【文献】
ZHANG; ARTEAGA; CASHION; ET AL,A HIGHLY SELECTIVE AND SPECIFIC PET TRACER FOR IMAGING OF TAU PATHOLOGIES,JOURNAL OF ALZHEIMER'S DISEASE,NL,IOS PRESS,2012年,VOL:31, NR:3,PAGE(S):601 - 612,URL,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22683529
【文献】
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2014年,24,pp.254-257
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ヒト脳組織を使用した[A]及び[A]−d2の結合特性のオートラジオグラフィーによる評価。
【
図2-1】マウス及びヒトの肝ミクロソームを使用した[
18F][A]−d2及び[
18F][A]の代謝安定性のインビトロでの評価。[
18F]フッ化物の形成(2A及び2B)を5分後、15分後、及び45分後に測定した。
【
図2-2】マウス及びヒトの肝ミクロソームを使用した[
18F][A]−d2及び[
18F][A]の代謝安定性のインビトロでの評価。残留している親化合物の量(2C及び2D)を5分後、15分後、及び45分後に測定した。
【
図3】放射標識されていない[A]及び[A]−d2を用いて行なわれたヒト及びマウスの肝ミクロソームアッセイは、ヒト肝ミクロソームの存在下において[A]−d2のより高い安定性及び両方の化合物のより緩徐な代謝を示した。
【
図4-1】以下の実施例6のマウスにおける前臨床PETイメージング。
【
図4-2】以下の実施例6のマウスにおける前臨床PETイメージング。
【
図4-3】以下の実施例6のマウスにおける前臨床PETイメージング。
【
図5】精製された[
18F][A]−d2のラジオ−HPLCクロマトグラム。
【
図6】精製された[
18F][A]のラジオ−HPLCクロマトグラム。
【
図7-1】ヒト、アカゲザル、又はマウスの肝ミクロソームを使用した[
18F][A]−d2及び[
18F][A](n=3)の代謝安定性のインビトロでの評価。[
18F]フッ化物の形成(7A〜7B)を5分後、15分後及び45分後に測定した。
【
図7-2】ヒト、アカゲザル、又はマウスの肝ミクロソームを使用した[
18F][A]−d2及び[
18F][A](n=3)の代謝安定性のインビトロでの評価。[
18F]フッ化物の形成(7C)及び残留している親化合物の量(7D)を5分後、15分後及び45分後に測定した。
【
図7-3】ヒト、アカゲザル、又はマウスの肝ミクロソームを使用した[
18F][A]−d2及び[
18F][A](n=3)の代謝安定性のインビトロでの評価。残留している親化合物の量(7E〜7F)を5分後、15分後及び45分後に測定した。
【
図8A】[
18F][A]−d2、[
18F][A]又は
18F T807(370MBq(10mCi))を、麻酔したアカゲザルにボーラス静脈内注射し、ダイナミックPETデータを240分間にわたり取得した。標準化取り込み値([放射能]/(注射用量/体重))を、再構成されたPETデータから示された構造において測定した。データを同じ動物から収集したが、各プローブについて異なる日に収集した。[
18F][A]−d2、は、遊離フッ化物の頭蓋骨による取り込みの減少によって反映される増加した安定性を示した。
【
図8B】[
18F][A]−d2、[
18F][A]又は
18F T807(370MBq(10mCi))を、麻酔したアカゲザルにボーラス静脈内注射し、ダイナミックPETデータを240分間にわたり取得した。標準化取り込み値([放射能]/(注射用量/体重))を、再構成されたPETデータから示された構造において測定した。データを同じ動物から収集したが、各プローブについて異なる日に収集した。[
18F][A]−d2、は、遊離フッ化物の頭蓋骨による取り込みの減少によって反映される増加した安定性を示した。
【
図9】3人の被験者における側頭葉への[
18F][A]−d2の標準化取り込み値の比(SUVR)対平均フレーム時間:2人の健康な対照(HC)及び1人のアルツハイマー病と疑われる患者(AD)。
【
図10】トレーサーの投与後90〜120分間隔での平均的な[
18F][A]−d2 SUVR(参照としての小脳灰白質)。被験者1〜2、健康な対照(HC)。被験者3、ADと疑われる患者。
【0022】
詳細な説明
化合物及び定義
定義及び用語は以下においてより詳細に記載されている。化学元素は、元素の周期表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って同定される。
【0023】
特記されない限り、化合物は、所与の構造のエナンチオマー形、ジアステレオマー形、及び幾何(又は立体配座)異性体形を含む。例えば、各々の不斉中心についてのR及びSの立体配置、Z及びEの二重結合異性体、Z及びEの立体配座異性体、単一の立体化学異性体、並びに、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体(又は立体配座異性体)混合物が含まれる。特記されない限り、本明細書に示された構造の全ての互変異性形が含まれる。さらに、特記されない限り、本明細書に示された構造は、1つ以上の同位体の濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素又はトリチウムによる1つ以上の水素、
13C又は
14C炭素による炭素、
15N窒素による窒素、
33S、
34S、又は
36S硫黄による硫黄、あるいは
17O又は
18O酸素による酸素の独立的な置換又は濃縮が含まれている化合物。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、又は治療剤として有用である。
【0024】
特定のエナンチオマーが記載されている場合、特定の実施態様では、対応するエナンチオマーを実質的に含まずに提供され得、これはまた「光学的に濃縮されている」と称され得る。本明細書において使用される「光学的に濃縮されている」は、エナンチオマー混合物が、有意により高い比率の一方のエナンチオマーからなり、エナンチオマー過剰(ee%)によって記載され得る。特定の実施態様では、エナンチオマー混合物は、少なくとも90重量%の所与のエナンチオマーからなる(約90%ee)。他の実施態様では、エナンチオマー混合物は、少なくとも約95重量%、98重量%、又は99重量%の所与のエナンチオマーからなる(約95%、98%、又は98%ee)。エナンチオマー及びジアステレオマーは、一方の立体異性体が他方よりも溶解度が高い溶媒からの再結晶、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、キラル塩の形成及び結晶化(これをその後、上記のいずれかの方法によって分離する)をはじめとする、当業者には公知の任意の方法によってラセミ混合物から単離され得るか、又は、不斉合成によって調製され、場合によりさらに濃縮される。例えば、Jacques et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981); Wilen, et al., Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962); Wilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268(E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)を参照されたい。
【0025】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素又は水素以外の原子から独立して選択された任意の原子、例えば1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素(窒素、硫黄、リン、又はケイ素の任意の酸化形;及び任意の窒素の四級化形を含む)を意味する。
【0026】
本明細書において使用される「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フッ素(フッ化、−F)、塩素(塩化、−Cl)、臭素(臭化、−Br)、及びヨウ素(ヨウ化、−I)から選択された原子を指す。
【0027】
「オキソ」という用語は=O又は(=O)
2を指す。
【0028】
本明細書において使用される「不飽和」という用語は、部分が1つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0029】
単独で又はより大きな部分の一部として使用される「カルボシクリル」という用語は、3〜20個の炭素原子を有する飽和環系、部分的に不飽和な環系、又は芳香族環系を指す。1つの実施態様では、カルボシクリルは、3〜12個の炭素原子(C
3〜C
12)を含む。別の実施態様では、カルボシクリルは、C
3〜C
8、C
3〜C
10、又はC
5〜C
10を含む。他の実施態様では、カルボシクリルは、単環として、C
3〜C
8、C
3〜C
6、又はC
5〜C
6を含む。別の実施態様では、カルボシクリルは、二環として、C
7〜C
12を含む。別の実施態様では、カルボシクリルは、スピロ系として、C
5〜C
12を含む。単環式カルボシクリルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、ペルジュウテリオシクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、フェニル、及びシクロドデシルが挙げられ;7〜12個の環原子を有する二環式カルボシクリルとしては、[4,3]、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]環系、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ナフタレニル、及びビシクロ[3.2.2]ノナニルが挙げられ;スピロカルボシクリルとしては、スピロ[2.2]ペンタニル、スピロ[2.3]ヘキサニル、スピロ[2.4]ヘプタニル、スピロ[2.5]オクタニル、及びスピロ[4.5]デカニルが挙げられる。カルボシクリルという用語は、本明細書において定義されているようなアリール環系を含む。カルボシクリルという用語はまた、シクロアルキル環(例えば飽和又は部分飽和したモノ−、ジ−、又はスピロ―カルボシクリル)を含む。
【0030】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、飽和した直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を指す。1つの実施態様では、アルキル基は、1〜18個の炭素原子(C
1〜C
18)である。他の実施態様では、アルキル基は、C
0〜C
6、C
0〜C
5、C
0〜C
3、C
1〜C
12、C
1〜C
10、C
1〜C
8、C
1〜C
6、C
1〜C
5、C
1〜C
4、又はC
1〜C
3である。C
0アルキルは結合を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me、−CH
3)、エチル(Et、−CH
2CH
3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH
2CH
2CH
3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH
3)
2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH
3)CH
2CH
3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH
3)
3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3−メチル−1−ブチル(−CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2−メチル−1−ブチル(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1−ヘキシル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ヘキシル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3−ヘキシル(−CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH
3)C(CH
3)
3)、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、及びドデシルが挙げられる。
【0031】
本明細書において使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間二重結合を有する、直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示す。アルケニルは、「シス」及び「トランス」の配向、又は代替的には「E」及び「Z」の配向を有する基を含む。1つの例では、アルケニル基は、2〜18個の炭素原子(C
2〜C
18)である。他の例では、アルケニル基は、C
2〜C
12、C
2〜C
10、C
2〜C
8、C
2〜C
6、又はC
2〜C
3である。例としては、エテニル又はビニル(−CH=CH
2)、プロパ−1−エニル(−CH=CHCH
3)、プロパ−2−エニル(−CH
2CH=CH
2)、2−メチルプロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、ブタ−1,3−ジエニル、2−メチルブタ−1,3−ジエン、ヘキサ−1−エニル、ヘキサ−2−エニル、ヘキサ−3−エニル、ヘキサ−4−エニル、及びヘキサ−1,3−ジエニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
本明細書において使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間三重結合を有する、直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を指す。1つの例では、アルキニル基は、2〜18個の炭素原子(C
2〜C
18)である。他の例では、アルキニル基は、C
2〜C
12、C
2〜C
10、C
2〜C
8、C
2〜C
6、又はC
2〜C
3である。例としては、エチニル(−C≡CH)、プロパ−1−イニル(−C≡CCH
3)、プロパ−2−イニル(プロパルギル、−CH
2CH≡CH)、ブタ−1−イニル、ブタ−2−イニル、及びブタ−3−イニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0033】
「アルコキシ」という用語は、式−ORによって示される直鎖又は分岐の一価の基を指し、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル、又はカルボシクリルである。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、及びシクロプロポキシが挙げられる。
【0034】
本明細書において使用される「ハロアルキル」という用語は、1つ以上(例えば1、2、3、又は4個)のハロ基で置換されている本明細書において定義されているようなアルキルを指す。
【0035】
