(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書には、電子通信モジュール(タイヤへの搭載に好適であるような電子通信モジュール)用のゴムコーティングと、ゴムコーティング(すなわち、特定の組成物からなるゴム組成物)によって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を含む電子通信モジュールと、が開示される。また、電子通信モジュールを搭載するタイヤ又はタイヤリトレッドが開示される。加えて、ゴムコーティングの損失正接を上昇させずにその誘電定数を上昇させるための方法が開示される。
【0012】
第1の実施形態では、電子通信モジュール用のゴムコーティングが開示される。ゴムコーティングは、(a)少なくとも1つのジエン系エラストマー100phrと、(b)少なくとも9の誘電定数及び0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料と、を含み、コーティングは硬化されると、少なくとも4.5の誘電定数及び0.01未満の損失正接を有する。
【0013】
第2の実施形態では、タイヤ用の電子通信モジュールが開示される。電子通信モジュールは、第1の実施形態のゴムコーティング、すなわち、(a)少なくとも1つのジエン系エラストマー100phrと、(b)少なくとも9の誘電定数及び0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料と、を含むゴムコーティングであって、コーティングは硬化されると、少なくとも4.5の誘電定数及び0.01未満の損失正接を有する、ゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を含む。
【0014】
第3の実施形態では、第2の実施形態の電子通信モジュール、すなわち、第1の実施形態のゴムコーティング、すなわち、(a)少なくとも1つのジエン系エラストマー100phrと、(b)少なくとも9の誘電定数及び0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料と、を含むゴムコーティングであって、コーティングは硬化されると、少なくとも4.5の誘電定数及び0.01未満の損失正接を有する、ゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を含む、電子通信モジュールを含むタイヤ又はタイヤリトレッドが開示される。
【0015】
第4の実施形態では、ゴムコーティングの損失正接を上昇させずにその誘電定数を上昇させるための方法が開示される。この方法は、結果として生じるゴムコーティングが硬化されると、少なくとも4.5の誘電定数及び0.01未満の損失正接を有するように、少なくとも1つのジエン系エラストマー100phrに、少なくとも9の誘電定数及び0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料を組み込むことを含む。
【0016】
定義
本明細書に記載する用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0017】
本明細書で使用するとき、「DBP」はジブチルフタレートを指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、「DBP吸収量」は、カーボンブラックの構造を判別するために使用されるジブチルフタレート吸収テストを指す。DBP吸収量は、本明細書で述べる方法を含む、様々な標準的方法に従って測定できる。
【0019】
本明細書で使用するとき、「ナノサイズの無機材料」という語句で使用するような「ナノサイズ」は、ナノメートル範囲内の平均主粒径(少なくとも1次元で)を有する材料を指し、100nm以下、好ましくは100nmから1nmの値を包含するものと理解されたい。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「天然ゴム」は、パラゴムノキ属のゴムの木及びパラゴムノキ属以外の原料(例えば、グアユールの低木及びタンポポ(例えば、TKS)など)の原料から採取することができるものなど、天然由来のゴムを意味する。言い換えれば、用語「天然ゴム」は、合成ポリイソプレンを除くものと解釈すべきである。
【0021】
本明細書で使用するとき、「窒素表面積」は、限定するものではないが、本明細書で論じるカーボンブラック及び「非補強充填材」粒子材料を含む、粒子材料の窒素吸収比表面積(N
2SA)を指す。窒素表面積は、以下に述べるものを含む、様々な標準的方法に従って測定できる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「phr」は、ゴム100部当たりの部を意味する。ゴム100部は、少なくとも1つのジエン系エラストマー100部を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「ポリイソプレン」は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、天然由来のゴム(例えば、パラゴムノキ天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。ただし、用語「ポリイソプレン」は、イソプレンモノマーの天然源から製造されるポリイソプレンを含むと解釈すべきである。
【0024】
本明細書で使用するとき、材料の「比誘電率」及び「誘電定数」という用語は、同じ意味を有することが意図されており、材料の誘電体誘電率と真空の誘電率との比を指すように互換的に使用される。別途記載のない限り、本明細書に開示される誘電定数は、ゴムコーティングの硬化形状のものを指す。
【0025】
ゴムコーティング
上述のように、本明細書で開示される第1の実施形態は、電子通信モジュール用のゴムコーティングを対象とする。電子通信モジュールは、タイヤへの搭載に好適であるものと理解され得る。また、上述のように、本明細書で開示される第2の実施形態は、第1の実施形態のゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を含むタイヤ用の電子通信モジュールを対象とし、本明細書に開示される第3の実施形態は、本明細書に開示される第2の実施形態の電子通信モジュール、すなわち、第1の実施形態のゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を含む電子通信モジュールを含む、タイヤ又はタイヤリトレッドを対象とし、本明細書に開示される第4の実施形態は、ゴムコーティングの損失正接を上昇させずにその誘電定数を上昇させる方法であって、結果として生じるゴムコーティングが硬化されたと、少なくとも4.5の誘電定数及び0.01未満の損失正接を有するように、少なくとも1種のジエン系エラストマー100phrに少なくとも9の誘電定数と0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料を組み入れることを含む、方法を対象とする。このように、本明細書に開示される第1〜第4の実施形態はそれぞれ、ゴムコーティングを搭載又は利用する。本明細書に提供されるゴムコーティング及びその構成成分の全ての論考は、特にそれとは反対の指示がない限り、第1〜第4の実施形態のそれぞれに等しく適用されることを理解されたい。
【0026】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のゴムコーティングは、(a)少なくとも1つのジエン系エラストマー100phrと、(b)少なくとも9の誘電定数及び0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料と、を含み、コーティングは硬化されると、少なくとも4.5の誘電定数及び0.01未満の損失正接を有する。少なくとも1つのジエン系エラストマーと少なくとも1種のナノサイズの無機材料と、については、以下により詳細に論じる。
【0027】
上述のように、第1〜第4の実施形態によると、硬化されたときのゴムコーティングの誘電定数は、少なくとも4.5であり、損失正接は0.01未満である。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングの誘電定数は、4.5〜40、4.5〜約30、4.5〜30、4.5〜約20、4.5〜20、4.5〜20、4.5〜約10、4.5〜10、4.5〜約9、4.5〜9、4.5〜約8、4.5〜8、4.5〜約7、4.5〜7、4.5〜約6、4.5〜6、4.5〜約5.5、4.5〜5.5、4.5〜約5、及び4.5〜5を含む、4.5〜約40である。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングの損失正接は、0.0001〜0.01、約0.0001〜約0.009、0.0001〜0.009、約0.0001〜約0.008、0.0001〜0.008、約0.0002〜0.01、0.0002〜0.01、約0.0002〜約0.009、0.0002〜0.009、約0.0002〜約0.008、0.0002〜0.008、約0.0003〜0.01、0.0003〜0.01、約0.0003〜約0.009、0.0003〜0.009、約0.0003〜約0.008、0.0003〜0.008、約0.0004〜0.01、0.0004〜0.01、約0.0004〜約0.009、0.0004〜0.009、約0.0004〜約0.008、0.0004〜0.008、約0.0005〜0.01、0.005〜0.01、約0.0005〜約0.009、0.0005〜0.009、約0.0005〜約0.008、0.0005〜0.008、約0.0006〜0.01、0.0006〜0.01、約0.0006〜約0.009、0.0006〜0.009、約0.0006〜約0.008、0.0006〜0.008、約0.0007〜0.01、0.0007〜0.01、約0.0007〜約0.009、0.0007〜0.009、約0.0007〜約0.008、0.0007〜0.008、約0.0008〜0.01、0.0008〜0.01、約0.0008〜約0.009、0.0008〜0.009、約0.0008〜約0.008、0.0008〜0.008、約0.0009〜0.01、0.0009〜0.01、約0.0009〜約0.009、0.0009〜0.009、約0.0009〜0.008、及び0.0009〜0.008を含む、約0.0001〜0.01である。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、ゴムコーティングは、前に提供された誘電定数範囲のいずれかと組み合わされた前述の範囲のうちのいずれかから選択される損失正接、又は前に提供された損失正接のいずれかと組み合わされた前述の範囲のうちのいずれかから選択される誘電定数を有し得る。
