(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結紮スライドが、前記第1閉位置と前記第2閉位置との間の角度であって約5°より大きく約20°までである角度で回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
前記結紮スライドが、前記第1閉位置と前記第2閉位置との間の角度であって約10°から約20°までである角度で回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
前記ブラケット本体が、スライド支持部分を有し、前記スライド支持部分が、前記結紮スライドが前記第1閉位置から前記第2閉位置まで回動する回動点を画成し、横方向に延在する少なくとも1つの翼部を有し、
少なくとも1つの前記翼部が、当該翼部の長さに沿って厚さが漸減し、
前記翼部の漸減が、前記スライド支持部分と前記第1閉位置にある前記結紮スライドとの間に第1間隙と、前記スライド支持部分と前記第2閉位置にある前記結紮スライドとの間に第2間隙と、を区画することを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正ブラケット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで図面、特に
図1及び
図2を参照すると、歯列矯正ブラケット10は、ブラケット本体12と、ブラケット本体12に連結された可動閉鎖部材と、を有する。一実施形態において、可動閉鎖部材は、ブラケット本体12とスライド可能に連結された結紮スライド14のようなスライド部材を有する。ブラケット本体12は、ブラケット本体に形成されたアーチワイヤスロット16を有しており、このアーチワイヤスロットは、歯に矯正力をかけるためのアーチワイヤ18(仮想線で示す)を受けるように構成されている。結紮スライド14は、アーチワイヤ18がアーチワイヤスロット16と結紮スライド14とによって画成された内腔内で保持される閉位置(
図1)と、アーチワイヤ18がアーチワイヤスロット16内へ挿入可能である開位置(
図2)と、の間でスライド可能である。結紮スライド14は、同様に、アーチワイヤスロット16に対して外方向に移動可能であり、この外方向は、第2の閉位置への結紮スライド14のスライド運動にほぼ垂直であり得る。第2の閉位置は、ブラケット本体12と結紮スライド14とによってあらかじめ定められた固定停止部であってもよい。第2の閉位置は、同様に、アーチワイヤ18を内腔内で保持するための内腔を画成し得る。しかしながら、U字状クリップまたは他の可撓性を有する保持部材とは異なり、本発明の実施形態にかかる結紮スライド14は、通常の歯科治療中で観測される負荷においてあまり曲がらない。ブラケット本体12及び結紮スライド14は、矯正歯科治療で使用するための歯列矯正ブラケット10を集合的に形成する。
【0021】
上述に加え、歯列矯正ブラケット10は、結紮スライド14に連結され、ブラケット本体12の少なくとも一部に係合するように構成された弾性部材をさらに有する。以下で詳述するように、弾性部材は、一実施形態において、管状ピン20(
図1及び
図2に示す)を有しており、結紮スライド14のスライドすなわち並進運動の方向で少なくとも部分的に結紮スライド14を付勢するための力を付与する。管状ピン20は、同様にまたは代替的に、結紮スライド14をアーチワイヤスロット16に向けて付勢してもよい。弾性部材が管状ピンとして本明細書において示されているが、本発明は、この特有の構造に限定されず、他の弾性部材は、本明細書で開示している本発明にしたがって構成されてもよい。後述するように、歯列矯正ブラケット10の構造的特徴と併せて付勢力を提供することは、他の許容誤差と組み合わせたアーチワイヤスロット16の許容誤差の影響を低減すると考えられている。許容誤差の全体的な影響を制限することによって、アーチワイヤスロット16の作業寸法をより正確に知り得る。これにより、歯科医は、歯列矯正ブラケット10を用いて歯の運動をより正確に予見して制御することが究極的に可能となる。歯科医による歯の運動の制御を改善することによって、特有の患者のための治療時間を幾分低減し得ることを理解されたい。
【0022】
以下で詳述するブラケット本体12の他の構造的特徴と併せて、弾性部材20は、アーチワイヤスロット16の高さ(例えば唇側−舌側寸法)よりも高さ寸法が高いアーチワイヤをブラケット10が能動的に結紮することができる。このため、歯科医は、大きすぎるアーチワイヤを選択し、治療中にスライド14を用いてこのアーチワイヤを能動的に結紮し得る。これにより、歯科治療の最終段階中に主として望まれる回転制御の要求を改善し得、受動的結紮のみできる自己結紮式歯列矯正ブラケットよりも迅速な歯科治療の完了をもたらし得る。
【0023】
歯列矯正ブラケット10は、別の方法で示さない限り、下顎にある前歯の唇側面に付ける基準フレームを用いて本明細書において説明される。したがって、本明細書で使用するように、唇側、舌側、近心側、先端側、咬合側及び、歯肉側のようなブラケット10を説明するために使用される用語は、選択した基準フレームに対する。しかしながら、歯列矯正ブラケット10を他の歯及び口腔内の他の方向で使用することがあるので、本発明の実施形態は、選択した基準フレーム及び記述用語に限定されない。例えば、ブラケット10は、歯の舌側面に結合されてもよく、本発明の範囲内である。当業者は、本明細書で使用する記述用語が基準フレームに変更があると直接適用しないことがあることを理解している。それにもかかわらず、本発明の実施形態は、口腔内の場所及び方向から独立していることを意図しており、実施形態にかかる歯列矯正ブラケットを説明するために使用される相対語は、図面において実施形態の明確な説明を提供するためのみのものである。このように、唇側、舌側、近心側、先端側、咬合側及び、歯肉側のような相対語は、本発明を特有の場所または方向に全く限定しない。
【0024】
患者の下顎に支持されている歯T(
図1において符号付されている)の唇側面に備え付けられると、特に
図3を参照すると、ブラケット本体12は、唇側面22、咬合側面24、歯肉側面26、近心側面28、先端側面30及び舌側面32を有する。ブラケット本体12の舌側面32は、例えば、適切な歯科セメントもしくは接着剤によって、または、隣接する歯の周囲にあるバンドによって、のような従来の態様で歯に固定されるように構成されている。
図1から
図3に示す一実施形態において、舌側面32には、接着基部を画成するパッド34がさらに設けられてもよく、この接着基部は、歯Tの表面に固定されている。パッド34は、別個の片または素子としてブラケット本体12に連結されてもよく、あるいは、パッド34は、ブラケット本体12と一体的に形成されてもよい。さらに、パッド34は、特定の歯表面に取り付けるように具体的に形付けられてもよい。したがって、パッド34は、
図1から
図3に示す構造とは異なる複数の構造を有し得る。本発明の実施形態は、特有の構造のパッド34に限定されないことを理解されたい。
【0025】
図1及び
