で下部補助電極122に沿って形成される。ここで、下部補助電極122は、アノード電極132の抵抗成分を減少させるために、アノード電極132の接触部132bの下部でアノード電極132と接触する。このために、下部補助電極122は、アノード電極132の材質である透明導電層よりも導電率が高い材質で形成される。例えば、下部補助電極122は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、及び銅(Cu)のいずれか1つまたはこれらの合金を用いて単層又は多層構造で形成される。このような下部補助電極122は、画素絶縁膜138と重なるように画素絶縁膜138に沿って格子形状に形成される。
【0015】
短絡防止部132cは、アノード電極の接触部132bと、アノード電極のアノード部132aとの間に位置する。この短絡防止部132cは、接触部132b及びアノード部132aのそれぞれとアノードホール132hを挟んで所定の領域で離隔する。このような短絡防止部132cは、接触部132b及びアノード部132aよりも高抵抗値を有するように、接触部132b及びアノード部132aよりも線幅が小さく形成される。これによって、短絡防止部132cは、所定の発光領域のカソード電極136とアノード電極132との間に異物などによって短絡欠陥が発生する場合に、他の発光領域の発光素子130の電流が短絡欠陥部位を介して漏れることを防止する。
【0016】
画素絶縁膜138は、下部補助電極122に沿って下部補助電極122と重なるように形成されるので、発光領域が開放された島(island)形状を有する。この画素絶縁膜138は、下部補助電極122の側面及び上部面と、アノード電極132の側面とを覆うように形成される。この場合、アノード電極132及び下部補助電極122のそれぞれとカソード電極136との間の距離は、画素絶縁膜138の厚さだけ従来よりも増加するので、アノード電極132及び下部補助電極122のそれぞれとカソード電極136との間の短絡不良の発生を減少させることができる。また、画素絶縁膜138は、アノード電極132の側面を覆うように形成されるので、アノード電極132の腐食などを防止することができる。このような画素絶縁膜138は、光開始剤を有する有機絶縁材質、例えば、フォトアクリルなどで形成される。有機絶縁材質の画素絶縁膜138は、エッチング工程なしにフォトリソグラフィー工程のみで形成可能であるので、工程を単純化することができる。
【0017】
有機層134は、画素絶縁膜138によって設けられた発光領域のアノード電極132上に形成される。有機層134は、アノード電極132上に正孔関連層、発光層、電子関連層の順に又はその逆順に積層されて形成される。このような有機層134は、微細金属マスク(fine metal mask)を用いた蒸着工程または露光マスクを用いたフォトリソグラフィー工程なしに、塗布工程のみで形成されるので、有機層134は、カソード電極136の下部においてカソード電極136と類似の面積で形成される。すなわち、有機層134は、基板の全面に断絶なしに形成されるので、導波管(wave guide)の役割を果たす。有機層134で生成されて有機層内で導波された光は、上部補助電極126によって基板101の背面に取り出されるので、光効率が増加する。
【0018】
カソード電極136は、有機層134を挟んでアノード電極132と対向するように、有機層134上に形成される。このようなカソード電極136は、透明照明装置に適用される場合、アノード電極132と同様に、インジウムティンオキサイド(ITO)又はインジウムジンクオキサイド(IZO)のような透明導電層で形成される。
【0019】
カソード電極136の抵抗成分を減少させるために、カソード電極136上に、カソード電極136と接触する上部補助電極126が配置される。上部補助電極126は、カソード電極136の材質である透明導電層よりも導電率が高い材質で形成される。例えば、上部補助電極126は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、及び銅(Cu)のいずれか1つまたはこれらの合金を用いて単層又は多層構造で形成される。このような上部補助電極126は、画素絶縁膜138及び下部補助電極122と重なるように、画素絶縁膜138及び下部補助電極122に沿って格子形状又は直線形状に形成される。
【0020】
一方、上部補助電極126がカソード電極136の下部で有機層134と接触する場合、上部補助電極126の製造工程時に用いられるエッチング液及びストリップ液などにより有機層134が損傷する。したがって、本発明では、上部補助電極126がカソード電極136上に配置されることで有機層134と接触しないので、上部補助電極126の製造工程時に有機層134が損傷することを防止することができる。
【0021】
また、上部補助電極126は不透明材質で形成されるので、上部補助電極126は反射板の役割を果たすことになる。この場合、上部反射電極126は、有機層134で生成されて上部反射電極126に向かう光を反射させて基板101を通して外部に出射するので、光取り出し効率を向上させることができる。
【0022】
このような上部補助電極126上には、上部補助電極126と同一の線幅を有する金属保護層114が配置される。この金属保護層114は、封止保護層140と境界をなすように形成される。このような金属保護層114は、無機絶縁材質又は金属材質に比べて有機ポリマー材質(例えば、フォトレジスト)上で吸着力が低い材質で形成される。例えば、金属保護層114はAl