単独で又は「アリールアルキル」、「アリールアルコキシ」又は「アリールオキシアルキル」のようにより大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、縮合環を含む、単環式、二環式、又は三環式の炭素環系を指し、該系における少なくとも1つの環は芳香族である。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と同義語として使用され得る。1つの実施態様では、アリールは、6〜18個の炭素原子を有する基を含む。別の実施態様では、アリールは、6〜10個の炭素原子を有する基を含む。アリール基の例としては、本明細書に記載の1つ以上の置換基によって置換又は独立的に置換されていてもよい、フェニル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、1H−インデニル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニルなどが挙げられる。特定のアリールはフェニルである。別の実施態様では、アリールは、インダニル、フタリミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル、又はテトラヒドロナフチルなどの、1つ以上の炭素環に縮合しているアリール環を含み、結合基又は結合点は芳香族環上である。
【0036】
単独で又はより大きな部分、例えば「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアリールアルコキシ」の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、5〜14個の環原子を有する単環式、二環式、又は三環式の環系を指し、少なくとも1つの環は芳香族であり、少なくとも1つのヘテロ原子を含有している。1つの実施態様では、ヘテロアリールは、4〜6員環の単環式の芳香族基を含み、ここで、1つ以上の環原子は、場合により独立して置換されている窒素、硫黄、又は酸素である。別の実施態様では、ヘテロアリールは、5〜6員環の単環式の芳香族基を含み、ここで、1つ以上の環原子は、場合により独立して置換されている窒素、硫黄、又は酸素である。別の実施態様では、ヘテロアリールは、二環式又は三環式の芳香族基を含み、ここで1つ以上の環原子(例えば1、2、3、4、5、6、7、又は8個)は、場合により独立して置換されている窒素、硫黄、又は酸素である。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル、イミダゾール[1,2−a]ピリミジニル、プリニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、1,3−チアゾール−2−イル、1,3,4−トリアゾール−5−イル、1,3−オキサゾール−2−イル、1,3,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−5−イル、1H−テトラゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−5−イル、及びピリド−2−イルN−オキシドが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語はまた、ヘテロアリールが1つ以上のアリール、カルボシクリル、又はヘテロシクリル環に縮合している基を含み、ここで、結合基又は結合点は、ヘテロアリール環上である。非制限的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンイルが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式、二環式、又は三環式であり得る。
【0037】
本明細書において使用される「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書において定義されているような「カルボシクリル」を指し、ここで、1つ以上(例えば1、2、3、又は4個)の炭素原子はヘテロ原子(例えばO、N又はS)で置換されている。いくつかの実施態様では、ヘテロシクリルは、飽和環系、例えば3〜12員環の飽和ヘテロシクリル環系を指す。いくつかの実施態様では、ヘテロシクリルは、ヘテロアリール環系、例えば5〜14員環のヘテロアリール環系を指す。ヘテロシクリルは、本明細書において定義されているようなものから独立して選択された1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。1つの実施態様では、ヘテロシクリルは、5〜6員環の単環式基を含み、ここで、1つ以上の環原子は、場合により独立して置換されている窒素、硫黄、又は酸素(例えば1、2、3又は4個)である。別の実施態様では、ヘテロシクリルは、二環式又は三環式基を含み、ここで、1つ以上の環原子(例えば1、2、3、4、5、6、7又は8個)は、場合により独立して置換されている窒素、硫黄、又は酸素である。
【0038】
1つの例では、ヘテロシクリルは3〜12環原子を含み、かつ単環系、二環系、三環系、及びスピロ環系を含み、ここで、環原子は炭素であり、1〜5個の環原子は、場合により1つ以上の基によって独立して置換されている窒素、硫黄、又は酸素から選択されたヘテロ原子である。1つの例では、ヘテロシクリルは、1〜4個のヘテロ原子を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄、又は酸素から選択された1つ以上のヘテロ原子を有する3〜7員環の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄、又は酸素から選択された1つ以上のヘテロ原子を有する4〜6員環の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは3員環の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、4員環の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、5〜6員環の単環を含む。1つの例では、ヘテロシクリル基は、0〜3個の二重結合を含む。任意の窒素又は硫黄ヘテロ原子が場合により酸化されていてもよく(例えばNO、SO、SO
2)、任意の窒素ヘテロ原子が場合により四級化されていてもよい(例えば[NR
4]
+Cl
−、[NR
4]
+OH
−)。ヘテロシクリルの例としては、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2−ジチエタニル、1,3−ジチエタニル、ピロリジニル、ジヒドロ−1H−ピロリル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ヘキサヒドロチオピラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、オキサジナニル、チアジナニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、オキサゼパニル、ジアゼパニル、1,4−ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、チアゼパニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1−ジオキソイソチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、イミダゾリジノニル、4,5,6,7−テトラヒドロ[2H]インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イミダゾリル、1,6−ジヒドロイミダゾール[4,5−d]ピローロ[2,3−b]ピリジニル、チアジニル、オキサジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、1−ピロリニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、チアピラニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピリミジノニル、ピリミジノジオニル、ピリミジン−2,4−ジオニル、ピペラジノニル、ピペラジンジオニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、2−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、8−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザスピロ[3.5]ノナニル、アザスピロ[2.5]オクタニル、アザスピロ[4.5]デカニル、1−アザスピロ[4.5]デカン−2−オンイル(only)、アザスピロ[5.5]ウンデカニル、テトラヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、テトラヒドロイソインドリル、テトラヒドロインダゾリル、及び1,1−ジオキソヘキサヒドロチオピラニルが挙げられる。硫黄原子又は酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有している5員環ヘテロシクリルの例は、チアゾリル、例えば、チアゾール−2−イル及びチアゾール−2−イルN−オキシド、チアジアゾリル、例えば1,3,4−チアジアゾール−5−イル及び1,2,4−チアジアゾール−5−イル、オキサゾリル、例えばオキサゾール−2−イル、及びオキサジアゾリル、例えば1,3,4−オキサジアゾール−5−イル、及び1,2,4−オキサジアゾール−5−イルである。2〜4個の窒素原子を含有している5員環ヘテロシクリルの例としては、イミダゾリル、例えばイミダゾール−2−イル;トリアゾリル、例えば1,3,4−トリアゾール−5−イル;1,2,3−トリアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、及びテトラゾリル、例えば1H−テトラゾール−5−イルが挙げられる。ベンゾ縮合5員環ヘテロシクリルの例は、ベンゾキサゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、及びベンゾイミダゾール−2−イルである。6員環ヘテロシクリルの例は、1〜3個の窒素原子、及び場合により硫黄原子又は酸素原子を含有し、例えばピリジル、例えばピリド−2−イル、ピリド−3−イル、及びピリド−4−イル;ピリミジル、例えばピリミド−2−イル及びピリミド−4−イル;トリアジニル、例えば1,3,4−トリアジン−2−イル及び1,3,5−トリアジン−4−イル;ピリダジニル、特にピリダジン−3−イル、及びピラジニルである。ピリジンN−オキシド及びピリダジンN−オキシド及びピリジル、ピリミド−2−イル、ピリミド−4−イル、ピリダジニル及び1,3,4−トリアジン−2−イル基は他のヘテロシクリル基の例である。
【0039】
本明細書において使用される「部分的に不飽和」という用語は、環原子間に少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む環部分を指すが、環部分は芳香族ではない。
【0040】
「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。本明細書の化合物又は例が特定の塩として示される場合、対応する遊離塩基並びに対応する遊離塩基の他の塩(対応する遊離塩基の薬学的に許容される塩を含む)が考えられることを理解されたい。
【0041】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的効力及び特性を保持し、かつ生物学的に又は別の点でも望ましく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸を用いて形成された塩を指し、有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香環を含む脂肪族、ヘテロ環、カルボン酸、及びスルホン酸クラスの有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などから選択され得る。
【0042】
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、無機塩基から得られたもの、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩などを含む。特に塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩である。薬学的に許容される有機無毒性塩基から得られた塩としては、一級、二級、及び三級アミンの塩、置換アミン、例えば天然に存在する置換アミン、環式アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン(piperizine)、ピペリジン(piperidine)、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などが挙げられる。特定の有機無毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0043】
「互変異性体」又は「互変異性形」という用語は、低いエネルギー障壁を介して相互に変換可能である様々なエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、プロトンの移動を介した相互変換、例えば、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性体化を含む。原子価互変異性体は、結合している電子のいくつかの再構成による相互変換を含む。
【0044】
化学名と構造が示されているので、矛盾がある場合には、構造の方が優先される。
【0045】
本出願全体を通して、「約」という用語は、数値が、数値を決定するために使用された装置及び/又は方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。
【0046】
本明細書において使用される「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、特記されない限り1つ以上を意味する。本明細書において使用される「別の」は、少なくとも第二の又はそれ以上を意味する。
【0047】
イメージング用同位体及びイメージング
核医学における診断技術は、体内からガンマ線を放出する放射性トレーサーを使用する。これらのトレーサーは一般的に、特定の生理学的プロセスを精査することを可能とする化合物に連結された短寿命の同位体である。それらは、注射、吸入、又は経口によって投与され得る。最初のタイプでは、多くの異なる角度から臓器を見ることのできるガンマカメラによって1つの光子が検出される。カメラは放射線が放出された点から画像を構築する;この画像はコンピューターによって増強され、異常な症状の兆候についてモニター上で医師によって検分される。
【0048】
ポジトロン断層撮影(PET)は、サイクロトロンで生じた同位体を使用した正確で洗練された技術である。ポジトロン放出放射性核種は、通常注射によって導入され、標的組織に蓄積する。それが崩壊するにつれてそれは陽電子を放出し、これは近くの電子と迅速に結合して、その結果、逆方向の2つの同定可能なガンマ線が同時に放出される。これらはPETカメラによって検出され、その発生源が非常に正確に示される。PETの最も重要な臨床的役割は、トレーサーとしてフッ素−18を用いての腫瘍学においてである。なぜなら、大半の癌を検出し評価する最も正確で非侵襲的な方法であることが判明したからである。それはまた心臓及び脳のイメージングにも良好に使用される。
【0049】