図2を参照すると、ブラケット本体12は、基面36と、基面36から唇側に突出する一対の両側のスロット面38、40と、を有しており、これら基面及びスロット面は、アーチワイヤスロット16を集合的に画成し、このアーチワイヤスロットは、近心側−先端側方向で近心側面28から先端側面30まで延在し得る。基面36及びスロット面38、40は、ブラケット本体12の材料内にほぼ被包されている、または、埋め込まれている。これに限定されないが、ブラケット本体12及び/または結紮スライド14は、2013年11月19日に発行された共有の米国特許第8,585,398号明細書及び2010年7月8日に発行された米国特許出願公開第2010/0173256号明細書で説明したように、セラミックで形成されてもよく、これらの開示は、それらの全てを参考として本明細書に組み込まれる。
【0026】
図3に示すように、一実施形態において、ブラケット本体12は、そこで結紮スライド14を受けるように構成されたスライド支持部分42をさらに有する。スライド支持部分42は、全体的にパッド34から唇側に突出してもよい、または、全体的にパッドに対して垂直に方向付けられてもよい。スライド支持部分42は、同様に、全体的にアーチワイヤスロット16に垂直に延在してもよい。スライド支持部分42は、支持面50内にあるその最唇側部分において終端してもよく、開位置から閉位置までの結紮スライドの並進運動の少なくとも一部にわたって、結紮スライド14をスライド可能に係合させる。唇側の用途(
図1に示す)において、支持面50は、アーチワイヤスロット16の歯肉側に位置付けられており、長さに関してほぼ咬合側−歯肉側方向に延在する。
【0027】
図4及び
図5を参照すると、一実施形態において、スライド支持部分42は、全体的にT字状構造(
図4で最もよく示される)を有しており、中央部分48から突出する対向する近心側の及び先端側の突出部または翼部44、46を有する。図示の構造において、近心側の及び先端側の翼部44、46は、厚さが咬合側−歯肉側方向で漸減してもよい(
図5及び
図5Aで最もよく示される)。特に図示のテーパ状翼部44、46に関して、翼部44、46それぞれは、スライド支持部分42の最歯肉側縁部から最咬合側縁部まで厚さが均一に減少してもよい。例としてのみ、スライド支持部分42の最歯肉側縁部における翼部44、46の厚さT1は、約0.015インチ(約0.381mm)であってもよく、スライド支持部分42の最咬合側縁部における翼部44、46の厚さT2は、約0.010インチ(約0.254mm)であってもよい。このため、漸減は、近心側の及び先端側の翼部44、46の歯肉側−咬合側の長さにわたって、厚さで約30%であってもよい。一般的には、翼部44、46それぞれの厚さにおける変化は、以下で詳述するように、スライド14が
図1に示す閉位置にあるときに、スライド14がアーチワイヤスロット16の基面36に対して外側に(例えば唇側に)移動することを可能とする。
【0028】
続けて
図5を参照すると、一実施形態において、支持面50は、基面36に関して角度付けされてもよい。特に、支持面50は、アーチワイヤスロット16に向けて傾斜するように方向付けられてもよく、翼部44、46の最薄部分は、アーチワイヤスロット16に最も近接する。翼部44、46は、図示の方向とは逆方向で漸減して後述する機能性を提供してもよいことを理解されたい。
【0029】
同様に、
図5及び
図5Aに示すように、スライド支持部分42は、近心側−先端側方向における貫通孔として形成された開口部52を有する。開口部52は、弾性部材20の長手方向軸がアーチワイヤスロット16とほぼ平行で近心側−先端側方向に延在するように、位置付けられてもよい。一実施形態において、開口部52は、
図2に示す矢印54によって示されるようなスライド運動方向に対して垂直な平面に関してほぼ対称な孔部である。開口部52は、不均一な構造を有して説明されてもよい。
【0030】
以下で詳述するように、開口部52は、弾性部材20をスライド可能に係合するように構成されており、それにより、結紮スライド14が閉位置にあると、結紮スライド14を特有の方向に付勢する。例えば、
図1に示すようにスライド14が閉位置にあると、開口部52は、弾性部材20及びスライド14と併せて、スライド14に正味の力を生成し、スライドを閉位置で保持する。スライド14が閉位置から離間してまたは
図1による歯肉側方向でもしくは開位置に向けて移動させられる前に、この正味の力は、後述する他の力に加え、その後克服されなければならない。正味の力は、ブラケット本体12に対して固定したより安定な位置でスライド14を維持し、それにより、より一貫性のある唇側−舌側のアーチワイヤスロット寸法を維持する。有利には、唇側−舌側寸法における許容誤差の積み重ねを低減させるまたは排除させる。
【0031】
図5及び
図5Aに示すように、開口部52は、歯肉側面26に近接する第1丸突部分56を有し得る。例としてのみ、第1丸突部分56は、開口部52の一部に沿ってほぼ円形の外周を画成し得る。丸突部分56は、軸58及び半径R1によって規定され得る。開口部52は、アーチワイヤスロット16に最も近い、すなわち第1丸突部分56の咬合側に位置する第2丸突部分60をさらに有し得る。第1丸突部分56と同様に、第2丸突部分60は、軸62及び半径R2を有するほぼ円形の外周によって画成され得る。
【0032】
一実施形態において、開口部52は、第1丸突部分56と第2丸突部分60との間に位置しかつ第1丸突部分と第2丸突部分とを接続する中央部分64を有し得る。中央部分64は、第1丸突部分56の接線でありかつ第2丸突部分60の接線である第1セグメント66を有し得る。第1丸突部分56、第2丸突部分60及び第1セグメント66は、弾性部材20のためのスライド軌道70をほぼ画成する。
図5にほぼ示されているように、スライド軌道70の突出は、アーチワイヤスロット16の基面36とで鋭角θ1を形成し得る。スライド軌道70は、支持面50と平行であってもよい。すなわち、スライド軌道70は、支持面50と基面36を含む平面との間の角度と比較して、基面36を含む平面に対して若干より小さい角度で方向付けられてもよい。
【0033】
さらに、中央部分64は、第1セグメント66とは反対側の第2セグメント68を有し得る。第2セグメント68は、第1丸突部分56の接線であり得るが、第2セグメント68の延在が第2丸突部分60と(接線となるのではなく)交差するような方向で、延在し得る。第2セグメント68をさらに延長させると、第2セグメントは、第1セグメント66の延長部分と交差する。第1及び第2セグメント66、68間に形成された角度は、約60°以下であってもよく、ブラケット10を添える特定の歯に依存し得る。例として、第2セグメント68は、第1セグメント66に関して約10°から約30°で角度付けられてもよく、さらなる例として、第2セグメント68は、第1セグメント66に関して約19°から約21°で角度付けられてもよい。
【0034】
続けて
図5及び
