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特許6681641超音波検知装置及び方法、超音波検知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6681641
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】超音波検知装置及び方法、超音波検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/524 20060101AFI20200406BHJP
   G01S 7/526 20060101ALI20200406BHJP
   G01S 15/96 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   G01S7/524 R
   G01S7/526 J
   G01S15/96
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-504034(P2020-504034)
(86)(22)【出願日】2019年9月27日
(86)【国際出願番号】JP2019038119
【審査請求日】2020年2月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】流田 賢治
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−162308(JP,A)
【文献】 特開平4−346092(JP,A)
【文献】 特開平8−179029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0315220(US,A1)
【文献】 佐藤 隆宣,「魚食を支える魚群探知機の最新技術」,日本機械学会誌,一般社団法人日本機械学会,2013年 3月 5日,Vol.116, No.1132,pp.178-179,ISSN 0021-4728
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52− 7/64
G01S 15/00−15/96
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を繰り返し照射することで他機の発した超音波の影響を排除し、自機の発した超音波に基づいて対象物を検知する装置であって、
周波数、送信間隔、振幅及びバースト長を含む複数種類のパラメータにて規定される超音波のバースト波を送信信号として送信するとともに、その反射波を受信信号として受信する超音波センサと、
前記送信信号における前記パラメータの種類及び値の変更を複数回行うパラメータ変更手段と、
前記パラメータの値の変化に連動して前記受信信号における当該パラメータの値が同傾向の変化をするか否かの判定を行い、連動しない場合の前記受信信号を自機の発した前記送信信号の反射波ではないと判別して排除する信号判別手段と
を備えることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項2】
前記パラメータ変更手段は、前記送信信号における前記パラメータの種類及び値のうちの少なくともいずれか一方を規則性がないように変更することを特徴とする請求項1に記載の超音波検知装置。
【請求項3】
前記送信信号の前記パラメータの種類及び値の変更態様に基づいて前記受信信号を判別するのに要する時間を短縮する方法を学習する学習部と、
前記学習部による学習結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記学習結果に基づいて、前記パラメータの種類及び値の変更態様を決定し、その決定した内容に沿って前記パラメータ変更手段による変更動作を行わせる変更動作実行部と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波検知装置。
【請求項4】
前記送信信号の前記パラメータの種類及び値の変更態様に基づいて前記受信信号を判別するのに要する時間を短縮する方法を学習した学習結果を予め記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記学習結果に基づいて、前記パラメータの種類及び値の変更態様を決定し、その決定した内容に沿って前記パラメータ変更手段による変更動作を行わせる変更動作実行部と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波検知装置。
【請求項5】
前記パラメータ変更手段は、前記送信信号を送信してから前記受信信号を受信するまでの時間に基づいて前記対象物までの距離を算出し、前記距離が短いときほど前記送信信号の送信間隔を短くし、前記距離が長いときほど前記送信信号の送信間隔を長くすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項6】
前記パラメータ変更手段は、前記受信信号の振幅が大きい場合に前記送信信号の振幅を小さくし、前記受信信号の振幅が小さい場合に前記送信信号の振幅を大きくすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項7】
前記パラメータ変更手段は、前記送信信号の周波数と前記受信信号の周波数とを比較し、前記受信信号の周波数が前記送信信号の周波数よりも高い場合に、前記送信信号の周波数を低くする一方、前記受信信号の周波数が前記送信信号の周波数よりも低い場合に、前記送信信号の周波数を高くすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項8】
前記超音波センサは、前記送信信号を送信する第1の超音波センサと、前記第1の超音波センサとは別に設けられ前記受信信号を受信する第2の超音波センサとからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項9】
前記第1の超音波センサの周波数帯域は、前記第2の超音波センサの周波数帯域よりも広くなっており、
前記パラメータ変更手段は、前記第2の超音波センサが中心周波数付近にて前記受信信号を受信可能となるように、前記送信信号の周波数の変化量を決定する
ことを特徴とする請求項8に記載の超音波検知装置。
【請求項10】
超音波を繰り返し照射することで他機の発した超音波の影響を排除し、自機の発した超音波に基づいて対象物を検知する方法であって、
周波数、送信間隔、振幅及びバースト長を含む複数種類のパラメータにて規定される超音波のバースト波の前記パラメータの種類及び値の変更を行うパラメータ変更ステップと、
パラメータが変更された前記バースト波を送信信号として送信する送信ステップと、
前記送信信号の反射波を受信信号として受信する受信ステップと、
前記パラメータの値の変化に連動して前記受信信号における当該パラメータの値が同傾向の変化をするか否かの判定を行い、連動しない場合の前記受信信号を自機の発した前記送信信号の反射波ではないと判別して排除する信号判別ステップと
を順次複数回実行する超音波検知方法。
【請求項11】
超音波を繰り返し照射することで他機の発した超音波の影響を排除し、自機の発した超音波に基づいて対象物を検知する装置を制御するコンピュータに、
周波数、送信間隔、振幅及びバースト長を含む複数種類のパラメータにて規定される超音波のバースト波の前記パラメータの種類及び値の変更を行うパラメータ変更ステップと、
パラメータが変更された前記バースト波を送信信号として超音波センサに送信させる送信ステップと、
前記送信信号の反射波を受信信号として前記超音波センサに受信させる受信ステップと、
前記パラメータの値の変化に連動して前記受信信号における当該パラメータの値が同傾向の変化をするか否かの判定を行い、連動しない場合の前記受信信号を自機の発した前記送信信号の反射波ではないと判別して排除する信号判別ステップと
を順次複数回実行させるための超音波検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を繰り返し照射することで他機の発した超音波の影響を排除し、自機の発した超音波に基づいて対象物を検知する超音波検知装置、超音波検知方法及びそのための超音波検知プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を照射して対象物を検知する超音波検知装置として、例えば、魚群を探知する魚群探知機などが知られている。魚群探知機は、超音波を送信信号として送信するとともに超音波の反射波を受信信号として受信する超音波センサを備えており、超音波センサから超音波を繰り返し照射することにより、水中を探知するようになっている。なお、超音波センサは、一般的に、円板状の圧電素子と、圧電素子に接合された音響整合層とを備えている。
【0003】
ところが、近年、同様の魚群探知機を搭載した船舶が増加しつつあるため、他船との混信が生じやすい傾向にある。そこで、送信信号におけるパラメータ(周波数や送信間隔など)の値を変更したり、受信信号が、自機の発した送信信号の反射波であるのか、他機の発した送信信号であるのかを判別したりすることにより、混信を防止する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019−32207号公報(段落[0002],[0007]等)
【特許文献2】特開2018−179676号公報(請求項1、段落[0003],[0010]等)
【特許文献3】特開2016−85036号公報(段落[0007]等)
【特許文献4】特開昭54−103700号公報(請求項1等)
【特許文献5】特開平9−21869号公報(請求項13、段落[0006]等)