2O
3で形成される。このような金属保護層114は、製造工程時に用いられる製造液によって上部補助電極126及び有機層134が損傷することを防止する役割を果たす。
【0023】
封止保護層140は、外部の水分や酸素に弱い有機発光素子130に外部の水分や酸素が浸透することを遮断する。このために、封止保護層140は、カソード電極の上部に配置されて、水分や酸素に弱い有機層を封止する。このような封止保護層140は、下部補助電極122と重なる領域において、カソード電極136の上部面を露出させるトレンチ148を備える。このトレンチ148内には、封止保護層140と境界をなす上部補助電極126が埋め込まれる。
【0024】
このような封止保護層140は、
図2に示されるように単層構造で形成されるか、または
図4に示されるように多層構造で形成されてもよい。
【0025】
図4に示された封止保護層140は、多数の無機封止層142,146、及び多数の無機封止層142,146の間に配置される有機封止層144を備え、無機封止層146が最上層に配置されるようにする。このとき、封止保護層140は、少なくとも2層の無機封止層142,146、及び少なくとも1層の有機封止層144を備える。本発明では、第1及び第2無機封止層142,146の間に有機封止層144が配置される封止保護層140の構造を例に挙げて説明する。
【0026】
第1無機封止層142は、有機発光素子130と最も隣接するように、カソード電極136が形成された第1基板101上に形成される。このような第1無機封止層142は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiON)、または酸化アルミニウム(Al
2O
3)のような低温蒸着が可能な無機絶縁材質で形成される。これによって、第1無機封止層142が低温雰囲気で蒸着されるので、第1無機封止層142の蒸着工程時に高温雰囲気に弱い有機層134が損傷することを防止することができる。
【0027】
第1無機封止層142は、下部補助電極122と重なる領域において、カソード電極136の上部面を露出させるトレンチ148を備える。このトレンチ148内には、第1無機封止層142と境界をなす上部補助電極126が埋め込まれる。
【0028】
有機封止層144は、第1無機封止層142よりも小さい面積で第1無機封止層142上に配置される。このような有機封止層144は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、またはシリコンオキシカーバイド(SiOC)のような有機絶縁材質で形成される。これによって、有機封止層144は、有機発光装置の撓みによる各層間の応力を緩和させる緩衝の役割を果たし、平坦化性能を強化する。
【0029】
第2無機封止層146は、有機封止層144が形成された基板101上に、有機封止層144の上部面及び側面を覆うように形成される。これによって、第2無機封止層146は、外部の水分や酸素が第1無機封止層142及び有機封止層144に浸透することを最小化又は遮断する。このような第2無機封止層146は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiON)、または酸化アルミニウム(Al
2O
3)のような無機絶縁材質で形成される。
【0030】
図5A乃至
図5Hは、
図4に示された有機発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【0031】
図5Aに示されたように、基板101上に不透明導電層が全面蒸着された後、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程を通じて不透明導電層がパターニングされることによって、下部補助電極が形成される。その後、下部補助電極が形成された基板上に、透明導電層が全面蒸着された後、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程を通じて透明導電層がパターニングされることによって、アノード部132a、短絡防止部132c及び接触部132bを有するアノード電極132が形成される。アノード電極132が形成された基板上に、SiNx又はSiOxのような無機絶縁物質が全面蒸着された後、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程を通じてその無機絶縁物質がパターニングされることによって、
図5Bに示されたように画素絶縁膜138が形成される。画素絶縁膜138が形成された基板101の全面上に、
図5Cに示されたように、有機層134、カソード電極136及び第1無機封止層142が順次形成される。その後、第1無機封止層142上にフォトレジストが塗布された後、そのフォトレジストが露光及び現像工程を通じてパターニングされることによって、開口部152を有するフォトレジストパターン150が形成される。ここで、開口部152は、画素絶縁膜138と重なるように配置され、開口部152によって露出されたフォトレジストパターン150の側面は逆テーパーを有するように形成される。
【0032】
このようなフォトレジストパターン150をマスクとして用いたエッチング工程を通じて第1無機封止層142がパターニングされることによって、