多くの医学的診断手順、例えばPET及びSPECTは、放射標識された化合物を使用し、これは当技術分野において周知である。PET及びSPECTは非常に感度の高い技術であり、トレーサーと呼ばれる放射標識された化合物を少量必要とする。標識化合物はインビボにおいて対応する放射標識されていない化合物と同じような様式で輸送され、蓄積され、変換される。トレーサー又はプローブを、PETイメージングに有用な放射性核種、例えば
11C、
13N、
15O、
18F、
64Cu、及び
124I、又はSPECTイメージングに有用な放射性核種、例えば
99Tc、
77Br、
61Cu、
153Gd、
123I、
125I、
131I、及び
32Pを用いて放射標識することができる。その用語が本明細書において使用される場合、これらは「イメージング用同位体」の例である。
【0050】
PETは、患者の組織において陽電子放出同位体を有する分子イメージング用トレーサーの分布に基づいた画像を作成する。PET法は、調べられた組織又は臓器において細胞レベルで機能障害を検出する能力を有する。PETは、例えば腫瘍及び転移のイメージングのためなどの臨床腫瘍学において使用され、特定の脳疾患の診断並びに脳及び心臓の機能の位置づけのために使用される。同様に、SPECTは、真の3次元表示が助けになり得るあらゆるガンマイメージング研究、例えば腫瘍、感染(白血球)、甲状腺、又は骨のイメージングを補完するために使用することができる。
【0051】
別の実施態様によると、本発明はまた、アミロイド沈着物及びNTFのイメージング法に関する。本発明の化合物をイメージング剤として使用する場合、それらを、1つ以上の適切なイメージング用同位体(例えば放射性同位体、放射標識、又は放射性標識)、例えば放射性ハロゲン、例えば
18F、及び/又は1つ以上の放射性金属を用いて標識する。
【0052】
放射性ハロゲンに関して、
125I同位体は実験室での検査のためには有用であるが、それらは一般的に、
125Iの相対的に長い半減期(60日間)及び低いガンマ放出(30〜65keV)のために診断目的には有用ではない。同位体
123Iは、13時間の半減期及び159keVのガンマエネルギーを有し、それ故、診断目的のために使用されるリガンドの標識は、この同位体を用いるか又は
18F(2時間の半減期)を用いることが典型的である。使用され得る他のイメージング用同位体としては、
131I、
77Br、及び
76Brが挙げられる。
【0053】
別の実施態様では、本発明の化合物は、放射標識として放射性炭素同位体を含有している。これは、その原子についてのバックグラウンドレベルを上回る比活性を有する、1つ以上の放射性炭素原子、好ましくは
11Cを含む化合物を指す。天然の元素は様々な同位体の形態で存在し、そのいくつかは放射性であることは周知である。天然元素の放射能は、これらの同位体の天然の分布又は存在比の結果であり、これはバックグラウンドレベルと一般的に称される。本発明の炭素の標識された化合物は、天然の存在比よりも高く、それ故、バックグラウンドレベルを上回る比活性を有する。本発明の炭素の標識された組成物は、追跡、イメージング、放射線療法などのために使用され得る。
【0054】
当業者は、イメージングの目的のために標識された化合物を検出するための様々な方法を熟知している。例えば、ポジトロン放出断層撮影(PET)又は単一光子放射断層撮影(SPECT)を使用して放射標識された化合物を検出することができる。化合物に導入された標識は、所望の検出法に依存し得る。当業者は、陽電子放出原子、例えば
18FのPETによる検出を熟知している。本発明はまた、
18F原子が、放射標識されていないフッ素原子で置換されている本明細書に記載の特定の化合物にも関する。当業者は、光子放出原子、例えば
123I又は
99mTcなどのSPECTによる検出も熟知している。
【0055】
放射性診断剤又は検出剤は、信頼性のある診断及び検出を確実にし得る、十分な放射能及び放射能濃度を有するべきである。所望の放射能レベルは、化合物を調製するための本明細書に提供された方法によって達成することができる。アミロイド沈着物及びNTFのイメージングはまた、アミロイド沈着物及びNTFの量を決定することができるように定量的に行なわれ得る。
【0056】
典型的には、脳のインビボイメージング剤のための必要条件は、インタクトな血液脳関門を横断できることである。イメージング法の第一工程において、標識された化合物を検出可能な量で組織又は患者に導入する。化合物は、典型的には医薬組成物の一部であり、当業者には周知である方法によって組織又は患者に投与される。典型的には、投与は静脈内である。
【0057】
本発明の他の実施態様では、標識化合物を検出可能な量で患者に導入し、該化合物がアミロイド沈着物及び/又はタウタンパク質と結合するようになるのに十分な時間が経過した後に、標識化合物を非侵襲的に検出する。本発明の別の実施態様では、標識化合物を患者に導入し、該化合物がアミロイド沈着物と結合するようになるのに十分な時間をとり、その後、患者から組織試料を取り出し、組織内の標識化合物を患者から離れて検出する。本発明の別の実施態様では、組織試料を患者から取り出し、標識化合物を組織試料に導入する。該化合物がアミロイド沈着物及び/又はタウタンパク質と結合するようになる十分な時間の後に、該化合物を検出する。
【0058】
検出可能な量は、選択された検出法によって検出されるに必要である標識化合物の量である。検出するために患者に導入される標識化合物の量は、当業者によって容易に決定され得る。例えば、漸増量の標識化合物を、選択された検出法によって該化合物が検出されるまで患者に投与することができる。標識を該化合物に導入して、該化合物を検出する。
【0059】
必要な時間は、患者に検出可能な量の標識化合物を導入し、次いで、投与後の様々な時点で標識化合物を検出することによって容易に決定され得る。
【0060】
患者への標識化合物の投与は、全身投与経路又は局所投与経路によるものであり得る。例えば、標識化合物は、それが全身に送達されるように患者に投与され得る。あるいは、標識化合物は、関心対象の特定の臓器又は組織に投与されてもよい。例えば、患者のアルツハイマー病の進行を診断又は追跡するために、脳のアミロイド沈着物に配置しそして定量することが望ましい。
【0061】
式(I)又は式(V)の化合物中の1つ以上の原子(例えば水素原子又は炭素原子)をイメージング用同位体で置換することによって、1つ以上のイメージング用同位体を式(I)の化合物に取り込むことができる。イメージング用同位体の取り込みは、公知の技術を使用して行なうことができる。例えば、技術は、例えばMedicinal Chemistry Approaches to Personalized Medicine (Lackey, Roth Eds), Chapter 12(Wiley-VCH, ISBN 978-3-527-33394-3)に概説されているような適切な前駆体の求核性又は求電子性
18Fフッ素化に基づき得る。また、米国特許出願第2011/0182812号(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)も参照されたい。
【0062】
重水素化
「重水素化」という用語は、化合物の1つ以上の位置においてその天然の存在率を上回る重水素が濃縮されていることを意味する。特定の位置、例えば炭素原子が重水素化されている場合、その位置における重水素の存在率は、0.015%である重水素の天然の存在率よりも実質的により高いと理解される。重水素化された位置は典型的には、少なくとも3000という最小限の同位体濃縮係数を有する(45%の重水素の取り込み)。
【0063】
本明細書において使用される「同位体濃縮係数」という用語は、同位体の存在比と、特定の同位体の天然の存在比との間の比を意味する。特定の実施態様では、化合物は、所与の重水素化原子において少なくとも3500(52.5%の重水素の取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素の取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素の取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素の取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素の取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素の取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素の取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素の取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素の取り込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素の取り込み)の同位体濃縮係数を有する。いくつかの実施態様では、100%の重水素取り込みが達成される。
【0064】
重水素化化合物は、1つ以上の重水素原子を含有していると理解されたい。例えば、重水素化化合物は、ただ1つの重水素を含有してもよい。いくつかの実施態様では、重水素化化合物は、ただ2つの重水素を含有している。いくつかの実施態様では、重水素化化合物は、ただ3つの重水素を含有している。いくつかの実施態様では、重水素化化合物は、4つの重水素を含有している。いくつかの実施態様では、重水素化化合物は、1、2、3若しくは4個の重水素、又はその中から導かれる任意の範囲を含有している。
【0065】
重水素は、様々な公知の試薬及び合成技術を使用して式(I)の化合物に取り込まれ得る。例えば、重水素は、LiAlD
4を使用して式(I)の化合物に取り込まれ得る。それはまた、例えば還元、接触水素化、又は重水素化物、D
2及びD
2Oなどの適切な重水素化試薬を使用した同位体の交換を通して、式(I)の化合物に取り込まれ得る。
【0066】
例示的な数値
特定の実施態様では、前記化合物は、式(I)の化合物又はその塩である。
【0067】
特定の実施態様では、R
1は6員環ヘテロアリール環である。
【0068】
特定の実施態様では、R
1は:
【化2】
(式中、
X
1、X
2、X
3、及びX
4は各々独立してCH又はNであり;
R
1は、1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0069】
特定の実施態様では、R
1はフェニル、ピリジル、又はピリミジルである。
【0070】
特定の実施態様では、R
1は9員環又は10員環二環式ヘテロアリール環である。
【0071】
特定の実施態様では、R
1は、1つ以上の窒素を含む9員環又は10員環二環式ヘテロアリール環である。
【0072】
特定の実施態様では、R
1は、2つ以上の窒素を含む9員環又は10員環二環式ヘテロアリール環である。
【0073】
特定の実施態様では、R
1は、1つ以上の窒素及び1つ以上の酸素を含む、9員環又は10員環二環式ヘテロアリール環である。
【0074】
特定の実施態様では、R
1は:
【化3】
(式中、
X
5、X
6、X
7、及びX
8は各々独立してCH又はNであり;
X
9はCH
2、NH、O、又はSであり;
Y
1はCH又はNであり;
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0075】
特定の実施態様では、R
1は:
【化4】
(式中、
X
5、X
6、X
7、及びX
8は各々独立してCH又はNであり;
X
9はCH
2、NH、O、又はSであり;
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0076】
特定の実施態様では、R
1は:
【化5】
(式中、
X
8はCH又はNであり;X
9はCH
2、NH、O、又はSであり;R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0077】
特定の実施態様では、X
9はCH
2である。
【0078】
特定の実施態様では、X
9はOである。
【0079】
特定の実施態様では、X
9はSである。
【0080】
特定の実施態様では、R
1は:
【化6】
(式中、
X
20〜X
27は、各々独立してCH又はNであり;
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0081】
特定の実施態様では、R
1は:
【化7】
(式中、
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0082】
特定の実施態様では、R
1は1つ以上の窒素を含む12〜13員環三環式ヘテロシクリルである。
【0083】
特定の実施態様では、R
1は2つ以上の窒素を含む12〜13員環三環式ヘテロシクリルである。
【0084】
特定の実施態様では、R
1は3つ以上の窒素を含む12〜13員環三環式ヘテロシクリルである。
【0085】
特定の実施態様では、R
1は:
【化8】
(式中、
X
10〜X
17の各々は独立してCH又はNであり;
X
18はCH
2、NH、O、又はSであり;
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0086】
特定の実施態様では、R
1は:
【化9】
(式中、
X
10〜X
17の各々は独立してCH又はNであり;
X
18はCH又はNであり;
X
19はCH又はNであり;
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0087】
特定の実施態様では、R
1は:
【化10】
(式中、
X
14〜X
17の各々は独立してCH又はNであり;
X
18はCH又はNであり;
X
19はCH又はNであり;
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0088】
特定の実施態様では、R
1は:
【化11】
であり、1つ以上のR
a基で場合により置換されている。
【0089】
特定の実施態様では、R
1は:
【化12】
であり、1つ以上のR
a基で場合により置換されている。
【0090】
特定の実施態様では、R
1は:
【化13】
(式中、
X
30〜X
37の各々は独立してCH又はNであり;
X
18はCH
2、NH、O又はSであり;
R
1は1つ以上のR
a基で場合により置換されている)
である。
【0091】
特定の実施態様では、Aは存在しない。
【0092】
特定の実施態様では、Aはエチニルである。
【0093】
特定の実施態様では、R
2は、1つ以上のR
b基で場合により置換されている6員環カルボシクリルである。
【0094】
特定の実施態様では、R
2は、シクロヘキシル又はフェニルであり、そのシクロヘキシル及びフェニルは、1つ以上のR
b基で場合により置換されている。
【0095】
特定の実施態様では、R
2は、ピロリル、チオフェニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、又はピリダジニルであり、このR
2は、1つ以上のR
b基で場合により置換されている。
【0096】
特定の実施態様では、前記化合物は、式(V)の化合物又はその塩である。
【0097】
特定の実施態様では、前記化合物は、式(Va):
【化14】
で示される化合物又はその塩であり、ここで、式(Va)の化合物は1つ以上のR
a基で置換されている。
【0098】
特定の実施態様では、前記化合物はイメージング用同位体を含む。
【0099】
特定の実施態様では、イメージング用同位体は
18Fである。
【0100】
特定の実施態様では、前記化合物は、式(Ia):
【化15】
(式中、
R
2は、6員環カルボシクリル又は5員環若しくは6員環ヘテロシクリルであり、そのカルボシクリル及びヘテロシクリルは1つ以上のR
a基で場合により置換され;