【特許文献6】特開2010−185706号公報(段落[0006]等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、送信信号のパラメータの値を変更する処理は、通常、予め定めたプログラムに基づいて行われる。しかしながら、他機に搭載された超音波センサが自機のプログラムと同様のプログラムに基づいて送信信号を変更するものである場合には、他機の送信信号のパラメータが自機の送信信号のパラメータと同じ変更態様で変更される可能性がある。この場合、他機の送信信号のパラメータの値が自機の送信信号のパラメータの値と同一になることがありうるため、自機が受信した受信信号が、自機の発した送信信号の反射波であるのか、他機の発した送信信号であるのかを判別することができず、混信が生じてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、他機が発した超音波との混信を防止することができる超音波検知装置、超音波検知方法、超音波検知プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、超音波を繰り返し照射することで他機の発した超音波の影響を排除し、自機の発した超音波に基づいて対象物を検知する装置であって、周波数、送信間隔、振幅及びバースト長を含む複数種類のパラメータにて規定される超音波のバースト波を送信信号として送信するとともに、その反射波を受信信号として受信する超音波センサと、前記送信信号における前記パラメータの種類及び値の変更を複数回行うパラメータ変更手段と、前記パラメータの値の変化に連動して前記受信信号における当該パラメータの値が同傾向の変化をするか否かの判定を行い、連動しない場合の前記受信信号を自機の発した前記送信信号の反射波ではないと判別して排除する信号判別手段とを備えることを特徴とする超音波検知装置をその要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明によると、パラメータ変更手段が、送信信号におけるパラメータの種類及び値のうちの少なくともいずれか一方を規則性がないように変更することにより(請求項2)、自機の送信信号のパラメータを、他機の送信信号のパラメータとは異なるものにすることができる。この場合、信号判別手段が、送信信号におけるパラメータの値の変化に連動して受信信号におけるパラメータの値が同傾向の変化をするか否かを判定すれば、受信信号が自機の発した送信信号の反射波であるか否かを確実に判別することができる。その結果、他機が発した送信信号との混信を防止することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記送信信号の前記パラメータの種類及び値の変更態様に基づいて前記受信信号を判別するのに要する時間を短縮する方法を学習する学習部と、前記学習部による学習結果を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記学習結果に基づいて、前記パラメータの種類及び値の変更態様を決定し、その決定した内容に沿って前記パラメータ変更手段による変更動作を行わせる変更動作実行部とを備えることをその要旨とする。
【0010】
従って、請求項3に記載の発明によると、学習部による学習結果に基づいて、送信信号のパラメータの種類及び値の変更態様が最適化されるため、最適化した内容に沿って送信信号のパラメータを変更することにより、受信信号の判別に要する時間を確実に短縮することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2において、前記送信信号の前記パラメータの種類及び値の変更態様に基づいて前記受信信号を判別するのに要する時間を短縮する方法を学習した学習結果を予め記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記学習結果に基づいて、前記パラメータの種類及び値の変更態様を決定し、その決定した内容に沿って前記パラメータ変更手段による変更動作を行わせる変更動作実行部とを備えることをその要旨とする。
【0012】
従って、請求項4に記載の発明によると、記憶部に記憶されている学習結果に基づいて、送信信号のパラメータの種類及び値の変更態様が最適化されるため、最適化した内容に沿って送信信号のパラメータを変更することにより、受信信号の判別に要する時間を確実に短縮することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記パラメータ変更手段は、前記送信信号を送信してから前記受信信号を受信するまでの時間に基づいて前記対象物までの距離を算出し、前記距離が短いときほど前記送信信号の送信間隔を短くし、前記距離が長いときほど前記送信信号の送信間隔を長くすることをその要旨とする。
【0014】
従って、請求項5に記載の発明によると、対象物までの距離が短いときほど送信信号の送信間隔を短くしているため、自機が対象物に近付いている場合であっても、送信信号を対象物で確実に反射させることができ、ひいては、送信信号の反射波である受信信号を超音波センサで確実に受信することができる。ゆえに、信号判別手段による受信信号の判別を確実に行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記パラメータ変更手段は、前記受信信号の振幅が大きい場合に前記送信信号の振幅を小さくし、前記受信信号の振幅が小さい場合に前記送信信号の振幅を大きくすることをその要旨とする。
【0016】
従って、請求項6に記載の発明によると、着目している送信信号の反射波である受信信号の振幅が信号処理に適した大きさとなるように、送信信号の振幅が制御される。この場合、受信信号の処理回路である受信回路において、受信信号の増幅率の可変範囲を比較的小さくしたり、AD変換のダイナミックレンジを比較的狭くしたりすることができるため、低コストの受信回路を採用することができる。また、受信信号の振幅が大きい場合には送信信号の振幅を小さくするため、不要な騒音の放散を抑え、かつ、必要以上のエネルギーの使用を抑えることができる。逆に、受信信号の振幅が小さい場合には、微弱な受信信号での演算処理を避けるために送信信号の振幅を大きくするため、信号判別手段による受信信号の判別を確実に行うことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項において、前記パラメータ変更手段は、前記送信信号の周波数と前記受信信号の周波数とを比較し、前記受信信号の周波数が前記送信信号の周波数よりも高い場合に、前記送信信号の周波数を低くする一方、前記受信信号の周波数が前記送信信号の周波数よりも低い場合に、前記送信信号の周波数を高くすることをその要旨とする。
【0018】
従って、請求項7に記載の発明によると、受信信号の周波数が高い場合に送信信号の周波数を低くすることにより、受信信号の周波数を低くする一方、受信信号の周波数が低い場合に送信信号の周波数を高くすることにより、受信信号の周波数を高くしている。その結果、変更後の送信信号の周波数を、超音波センサの周波数帯域内に収めることができる。よって、送信信号の反射波である受信信号を、超音波センサによって確実に受信することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記超音波センサは、前記送信信号を送信する第1の超音波センサと、前記第1の超音波センサとは別に設けられ前記受信信号を受信する第2の超音波センサとからなることをその要旨とする。
【0020】
例えば、超音波センサが、送信信号を送信する機能と受信信号を受信する機能とを有する1つのセンサである場合、送信信号の送信中に受信信号を受信することはできない。例えば、対象物までの距離が短い場合には、送信信号の送信中に、送信信号の反射波(受信信号)が戻ってきてしまうため、信号判別手段による受信信号の判別を行うことができないという問題がある。そこで、請求項8に記載の発明では、超音波センサを、送信信号を送信する第1の超音波センサと、受信信号を受信する第2の超音波センサとに分けているため、第1の超音波センサからの送信信号の送信中においても第2の超音波センサによる受信信号の受信が可能となる。よって、信号判別手段による受信信号の判別を確実に行うことができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記第1の超音波センサの周波数帯域は、前記第2の超音波センサの周波数帯域よりも広くなっており、前記パラメータ変更手段は、前記第2の超音波センサが中心周波数付近にて前記受信信号を受信可能となるように、前記送信信号の周波数の変化量を決定することをその要旨とする。
【0022】
従って、請求項9に記載の発明によると、第1の超音波センサの周波数帯域が第2の超音波センサの周波数帯域よりも広いため、第1の超音波センサから送信される送信信号の周波数を広範囲に変化させることができる。また、第2の超音波センサが中心周波数付近にて受信可能となるように、送信信号の周波数の変化量を決定するため、第2の超音波センサによって確実に受信信号を受信することができる。しかも、第2の超音波センサとして、比較的狭い周波数帯域を有するものを準備すれば済むため、第2の超音波センサの製造コストを抑えることができる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、超音波を繰り返し照射することで他機の発した超音波の影響を排除し、自機の発した超音波に基づいて対象物を検知する方法であって、周波数、送信間隔、振幅及びバースト長を含む複数種類のパラメータにて規定される超音波のバースト波の前記パラメータの種類及び値の変更を行うパラメータ変更ステップと、パラメータが変更された前記バースト波を送信信号として送信する送信ステップと、前記送信信号の反射波を受信信号として受信する受信ステップと、前記パラメータの値の変化に連動して前記受信信号における当該パラメータの値が同傾向の変化をするか否かの判定を行い、連動しない場合の前記受信信号を自機の発した前記送信信号の反射波ではないと判別して排除する信号判別ステップとを順次複数回実行する超音波検知方法をその要旨とする。
【0024】
従って、請求項10に記載の発明によると、パラメータ変更ステップにおいて、送信信号におけるパラメータの種類及び値のうちの少なくともいずれか一方を規則性がないように変更すれば、自機の送信信号のパラメータを、他機の送信信号のパラメータとは異なるものにすることができる。この場合、信号判別ステップにおいて、送信信号におけるパラメータの値の変化に連動して受信信号におけるパラメータの値が同傾向の変化をするか否かを判定すれば、受信信号が自機の発した送信信号の反射波であるか否かを確実に判別することができる。その結果、他機が発した送信信号との混信を防止することができる。