図5Aを参照すると、一実施形態において、中央部分64の第1セグメント66及び第2セグメント68の方向は、第1丸突部分56と第2丸突部分60との間の制限点または狭窄点72を形成する。狭窄点72は、一般的に、第1及び第2丸突部分56、60間で開口部を狭くするところである。これは、第1及び第2丸突部分56、60に関する最大高さ(すなわち唇側−舌側)寸法それぞれより小さい寸法まで開口部52を狭くしたところを有し得る。例としてのみかつ限定することなく、第1及び第2丸突部分56、60それぞれが半径R1及びR2それぞれを有する円形孔部をほぼ画成する場合、狭窄点72は、第1セグメント66と中央部分64の最も近接する反対側部分との間の垂直距離として測定され得る。この垂直距離は、第1丸突部分56の直径未満であり得る、または、第2丸突部分60の直径未満であり得る、または、第1丸突部分56の直径及び第2丸突部分60の直径それぞれより小さくなり得る。さらに、この寸法は、第1または第2丸突部分56、60の直径の少なくとも5%小さくなり得る、または、約10%から約20%の範囲で小さくなり得る。一実施形態において、半径R2は、半径R1未満であり、狭窄点72は、R2の2倍未満のサイズとされる。例としてかつ限定することなく、半径R2は、半径R1よりも約5%から約15%小さくてもよい。例示的な実施形態において、半径R1は、約0.010インチ(約0.254mm)であってもよく、半径R2は、約0.009インチ(約0.2286mm)であってもよく、狭窄点72は、約0.017インチ(約0.4318mm)を計測してもよい。
【0035】
上述のように、開口部52は、非対称であり得る。非対称性は、狭窄点72を開口部52の全長さの半分点からずらした結果であり得る。
図5及び
図5Aに示すように、狭窄点72は、第2丸突部分60に向けてシフトしている。このシフト単独に基づいて、開口部52は、開口部52の全長さの垂直二等分線を形成する平面に関して非対称である。さらに、第1及び第2丸突部分56、60がほぼ円形である実施形態において、対応する半径寸法の差は、同様に、開口部52の非対称性を形成する。開口部52の非対称性は、スライド14の運動における独特な触覚応答を形成し得る。特に、後述のように、開口部52における非対称性は、独特な「クリック」または「スナップ」を歯医者に提供し得、スライド14が閉位置にあることを示す。
【0036】
続けて
図4及び
図5を参照すると、本発明の一実施形態において、ブラケット本体12は、スライド軌道70に対して所定角度に向けられた少なくとも1つの肩部74を有する。図示した実施形態において、ブラケット本体12は、近心側の及び先端側の肩部74、76を有しており、これら肩部は、中央部分48からかつアーチワイヤスロット16に隣接してほぼ近心側または先端側の方向に延在する。例として、肩部74、76それぞれは、反対側のスロット面38においてアーチワイヤスロット16と交差する。しかしながら、実施形態が図示した構造の肩部74、76に限定されないことを理解されたい。
【0037】
図4及び
図5を参照すると、近心側肩部74及び先端側肩部76は、スライド軌道70に対して角度付けされており、唇側方向をほぼ向く。肩部74、76のうちの一方または双方の相対的な向きは、基面36の向きと同様または同じであってもよい。例えば、肩部74、76それぞれは、基面36とほぼ平行であり、基面36の上方において高さH1(
図9Dにおいて符号付されている)を画成する。
図1に示すように、肩部74、76のうちの1以上は、接触面を形成し得、スライドが閉位置にありかつアーチワイヤスロット16内にあるアーチワイヤを能動的に結紮していないときに、スライド14は、この接触面に当接して位置しており、これを以下で詳述する。
【0038】
図1から
図4を参照すると、ブラケット本体12は、工具凹所130をさらに有し、この工具凹所は、アーチワイヤスロット16の唇側に形成されており、咬合側面24にほぼ向かう方向に延在する。工具凹所130は、スライド14が閉位置にあるときにブラケット本体12の咬合側面24から少なくとも部分的に閉じた窪みまたは凹状領域を形成する。工具凹所130は、結紮スライド14を開くための工具(図示略)を受けるように構成されている。オルムココーポレーションからのSpin Tek(登録商標)や同様の工具のような工具は、アーチワイヤスロット16とほぼ位置合わせされた方向で工具凹所130内に挿入され得る。挿入方向から90°だけ工具を回転させることにより、スロット面40においてまたはスロット面近傍において工具をブラケット本体12に対して活用し、スライド14を開位置に向けて押す。
【0039】
また、一実施形態において、
図8を参照すると、ブラケット本体12は、咬合側結合翼部134及び歯肉側結合翼部136を有し得る。両結合翼部134、136は、所定領域を形成し得、歯科医は、この所定領域内に結紮糸を係合させ、例えば、スライド14にさらなる圧力を与え、治療中にスライドをブラケット本体12に当接して閉位置にあるままとすることを理解されたい。
【0040】
図3、
図6及び
図7を参照すると、結紮スライド14は、ほぼU字状構造である(
図7において最もよく示されている)。結紮スライド14は、第1脚部すなわち近心側部分80と、第2脚部すなわち先端部分82と、を有しており、これら部分は、これら部分間にスライドチャネル84をほぼ画成する。スライドチャネル84は、スライド支持部分42とスライド可能に協働するような寸法とされている。
【0041】
これに関して、近心側の及び先端側の部分80、82は、内方に突出する肩部86、88を有し得、これら肩部は、形状が中央部分48にほぼ対応している。肩部86、88は、対応する凹所領域90、91を画成し得、これら凹所領域は、翼部44、46をスライド可能に受けるように構成されている。凹所領域90、91は、寸法がこれらの歯肉側−咬合側長さに沿ってほぼ均一であってもよい。すなわち、凹所領域90、91は、テーパ状とされていなくてもよい。逆の構造、すなわちテーパ状凹所領域及び均一な翼部、または、テーパ状凹所領域及びテーパ状翼部の組合せが可能であり、本発明の範囲内にあるので、本発明の実施形態は、均一な凹所領域90、91及びテーパ状翼部44、46に限定されないことを理解されたい。図示のように、したがって、スライドチャネル84は、ブラケット本体12の支持部分42の形状を示すまたはこの形状に対応するT字状構造を有し得る。
【0042】
図3及び
図6を参照すると、近心側の及び先端側の部分80、82それぞれは、弾性部材20を受ける少なくとも1つの貫通孔を有する。図示のように、近心側部分80は、近心側貫通孔92を有しており、先端部分82は、先端側貫通孔94を有する。孔92、94は、共通軸95を共有する。図示のように、共通軸95は、閉位置にある結紮スライド14によって区画されるようにアーチワイヤスロット16の唇側縁部を有する平面の舌側に位置付けられている。後述するように、この向きは、結紮スライド14が回動するときに弾性部材20の弾性変形を容易にし得る。孔92及び孔94は、弾性部材20の直径よりも若干大きいまたは同等寸法にサイズ付けされ得ることを理解されたい。例として、孔92、94は、寸法が弾性部材20の対応する最大外側寸法よりも約0.002インチ(約0.0508mm)大きくてもよい。さらなる例として、孔92、94は、弾性部材20の対応する外側寸法よりも約10%から約20%大きく測定され得る。あるいは、孔92、94は、部材20の外側寸法(例えば外径)以下であってもよい。例えば、孔92、94は、内径が部材20の外径よりも約0.0002インチ(約0.00508mm)小さくてもよい。この場合、部材20は、孔92及び94それぞれ内に圧入され得る。