各R
bは、独立して、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、ヘテロシクリル、−F、−Cl、−Br、−I、−NO
2、−N(R
w)
2、−CN、−C(O)−N(R
w)
2、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、及び−C(O)−O−R
wから選択され、ここで、任意のC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、及びヘテロシクリルは、オキソ、ハロ、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、−C(O)−O−R
w、−C(O)−N(R
w)
2、及び−N(R
w)−C(O)−R
wから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換されている)
を有する化合物又はその塩である。
【0101】
特定の実施態様では、前記化合物は式(Ia):
【化16】
(式中、
R
2は、ピペリジニル又は3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニルであり、そのピペリジニル及び3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニルは、1つ以上のR
b基で場合により置換され;各R
bは、独立して、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、ヘテロシクリル、−F、−Cl、−Br、−I、−NO
2、−N(R
w)
2、−CN、−C(O)−N(R
w)
2、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、及び−C(O)−O−R
wから選択され、ここで、任意のC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、及びヘテロシクリルは、オキソ、ハロ、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、−C(O)−O−R
w、−C(O)−N(R
w)
2、及び−N(R
w)−C(O)−R
wから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換されている)
を有する化合物又はその塩である。
【0102】
特定の実施態様では、前記化合物は式(Ib):
【化17】
(式中、
R
bは重水素化され、そしてC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、ヘテロシクリル、−N(R
w)
2、−C(O)−N(R
w)
2、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、及び−C(O)−O−R
wから選択され、ここで、任意のC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、及びヘテロシクリルは、オキソ、ハロ、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、−C(O)−O−R
w、−C(O)−N(R
w)
2、及び−N(R
w)−C(O)−R
wから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換され;そして
R
bは1つ以上のイメージング用同位体を含む)
を有する化合物又はその塩である。
【0103】
特定の実施態様では、前記化合物は式(Ic):
【化18】
(式中、
R
bは重水素化され、そしてC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、ヘテロシクリル、−N(R
w)
2、−C(O)−N(R
w)
2、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、及び−C(O)−O−R
wから選択され、ここで、任意のC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、及びヘテロシクリルは、オキソ、ハロ、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、−C(O)−O−R
w、−C(O)−N(R
w)
2、及び−N(R
w)−C(O)−R
wから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換され;そして
R
bは1つ以上のイメージング用同位体を含む)
を有する化合物又はその塩である。
【0104】
特定の実施態様では、前記化合物は式(Id):
【化19】
(式中、
R
bは重水素化され、そしてC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、ヘテロシクリル、−N(R
w)
2、−C(O)−N(R
w)
2、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、及び−C(O)−O−R
wから選択され、ここで、任意のC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、−(O−CH
2−CH
2)
m−R
d、カルボシクリル、及びヘテロシクリルは、オキソ、ハロ、−O−R
w、−O−C(O)−R
w、−C(O)−R
w、−C(O)−O−R
w、−C(O)−N(R
w)
2、及び−N(R
w)−C(O)−R
wから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換され;そして
R
bは1つ以上のイメージング用同位体を含む)
を有する化合物又はその塩である。
【0105】
特定の実施態様では、各R
aは、独立して、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、及び−O−R
vから選択され;そして、各R
vは、独立して、水素、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、カルボシクリル、及びヘテロシクリルから選択され、ここで、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、カルボシクリル、及びヘテロシクリルの各々は場合により、−OR
axから独立して選択された1つ以上の基で置換されている。
【0106】
特定の実施態様では、各R
aは、独立して、−O−R
vから選択され;そして、各R
vは、独立して、水素、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、及びカルボシクリルから選択される。
【0107】
特定の実施態様では、各R
aは、独立して、−O−CH
3から選択される。
【0108】
特定の実施態様では、各R
bは、独立して、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、及び−O−R
wから選択され、ここで、任意のC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、及びC
2〜6アルキニルは、−O−R
wから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換され;そして、各R
wは、独立して、水素、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、カルボシクリル、及びヘテロシクリルから選択され、ここで、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、カルボシクリル、及びヘテロシクリルの各々は−OR
xから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換され;少なくとも1つのR
bは重水素化され、1つ以上のイメージング用同位体を含む。
【0109】
特定の実施態様では、各R
bは、−O−R
wから独立して選択された1つ以上の基で場合により置換されているC
1〜6アルキルであり;各R
wは、独立して、C
1〜6アルキルから選択され;少なくとも1つのR
bは重水素化され、1つ以上のイメージング用同位体を含む。
【0110】
特定の実施態様では、R
bは、1つ以上のイメージング用同位体を含むC
1〜6アルキル基である。
【0111】
特定の実施態様では、R
bは、イメージング用同位体
18Fを含むC
1〜6アルキル基である。
【0112】
特定の実施態様では、前記化合物は、重水素化及びイメージング用同位体との共有結合での結合の両方がなされた炭素原子を含む。
【0113】
特定の実施態様では、R
bは、−CH
2−
*CD
2−
18Fであり、
*印の付いている炭素は重水素化されている。
【0114】
特定の実施態様では、R
bは−CH
2−
*CD
2−
18Fであり、
*印の付いている炭素は少なくとも3500の重水素同位体濃縮係数を有する。
【0115】
特定の実施態様では、R
bは−CH
2−
*CD
2−
18Fであり、
*印の付いている炭素は少なくとも6000の重水素同位体濃縮係数を有する。
【0116】
特定の実施態様では、R
bは−CH
2−CH
2−O−
*CD
2−
*CD
2−
18Fであり、
*印の付いている各炭素が重水素化されている
【0117】
特定の実施態様では、R
bは−CH
2−CH
2−O−
*CD
2−
*CD
2−
18Fであり、
*印の付いている各炭素は少なくとも3500の重水素同位体濃縮係数を有する。
【0118】
特定の実施態様では、R
bは−CH
2−CH
2−O−
*CD
2−
*CD
2−
18Fであり、
*印の付いている各炭素は少なくとも6000の重水素同位体濃縮係数を有する。
【0119】
特定の実施態様では、前記化合物は、式(Ie):
【化20】
(式中、
*印の付いている炭素は少なくとも3500の重水素同位体濃縮係数を有する)
を有する化合物である。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも4000の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも4500の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも5000の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも5500の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも6000の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも6333.3の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも6466.7の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも6600の重水素同位体濃縮係数を有する。特定の実施態様では、
*印の付いている炭素は少なくとも6633.3の重水素同位体濃縮係数を有する。いくつかの実施態様では、100%の重水素の取り込みが、式(Ie)の化合物において
*印の付いている炭素に関して達成される。
【0120】
特定の実施態様では、前記化合物は、式:
【化21】
を有する化合物又はその塩である。特定の実施態様では、前記化合物は:
【化22】
から選択された化合物及びその塩である。
【0121】
R
1は、任意の合成的に実行可能な位置を通して式(I)の化合物の残りの部分に結合することができる。例えば、R
1が以下の数値の1つを有する場合、それは任意の合成的に実行可能な位置を通して式(I)の化合物の残りの部分に結合することができる:
【化23】
【0122】
例えば、1つの実施態様では、R
1における炭素原子又は窒素原子から水素原子を除去して、式(I)の化合物の残りの部分と共有結合を形成することができる空いた原子価を提供することができる。
【0123】
適応症
本発明の化合物は、様々な状況で、例えばイメージング及び検出の状況で使用され得る。特定の実施態様では、該化合物を、神経障害を患っているか又は発症するリスクがある患者に導入する。特定の実施態様では、神経障害は、アミロイド斑及び/又はタウタンパク質凝集物及び/又はNFTの発生に関連している。
【0124】
本明細書において使用される「神経障害」は、CNSに影響する、及び/又はCNSに病因を有する疾患又は障害を指す。例示的なCNSの疾患又は障害には、非限定的に、ニューロパチー、アミロイドーシス、癌、眼疾患又は障害、ウイルス又は微生物感染、炎症、虚血、神経変性疾患、発作、行動障害、及びリソソーム蓄積症が挙げられる。本出願のために、血液網膜関門によって残りの身体から普通は隔離されている眼がCNSに含まれることを理解されたい。神経障害の具体例には、非限定的に、神経変性疾患、例えば非限定的にレビー小体病、ポリオ後症候群、シャイ・ドレイガー症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病、多系統萎縮症、線条体黒質変性症、プリオン病(非限定的に、ウシ海綿状脳症、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ症候群、クールー、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病、慢性消耗病、及び致死性家族性不眠症を含む)、球麻痺、運動ニューロン疾患、及び神経系ヘテロ変性障害(nervous system heterodegenerative disorder)(非限定的にカナバン病、ハンチントン病、神経セロイドリポフスチン症、アレキサンダー病、トゥレット症候群、メンケス縮れ毛症候群、コケイン症候群、ハラーフォルデン−シュパッツ症候群、ラフォラ病、レット症候群、肝レンズ核変性症、レッシュ−ナイハン症候群、及びウンフェルリヒト・ルントボルク症候群を含む)、認知症(非限定的にピック病、及び脊髄小脳失調症を含む)、及び癌(例えば、体内の他の場所の癌に起因する脳転移を含む、CNSの癌)が挙げられる。
【0125】
タウオパチーも「神経障害」という用語によって包含され、上記の1つ以上の症状と重なり得るタウに関連した障害又は症状を指す。タウオパチーの非限定的な例としては、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、ピック病、発作、加齢、外傷性脳損傷、及び軽度認知障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0126】
製剤及び投与
別の態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を含む。1つの実施態様では、該組成物はさらに、薬学的に許容される担体又はビヒクルを含む。特定の実施態様では、該組成物は、それを必要とする患者への投与のために製剤化される。
【0127】
本明細書において使用される「患者」又は「個体」という用語は、動物、例えば哺乳動物、例えばヒトを指す。1つの実施態様では、患者又は個体はげっ歯類(例えばマウス又はラット)、イヌ、又はヒトを指す。
【0128】
「薬学的に許容される担体又はビヒクル」という用語は、該化合物(これを用いて製剤化される)の薬理学的活性を破壊しない無毒性の担体又はビヒクルを指す。本発明の組成物に使用され得る薬学的に許容される担体又はビヒクルとしては、水、塩、及びエタノールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0129】