【0028】
第1〜第4の実施形態によると、ゴムコーティングの厚さは異なってもよい。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティング、例えば、タイヤ用の電子通信モジュールの無線装置の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングの厚さは、4mm以下である。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティング、例えば、タイヤ用の電子通信モジュールの無線装置の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングの厚さは、少なくとも0.5mmである。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティング、例えば、タイヤ用の電子通信モジュールの無線装置の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングの厚さは、0.5〜4mm、約0.5〜約3.5mm、0.5〜3.5mm、約0.5〜約3mm、0.5〜3mm、約0.5〜約2.5mm、0.5〜2.5mm、約0.5〜約3mm、0.5〜3mm、約0.5〜約2.5mm、0.5〜2.5mm、約0.5〜約2mm、0.5〜2mm、約0.5〜約1.5mm、0.5〜1.5mm、約1〜約4mm、1〜4mm、約1〜約3.5mm、1〜3.5mm、約1〜約3mm、1〜3mm、約1〜約2.5mm、1〜2.5mm、約1〜約2mm、1〜2mm、約1.5〜約4mmを含み、1.5〜4mm、約1.5〜約3.5mm、1.5〜3.5mm、約1.5〜約3mm、1.5〜3mm、約1.5〜約2.5mm、1.5〜2.5mm、約1.5〜約2mm、1.5〜2mm、約2〜約4mmを含み、2〜4mm、約2〜約3.5mm、2〜3.5mm、約2〜約3mm、2〜3mm、約2〜約2.5mm、及び2〜2.5mmを含む、約0.5〜約4mmの範囲である。
【0029】
電子通信モジュールの無線装置がタイヤ又はタイヤリトレッドに搭載される場合、無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングの厚さは、無線装置に適用されるゴムコーティングを指すものと理解すべきであるが、ゴムコーティングされた無線装置は、ゴムコーティングの組成物とは組成物が異なり得る付加的なゴム(例えば、タイヤ又はタイヤリトレッドのゴム)によって取り囲まれ得ることも理解すべきである。上に指定されているゴムコーティングの厚さは、タイヤ又はタイヤリトレッドに搭載されるときにゴムコーティングされた無線装置を取り囲み得る、何らかのかかる付加的ゴムを含むことを意図されていない。
【0030】
ジエン系エラストマー
上述のように、第1〜第4の実施形態によると、ゴムコーティングは、少なくとも1つのジエン系エラストマー100phrを含む。前述のゴムコーティングはまた、少なくとも1つのジエン系エラストマー100部を含むものとして理解され得る。本明細書で使用するとき、用語「ジエン系エラストマー」は、ポリマー、コポリマー、又はこれらの組み合わせ(すなわち、複数のポリマー、複数のコポリマー、1つのポリマー及び1つのコポリマー、複数のポリマー及び1つのコポリマー、複数のコポリマー及び1つのポリマー、又は複数のコポリマー及び複数のポリマー)を含む、ジエンモノマーを指す。第1〜第4の実施形態による特定の実施形態によると、少なくとも1つのジエン系エラストマーとして、例えば、以下の共役ジエンポリマーのうちの1つ又は2つ以上の重合由来のポリマー、コポリマー、又はこれらの組み合わせが挙げられる:1,3ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、及び1,3−シクロオクタジエン、並びにこれらの派生物。特定の実施形態では、2種又はそれ以上の共役ジエンモノマーの混合物を利用できると理解されたい。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によるゴムコーティング中に使用するのに好適なジエン系エラストマーの非限定例としては、スチレンブタジエンゴム(SBR又はスチレンブタジエンコポリマーとも呼ばれる)、ポリブタジエン、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDMゴムとしても知られる)、ブチルゴム、ネオプレン、又はポリイソプレンのうちの少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、スチレンブタジエンコポリマーは、他のいずれのモノマーも含まないスチレン及びブタジエンモノマーからなるコポリマーを意味するものと理解され得る。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ポリブタジエンは、ブタジエンモノマー(例えば、1,3−ブタジエン)のホモポリマーを意味するものと理解され得、特定のかかる実施形態では、ポリブタジエンは、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、少なくとも92%、又は少なくとも95%のシス結合含量を有する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ポリイソプレンは、イソプレンモノマーからなるホモポリマーを意味するものと理解され得る。
【0031】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴムコーティングの少なくとも1つのジエン系エラストマー、とりわけ、スチレンブタジエンタイプのジエン系エラストマーは、官能化ジエン系エラストマーを含み得る。本明細書で使用するとき、用語「官能化ジエン系エラストマー」は、一方又は両方の末端部における官能基(例えば、官能化反応開始剤、官能化反応停止剤、又は両方の使用により)、エラストマーの主鎖中の官能基、及びこれらの組み合わせを有するエラストマーを含むと理解されたい。例えば、シリカ反応性官能化エラストマーは、一方又は両方の末端部に、その主鎖中に、又はこの両方に官能基を有してよい。特定のかかる実施形態では、ゴムコーティングは、5〜100phr、約5〜約90phr、5〜90phr、約5〜約70phr、5〜70phr、約5〜約50phr、5〜50phr、約5〜約40phr、5〜40phr、約5〜約30phr、5〜30phr、約10〜約90phr、10〜90phr、約10〜約70phr、10〜70phr、約10〜約50phr、10〜50phr、約10〜約40phr、10〜40phr、約10〜約30phr、及び10〜30phrを含む、約5〜100phrの少なくとも1つの官能化ジエン系エラストマーを含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、官能化ジエン系エラストマーは、シリカ反応性官能基を有するジエン系エラストマーを含む。ジエン系エラストマーの官能化に利用されることが既知であり、第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態のゴムコーティング中での使用に好適な、シリカ反応性官能基の非限定例として、窒素含有官能基、ケイ素含有官能基、酸素又は硫黄含有官能基、及び金属含有官能基が挙げられる。
【0032】
ジエン系エラストマーの官能化に利用されることが既知である窒素含有官能基の非限定例として、飽和又は不飽和アミノ基、アミド残基、イソシアナト基、イミダゾリル基、インドリル基、ニトリル基、ピリジル基、及びケチミン基のうち任意のものが挙げられるが、これらに限定されない。上記置換又は非置換アミノ基は、一級アルキルアミン、二級アルキルアミン、又は環状アミン、及び、置換又は非置換イミン由来のアミノ基を含むと理解されたい。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴムコーティングは、窒素含有官能基の上記リストから選択される少なくとも1種の官能基を有する官能化ジエン系エラストマーを含む。
【0033】
ジエン系エラストマーの官能化に利用されることが既知であるケイ素含有官能基の非限定例として、有機シリル又はシロキシ基が挙げられるが、これらに限定されず、より正確には、官能基は、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基、及びアルコキシハロシリル基から選択されてよい。ジエン系エラストマーの官能化での使用に好適なケイ素含有官能基として、この開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,369,167号に開示されるものも挙げられる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴムコーティングは、シリコン含有官能基の上記リストから選択される少なくとも1種の官能基を有する官能化ジエン系エラストマーを含む。
【0034】
ジエン系エラストマーの官能化に利用されることが既知である酸素又は硫黄含有官能基の非限定例として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、環状ジチアン由来官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシル基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオジグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基及びチオケトン基が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、上記アルコキシ基は、ベンゾフェノン由来のアルコール由来アルコキシ基であってよい。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴムコーティングは、酸素又は硫黄含有官能基の上記リストから選択される少なくとも1種の官能基を有する官能化ジエン系エラストマーを含む。
