(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下、
図1〜
図5を参照しながら、第1の実施形態に係る料金収受システムについて詳細に説明する。
【0020】
(料金収受システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
【0021】
本実施形態に係る料金収受システム1は、2本の車線L1、L2からなる高速道路の本線(以下、「本線道路」とも記載する)上に設置されたフリーフロー型の電子料金収受システムである。
図1に示すように、料金収受システム1は、本線道路(車線L1、L2)を走行中の車両Aに搭載された車載器A1との間で料金収受用の通信処理を行い、当該車両Aに搭乗する利用者に対して料金収受処理を実行する。
【0022】
図1に示すように、料金収受システム1は、料金収受処理装置1aと、無線通信制御装置2a、2bと、路側アンテナ3a、3bと、車両検知器5a、5bと、を備えている。
図1に示すように、料金収受処理装置1aは、本線道路(車線L1、L2)から離れた通信塔Tに設置されている。
無線通信制御装置2a、2bは、車線L1、L2の路側であってガントリGの近傍に設置されている。無線通信制御装置2a、2bは、それぞれ、路側アンテナ3a、3bを通じて、車載器A1との間で、料金収受用の情報を取得するための通信処理を行う。
路側アンテナ3a、3bは、車線L1、L2を車線幅方向(
図1の±Y方向)に跨るように設けられたガントリGに取り付けられ、車線L1、L2の各々の上空に固定されている。
車両検知器5a、5bは、車線L1、L2の路側であって、ガントリGよりも車線方向の上流側(
図1の−X方向)に設置されている。車両検知器5a、5bは、車線L1、L2を走行する車両Aが、路側アンテナ3a、3bと無線通信可能な領域(後述)に進入したこと検知する。
なお、他の実施形態においては上述の態様に限定されることはなく、例えば、2本の車線L1、L2からなる本線道路において、1つの車両検知器が設けられる態様であってもよい。また、他の実施形態においては、3本以上の車線からなる本線道路において、1つ又は2つ以上の車両検知器が設けられる態様であってもよい。この場合、車線の路側に車両検知器を設置すると、車両検知器に近い側を走行する車両により、車両検知器から遠い側を走行する車両が遮蔽されて検知できなくなる可能性がある。このため、このように複数の車線に1つの車両検知器が設けられる態様、又は、3本以上の車線からなる本線道路に車両検知器が設けられる態様において、車両検知器は、車線L1、L2を車線幅方向(
図1の±Y方向)に跨るように設けられたガントリに取り付けられ、車線L1、L2の上空に固定される。
料金収受処理装置1aと無線通信制御装置2a、2b、無線通信制御装置2a、2bと路側アンテナ3a、3b、及び、料金収受処理装置1aと車両検知器5a、5bとは、それぞれ、有線(後述する光ケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブル)で接続されている。
【0023】
路側アンテナ3a、3bは、電波を介して、車載器A1との無線通信を行う無線通信用のインターフェイスである。
路側アンテナ3aは、車線L1の路面上に予め規定された規定通信領域Q1(通信範囲)の範囲内に存在する車載器A1と無線通信を行う。即ち、車線L1を走行する車両Aに対しては、路側アンテナ3aを通じて通信処理がなされる。また、路側アンテナ3bは、車線L2の路面上に予め規定された規定通信領域Q2(通信範囲)の範囲内に存在する車載器A1と無線通信を行う。即ち、車線L2を走行する車両Aに対しては、路側アンテナ3bを通じて通信処理がなされる。
このように、本実施形態においては、2つの車線L1、車線L2を走行する各車両Aに対し、2つの路側アンテナ3a、3bの各々を介して料金収受用の通信処理がなされる態様となっている。
なお、他の実施形態においては上述の態様に限定されることはなく、例えば、2本の車線L1、L2からなる本線道路において、1つの路側アンテナが設けられる態様であってもよい。この場合、当該1つの路側アンテナにより、車線L1、L2の両方の路面を含む規定通信領域が設定される。
また、他の実施形態においては、3本以上の車線からなる本線道路において、1つ又は2つ以上の路側アンテナが設けられる態様であってもよい。
【0024】
(料金収受システムの機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図2に示すように、料金収受システム1の料金収受処理装置1aは、料金収受処理部10と、診断部120と、記録媒体11と、を備えている。
料金収受処理部10は、無線通信制御装置2a、2bから、車載器A1との通信処理を経て取得された料金収受用の情報を集約するとともに、当該料金収受用の情報に基づいて高速道路の利用者に対する料金収受処理を行う。
診断部120は、料金収受処理部10、無線通信制御装置2a、2b、及び、路側アンテナ3a、3bのうち、少なくとも何れか一つに異常が発生しているか否かを判断する。診断部120の機能構成については、後述する。
記録媒体11には、車両検知器5a、5bが車両Aを検知した車両の検知結果と、料金収受処理部10が車両Aに対して行った料金収受処理の結果、及び、診断部120が料金収受システム1に異常が発生しているか否かを判断する際に利用する各種情報とが記録されている。
【0025】
無線通信制御装置2a、2bは、車載器A1との通信処理を経て受信した各種情報を取得する。そして、無線通信制御装置2a、2bは、取得した各種情報をまとめて、当該無線通信制御装置2a、2bが通信対象とした車載器A1についての料金収受用の情報を作成する。
無線通信制御装置2a、2bは、路側アンテナ3a、3bを通じて、車載器A1との間で、予め定められた通信規格に基づく通信処理を行う。ここで、予め定められた通信規格とは、本実施形態においては、狭域通信(DSRC:Dedicated Short−Range Communication)システムの標準的な通信規格であるARIB(Association of Radio Industries and Businesses)標準規格である。
無線通信制御装置2a、2bは、車載器A1との狭域通信(DSRC)処理を経て、車載器A1の内部メモリ等に記録されている各種情報を取得する。
【0026】
本実施形態において、路側アンテナ3aと無線通信制御装置2a、及び、路側アンテナ3bと無線通信制御装置2bとは、共に、高速のデータ通信が可能な光ケーブルで接続されている。
また、本実施形態において、無線通信制御装置2a及び無線通信制御装置2bと、通信塔T(
図1)に設置されている料金収受処理装置1aの料金収受処理部10とは、イーサネットケーブルで接続されている。
ただし、他の実施形態においては上述の態様に限定されることはなく、それぞれ、光ケーブル、イーサネットケーブル以外の通信ケーブルで接続されている態様であってもよい。
【0027】
なお、本実施形態においては、
図1に示すように、無線通信制御装置2a、2bは、車線L1、L2の路側であってガントリGの近傍に設置されている態様として説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、無線通信制御装置2a、2bは、通信塔T(
図1)に設置される態様であってもよい。この場合、路側アンテナ3a、3bと、無線通信制御装置2a、2bとは、ガントリGから通信塔Tまで引き回された光ケーブル等で接続される。
【0028】
図2に示すように、本実施形態における車両検知器5a、5bは、それぞれ車線L1、L2を走行する車両Aを検知するための超音波センサ50a、50bを備えている。
超音波センサ50aは、不図示の送波器から車線L1に向かって周期的に超音波を発信し、不図示の受波器が当該超音波の反射波を受信することにより、車線L1を走行する車両Aの有無を検知する。具体的には、超音波センサ50aの送波器は、車線幅方向(+Y方向)に向かって超音波を発信する。これにより、超音波センサ50aは、規定通信領域Q1に進入する車両Aの有無を検知する。また、超音波センサ50bは、不図示の送波器から車線L2に向かって周期的に超音波を発信し、不図示の受波器が当該超音波の反射波を受信することにより、車線L2を走行する車両Aの有無を検知する。具体的には、超音波センサ50bの送波器は、車線幅方向(−Y方向)に向かって超音波を発信する。これにより、超音波センサ50bは、規定通信領域Q2に進入する車両Aの有無を検知する。なお、本実施形態では、車両検知器5a、5bが超音波センサ50a、50bをそれぞれ備えている態様について説明するが、これに限られることはない。他の実施形態では、車両検知器は、超音波センサに代えて光学式センサを備える態様であってもよい。
本実施形態において、車両検知器5a、5bと、通信塔T(
図1)に設置されている料金収受処理装置1aとは、イーサネットケーブルで接続されている。
ただし、他の実施形態においては上述の態様に限定されることはなく、それぞれ、光ケーブル、イーサネットケーブル以外の通信ケーブルで接続されている態様であってもよい。
