(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる引き出し式の洗濯機では、スライド手段の内部での抵抗、即ち、特許文献1の構成では、ローラとレールの間の抵抗をできるだけ小さくすることで、ケースからのキャビネットの引き出しを楽に行うことが可能となる。しかしながら、ケースに対してキャビネットが前後方向に動きやすくなると、脱水時等に発生した洗濯槽の振動がサスペンションで減衰しきれずにキャビネットに伝達されたとき、キャビネットが前後方向に激しく振動しやすくなる。
【0005】
通常、閉じられたキャビネットの前面部、即ち扉部とケースの前面との間にはラッチが掛けられ、扉部が開かないようにロックされる。しかしながら、ラッチにはある程度の遊びが設けられるので、キャビネットが前後方向に激しく振動すると、扉部とケースの前面との間で細かな衝突が繰り返され、それにより騒音が発生したり扉部等に破損が生じたりする虞がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、外装ケース内から洗濯槽を引き出す構成の洗濯機において、洗濯槽の振動に起因して扉部と外装ケースとの間で細かな衝突が繰り返されることによる騒音や扉部等の破損の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、前面に出入口を有する外装ケースと、前記出入口を通じて前記外装ケースから出し入れ可能な、洗濯物の洗濯および脱水が行われる洗濯槽と、前記洗濯槽の下方に配置され、サスペンションを介して前記洗濯槽を保持する保持部と、前記洗濯槽の前方にて前記保持部に固定され、前記洗濯槽が前記外槽ケースに収容された状態において前記出入口を塞ぐ扉部と、前記保持部と前記外装ケースとの間に設けられ、前記保持部を前記洗濯槽および扉部とともに前後方向に直線的に移動させるスライド機構部と、前記サスペンションと前記保持部とを連結させる連結部と、を備える。ここで、前記連結部は、前記洗濯槽の前後方向の振動が前記サスペンションを介して前記保持部へ伝達されるのを抑制する防振部を有する。
【0008】
上記の構成によれば、保持部の前後方向の振動を抑制できるので、洗濯槽の振動に起因して扉部と外装ケースとの間で細かな衝突が繰り返される、ということを抑制でき、騒音や扉部等の破損の発生を抑制できる。
【0009】
本態様に係る洗濯機において、前記防振部は、前記保持部側に設けられる移動路と、前記サスペンション側に設けられ、前記移動路上を前後方向に移動する移動体とを含む構成とされ得る。この場合、前記移動体が前記移動路上を移動するときの摩擦抵抗が、前記スライド機構部が前記保持部を移動させるときの摩擦抵抗よりも小さくされる。
【0010】
上記の構成によれば、移動体が保持部よりも前後方向に移動しやすいため、保持部の前後方向の振動を防振部によって効果的に抑制できる。
【0011】
上記の構成とされた場合、さらに、前記移動体は、左右方向に動かないように前記移動路によって案内される構成とされ得る。
【0012】
このような構成とされれば、洗濯槽は前後方向に比べて左右方向に大きく振れることがなく、外装ケースの左右方向のサイズが必要以上に大きくならない。
【0013】
本態様に係る洗濯機において、前記扉部は、緩衝部材を介して前記保持部に固定されるような構成とされ得る。
【0014】
上記の構成によれば、保持部の振動を緩衝部材で吸収できるので、扉部に振動が伝わりにくくなり、扉部と外装ケースとの間の細かな衝突が一層生じにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外装ケース内から洗濯槽を引き出す構成の洗濯機において、洗濯槽の振動に起因して扉部と外装ケースとの間で細かな衝突が繰り返されることによる騒音や扉部等の破損の発生を抑制することができる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態である全自動洗濯機1について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1(a)は、全自動洗濯機1の前方斜視図であり、
図1(b)は、2つの全自動洗濯機1が上下に積まれた状態を示す前方斜視図である。
図2は、外装ケース10の前方へ洗濯槽20が引き出された状態を示す全自動洗濯機1の後方斜視図である。
図3は、
図1(a)のA−A´線で切断した全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0020】
図1ないし
図3を参照して、全自動洗濯機1は、外装ケース10と、洗濯槽20と、駆動ユニット30と、排水ユニット40と、給水ユニット50と、前後左右4つのサスペンション60と、前後左右4つの連結部70と、左右2つの保持プレート80と、扉部90と、左右1組のスライドレール100を備える。保持プレート80は、本発明の保持部に相当し、スライドレール100は、本発明のスライド機構部に相当する。
【0021】