【0025】
請求項11に記載の発明は、超音波を繰り返し照射することで他機の発した超音波の影響を排除し、自機の発した超音波に基づいて対象物を検知する装置を制御するコンピュータに、周波数、送信間隔、振幅及びバースト長を含む複数種類のパラメータにて規定される超音波のバースト波の前記パラメータの種類及び値の変更を行うパラメータ変更ステップと、パラメータが変更された前記バースト波を送信信号として超音波センサに送信させる送信ステップと、前記送信信号の反射波を受信信号として前記超音波センサに受信させる受信ステップと、前記パラメータの値の変化に連動して前記受信信号における当該パラメータの値が同傾向の変化をするか否かの判定を行い、連動しない場合の前記受信信号を自機の発した前記送信信号の反射波ではないと判別して排除する信号判別ステップとを順次複数回実行させるための超音波検知プログラムをその要旨とする。
【0026】
従って、請求項11に記載の発明によると、超音波検知プログラムに基づいてパラメータ変更ステップを実行させ、送信信号におけるパラメータの種類及び値のうちの少なくともいずれか一方を規則性がないように変更すれば、自機の送信信号のパラメータを、他機の送信信号のパラメータとは異なるものにすることができる。この場合、超音波検知プログラムに基づいて信号判別ステップを実行させ、送信信号におけるパラメータの値の変化に連動して受信信号におけるパラメータの値が同傾向の変化をするか否かを判定すれば、受信信号が自機の発した送信信号の反射波であるか否かを確実に判別することができる。その結果、他機が発した送信信号との混信を防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上詳述したように、請求項1〜9に記載の発明によると、他機が発した超音波との混信を防止することができる超音波検知装置を提供することができる。また、請求項10に記載の発明によると、他機が発した超音波との混信を防止することができる超音波検知方法を提供することができる。さらに、請求項11に記載の発明によると、他機が発した超音波との混信を防止することができる超音波検知プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態の魚群探知機が搭載された漁船を示す説明図。
図2】魚群探知機を示す概略構成図。
図3】超音波センサを示す断面図。
図4】魚群探知機の電気的構成を示すブロック図。
図5】送信信号を示すタイムチャート。
図6】送信間隔変化量パターン振分テーブル。
図7】制御装置のCPUにて行われる演算処理を示すフローチャート。
図8】制御装置のCPUにて行われる演算処理を示すフローチャート。
図9】周波数変化量パターン振分テーブル。
図10】第3実施形態における魚群探知機の電気的構成を示すブロック図。
図11】第4実施形態における魚群探知機の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0030】
図1に示されるように、本実施形態の魚群探知機11(超音波検知装置)は、漁船10(船舶)の船底部に搭載されて使用される。魚群探知機11は、自船(自機)が水中に照射した超音波Wに基づいて、水中に存在する魚群などの対象物A1を検知する装置である。
【0031】
図2に示されるように、魚群探知機11は、第1の超音波センサ21と、同第1の超音波センサ21とは別に設けられた第2の超音波センサ22とを備えている。両超音波センサ21,22は、ともに同じ構造を有するセンサである。但し、第1の超音波センサ21の周波数帯域は、第2の超音波センサ22の周波数帯域よりも広くなっている。詳述すると、本実施形態の第1の超音波センサ21の周波数帯域は、下限の周波数(下限周波数f1)が例えば140kHzとなり、上限の周波数(上限周波数f2)が例えば240kHzとなる周波数の範囲である。この場合、下限周波数f1と上限周波数f2との中間値を示す中心周波数fmは190kHz程度となり、下限周波数f1と上限周波数f2との差を示す周波数帯域幅Δfは100kHz程度となる。そして、周波数帯域幅Δfと中心周波数fmとの比を示す比帯域Δf/fmは、約53%となる。一方、本実施形態の第2の超音波センサ22の周波数帯域は、下限周波数f1が例えば180kHzとなり、上限周波数f2が例えば220kHzとなる周波数の範囲である。この場合、中心周波数fmは200kHz程度となり、周波数帯域幅Δfは40kHz程度となるため、比帯域Δf/fmは20%程度となる。
【0032】
図3に示されるように、超音波センサ21,22は、音響整合層23及び圧電素子24を備えている。音響整合層23は、例えば、ガラスエポキシ(FR−4)を用いて形成された円板状の樹脂製板状物である。また、圧電素子24は、例えば、圧電セラミックスであるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いて形成された円板状のセラミックス製板状物である。圧電素子24は、音響整合層23に対して接合される前面25と、前面25の反対側にある背面26とを有している。さらに、圧電素子24の前面25には前面側電極層(図示略)が形成され、圧電素子24の背面26には背面側電極層(図示略)が形成されている。本実施形態では、圧電素子24の前面25全体が、前面側電極層及び接着剤層(図示略)を介して音響整合層23に接合されている。
【0033】
そして、超音波センサ21,22は、圧電素子24をケース30内に収容することにより構成される。詳述すると、ケース30は、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)などの樹脂材料を用いて一端が開口する有底円筒状に形成されている。なお、ケース30の開口部は、超音波センサ21,22の音響整合層23によって閉塞される。
【0034】
また、図3に示されるように、圧電素子24の前面側電極層には第1のリード線31が接続され、圧電素子24の背面側電極層には第2のリード線32が接続されている。第1のリード線31は、前面側電極層から外側に延出された側面端子(図示略)に対してはんだ付けなどにより接続されている。第2のリード線32は、背面側電極層の外周部に対してはんだ付けなどにより接続されている。そして、第1のリード線31及び第2のリード線32は、配線チューブ33によって結束され、ケース30外に引き出される。
【0035】
次に、魚群探知機11の電気的構成について説明する。
【0036】
図4に示されるように、魚群探知機11は、装置全体を統括的に制御する制御装置40を備えている。制御装置40は、CPU41、ROM42、RAM43等からなる周知のコンピュータにより構成されている。CPU41は、送信回路44を介して第1の超音波センサ21に電気的に接続され、受信回路45を介して第2の超音波センサ22に電気的に接続されている。送信回路44は、第1の超音波センサ21に対して電気信号を出力して、第1の超音波センサ21を駆動させるようになっている。その結果、第1の超音波センサ21は、超音波Wのバースト波を送信信号W1として照射(送信)する。また、第2の超音波センサ22は、超音波Wの反射波を受信信号W2として受信する。受信回路45には、第2の超音波センサ22で受信信号W2を受信したことを契機として生成される電気信号が入力されるようになっている。そして、受信回路45に入力された電気信号は、CPU41に入力される。
【0037】
なお、図5に示される送信信号W1は、周波数f、送信間隔L1、振幅L2、バースト長L3及び音圧を含む複数種類のパラメータにて規定される。送信間隔L1は、最初のバースト波の始点から次のバースト波の始点までの長さを示している。バースト長L3は、1つのバースト波の始点から終点までの長さを示している。
【0038】
また、図4に示されるRAM43のタイマ記憶領域には、魚群探知機11の動作中に適宜書き換えられる各種のタイマが記憶(設定)されている。さらに、RAM43の乱数記憶領域には、送信信号W1のパラメータの決定等に用いる各種乱数が記憶されている。また、ROM42には、送信信号W1の送信間隔L1の変化量(ms)を示す複数の送信間隔変化量パターンPa−1〜Pa−8が振り分けられた送信間隔変化量パターン振分テーブル(図6参照)が記憶されている。
【0039】
そして、CPU41は、送信回路44に対して第1の超音波センサ21から送信信号W1を照射させる制御を行う。また、CPU41は、第2の超音波センサ22が反射波を受信したことを契機として生成される受信信号W2を、受信回路45を介して受信する。なお、受信信号W2が入力されると、CPU41は、受信信号W2にて特定される受信情報(パラメータ等)をRAM43の記憶領域に記憶する。
【0040】
さらに、図4に示されるCPU41は、送信信号W1を送信してから受信信号W2を受信するまでの時間(到達時間t)に基づいて対象物A1までの距離を算出する。具体的に言うと、CPU41は、第1の超音波センサ21が送信信号W1の送信を開始すると、タイマ(0ms)をRAM43のタイマ記憶領域に設定(記憶)する。また、CPU41は、送信信号W1の送信開始時に設定したタイマを割込み(例えば4ms)ごとに加算する。そして、第2の超音波センサ22が受信信号W2を受信すると、CPU41は、タイマを停止させ、その時点における時間(到達時間t)と超音波Wの音速との積を算出し、算出した積の2分の1を対象物A1までの片道距離とする。
【0041】