【0029】
(診断部の機能構成)
図3は、第1の実施形態に係る診断部の機能構成を示す図である。
図4は、第1の実施形態に係る診断部の機能を説明する図である。
図3に示すように、料金収受処理装置1aの診断部120は、健全性判断部120aと、再起動部120bと、を備えている。
【0030】
健全性判断部120aは、車両検知器5a、5bより、規定通信領域Q1、Q2に車両Aが進入したことを示す車両の検知結果を車線別に受信する。また、健全性判断部120aは、料金収受処理部10より、車両Aの車載器A1に対して行った料金収受処理の結果を車線別に受信する。健全性判断部120aは、車両の検知結果と料金収受処理の結果とに基づいて、無線通信制御装置2a、2b、路側アンテナ3a、3b、及び、料金収受処理部10のうち、少なくとも何れか一つに異常(以下、「システム異常」とする)が発生しているか否かを車線別に判断する。
【0031】
以下、車線L1を例として、具体的な健全性判断部120aの機能を説明する。
健全性判断部120aは、車両検知器5aより車両Aの検知結果を受信してから次の車両の検知結果を受信するまでの間に、料金収受処理部10より車線L1を走行する車両Aに対する料金収受処理の結果を受信した場合は、当該車両Aの車載器A1に対して、料金収受処理部10による料金収受処理が正常に行われたと判断する。このため、健全性判断部120aは、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車両検知器5aより車両Aの検知結果を受信してから次の車両の検知結果を受信するまでの間に、料金収受処理部10より車線L1を走行する車両Aに対する料金収受処理の結果を受信しなかった場合は、料金収受処理部10による料金収受処理が行われなかったと判断する。ここで、健全性判断部120aが料金収受処理の結果を受信しない原因としては、当該車両Aに車載器A1が搭載されていない「車載器非搭載ケース」と、当該車両Aに車載器A1が搭載されているが、当該車載器A1に対して料金収受処理が正常に行われなかった「処理エラーケース」とが考えられる。
健全性判断部120aは、車載器非搭載ケースと処理エラーケースとを区別するために、料金収受処理が連続して行われなかった回数(以下、「連続非処理回数」とする)を車線別に計数する。健全性判断部120aは、車線L1の車両の検知結果を受信する度に、上述のように車線L1において料金収受処理が行われたか否かを判断する。健全性判断部120aは、車線L1において料金収受処理が行われなかったと判断すると、車線L1の連続非処理回数に処理が行われなかった回数(1回)を加算する。また、健全性判断部120aは、車線L1において料金収受処理が行われたと判断すると、車線L1の連続非処理回数を0回にリセットする。健全性判断部120aは、このように料金収受処理が連続して行われなかった回数を車線別に計数する。
【0032】
次に、健全性判断部120aは、記録媒体11より、
図4に示す閾値テーブルT1を読み出し、車線L1の連続非処理回数が閾値テーブルT1において設定された閾値を超えたか否かを判断する。閾値は、車載器A1の普及率(搭載率)に基づいて、車載器A1が搭載されていない車両A(料金収受処理が行われなかった車両A)が何台連続すると、システム異常が発生したと判断するかを予め定めた値である。また、閾値は、車載器A1の普及率と、各料金所の交通量とに基づいて定めてもよい。なお、他の実施形態においては、閾値は道路別(高速道路別)に設定されていてもよいし、複数の料金所を含む地域別に設定されていてもよい。
健全性判断部120aは、車線L1において料金収受処理が行われなかった場合であって、車線L1の連続非処理回数が閾値を超えていない場合は、車載器非搭載ケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車線L1において料金収受処理が行われなかった場合であって、車線L1の連続非処理回数が閾値を超えた場合は、処理エラーケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。
例えば、
図4に示すように、料金所R1においては閾値は「8」に設定されている。このため、料金所R1において、車線L1の連続非処理回数が8回以上となった場合は、健全性判断部120aは処理エラーケースであるとみなし、当該車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。
健全性判断部120aは、車線L2についても、車線L1と同様にシステム異常が発生しているか否かの判断を行う。
また、健全性判断部120aは、車線L1、L2のそれぞれにおいて連続非処理回数が閾値を超えた場合は、全ての車線及び料金収受処理部10においてシステム異常が発生したと判断する。
【0033】
再起動部120bは、健全性判断部120aが車線L1においてシステム異常が発生していると判断した場合、車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させる。また、再起動部120bは、健全性判断部120aが車線L2においてシステム異常が発生していると判断した場合、車線L2の路側アンテナ3b及び無線通信制御装置2bを再起動させる。
再起動部120bがこれらの機器を再起動させることにより、車線L1、L2において発生したシステム異常を解消させて、車線L1、L2の路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bを正常に動作させることができる。
また、再起動部120bは、健全性判断部120aが車線L1及び車線L2のそれぞれにおいて、即ち、全ての車線においてシステム異常が発生していると判断した場合、料金収受処理部10と、全ての車線における路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bとを再起動させる。
【0034】
(診断部の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係る診断部の処理フローを示す図である。
以下、車線L1を例として具体的な診断部120の処理フローを説明するが、診断部120は、各車線に対して同様の処理フローを実行しているものとする。
図5に示すように、診断部120の健全性判断部120aは、車線L1の車両検知器5aより、規定通信領域Q1に車両Aが進入したことを示す車両Aの検知結果を受信する(ステップS100)。
次に、健全性判断部120aは、車線L1の車両検知器5aより車両Aの検知結果を受信してから次の車両の検知結果を受信するまでの間に、料金収受処理部10より規定通信領域Q1を通過する(車線L1を走行する)当該車両Aに対する料金収受処理の結果を受信したか否かに基づいて、当該車両Aに対して料金収受処理が行われたか否かを判断する(ステップS101)。
【0035】
健全性判断部120aは、車両検知器5aより車両Aの検知結果を受信してから次の車両の検知結果を受信するまでの間に、料金収受処理部10より車線L1を走行する車両Aに対する料金収受処理の結果を受信した場合(ステップS101:YES)は、当該車両Aの車載器A1に対して料金収受処理部10による料金収受処理が正常に行われたと判断する。このため、健全性判断部120aは、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。そして、健全性判断部120aは、車線L1の連続非処理回数を0回にリセットする(ステップS105)。
一方、健全性判断部120aは、車両検知器5aより車両Aの検知結果を受信してから次の車両の検知結果を受信するまでの間に、料金収受処理部10より車線L1を走行する車両Aに対する料金収受処理の結果を受信しなかった場合(ステップS101:NO)は、当該車両Aについて料金収受処理部10による料金収受処理が行われなかったと判断する。そして、健全性判断部120aは、車線L1の連続非処理回数を加算(+1)する(ステップS102)。
【0036】
次に、健全性判断部120aは、記録媒体11より閾値テーブルT1(
図4)を読み出し、車線L1の連続非処理回数が閾値テーブルT1において設定された閾値を超えたか否かを判断する(ステップS103)。健全性判断部120aは、車線L1の連続非処理回数と閾値テーブルT1の閾値とに基づいて、料金収受処理が行われなかった原因が車両Aに車載器A1が搭載されていない「車載器非搭載ケース」であるのか、車両Aに車載器A1が搭載されているが、車載器A1に対して料金収受処理が正常に行われなかった「処理エラーケース」であるのかを区別する。
健全性判断部120aは、車線L1において車両Aに対する料金収受処理が行われなかった場合(ステップS101:NO)であって、車線L1の連続非処理回数が閾値を超えていない場合(ステップS103:NO)は、車載器非搭載ケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車線L1において料金収受処理が行われなかった場合(ステップS101:NO)であって、車線L1の連続非処理回数が閾値を超えた場合(ステップS103:YES)は、処理エラーケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。