全自動洗濯機1は、いわゆる引き出し式の洗濯機であり、ユーザは、外装ケース10から洗濯槽20を前方へ引き出し、引き出した洗濯槽20に上方から洗濯物を投入し、再び洗濯槽20を外装ケース10内に収容して、洗濯物の洗濯を行う。
図1(b)のように、2つの全自動洗濯機1を、上下に積み上げるようにして洗面所等のフロア内に設置できるので、設置スペースを有効に利用して、洗濯物の分け洗いを行うことも可能である。
【0022】
外装ケース10は、ほぼ直方体の箱状を有し、その前面のほぼ全体が出入口11として開口する。外装ケース10の左右の内側面には、出入口11の近傍上部に係合部12が設けられる。また、外装ケース10の後面には、上部に給水接続口13が形成され、下部に排水接続口14が形成される。排水接続口14には、排水ジョイント15が設けられる。さらに、外装ケース10の底面には、四隅に脚部16が設けられる。
【0023】
洗濯槽20は、外槽21および洗濯脱水槽22を含む。外槽21の上面には、洗濯物の投入口23が形成されるとともに、投入口23の後方に注水口24が形成される。投入口23は、開閉自在な内蓋25によって覆われる。外槽21の外周面には、前側の右端と左端の位置および後側の右端と左端の位置に、それぞれ、サスペンション取付部26が設けられる。サスペンション取付部26は、外槽21と一体に形成されてもよいし、外槽21と別体に形成されて外槽21に固定されてもよい。なお、外装ケース10内では、洗濯槽20と外装ケース10との間の隙間が、左右方向に比べて前後方向に大きく取られる。
【0024】
外槽21内に洗濯脱水槽22が配される。洗濯脱水槽22は、外槽21内において鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。また、洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング27が設けられる。さらに、洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ28が配される。パルセータ28の表面には、放射状に複数の羽根28aが設けられる。
【0025】
外槽21の外底部に駆動ユニット30および排水ユニット40が配される。駆動ユニット30は、洗濯脱水槽22およびパルセータ28を駆動するトルクを発生させる。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構を有し、当該クラッチ機構による切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ28のみに伝達してパルセータ28のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ28および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ28および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0026】
排水ユニット40は、排水バルブ41と、排水管42と、内部排水ホース43を含む。排水バルブ41の一端に排水管42が接続され、排水バルブ41の他端に内部排水ホース43が接続される。排水管42は、外槽21の底部に形成された排水口(図示せず)に繋がる。内部排水ホース43は、排水接続口14の排水ジョイント15に内側から接続される。排水ジョイント15には、外側から外部排水ホース(図示せず)が接続される。排水バルブ41が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽21に溜められた水が、排水管42、内部排水ホース43および外部排水ホースを通じて機外へ排出される。
【0027】
内部排水ホース43は、洗濯槽20が外装ケース10に収容された状態において、左右に蛇行するようにして外装ケース10の後部に収まる。洗濯槽20が外装ケース10から引き出されると、内部排水ホース43は、洗濯槽20に引かれて蛇行した状態から真っ直ぐな状態へと変形する。
【0028】
外装ケース10内の上部後方に給水ユニット50が配される。給水ユニット50は、給水バルブ51と、給水管52と、接続管53を含む。給水バルブ51の一端に給水管52が接続され、給水バルブ51の他端に接続管53が接続される。洗濯槽20が外装ケース10に収容された状態において、給水管52の流出口52aが外槽21の注水口24に臨む。接続管53は、給水接続口13内において外部に臨み、水道栓から延びる給水ホース(図示せず)に接続される。給水バルブ51が開放されると、給水管52および注水口24を通じて、水道水が外槽21内に供給される。
【0029】
洗濯槽20は、前後左右4つのサスペンション60を介して、洗濯槽20の下方の左右両側に配された保持プレート80に保持される。サスペンション60は、上端部が洗濯槽20のサスペンション取付部26に固定され、下端部が連結部70を介して保持プレート80に固定される。サスペンション60は、洗濯槽20を緩衝可能に支持する。保持プレート80は、前後方向に長尺であり、右側の保持プレート80は、右側の前後2つのサスペンション60を受け、左側の保持プレート80は、左側の前後2つのサスペンション60を受ける。連結部70は、防振装置500を有することにより、洗濯槽20の前後方向の振動がサスペンション60を介して保持プレート80へ伝達されるのを抑制する機能を有する。