そして、CPU41は、乱数抽選によって選択したパターンに基づいて、送信信号W1における送信間隔L1(パラメータ)の値を規則性がないように変更する。即ち、CPU41は、『パラメータ変更手段』としての機能を有している。具体的に言うと、CPU41は、算出した距離が短いときほど送信信号W1の送信間隔L1を短くする処理を行い、算出した距離が長いときほど送信信号W1の送信間隔L1を長くする処理を行う。本実施形態では、算出した距離が例えば10m未満になるときに送信間隔L1を短くする処理を行い、算出した距離が例えば10m以上になるときに送信間隔L1を長くする処理を行う。詳述すると、算出した距離が10m未満になる場合、CPU41は、RAM43から取得した送信間隔振分用乱数の値に基づき、送信間隔変化量パターン振分テーブル(図6参照)に振り分けられている送信間隔変化量パターンPa−1〜Pa−8のうち、変化量が負(本実施形態では、−0.1ms、−0.2ms、−0.3ms、−0.4ms)となる複数の送信間隔変化量パターンPa−1〜Pa−4の中から1つの送信間隔変化量パターンを決定する。一方、算出した距離が10m以上になる場合、CPU41は、RAM43から取得した送信間隔振分用乱数の値に基づき、送信間隔変化量パターン振分テーブルに振り分けられている送信間隔変化量パターンPa−1〜Pa−8のうち、変化量が正(本実施形態では、+0.1ms、+0.2ms、+0.3ms、+0.4ms)となる複数の送信間隔変化量パターンPa−5〜Pa−8の中から1つの送信間隔変化量パターンを決定する。そして、CPU41は、決定した送信間隔変化量パターンをRAM43に記憶する。さらに、CPU41は、RAM43に記憶されている送信間隔変化量パターンが示す送信間隔L1の変化量に基づいて、送信信号W1における送信間隔L1の値の変更を行う。
【0042】
そして、図4に示されるCPU41は、送信信号W1における送信間隔L1の値の変化に連動して、受信信号W2における送信間隔(即ち、受信間隔)の値が同傾向の変化をするか否かを判定する。具体的に言うと、送信間隔L1を短くする場合、CPU41は、RAM43に記憶されている受信情報が示す受信間隔が、送信間隔L1が短くなるのに連動して短くなるか否かを判定する。なお、受信間隔の短縮量が送信間隔L1の短縮量とは異なる場合でも、CPU41は、送信間隔L1の値の変化に連動して受信間隔の値が同傾向の変化をしていると判定する。一方、送信間隔L1を長くする場合、CPU41は、RAM43に記憶されている受信情報が示す受信間隔が、送信間隔L1が長くなるのに連動して長くなるか否かを判定する。なお、受信間隔の延長量が送信間隔L1の延長量とは異なる場合でも、CPU41は、送信間隔L1の値の変化に連動して受信間隔の値が同傾向の変化をしていると判定する。
【0043】
そして、送信間隔L1の値の変化に連動して受信間隔の値が同傾向の変化をしていると判定された場合、CPU41は、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波であると推定する。一方、送信間隔L1の値の変化に連動して受信間隔の値が同傾向の変化をしていないと判定された場合、CPU41は、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波ではないと判別して排除(即ち、受信信号W2をノイズとして無視)する。即ち、CPU41は、『信号判別手段』としての機能を有している。
【0044】
また、図4に示されるCPU41は、送信信号W1における周波数f(パラメータ)の値を変更する。具体的に言うと、CPU41は、第2の超音波センサ22が受信する受信信号W2のうち、送信間隔L1の値の変化に連動して受信間隔の値が同傾向の変化をする受信信号W2を選定する。次に、CPU41は、送信信号W1の周波数fと選定した受信信号W2の周波数f´とを比較する。そして、CPU41は、受信信号W2の周波数f´が送信信号W1の周波数fよりも高い場合に、送信信号W1の周波数fを低くする処理を行う一方、受信信号W2の周波数f´が送信信号W1の周波数fよりも低い場合に、送信信号W1の周波数fを高くする処理を行う。また、CPU41は、感度が最大となる中心周波数fm(本実施形態では、200kHz程度)付近にて第2の超音波センサ22が受信信号W2を受信可能となるように、送信信号W1の周波数fの変化量を決定する。
【0045】
詳述すると、自船と対象物A1とが相対的に移動している状況下では、ドップラーシフトが生じる。よって、対象物A1が例えば相対速度vで近付いている場合、CPU41は、音速をVとしたときに、受信信号W2の周波数f´を、f´=f×(V+v)/(V−v)の式から算出する。仮に、f=180kHz、V=1500m/s、v=10m/sとした場合には、f´≒182.4kHzとなる。一方、対象物A1が例えば相対速度vで遠ざかっている場合、CPU41は、周波数f´を、f´=f×(V−v)/(V+v)の式から算出する。対象物A1が相対速度vで近付いている場合と同様の条件とした場合には、f´≒177.6kHzとなる。
【0046】
次に、図4に示されるCPU41は、次回の送信に用いる送信信号W1の周波数fを、ドップラーシフト分を相殺するように変更する。上記したように、送信信号W1の周波数fが180kHzであって、受信信号W2の周波数f´が約182.4kHzであると算出された場合、即ち、対象物A1が近付いている場合、CPU41は、受信信号W2の周波数f´が180kHzとなるように、送信信号W1の周波数fを2.4kHz程度低くする制御を行う。一方、送信信号W1の周波数fが180kHzであって、受信信号W2の周波数f´が約177.6kHzであると算出された場合、即ち、対象物A1が遠ざかっている場合、CPU41は、受信信号W2の周波数f´が180kHzとなるように、送信信号W1の周波数fを2.4kHz程度高くする制御を行う。
【0047】
そして、CPU41は、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して、受信信号W2における周波数f´の値が同傾向の変化をするか否かを判定する。具体的に言うと、送信信号W1の周波数fを低くする場合、CPU41は、RAM43に記憶されている受信情報が示す受信信号W2の周波数f´が、送信信号W1の周波数fが低くなるのに連動して低くなるか否かを判定する。なお、受信信号W2の周波数f´の低下量が送信信号W1の周波数fの低下量とは異なる場合でも、CPU41は、送信信号W1の周波数fの値の変化に連動して受信信号W2の周波数f´の値が同傾向の変化をしていると判定する。一方、送信信号W1の周波数fを高くする場合、CPU41は、RAM43に記憶されている受信情報が示す受信信号W2の周波数f´が、送信信号W1の周波数fが高くなるのに連動して高くなるか否かを判定する。なお、受信信号W2の周波数f´の上昇量が送信信号W1の周波数fの上昇量とは異なる場合でも、CPU41は、送信信号W1の周波数fの値の変化に連動して受信信号W2の周波数f´の値が同傾向の変化をしていると判定する。
【0048】
そして、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して受信信号W2における周波数f´の値が同傾向の変化をしていると判定された場合、図4に示されるCPU41は、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波であると推定する。その後、CPU41は、自船の発した送信信号W1の反射波であると推定した受信信号W2に対して演算処理を継続する。具体的に言うと、CPU41は、送信信号W1に連動すると判定された受信信号W2を用いて、送信信号W1を送信してから受信信号W2を受信するまでの時間(到達時間t)を計測する。そして、CPU41は、計測した到達時間tに基づいて、自船から対象物A1までの距離Lを、L=V×t/2の式から算出する。また、CPU41は、送信信号W1に連動すると判定された受信信号W2を用いて、送信信号W1の周波数fと受信信号W2の周波数f´とに基づき、自船と対象物A1との相対速度vを、上記したドップラーシフトの式(f´=f×(V+v)/(V−v)またはf´=f×(V−v)/(V+v))から算出する。
【0049】
一方、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して受信信号W2における周波数f´の値が同傾向の変化をしていないと判定された場合、図4に示されるCPU41は、受信信号W2が自船の発した送信信号W1の反射波ではない(即ち、混信が生じている)と判別して、受信信号W2を排除(即ち、受信信号W2をノイズとして無視)する。
【0050】
次に、水中に超音波W(送信信号W1)を繰り返し照射することで他船(他機)の発した超音波W3(図2参照)の影響を排除し、自船(魚群探知機11)が発した超音波Wに基づいて対象物A1(図1参照)を検知する方法(超音波検知方法)を説明する。ここでは、制御装置40のCPU41によって行われる処理(演算処理)を説明する。なお、この処理は、超音波検知プログラムに基づいて実行される。超音波検知プログラムは、CPU41に対して、パラメータ変更ステップ、送信ステップ、受信ステップ及び信号判別ステップを順次複数回実行させるためのものである。
【0051】
まず、魚群探知機11の電源(図示略)をオンする。次に、図7に示されるステップS10において、CPU41は、送信信号W1のパラメータ、具体的には、周波数f、送信間隔L1(図5参照)、バースト長L3(図5参照)及び音圧を決定して、ステップS20の処理へ移行する。ステップS20において、CPU41は、送信回路44から第1の超音波センサ21に対して電圧(電気信号)を印加(出力)させる制御を行い、第1の超音波センサ21を駆動させる。その結果、第1の超音波センサ21を構成する圧電素子24が振動し、第1の超音波センサ21から水中に対して超音波Wのバースト波が送信信号W1として照射(送信)される。
【0052】
そして、送信信号W1が対象物A1に到達すると、送信信号W1は、対象物A1で反射して反射波となり、魚群探知機11に向かって伝搬し、受信信号W2として第2の超音波センサ22に入力(受信)される。その後、第2の超音波センサ22が受信した受信信号W2は、電気信号に変換され、受信回路45を介してCPU41に入力される。
【0053】
続くステップS30において、CPU41は、第2の超音波センサ22が受信した受信信号W2の中に、周波数f´(周波数f)及び受信間隔(送信間隔L1)が送信信号W1に近い信号があるか否かを判定する。本実施形態において、CPU41は、送信信号W1との周波数f(周波数f´)の差が5%未満であって、送信信号W1との送信間隔L1(受信間隔)の差が5%未満である受信信号W2があるか否かを判定する。送信信号W1に近い受信信号W2がない場合(ステップS30:NO)、CPU41はステップS40の処理へ移行する。ステップS40において、CPU41は、送信信号W1の音圧を上昇させる処理を行う。具体的に言うと、CPU41は、送信信号W1に近い受信信号W2を受信できるまで、制御装置40の能力の範囲内で送信信号W1の振幅を大きくする。