化合物又はその塩を含む組成物は、典型的には静脈内投与される。注射用製剤、例えば無菌注射水性又は油性懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して公知の技術に従って製剤化され得る。無菌注射製剤はまた、無毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒、例えば1,3−ブタンジオール溶液中の無菌注射溶液、懸濁液、又は乳液であり得る。使用され得る許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンガー液、及び食塩水(例えばU.S.P又は等張塩化ナトリウム溶液)がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として慣用的に使用される。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドをはじめとする、あらゆる銘柄の不揮発性油が使用され得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸が注射液の調製に使用される。
【0130】
注射製剤は、例えば、細菌保留フィルターを通してのろ過によって、又は使用前に滅菌水若しくは他の無菌注射用媒体に溶解若しくは分散させることのできる無菌固体組成物の形態で滅菌剤を取り込むことによって滅菌され得る。
【0131】
特定の実施態様では、医薬組成物を食物と一緒に又は食物を伴わずに投与し得る。特定の実施態様では、薬学的に許容される組成物は食物を伴わずに投与される。特定の実施態様では、本発明の薬学的に許容される組成物は、食物と一緒に投与される。
【0132】
任意の特定の患者に対する具体的な用量及び処置計画は、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、排泄速度、薬物併用、処置する医師の判断、及び検査する特定の疾患の重症度をはじめとする様々な因子に依存するだろう。組成物中に提供される化合物又はその塩の量はまた、組成物中の特定の化合物にも依存するだろう。
【0133】
1つの実施態様では、本発明の化合物を含む組成物は、安全な曝露を可能とするが画像を所得するのに十分である微量の質量及び放射能で静脈内に投与される。いくつかの実施態様では、用量の範囲は、被験者1人あたり5〜20mCiである。いくつかの実施態様では、用量の範囲は、被験者1人あたり約、少なくとも約、又は最大で約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25mCi若しくはそれ以上、又はその中から導かれ得る任意の範囲である。
【0134】
例証
以下の実施例に示されているように、特定の例示的な実施態様では、化合物は以下の一般的な手順に従って調製される。一般的な方法は本発明の特定の化合物の合成を示すが、以下の一般的な方法、及び当業者には公知である他の方法は、本明細書に記載されているような、全ての化合物並びにこれらの各々の化合物のサブクラス及び種に適用され得ることが理解されるだろう。
【0135】
実施例
総則。一般的な溶媒及び化学物質は、Aldrich(Milwaukee, WI)又はVWR International(Randor, PA)から、(E)−1,1,1−トリクロロ−4−エトキシブタ−3−エン−2−オンはPharmaSys(Cary, NC)から、t−ブチル4−(2−メトキシ−2−オキシエチル)ピペリジン−1−カルボキシレートはSanta Cruz Biotechnology Inc.(Santa Cruz, CA)から購入した。
18F−フッ化物は、PETNET Solutions(Palo Alto, CA)から購入し、
18Fトラップアンドリリースカラム(8 mg)はORTG, Inc.(Oakdale, TN)から購入し、HLB plus sep-pakカートリッジはWaters(Milford, MA)から購入した。ヒト脳組織試料は、Banner Sun Health Research Institute(Sun City, AZ)から入手し、凍結した固定されていない試料は、5μmの厚さの試料へと薄片化し、−80℃で保存した。NMRスペクトルを、298KでBruker Avance II 400分光計で取得した。400MHzにおいて
1Hスペクトルが記録され、化学シフトをTMSと比較してppmで報告する;376.3MHzにおいて
19Fスペクトルが記録され、化学シフトを、−76.55ppmへと標準化された外部基準としてのTFAを使用して報告する。モデル521マイクロ波ヒーター(Resonance Instruments, Skokie, IL)を放射化学反応のために使用した。以下のシステムを使用して、生成物を分析及び精製した:システムA:分析用LCMS:0.7mL/分で作動するWaters Acquity UPLC。カラム:Acquity UPLC BEH C18 1.7 μm 2.1 × 30 mm。移動相A:0.1%ギ酸を含む水、B:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル、2分間の線形勾配5〜95%B。システムはAcquity PDA及びAcquity SQ検出器を備えていた。システムB:分取用HPLC:70mL/分で作動するWaters 2545ポンプ。カラムPhenomenex Gemini-NX 10μ C18 110A AX 100 × 30.00 mm。移動相A1:0.1%ギ酸を含む水、A2:0.1%NH
4OHを含む水、B:アセトニトリル。線形勾配A1又はA2からBに10分間で。システムD:半分取用HPLC:4mL/分で作動するAgilent 1290。カラム:Phenomenex Luna 5μ C18 100A、250 × 10 mm。移動相A:0.1%ギ酸を含む水、B:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル。システムE:0.5mL/分で作動するHPLC:ポンプ:Agilent 1290からなる分析用LCMSシステム。カラム:Phenomenex Kinetex 2.6 μ C18 100A、50 × 2.1 mm。移動相A:0.1%ギ酸を含む水、B:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル。線形勾配:5〜95%のBで3分間、次いで95%Bで1分間。LCシステムは、UV及び放射能(PMT)検出器を備え、HRMS Agilent 6220 Accurate-Mass TOF LC/MS質量分析計(Santa Clara, CA)に連結されている。
【0136】
オートラジオグラフィーデータを、フジフィルムイメージングBAS−SR2025(神奈川、日本)プレートを使用してTyphoon FLA 9500(GE Healthcare Bio-Sciences, Uppsala, Sweden)ホスフォイメージャーで収集した。ヒト及びマウスの肝ミクロソームを、BD Gentest(Bedford, MA)から入手した。C57BL/6マウスはHarlan Laboratories(Livermore, CA)から購入した。動物の管理は、国際実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)によって公認された、ジェネンテックの動物実験委員会によって承認されたプロトコールに従った。
【0137】
実施例1 1,1−ジジュウテロ−2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−1−[
18F]フルオロエタン([
18F][A]−d2)の合成
【化24】
【0138】
トラップアンドリリースカートリッジで捕捉された
18F−フッ化物を、アセトニトリル(500μL)及び水(350μL)中にTBHCO
3(150μL、0.075M)を含有している溶液を使用して溶出した。溶媒を、穏やかな窒素の気流及び120℃までのマイクロ波での加熱を使用して蒸発させ、その後、アセトニトリル(4×0.5mL)を使用して残留水を共沸除去した。前駆体6(2mg)をアセトニトリル 0.5mLに溶解し、
18Fフッ化物を含有しているバイアルに加え、120℃まで50Wで350秒間マイクロ波ヒーターを使用して加熱した。反応混合物を約100μLまで濃縮し、半分取用HPLC(システムD)への注入用に水(2mL)で希釈した。生成物を15%Bで10分間かけて溶出し、その後、20%Bで10〜15分間溶出した。生成物を含有している画分を水で希釈して容量を2倍とし、生成物をエタノール(10mL)及び水(10mL)を用いて予め調整されたHLB plus sep−pakカートリッジを使用して単離し、エタノール(3mL)で溶出した。エタノールを蒸発乾固し、生成物[
18F][A]−d2を製剤化した。放射化学純度をLCMS(システムE)によって評価した。
【0139】
[
18F][A]−d2の同一性を、完全に特徴付けられた非標識標準物質[A]−d2を用いての共溶出によって確認した(システムE、保持時間1.5分間)。[
18F][A]−d2の放射化学純度は99%(
図5)であり、比活性は70,000〜110,000Ci/mmolであった。中間体化合物6は以下のように調製された。
【0140】
a.2−(トリクロロメチル)ベンゾ[4,5]イミダゾール[1,2−a]ピリミジン(1)
2−アミノ−ベンゾイミダゾール(5.0g、37.6mmol)をトルエン(150mL)に懸濁し、トリエチルアミン(5.3mL、37.6mmol)を加えた。(E)−1,1,1−トリクロロ−4−エトキシブタ−3−エン−2−オンを室温で加えた。得られた混合物を120℃まで30分間かけて加熱した。溶媒を蒸発させると、黄色の固体10g(93%)として粗生成物が得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):286.1、C
11H
7C
13N
3(M+H)
+についての計算値(m/z):285.96。
1HNMR DMSO−d6 δ9.77(d、1H)、8.41(d、1H)、7.95(d、1H)、7.75(d、1H)、7.62(dd、1H)、7.53(dd、1H)。
【0141】
b.2−ヒドロキシベンゾ[4,5]イミダゾール[1,2−a]ピリミジン(2)
NaOH(49mL、1N)を、アセトニトリル(150mL)に懸濁した化合物1(10g、38mmol)に加えた。混合物を90℃まで2時間加熱した。混合物を冷却し、元の容量の約半分になるまで濃縮した。混合物を0℃まで冷却し、pHを1N HClを使用して7〜8に調整した。沈降物を収集し、乾燥させると、粗化合物2(6.1g、87%)が得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):186.1、C
10H
8N
3O(M+H)
+についての計算値(m/z):186.1。
1HNMR DMSO−d6 δ12.60(bs、1H)、8.77(d、1H)、7.89(d、1H)、7.51(d、1H)、7.31(dd、1H)、7.23(dd、1H)、6.10(d、1H)。
【0142】
c.2−ブロモベンゾ[4,5]イミダゾール[1,2−a]ピリミジン(3)
POBr
3(30g、106mmol)を1,2−ジクロロエタン(100mL)及びDMF(1mL)中の化合物2(6.1g、33mmol)の懸濁液に少しずつ加え、次いで混合物を100℃まで1時間加熱した。反応混合物を濃縮し、氷冷水(100mL)に注ぎ、pHを濃NH
4OHを用いて8まで調整した。沈降物を収集し、氷水で洗浄し、真空で乾燥させると、褐色オレンジ色の固体として化合物3(7.3g、89%)が得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):248.1、C
10H
7BrN
3(M+H)
+についての計算値:(m/z)247.97。
1HNMR DMSO−d6 δ9.03(d、1H)、8.05(d、1H)、7.60(d、1H)、7.44(dd、1H)、7.37(dd、1H)、6.42(d、1H)。
【0143】
e.1,1−ジジュウテロ−2−(ピペリジン−4−イル)エタノール(4)
tert−ブチル4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.5g、2mmol)をTHF(3mL)に溶解し、室温で撹拌したLiAlD
4(0.25g、6mmol)のTHF(3mL)懸濁液に20分間かけて滴下して加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、過剰のLiAlD
4を水を使用して分解した。沈降物をろ過によって除去し、THFで洗浄した。有機抽出物を濃縮し;油性残渣を98%トリフルオロ酢酸に溶解し、室温で30分間撹拌した。トリフルオロ酢酸を減圧下で除去し;油性残渣をトルエンでトリチュレートし、真空で乾燥させた。粗化合物4がトリフルオロ酢酸塩(500mg、100%)として得られ、さらに精製することなく使用した。LCMS(システムA) 実測値(m/z):132.06、C
7H
14D
2NO(M+H)
+についての計算値(m/z):132.13。
1HNMR DMSO−d6 δ3.40〜3.25(m、2H)、2.92〜2.82(m、2H)、1.92〜1.78(m、2H)、1.63(m、2H)、1.25〜1.37(m、3H)、8.64〜8.30(bd、2H)、9.12(bs、1H)。
【0144】
f.1,1−ジジュウテロ−2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)エタノール(5)
DMF(10mL)中の化合物4(0.5g、2mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.4mL、8mmol)、及び5(0.5g、2mmol)の混合物を95℃まで2時間加熱した。反応混合物を冷却し、氷水(100mL)に注ぎ、得られた沈降物を収集し、真空で乾燥させた。有意な量の生成物を含有している母液を減圧下で蒸発乾固し、生成物をHPLCで精製した(システムB、A2及び5〜50%B)。全体で412mg(70%)の化合物5が得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):299.3、C
17H
19D
2N
4O(M+H)
+についての計算値:(m/z)299.18。
1HNMR DMSO−d6 δ8.93(d、1H)、7.93(d、1H)、7.50(dd、1H)、7.31(dd、1H)、7.14(dd、1H)、6.87(d、1H)、4.56(m、2H)、4.33(s、1H)、3.00(m、2H)、1.81〜1.75(m、3H)、1.39(d、2H)、1.19〜1.09(m、2H)。
【0145】
g.1,1−ジジュウテロ−2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−1−ブロモエタン(6)
PBr
3(1M、0.4mL)のジクロロメタン溶液を化合物5の冷却された(0℃)ジクロロメタン懸濁液にゆっくりと加えた。冷却浴を10分後に取り外し、反応混合物を室温まで加温させ、3時間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、さらなるPBr
3溶液(0.4mL)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、その後、数滴の水でクエンチし、真空で濃縮した。粗生成物をHPLC(システムB、A2及び20〜60%B)で精製すると、化合物6(20mg、17%)が白色固体として得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):361.15、C
17H
18D
2BrN