図5Dに示されたように、カソード電極136を露出させるトレンチ148が形成される。
【0033】
その後、トレンチ148が形成された基板101の上部に不透明導電層を全面蒸着することによって、
図5Eに示されたように、フォトレジストパターン150上に上部補助電極126が形成されると共に、トレンチ148内に上部補助電極126が埋め込まれる。このとき、上部補助電極126は、フォトレジストパターン150の側面を露出させるように形成される。
【0034】
その後、上部補助電極126が形成された基板101上に、
図5Fに示されたように、金属保護層114が全面蒸着される。このとき、金属保護層114は、上部補助電極126との接着力が有機絶縁材質のフォトレジストパターン150との接着力よりも高い材質で形成される。これによって、金属保護層114は、上部補助電極126の上部面上に形成される反面、フォトレジストパターン150の側面上には形成されない。その後、
図5Gに示されたように、ストリップ工程を通じてフォトレジストパターン150を除去することによって、フォトレジストパターン150の上部に配置された上部補助電極126及び金属保護層114が除去される。このようなストリップ工程時に、フォトレジストパターン150の側面は外部に露出されているため、フォトレジストパターン150を容易に除去することができる。
【0035】
その後、金属保護層114が形成された基板上に、
図5Hに示されたように、有機封止層144と第2無機封止層146が順次積層される。
【0036】
このように、本発明に係る有機発光装置は、金属保護層114と上部補助電極126が同一のマスク工程で形成されるので、工程が単純化されてコストを節減することができる。
【0037】
図6は、本発明の第2実施例に係る有機発光装置を示す断面図である。
【0038】
図6に示された有機発光装置は、
図2に示された有機発光装置と比較して、第2金属保護層124をさらに備えることを除いては同一の構成要素を備える。これによって、同一の構成要素に関する詳細な説明は省略する。
【0039】
第2金属保護層124は、金属保護層114上に、金属保護層114よりも広い線幅で配置される。この第2金属保護層124は、金属保護層114よりも広い面積を有するので、金属保護層114の側面を覆うように形成される。これによって、第2金属保護層124は、上部補助電極126と、金属保護層114との間を覆うように形成することによって、製造工程時に、上部補助電極126と、金属保護層114との間の隙間に製造液(例えば、洗浄液、エッチング液、またはストリップ液など)が流入することを防止する。
【0040】
このような第2金属保護層124は、金属保護層114と同一又は異なる材質で形成される。例えば、第2金属保護層124は、金属保護層114と同一にAl
2O
3で形成される。
【0041】
図7A乃至
図7Dは、
図6に示された有機発光装置の製造方法を説明するための断面図である。一方、
図6に示された有機発光装置は、金属保護層114までの製造方法は
図2に示された有機発光装置と同一であるので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0042】
すなわち、
図5A乃至
図5Fに示された製造方法を通じて、
図7Aに示したように、基板101上に上部補助電極126及び金属保護層114が形成される。
【0043】
その後、
図7Bに示したように、エッチング工程を通じてフォトレジストパターン150をエッチングする。このとき、金属保護層114及び上部補助電極126によって保護されるフォトレジストパターン150の上部面を除いたフォトレジストパターン150の側面がエッチングされる。したがって、フォトレジストパターン150の開口部152の線幅は、金属保護層114の線幅よりも広くなる。
【0044】
その後、金属保護層114上に、
図7Cに示したように、第2金属保護層124が全面蒸着される。このとき、第2金属保護層124は、金属保護層114及び上部補助電極126との接着力が有機絶縁材質のフォトレジストパターン150との接着力よりも高い材質で形成される。これによって、第2金属保護層124は、金属保護層114の上部面上に形成される反面、フォトレジストパターン150の側面には形成されない。その後、ストリップ工程を通じてフォトレジストパターン150を除去することによって、
図7Dに示したように、フォトレジストパターン150の上部に配置された上部補助電極126、金属保護層114及び第2金属保護層124が除去される。
【0045】
その後、金属保護層114上に第2金属保護層124が形成された基板101上に、有機封止層144と第2無機封止層146が順次積層される。
【0046】
このように、本発明に係る有機発光装置は、金属保護層114、第2金属保護層124及び上部補助電極126を同一のマスク工程で形成するので、工程が単純化されてコストを節減することができる。
【0047】
以上の説明は本発明を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で様々な変形が可能であろう。したがって、本発明の明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと均等な範囲内にあるすべての技術も本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。