【0035】
通常、ジエン系エラストマーは、当業者には周知であるような様々な好適な方法、例えばバッチ式、半連続式、又は連続式操作に従って、調製され、回収されてよい。また重合は、バルク重合、蒸気相重合、溶液重合、懸濁重合、配位重合、及びエマルション重合が挙げられるが、これらに限定されない、多くの異なる重合反応装置系においても実施できる。重合は、フリーラジカル機構、アニオン性機構、カチオン性機構、又は配位機構を用いて実施できる。上記重合法の全ては、当業者には周知である。
【0036】
任意追加的に、本明細書に開示される第1〜第4の実施形態によるゴムコーティングは、最大約20phr(最大20phrを含む)のシリコーンゴムエラストマーを更に含み得る。つまり、特定の実施形態では、少なくとも1つのジエン系エラストマー100phr(又は100部)に加え、ゴムコーティングは、最大20phrを含む、0〜約20phrを含む、0〜20phrを含む、約5phr〜約20phrを含む、5phr〜20phrを含む、約5phr〜約15phrを含む、5phr〜15phrを含む、約5phr〜約10phrを含む、5phr〜10phrを含む、約10phr未満を含む、10phr未満を含む、約5phr未満を含む、及び5phr未満を含む、最大約20phrのシリコーンゴムエラストマーを含む(comprises contains)。
【0037】
ナノサイズの無機材料
上述のように、第1〜第4の実施形態のゴムコーティングは、少なくとも9の誘電定数及び0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料を含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は9〜2000の誘電定数を有する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、又は少なくとも1500を含む、少なくとも20の誘電定数を有する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、20〜2000、約25〜約2000、25〜2000、約50〜約2000、50〜2000、約100〜約2000、100〜2000、約200〜約2000、200〜2000、約500〜約2000、約20〜約1500、20〜1500、約25〜約1500、25〜1500、約50〜約1500、50〜1500、約100〜約1500、100〜1500、約200〜約1500、200〜1500、約500〜約1500、約20〜約1000、20〜1000、約25〜約1000、25〜1000、約50〜約1000、50〜1000、約100〜約1000、100〜1000、約200〜約1000、200〜1000、約500〜約1000、約20〜約500、20〜500、約25〜約500、25〜500、約50〜約500、50〜500、約100〜約500、100〜500、約200〜約500、又は200〜500を含む、約20〜約2000の誘電定数を有する。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、0.0001〜0.1、約0.0001〜約0.05、0.0001〜0.05、約0.0001〜約0.01、0.0001〜0.01、約0.0002〜0.1、0.0002〜0.1、約0.0002〜約0.05、0.0002〜0.05、約0.0002〜約0.01、0.0002〜0.01、約0.0003〜0.1、0.0003〜0.1、約0.0003〜約0.05、0.0003〜0.05、約0.0003〜約0.01、0.0003〜0.01、約0.0004〜0.1、0.0004〜0.1、約0.0004〜約0.05、0.0004〜0.05、約0.0004〜約0.01、0.0004〜0.01、約0.0005〜0.1、0.005〜0.1、約0.0005〜約0.05、0.0005〜0.05、約0.0005〜約0.01、0.0005〜0.01、約0.0006〜0.1、0.0006〜0.1、約0.0006〜約0.05、0.0006〜0.05、約0.0006〜約0.01、0.0006〜0.01、約0.0007〜0.1、0.0007〜0.1、約0.0007〜約0.05、0.0007〜0.05、約0.0007〜約0.01、0.0007〜0.01、約0.0008〜0.1、0.0008〜0.1、約0.0008〜約0.05、0.0008〜0.05、約0.0008〜約0.01、0.0008〜0.01、約0.0009〜0.1、0.0009〜0.1、約0.0009〜約0.05、0.0009〜0.05、約0.0009〜約0.01、0.0009〜0.01、約0.001〜0.1、0.001〜0.1、約0.001〜約0.05、0.001〜0.05、約0.001〜約0.01、及び0.001〜0.01を含む、約0.0001〜0.1の損失正接を有する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、前に提供された誘電定数範囲のいずれかと組み合わされた前述の範囲のうちのいずれかから選択される損失正接、又は前に提供された損失正接のいずれかと組み合わされた前述の範囲のうちのいずれかから選択される誘電定数を有し得る。
【0038】
少なくとも1つのナノサイズの無機材料が使用され得ると主張することは、1つ又は2つ以上(例えば、2つ、3つ、又はそれ以上)のナノサイズの無機材料が、第1〜第4の実施形態のゴムコーティングで利用され得ることを意味する。2つ以上のナノサイズの無機材料が利用される場合、それぞれの材料の誘電定数及び損失正接は、前述のパラメーター又は範囲のうちのいずれかに収まる。同様に、2つ以上のナノサイズの無機材料が利用されるときは、それぞれの材料は、次のパラメーター又は範囲(例えば、粒径)のうちのいずれかに収まる特性を有するものと理解されたい。
【0039】
第1〜第4の実施形態のゴムコーティングに使用されるナノサイズの無機材料の特定の粒径は異なってもよいが、ナノサイズの材料は概ね、少なくとも1次元で、好ましくは少なくとも2次元(例えば、2又は3次元)で100nm以下になる。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ナノサイズの無機材料は、1nm〜100nm、約1nm〜約90nm、1nm〜90nm、約1nm〜約80nm、1nm〜80nm、約1nm〜約70nm、1nm〜70nm、約1nm〜約60nm、1nm〜60nm、約1nm〜約50nm、1nm〜50nm、約1nm〜約40nm、1nm〜40nm、約1nm〜約30nm、1nm〜30nm、約1nm〜約20nm、1nm〜20nm、約1nm〜約10nm、1nm〜10nm、約10nm〜約100nm、10nm〜100nm、約10nm〜約90nm、10nm〜90nm、約10nm〜約80nm、10nm〜80nm、約10nm〜約70nm、10nm〜70nm、約10nm〜約60nm、10nm〜60nm、約10nm〜約50nm、10nm〜50nm、約10nm〜約40nm、10nm〜40nm、約10nm〜約30nm、10nm〜30nm、約10nm〜約20nm、又は10nm〜20nmを含む、約1nm〜約100nmの範囲内に収まる粒径を有し、前述の粒径範囲は、粒子の1次元、2次元、又は3次元に適用され得る。本明細書で参照される粒径は、平均主粒径、より具体的には、強度平均化流体力学粒径を判別し得るASTM Method E2490(ごく最近では、2015年にバージョン−09として公開)などの動的光散乱方法を使用して判別され得るような、平均主粒径を指すことが意図されている。
【0040】
第1〜第4の実施形態のゴムコーティングで使用される少なくとも1つのナノサイズの無機材料からなる特定の組成物は、異なってもよい。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、アルカリ土類金属又は遷移金属から選択される少なくとも1つの金属を含み、特定のかかる実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、アルカリ土類金属、遷移金属、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、少なくとも1つの遷移金属を含み、特定のかかる実施形態では、少なくとも1つの遷移金属は、第4族遷移金属、第5族遷移金属、第6族遷移金属、又はこれらの組み合わせを含む。アルカリ土類金属は概ね、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及びラジウムを含むものと理解される。第4族遷移金属は概ね、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムを含むものと理解される。第5族遷移金属は概ね、バナジウム、ニオビウム、及びタンタルを含むものと理解される。第6族遷移金属は概ね、セリウム、モリブデン、及びタングステンを含むものと理解される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、第4族遷移金属から選択される金属を含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、チタン、例えば、二酸化チタンなどのチタン化合物を含む。
【0041】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、アルカリ土類金属又は遷移金属から選択される少なくとも1つの金属を含む金属酸化物であり、特定のかかる実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、アルカリ土類金属、遷移金属、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、少なくとも1つの遷移金属を含む金属酸化物であり、特定のかかる実施形態では、少なくとも1つの遷移金属は、第4族遷移金属、第5族遷移金属、第6族遷移金属、又はこれらの組み合わせを含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、第4族遷移金属から選択される金属を含む金属酸化物である。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、酸化チタンである。酸化チタン又は酸化チタン化合物という用語は、チタン及び酸素の両方を含む化合物を指すために使用され、特定の実施形態では、酸化チタン化合物は、チタン及び酸素に加えて少なくとも1つの付加的要素(例えば、ストロンチウム酸化チタン)を含み、他の実施形態では、酸化チタン化合物はチタン及び酸素のみを含む。チタンは2つ以上の酸化状態を有するため、チタン及び酸素のみを含む酸化チタンには、二酸化チタン(酸化チタン(IV)又はTiO