【0043】
図6及び
図7に示すように、近心側の及び先端側の部分80、82は、スライド面98及び外面100を画成するカバー部分96から延在する。図示した例示的な実施形態において、外面100は、結紮スライド14の最唇側面を形成する。一実施形態において、結紮スライド14は、それぞれが近心側の及び先端側の部分80及び82それぞれの最咬合側部分に沿って形成された近心側結紮部分102及び先端側結紮部分104を有する。図示した例示的な実施形態において、近心側の及び先端側の結紮部分102、104それぞれは、対応する先端面106、108と、対応する向舌側表面(lingually-facing surface)110、112と、を有する。
【0044】
結紮スライド14を閉位置にあると、
図8に示すように、向舌側表面110、112は、基面36に対向し、これにより、アーチワイヤスロット16の第4側面を形成し、アーチワイヤ18を保持する内腔を画成する。具体的には、表面110、112は、アーチワイヤスロット16の唇側境界を形成し、歯科治療中にアーチワイヤスロット16内にアーチワイヤを捕捉する。一実施形態において、結紮スライド14が閉位置にあるときに、向舌側表面110、112は、近心側の及び先端側の肩部74、76に当接する。
【0045】
さらに、一実施形態において、結紮スライド14は、近心側の及び先端側の結紮部分102、104間にあるカバー部分96に工具凹所132を有する。工具凹所132は、凹所130(
図1に示す)の反対側に位置付けられ得、それにより、工具凹所130及び132は、結紮スライド14を開くための工具を集合的に受ける。具体的には、工具(図示略)は、凹所130及び132それぞれ内で結紮スライド14とブラケット本体12との間に挿入され得る。工具凹所130及び132内に挿入することによって閉位置から開位置に向かう結紮スライド14の運動を容易にし得ると、工具が90°完全に回転し、その向きを形成する。
【0046】
上述のように、一実施形態において、
図3に示すように、弾性部材20は、円形横断面を有するほぼ管状であり得る。横断面は、連続的であってもよい、すなわち、管状弾性部材20は、その側壁部においてスロットまたは他の非連続部がなくてもよい。これに関して、スロット付管状バネピンとは異なり、弾性部材20を弾性変形させても、弾性部材20の周囲は、ほぼ維持される。あるいは、
図3に示すように、弾性部材20aは、その側壁部を貫通する単一スロットを有してもよく、このスロットは、長手方向軸とほぼ平行に長さ方向に延在する。弾性部材20aは、後述する弾性部材20と同様の材料からなってもよく、共有する米国特許第8,033,824号明細書で説明されており、これは、その全てが本明細書に参考として組み込まれる。本明細書で具体的に示さない限り、「弾性部材20」への言及は、
図3にそれぞれ図示されている弾性部材20または弾性部材20aへの言及である。
【0047】
弾性部材20は、孔92、94内にかつ開口部52を通して取り付けるような寸法とされ得る。例示的な実施形態において、弾性部材20は、ニッケルチタン(NiTi)の超弾性材料から形成されてもよい。例として、1つのNiTi組成は、わずかな量の不純物を含んで、約55重量%のニッケル(Ni)と約45重量%のチタン(Ti)とを有しており、カルフォルニア州フレモントのNDCから入手可能である。NiTi合金の機械的特性は、約155ksiより大きい最大抗張力、約55ksiより大きい上側プラトー(upper plateau)及び約25ksiより大きい下側プラトー(lower plateau)を有し得る。弾性部材20の寸法は、ブラケット自体のサイズに依存して変化し得る。一実施形態において、弾性部材20は、軸140及び約0.016インチ(約0.4064mm)の直径を有しかつ長さが約0.50インチ(約12.7mm)から約0.125インチ(約3.175mm)である直円中空シリンダである。壁厚は、約0.001インチ(約0.0254mm)から約0.004インチ(約0.1016mm)を計測し得、より好ましくは、約0.002インチ(約0.0508mm)から約0.003インチ(約0.0762mm)を計測し得る。
【0048】
上記観点から、
図3を参照すると、スライド14は、アーチワイヤスロット16に向かう方向におけるブラケット本体12の歯肉側面26を超えたスライド運動によって、ブラケット本体12と組み合わされる。結紮スライド14をブラケット本体12と組み合わせると、スライド面98は、その少なくとも一部にわたって、スライド支持部分42(
図3に最もよく示す)の支持面50にスライド可能に係合する。
【0049】
T字状構造のスライド支持部分42は、スライドチャネル84の逆形状の構造と協働して、弾性部材20が機能しなくなった場合に外方にすなわち唇側方向にスライド14がブラケット本体12から意図せず係合解除される場合を抑制し得るまたは排除し得る。この構成によって、弾性部材20は、開位置において及び閉位置全てにおいて、結紮スライド14をブラケット本体12に固定するための機構を提供し得る。一実施形態において、弾性部材20は、ブラケット本体12と協働し、より特には、開口部52を通って延在し、開位置及び閉位置それぞれにおいてスライド14をブラケット本体12に固定させる。
【0050】
図3及び
図6を参照すると、結紮スライド14をブラケット本体12に位置付けた後、弾性部材20を挿入する。
図3に示すように、弾性部材20は、軸95に沿って、貫通孔94内に、開口部52を通って、そして反対側の孔92内に位置付けられる。組立中において、弾性部材20は、孔92、94内に圧入またはスリップ嵌合され得、かつ/または、孔内に固定され得、カシメ、タック溶接、レーザ溶接、接着または他の適切な方法を含むさまざまな処理を用いて、これら間の相対的な運動を防止する。
【0051】
いったん組み立てると、
図8に示すように、一実施形態において、向舌側表面110、112は、アーチワイヤスロット16の全幅すなわち垂直距離に延在しない。これに関して、咬合側に向けられた先端面106、108は、ブラケット本体12の対向する表面に当接しなくてもよい。例えば、表面106、108は、スロット面40に接触しない。したがって、この場所において、ブラケット本体12と結紮スライド14との間には、間隙114が残っている。間隙114は、弾性部材20によってかけられた負荷を受けて基面36に対して肩部74、76のうちの一方または双方と接触するように結紮スライド14を一貫して位置付けることを保証するために、意図的にかつ必須であり得る。
【0052】