4(M+H)
+についての計算値(m/z):361.09。
1HNMR DMSO−d6 δ8.94(d、1H)、7.94(d、1H)、7.50(d、1H)、7.29(dd、1H)、7.15(dd、1H)、6.88(d、1H)、4.48(m、2H)、3.04(m、2H)、1.95(m、1H)、1.83(m、4H)、1.19(m、2H)。
【0146】
実施例2 1,1−ジジュウテロ−2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−1−フルオロエタン([A]−d2)の合成
【化25】
ジエチルアミノサルファートリフルオリド(0.17mL、1.25mmol)を、化合物5(75mg、0.25mmol)の冷却された(−78℃)ジクロロメタン(2mL)溶液に加えた。反応混合物を室温まで加温させ、1時間撹拌した。その後、反応混合物を−78℃まで冷却し、さらなる量のジエチルアミノサルファートリフルオリド(0.17mL、1.25mmol)を加えた。反応混合物を室温まで加温し、飽和NaHCO
3水溶液を用いてクエンチした。混合物を濃縮し、DMSOに再溶解し、HPLC(システムB、A2及び5〜50%B)で精製すると、化合物[A]−d2が白色固体(16mg、21%)として得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):301.3、C
17H
18D
2FN
4(M+H)
+についての計算値(m/z):301.17。
1HNMR DMSO−d6 δ8.94(d、1H)、7.94(d、1H)、7.50(d、1H)、7.29(dd、1H)、7.14(dd、1H)、6.88(d、1H)、4.57(m、2H)、3.01(m、2H)、1.84〜1.76(m、3H)、1.58〜1.66(dd、2H)、1.15〜1.24(m、2H);
19F NMR DMSO−d6 δ−219.1。
【0147】
実施例3 2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン-2−イル)ピペリジン−4−イル)−1−フルオロエタン([A])の合成
【化26】
ジエチルアミノサルファートリフルオリド(0.225mL、1.7mmol)を、化合物9(100mg、0.34mmol)の冷却された(−78℃)ジクロロメタン(2mL)溶液に加えた。反応混合物を室温まで加温し、NaHCO
3の飽和水溶液を用いてクエンチした。混合物を濃縮し、DMSOに再溶解し、HPLC(システムB、A1及び5〜50%B)で精製すると、化合物[A]が白色固体(20mg、20%)として得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):299.5、C
17H
20FN
4(M+H)
+についての計算値(m/z):299.16。
1HNMR DMSO−d6 δ8.94(d、1H)、7.94(d、1H)、7.50(d、1H)、7.28(dd、1H)、7.14(dd、1H)、6.88(d、1H)、4.62、4.46(dt、2H)、4.60(bm、2H)、3.01(m、2H)、1.84(m、3H)、1.5〜1.7(m、2H)、1.05〜1.3(m、2H);
19F NMR DMSO−d6 δ−217.9。
【0148】
実施例4 2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)−1−[
18F]フルオロエタン([
18F][A])の合成
【化27】
トラップアンドリリースカートリッジで捕捉された
18F−フッ化物を、アセトニトリル(500μL)及び水(350μL)中にTBHCO
3(150μL、0.075M)を含有している溶液を使用して溶出した。溶媒を、穏やかな窒素の気流及び120℃までのマイクロ波での加熱を使用して蒸発させ、その後、アセトニトリル(4×0.5mL)を使用して残留水を共沸除去した。化合物9(2mg)をアセトニトリル 0.5mLに溶解し、
18F−フッ化物を含有しているバイアルに加え、120℃まで50Wのマイクロ波のヒーターを使用して350秒間加熱した。反応混合物を約100μLまで濃縮し、半分取HPLC(システムD)への注入のために水(2mL)で希釈した。生成物を15%Bで10分間かけて溶出し、その後、20%Bで10〜15分間溶出した。生成物を含有している画分を水で希釈して容量を2倍とし、生成物をエタノール(10mL)及び水(10mL)を用いて予め調整されたHLB plus sep−pakカートリッジを使用して単離し、エタノール(3mL)で溶出した。エタノールを蒸発乾固し、化合物[
18F][A]を製剤化した。放射化学純度をLCMS(システムE)によって評価した。
【0149】
[
18F][A]の同一性を、(システムE、保持時間1.5分間)を使用して完全に特徴付けられた非標識標準物質[A]との共溶出によって確認した。[A]の放射化学純度は99%(
図6)であり、比活性は70,000〜110,000Ci/mmolであった。中間体化合物9は以下のように調製された。
【0150】
a.2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)エタノール(8)
2−(ピペリジン−4−イル)エタノール(0.7g、5.4mmol)及び化合物3(1.0g、4mmol)をDMF(12mL)中で混合し、反応混合物を100℃まで30分間加熱した。懸濁液を室温まで冷却し、5%Na
2CO
3(250mL)水溶液に注いだ。沈降物を収集し、氷水で洗浄し、乾燥させると、化合物8が褐色オレンジ色の固体(0.74g、61%)として得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):297.3、C
17H
21N
4O(M+H)
+についての計算値(m/z):297.16。
1HNMR DMSO−d6 δ9.05(d、1H)、8.04(d、1H)、7.53(d、1H)、7.40(t、1H)、7.29(dd、1H)、7.09(d、1H)、4.59(m、2H)、4.37(bs、1H)、3.49(t、2H)、3.09(m、2H)、1.85〜1.82(m、3H)、1.40(dt、2H)、1.17−1.13(m、2H)。
【0151】
b.2−(1−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イル)エチルp−トルエンスルホネート(9)
p−トルエンスルホン酸無水物(0.7g、2.1mmol)のピリジン(5mL)溶液を、化合物8の冷却された(0℃)ピリジン(10mL)懸濁液に加えた。反応混合物を室温まで加温し、2時間撹拌した。別の部のp−トルエンスルホン酸無水物(0.7g、2.1mmol)を室温で加え、混合物を30分間撹拌して反応を完了させた。反応混合物を水(150mL)に注ぎ、生成物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、有機抽出物をMgSO
4で乾燥させた。粗生成物をHPLC(システムB、A1及び20〜60%B)で精製すると、p−トルエンスルホン酸塩としての化合物9(0.29g、38%)が黄色がかった固体として得られた。LCMS(システムA) 実測値(m/z):451.7、C
24H
27N
4O
3S(M+H)
+についての計算値(m/z):451.1798;HRMS(システムE) 実測値(m/z):451.1799。
1HNMR DMSO−d6 δ9.15(d、1H)、8.13(d、1H)、7.82(d、2H)、7.57(d、1H)、7.52〜7.40(m、6H)、7.26(d、1H)、7.10(d、2H)、4.50(m、2H)、4.20(t、2H)、3.11(m、2H)、2.44(s、3H)、2.28(s、3H)、1.70(m、3H)、1.6(m、2H)、1.06〜1.16(m、2H)。
【0152】
実施例5 2−((1R,5S,6s)−6−(2−フルオロエチル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−イル)−(ベンゾ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−2−イル)([
18F][B])の合成
【化28】
【0153】
化合物C−1の合成は、文献のプロトコールに基づいた。国際公開公報第2004/033451号の実施例53を参照されたい(これは参照により本明細書に組み入れられる)。
【表1】
【0154】
(1S,5R,6s)−6−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(C−1)及び(1R,5S,6s)−6−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(C−2)の合成
【化29】
【0155】
工程1:2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボン酸ベンジル(C−4)
ピロリジン(C−3)(46.9g、672mmol)をDCM(700mL)に0℃で溶解した。Cbz−Cl(95.2g、560mmol)をゆっくりと加えた。反応液を室温まで加温し、14時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルに取った。酢酸エチル溶液を0.5N HClで2回、飽和重炭酸ナトリウム溶液、及び食塩水で洗浄した。それをその後、MgSO
4で乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で除去し、残渣を、5:1PE/EAで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(46.0g、40%)が黄色の油状物として得られた。MS−ESI:[M+H]
+204.3。
【0156】
工程2:3−ベンジル6−エチル(1R,5S,6r)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3,6−ジカルボキシレート(C−5)及び3−ベンジル6−エチル(1R,5S,6s)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3,6−ジカルボキシレート(C−6)
ジアゾ酢酸エチル(93mL)のジクロロエタン(720mL)溶液を、(5時間かけて)、ジクロロエタン(360mL)中の3−ピロリン−カルボン酸ベンジル(C−4)(36.0mg)及び酢酸ロジウム(II)(1.27g)の混合物にゆっくりと加えた。混合物を80℃で5時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を1:1ヘプタン/EAにとり、中性アルミナを通してろ過した。ろ液を減圧下で蒸発させ、残渣を3:1Hep/EA(3/1から2/1)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物:C−5(18.0g、35%)及びC−6(10.0g、19%)が得られた。MS−ESI:[M+H]
+290.1。
【0157】
工程3:(1R,5S,6r)−ベンジル6−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−7)
0℃で3−ベンジル6−エチル(1R,5S,6r)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−ジカルボキシレート(C−5)(31.8g、110mmol)のTHF(110mL)溶液に、BH
3.THF複合体(THF中1M、275mL、275mmol)溶液を加えた。混合物を65℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。食塩水及びDCMを加え、相を分離した。水相を1M HCl溶液を用いてpH5まで酸性化し、DCMで2回抽出した。合わせた有機相をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣を、1:1PE/EAで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(24.0g、80%)が無色の油状物として得られた。MS−ESI:[M+H]
+248.1。
【0158】
工程4:(1R,5S,6r)−ベンジル6−ホルミル−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−8)
(1R,5S,6r)−ベンジル6−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−7)(22.2g、90mmol)のジクロロメタン(1L)溶液に、デス・マーチンペルヨージナン(76.32g、180mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、Na
2S
2O
3水溶液でクエンチした。それをその後、ジクロロメタンで2回抽出した。合わせた抽出物を食塩水及び飽和NaHCO
3溶液で洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣を5:1PE/EAで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(19.0g、80%)が無色の油状物として得られた。MS−ESI:[M+H]
+246.1。
【0159】
工程5:(1S,5R,6s)−ベンジル6−ビニル−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−9)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(34.6g、97.2mmol)のTHF(80mL)懸濁液に0℃でN
2雰囲気下で、KHMDS(THF中1.0M、97.2mL、97.2mmol)を滴下して加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、その後、−78℃まで冷却した。乾燥THF(160mL)中の(1R,5S,6r)−ベンジル6−ホルミル−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−8)(11.9g、48.6mmol)溶液をゆっくりと加えた。混合物を−10℃まで加温し、1時間撹拌した。それをその後、飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、酢酸エチルで2回抽出し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣を、EtOAc/PE(10%〜20%)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(8.0g、67%)得られた。MS−ESI:[M+H]
+244.1。
【0160】
工程6:(1S,5R,6s)−ベンジル6−(2−ヒドロキシエチル)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−10)
0℃まで冷却した、(1S,5R,6s)−ベンジル6−ビニル−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−9)(11.0g、45mmol)のTHF(120ml)溶液にBH
3.THF複合体(THF中1M、67.5mL、67.5mmol)溶液を加え、混合物を30分間撹拌した。反応液を室温まで加温し、1時間撹拌した。それをその後、0℃まで再度冷却し、3N NaOH溶液(37.5mL)で注意深く処理し、その後、H
2O