2としても知られる);酸化チタン(酸化チタン(II)、一酸化チタン、又はTiOとしても知られる);三酸化ジチタン(酸化チタン(III)又はTi
2O
3としても知られる);酸化トリチタン(Ti
3O);酸化ジチタン(Ti
2O);及び化学式Ti
nO
2n−1(ここで、nは3〜9から選択される整数である)を有する化合物を含む、様々な形状が存在する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、二酸化チタン(TiO
2)を含む。チタン、酸素、及び少なくとも1つの他の要素を含む、酸化チタン化合物の非限定例は、酸化チタンアルミニウム及び酸化鉛チタンである。
【0042】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ナノサイズの無機材料は、酸化チタン化合物、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化チタンアルミニウム、酸化マグネシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウムストロンチウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化タンタル、チタン酸バリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。チタン酸ストロンチウムは、酸化チタンストロンチウムとしても知られ、化学式SrTiO
3を有する。酸化アルミニウムは、化学式Al
2O
3を有する。酸化チタンアルミニウムは、化学式Al
2O
3・TiO
2を有する。酸化マグネシウムは、化学式MgOを有する。チタン酸マグネシウムは、酸化チタンマグネシウムとしても知られ、化学式Mg
2TiO
4を有する。チタン酸バリウムストロンチウムは、化学式BaO
4SrTiを有する。酸化ハフニウムは、酸化ハフニウム(IV)としても知られ、化学式HfO
2を有する。酸化ジルコニウムは、化学式ZrO
2を有する。酸化セリウムは、酸化セリウム(IV)としても知られ、化学式CeO
2を有する。酸化タンタルは、酸化タンタル(V)としても知られ、化学式Ta
2O
5を有する。チタン酸バリウムは、化学式BaTiO
3を有する。
【0043】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のゴムコーティングで使用される少なくとも1つのナノサイズの無機材料の量は、異なってもよい。本明細書で参照される量は、特に反対の記述がない限り、ゴムコーティングに使用されるナノサイズの無機材料全ての合計量を指すことが意図されている。例えば、2つ(又はそれ以上)のナノサイズの無機材料が使用されている場合、量は、かかる材料全ての合計量を指す。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、少なくとも20phrの量でゴムコーティング中に存在する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、最大150phr、最大140phr、最大130phr、最大120phr、最大110phr、又は最大100phrの量でゴムコーティング中に存在する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、20phr〜100phr、約25phr〜約100phr、25phr〜100phr、約30phr〜約100phr、30phr〜100phr、約35phr〜約100phr、35phr〜100phr、約40phr〜約100phr、40phr〜100phr、約45phr〜約100phr、45phr〜100phr、約50phr〜約100phr、50phr〜100phr、20phr〜約90phr、20phr〜90phr、20phr〜約80phr、20phr〜80phr、20phr〜80phr、20phr〜約70phr、20phr〜70phr、20phr〜約60phr、又は20phr〜60phrを含む、20phr〜約100phrの量でゴムコーティング中に存在する。少なくとも1つのナノサイズの無機材料に関する前述の量及び範囲は、上述のように、全てのタイプのナノサイズの無機材料に適用されるものと理解されたい。
【0044】
充填材
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、少なくとも1つのナノサイズの無機材料に加えて、少なくとも1つの充填材を含む(更に含む)。(「補強充填材」及び「非補強充填材」に関する本明細書内の論考は、少なくとも1つのナノサイズの無機材料以外の(に加えた)構成要素を指すものとして理解されたい。)特定のかかる実施形態では、少なくとも1つの充填材は、少なくとも1つの補強充填材、少なくとも1つの非補強充填材、又はこれらの組み合わせを含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、いっさいの補強充填材がない(すなわち、0phrを含む)か、いっさいの非補強充填材がない(すなわち、0phrを含む)か、又はその両方である。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、5phr以下(すなわち、最大5phr)の補強カーボンブラック充填材を含む(更に含む)。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、補強カーボンブラック充填材がない(すなわち、0phrを含む)又は本質的にない(すなわち、5phr以下を含む)。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴムコーティングは、最大120phrの非補強カーボンブラック充填材を含む(更に含む)。換言すれば、かかる実施形態では、ゴムコーティングは、最大120phr(例えば、最大100phr、最大90phr、最大80phr、最大70phr、最大60phr、最大50phr、最大40phr、最大30phr、最大20phr、最大10phrを含む、1〜120phr)の量の非補強カーボンブラック充填材を含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、非補強カーボンブラック充填材を含まない(すなわち、0phrを含む)。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、5phr以下の補強カーボンブラック及び最大120phrの非補強カーボンブラックを含む(更に含む)。非補強カーボンブラックの非限定例には、ASTM呼称N−907、N−908、N−990、及びN−991を有するものなど、サーマルブラック又はN9シリーズカーボンブラック(N−900シリーズとも称される)が挙げられるが、これに限定されない。上述を満たす様々なカーボンブラックが市販されており、これには、Cancarb Limited(カナダ、アルバータ州Medicine Hat)製のThermax(登録商標)N990カーボンブラックが挙げられるが、これに限定されない。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「非補強充填材」は、約20m
2/g未満(20m
2/g未満を含む)、特定の実施形態では、約10m
2/g未満(10m
2/g未満を含む)の窒素表面積を有する、粒子材料(少なくともナノサイズの無機材料以外)を指す。かかる非補強充填材粒子材料の窒素表面積は、様々な標準的方法(ASTM D6556又はD3037を含む)に従って測定できる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、用語「非補強充填材」は、追加的に又は代替的に、約1000nm超(1000nm超を含む)の粒径を有する、粒子材料を指すために使用される。
【0046】
本明細書で使用するとき、「補強充填材」及び「補強カーボンブラック充填材」などの語句に対して使用される用語「補強」は、一般に、補強として伝統的に説明されている充填材、並びに、半補強と説明される場合がある充填材の両方の充填材を包含すると理解されたい。従来、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(N
2SA)が、約100m
2/g超、場合によっては、100m
2/g超、約125m
2/g超、125m
2/g超、又は更に約150m
2/g超、又は150m
2/g超である、粒子材料を指すために使用される。あるいは、用語「補強充填材」を伝統的に用いて、約10nm〜約50nm(10nm〜50nmを含む)の粒径を有する粒子材料を指すためにも使用できる。伝統的に、用語「半補強充填材」は、粒径、表面積(N
2SA)のいずれか、又は両方において、非補強充填材と補強充填材の中間である充填材を指すために使用される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(N
2SA)が、約20m
2/g以上(20m
2/g以上を含む、約50m
2/g超、50m
2/g超、約100m
2/g超、100m
2/g超、約125m
2/g超、及び125m
2/g超である、粒子材料を指すために使用される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、用語「補強充填材」は、追加的に又は代替的に、約10nm〜約1000nm(10nm〜1000nmを含む)、約10nm〜約50nm、及び10nm〜50nmの粒径を有する、粒子材料を指すために使用される。