【0054】
その後、CPU41はステップS20の処理へ移行する。なお、ステップS20,S30,S40の順番に行われる処理は、周波数f´(周波数f)及び受信間隔(送信間隔L1)が送信信号W1に近い受信信号W2を受信できるまでの間繰り返される。そして、送信信号W1に近い受信信号W2を受信できた時点で(ステップS30:YES)、CPU41は、受信信号W2の対象となる受信波の中で比較的近距離で着目すべき反射波を選定し、その受信波の振幅が信号処理に適正な範囲となるように、送信信号W1の振幅を調整する。その後、CPU41は、ステップS50の処理へ移行する。
【0055】
ステップS50において、CPU41は、ステップS30において見つけた受信信号W2を自船からの送信信号W1の反射波であると仮定する。そして、CPU41は、送信信号W1を送信してから受信信号W2を受信するまでの時間(到達時間t)を計測し、計測した到達時間tに基づいて、自船から対象物A1までの距離Lを算出する。
【0056】
続くステップS60(パラメータ変更ステップ)において、CPU41は、送信信号W1のバースト波の送信間隔L1(パラメータ)の値を変更する処理を行う。具体的に言うと、CPU41は、対象物A1までの距離Lが短い場合(例えば10m未満である場合)に、送信信号W1の送信間隔L1を短くする。詳述すると、CPU41は、RAM43から取得した送信間隔振分用乱数の値に基づき、送信間隔変化量パターン振分テーブル(図6参照)に振り分けられている送信間隔変化量パターンPa−1〜Pa−8のうち、変化量が負(−)となる複数の送信間隔変化量パターンPa−1〜Pa−4の中から1つの送信間隔変化量パターンを決定する。また、CPU41は、対象物A1までの距離Lが長い場合(例えば10m以上である場合)に、送信信号W1の送信間隔L1を長くする。詳述すると、CPU41は、RAM43から取得した送信間隔振分用乱数の値に基づき、送信間隔変化量パターン振分テーブルに振り分けられている送信間隔変化量パターンPa−1〜Pa−8のうち、変化量が正(+)となる複数の送信間隔変化量パターンPa−5〜Pa−8の中から1つの送信間隔変化量パターンを決定する。
【0057】
続くステップS70(送信ステップ)において、CPU41は、送信間隔L1が変更されたバースト波を送信信号W1として送信し、ステップS80の処理へ移行する。ステップS80(受信ステップ)において、CPU41は、送信信号W1の反射波を受信信号W2として受信し、ステップS90の処理へ移行する。
【0058】
ステップS90(信号判別ステップ)において、CPU41は、送信間隔L1の値の変化に連動して受信信号W2における送信間隔(受信間隔)の値が同傾向の変化をするか否かを判定する。具体的に言うと、CPU41は、ステップS60において送信間隔L1を短くした場合に、受信信号W2の受信間隔が、送信間隔L1が短くなるのに連動して短くなるか否かを判定する。一方、CPU41は、ステップS60において送信間隔L1を長くした場合に、受信信号W2の受信間隔が、送信間隔L1が長くなるのに連動して長くなるか否かを判定する。
【0059】
そして、送信間隔L1の値の変化に連動して受信信号W2の受信間隔の値が同傾向の変化をしないと判定された場合(ステップS90:NO)、CPU41はステップS100の処理へ移行する。ステップS100(信号判別ステップ)において、CPU41は、連動しない受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波ではないと判別して排除(即ち、受信信号W2をノイズとして無視)する処理を行う。また、連動している受信信号W2を全く検知できない場合、CPU41は、ステップS40の処理へ移行する。
【0060】
一方、ステップS90において、送信間隔L1の値の変化に連動して受信信号W2の受信間隔の値が同傾向の変化をすると判定された場合(ステップS90:YES)、CPU41は、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波であると推定し、図8に示されるステップS110の処理へ移行する。ステップS110(パラメータ変更ステップ)において、CPU41は、受信信号W2の判別に用いる送信信号W1のパラメータの種類を、送信間隔L1から周波数fに変更する。そして、CPU41は、送信信号W1の周波数fと受信信号W2の周波数f´とを比較し、ステップS120の処理へ移行する。
【0061】
ステップS120(パラメータ変更ステップ)において、CPU41は、送信信号W1のバースト波の周波数f(パラメータ)の値を変更する処理を行う。具体的に言うと、CPU41は、受信信号W2の周波数f´が送信信号W1の周波数fよりも高い場合に、送信信号W1の周波数fを低くする。また、CPU41は、受信信号W2の周波数f´が送信信号W1の周波数fよりも低い場合に、送信信号W1の周波数fを高くする。なお、自船と対象物A1とが相対的に移動している状況下では、ドップラーシフトが生じる。よって、対象物A1が例えば相対速度vで近付いている場合、CPU41は、音速をVとしたときに、受信信号W2の周波数f´を、f´=f×(V+v)/(V−v)の式から算出する。この場合、算出した周波数f´は、送信信号W1の周波数fよりも大きくなる。そして、CPU41は、送信信号W1の周波数fを、ドップラーシフト分を相殺するように変更する。具体的に言うと、CPU41は、受信信号W2の周波数f´が現時点の送信信号W1の周波数fと等しくなるように、送信信号W1の周波数fを低くする制御を行う。
【0062】
一方、対象物A1が例えば相対速度vで遠ざかっている場合、CPU41は、受信信号W2の周波数f´を、f´=f×(V−v)/(V+v)の式から算出する。この場合、算出した周波数f´は、周波数fよりも小さくなる。そして、CPU41は、受信信号W2の周波数f´が現時点の送信信号W1の周波数fと等しくなるように、送信信号W1の周波数fを高くする制御を行う。
【0063】
続くステップS130(送信ステップ)において、CPU41は、周波数fが変更されたバースト波を送信信号W1として送信し、ステップS140の処理へ移行する。ステップS140(受信ステップ)において、CPU41は、送信信号W1の反射波を受信信号W2として受信し、ステップS150の処理へ移行する。
【0064】
ステップS150(信号判別ステップ)において、CPU41は、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して受信信号W2における周波数f´の値が同傾向の変化をするか否かを判定する。具体的に言うと、CPU41は、ステップS120において送信信号W1における周波数fを低くした場合に、受信信号W2の周波数f´が、送信信号W1における周波数fが低くなるのに連動して低くなるか否かを判定する。一方、CPU41は、ステップS120において送信信号W1における周波数fを高くした場合に、受信信号W2の周波数f´が、送信信号W1における周波数fが高くなるのに連動して高くなるか否かを判定する。
【0065】
そして、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して受信信号W2の周波数f´の値が同傾向の変化をしないと判定された場合(ステップS150:NO)、CPU41はステップS160の処理へ移行する。ステップS160(信号判別ステップ)において、CPU41は、連動しない受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波ではないと判別して排除(即ち、受信信号W2をノイズとして無視)する処理を行う。その後、CPU41は、ここでの処理を終了する。
【0066】
一方、ステップS150において、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して受信信号W2の周波数f´が同傾向の変化をすると判定された場合(ステップS150:YES)、CPU41は、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波であると判別する。なお、この時点で、対象物A1が探知される。即ち、本実施形態では、パラメータ変更ステップ(ステップS60またはステップS120)、送信ステップ(ステップS70またはステップS130)、受信ステップ(ステップS80またはステップS140)及び信号判別ステップ(ステップS90,S100またはステップS150,S160)を順次2回繰り返して実行することにより、対象物A1を探知する。
【0067】
続くステップS170において、CPU41は、送信信号W1に連動すると判定された受信信号W2を用いて、送信信号W1を送信してから受信信号W2を受信するまでの時間(到達時間t)を計測し、計測した到達時間tに基づいて、自船から対象物A1までの距離Lを算出する。続くステップS180において、CPU41は、送信信号W1に連動すると判定された受信信号W2を用いて、送信信号W1の周波数fと受信信号W2の周波数f´との差に基づいて相対速度vを算出する。続くステップS190において、CPU41は、算出した対象物A1までの距離Lと相対速度vとに基づいて、所望の動作(本実施形態では、魚群などの対象物A1の捕獲)に関するフィードバックを行う。例えば、距離Lが短く、相対速度vが小さい場合は、他船との衝突リスクが高いため、送信信号W1の送信間隔L1を短くすることにより、受信信号W2の受信間隔(観測間隔)を短くする。そして、CPU41は、ここでの処理を終了する。
【0068】
その後、作業者が電源をオフすると、制御装置40により送信回路44及び受信回路45が停止し、送信信号W1の照射及び受信信号W2の受信が終了する。
【0069】