この場所に間隙を形成することによって、結紮スライド14の向舌側表面110、112とブラケット本体12の肩部74、76との間の治療中の接触は、より有望であるまたは適当である。結紮スライド14とブラケット本体12との間の他の接点の数を低減することにより、結紮スライド14がブラケット本体12に対してより一貫して位置付けられる可能性が増加する。具体的には、他の場所との接触を制限することによって、すなわち他の場所に作り込みの間隙を設けることによって、向舌側表面110、112と肩部74、76との間が一貫して接触する可能性が増加する。例として、間隙114は、少なくとも約0.001インチ(約0.0254mm)であり得、さらなる例として、間隙114は、約0.001インチ(約0.0254mm)から約0.005インチ(約0.127mm)の範囲を計測し得る。しかしながら、間隙114の最大寸法がアーチワイヤ18をアーチワイヤスロット16内で捕捉するために必要な結紮部分102、104の最大延在によってのみ制限され得ることを理解されたい。
【0053】
図7及び
図8をさらに参照すると、別の間隙または隙間をスライド14とブラケット本体12との間に作り込んでもよい。一実施形態において、近心側の及び先端側の部分80、82それぞれは、表面116及び118によって画成されており、これら表面は、ブラケット本体12に対向しているが、図示のように、結紮スライド14が閉位置にあるときにブラケット本体12にスライド可能に係合しないまたは接触しない。これに関して、結紮スライド14とブラケット本体12との間には、作り込みの間隙120がある。具体的には、近心側肩部122において表面116とブラケット本体12との間、並びに、先端側肩部124において表面118とブラケット本体12との間、である(
図4に示す)。例としてかつ限定せず、間隙120は、上述のように、表面106、108とスロット面40との間にある間隙114と同様の寸法であってもよい。具体的には、間隙120は、少なくとも約0.001インチ(約0.0254mm)を計測し得、さらなる例として、結紮スライド14が閉位置にあると、約0.001インチ(約0.0254mm)から約0.005インチ(約0.127mm)の範囲を計測し得る。
【0054】
一実施形態において、スライド14は、2つの表面のみに沿ってブラケット本体12に接触する。一方の接触面は、支持面50であり、他方の接触面は、肩部74及び76のうちの一方であり得る。肩部74、76双方がスライド14に接触する場合、スライド14とブラケット本体12との間には、接触面が3つのみある。限定した数のみの接点を設けることによって、ブラケット本体12に対するスライド14の位置は、より一貫性を有する。
【0055】
上述のように、結紮スライド14は、複数の閉位置を有し得る、すなわち、弾性部材20は、閉位置それぞれで結紮スライド14を付勢し得る。例として、弾性部材20は、スライド14の並進運動方向でスライド14を付勢し得る。弾性部材20によって結紮スライド14にかけられた付勢に関して、本発明の実施形態は、2013年11月5日に出願した共有の米国特許出願公開第2014/0127638号明細書または2014年3月12日に出願した米国特許出願第14/205,674号で示されてかつ説明された付勢型結紮スライドと同様の付勢型結紮スライドを有し得、これらの開示は、それら全てを参考として本明細書に組み込まれる。
【0056】
スライド14を付勢することは、同様に、アーチワイヤスロット16に向かう方向で付勢することを含み得る。結紮スライド14を弾性部材20によって付勢しているので、結紮スライド14における許容誤差のバラツキは、ほぼ唇側−舌側方向においてアーチワイヤスロット16の深さを設定することにもはや関係しない。これは、許容誤差の大きさにかかわらず、結紮スライド14がブラケット本体12の肩部74、76に接触し得るからである。
【0057】
基面36と向舌側表面110、112との間の寸法以下の唇側−舌側寸法を有するアーチワイヤを用いた歯科治療中において、結紮スライド14は、近心側の及び先端側の肩部74、76に接触し、その位置にある間付勢され得る。このため、製造中に依然として考慮して観測しなければならない許容誤差のバラツキは、アーチワイヤスロット16の基面36に対する肩部74、76の位置における許容誤差である。有利には、これにより、積み重なって最終的にはほぼ唇側−舌側方向におけるアーチワイヤスロット16の深さを判断する許容誤差の数を低減し、これにより、ブラケット本体12及び結紮スライド14によって形成された内腔とアーチワイヤ18との間のより一貫性のある取り付けを提供する。歯の回転制御は、歯科治療中により一貫して維持されかつ予測可能であると考えられる。
【0058】
具体的には、使用中において、一連の
図9Aから
図9Dに示すように、結紮スライド14が開位置にあると、弾性部材20は、開口部52の第1丸突部分56内に位置付けられ得る。孔92、94それぞれの共通軸95は、第1丸突部分56の軸58と位置合わせされ得る。弾性部材20の軸140は、同様に、弾性部材20の横断寸法に応じて、軸58と位置合わせされ得る。一般的に、この位置において、第1丸突部分56及び孔92、94それぞれが寸法において弾性部材20よりも全体的に大きい場合、弾性部材20は、弛緩した非変形状態にあり、所定の方向のいずれにも結紮スライド14を付勢し得ない。しかしながら、弾性部材20は、
図9Aの矢印142によって示される方向でスライド14に作用する外力に抗し得る。
【0059】
これに関して、アーチワイヤをアーチワイヤスロット16から取り除くときかつ新たなアーチワイヤをアーチワイヤスロット16内に挿入する前に、結紮スライド14は、開位置から閉位置に不意に押されることに抗し得る。中央部分64がセグメント68を有しており、このセグメントが弾性部材20の外形未満の徐々に減少する隙間寸法を提供するので、中央部分64は、矢印142で示される方向において弾性部材20の運動に干渉する。有利には、セグメント68と弾性部材20との干渉は、より十分な力を必要とする前に、スライド14の運動距離を制限する。したがって、スライド14は、意図しない力に抗し、意図的に閉じるまで開位置にほぼあるままとなる。スライド14を開位置に位置付けた後に、歯医者は、結紮スライド14が不意に閉位置に向けて移動することを懸念することなく、存在するアーチワイヤをアーチワイヤスロット16から取り除いて別のアーチワイヤをアーチワイヤスロット16内に挿入し得ることを理解されたい。
【0060】
これにさらに関して、部材20と開口部52との間の相互作用は、結紮スライド14を閉位置に移動させるために、力を意図的にかけることを必要とし得る。したがって、最小閾値力をスライド14に必要となり得、スライドを閉位置に向けて移動させる。一実施形態において、最小閾値力は、スライド14のスライド重量よりも大きい。この実施形態において、スライド14にかかる力が最小閾値力を越えたときのみ、弾性部材20は、閉位置に向けて移動する。最小閾値力を越えたスライド14にかかる力は、弾性部材20を弾性変形させる。弾性部材20の弾性変形は、開口部52の中央部分64の形状により決定付けられる。これに関して、部材20の弾性変形は、開口部52と接触する領域に局所化され得る。弾性変形により、弾性部材20に生じた歪は、完全に解放され、変形力を除去すると、部材20は、そのもとの形状に戻る。
【0061】