【0047】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、100phr以下のシリカ充填材(補強、非補強、又はいずれか)を含む。換言すれば、かかる実施形態では、ゴムコーティングは、最大100phrの量のシリカ充填材を含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティング中のシリカ充填材の量はより制限されており、90phr以下、80phr以下、70phr以下、60phr以下、50phr以下、40phr以下、30phr以下、20phr以下、又は10phr以下のシリカ充填材を含む。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、シリカ充填材を含まない(すなわち、0phrを含む)又はシリカ充填材を本質的に含まない(すなわち、10phr以下又は5phr以下を含む)。
【0048】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは、以下の非補強充填材のいずれか10phr以下(合計で)を含む:グラファイト、粘土、非ナノサイズ酸化チタン(すなわち、100nm超の粒径を有する)、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、澱粉、窒素ホウ素、窒素ケイ素、窒素アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又は炭化ケイ素。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち、特定のかかる実施形態では、前述の非補強充填材のいずれかの合計量が、10phr未満、5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr御南、1phr未満、又は更には0phrなど、より制限されている。
【0049】
他の成分又は添加物
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴムコーティングは、1つ又は2つ以上の付加的成分(上述のように、少なくとも1つのジエン系エラストマーと少なくとも1つのナノサイズの無機材料と、に加えて)を含む(更に含む)。これらの付加的成分の非限定例については、以下に論じる。
【0050】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴムコーティングは、1つ又は2つ以上のプロセス油を含み(更に含み)、これは、ゴムコーティングのムーニー粘度を減少させることによって(例えば、硬化前に)加工性を向上させるのに有益であり得る。かかる実施形態では、1つ又は2つ以上のプロセス油は、ゴムコーティングへの遊離油として、少なくとも1つのジエン系エラストマーの一部として(すなわち、伸展油として)、又は両方の混合として添加され得る。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によるゴムコーティング中に使用される油の非限定例として、パラフィン系、ナフテン系、芳香族化プロセスなどが挙げられる。前述の油を含む特定の好適な油は、低多環芳香族含量(低PCA)油である。低PCA油は、3重量%未満、2重量%未満、又は1重量%未満の多環芳香族化合物を含有するものを含む(IP346による測定)。市販の低PCA油は、様々なナフテン系油、軽度抽出溶媒和物(MES)及び処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、処理残留芳香族系抽出物(TRAE)、並びに重ナフテン系を含む。好適なMES油は、CATENEX SNR(SHELL製)、PROREX 15及びFLEXON 683(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 200(BP製)、PLAXOLENE MS(TOTALFINAELF製)、TUDALEN 4160/4225(DAHLEKE製)、MES−H(REPSOL製)、MES(Z8製)、並びにOLIO MES S201(AGIP製)として市販されている。好適なTDAE油は、TYREX 20(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 500、VIVATEC 180、及びENERTHENE 1849(BP製)、並びにEXTENSOIL 1996(REPSOL製)として入手可能である。好適な重ナフテン系油は、SHELLFELX 794、ERGON BLACK OIL、ERGON H1000、CROSS C1000、CROSS C2400、及びSAN JOAQUIN 1000Lとして入手可能である。また、好適な低PCA油としては、野菜、木の実、及び種子から採取できるものなど、様々な植物起源の油も挙げられる。非限定的な例としては、ダイズ油、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、ゴムコーティングは、上記に開示されているものなど、0〜40phr、約1〜約35phr、1〜35phr、約5〜約25、5〜25phr、約5〜約20phr、5〜20phr、約5〜約15phr、5〜15phr、約5〜約10、又は5〜10phrの1つ又は2つ以上の油を含む、0(任意)〜約40phrの1つ又は2つ以上の油(プロセス、伸展、又はその両方)を更に含む。
【0051】
本明細書に開示する第1〜第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴムコーティングは、他の従来のゴム添加物を含み得る。これらには、例えば、油、可塑剤、加工助剤、ワックス、抗酸化剤及びオゾン劣化防止剤などの劣化防止剤、粘着付与樹脂、強化用樹脂、脂肪酸、ペプタイザー、酸化亜鉛などが挙げられる。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうち特定の実施形態では、ゴムコーティングは、前述の成分のうちの少なくとも1種を含む。劣化防止剤は、酸化攻撃からゴムを保護するために添加する成分である。ASTM D−4676は、ゴムの劣化防止剤を6つの類に分類する(p−フェニレンジアミン(PPDs)、トリメチル−ジヒドロキノリン(TMQs)、フェノール樹脂、アルキル化ジフェニルアミン(DPAs)、芳香族ホスフィン、及びジフェニルアミン−ケトン縮合体)。本明細書に別途記載のない限り、かかる構成要素の好適な量は、当業者によって決定され得る。
【0052】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングは硬化パッケージを含む(更に含む)。一般に、硬化パッケージは、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸など)、加硫阻害剤、及びスコーチ防止剤のうちの少なくとも1つを含む。第1〜第4の実施形態の特定の実施形態では、硬化パッケージは、少なくとも1つの加硫剤と、少なくとも1つの加硫促進剤と、少なくとも1つの加硫活性化剤と、任意選択的に、加硫阻害剤及び/又はスコーチ防止剤とを含む。加硫促進剤及び加硫活性化剤は、加硫剤の触媒として作用する。加硫阻害剤及びスコーチ防止剤は、当該技術分野において周知であり、所望の加硫特性に基づいて当業者が選択することができる。
【0053】
第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態による、ゴムコーティング中に使用するのに好適な種類の加硫剤の例としては、硫黄又は過酸化物系硬化成分が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、特定のこのような実施形態では、硬化成分は、硫黄系硬化剤又は過酸化物系硬化剤を含む。特定の好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker)」の可溶性硫黄、硫黄供与硬化剤、例えば、アミンジスルフィドなど、重合多硫化物又は硫黄オレフィンアダクト、及び可溶性重合硫黄が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は、不溶性硫黄、又は可溶性及び不溶性の高分子量硫黄の混合物である。硬化に用いられる好適な加硫剤及びその他の組成物(例えば、加硫阻害剤、スコーチ防止剤)の一般的な開示として、Kirk−Othmer、「Encyclopedia of Chemical Terchnology」第3版、Wiley Intersceience、N.Y.、1982年、第20巻、365〜468ページ、とりわけ、390〜402ページのVulcanization Agents and Auxiliary Materialsを参照でき、参照によって本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。一般的に、加硫剤は、1〜7.5phr、1〜5phr、及び好ましくは1〜3.5phrを含む0.1〜10phrの範囲の分量で使用される。
【0054】
加硫促進剤は、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫物の特性を向上させるために使用される。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態の特定の実施形態による、ゴムコーティング中での使用に好適な加硫促進剤の例としては、チアゾール加硫促進剤、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)(MBTS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾール−スルフェンアミド(TBBS)など、グアニジン加硫促進剤、例えば、ジフェニルグアニジン(DPG)など、チウラム加硫促進剤、カルバメート加硫促進剤などが挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、使用される加硫促進剤の分量は、0.1〜10phr、好ましくは0.5〜5phrの範囲である。
【0055】
加硫活性化剤は、加硫を補助するために使用される添加剤である。一般的に、加硫活性化剤は、無機成分及び有機成分の両方を含む。酸化亜鉛は、最も広く使用されている無機加硫活性化剤である。ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及びこれらのそれぞれの亜鉛塩を含む様々な有機加硫活性化剤が、一般的に使用されている。一般的に、使用される加硫活性化剤の分量は、0.1〜6phr、好ましくは0.5〜4phrの範囲である。