2(30%溶液、45mL)を加えた。得られた混合物を65℃まで加温し、2時間撹拌した。それをその後、室温まで冷却し、溶媒を真空で除去した。食塩水及び酢酸エチルを加え、相を分離した。水相を、1M HCl溶液を用いてpH5まで酸性化し、酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮すると、粗アルコールが得られ、これはさらに精製することなく次の工程に使用した。MS−ESI:[M+H]
+262.1。
【0161】
工程7:2−((1S,5R,6s)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−6−イル)エタノール(C−1)
(1S,5R,6s)−ベンジル6−(2−ヒドロキシエチル)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(C−10)(7.44g、28.5mmol)のMeOH(200mL)溶液に、パラジウム炭素(10%、2.23g)を加えた。フラスコを水素ガスで充填し、室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、ろ液を減圧下で濃縮すると粗標記化合物が得られ、これを質量分析を案内とした(mass-guided)逆相分取HPLCによって精製すると、標記化合物が黄色の油状物(2.7g、75%)として得られた。MS−ESI:[M+H]
+128.3。
1HNMR(500MHz、CDCl
3)δ4.30(br s、2H)、3.70〜3.67(m、2H)、3.24〜3.21(m、2H)、3.11〜3.08(m、2H)、1.53〜1.49(m、2H)、1.41〜1.39(m、2H)、0.92〜0.90(m、1H)。
【0162】
工程8:(1R,5S,6s)−6−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(C−2)
0℃で2−((1S,5R,6s)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−イル)エタノール(C−1)(1.27g、10mmol)の乾燥DMF(30mL)溶液に、イミダゾール(1.7g、25mmol)及びtert−ブチルジメチルシリルクロリド(1.95g、13mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。酢酸エチルを加え、溶液を食塩水、1M HCl溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣を200:1酢酸エチル/Et
3Nで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(1.18g、49%)が無色油状物として得られた。MS−ESI:[M+H]
+242.1。
1HNMR(500MHz、DMSO−d
6)δ3.57(t、J=8.0Hz、2H)、2.78〜2.76(m、2H)、2.62〜2.60(m、2H)、1.38〜1.35(m、2H)、1.11〜1.09(m、2H)、0.86(s、9H)、0.61〜0.59(m、1H)、0.02 (s、6H)。
【0163】
2−((1S,5R,6r)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−イル)エタノール(D−1)の合成
【化30】
【0164】
工程1:(1R,5S,6s)−ベンジル6−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ
3.1.0ヘキサン−3−カルボキシレート(D−2)
0℃の(1R,5S,sr)−3−ベンジル6−エチル3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3,6−ジカルボキシレート(C−6)(10.0g、34.6mmol)のTHF(50mL)溶液にBH
3.THF複合体(THF中1M、70mL、70mmol)溶液を加えた。反応混合物を65℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣に食塩水及びDCMを加えた。得られた混合物の相を分離した。水相を1M HCl溶液を用いてpH5まで酸性化し、DCMで2回抽出した。合わせた有機抽出物をMgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣を1:1PE/EAで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(6.4g、75%)が無色油状物として得られた。MS−ESI:[M+H]
+248.1。
【0165】
工程2:(1R,5S,6s)−ベンジル6−ホルミル−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(D−5)
(1R,5S,6s)−ベンジル6−(ヒドロキシメチル)−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(D−2)(11.1g、45mmol)のジクロロメタン(0.5L)溶液に、デス・マーチンペルヨージナン(38.2g、90mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応液をNa
2S
2O
3水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで2回抽出した。合わせた抽出物を食塩水及び飽和NaHCO
3溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣を5:1PE/EAで溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(9.0g、76%)が無色油状物として得られた。MS−ESI:[M+H]
+246.1。
【0166】
工程3:(1S,5R,6r)−ベンジル6−ビニル−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(D−5)
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(23.1g、65mmol)のTHF(60mL)懸濁液に、0℃でN
2雰囲気下で、[KHMDS](THF中1.0M、65mL、65mmol)を滴下して加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで−78℃まで冷却した。(1R,5S,6s)−ベンジル6−ホルミル−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(D−4)(8.0g、32.4mmol)の無水THF(100mL)溶液をゆっくりと加え、混合物を−10℃まで加温し、1時間撹拌した。反応液を飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチルで2回抽出し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc/ヘキサン(10%から20%)で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(5.3g、66%)が得られた。MS−ESI:[M+H]
+244.1。
【0167】
工程4:(1S,5R,6r)−ベンジル6−(2−ヒドロキシエチル)−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(D−6)
0℃で冷却した(1S,5R,6r)−ベンジル6−ビニル−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(D−5)(5.3g、21.7mmol)のTHF(60mL)溶液に、BH
3.THF複合体(THF中1M、32.5mL、32.5mmol)溶液を加えた。混合物を30分間撹拌した。反応液を室温まで加温し、1時間撹拌した。それをその後、0℃まで再度冷却した。混合物を3N NaOH溶液(18.1mL)で注意深く処理し、その後、H
2O
2(30%溶液、22mL)を加えた。得られた混合物を65℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残渣に食塩水及び酢酸エチルを加えた。得られた混合物の相を分離した。水相を1M HCl溶液を用いてpH5まで酸性化し、酢酸エチルで2回抽出し、MgSO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮すると、粗標記化合物が得られ、これはさらに精製することなく次の工程に使用した。MS−ESI:[M+H]
+262.1。
【0168】
工程5:2−((1S,5R,6r)−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−6−イル)エタノール(D−1)
(1S,5R,6r)−ベンジル6−(2−ヒドロキシエチル)−3−アザビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(D−6)(3.72g、14.25mmol)のMeOH(100mL)溶液に、パラジウム炭素(10%、1.13g)を加えた。フラスコを水素ガスで充填し、室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物をセライトパッドを通してろ過した。ろ液を減圧下で濃縮すると、粗標記化合物が得られ、これを質量分析を案内とした(mass-guided)逆相分取HPLCによって精製すると、標記化合物が固体として得られた。MS−ESI:[M+H]
+128.3。
1HNMR(500MHz、DMSO−d
6)δ5.8〜5.0(br s、2H)、3.47〜3.43(m、2H)、3.38〜3.36(m、1H)、3.23〜3.21(m、1H)、3.00〜2.98(m、1H)、2.82〜2.79(m、1H)、1.55〜1.53(m、1H)、1.48〜1.45(m、2H)、1.28〜1.24(m、1H)、0.88〜0.79(m、1H)。
【0169】
化合物B−2、B−3、及びB−4が、以下の収率及び分析データで、上記と類似した手順を使用して合成された。
【化31】
【0170】
化合物B−2 黄色の固体、収率80〜90%。LCMS 295.25@0.82分>99%。NMR DMSO−d6 400MHz 9.06(d、1H)、8.06(d、1H)、7.54(d、1H)、7.42(t、1H)、7.31(t、1H)、6.73(d、1H)、4.47(bs、1H)、3.87(dd、2H)、3.66(m、2H)、3.48(t、2H)、1.60(m、2H)、1.43(dq、2H)、0.63(m、1H)。
【0171】
化合物B−3(非標識標準物質)白色固体、収率26%。LCMS 297.59@0.87分>99%。NMR 300MHz DMSO−d6 1H 8.95(d、1H)、7.95(d、1H)、7.50(d、1H)、7.30(dt、1H)、7.17(dt、1H)、6.54(d、1H)、4.59、4.43(dt、1H)、3.7〜4.0(m、2H)、3.5〜3.7(m、2H)、1.55〜1.8(m、4H)、0.64(m、1H)。19F−216.62。
【0172】
化合物B−4(前駆体)白色固体、収率75%。LCMS:357.26 359.25@1.03分>99%。NMR 400MHz DMSO−d4 8.94(d、1H)、7.93(d、1H)、7.50(d、1H)、7.29(dd、1H)、7.14(dd、1H)、6.51(d、1H)、3.90〜3.80(m、2H)、3.59(t、2H)、3.50〜3.70(m、2H)、1.83(dd、2H)、1.67(m、2H)、0.71(m、1H)。
【0173】
[18F][B]は、5〜10%の減衰補正された収率で上記のものと類似した標識条件下で調製され得る。
【0174】
[
18F][B]−d2の予言的合成
アミノアルコールからアミノ酸C−1への酸化
H
2IO
6(85mg)を水(1mL)及びアセトニトリル(1mL)に懸濁し、15分間激しく撹拌した。アミノアルコール(50mg)を加え、その後、クロロクロム酸ピリジニウム(5mg)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、最終生成物を単離する。
【0175】
アミノ酸2−1のBoc保護法
化合物C−1のDCM溶液に、tert−ブチルオキシカルボニル無水物(1.5等量)及びDIEA(3等量)を0℃で加えた。混合物を室温まで加温し、完全に変換されるまで撹拌する。
【0176】
メチルエステル3−1の合成
エーテル中の新しく調製されたジアゾメタン溶液(Diazaldキット)を、化合物2−2のジオキサン溶液に室温で加える。反応をモニタリングし、追加のジアゾメタン溶液を加えて、化合物2−2からメチルエステルへの変換を完了させる。
【0177】
ジジュウテロアミノアルコール4−1の合成
メチルエステル(化合物3−1)をLiAlD
4を用いて重水素化アルコールへと還元し、TFAを用いて脱保護すると、上記のような化合物4−1が得られる。残りの工程は、[
18F][A]−d2について示されたものを追随する。
【化32】
【0178】
追加の化合物の合成
本明細書に記載のものと類似した手順を使用して、以下の式(I)の化合物も調製することができる:
【化33】
【0179】
実施例6 生物学的評価
オートラジオグラフィー。トレーサー[
18F][A]又は[
18F][A]−d2を、40μCi/mLの最終濃度で、5%DMSO及び5%エタノールを含有しているPBSに溶解した。次いで、原液 0.5mlを顕微鏡スライドに、厚さ5μmの新しく乾燥させた組織切片と共に移し、室温で90分間インキュベートした。スライドを、以下の溶液に浸漬することによって洗浄した:PBSに1分間、70%エタノールに2分間、30%エタノールに2分間、PBSに1分間。試料を室温で30分間乾燥させ、ホスフォイメージャープレートに20時間曝露した。曝露されたプレートを25μmの解像度で走査した。
【0180】
マイクロPETイメージング。PETイメージングを、Inveon PET/CTスキャナ(Siemens Medical Solutions USA Inc.)で行なった。セボフルランで麻酔された動物を、頭を先頭にして腹臥位でスキャナ寝台上に置き、45分間のダイナミックスキャンを開始した。等張溶液(100〜130μL)中の約3.7MBqの
18F−放射標識トレーサーを尾静脈を介して60秒間の静脈内注入として投与した。体温を直腸プローブによって測定し、温気流を用いて37℃に維持した。全身逐次画像再構成を、最大事後確率アルゴリズム(MAP、ハイパーパラメーターβ0.05)を使用して得、CTから得られた組織密度を使用してシグナルの減弱について修正した。投影図をPMOD3.305(PMOD Technologies, Ltd., Zurich, Switzerland)を用いて作成し、これを使用して関心領域分析を使用して関心対象の各臓器における定量活性レベルを得た。
【0181】
ミクロソーム安定性アッセイ。トレーサー[
18F][A]−d2又は[
18F][A]を、リン酸カリウム(Kpi)緩衝液(100mM)に500〜600μCi/mLの濃度で溶解した。非放射性7及び10をKpi緩衝液に10μMの濃度で溶解した。反応容器をヒト又はマウスの肝ミクロソーム懸濁液(12.5μL、20mg/mL)、その後、Kpi緩衝液(388μL、10mM)、NADPH(50μL、10mM)で充填し、37℃で5〜10分間インキュベートした。放射性[
18F][A]−d2若しくは[
18F][A](50μL、250〜300μCi)又は非放射性7若しくは8(50μL、10μM)の溶液を反応容器に加え、混合物を37℃でインキュベートした。反応混合物のアリコート(50μL)を試験化合物の添加から5分後、15分後、及び45分後に採取し、氷冷アセトニトリル(100μL)と混合し、遠心分離にかけた。上清をLCMS(システムE)によって分析した。