【0037】
次に、診断部120の再起動部120bは、健全性判断部120aが車線L1の連続非処理回数が閾値を超えており(ステップS103:YES)、車線L1においてシステム異常が発生していると判断した場合、車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示を出力する(ステップS104)。
そして、健全性判断部120aは、再起動部120bより車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示が出力されると、車線L1の連続非処理回数を0回にリセットする(ステップS105)。車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aは、再起動処理が完了すると、異常状態から回復し、正常に動作する。
なお、健全性判断部120aは、車線L1及び車線L2のそれぞれにおいて連続非処理回数が閾値を超えた場合は、全ての車線においてシステム異常が発生したと判断する。この場合、再起動部120bは、料金収受処理部10と、全ての車線における路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bとを再起動させるための再起動指示を出力する。
診断部120は、上述の処理フローを繰り返し実行することにより、料金収受システム1において異常が発生しているか否かを判断する。また、診断部120は、料金収受システム1において異常が発生していると判断した場合には、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させる。
【0038】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受システム1は、車両Aに搭載された車載器A1と無線通信を行う路側アンテナ3a、3bと、路側アンテナ3a、3bを通じて車載器A1との間で予め定められた通信規格(ARIB標準規格)に基づく通信処理を行う無線通信制御装置2a、2bと、無線通信制御装置2a、2bから通信処理の結果を取得して、当該通信処理の結果に基づいて車載器A1に対する料金収受処理を行う料金収受処理部10と、路側アンテナ3a、3bの通信範囲(規定通信領域Q1、Q2)に進入する車両Aを検知する車両検知器5a、5bと、車両検知器5a、5bによる車両Aの検知結果と、料金収受処理部10により行われた料金収受処理の結果とに基づいて、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b、及び、料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つに異常が発生しているか否かを判断する健全性判断部120aとを備える。
従来の料金収受システムでは、当該料金収受システムを監視しているETC中央装置において、システム異常が発生しているか否かを判断している。このとき、ETC中央装置において、料金収受処理が行われない原因が、車両が通過していないのか、それとも、システム異常が発生しているためであるのかを判別することは困難である。このため、従来の料金収受システムでは、ETC中央装置において、システム異常が発生していると判断することに時間がかかっていた。
しかしながら、本実施形態において、健全性判断部120aは、車両検知器5a、5bにより検知された車両Aが、車載器A1との間で行われた通信処理の結果に基づいて料金収受処理が行われていないと判断した場合、料金収受処理が連続して行われなかった回数を示す連続非処理回数を車線別に計数する。健全性判断部120aは、車両Aの検知結果に対する料金収受処理の結果が妥当であるか否かに基づいて、車線別に路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bにおいてシステム異常が発生していることを迅速に検知することができる。より具体的には、健全性判断部120aは、このように車線別に計数した連続非処理回数が閾値テーブルT1(
図4)に設定された閾値を超えるか否かに基づいて、車線別に路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bにおいてシステム異常が発生していることを迅速に検知することができる。
また、車線L1、L2のそれぞれにおいて連続非処理回数が閾値を超えた場合は、健全性判断部120aは、全ての車線においてシステム異常が発生していることを迅速に検知することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る料金収受システム1は、健全性判断部120aがシステム異常が発生したと判断した場合に、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させる再起動部120bを更に備える。このようにすることで、健全性判断部120aがシステム異常が発生したと判断した場合、再起動部120bが路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させることにより、料金収受システム1を異常状態から回復させて、正常に動作させることができる。
また、本実施形態において、健全性判断部120aは、車線別にシステム異常が発生したか否かを判断している。このため、システム異常が発生した車線における路側アンテナ及び無線通信制御装置のみを再起動させることができる。この結果、再起動部120bは、正常に動作している他の車線における路側アンテナ及び無線通信制御装置の動作を継続させたまま、システム異常が発生した車線における路側アンテナ及び無線通信制御装置を異常状態から回復させて、正常に動作させることができる。これにより、再起動部120bは、再起動処理に伴う料金収受システム1全体に対する影響を、最小限に抑えることが可能となる。
更に、再起動部120bは、健全性判断部120aが全ての車線においてシステム異常が発生していると判断した場合、全ての車線における路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10を再起動させる。これにより、再起動部120bは、複数の機器においてシステム異常が発生した場合であっても、全ての車線における路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10を異常状態から回復させて、正常に動作させることができる。
【0040】
<第1の実施形態の変形例>
上述の第1の実施形態において、診断部120の健全性判断部120aが車線別の連続非処理回数を計数し、当該連続非処理回数が閾値テーブルT1(
図4)の閾値を超えるか否かに基づいて、車線別にシステム異常が発生していることを検知する態様について説明した。
本変形例においては、健全性判断部120aが、車両の検知結果に対する料金収受処理の結果の割合を求める点において、第1の実施形態とは異なっている。
以下、
図6〜
図7を参照して第1の実施形態の変形例について説明する。
【0041】
(診断部の処理フロー)
図6は、第1の実施形態の変形例に係る診断部の機能を説明する図である。
図7は、第1の実施形態の変形例に係る診断部の処理フローを示す図である。
以下、車線L1を例として具体的な診断部120の処理フローを説明するが、診断部120は、各車線に対して同様の処理フローを実行しているものとする。また、診断部120は、以下の処理フローを、所定の時間おきに繰り返し実行しているものとする。
図7に示すように、診断部120の健全性判断部120aは、車線L1の車両検知器5aより、規定通信領域Q1に車両Aが進入したことを示す車両Aの検知結果を受信すると、単位時間内(例えば1時間以内)に検知された車両Aの台数を示す、車両検知数を計数する(ステップS200)。
次に、健全性判断部120aは、料金収受処理部10より規定通信領域Q1を通過する(車線L1を走行する)当該車両Aに対する料金収受処理の結果を受信したか否かに基づいて、当該車両Aに対して料金収受処理が行われたか否かを判断する。そして、健全性判断部120aは、車線L1において単位時間内に料金収受処理が行われた回数を示す処理回数を計数する(ステップS201)。
【0042】
次に、健全性判断部120aは、単位時間を経過したか否かを判断する(ステップS202)。健全性判断部120aは、単位時間を経過していないと判断した場合(ステップS202:NO)、単位時間を経過したと判断するまで上述のステップS200〜S201の処理を繰り返し実行する。
一方、健全性判断部120aは、単位時間を経過したと判断した場合(ステップS202:YES)、単位時間内に計数した、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合を求める。そして、健全性判断部120aは、記録媒体11より閾値テーブルT2(