【0056】
加硫阻害剤は、加硫プロセスを制御するため、そして一般的には、所望の時間及び/又は温度に達するまで加硫を遅らせるか又は阻害するために使用される。一般的な加硫阻害剤としては、Santogard製のPVI(シクロヘキシルチオフタルミド)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、加硫阻害剤の分量は、0.1〜3phr、好ましくは0.5〜2phrである。
【0057】
混合
第1〜第4の実施形態によるゴムコーティングは、概ね、成分を当該技術分野において既知の方法、例えば、これらの成分をバンバリーミキサー又はロール機で混練するなど、共に混合することによって調整され得る。調整は、概ね、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階と、最終生産用混合段階と、を含む。特定の実施形態では、非生産段階は再粉砕段階を含む。非生産用マスターバッチ及び再粉砕段階は、当業者に既知であり、概ね、加硫剤又は加硫促進剤を添加しない混合段階であると理解されている。最終生産用混合段階も当業者に既知であり、概ね、ゴムコーティング中に加硫剤及び加硫促進剤を添加する混合段階であると理解されている。本明細書で使用するとき、用語「最終バッチ」は、生産用混合段階自体又はこの段階で存在するゴムの処方を指し、ここで加硫剤及び加硫促進剤がゴムコーティングに添加される。
【0058】
マスターバッチ混合段階は、約80℃〜約200℃(80℃〜約200℃を含む)の温度で実施され得る。別個の再粉砕段階は多くの場合、マスターバッチ段階で用いられる温度、例えば、約90℃(90℃を含む)〜約150℃(150℃を含む)の落下温度まで傾斜する温度と同様であるが、多くの場合はこれよりわずかに低い温度で実行される。この申請の目的のため、用語「マスターバッチ」は、マスターバッチ段階で存在する組成物、又は再粉砕段階で存在するときの組成物、又はその両方を意味する。硬化剤、例えば、加硫剤及び加硫促進剤が投入される最終生産的混合段階は、低い温度、例えば、約50℃〜約65℃(50℃〜65℃を含む)において開始して約100℃〜約130℃(100℃〜130℃を含む)より高くならない温度において行われることが多い。
【0059】
タイヤ及びタイヤの構成部品
上述のように、本明細書に開示される第2の実施形態による電子通信モジュールは、タイヤ(タイヤリトレッドを含む)用であるか、又はタイヤ(タイヤリトレッドを含む)中に使用するのに好適であり、タイヤ(又はタイヤリトレッド)に搭載することが可能である。本明細書に開示される第3の実施形態は、第2の実施形態の電子通信モジュールを含む(又は搭載する)タイヤ又はタイヤリトレッドを対象とする。上述のように、第1の実施形態に開示される電子通信モジュール用のゴムコーティングは、タイヤ用の電子通信モジュール用のゴムコーティングとしての使用に好適であると見なすことができ、電子通信モジュールは、第1の実施形態のゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を含む。本明細書で使用するとき、用語「搭載される」又は「〜に搭載される」は、タイヤ又はタイヤリトレッドの内部に埋め込むこと又は挿入することのみでなく、貼付剤の使用などの他の方法でタイヤ又はタイヤリトレッドと関連付けることも意味する。本開示による特定の実施形態では、タイヤ又はタイヤリトレッドに電子通信モジュールを関連付けるために使用される貼付剤は、本明細書に開示されるゴムコーティングからなる(その組成物を有する)。上述のように、本開示の第3の実施形態は、第2の実施形態の電子通信モジュールを含むタイヤ又はタイヤリトレッドを対象とする。換言すれば、第3の実施形態は、本明細書に開示される第1の実施形態によるゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を備えた電子通信モジュールが搭載されているタイヤ又はタイヤリトレッドを対象とする。本明細書に開示される第4の実施形態は、ゴムコーティングの損失正接を上昇させずにその誘電定数を上昇させる方法を対象としており、特定の実施形態では、タイヤ又はタイヤリトレッド用の電子通信モジュールのゴムコーティングに関するものとして理解され得、電子通信モジュールは、第1の実施形態のゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する無線装置を含む。
【0060】
第2〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、電子通信モジュール内の無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングは、電子通信モジュールをタイヤ又はタイヤ構成要素に搭載する前に硬化(加硫)される。かかる実施形態によると、硬化されたゴムコーティングを含む電子通信モジュールは、未硬化のタイヤ又はタイヤ構成要素に挿入、埋め込み、ないしは別の方法で搭載され得る。タイヤリトレッドの場合、硬化ゴムコーティングを含む電子通信モジュールは、新規のトレッドを硬化する前、新規のトレッドを再使用タイヤのケーシングに適用する前、又はその両方の前に挿入、埋め込み、ないしは別の方法で搭載され得ることを理解されたい。これらの実施形態によると、タイヤ、タイヤリトレッド、又は新規のリトレッドを有するタイヤはその後、中に搭載された電子通信モジュールを用いて硬化される。
【0061】
あるいは、電子通信モジュール内の無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングが、タイヤ又はタイヤ構成要素への搭載前に硬化される場合、電子通信モジュールは、貼付剤、好適な接着剤、又はタイヤの動作状態に耐えることのできるセメントを使用して、タイヤ又はタイヤ構成要素の硬化ゴムコーティングに付着され得る。同様に上述のとおり、特定の実施形態では、貼付剤自体が、無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングを含む。特定の実施形態では、電子通信モジュールは、本明細書に参照として組み込まれる米国特許第5,971,046号で論じられている様式で、タイヤ又はタイヤ構成要素に付着され得る。
【0062】
更に、電子通信モジュール内の無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングは、電子通信モジュールのゴムコーティング(組成物)を硬化する前に、タイヤ又はタイヤリトレッドに搭載され得る。かかる実施形態では、未硬化ゴムコーティング(すなわち、無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲む)を含む電子通信モジュールは、タイヤ又はタイヤトレッドの所望の場所に搭載される。第1〜第4の実施形態による電子モジュールの未硬化ゴムコーティングは、その後、タイヤ又はタイヤトレッドと共に同時に硬化される。
【0063】
概ね、本明細書に開示されるゴムコーティングをタイヤ又はタイヤリトレッド中で利用するとき、これらの組成物は、標準的ゴムシェイピング、成形、及び硬化技術などの、一般的なタイヤ製造技術によって、タイヤ又はタイヤリトレッドに搭載される。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、電子通信モジュールを、タイヤリトレッド又はタイヤの種々の構成要素内部(例えば、トレッド、側壁、ベルトスキム、又はカーカス)へ組み込んでよい。一定の実施形態では、本明細書に開示されるようなタイヤが、米国特許第5,866,171号、同第5,876,527号、同第5,931,211号、及び同第5,971,046号に記述されるように生産されることができ、これらの米国特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0064】
電子通信モジュール
上述のように、本明細書に開示される第2及び第3の実施形態と、第4の実施形態のうちの特定の実施形態と、によると、電子通信モジュールの無線装置は、ゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有する。本明細書に開示される第2〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、電子通信モジュールの無線装置はアンテナを有し、アンテナの外側表面の大部分が、ゴムコーティングによって取り囲まれている。本明細書に開示される第2〜第4の実施形態のうちの更に他の実施形態では、電子通信デバイスのアンテナの外面が、ゴムコーティングによって完全に取り囲まれている。本明細書に開示される第2〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングによって取り囲まれている、電子通信モジュールの無線装置の外側表面の部分は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、及び100%を含む。かかる実施形態では、前述のものは、10〜50%、10〜60%、10〜70%、10〜80%、10〜90%、10〜95%、10〜100%、20〜50%、20〜60%、20〜70%、20〜80%、20〜90%、20〜95%、20〜100%、30〜50%、30〜60%、30〜70%、30〜80%、30〜90%、30〜95%、30〜100%、40〜50%、40〜60%、40〜70%、40〜80%、40〜90%、40〜95%、40〜100%、50〜60%、50〜70%、50〜80%、50〜90%、50〜95%、50〜100%、60〜70%、60〜80%、60〜90%、60〜95%、60〜100%、70〜80%、70〜90%、70〜95%、70〜100%、80〜90%、80〜95%、80〜100%、90〜95%、90〜100%、及び95〜100%の範囲を含む。本明細書に開示される第2〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、電子通信モジュールの無線装置は、ゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を大部分有する。本明細書で使用するとき、語句「大部分」は、50%超を指し、100%までを包含することを理解されたい。したがって、第2〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、無線装置の外側表面の51〜100%、51〜99%、51〜95%、51〜90%、51〜80%、51〜70%、51〜60%、60〜100%、60〜99%、60〜90%、60〜80%、60〜70%、70〜100%、70〜99%、70〜95%、70〜90%、70〜80%、80〜100%、80〜99%、80〜95%、80〜90%、90〜100%、90〜99%、又は90〜95%が、ゴムコーティングによって取り囲まれている。第2〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、電子通信モジュールのゴムコーティングは、無線装置の外側表面と直接接触する。第1〜第4の実施形態のうちの他の実施形態では、1つ又は2つ以上のコーティング、フィルム、又は他の材料は、無線装置の外側表面とゴムコーティングとの間に配設された中間層を形成し得る。かかる中間層は、例えば、無線装置の外側表面とゴムコーティングとの接着を向上させるためのサイジング又はプライマーとして使用され得る。かかる中間層の選択及び適用は、当業者によって決定され得る。