なお、上記のステップS150において、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して受信信号W2の周波数f´が同傾向の変化をすると判定された場合(ステップS150:YES)、必要であれば(まだ混信の疑いが残るようであれば)、バースト長L3の値の変更を行ってもよい。この場合、CPU41は、ステップS150の直後にステップS210(パラメータ変更ステップ)を行い、送信信号W1のバースト長L3を変更する処理を行う。ところで、残響の発生、自船近傍における複数の対象物A1の存在、超音波Wの伝搬経路の広がり等の要因により、送信信号W1のバースト長L3よりも受信信号W2のバースト長が長くなることが度々発生する。そこで、本実施形態では、送信信号W1のバースト長L3と比較して、受信信号W2のバースト長が予め認識している残響の長さ分以上に長い場合に、CPU41は、バースト長L3を短くする処理を行う。このようにすれば、対象物A1が複数ある場合であっても、受信信号W2(反射波)の分離を試みることができる。また、状況として可能であれば、CPU41は、反射波の分離ができる範囲内で送信信号W1のバースト長L3を変更する。
【0070】
続くステップS220(送信ステップ)において、CPU41は、バースト長L3が変更されたバースト波を送信信号W1として送信し、ステップS230の処理へ移行する。ステップS230(受信ステップ)において、CPU41は、送信信号W1の反射波を受信信号W2として受信し、ステップS240の処理へ移行する。
【0071】
ステップS240(信号判別ステップ)において、CPU41は、送信信号W1におけるバースト長L3の値の変化に連動して受信信号W2におけるバースト長の値が同傾向の変化をするか否かを判定する。そして、送信信号W1におけるバースト長L3の値の変化に連動して受信信号W2のバースト長の値が同傾向の変化をしないと判定された場合(ステップS240:NO)、CPU41はステップS160の処理へ移行する。一方、送信信号W1におけるバースト長L3の値の変化に連動して受信信号W2のバースト長が同傾向の変化をすると判定された場合(ステップS240:YES)、CPU41はステップS170の処理へ移行する。
【0072】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0073】
(1)本実施形態の魚群探知機11では、CPU41が、送信信号W1におけるパラメータ(送信間隔L1)の値を不規則に変更している。このため、自船の送信信号W1のパラメータと同じ変更態様で送信信号のパラメータを変更する別の漁船(他船)が存在したとしても、自船の送信信号W1のパラメータを、他船の送信信号のパラメータとは異なるものにすることができる。この場合、CPU41が、送信信号W1の送信間隔L1の変化に連動して受信信号W2の受信間隔が同傾向の変化をするか否かを判定することにより、受信信号W2が自船の発した送信信号W1の反射波であるか否かを確実に判別することができる。その結果、他船が発した送信信号との混信を防止することができる。
【0074】
(2)本実施形態では、パラメータの種類を変えて2段階のパラメータ値の連動判定(具体的には、送信信号W1の送信間隔L1の変化に連動して受信信号W2の受信間隔が同傾向の変化をするか否かの判定と、送信信号W1の周波数fの変化に連動して受信信号W2の周波数f´が同傾向の変化をするか否かの判定)を行っている。そして、両判定の判定結果が全て肯定となるときにはじめて、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波であると判別している。その結果、パラメータの判定を1段階しか行わない場合に比べて、受信信号W2の判別が正確に行われるため、他船が発した送信信号との混信を確実に防止することができる。
【0075】
(3)特許文献4に記載の従来技術には、“超音波信号の送波周波数を切替えることにより、雑音(ノイズ)と、移動体に反射して受波された受波信号とを識別する識別手段”が開示されている。しかし、複数の移動体がそれぞれ同じ超音波検知装置(超音波センサ)を搭載してセンシングを行っている状況下においては、混信を避けることができない。何故なら、各移動体が相対的に移動している状況下ではドップラーシフトが生じるため、受信した超音波が、周波数を切り替えた超音波であるのか、ドップラーシフトの影響を受けた超音波であるのかを判別することは困難だからである。この場合、他機の発した送信信号を自機の発した送信信号の反射波であると誤判定してしまうという問題がある。
【0076】
一方、本実施形態では、受信信号W2のパラメータの値が送信信号W1のパラメータの値の変化に連動していなければ、受信信号W2がドップラーシフトの影響を受けているか否かにかかわらず、その受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波ではないと判別して排除することができる。このため、他船が発した送信信号との混信を確実に防止することができる。
【0077】
(4)特許文献5には、送信する超音波(送信信号)にID番号を付与したり、送信信号にFM変調(周波数変調)を施したりすることにより、自機の送信信号の反射波(受信信号)を判別しやすくする技術が開示されている。なお、ID番号を利用した反射波の判別方法は、例えば、“予め準備しておいた鍵と一致する反射波を、自機の送信信号の反射波と認識する”という考え方と同様であると言える。しかしながら、鍵の数は有限であるため、多くの反射波を判別することは困難である。また、特許文献5では、FM変調などの複雑な信号処理を行う必要があるため、送受信回路が大きくなり、超音波検知装置が高価でかつ重くなる傾向にある。
【0078】
一方、本実施形態の超音波検知装置(魚群探知機11)は、送信信号W1に元々規定されているパラメータ(送信間隔L1や周波数f等)の値を変更するだけで、反射波(受信信号W2)の判別を行っているため、ID番号を付与したり、複雑な信号処理を行ったりする必要はない。よって、超音波検知装置を比較的安価に製造することができ、かつ超音波検知装置の軽量化を図ることができる。ゆえに、本実施形態の超音波検知装置は、空中移動する空中ドローン等への搭載に適したものとなる。
【0079】
(5)本実施形態では、超音波Wを送受信する超音波センサを、送信信号W1を送信する第1の超音波センサ21と、受信信号W2を受信する第2の超音波センサ22とに分けている。この場合、第1の超音波センサ21から送信信号W1を送信する際においても、第2の超音波センサ22は信号を受信可能であるため、送信信号W1の反射波をそのまま受信信号W2として受信することができ、送信信号W1と受信信号W2との間でパラメータの比較(送信間隔L1と受信間隔との比較や、周波数fと周波数f´との比較)を確実に行うことができる。また、環境の変化や経年劣化によって超音波センサ21,22の特性が変わったとしても、パラメータの比較自体は可能であるため、特性の変化に起因する誤判定を防止することができる。
【0080】
[第2実施形態]
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、前記第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。本実施形態では、周波数fの値の変更態様が第1実施形態とは異なっている。
【0081】
詳述すると、本実施形態の魚群探知機11では、第1の超音波センサ21の周波数帯域及び第2の超音波センサ22の周波数帯域が、ともに、下限周波数f1が140kHz、上限周波数f2が240kHzとなる周波数の範囲となっている。また、制御装置40のROM42には、送信信号W1の周波数fの変化量(kHz)を示す複数の周波数変化量パターンPb−1〜Pb−8が振り分けられた周波数変化量パターン振分テーブル(図9参照)が記憶されている。
【0082】
ところで、上記第1実施形態においてステップS150(図8参照)の処理を行ったにもかかわらず、自船の発した送信信号W1の反射波であると特定できない受信信号W2が存在し、その受信信号W2の周波数f´の値が送信信号W1の周波数fの値に近い場合がある。この場合、本実施形態のCPU41は、例えば、乱数抽選によって選択したパターンに基づいて、送信信号W1における周波数f(パラメータ)の値を、160kHz〜220kHzの間で規則性がないように変更する。
【0083】
具体的に言うと、CPU41は、RAM43から取得した周波数振分用乱数の値に基づき、周波数変化量パターン振分テーブル(図9参照)に振り分けられている複数の周波数変化量パターンPb−1〜Pb−8の中から1つの周波数変化量パターンを決定する。そして、CPU41は、決定した周波数変化量パターンをRAM43に記憶する。さらに、CPU41は、RAM43に記憶されている周波数変化量パターンが示す周波数fの変化量に基づいて、送信信号W1における周波数fの値の変更を行う。
【0084】
次に、CPU41は、送信信号W1における周波数fの値の変化に連動して、受信信号W2における周波数f´の値が同傾向の変化をするか否かを判定する。そして、周波数fの値の変化に連動して周波数f´の値が同傾向の変化をしていると判定された場合、CPU41は、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波であると推定する。一方、周波数fの値の変化に連動して周波数f´の値が同傾向の変化をしていないと判定された場合、CPU41は、受信信号W2を自船の発した送信信号W1の反射波ではないと判別して排除(即ち、受信信号W2をノイズとして無視)する。
【0085】
[第3実施形態]
以下、本発明を具体化した第3実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、前記第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。本実施形態では、魚群探知機の電気的構成が第1実施形態とは異なっている。
【0086】
詳述すると、図10に示されるように、本実施形態の魚群探知機51(超音波検知装置)では、制御装置52(コンピュータ)のCPU53が、学習部54及び変更動作実行部55としての機能を有している。また、制御装置52のRAM56は、記憶部57としての機能を有している。
【0087】