図6)を読み出し、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合が、閾値テーブルT2において設定された閾値以下であるか否かを判断する(ステップS203)。閾値は、車載器A1の普及率(搭載率)に基づいて、単位時間内に通過した車両Aの台数(車両検知数)に対する車載器A1が搭載されている車両Aの台数(料金収受処理が行われた処理回数)の割合が何パーセント以下となると、システム異常が発生したと判断するかを予め定めた値である。なお、車載器A1の搭載率とは、例えば、所定領域(国別、都道府県別等)における自動車保有台数に対し、車載器A1が搭載されている車両台数の割合を車種に関係なく統計した値である。また、所定領域(国別、都道府県別等)における高速道路を利用した車両のうち、車載器A1が搭載されている車両の割合を車種に関係なく統計した値であってもよい。また、閾値は、車載器A1の普及率と、各料金所の交通量とに基づいて定めてもよい。なお、他の実施形態においては、閾値は道路別(高速道路別)に設定されていてもよいし、複数の料金所を含む地域別に設定されていてもよい。
【0043】
健全性判断部120aは、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合と、閾値テーブルT2の閾値とに基づいて、料金収受処理が行われなかった原因が車両Aに車載器A1が搭載されていない「車載器非搭載ケース」であるのか、車両Aに車載器A1が搭載されているが、車載器A1に対して料金収受処理が正常に行われなかった「処理エラーケース」であるのかを区別する。
健全性判断部120aは、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下ではない場合(ステップS203:NO)は、車載器非搭載ケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下である場合(ステップS203:YES)は、処理エラーケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。
【0044】
次に、診断部120の再起動部120bは、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下であり(ステップS203:YES)、健全性判断部120aが車線L1においてシステム異常が発生していると判断した場合、車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示を出力する(ステップS204)。
そして、健全性判断部120aは、再起動部120bより車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示が出力されると、車線L1の車両検知数と処理回数とを0回にリセットする(ステップS205)。
車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aは、再起動処理が完了すると、異常状態から回復し、正常に動作する。
なお、健全性判断部120aは、車線L1、L2のそれぞれにおいて車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下となった場合は、全ての車線においてシステム異常が発生したと判断する。この場合、再起動部120bは、全ての車線における路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bと、料金収受処理部10とを再起動させるための再起動指示を出力する。
診断部120は、上述の処理フローを、所定の時間おきに繰り返し実行することにより、料金収受システム1において異常が発生しているか否かを判断する。また、診断部120は、料金収受システム1において異常が発生していると判断した場合には、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させる。
【0045】
(作用効果)
上述の第1の実施形態では、料金収受処理が連続して行われなかった回数を計数するため、交通量の少ない料金所においてシステム異常が発生したことが検知されるまでに、単位時間以上の時間がかかる可能性がある。
しかしながら、本変形例では、診断部120の健全性判断部120aは、単位時間が経過する度に、車線別の車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下であるか否かを判断する。このようにすることで、健全性判断部120aは、交通量の少ない料金所であっても、定期的にシステム異常が発生したか否かを判断することができる。
【0046】
また、上述の第1の実施形態では、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10の動作が不安定となり、正常に料金収受処理が行えた場合と行えない場合とを繰り返すようなシステム異常が発生した場合は、当該システム異常が発生したことを検知できない可能性がある。
しかしながら、本変形例では、健全性判断部120aは、単位時間内に計数された車線別の車両検知数と処理回数とに基づいて、車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下であるか否かを判断する。正常に料金収受処理が行えた場合と行えない場合とを繰り返すようなシステム異常が発生した場合は、正常に継続して料金収受処理が行われた場合に比較して、単位時間内に行われた処理回数が少なくなる。従って、このようなシステム異常が発生した場合は、車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下となる可能性が高くなり、健全性判断部120aは当該システム異常が発生したことを検知することができる。このため、健全性判断部120aは、料金収受システム1においてシステム異常が発生したことを、より精度よく検知することが可能となる。
【0047】
また、本変形例では、健全性判断部120aは、単位時間が経過したと判断した場合のみ、車線別の車両検知数に対する処理回数の割合を求め、閾値テーブルT2(
図6)の閾値以下であるか否かを判断する処理を行う。このため、健全性判断部120aにおける処理を減らして、診断部120全体の処理を迅速に行うことができる。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、
図8〜
図11を参照しながら、第2の実施形態に係る料金収受システムについて詳細に説明する。
なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
(料金収受システムの全体構成)
図8は、第2の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図8に示すように、本実施形態における料金収受システム1は、第1の実施形態と同様に、料金収受処理装置1aと、無線通信制御装置2a、2bと、路側アンテナ3a、3bと、を備えている。また、本実施形態における料金収受システム1は、第1の実施形態における車両検知器5a、5bに代えて、車両検知器5cを備えている。
【0050】
車両検知器5cは、車線L1、L2のいずれかの路側であって、ガントリGよりも車線方向の上流側(
図1の−X方向)に設置されている。車両検知器5cは、車線L1、L2を走行する車両Aが、路側アンテナ3a、3bと無線通信可能な領域である規定通信領域Q1、Q2に進入したことを検知する。
本実施形態においては、車線L1、L2の一方の路側に1つの車両検知器5cが設置され、当該1つの車両検知器5cにより、車線L1及び車線L2のそれぞれを通行する車両Aを検知する態様について説明するが、これに限られることはない。他の実施形態においては、車線L1、L2のそれぞれの路側に車両検知器が1つずつ設置されていてもよい。また、他の実施形態においては、3本以上の車線からなる本線道路において、1つ又は2つ以上の車両検知器が設けられる態様であってもよい。更に、他の実施形態においては、車両検知器は、車線L1、L2を車線幅方向(
図1の±Y方向)に跨るように設けられたガントリに取り付けられ、車線L1、L2の上空に固定される態様であってもよい。
【0051】
(料金収受システムの機能構成)
図9は、第2の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図9に示すように、本実施形態における車両検知器5cは、ナンバープレート読取機51と、車種判別部52とを備えている。
ナンバープレート読取機51は、車線L1、L2の規定通信領域Q1、Q2に到達した車両Aの車体を、正面側(車両Aの進行方向奥側、
図8における+X側)から撮影可能な位置に設けられている。ナンバープレート読取機51は、常時、所定時間おきに車線L1、L2を撮影する。そして、ナンバープレート読取機51は、車線L1、L2の規定通信領域Q1、Q2に到達した車両Aの正面側が撮影された画像データに所定の画像処理を施すことにより、当該車両Aのナンバープレート情報(以下、「NP情報」と記載)を取得する。ここで、NP情報とは、具体的には、車両Aに取り付けられたナンバープレートの大きさ(プレートサイズ)、及び、当該ナンバープレートに刻印された分類番号である。