【0065】
無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲むゴムコーティングは、様々な方法を使用して無線装置に定置され得る。特定の実施形態では、ゴムコーティングは、ゴムシート又は層として無線装置に定置される。より具体的には、かかる実施形態では、ゴムコーティングはカレンダー加工されるか、ないしは別の方法で均一の厚さ(上述のように、例えば、4mm以下又は約1mm〜約4mmなど)を有するゴムの未硬化シートへ形成される。無線装置は、無線装置の下面の一部がゴムシートに接触する状態で、ゴムシートの上面に定置される。第2のゴムシート(概ね、第1のシートと同じ厚さを有する)は、無線装置の上面にわたって定置されるので、無線装置の外側表面の少なくとも一部は、2つのゴム層によって被覆される。次いで、2つのゴム層は、無線装置を実質的に間に捕捉した状態で、第2のゴム層への第1のゴム層の接着を促進するように押し固められる。2つのゴム層の接着は、デュアルローラー組立体を使用して、構成要素を押し固め、閉じ込められた空気を排出することによる、層を縫合する(縫合ローラーを使用するなど)ことによる、手動による指圧による、膨張可能な気泡体の使用による、圧縮成形付属品の使用による、又は2つのゴム層の接着の助力に好適な任意の他の手段によるなど、様々な手段によって助力されてよい。本明細書の他の箇所で論じるように、無線装置が、ゴムコーティングによって取り囲まれている外側表面を少なくとも一部有していると、それは電子通信モジュールと呼ばれる。
【0066】
無線装置
本明細書に開示される第2及び第3の実施形態によると、電子通信モジュールは無線装置を含む。加えて、本明細書に開示される第1及び第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、ゴムコーティングは、無線装置を含む電子通信装置に好適であるか又はそれに利用され、ゴムコーティングは、無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲む。無線装置は、情報(すなわち、データ)を格納する、情報を伝達する、又は別の装置を使用して情報の格納及び伝達の両方を行うことができる、当該技術分野において周知の任意の好適な無線装置を含む。第1〜第4のうちの特定の実施形態では、本明細書に開示される無線装置は、情報を伝達することができる。無線装置による情報の伝達は、無線信号の受信と、無線装置のアンテナインピーダンスを変更することによって調節した信号を使用して、受信した無線信号の一部を読み取り器に転送する(反射による)ことと、の組み合わせを含む。概ね、外部のリモートトランスポンダー(例えば、ライタータイプ又はリーダータイプのトランスポンダー)によって送信されるエネルギー(例えば、電磁波)によるアクティブ化に反応して中継することにより、情報を伝達するこのような無線装置は、受動的装置と見なされる。一定の実施形態では、本明細書に開示される無線デバイスが、情報を能動的に伝送することができる。かかる無線デバイスは、情報を能動的に伝送することができるので、能動デバイスである。特定のかかる能動的装置は、外部のリモートトランスポンダーによる何らかのアクティブ化を必要とすることなく送信し(例えば、定期的間隔で)、他のかかる能動的装置は、外部のリモートトランスポンダーから受信した適切なアクティブ化に反応して情報を能動的に送信する。本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、無線装置は、現地の規制に従って許容可能な範囲の周波数を有する電磁波を経て情報を伝達又は送信する。例えば、米国では、この周波数が、一般に、約900MHz〜約930Mhz(900MHz〜930Mhzを含む)の範囲にあり(現在認可されている範囲は、36dbmを超えない電力レベルにおいて902〜928MHzである)、欧州及びアジアの一部では、約860MHz(860Mzを含む)といったいくらか低い周波数にあり得る(欧州の一部において現在認可されている範囲は、33dBmを超えない電力レベルにおいて865.6〜867.6MHzである)。概ね、本明細書で論じる無線装置は、約860MHz〜約960MHz(860MHz〜960MHzを含む)の範囲の周波数で情報を伝達又は送信するように設計されることになる。ただし、本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、本明細書で論じる無線装置は、別の周波数範囲で情報を伝達又は送信するように設計されてもよい。本明細書に開示される電子通信モジュールで使用するのに好適な無線装置の例は、トランスポンダー(例えば、情報を受信し、少なくともその一部を中継する装置)、送信機、受信機、及び反射機を含む。概ね、無線装置は、外部のリモート通信装置へ/から情報を伝達又は送信するように構成されており、第1〜第4の実施形態における電子通信モジュールの無線装置の機能性によって、それ自体が、無線装置が通信するトランスポンダー、送信機、受信機、又は反射機であってもよい(例えば、リモート通信装置が送信機である場合、電子通信モジュールの無線装置は、送信機から送信される電磁波と相互作用することができる、トランスポンダー、受信機、又は反射機である)。本明細書で使用するとき、用語「無線装置」は、トランスポンダー、送信機、受信機、又は反射機、例えば、回路基板、メモリ、アンテナ等として動作するために必要な、任意及び全ての構成要素を含む。
【0067】
本明細書に開示される第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態で有益な無線装置のタイプは、無線識別又は追跡装置を含み、これらの装置は、タイヤに関連付けられた製造活動、流通活動、販売活動、及び使用活動のうちの1つ又は2つ以上で使用され得るような、タイヤに関連付けられた固有な識別子情報を含み得る。使用活動の特定の例は、再生時に追加され得るような、タイヤの使用時に追加される情報を含む。かかる識別又は追跡装置の特定の例は、無線周波数識別装置であり、より一般的には「RFID」装置と呼ばれる。第1〜第4の実施形態のうちの特定の実施形態によると、無線装置はRFID装置である。無線装置の他の例は、動作するタイヤに関連付けられた温度、圧力、若しくは他の物理的パラメーターを測定及び/又は格納することが可能な無線モニタリング装置を含む。好適な無線装置の他の例は、識別及びモニタリングの両方の機能性を持つ無線装置を含む。
【0068】
損失正接を上昇させずに誘電定数を上昇させる方法
上述のように、本明細書に開示される第4の実施形態は、ゴムコーティングの損失正接を上昇させずにその誘電定数を上昇させるための方法を対象とし、損失正接を上昇させない誘電定数の上昇は、少なくとも1つのナノサイズの無機材料が不足しているが、代わりに対応量のシリカ充填材を有するゴムコーティングの誘電定数と比較したものであり得る。この方法は、結果として生じるゴムコーティングが硬化されると、少なくとも4.5の誘電定数及び0.01未満の損失正接を有するように、少なくとも1つのジエン系エラストマー100phrに、少なくとも9の誘電定数及び0.1未満の損失正接を有する少なくとも1つのナノサイズの無機材料を組み込むことを含み、この方法の特定の副実施形態では、少なくとも1つのナノサイズの無機材料は、上述のような誘電定数及び損失正接を有する。第4の実施形態に関する少なくとも1つのナノサイズの無機材料並びに少なくとも1つのジエン系エラストマーを考慮した量及び詳細については、上述のとおりである。第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、この方法は、無線装置に使用されるゴムコーティングを対象とする方法として理解され得、このゴムコーティングの使用(例えば、ゴムコーティングが無線装置の外側表面の少なくとも一部を取り囲む)により、電子通信モジュールが、例えば、タイヤ若しくはタイヤリトレッドでの使用に好適になる、及び/又はタイヤ若しくはタイヤリトレッドに搭載される。
【0069】