また、学習部54は、送信信号W1のパラメータの種類及び値の変更態様に基づいて、受信信号W2を判別するのに要する時間(判別時間)を短縮する方法を学習する。例えば、学習部54は、送信信号W1を規定する複数種類のパラメータ(周波数f、送信間隔L1、振幅L2、バースト長L3、音圧等)のうち、どのパラメータを用いて、どの程度の振り幅(変化量)で変更すれば判別時間T1を短縮できるかを学習する。詳述すると、まず、学習部54は、複数種類のパラメータの中から1つのパラメータを選択する。次に、学習部54は、選択したパラメータの値を変更するパラメータ変更ステップ(図7図8のステップS60,S120参照)の開始時に、タイマ(0ms)をRAM56のタイマ記憶領域に設定(記憶)する。また、学習部54は、パラメータ変更ステップの開始時に設定したタイマを割込み(例えば4ms)ごとに加算する。その後、パラメータの値が変更された送信信号W1に関して、上記した送信ステップ(ステップS70,S130参照)、受信ステップ(ステップS80,S140参照)、信号判別ステップ(ステップS90,S150参照)を順番に実行させる。そして、信号判別ステップの終了時に、学習部54は、タイマを停止させ、その時点における時間(判別時間T1)を計測する。その後、学習部54は、それぞれのパラメータについて判別時間T1を計測することにより、「どのパラメータを用いれば判別時間T1を短縮できるか」についての学習結果G1を得ることができる。
【0088】
さらに、図10に示される学習部54は、上記した複数種類のパラメータのうち、どの順番でパラメータの判定を行えば、受信信号W2を判別するのに要する時間(判別時間T2)を短縮できるかを学習する。詳述すると、まず、学習部54は、複数種類のパラメータの中から1つのパラメータ(例えば、送信間隔L1)を選択する。次に、学習部54は、選択したパラメータに関して、パラメータ変更ステップ、送信ステップ、受信ステップ、信号判別ステップを順番に実行させる。また、学習部54は、パラメータ変更ステップの開始時に、タイマ(0ms)をRAM56のタイマ記憶領域に設定(記憶)し、設定したタイマを割込み(例えば4ms)ごとに加算する。
【0089】
1回目の信号判別ステップの終了後、学習部54は、複数種類のパラメータの中から、前回選択したパラメータとは別のパラメータ(例えば、周波数f)を選択し、選択した別のパラメータに関しても、パラメータ変更ステップ、送信ステップ、受信ステップ、信号判別ステップを順番に実行させる。そして、2回目の信号判別ステップの終了時に、学習部54は、タイマを停止させ、その時点における時間(判別時間T2)を計測する。その後、学習部54は、他の組み合わせ(例えば、1回目:バースト長L3、2回目:送信間隔L1など)においてもパラメータ変更ステップ、送信ステップ、受信ステップ、信号判別ステップを順番に実行させ、判別時間T2を計測する。その結果、「どの順番でパラメータの判定を行えば判別時間T2を短縮できるか」についての学習結果G2を得ることができる。
【0090】
また、図10に示される学習部54は、それぞれのパラメータにおいて、パラメータの値をどのように変更すれば、受信信号W2を判別するのに要する時間(判別時間T3)を短縮できるかを学習する。詳述すると、まず、学習部54は、複数種類のパラメータの中から1つのパラメータ(ここでは、周波数f)を選択する。次に、学習部54は、パラメータ変更ステップを行い、選択したパラメータの値を大きくする。また、学習部54は、パラメータ変更ステップの開始時に、タイマ(0ms)をRAM56のタイマ記憶領域に設定(記憶)し、設定したタイマを割込み(例えば4ms)ごとに加算する。さらに、学習部54は、送信ステップ、受信ステップ、信号判別ステップを順番に実行させる。そして、信号判別ステップの終了時に、学習部54は、タイマを停止させ、その時点における時間(判別時間T3)を計測する。
【0091】
次に、学習部54は、パラメータ変更ステップにおいて、選択したパラメータ(ここでは、周波数f)の値を小さくした後、送信ステップ、受信ステップ、信号判別ステップを順番に実行させ、判別時間T3を計測する。そして、学習部54は、パラメータの値を大きくした場合の計測時間T3と、パラメータの値を小さくした場合の計測時間T3とを比較する。その結果、学習部54は、「パラメータの値をどのように変更すれば判別時間T3を短縮できるか」についての学習結果G3を得ることができる。また、学習部54は、別のパラメータ(送信間隔L1、振幅L2、バースト長L3、音圧等)についても、パラメータの値を大きくした場合と小さくした場合の判別時間T3をそれぞれ計測して両者を比較することにより、学習結果G3を得ることができる。なお、本実施形態では、パラメータが連動するか否かを確認する信号判別ステップ(ステップS90,S150参照)を行っているが、信号判別ステップでの誤判別が修正されたか否かの情報も取得し、それを学習結果に含めてもよい。
【0092】
なお、図10に示される学習部54は、得られた学習結果G1〜G3を示すデータを記憶部57に記憶する。そして、変更動作実行部55は、記憶部57に記憶されている学習結果G1〜G3に基づいて、パラメータの種類及び値の変更態様を決定し、その決定した内容に沿ってCPU53による変更動作を行わせる。
【0093】
従って、本実施形態によれば、学習部54による学習結果G1〜G3に基づいて、送信信号W1のパラメータの種類及び値の変更態様が最適化されるため、最適化した内容に沿って送信信号W1のパラメータを変更することにより、受信信号W2の判別に要する時間を確実に短縮することができる。しかも、学習部54による学習機会を多くすれば、送信信号W1のパラメータの変更態様がより最適化されていくため、受信信号W2の判別に要する時間をさらに短縮することが可能となる。
【0094】
[第4実施形態]
以下、本発明を具体化した第4実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、前記第3実施形態と相違する部分を中心に説明する。本実施形態では、魚群探知機の電気的構成が第3実施形態とは若干異なっている。
【0095】
詳述すると、図11に示されるように、本実施形態の魚群探知機61(超音波検知装置)では、制御装置62(コンピュータ)のCPU63が、変更動作実行部64としての機能を有しているものの、前記第3実施形態の学習部54としての機能は有していない。また、制御装置62のRAM65は、記憶部66としての機能を有している。記憶部66には、前記第3実施形態の学習結果G1〜G3と同じ学習結果を示す学習済データが予め記憶されている。そして、変更動作実行部64は、記憶部66に記憶されている学習結果に基づいて、パラメータの種類及び値の変更態様を決定し、その決定した内容に沿ってCPU63による変更動作を行わせる。
【0096】
従って、本実施形態によれば、記憶部66に記憶されている学習結果に基づいて、送信信号W1のパラメータの種類及び値の変更態様が最適化されるため、最適化した内容に沿って送信信号W1のパラメータを変更することにより、受信信号W2の判別に要する時間を確実に短縮することができる。
【0097】
なお、上記各実施形態を以下のように変更してもよい。
【0098】
・上記実施形態では、送信信号W1のパラメータ(送信間隔L1)の値を規則性がないように変更する一方、送信信号W1のパラメータの種類を規則的に変更していた(送信間隔L1→周波数f)。しかし、送信信号W1のパラメータの種類を規則性がないように変更する一方、送信信号W1のパラメータの値を規則的に変更するようにしてもよい。また、送信信号W1におけるパラメータの種類及び値の両方を、規則性がないように変更してもよい。
【0099】
・上記実施形態では、送信信号W1の送信間隔L1と送信信号W1の周波数fとを変更する処理を行うことにより、受信信号W2が自船の発した送信信号W1の反射波であるか否かを判別していた。しかし、送信間隔L1を変更する処理及び周波数fを変更する処理の少なくとも一方を、送信信号W1の振幅L2、バースト長L3、音圧等を変更する処理に変更することにより、受信信号W2が自船の発した送信信号W1の反射波であるか否かを判別してもよい。また、送信間隔L1を変更する処理及び周波数fを変更する処理に加えて、振幅L2を変更する処理、バースト長L3を変更する処理及び音圧を変更する処理の少なくとも1つを行うことにより、受信信号W2が自船の発した送信信号W1の反射波であるか否かを判別してもよい。
【0100】
・上記実施形態では、ステップS50〜S100の処理(送信間隔L1を変化させ、その変化に連動して受信信号W2の受信間隔も変化するか否かを判定する処理)を行った後、ステップS110〜S160の処理(周波数fを変化させ、その変化に連動して受信信号W2の周波数f´も変化するか否かを判定する処理)を行っていた。しかし、ステップS110〜S160の処理を行った後、ステップS50〜S100の処理を行ってもよい。
【0101】
・上記実施形態では、対象物A1までの距離Lが短いとき(例えば10m未満である場合)に送信信号W1の送信間隔L1を短くし、対象物A1までの距離Lが長いとき(例えば10m以上である場合)に送信信号W1の送信間隔L1を長くする処理(図7のステップS60参照)を行っていた。しかし、ステップS60において、対象物A1までの距離Lが短いときに送信間隔L1を大幅に短くし、対象物A1までの距離Lが長いときに送信間隔L1を少しだけ短くする処理を行ってもよい。また、ステップS60において、対象物A1までの距離Lが短いときに送信間隔L1を少しだけ長くし、対象物A1までの距離Lが長いときに送信間隔L1を大幅に長くする処理を行ってもよい。さらに、ステップS60において、対象物A1までの距離Lが短いときに送信間隔L1を長くし、対象物A1までの距離Lが長いときに送信間隔L1を短くする処理を行ってもよい。但し、対象物A1が魚群ではなく、他船(他機)である場合には、対象物A1までの距離Lが短いときに送信信号W1の送信間隔L1を短くすることが良い。このようにすれば、受信信号W2の受信間隔も短くなるため、受信信号W2の判別を素早く行うことができ、その判別結果に基づいて、他船との衝突を回避する動作を素早く行うことができる。その結果、他船との衝突リスクが低くなる。
【0102】