また、ナンバープレート読取機51は、撮影された画像データに所定の画像処理を施すことにより、取得したNP情報を有する車両Aが走行する車線を特定する。
ナンバープレート読取機51は、このように車両Aが規定通信領域Q1、Q2に進入したことを検知するとともに、当該車両AのNP情報と走行する車線とを取得する。
【0052】
車両検知器5cの車種判別部52は、ナンバープレート読取機51が取得した車両AのNP情報に基づいて、当該車両Aの車種を判別する。本実施形態において、車種判別部52は、車種A、B、C、D、Eの5種類の車種を判別する態様として説明するが、他の実施形態においては、異なる種類の車種を判別するようにしてもよい。
【0053】
図9に示すように、本実施形態における料金収受システム1の料金収受処理装置1aは、第1の実施形態と同様に、料金収受処理部10と、診断部120と、記録媒体11と、を備えている。
【0054】
料金収受処理装置1aの診断部120は、第1の実施形態と同様に、健全性判断部120aと、再起動部120bと、を備えている。また、本実施形態の診断部120は、更に抽出部120cを備えている。
【0055】
健全性判断部120aは、車両検知器5cより、規定通信領域Q1、Q2に車両Aが進入したことを示す車両の検知結果として、当該車両Aの検知日時と、走行する車線と、ナンバープレート読取機51が取得したNP情報と、車種判別部52が判別した車種とを示す情報を受信する。また、健全性判断部120aは、料金収受処理部10より、車両Aの車載器A1に対して行った料金収受処理の結果として、当該車両Aの車載器A1に予め記録されているNP情報を含む情報を受信する。
健全性判断部120aは、車両Aの検知結果と料金収受処理の結果とに基づいて、無線通信制御装置2a、2b、路側アンテナ3a、3b、及び、料金収受処理部10のうち、少なくとも何れか一つにシステム異常が発生しているか否かを車線別及び車種別に判断する。
【0056】
以下、具体的な健全性判断部120aの機能を説明する。
まず、健全性判断部120aは、車両検知器5cより車両Aの検知結果を受信する。健全性判断部120aは、車両Aの検知結果を受信すると、当該車両Aの検知時刻、走行する車線、ナンバープレート読取機51が取得したNP情報及び車種判別部52が判別した車種を示す情報を関連付けて記録媒体11に記録する。
【0057】
次に、健全性判断部120aは、車両検知器5cより受信した車両Aの検知結果と、料金収受処理部10より受信した料金収受処理の結果とに基づいて、当該車両Aについての料金収受処理が行われたか否かを判断する。具体的には、健全性判断部120aは、車両検知器5cより受信した車両Aの検知結果に含まれるNP情報(ナンバープレート読取機51が取得したNP情報)と、料金収受処理部10より受信した料金収受処理の結果に含まれるNP情報(車載器A1に予め記録されているNP情報)とを照会する。そして、健全性判断部120aは、車両Aの検知結果に含まれるNP情報と、料金収受処理の結果に含まれるNP情報とが一致する場合は、当該車両Aについて料金収受処理部10による料金収受処理が正常に行われたと判断する。このとき、健全性判断部120aは、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車両Aの検知結果に含まれるNP情報と、料金収受処理の結果に含まれるNP情報とが一致しない場合は、当該車両Aについて料金収受処理部10による料金収受処理が行われていないと判断する。ここで、健全性判断部120aが料金収受処理の結果を受信しない原因としては、当該車両Aに車載器A1が搭載されていない「車載器非搭載ケース」と、当該車両Aに車載器A1が搭載されているが、当該車載器A1に対して料金収受処理が正常に行われなかった「処理エラーケース」とが考えられる。
健全性判断部120aは、車載器非搭載ケースと処理エラーケースとを区別するために、料金収受処理が連続して行われなかった回数(以下、「連続非処理回数」とする)を車線別及び車種別に計数する。健全性判断部120aは、車線L1、L2のそれぞれの車両の検知結果を受信する度に、当該車両の車種と、車線L1、L2のそれぞれにおいて料金収受処理が行われたか否かを判断する。例えば、健全性判断部120aは、車線L1において車種Aに対する料金収受処理が行われなかったと判断すると、車線L1の車種Aに対する連続非処理回数に処理が行われなかった回数(1回)を加算する。また、健全性判断部120aは、車線L1において車種Bに対する料金収受処理が行われなかったと判断すると、車線L1の車種Bに対する連続非処理回数に処理が行われなかった回数(1回)を加算する。
一方、健全性判断部120aは、車線L1において、車種Aに対する料金収受処理が行われたと判断すると、車線L1の車種Aに対する連続非処理回数を0回にリセットする。このとき、健全性判断部120aは、車線L1の他の車種に対する連続非処理回数、及び、他の車線(車線L2)の各車種に対する連続非処理回数はリセットしない。
このように、健全性判断部120aは、料金収受処理が連続して行われなかった回数を、車線別及び車種別に計数する。
【0058】
次に、健全性判断部120aは、記録媒体11より、
図10に示す閾値テーブルT3を読み出し、車線L1、L2の車種別の連続非処理回数のうち何れか一つが、閾値テーブルT3において車種別に設定された閾値を超えたか否かを判断する。閾値は、車載器A1の車種別の普及率(搭載率)に基づいて、車載器A1が搭載されていない車両A(料金収受処理が行われなかった車両A)が何台(以上)連続すると、システム異常が発生したと判断するかを、車種別に予め定めた値である。具体的には、
図10に示すように、例えば普及率が95%である車種Eの閾値は、「5台(以上)」に設定されている。即ち、車載器A1が搭載されていない車種Eの車両が5台(以上)連続した場合、健全性判断部120aはシステム異常が発生したと判断する。一方、普及率が50%である車種Aは、普及率が95%である車種Eよりも車載器A1が搭載されていない車両が多いことが予測される。このため、車種Eよりも普及率が低い車種Aの閾値を、車種Eと同様に「5台(以上)」に設定すると、車載器A1が搭載されていない車種Aの車両が5台連続した場合、システムが正常に動作しているにも関わらず、健全性判断部120aがシステム異常が発生したと誤判断する可能性が生じる。従って、普及率が低い車種Aの閾値は、普及率が高い車種Eの閾値よりも大きい値(
図10の例では「10台(以上)」)となるように設定されている。
また、閾値は、車載器A1の車種別の普及率と、各料金所の交通量とに基づいて定めてもよい。なお、他の実施形態においては、閾値は道路別(高速道路別)に設定されていてもよいし、複数の料金所を含む地域別に設定されていてもよい。
【0059】
健全性判断部120aは、車線L1、L2において、何れかの車種に対する料金収受処理が行われなかった場合であって、車線L1、L2の当該車種に対する連続非処理回数が、当該車種に対して設定された閾値を超えていない場合は、車載器非搭載ケースであるとみなし、車線L1、L2においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車線L1、L2において、何れかの車種に対する料金収受処理が行われなかった場合であって、車線L1、L2の当該車種に対する連続非処理回数が、当該車種に対して設定された閾値を超えた場合は、処理エラーケースであるとみなし、車線L1、L2においてシステム異常が発生していると判断する。
【0060】
例えば、
図10に示すように、車種Aの閾値は「10」に設定されている。このため、車線L1の車種Aに対する連続非処理回数が10回以上となった場合は、健全性判断部120aは処理エラーケースであるとみなし、当該車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。
なお、本実施形態においては、車種別に連続非処理回数を計数している。このため、例えば、車線L1において料金収受処理が行われなかった車両が10台連続した場合であって、当該10台の車両が全て車種Aであった場合は、車線L1の車種Aに対する連続非処理回数は、車種Aに対して設定された閾値以上となる。このため、健全性判断部120aは、当該車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。一方、車線L1において料金収受処理が行われなかった車両が10台連続した場合であって、当該10台の車両が6台の車種Aと4台の車種Bとを含んでいる場合は、車線L1の車種A及び車種Bに対する連続非処理回数はいずれも車種A及び車種Bに対して設定された閾値を超えていない。この場合、健全性判断部120aは、当該車線L1においてシステム異常が発生していないと判断する。
健全性判断部120aは、車線L2についても、車線L1と同様にシステム異常が発生しているか否かの判断を行う。
また、健全性判断部120aは、車線L1及び車線L2のそれぞれにおいて、車種別の連続非処理回数のうち何れか一つが、車種別に設定された閾値を超えた場合は、全ての車線及び料金収受処理部10においてシステム異常が発生したと判断する。