【0030】
サスペンション60と連結部70の詳細な構成については、追って説明する。
【0031】
扉部90は、L字状の取付金具81によって左右の保持プレート80の前端部に固定される。扉部90の上部には、外装ケース10に対して扉部90を閉じた状態に保持するためのロック装置91が設けられる。
【0032】
ロック装置91は、レバー92と、リンク機構93と、左右2つのラッチ94を含む。
図3のように扉部90が閉じられると、ラッチ94が外装ケース10の係合部12に係合する。扉部90が前方に移動しようとすると、ラッチ94が係合部12に引っ掛かり、これによって、扉部90が閉じた状態に保持される。ユーザによってレバー92が解除方向に操作されると、リンク機構93の動作によりラッチ94が上方に動き、ラッチ94と係合部12との係合が解除される。これにより、扉部90とともに洗濯槽20が外装ケース10から引き出せる状態となる。なお、ラッチ94が係合部12に係合した状態において、ラッチ94と係合部12との間には、幾分かの遊びとなる隙間が設けられる。
【0033】
左右の保持プレート80は、それぞれ、左右のスライドレール100よって、洗濯槽20および扉部90とともに前後方向に直線的に移動させることができる。スライドレール100は、前後方向に長尺な固定レール101と可動レール102とを含む。固定レール101は、外装ケース10の内側面の下部に固定され、可動レール102は保持プレート80における、外装ケース10の内側面に対向する面に固定される。固定レール101の内部には、ローラ(図示せず)が設けられ、可動レール102は、ローラに送られるようにして固定レール101内を前後方向に移動する。これにより、可動レール102に固定された保持プレート80が、洗濯槽20および扉部90とともに前後方向に円滑に移動する。
【0034】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0035】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ28が右方向および左方向に回転する。パルセータ28の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0036】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ28が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0037】
次に、サスペンション60および連結部70の詳細な構成について説明する。
【0038】
図4(a)ないし(c)は、サスペンション60と連結部70の構成を示す図である。
図4(a)は、右前方のサスペンション60および連結部70を後方から見た斜視図であり、
図4(b)は、サスペンション60と連結部70とを前後方向の中央部で切断した正面断面図である。
図4(c)は、連結部70に備えられた防振装置500の側面断面図である。
図4(a)、(b)では、外槽21の右前方のサスペンション取付部26が描かれ、外槽21のその他の部分は図示が省略されている。
【0039】
サスペンション60は、ダンパー部200とバネ部300とを含む。ダンパー部200は、ダンパー210と、上部取付部220と、下部取付部230を備える。
【0040】
ダンパー210は、シリンダ211と、ピストンロッド212と、上部ロッド213を含む。シリンダ211内にはオイルが封入される。ピストンロッド212は、上端部にピストン(図示せず)を有し、ピストンロッド212が上下動すると、ピストンがシリンダ211の内周面に摺接しながらシリンダ211内を上下動する。上部ロッド213は、シリンダ211の上端部に、シリンダ211と一体的に設けられる。なお、本実施の形態では、ダンパー210が、シリンダ211内にオイルが封入されたオイルダンパーであるが、ダンパー210は、シリンダ211内にエアーが封入されたエアダンパーであってもよい。
【0041】
上部取付部220は、上部第1緩衝体221と、上部第2緩衝体222と、上部取付板223を含む。上部第1緩衝体221および上部第2緩衝体222は、ほぼ円筒状を有し、ゴム等の弾性材料で形成される。上部第1緩衝体221および上部第2緩衝体222は、上下から挟み込むようにして上部取付板223に固定される。上部ロッド213は、上部第1緩衝体221および上部第2緩衝体222を介して上部取付板223に固定される。
【0042】