・上記実施形態では、対象物A1までの距離Lが短いときに送信信号W1の送信間隔L1を短くし、対象物A1までの距離Lが長いときに送信信号W1の送信間隔L1を長くする処理(図7のステップS60参照)を行っていた。しかし、ステップS50において、受信信号W2の振幅を測定し、ステップS60において、受信信号W2の振幅が大きい場合に送信信号W1の振幅L2(図5参照)を小さくし、受信信号W2の振幅が小さい場合に送信信号W1の振幅L2を大きくする処理を行ってもよい。このようにすれば、着目している送信信号W1の反射波である受信信号W2の振幅が信号処理に適した大きさとなるように、送信信号W1の振幅L2が制御される。この場合、受信信号W2の処理回路である受信回路45において、受信信号W2の増幅率の可変範囲を比較的小さくしたり、AD変換のダイナミックレンジを比較的狭くしたりすることができるため、低コストの受信回路45を採用することができる。また、受信信号W2の振幅が大きい場合には送信信号W1の振幅L2を小さくするため、不要な騒音の放散を抑え、かつ、必要以上のエネルギーの使用を抑えることができる。逆に、受信信号W2の振幅が小さい場合には、微弱な受信信号W2での演算処理を避けるために送信信号W1の振幅L2を大きくするため、CPU41による受信信号W2の判別を確実に行うことができる。
【0103】
・上記実施形態において、対象物A1までの距離Lが短いときに送信信号W1の周波数fを低くする処理を行ってもよい。即ち、対象物A1までの距離Lが短くなると、ドップラーシフトにより受信信号W2の周波数f´が高くなるため、ドップラーシフトを打ち消すように送信信号W1の周波数fを低くしてもよい。このようにすれば、受信信号W2の周波数f´を一定にすることができ、第2の超音波センサ22の中心周波数fm付近に受信信号W2の周波数f´を揃えることができるため、受信信号W2の周波数f´が第2の超音波センサ22の周波数帯域を外れることを防止できる。しかも、第2の超音波センサ22として、比較的狭い周波数帯域を有するものを準備すれば済むため、第2の超音波センサ22の製造コストを抑えることができる。
【0104】
・上記実施形態において、対象物A1までの距離Lが短いときに送信信号W1の音圧を低くし、対象物A1までの距離Lが長いときに送信信号W1の音圧を高くする処理を行ってもよい。このようにすれば、第2の超音波センサ22が受信する時点での受信信号W2の音圧が一定になる。
【0105】
・上記実施形態において、ステップS20とステップS30との間のタイミングで、第2の超音波センサ22が受信信号W2を受信したか否かを判定する受信判定ステップを行ってもよい。そして、第2の超音波センサ22が受信信号W2を受信していないと判定された場合に、パラメータ変更ステップ(ステップS60,S120,S210)、送信ステップ(ステップS70,S130,S220)、受信ステップ(ステップS80,S140,S230)及び信号判別ステップ(ステップS90,S100,S150,S160,S240)を行わないようにしてもよい。
【0106】
・上記実施形態において、CPU41は、距離L(図8のステップS170参照)の時系列での変化量ΔLと、相対速度v(図8のステップS180参照)から算出される距離変化量とを比較する処理を行ってもよい。この場合、変化量ΔLが距離変化量から逸脱していないか否か(即ち、変化量ΔLの値が距離変化量の値とほぼ等しいか否か)を判定することにより、計測エラーの有無を判定することができる。なお、距離変化量は、相対速度vと経過時間Δtとの積によって求められるものである。
【0107】
・上記第3実施形態の学習部54は、送信信号W1のパラメータの種類及び値の変更態様に基づいて、受信信号W2の判別に要する時間を短縮する方法を学習するものであったが、他の学習を行うものであってもよい。例えば、学習部54は、受信信号W2を正確に判別する方法を学習するものであってもよい。詳述すると、学習部54は、送信信号W1を規定する複数種類のパラメータ(周波数f、送信間隔L1、振幅L2、バースト長L3、音圧等)のうち、どのパラメータを用いれば受信信号W2を正確に判別できるかを学習するものであってもよい。また、学習部54は、複数種類のパラメータのうち、どの順番でパラメータの判定を行えば、受信信号W2を正確に判別できるかを学習するものであってもよい。さらに、学習部54は、それぞれのパラメータにおいて、パラメータの値をどのように変更(例えば、加算または減算)すれば、受信信号W2を正確に判別できるかを学習するものであってもよい。
【0108】
・上記第3実施形態の制御装置52では、CPU53が学習部54及び変更動作実行部55としての機能を有し、RAM56が記憶部57としての機能を有していた。しかし、制御装置52とは別の制御装置のCPUが、学習部54及び変更動作実行部55としての機能を有していてもよいし、制御装置52とは別の制御装置のRAMが記憶部57としての機能を有していてもよい。同様に、上記第4実施形態の制御装置62では、CPU63が変動動作実行部64としての機能を有し、RAM65が記憶部66としての機能を有していた。しかし、制御装置62とは別の制御装置のCPUが変動動作実行部64としての機能を有していてもよいし、制御装置62とは別の制御装置のRAMが記憶部66としての機能を有していてもよい。
【0109】
・上記第4実施形態では、記憶部66に、上記第3実施形態の学習結果G1〜G3と同じ学習結果を示す学習済データが予め記憶されていた。しかし、学習済データは、Bluetooth (ブルートゥース エスアイジー,インコーポレイテッドの登録商標)、赤外線通信、インターネット回線(電話回線等)などの通信手段を介して制御装置62に送信されるものであってもよい。また、学習済データは、制御装置62が備えるUSB端子にUSB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ等を接続することにより、制御装置62に送信されるものであってもよいし、制御装置62に電気的に接続されたICカードリーダライタにICカード(integrated circuit card )を装着することにより、制御装置62に送信されるものであってもよい。
【0110】
・上記第1実施形態では、第1の超音波センサ21の周波数帯域が第2の超音波センサ22の周波数帯域よりも広くなっていた。また、上記第2実施形態では、第1の超音波センサ21の周波数帯域が第2の超音波センサ22の周波数帯域と同じ広さとなっていた。しかし、第1の超音波センサ21の周波数帯域は、第2の超音波センサ22の周波数帯域より狭くてもよい。また、第2の超音波センサ22で受信信号W2を受信したことを契機として生成される電気信号が入力される受信回路45に、増幅回路を設け、受信信号W2のレベルに合わせて増幅率を調整してもよい。
【0111】
・上記各実施形態では、超音波センサが、送信信号W1を送信する第1の超音波センサ21と、受信信号W2を受信する第2の超音波センサ22とからなっていた。しかし、超音波センサは、送信信号W1を送信する機能と受信信号W2を受信する機能とを有する1つの超音波センサであってもよい。
【0112】
・上記各実施形態では、超音波Wの照射方向を変更しない魚群探知機11,51,61が超音波検知装置として用いられていたが、超音波Wの照射方向を変更するソナーを超音波検知装置として用いてもよい。なお、超音波Wの照射方向を変更する場合には、対象物A1の検知範囲を広くすることができる。また、上記各実施形態の超音波検知装置は、漁船10に搭載されて用いられていたが、海洋探査船などの他の船舶に搭載して用いてもよい。さらに、超音波検知装置を、空中ドローン、水中ドローン、自動車などのような、船舶とは別の移動体に搭載して用いてもよい。なお、上記各実施形態の対象物A1は魚群であったが、対象物は他の移動体(他機)であってもよい。
【0113】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0114】
(1)請求項1乃至9のいずれか1項において、前記パラメータ変更手段は、前記送信信号の周波数の変化量、及び、前記送信信号の送信間隔の変化量の少なくとも一方を、変化量を示す複数のパターンの中から1つのパターンを選択することにより決定し、決定した変化量に基づいて前記パラメータの値の変更を行うことを特徴とする超音波検知装置。
【0115】
(2)請求項10において、前記パラメータ変更ステップにおいて前記パラメータの種類を変更する度に、前記信号判別ステップにおいて、前記パラメータの値の変化に連動して前記受信信号における当該パラメータの値が同傾向の変化をするか否かの判定を行い、全ての判定の判定結果が肯定となる場合に、前記受信信号を自機の発した前記送信信号の反射波であると判別することを特徴とする超音波検知方法。
【0116】
(3)請求項10において、前記超音波センサが前記受信信号を受信したか否かを判定する受信判定ステップを行い、前記超音波センサが前記受信信号を受信してないと判定された場合に、前記パラメータ変更ステップ、前記送信ステップ、前記受信ステップ及び前記信号判別ステップを行わないことを特徴とする超音波検知方法。
【符号の説明】
【0117】
11,51,61…超音波検知装置としての魚群探知機
21…超音波センサとしての第1の超音波センサ
22…超音波センサとしての第2の超音波センサ
40,52,62…コンピュータとしての制御装置
41,53,63…パラメータ変更手段及び信号判別手段としてのCPU
54…学習部
57,66…記憶部
55,64…変更動作実行部
A1…対象物
f…送信信号の周波数
f´…受信信号の周波数
fm…中心周波数
G1〜G3…学習結果
L…対象物までの距離
L1…送信間隔
L2…振幅
L3…バースト長
W…自機の発した超音波
W1…送信信号
W2…受信信号
W3…他機の発した超音波
【要約】
他機が発した超音波との混信を防止できる超音波検知装置の提供を課題とする。本発明の超音波検知装置11は、自機の発した超音波Wに基づいて対象物A1を検知する装置である。超音波検知装置11は、超音波センサ21,22、パラメータ変更手段及び信号判別手段を備える。超音波センサ21,22は、複数種類のパラメータにて規定される超音波Wのバースト波を送信信号W1として送信するとともに、その反射波を受信信号W2として受信する。パラメータ変更手段は、送信信号W1のパラメータの変更を複数回行う。信号判別手段は、パラメータの変化に連動して受信信号W2のパラメータが同傾向の変化をするか否かの判定を行い、連動しない場合の受信信号W2を自機の発した送信信号W1の反射波ではないと判別して排除する。選択図:図2
図1
図2
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図4
図5
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図10
図11