図9Bは、例示的な実施形態を示しており、この実施形態において、スライド14にかかる力は、スライド14を閉位置に向けて移動させるのに必要な最小閾値力を超える。スライド14にかかる力が弾性部材20を弾性変形させるのに十分である場合、スライド14は、閉位置に向けて移動され得、特に、結紮スライド14にかけた負荷に起因して、弾性部材20のうち開口部52と接触している中央部分を弾性変形させる。第2セグメント68の構成に応じて、徐々に増大する力は、スライド14をスライド軌道70に沿って閉位置に向けて一貫して移動させるのに必要となり得ることを理解されたい。力を増大させる必要があるレートは、中央部分64の形状及び弾性部材20の特性により決定付けられる。
【0062】
図9Bに示す例示的な実施形態に関して、第2セグメント68は、ほぼ平坦面であり、図示のように弾性部材20を変形させるために、開放運動の少なくとも一部にわたって、スライド14にかかる力においてほぼ線形な増大を必要とすると考えられている。弾性部材20は、弾性部材20と第1セグメント66との間の接触領域と、弾性部材20と第2セグメント68との接触領域と、の間の距離によって画成された形状に弾性部材が適合することを可能とする態様で、変形し得る。図示のように、弾性部材20は、部材20の横断輪郭の変化によって弾性変形し得る。これは、弾性部材20と開口部52との接触領域におけるほぼ卵状の横断面への変化を含み得る。弾性部材20のうち開口部52の外側にある部分は、十分には弾性変形せず、そのため、これらの横断輪郭を保持し得る。例えば、弾性部材20のうち孔92、94内にある部分は、ほぼ円形のままであり得る。このため、弾性部材20の弾性変形は、弾性部材20のうち開口部52と摺接している別個の領域に局所化され得る。本発明の実施形態は、弾性部材20の特定の形または形状に限定されないことを理解されたい。弾性部材20のうち開口部52と接触している横断面に関する弾性変形に加え、弾性部材20は、結紮スライド14にかけられた負荷に応じてその長手方向軸に沿って弾性変形してもよい。すなわち、結紮スライド14を閉位置に向けて押し、弾性部材20が第2セグメント68に接触すると、弾性部材20は、その長手方向軸140に沿って死なることによって弾性変形してもよい。例として、弾性部材20のうち近心側の及び先端側の貫通孔92、94内にある端部それぞれは、弾性部材20のうち開口部52に接触している中央部分よりもアーチワイヤスロット16に近接して位置し得る。したがって、弾性部材20は、結紮スライド14の運動中にその軸にそって曲がり得る。
【0063】
図9Cを参照すると、結紮スライド14は、
図9Bに示すように弾性部材20を変形させるのに必要な力よりも大きい力を受けて閉位置により近付いて移動される。スライド14を閉位置に向けて初期的に移動させるのに必要な閾値力よりも大きい力において、スライド14にかけられた力は、弾性部材20を狭窄点72の寸法に適合させるのに十分である。この力の大きさにおいて、弾性部材20は、開口部52との接触領域において弾性変形され、それにより、弾性部材20は、狭窄点72を介して少なくとも部分的に圧迫し得る。図示のように、弾性部材20は、卵形状の横断面に弾性変形し得る。狭窄点72において、弾性部材20の先端部分144は、第2丸突部分60内に存在し得る一方、弾性部材20の残りの部分146は、中央部分64内に延在する。弾性部材20は、第2丸突部60及び中央部分64それぞれに部分的に存在し得る。例としてかつ限定的ではなく、弾性部材20が第2丸突部分60内に部分的に入る位置へスライド14を移動させるのに必要な力は、約0.1kgf(重量キログラム)を超え得、さらなる例として、この力は、約0.2kgfから約0.8kgfまで、または、約0.5kfgから約0.7kgf、好ましくは、約0.6kgfであり得る。
【0064】
図9Aから
図9Cを続けて参照すると、結紮スライド14が開位置から離間して移動するように閾値力及び/または閾値スライド力を克服するのに必要な力の大きさは、開口部52の構造に依存する。したがって、この力は、開口部52の形状を変更することによって、選択的に変化され得る。これに関して、第2セグメント68と第1セグメント66との間の交差角度は、所望の開放力及び/またはスライド力並びに力を増大させ得る速度を提供するために、増大され得る。さらに、狭窄点72の位置は、より短いまたはより長い中央部分を提供するために選択され得、より短いまたはより長い中央部分により、力の増加速度を変更し得る。第1及び/または第2セグメント66、68の形状は、弾性部材20が中央部分64内にある場合に、線形増加するスライド力を提供するために、ほぼ平坦であり得る。あるいは、セグメント66、68のうちの一方または双方は、曲線付けられておりまたは曲げられており(図示略)、可変スライド力を提供し得る。開放及び/またはスライド力を変更させるための上述した方法は、例示的なものである。
【0065】
ここで
図9Dを参照すると、いったん開放及び/またはスライド力が少なくとも部分的に狭窄点72を通る位置(
図9Cに示す)へ弾性部材20を移動させるのに必要な力になるまたはこの力を超えると、弾性部材20は、距離の残りを第2丸突部分60内へ自発的にスライドさせ得るまたは移動させ得る。すなわち、先端部分144及び残りの部分146は、さらなる外力なく完全に第2丸突部分60内に自発的に移動し得る。より具体的には、いったん弾性部材20の閾値部分が第2丸突部分60に入ると、弾性部材20の第2丸突部分60への摺動は、自発的に発生し得る。この運動は、弾性部材20が第2丸突部分60内に進出すると、可聴性のかつ/または触知性の「クリック」または「スナップ」が付随する。この特徴により、歯科医は、その後、結紮スライド14がその閉位置に達し、歯科治療中に観測される通常の力を受けて閉位置のままであることを保証される。
【0066】
弾性部材20の弾性性質によって弾性部材20の生来の傾斜を引き起こし、変形していないまたは狭窄点72の近傍における弾性部材20の変形構造よりも少なくとも小さく変形している構造に復帰する、と考えられている。このため、弾性部材20の閾値部分が開口部52の第2丸突部60に入ると、部材20は、(その変形状態による)内部弾性エネルギーを自発的に解放する。このような解放により、狭窄点72の近傍において弾性部材20は、さらなる外力をかけることなく、第2丸突部分60に移動させられて埋める。すなわち、スライド14に外力をかけてスライド14を狭窄点72へ移動させると、弾性部材20のうちのごくわずかな部分のみは、第2丸突部分60に入る。弾性部材20は、距離の残りの部分を第2丸突部分60内に移動させ得、弾性変形が少ないまたはない構造に戻る。
【0067】
一実施形態において、弾性部材20にかかる力が不十分であり、それにより、弾性部材が第2丸突部分60内に入らない場合、弾性部材20が中央領域64のうち第1丸突部分56に近接するより大きい領域内に徐々に進入するので、スライド14は、外力なく、開位置に向けて移動し得る。最終的には、弾性部材20は、第1丸突部分56に入り得る。
【0068】
一実施形態において、
図9D及び