【0182】
統計分析。統計分析を行ない、プロットをRソフトウェアバージョン2.10.1(R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria)を用いて作成した。統計学的有意性を、スチューデントt検定を使用して決定し、0.05未満のpを有意と判断した。全てのデータは、平均値±標準偏差として提示される。
【0183】
結果及び考察
[
18F][A]及び[
18F][A]−d2の両方を、インサイツで作製された[
18F]TBAFを使用して1工程で調製した。HPLCによる精製後、[
18F][A]−d2が、90分間以内に7%の減衰補正された放射化学収率で得られた(n=4);[
18F][A]が96分間以内に12%の収率で調製された(n=9)。両方のトレーサーの放射化学純度は99%超であり、70〜110Ci/μmolの範囲内の比活性であった。
【0184】
[
18F][A]及び[
18F][A]−d2のオートラジオグラフィーによる評価を、ヒトドナーから死後に収集された脳組織を使用して行なった。[
18F][A]及び[
18F][A]−d2の両方の化合物が、同一なタウ特異的結合パターンを示した(
図1)。陽性染色が、Braakスコア5として特徴付けられる高いレベルのNFT及び高度なAβアミロイドを含有している組織の灰白質に見られた。高い又は中程度のAβアミロイド負荷量を含有しているがNFTは全く含有していないBraakスコア3又は2を有する陰性対照組織は、[
18F][A]又は[
18F][A]−d2のいずれを用いても陽性に染色されなかった。NFT及びAβアミロイド負荷量は標準的な免疫組織化学的方法によって測定された。
【0185】
代謝安定性及び[
18F]F
−形成はインビトロでヒト及びマウスの肝ミクロソームを使用して評価された(Tipre, D. N, et al., J. Nucl. Med. 2006 47 (2), 345-53)。マウス肝ミクロソームにおいてよりもヒト肝ミクロソームの方が[A]の代謝が遅いことが報告され、また両方の種において、[A]の代謝はNADPH依存性であり、このことは、チトクロムP450酵素の関与の可能性を示す(Zhang, W., et al., J. Alzheimer's Disease:JAD 2012 31 (3), 601-12)。肝ミクロソームアッセイにおける放射標識されていない[A]と[A]−d2の比較は、ヒト及びマウスの両方の肝ミクロソームにおける、[A]と比較して高い[A]−d2の安定性を明らかにした。マウス肝ミクロソームにおける[A]及び[A]−d2の代謝は非常に急速であり、代謝されていない[A]の割合は5分後に2%まで減少したが、[A]−d2の量は11%であった(
図3B)。ヒト肝ミクロソームにおいては、残留している[A]の量は40分後に15%であったが[A]−d2の量は依然として56%であった(
図3A)。[A]及び[A]―d2の両方の代謝がNADPH依存性であり、このことは、チトクロムP450酵素の関与を示唆する。
【0186】
放射標識されたトレーサー[
18F][A]及び[
18F][A]−d2(n=3)もまた、37℃で、NADPHの存在下又は非存在下でヒト又はマウスの肝ミクロソーム懸濁液と共にインキュベートし、混合物を、5分後、15分後及び45分後に放射性代謝物の存在について分析した(
図2)。マウス肝ミクロソームの存在下で、[
18F][A]及び[
18F][A]−d2の両方が迅速に
18F−フッ化物(保持時間(rt)=0.38分間)、並びに2つの放射性代謝物M2及びM1(rt=1.2及び1.4分間)へと代謝された。[
18F][A]及び[
18F][A]−d2からM2及びM1への変換は非常に速く、親化合物(rt=1.5分間)の量は、5分後にそれぞれ僅か1.6±0.9%及び2.0±0.3%であった(
図2D)。45分後に、[
18F][A]から形成された[
18F]F
−の量(50.1±12.9%)は、[
18F][A]−d2から形成された[
18F]F
−の量(13.8±2.4%)と比較して有意により多かった(p=0.035)(
図2B)。ヒト肝ミクロソームの存在下において、両方のトレーサーから[
18F]F
−、M1及びM2への変換は、マウス肝ミクロソームにおけるよりも緩徐であった。それでも、[
18F][A]は、依然としてジ重水素化[
18F][A]−d2よりもより迅速に代謝された。ヒト肝ミクロソームと共に45分間インキュベートした後、親化合物([
18F][A])に起因する割合は35.7±0.9%であり、[
18F][A]−d2に起因する放射能の割合は91.7±0.21%であった(
図2C)。45分後にヒト肝ミクロソームにおいて[
18F]F
−の量は、[
18F][A]の場合には36.7±2.7%であったが、[
18F]F
−は全く[
18F][A]−d2の代謝生成物として検出されなかった(
図2A)。
【0187】
マウス(n=6)におけるダイナミックPETイメージングを使用して、[
18F][A]及び[
18F][A]−d2のインビボでの特性を評価した。両方のトレーサーの取り込みは、肝臓及び腎臓において区別不可能であった(
図4E、4D)。脳への取り込みピーク(8.3±2.0及び7.4±2.2%ID/g)は、トレーサー間(p=0.444)(
図4C)並びに完全な心臓から得られた血液シグナル間(
図4B)で有意差はなかった。しかしながら、[
18F][A]−d2の注射されたマウスは、より緩徐な酵素的脱フッ素化の結果として、[A]を注射されたマウスの骨への取り込みと比較して(31.2±4.8%ID/g)、トレーサーの注射から30〜45分後に有意に(p=1.19×10
−4)減少した骨への取り込み(14.3±1.7%ID/g)を示した(
図4A)。最大強度の投影(
図4F)は、画像品質の向上を示す。PETイメージングデータは、マウス肝ミクロソームを使用したインビトロでの[
18F][A]及び[
18F][A]−d2の比較の結果との優れた一致を示す。インビトロでの実験では、[
18F][A]中のジェミナルな水素を重水素で置換すると、[
18F]F
−形成の73%の減少が引き起こされ、インビボでのPETによって観察された骨への取り込みの減少もまた54%に近い。
【0188】
[
18F][A]−d2及び[
18F][A]のインビトロ及びインビボでの比較は、[
18F][A]−d2がより代謝的に安定であり、これにより、[
18F][A]よりも[
18F]F
−の形成が有意により少ないことを示唆する。データはまた、ヒトにおける[A]−d2の代謝及び[
18F]F
−の形成が、マウスよりもはるかにより少ないと予想され、したがって[
18F][A]−d2は、臨床の場で[
18F][A]よりも有意により低いバックグラウンドでタウ特異的画像を提供し得ることを実証する。
【0189】
さらなる研究
放射標識されたトレーサー[
18F][A]及び[
18F][A]−d2(n=3)を、NADPHの存在下又は非存在下で37℃でヒト、アカゲザル、又はマウスの肝ミクロソーム懸濁液と共にインキュベートし、混合物を5分後、15分後、及び45分後に放射性代謝物の存在について分析した。マウス及びアカゲザルの肝ミクロソームの存在下において、[
18F][A]及び[
18F][A]−d2の両方が、
18F−フッ化物(保持時間(rt)=0.38分間)、並びに2つの放射性代謝物M2及びM1(rt=1.2及び1.4分間)へと迅速に代謝した。[
18F][A]及び[
18F][A]−d2からM2及びM1への変換は非常に迅速で、親化合物(rt=1.5分間)の量は、マウス肝ミクロソームの存在下で5分後にそれぞれ僅か1.6±0.9%及び2.0±0.3であった(
図7E)。どちらの化合物も、アカゲザル肝ミクロソームにおいて僅かにより安定であった(
図7F)。45分後に、マウス肝ミクロソームにおいて[
18F][A]から形成された[
18F]F
−の量(50.1±12.9%)は、[
18F][A]−d2から形成された[
18F]F
−の量(13.8±2.4%)よりも有意に(p=0.035)多く(
図7B)、同じような効果がアカゲザル肝ミクロソームにおいても観察された([
18F][A]−d2:15.4±1.3%対[
18F][A]:46.1±1.0%)(
図7C)。ヒト肝ミクロソームの存在下において、両方のトレーサーから[
18F]F
−、M1及びM2への変換は、マウス又はアカゲザルの肝ミクロソームにおけるよりも緩徐であった。それでも、[
18F][A]は依然として、ジ重水素化[
18F][A]−d2よりもより迅速に代謝された。ヒト肝ミクロソームと共に45分間インキュベートした後、親化合物([
18F][A])に起因する割合は35.7±0.9%であり、[
18F][A]−d2に起因する放射能の割合は有意により高く67.1±6.3%(p=0.012)であった(
図7D)。[
18F]F
−の量は、45分後にヒト肝ミクロソームにおいて[
18F][A]の場合には36.7±2.7%であったが、[
18F]F
−は全く[
18F][A]−d2の代謝産物として検出されなかった(p=0.002)(
図7A)。
【0190】
[
18F][A]及び[
18F][A]−d2のインビボでの安定性の予測因子としてのミクロソーム安定性評価は、アカゲザル及びマウスにおける、[
18F][A]と比較して、有意に高い[
18F][A]−d2の代謝安定性、並びに、有意に緩徐な
18F−フッ化物の形成速度を示唆する。意外なことに、
18F−フッ化物は、ヒト肝ミクロソームを使用した[
18F][A]−d2の代謝物として全く検出されず、このことは、アカゲザル又はマウスよりもヒトにおいてはるかに高い、[
18F][A]−d2の安定性を示唆する。
【0191】
[
18F][A]及び[
18F][A]−d2を使用してマウス及びアカゲザルにおいて取得されたこれらのPET画像はさらに、[
18F][A]と比較した、[
18F][A]−d2の場合の骨ミネラルにおける放射能の取り込みとして見られる、より低い
18F−フッ化物の形成というインビトロでの予測を確認した。
【0192】
霊長類への[
18F][A]−d2の投与
[
18F][A]−d2、[
18F][A]又は
18F T807(Chien et al., J. Alzheimers Dis, 38:171-84 (2014)参照)(370MBq(10mCi))を、麻酔されたアカゲザルにボーラス静脈内注射し、ダイナミックPETデータを240分間かけて取得した。標準化取り込み値([放射能]/(注射用量/体重))を、再構成されたPETデータから示された構造において測定した(
図8A、8Bに示されているように)。データを同じ動物から収集したが、各プローブについて異なる日に収集した。[
18F][A]−d2は、遊離フッ化物の頭蓋骨への取り込み減少によって反映される増加した安定性を示した。
【0193】
[
18F][A]−d2のヒトへの投与
合計で5人の被験者、すなわち3人のアルツハイマー病(AD)患者及び2人の健康な試験志願者(HV)を本試験に使用した。この試験プロトコールは、各被験者が、以下の構成要素を完了することを要求した:スクリーニング評価、MRI、[
18F]フルオベタピル(AD被験者のみ)、及び[
18F][A]−d2。スクリーニング手順は、神経心理学的評価、バイタルサイン、心電図、身体検査、MRI、及びほぼ確実にADと臨床的に診断された患者におけるアミロイド沈着の存在を確認するための[
18F]フルオベタピルPETイメージングを含んでいた。さらに、各被験者は臨床評価及び臨床安全性ラボ(clinical safety labs)を完了して、被験者が試験プロトコールを完了するのに医学的に安定していることを保証した。スクリーニング手順は[
18F][A]−d2イメージング前の30日間以内に行なった。適格な被験者は、1回の[
18F][A]−d2イメージングセッションに参加した。タウ結合の分布を、各々の被験者群(AD及びHV)において評価して、タウへの結合を評価した。各AD被験者について、Aβ及びタウの分布を比較した。脳におけるタウ結合を、[
18F][A]−d2を使用してPETを用いて評価した。中程度から高密度のタウを有すると予想されるAD患者と比較して、最小限から無視できる濃度のタウを有するはずであるHV被験者の脳において、放射性リガンド結合を比較した。
【0194】
全ての被験者は、1回の[
18F][A]−d2の注射を受けた。被験者は、370MBq(約10mCi)以下のボーラス静脈内注射を受けた。3人の被験者に関するデータを以下に提示する。
【0195】
イメージング手順
画像を、3次元モードでHR+PETカメラを使用して取得し、散乱アルゴリズムをはじめとする反復アルゴリズム及び測定された減衰補正(
68Ge源)を使用して再構成した。ダイナミック画像を注射時に取得した(約370MBq)。走査プロトコールは、2人の健康な対照(HC)被験者、すなわち被験者1及び2(0〜120分間及び約150〜180分間)における2つの走査セグメント、並びにADが疑われる患者、すなわち被験者3(0〜60分間、93〜123分間、及び147〜177分間)における3つのセグメントから構成された。
【0196】
[
18F][A]−d2画像分析及び予備的な結果
[
18F][A]−d2のトレーサー投与後の最初の15分間の積算された画像であるMR容量測定画像を、統計的パラメトリックマッピングSPM8(ウェルカム・トラストニューロイメージングセンターのメンバー及び共同研究者によって提供されたソフトウェア)を使用して位置合わせを行なった(coregistered)。最初のPETセグメントに対するさらなるPETセグメントのアラインメントを、Matlab(登録商標)(バージョン8リリース2014a)で記載された社内で開発された分析ソフトウェアを使用して行なった。その後、解剖学的描写のためのMRI走査を使用して、不規則な関心領域(ROI)を、MIM(登録商標)ソフトウェアを使用して、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、及び側頭葉、小脳の灰白質及び白質(半卵円中心)において各々の被験者について描いた。
【0197】
[
18F][A]−d2組織内時間放射能曲線(TAC)は、各々の被験者の体重及び対応するトレーサー注入用量を使用してSUV(標準化取り込み値)で表現された:TAC(SUV)=TAC(Bq/cm
3)×1000cm
3/kg×被験者の体重(kg)/注射用量(Bq)。TAC作成及び全てのその後の分析は、Matlab(登録商標)で記載された社内で開発された分析ソフトウェアを使用して行なわれた。
【0198】
小脳の灰白質に対する比すなわち標準化取り込み値(SUVR)を計算した。
図9は、3人の被験者における側頭葉SUVR対平均フレーム時間を示す。曲線の明瞭な分離が、注射から30分後に早くも観察される。2人の健康な対照におけるSUVR曲線は、注射直後に比較的一定のままであった。AD被験者におけるSUVRは、90〜120分をおいてプラトーに達した。
【0199】
トレーサー注射後40〜60分及び90〜120分をおいての平均値を、それぞれ表1及び2に示す。SUVR値は、AD被験者においてより大きく、これは、脳において増加したタウ負荷量に一致する。
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
[
18F][A]−d2を使用して被験者1〜3で取得された
図10の画像は、インビトロでのミクロソーム安定性アッセイによって予測されているように骨組織における放射能取り込みを全く示さない。頭蓋骨への取り込みの欠如は、無視できるトレーサーの脱フッ素化を示唆する。
【0203】
多くの実施態様が記載されているが、これらの実施例は、本明細書に記載の化合物及び方法を利用する他の実施態様を提供するために改変されてもよい。それ故、本発明の範囲は、例として提示されている特定の実施態様によってではなくむしろ添付の特許請求の範囲によって定義される。