【0061】
診断部120の再起動部120bは、第1の実施形態と同様に、健全性判断部120aが料金収受システム1においてシステム異常が発生したと判断した場合は、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させる。
再起動部120bがこれらの機器を再起動させることにより、車線L1、L2において発生したシステム異常を解消させて、車線L1、L2の路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10を正常に動作させることができる。
【0062】
診断部120の抽出部120cは、再起動部120bが料金収受システム1の各機器を再起動させている間に、車線L1、L2の規定通信領域Q1、Q2を通過する車両Aを車線別に抽出する。
具体的には、抽出部120cは、例えば、再起動部120bが車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aに対して再起動指示を出力した場合、当該再起動指示を出力したタイミングから、路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aが再起動処理を完了するタイミングまでに、ナンバープレート読取機51が取得した車両AのNP情報のうち、車線L1を走行する車両AのNP情報を抽出する。
抽出部120cは、このように、車線L1の各機器を再起動中には車線L1を走行する車両AのNP情報を、車線L2の各機器を再起動中には車線L2を走行する車両AのNP情報を、全ての車線の各機器及び料金収受処理部10を再起動中には全ての車線を走行する車両AのNP情報を抽出する。
【0063】
なお、本実施形態では、抽出部120cは、車線L1又は車線L2の各機器を再起動中にナンバープレート読取機51が取得した車両AのNP情報、即ち、料金収受処理が行われなかった車両AのNP情報を、料金未収受車両情報として記録媒体11に記録する。料金所の監視員等は、記録媒体11に記録された料金未収受車両情報を参照して、料金収受処理が行われなかった車両Aに対し、後日料金を請求するようにしてもよい。
【0064】
(診断部の処理フロー)
図11は、第2の実施形態に係る診断部の処理フローを示す図である。
以下、車線L1を例として具体的な診断部120の処理フローを説明するが、診断部120は、各車線に対して同様の処理フローを実行しているものとする。
図11に示すように、診断部120の健全性判断部120aは、車両検知器5cより、規定通信領域Q1に車両Aが進入したことを示す車両Aの検知結果として、当該車両Aの検知日時、走行する車線、NP情報及び車種を示す情報を受信する(ステップS300)。
【0065】
次に、健全性判断部120aは、車両検知器5cより受信した車両Aの検知結果と、料金収受処理部10より受信した料金収受処理の結果とに基づいて、当該車両Aについての料金収受処理が行われたか否かを判断する(ステップS301)。
健全性判断部120aは、車両Aの検知結果に含まれるNP情報(ナンバープレート読取機51が取得したNP情報)と、料金収受処理の結果に含まれるNP情報(車載器A1に予め記録されているNP情報)とが一致する場合は、当該車両Aについて料金収受処理部10による料金収受処理が正常に行われたと判断する(ステップS301:YES)。この場合、健全性判断部120aは、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。そして、健全性判断部120aは、車線L1の連続非処理回数のうち、当該車両Aの車種に対する連続非処理回数を0回にリセットする(ステップS306)。
一方、健全性判断部120aは、車両Aの検知結果に含まれるNP情報と、料金収受処理の結果に含まれるNP情報とが一致しない場合(ステップS301:NO)は、当該車両Aについて料金収受処理部10による料金収受処理が行われなかったと判断する。そして、健全性判断部120aは、車線L1の連続非処理回数のうち、当該車両Aの車種に対する連続非処理回数を加算(+1)する(ステップS302)。
【0066】
次に、健全性判断部120aは、記録媒体11より閾値テーブルT3(
図10)を読み出し、車線L1の車種別の連続非処理回数のうち何れか一つが、閾値テーブルT3において車種別に設定された閾値を超えたか否かを判断する(ステップS303)。健全性判断部120aは、車線L1の車種別の連続非処理回数と、閾値テーブルT3の車種別に設定された閾値とに基づいて、料金収受処理が行われなかった原因が車両Aに車載器A1が搭載されていない「車載器非搭載ケース」であるのか、車両Aに車載器A1が搭載されているが、車載器A1に対して料金収受処理が正常に行われなかった「処理エラーケース」であるのかを区別する。
健全性判断部120aは、車線L1において車両Aに対する料金収受処理が行われなかった場合(ステップS301:NO)であって、車両Aの車種が車種Aである場合、車線L1の車種Aに対する連続非処理回数が、車種Aに対して設定された閾値を超えているか否かを判断する(ステップS303)。車線L1の車種Aに対する連続非処理回数が、車種Aに対して設定された閾値を超えていない場合(ステップS303:NO)は、健全性判断部120aは、車載器非搭載ケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車線L1の車種Aに対する連続非処理回数が、車種Aに対して設定された閾値を超えた場合(ステップS303:YES)は、処理エラーケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。
【0067】
次に、診断部120の再起動部120bは、健全性判断部120aが車線L1の車種Aに対する連続非処理回数が、車種Aに対して設定された閾値を超えており(ステップS303:YES)、車線L1においてシステム異常が発生していると判断した場合、車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示を出力する(ステップS304)。
そして、健全性判断部120aは、再起動部120bより車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示が出力されると、車線L1の全ての車種に対する連続非処理回数を0回にリセットする(ステップS305)。車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aは、再起動処理が完了すると、異常状態から回復し、正常に動作する。また、抽出部120cは、再起動部120bが再起動指示を出力してから、車線L1の各機器の再起動処理が完了するまでの間にナンバープレート読取機51が取得した車両AのNP情報を、記録媒体11から抽出する。
なお、健全性判断部120aは、車線L1及び車線L2のそれぞれにおいて、車種別の連続非処理回数のうち何れか一つが、当該車種に設定された閾値を超えた場合は、全ての車線においてシステム異常が発生したと判断する。この場合、再起動部120bは、全ての車線における路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bと、料金収受処理部10とを再起動させるための再起動指示を出力する。
診断部120は、上述の処理フローを繰り返し実行することにより、料金収受システム1において異常が発生しているか否かを判断する。また、診断部120は、料金収受システム1において異常が発生していると判断した場合には、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させる。
【0068】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受システム1は、路側アンテナ3a、3bの通信範囲(規定通信領域Q1、Q2)に進入する車両Aを検知する車両検知器5cを備え、当該車両検知器5cは、検知した車両Aの車種を判別する車種判別部52を有する。また、診断部120の健全性判断部120aは、車両検知器5cから取得した車両Aの検知結果と、料金収受処理部10から取得した料金収受処理の結果とに基づいて、車両Aに搭載されている車載器A1に対して料金収受処理が行われているか否かを車種別に判断する。
このようにすることで、健全性判断部120aは、当該車線別及び車種別に計数された連続非処理回数が、閾値テーブルT3(
図10)において車種別に設定された閾値を超えるか否かに基づいて、車線別に路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bにおいてシステム異常が発生していることを迅速に検知することができる。また、健全性判断部120aが車種別に連続非処理回数を計数していることにより、車種別に車載器A1の普及率が異なっている場合であっても、システム異常が発生していることを精度よく検知することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る料金収受システム1は、抽出部120cを備えており、車両検知器5cはナンバープレート読取機51を有している。抽出部120cは、再起動部120bが路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち何れか一つが再起動処理を行っている期間において、車両検知器5cのナンバープレート読取機51が取得したNP情報を抽出する。