第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングの誘電定数は、少なくとも1つのナノサイズの無機材料が不足しているが、代わりに対応量のシリカ充填材を有するゴムコーティングの誘電定数と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%以上上昇する。第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングの誘電定数は、最大100%(又はそれ以上)、最大90%、最大80%、最大70%、最大60%、最大50%、最大40%、最大30%、又は最大25%上昇する。第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、ゴムコーティングの誘電定数は、前述の量及び損失正接の低下のいずれかによって上昇し、かかる実施形態によると、損失正接の低下は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%以下であり得る。前述の上昇及び低下は、少なくとも1つのナノサイズの無機材料が不足しているが、代わりに対応量のシリカ充填材を有するゴムコーティングの誘電定数と比較したものである。損失正接を上昇させないゴムコーティングの誘電定数の上昇は、無線装置の外側表面の少なくとも一部がゴムコーティングによって取り囲まれている、アンテナ付きの無線装置を含む、電子通信モジュール用のアンテナ長さを減少させることを可能にし得る。アンテナを短くすると、電子通信モジュールの全体的な寸法を縮小することができ、それによってより容易なタイヤ又はタイヤリトレッドへの搭載が可能になる。本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、並びに第2及び第3の実施形態のうちの特定の実施形態では、アンテナ長さ(すなわち、無線装置の外側表面の少なくとも一部がゴムコーティングによって取り囲まれている、アンテナ付きの無線装置を含む、電気通信モジュールのアンテナ)は、150mm以下、140mm以下、130mm以下、120mm以下、110mm以下、100mm以下、90mm以下、80mm以下、70mm以下、60mm以下、又は50mm以下である。本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の実施形態では、並びに第2及び第3の実施形態のうちの特定の実施形態では、アンテナ長さ(すなわち、無線装置の外側表面の少なくとも一部がゴムコーティングによって取り囲まれている、アンテナ付きの無線装置を含む、電気通信モジュールのアンテナ)は、約15mm〜約150mm、15mm〜150mm、約20mm〜約150mm、20mm〜150mm、25mm〜約150mm、25mm〜150mm、約30mm〜約150mm、30mm〜150mm、約35mm〜約150mm、35mm〜150mm、約40mm〜約150mm、40mm〜150mm、約45mm〜約150mm、45mm〜150mm、約50mm〜約150mm、50mm〜150mm、約15mm〜約140mm、15mm〜140mm、約20mm〜約140mm、20mm〜140mm、約25mm〜約140mm、25mm〜140mm、約30mm〜約140mm、30mm〜140mm、約35mm〜約140mm、35mm〜140mm、約40mm〜約140mm、40mm〜140mm、約45mm〜約140mm、45mm〜140mm、約50mm〜約140mm、50mm〜140mm、約15mm〜約130mm、15mm〜130mm、約20mm〜約130mm、20mm〜130mm、約25mm〜約130mm、25mm〜130mm、約30mm〜約130mm、30mm〜130mm、約35mm〜約130mm、35mm〜130mm、約40mm〜約130mm、40mm〜130mm、約45mm〜約130mm、45mm〜130mm、約50mm〜約130mm、50mm〜130mm、約15mm〜約120mm、15mm〜120mm、約20mm〜約120mm、20mm〜120mm、約25mm〜約120mm、25mm〜120mm、約30mm〜約120mm、30mm〜120mm、約35mm〜約120mm、35mm〜120mm、約40mm〜約120mm、40mm〜120mm、約45mm〜約120mm、45mm〜120mm、約50mm〜約120mm、50mm〜120mm、約15mm〜約110mm、15mm〜110mm、約20mm〜約110mm、20mm〜110mm、約25mm〜約110mm、25mm〜110mm、約30mm〜約110mm、30mm〜110mm、約35mm〜約110mm、35mm〜110mm、約40mm〜約110mm、40mm〜110mm、約45mm〜約110mm、45mm〜110mm、約50mm〜約110mm、50mm〜110mm、約15mm〜約100mm、15mm〜100mm、約20mm〜約100mm、20mm〜100mm、約25mm〜約100mm、25mm〜100mm、約30mm〜約100mm、30mm〜100mm、約35mm〜約100mm、35mm〜100mm、約40mm〜約100mm、40mm〜100mm、約45mm〜約100mm、45mm〜100mm、約50mm〜約100mm、50mm〜100mmの長さを有する。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本開示の特定の及び代表的な実施形態、並びに/又は実施形態の特徴を例示するものである。実施例は、単に説明の目的で提供されており、本開示を限定するものとして解釈すべきでない。本開示の実施形態の趣旨及び範囲を逸脱することなく、これらの特定の実施例に対する多くの変更が可能である。より具体的には、以下の実施例で利用されたジエン系エラストマー、非補強カーボンブラック、及びその他成分(例えば、硬化パッケージ成分)は、発明を実施するための形態中の開示に一致するようなその他の又は付加的な成分が代わりに利用できるため、限定するものと解釈されてはならない。換言すれば、以下の実施例における特定のナノサイズの無機材料及びその量は、発明を実施するための形態のより一般的な内容に適用するように理解されるべきである。同様に、70phrの天然ゴム、30phrのポリブタジエン、5phrのナフテン系油、及びその他の成分(例えば、硬化パッケージ成分、フェノール樹脂)の使用は、本明細書に開示されるゴムコーティング用のゴム組成物中にこれらの成分が存在することが必要であるものとして、いかなる形でも解釈されてはならない。
【0071】
実施例1及び2のゴム組成物は、表2に示される混合手順を用いて、表1に示される処方に従って調製した。表1の全成分は、phr単位で記載されている。実施例1は、50phrのナノサイズの二酸化チタンではなく、50phrの補強シリカ充填材を含む制御組成物である。実施例2で使用された二酸化チタンは、Sigma−Aldrichから得た(また、レーザー粒径解析によって判別されたとおり、25nm未満の粒径を有するものとして記述されている)。ゴム組成物は、170℃で15分間硬化した。約2mmの厚さにカレンダー加工し、次いで硬化した後、それぞれのゴム組成物の30mm×30mm×2mmの試料を採取した。915MHzでの誘電定数は、Agilent Technologies製のRF Impedance/Material Analyzer(誘電性物質テスト備品16453A付きのモデルE4991A)を使用して、硬化ゴムの試料ごとに測定した。この分析器は、ASTM法D110に従って誘電率を測定するための平行板法を利用する(E4991A RF Impedance/Material Analyzerを使用した誘電率の測定に関する操作マニュアル、データシート、及びその他の関連情報は、Agilentブランドの電子測定器具を現在販売しているKeysight Technologiesで、器具と共に、及びオンライン(www.keysight.com)でも入手できる)。誘電定数値を以下の表1に報告する。本開示に従ったゴムコーティングの誘電定数(すなわち、相対誘電率)は、一般にASTM D110に従って平行板法を使用して行われる測定が好ましくはあるが、異なる機器を使用して測定することができると理解すべきである。
【0072】
【表1】
【0073】
表1のデータから分かるように、制御の実施例1で使用した50phrの補強シリカ充填材の代わりに、実施例2で50phrのナノサイズの二酸化チタンを使用したことにより、誘電定数が20%あまり上昇した。誘電定数の上昇は損失正接を上昇させずに達成し、損失正接は代わりに約45%低下した。上述のように、損失正接を上昇させずにゴムコーティングの誘電定数を上昇させることは、無線装置の外側表面の少なくとも一部がゴムコーティングによって取り囲まれている、アンテナ付きの無線装置を含む、電子通信モジュール用のアンテナ長さを減少させることを可能にし得る。
【0074】
【表2】
【0075】
「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「含む(comprising)」という用語が請求項で移行句として用いられる際の解釈と同様に包括的であることが意図される。更に、用語「又は」が用いられる範囲において(例えば、A又はB)、それは「A若しくはB、又は両方」を意味することが意図される。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、「A又はBの両方ではなく一方のみ」という用語が用いられるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包含的である。Bryan A.Garner、A Dictionary of Modern Legel Usage 624(2d.Ed.1995)を参照。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を更に意味することが意図される。更に、用語「接続する(connect)」が本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、「と直接接続する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0076】
本出願はその実施形態の記述によって説明され、実施形態は相当に詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形でも限定することは、出願人の本意ではない。更なる利点及び改良が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広域な態様における本出願は、説明される特定の詳細及び実施形態に限定されない。このため、このような詳細からの逸脱が、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、なされ得る。
【0077】
本出願は、実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、精密な範囲限界が明細書内に言葉通りに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の本明細書での使用に関して、当業者は、状況及び/又は用途に適切となるように、複数から単数へ、及び/又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数/複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述される場合がある。