下部取付部230は、下部第1緩衝体231と、下部第2緩衝体232と、下部取付板233を含む。下部第1緩衝体231および下部第2緩衝体232は、ほぼ円筒状を有し、ゴム等の弾性材料で形成される。下部第1緩衝体231および下部第2緩衝体232は、上下から挟み込むようにして下部取付板233に固定される。ピストンロッド212の下端部は、下部第1緩衝体231および下部第2緩衝体232を介して下部取付板233に固定される。
【0043】
バネ部300は、コイルバネ301と、上部受け部302と、下部受け部303とを含む。上部受け部302は、シリンダ211の下端部に固定され、コイルバネ301の上端部を受ける。下部受け部303は、下部取付部230の上端部の位置においてピストンロッド212に固定され、コイルバネ301の下端部を受ける。
【0044】
連結部70は、取付台400と、防振装置500を備える。取付台400は、上下に扁平なほぼ直方体形状に形成され、その中央部に円筒状の収容孔401を有する。
【0045】
防振装置500は、スライダ510と、レール520を含む。防振装置500は、本発明の防振部に相当する。スライダ510は、本発明の移動体に相当し、レール520は、本発明の移動路に相当する。
【0046】
スライダ510は、上下に扁平なほぼ直方体形状に形成され、その下面の中央部に前後方向に延びる断面長方形状の溝部511を有する。スライダ510の上面に、取付台400がネジ402で固定される。スライダ510には、溝部511の近傍の4カ所に、前後方向に所定間隔で並ぶようにして、球体512が転動自在に内蔵される。球体512は、一部分が溝部511内に露出する。
【0047】
レール520は、前後方向に細長いほぼ直方体形状を有する。レール520の前後の寸法は、スライダ510の前後の寸法よりも長くされる。レール520は、保持プレート80の上面にネジ521で固定される。
【0048】
スライダ510の溝部511がレール520に嵌め込まれると、4か所の球体512が、レール520の左右の側面および上面に当接する。これにより、スライダ510がレール520上を前後方向に移動したとき、レール520に接触した球体512が転がるため、スライダ510とレール520との間の摩擦抵抗が小さくなる。なお、スライダ510とレール520との間の摩擦抵抗は、可動レール102が固定レール101に対して前後方向に移動するときに可動レール102と固定レール101との間に生じる摩擦抵抗よりも小さくなるようにされている。また、スライダ510は、溝部511がレール520に嵌め込まれる構成であるため、レール520によって前後方向に案内され、左右方向には移動できない。
【0049】
サスペンション60の上端部は、上部取付板223がサスペンション取付部26の下面にネジ240で止められることにより、サスペンション取付部26に固定される。サスペンション取付部26には、円筒状の収容孔26aが形成され、この収容孔26aに上部取付部220の上部が収容される。また、サスペンション60の下端部は、下部取付板233が取付台400の上面にネジ250で止められることにより、連結部70に固定される。このとき、取付台400の収容孔401に下部取付部230の下部が収容される。
【0050】
サスペンション60は、バネ部300によって洗濯槽20を弾性的に支持し、ダンパー部200によってバネ部300の振動を減衰させる。脱水工程では、洗濯脱水槽22内での洗濯物の片寄り等に起因して洗濯槽20が前後、左右および上下の方向に振動するが、このような洗濯槽20の振動は、サスペンション60によって吸収される。しかしながら、サスペンション60では振動を完全に吸収することはできず、幾分かの振動は、サスペンション60を介して連結部70に伝達される。
【0051】
上述の通り、連結部70には防振装置500が備えられており、連結部70に伝達された前後方向の振動は、振動に合わせてスライダ510がレール520上を前後方向に移動することで吸収される。これにより、前後方向の振動が保持プレート80に伝達されることが抑制される。ここで、スライダ510とレール520との間の摩擦抵抗は、スライドレール100の可動レール102と固定レール101との間の摩擦抵抗よりも小さく、スライダ510は、可動レール102に比べて前後方向に移動しやすいため、防振装置500で吸収された後に保持プレート80に伝達されるような振動は、可動レール102を移動させることできないようなごく弱い力のものとなる。このため、保持プレート80は、スライドレール100に取り付けられているにも関わらず、洗濯槽20が振動したときに前後方向に振動しにくくなる。このようにして、全自動洗濯機1では、洗濯槽20の振動に起因して保持プレート80に固定された扉部90と外装ケース10の出入口11の周縁との間で細かな衝突が繰り返される、ということが防止される。
【0052】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、連結部70に備えられた防振装置500によって、サスペンション60を通じた洗濯槽20の前後方向の振動が保持プレート80へ伝達されるのを抑制するようにしたので、スライドレール100により動き易くされた保持プレート80の前後方向の振動を抑制できる。これにより、洗濯槽20の振動に起因して扉部90と外装ケース10との間で細かな衝突が繰り返される、ということを抑制でき、騒音や扉部90等の破損の発生を抑制できる。