例えば、再起動部120bが車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aが再起動処理を行っている期間は、車線L1の規定通信領域Q1を通過する車両Aに対する料金収受処理が行えない。しかしながら、本実施形態では、上述のように抽出部120cが当該再起動処理を行っている期間に車線L1の規定通信領域Q1を通過する車両AのNP情報を抽出することにより、料金収受処理が行われずに通過した可能性のある車両Aを抽出することができる。そして、抽出部120cは、車線L1の各機器を再起動中にナンバープレート読取機51が取得した車両AのNP情報、即ち、料金収受処理が行われなかった車両AのNP情報を、料金未収受車両情報として記録媒体11に記録する。これにより、料金所の監視員等は、記録媒体11に記録された料金未収受車両情報を参照して、料金収受処理が行われなかった車両Aに対し、後日料金を請求することができる。このため、再起動処理を行っている期間において、車両Aの車載器A1に対して料金収受が行えない等の運用上の不利益を低減させることが可能となる。
【0070】
<第2の実施形態の変形例>
上述の第2の実施形態において、診断部120の健全性判断部120aが車線別及び車種別の連続非処理回数を計数し、当該車種別の連続非処理回数が、閾値テーブルT3(
図10)の車種別の閾値を超えるか否かに基づいて、システム異常が発生しているか否かを判断する態様について説明した。
本変形例においては、健全性判断部120aが、車両の検知結果に対する料金収受処理の結果の割合を求める点において、第2の実施形態とは異なっている。
以下、
図12〜
図13を参照して第2の実施形態の変形例について説明する。
【0071】
(診断部の処理フロー)
図12は、第2の実施形態の変形例に係る診断部の機能を説明する図である。
図13は、第2の実施形態の変形例に係る診断部の処理フローを示す図である。
以下、車線L1を例として具体的な診断部120の処理フローを説明するが、診断部120は、各車線に対して同様の処理フローを実行しているものとする。また、診断部120は、以下の処理フローを、常時、所定の時間おきに繰り返し実行しているものとする。
図12に示すように、診断部120の健全性判断部120aは、車両検知器5cより、車線L1の規定通信領域Q1に車両Aが進入したことを示す車両Aの検知結果として、当該車両Aの検知日時、走行する車線、NP情報及び車種を示す情報を受信する。健全性判断部120aは、単位時間内(例えば1時間以内)における車両Aの検知台数を示す、車両検知数を車種別に計数する(ステップS400)。
次に、健全性判断部120aは、料金収受処理部10より規定通信領域Q1を通過する(車線L1を走行する)当該車両Aに対する料金収受処理の結果を受信したか否かに基づいて、当該車両Aに対して料金収受処理が行われたか否かを判断する。そして、健全性判断部120aは、車線L1において単位時間内に料金収受処理が行われた回数を示す処理回数を、車種別に計数する(ステップS401)。
【0072】
次に、健全性判断部120aは、単位時間を経過したか否かを判断する(ステップS402)。健全性判断部120aは、単位時間を経過していないと判断した場合(ステップS402:NO)、単位時間を経過したと判断するまで上述のステップS400〜S401の処理を繰り返し実行する。
一方、健全性判断部120aは、単位時間を経過したと判断した場合(ステップS402:YES)、単位時間内において計数した、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合を求める。そして、健全性判断部120aは、記録媒体11より閾値テーブルT4(
図12)を読み出し、車線L1の車種別の車両検知数に対する車種別の処理回数の割合が、閾値テーブルT4において設定された車種別の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS403)。閾値は、車載器A1の車種別の普及率(搭載率)に基づいて、単位時間内に通過した車両Aの車種別の台数(車種別の車両検知数)に対する車載器A1が搭載されている車両A(料金収受処理が行われた車種別の処理回数)の割合が何パーセント以下となると、システム異常が発生したと判断するかを、車種別に予め定めた値である。具体的には、
図12に示すように、例えば普及率が95%である車種Eの閾値は、「25%(以下)」に設定されている。即ち、単位時間内に通過した車種Eの車両Aの台数に対し、車載器A1が搭載されている車両Aの割合が25%以下となった場合、健全性判断部120aはシステム異常が発生したと判断する。一方、普及率が50%である車種Aは、普及率が95%である車種Eよりも車載器A1が搭載されている車両が少ないことが予測される。このため、普及率が50%である車種Aの閾値を、車種Eと同様に「25%(以下)」に設定すると、システムが正常に動作しているにも関わらず、健全性判断部120aがシステム異常が発生したと誤判断する可能性が生じる。従って、普及率が低い車種Aの閾値は、普及率が高い車種Eの閾値よりも小さい値(
図12の例では「10%(以下)」)に設定されている。
なお、健全性判断部120aは、上述の「車載器A1が搭載されている車両Aの割合が閾値以下となった場合はシステム異常が発生していると判断する」との判断基準に代えて、「車載器A1が搭載されている車両Aの割合が閾値以上となった場合はシステム異常が発生していると判断しない」、「車載器A1が搭載されていない車両Aの割合が閾値以上になった場合はシステム異常が発生していると判断する」、又は、「車載器A1が搭載されていない車両Aの割合が閾値以下になった場合はシステム異常が発生していないと判断する」等の判断基準を有していてもよい。この場合、閾値は、車種別の普及率とそれぞれの判断基準とに基づいて、車種別に設定される。
また、閾値は、車載器A1の車種別の普及率と、各料金所の交通量とに基づいて定めてもよい。なお、他の実施形態においては、閾値は道路別(高速道路別)に設定されていてもよいし、複数の料金所を含む地域別に設定されていてもよい。
【0073】
健全性判断部120aは、車線L1の車種別の車両検知数に対する車種別の処理回数の割合と、閾値テーブルT4の車種別の閾値とに基づいて、料金収受処理が行われなかった原因が車両Aに車載器A1が搭載されていない「車載器非搭載ケース」であるのか、車両Aに車載器A1が搭載されているが、車載器A1に対して料金収受処理が正常に行われなかった「処理エラーケース」であるのかを区別する。
健全性判断部120aは、車線L1の車種別の車両検知数に対する車種別の処理回数の割合が、車種別の閾値以下ではない場合(ステップS403:NO)は、車載器非搭載ケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。例えば、車線L1の車種Aの車両検知数が100回であり、車線L1の車種Aの処理回数が50回であった場合、当該車種Aの車両検知数に対する処理回数の割合は50%であり、閾値テーブルT4(
図12)の車種Aに対して設定された閾値である「10%」を上回る(ステップS403:NO)。この場合、健全性判断部120aは、車線L1においてシステム異常は発生していないと判断する。
一方、健全性判断部120aは、車線L1の車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下である場合(ステップS403:YES)は、処理エラーケースであるとみなし、車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。例えば、車線L1の車種Aの車両検知数が100回であり、車線L1の車種Aの処理回数が8回であった場合、当該車種Aの車両検知数に対する処理回数の割合は8%であり、閾値テーブルT4(
図12)の車種Aに対して設定された閾値「10%」以下となる(ステップS403:YES)。この場合、健全性判断部120aは、車線L1においてシステム異常が発生していると判断する。
【0074】
次に、診断部120の再起動部120bは、車線L1の車種別の車両検知数に対する車種別の処理回数の割合が、車種別の閾値以下であり(ステップS403:YES)、健全性判断部120aが車線L1においてシステム異常が発生していると判断した場合、車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示を出力する(ステップS404)。
そして、健全性判断部120aは、再起動部120bより車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aを再起動させるための再起動指示が出力されると、車線L1の全ての車種に対する車両検知数と処理回数とを0回にリセットする(ステップS405)。