図10を参照すると、結紮スライド14は、閉位置で示されている。しかしながら、孔92、94は、開口部52の第2丸突部分60と完全には位置合わせされていない。特に、スライド14が閉位置にある間、孔92、94は、第2丸突部分60からずらされている。ずらしは、咬合側−歯肉側方向であり得る。具体的には、孔92、94は、第2丸突部分60よりもアーチワイヤスロット16からさらに離間している。
【0069】
一実施形態において、孔92、94の軸95は、結紮スライド14が閉位置にあると、第2丸突部分60の軸62よりもアーチワイヤスロット16からより大きな距離にある。それにもかかわらず、ずらした関係があっても、弾性部材20は、第2丸突部分60内に自発的に進入し、狭窄点72によって生成された弾性変形の一部を解放する。すなわち、弾性変形のうちの100%未満を解放し得る。その結果、弾性部材20の中央部分が第2丸突部分60内にあると、弾性部材20は、
図10に示すように、軸62及び95間でのずらしに起因して、その軸140に沿って弾性変形され得る。孔92、94と第2丸突部分60との間で位置合わせされていないことにより、弾性部材20を曲げさせるまたは湾曲させる(
図10に最もよく示されている)と考えられている。軸62及び95においてずらされていることに起因して弾性部材20を若干曲げ得るので、弾性部材20のうち結紮スライド14と接触している一方の端部は、アーチワイヤスロット16に向く方向に付勢されている。そのため、弾性部材20は、第2丸突部60内に自発的に進入し、開位置から狭窄点72への強制的な運動から蓄積された弾性変形エネルギーを解放し得る一方で、弾性部材20は、閉位置においていくらかの弾性変形を保持し得る。しかしながら、弾性変形量は、狭窄点72で得られる量未満であり得る。
【0070】
上述のように、いったんスライド14が閉位置(
図9D)にあると、弾性部材20の弾性変形は、スライド14の運動方向に、例えばアーチワイヤスロット16の方向に、スライド14の付勢を生成する。一実施形態において、弾性部材20の付勢は、スライド軌道70の方向である。これに関して、付勢は、アーチワイヤスロット16の基面36を含む平面と交差する方向であり得る。弾性部材20の付勢は、スライド14が開位置に向けて移動可能となる前に克服されなければならない。結果として弾性部材20の弾性変形をもたらす付勢をかけた力がまず克服しなければならないので、弾性部材20は、スライド14とブラケット本体12との間でより一貫した接触をもたらす。例えば、付勢は、向舌側表面110、112と肩部74、76との間に一貫した接触をもたらし得る。有利には、ほぼ唇側−舌側方向におけるアーチワイヤスロット16の深さは、アーチワイヤスロット16の基面36に関する肩部74、76の位置により判断される。結紮スライド14を肩部74、76に対して付勢させることに起因して、他の許容誤差のバラツキは、アーチワイヤスロット内腔とアーチワイヤとの間の締まり嵌めにもはや影響しないことがある。
【0071】
この構成において、
図11を参照して、結紮スライド14が閉位置にありアーチワイヤ18がH1未満の寸法とされていると、向舌側表面110、112は、図示のように、アーチワイヤ18に接触しないことがある。むしろ、表面110、112は、肩部74、76に接触する。この構成は、受動的にアーチワイヤ18を結紮することが望ましい場合の処理中に見られ得る。例としてのみかつ限定的ではなく、H1は、約0.018インチ(0.4572mm)から約0.022インチ(0.5588mm)であり得ることを理解されたい。
【0072】
図11に示すように、テーパ状翼部44と肩部74に隣接する肩部86との間には、隙間または間隙150がある。間隙150は、テーパ状またはウェッジ形状であり、テーパ状翼部44と均一な凹所90(
図7)との間の形状における差異に対応し得る。さらにこれに関して、間隙150の漸減は、テーパ状翼部44の漸減とは反対の歯肉側−咬合側方向に向けられ得る。間隙150は、肩部86の最咬合側縁部と翼部44との間で最も広く、歯肉側面26において最も狭くてもよい。同様の間隙(図示略)は、テーパ状翼部46と肩部88との間に発生し得る。
【0073】
肩部86、88と対応するテーパ状翼部44、46との間に間隙がある一方、結紮スライド14は、スライド支持部分42にスライド可能に係合し得る。特に、カバー部分96は、支持面50にスライド可能に係合し得る。上述のように、弾性部材20は、アーチワイヤスロット16の方向に、特に基面36に向かう方向に、結紮スライド14を付勢し得る。弾性部材20によって生成された付勢は、開位置から閉位置に向かうスライド運動の少なくとも一部にわたって、カバー部分96を支持面50に当接させるように強制的に保持し得る。
【0074】
上述のように、支持面50とカバー部分96との間の接触は、支持面50とスライド軌道70との間の角度的差異に依存し得る。具体的には、一実施形態において、結紮スライド14が肩部74、76のうちの一方または双方に接触するので、スライド面98の一部は、支持面50から若干変位され得る。これにより、肩部74、76のうちの一方または双方と向舌側表面110、112との間の接触を保証し得ることを理解されたい。
【0075】
上述のように、結紮スライド14は、アーチワイヤスロット16に対してスライド可能であり、アーチワイヤスロット16に対して回動可能でもある。したがって、結紮スライド14は、アーチワイヤ18を保持する複数の閉位置を有してもよい。例えば、結紮スライド14は、向舌側表面110、112のうちの一方または双方が対応する肩部74、76に接触する1つの閉位置を有してもよい。上述のように、弾性部材20は、肩部74、76のうちの一方または双方に対して結紮スライド14を付勢し得る。
【0076】
結紮スライド14は、少なくとも1つの他の閉位置で回動し得る。本発明の一実施形態において、
図11から
図12Aを参照すると、結紮スライド14は、アーチワイヤスロット16の基面36から全体的に離間する外方にすなわち唇側方向に移動可能である。この外方方向は、全体的に、基面36に並びにスライド軌道70及び/または支持面50に対する横断方向であり得る。一実施形態において、この運動は、基面36に及び/またはスライド軌道70にほぼ垂直である。回動運動は、
図12において矢印152で示される。さらに、回動運動は、弾性部材20の付勢に抗する。すなわち、結紮スライド14にかけられて結紮スライド14を回動させる力は、弾性部材20によって抵抗される。
【0077】
結紮スライド14がアーチワイヤスロット16に対して唇側に回動し得るまたは移動し得る少なくとも2つの理由がある。1つ目において、回動運動は、アーチワイヤスロット16内にあるアーチワイヤ18が結紮スライド14に対して唇側に引っ張る結果として生じ得る。これを
図12に示す。処置中において、アーチワイヤ18をアーチワイヤスロット16から引っ張る傾向がある力が弾性部材20によって結紮スライド14にかかる付勢よりも大きい場合、結紮スライド14は、アーチワイヤスロット16に対して回動し得る。
【0078】