【0053】
さらに、本実施の形態によれば、防振装置500は、レール520と、レール520上を前後方向に移動するスライダ510とを含み、スライダ510とレール520との間の摩擦抵抗は、スライドレール100の可動レール102と固定レール101との間の摩擦抵抗よりも小さくされている。このため、スライダ510は、可動レール102に比べて前後方向に移動しやすく、これにより、保持プレート80の前後方向の振動を防振装置500によって効果的に抑制できる。
【0054】
さらに、本実施の形態によれば、防振装置500は、スライダ510が、左右方向に動かないようにレール520で案内される構成とされているので、洗濯槽20は前後方向に比べて左右方向に大きく振れることがなく、外装ケース10の左右方向のサイズが必要以上に大きくならない。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0056】
<変更例1>
図5は、変更例1に係る、全自動洗濯機1の構成を示す要部の断面図である。なお、
図5では、サスペンション60と連結部70の図示が省略されている。
【0057】
上記実施の形態では、扉部90が取付金具81によって左右の保持プレート80の前端部に直接取り付けられた。これに対し、本変更例では、扉部90がゴム等の弾性材料で形成された緩衝部材110を介して左右の保持プレート80に固定される。より詳しくは、保持プレート80に固定された取付金具81の前面と扉部90の後面と間に緩衝部材110が挟まれた状態で、取付金具81と扉部90とが段付きネジ120で固定される。
【0058】
このような構成とすれば、保持プレート80の振動を緩衝部材110で吸収できるので、扉部90に振動が伝わりにくくなり、扉部90と外装ケース10の出入口11の周縁との間の細かな衝突が一層生じにくくなる。
【0059】
さらに、本変更例では、扉部90の後面と外装ケース10の前面における出入口11の周縁部と間にゴム等の弾性部材で形成されたクッション部材130が設けられる。
【0060】
このような構成とすれば、扉部90と外装ケース10の出入口11の周縁との間に細かな衝突が僅かに生じても、扉部90および外装ケース10への衝撃がクッション部材130で和らげられ、騒音や破損が一層生じにくくなる。
【0061】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、洗濯槽20が、左右2つの保持プレート80によって保持された。しかしながら、洗濯槽20を保持する保持部の構成は、これに限られず、たとえば、
図6(a)に示すように、前後左右4つの保持プレート80Aが設けられ、左側の2つの保持プレート80Aが左の可動レール102に取り付けられる構成が採られてもよい。あるいは、
図6(b)に示すように、1つの保持プレート80Bが設けられ、この保持プレート80Bの左右の側面に左右の可動レール102が取り付けられる構成が採られてもよい。さらには、保持部として、
図6(c)に示すような、上面が開放されたキャビネット80Cが設けられ、このキャビネット80Cの左右の側面下部に可動レール102が取り付けられる構成が採られてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、防振装置500が、スライダ510とレール520で構成された。しかしながら、これに限らず、
図7に示すように、防振装置500は、ローラ531を有する移動ブロック530が取付台400の下面に固定され、この移動ブロック530が溝状のレール540を前後方向に移動するような構成とされてもよい。この場合、ローラ531とレール540との間の摩擦抵抗は、可動レール102が固定レール101に対して前後方向に移動するときに可動レール102と固定レール101との間に生じる摩擦抵抗よりも小さくされる。
【0063】
さらに、上記実施の形態では、洗濯槽20が保持された保持プレート80を前後方向に移動させるため、固定レール101と可動レール102を含むスライドレール100が用いられた。しかしながら、これに限らず、たとえば、スライド機構部として、外装ケース10の左右の内側面の下部にローラが設けられ、このローラが左右の保持プレート80の底面に設けられたレールに接触して回転することで、レールが前後方向に送られるような構成が採られてもよい。
【0064】
さらに、上記実施の形態では、サスペンション60が、ダンパー部200とバネ部300で構成された。しかしながら、サスペンション60が、ダンパー部200あるいはバネ部300のみで構成されてもよい。
【0065】
さらに、上記実施の形態では、全自動洗濯機1が例示されたが、本発明は、洗濯機能に加えて乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0066】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。