車線L1の路側アンテナ3a及び無線通信制御装置2aは、再起動処理が完了すると、異常状態から回復し、正常に動作する。また、抽出部120cは、上述の第2の実施形態と同様に、再起動部120bが再起動指示を出力してから、各機器の再起動処理が完了するまでに、ナンバープレート読取機51が取得したNP情報を抽出する。
なお、健全性判断部120aは、車線L1、L2のそれぞれにおいて、何れかの車種の車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下となった場合は、全ての車線においてシステム異常が発生したと判断する。この場合、再起動部120bは、全ての車線における路側アンテナ3a、3b及び無線通信制御装置2a、2bと、料金収受処理部10とを再起動させるための再起動指示を出力する。
診断部120は、上述の処理フローを、所定の時間おきに繰り返し実行することにより、料金収受システム1において異常が発生しているか否かを判断する。また、診断部120は、料金収受システム1において異常が発生していると判断した場合には、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させる。
【0075】
(作用効果)
上述の第2の実施形態では、料金収受処理が連続して行われなかった回数を計数するため、交通量の少ない料金所においてシステム異常が発生したことが検知されるまでに、単位時間以上の時間がかかる可能性がある。
しかしながら、本変形例では、診断部120の健全性判断部120aは、単位時間が経過する度に、車線別及び車種別の車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下であるか否かを判断する。このようにすることで、健全性判断部120aは、交通量の少ない料金所であっても、定期的にシステム異常が発生したか否かを判断することができる。
【0076】
また、上述の第2の実施形態では、路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10の動作が不安定となり、正常に料金収受処理が行えた場合と行えない場合とを繰り返すようなシステム異常が発生した場合は、当該システム異常が発生したことを検知できない可能性がある。
しかしながら、本変形例では、健全性判断部120aは、単位時間内に計数された車線別及び車種別の車両検知数と処理回数とに基づいて、車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下であるか否かを判断する。正常に料金収受処理が行えた場合と行えない場合とを繰り返すようなシステム異常が発生した場合は、正常に継続して料金収受処理が行われた場合に比較して、単位時間内に行われた処理回数が少なくなる。従って、このようなシステム異常が発生した場合は、車両検知数に対する処理回数の割合が閾値以下となる可能性が高くなり、健全性判断部120aは当該システム異常が発生したことを検知することができる。このため、健全性判断部120aは、料金収受システム1においてシステム異常が発生したことを、より精度よく検知することが可能となる。
【0077】
また、本変形例では、健全性判断部120aは、単位時間が経過したと判断した場合のみ、車線別及び車種別の車両検知数に対する処理回数の割合を求め、閾値テーブルT4(
図12)の閾値以下であるか否かを判断する処理を行う。このため、健全性判断部120aにおける処理を減らして、診断部120全体の処理を迅速に行うことができる。
【0078】
<その他の変形例>
上述の第1及び第2の実施形態、及びその変形例において、閾値テーブルT1〜T4の閾値が予め設定されている態様について説明した。
本変形例においては、診断部120の健全性判断部120aが閾値テーブルT1〜T4の閾値を自動的に更新する点において、上述の各実施形態及びその変形例とは異なっている。
【0079】
診断部120の健全性判断部120aは、車両検知器5a、5b、5cより、規定通信領域Q1、Q2に車両Aが進入したことを示す車両Aの検知結果を受信すると、車両検知器5a、5b、5cが検知した車両Aの累計数を示す車両検知累計数を更新して、記録媒体11に記録する。
また、健全性判断部120aは、料金収受処理部10より規定通信領域Q1、Q2を通過する(車線L1、L2を走行する)当該車両Aに対する料金収受処理の結果を受信すると、車線L1、L2において料金収受処理が行われた回数の累計数を示す処理累計数を更新して、記録媒体11に記録する。
【0080】
健全性判断部120aは、所定の期間(例えば1ヶ月)において記録された、車両検知累計数に対する処理累計数の割合に基づいて、車両Aに対する車載器A1の普及率(搭載率)を料金所別に算出する。そして、健全性判断部120aは、車載器A1の普及率に所定の統計処理を施すことにより、当該料金所における閾値を設定する。
例えば、ある料金所の所定の期間における車両検知累計数が1000回であり、処理累計数が850回である場合は、当該料金所の車載器A1の普及率は85%であると判断する。そして、健全性判断部120aは、当該料金所における車載器A1の普及率に所定の統計処理を施すことにより、当該料金所における閾値を設定する。
連続非処理回数に基づいてシステム異常が発生したか否かを判断する態様においては、健全性判断部120aは、当該料金所における車載器A1の普及率に所定の統計処理を施すことにより、閾値を、例えば、「6」であると設定する。また、単位時間内に通過した車両Aの台数(車両検知数)に対する車載器A1が搭載されている車両Aの台数(料金収受処理が行われた処理回数)の割合に基づいてシステム異常が発生しているか否かを判断する態様においては、健全性判断部120aは、当該料金所における車載器A1の普及率に所定の統計処理を施すことにより、閾値を、例えば、「15%」と設定する。
更に、車両検知器5cが車種判別部52を有する態様においては、健全性判断部120aは、車種別に閾値を設定してもよい。
本変形例における健全性判断部120aは、このように料金所別に設定した閾値に基づいて、システム異常が発生しているか否かを判断する。
また、健全性判断部120aは、過去の同月又は同時間帯に記録された車載器A1の普及率に基づいて、各月又は各時間毎に異なる閾値を設定するようにしてもよい。
【0081】
このようにすることで、料金所又は時間帯等に応じて車載器A1の普及率(車載器A1を搭載する車両Aの割合)が変化する場合であっても、健全性判断部120aは、システム異常が発生したか否かを判断するための閾値を、実際の時間の経過に伴う車載器A1の普及率に追随させることができる。これにより、より精度よくシステム異常が発生したことを検知することが可能となる。
【0082】
なお、本変形例では、健全性判断部120aが料金所別に閾値を設定する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態においては、料金所別の車載器A1の普及率を、監視員が駐在する中央設備のコンピュータに送信してもよい。この場合、当該中央設備のコンピュータが料金所別に、又は、複数の料金所を含む地域別に、閾値を設定するようにしてもよい。
【0083】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0084】
例えば、上述の各実施形態において、診断部120の再起動部120bが路側アンテナ3a、3b、無線通信制御装置2a、2b及び料金収受処理部10のうち少なくとも何れか一つを再起動させる態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態においては、再起動部120bは、監視員が駐在する中央設備のコンピュータにシステム異常が発生したことを車線別に通知して、当該監視員に再起動の実行可否と、再起動を行う機器の選択を判断させるようにしてもよい。
この場合、診断部120の抽出部120cは、監視員が機器に対して再起動指示を行ってから、当該機器が再起動処理を完了するまでの間に、当該機器が存在する車線を走行する車両AのNP情報を抽出する。これによっても、上述の各実施形態と同様に、再起動処理を行っている期間において、車両Aの車載器A1に対して料金収受が行えない等の運用上の不利益を低減させることが可能となる。
【0085】
また、上述の各実施形態において、抽出部120cは、料金収受システム1の各機器を再起動中に各車線L1、L2を通行する(各規定通信領域Q1、Q2を通過する)車両のNP情報を抽出し、料金収受処理が行われなかった車両AのNP情報を、料金未収受車両情報として記録媒体11に記録する態様について説明したが、これに限られることはない。抽出部120cは、監視員が駐在する中央設備のコンピュータ等に料金未収受車両情報を、逐次又は所定の時間おきに送信するようにしてもよい。これによっても、上述の各実施形態と同様に、再起動処理を行っている期間において、車両Aの車載器A1に対して料金収受が行えない等の運用上の不利益を低減させることが可能となる。