より具体的には、アーチワイヤ18によって結紮スライド14に生じた力が閾値に達すると、結紮スライド14は、弾性部材20によって生じた付勢に抗して、結紮スライド14とブラケット本体12との間の接点回りに回動し得る。近心側の及び先端側の結紮部分102、104は、接点回りに回転し得、それにより、向舌側表面110、112は、肩部74、76から上昇するまたは肩部から離間する。例として、結紮スライド14は、点154回りに回動し得る。図示のように、回動点154は、ブラケット10の歯肉側面26においてまたは歯肉側面近傍において、テーパ状翼部44とカバー部分96との間に位置し得る。図示しないが、同様の回動点は、テーパ状翼部46と結紮スライド14との間に発生し得る。回動点を説明したが、これら接触位置は、互いに接触する2つの表面の結果として生じ得ることを理解されたい。そのため、回動点は、点接触として厳密に解釈されるものではない。むしろ、接触は、2つの表面間であり、この接触は、結紮スライド14が基面36から離間するように回動するときに、負荷を結紮スライド14からブラケット本体12へ通過させる支点を形成する。
【0079】
接点154回りの回動運動中に、肩部86は、唇側に回転して間隙150を埋める(
図11)。この運動は、スライド面98に沿うカバー部分96とテーパ状翼部44との間に隙間または間隙156を生じさせる。このため、一実施形態において、結紮スライド14が接点154回りに回動運動することにより、間隙150を低減しつつ、間隙156を比例的に増加させ得る。
【0080】
間隙156は、
図12に示すように、肩部86がテーパ状翼部44に接触すると、最大値に達する。この位置で接触することにより、肩部86の最唇側面は、テーパ状翼部44のうち向舌側表面に接触させられる。いったん肩部86とブラケット本体12との間に(例えば、肩部76におけるまたは肩部近傍におけるテーパ状翼部44に)接触が発生すると、回動運動は、停止する。このため、回動点154回りのいくらかの所定角度運動量において、結紮スライド14は、もはや回転しない。例として、角度運動は、約5°より大きく約20°までであり得、さらなる例として、約10°から約20°であり得る。この角度運動は、結紮スライド14とブラケット本体12との間で積み重なった通常の許容誤差に関連し得る唇側運動を超える。このタイプの運動は、約5°のオーダーであり得ることを理解されたい。
【0081】
図12に示すように、いったん接触を形成すると、回動運動は、停止し、結紮スライド14へのさらなる負荷は、接点154及び肩部86とテーパ状翼部44との間の他の接点において、結紮スライド14からブラケット本体12に移転される。結紮スライド14の逆回転運動は、同様に発生し得る。
【0082】
これに関して、歯がその審美的に美しい位置に近接するように移動するので、アーチワイヤ18は、基面36に向けて後方へ移動し得、向舌側表面110、112から離間し得ることを理解されたい。アーチワイヤ18がこの方向で移動するので、間隙156は、減少する一方、間隙150は、
図11に示すように、向舌側表面110、112が対応する肩部74、76に接触するまで、比例的に増加する。スライド面98は、同様に、特にテーパ状翼部44の最歯肉側部分においてまたは最歯肉側近傍において、支持面50に接触し得る。
【0083】
結紮スライド14は、別の状態において外方に回動してもよい。一実施形態において、H1より大きい寸法を有するアーチワイヤは、ブラケット10を用いて使用可能であり得、それにより、上記段落で説明したものと同様に外方に回動するために、結紮スライド14を必要とする。比較的大型のアーチワイヤは、寸法H1で示される所定のアーチワイヤサイズよりも寸法が大きくてもよい。上述のように、H1は、基面36から肩部74、76までの唇側−舌側寸法である。結紮スライド14の回動機能の観点において、
図12を参照すると、上述のように、接点154において結紮スライド14とカバー部分96との間で及び肩部86とテーパ状部分44との間で接触が発生すると、結紮スライド14は、アーチワイヤスロット16からのその最大回動変位に達し得る。この向きにおいて、向舌側表面110、112は、寸法H2(
図12に付される)だけ基面36から変位され得、この寸法H2は、アーチワイヤスロット16に挿入可能なアーチワイヤの最大頬側−舌側寸法を示し得る。このため、ブラケット10は、H2より小さい頬側−舌側寸法を有するアーチワイヤを結紮し得る。
【0084】
例として、H1より大きい寸法H2を有するアーチワイヤ160は、結紮スライド14を回動させる。例としてかつ限定せず、H1が約0.020インチ(約0.508mm)を計測する場合、比較的大型のアーチワイヤ160は、約0.020インチ(約0.508mm)より大きい。例として、比較的大型のアーチワイヤ160は、約0.022インチ(約0.5588mm)の頬側−舌側寸法、または、約0.025インチ(約0.635mm)の頬側−舌側寸法を有し得る。H1より大きい頬側−舌側寸法を有するアーチワイヤを使用する場合、結紮スライド14は、開位置と閉位置との間で結紮スライド14がスライド運動している間に、アーチワイヤをスライドし得る。これに関して、結紮スライド14の先端面106、108は、丸められてもよく、閉位置に向かう並進運動中に、結紮スライド14がアーチワイヤ160を乗り越えることを可能とする。
【0085】
したがって、歯科医は、アーチワイヤ18を受動的に結紮することが望ましい処置の初期段階中において、
図11に示すアーチワイヤ18のような小型のアーチワイヤを使用し得る。比較的小型のアーチワイヤ18は、歯科治療の初期段階中に望ましい総歯移動を可能とし得る。歯科治療のその後の段階中において、歯科医は、アーチワイヤ18を取り外し、アーチワイヤ160のような比較的大型のアーチワイヤをアーチワイヤスロット16内に挿入し得る。図示のように、アーチワイヤ160は、アーチワイヤスロット16をほぼ完全に埋め得、それにより、結紮スライド14によって連続的に能動的に結紮される。アーチワイヤ160は、主として歯科治療の後の段階中に望ましい改善した回転のまたは他の微細位置付けの制御をもたらし得る。
【0086】
図12に示す構成において、アーチワイヤ160がH1よりも大きく、結紮スライド14が肩部74、76と接触するときに得られる変形よりも大きな度合いで弾性部材20を弾性変形させるので、結紮スライド14は、アーチワイヤ160を能動的に結紮することを理解されたい。弾性部材20の弾性変形は、
図11A及び
図12Aに示すように、唇側−舌側方向であり得る。例としてのみ、いかなる理論に拘束されず、弾性変形は、弾性部材20のうち近心側の及び先端側の貫通孔92、94内にある両端部が弾性部材20のうち第2丸突部分60内にある部分に対して唇側に曲げられた状態で、長手方向軸140に沿って長い。
図11に関して、結紮スライド14が閉位置にあり、向舌側表面110、112が対応する肩部74、76と接触していると、弾性部材20は、図に示すように、その長手方向軸140に沿って若干曲げられ得、弾性部材20の両端部は、弾性部材20のうち開口部52内に位置する部分の唇側に位置する。
【0087】
図11A及び
図12Aを参照すると、弾性部材20は、結紮スライド14が回動するにしたがって、
図11Aと比較して
図12Aにおいてより大きな度合いで弾性変形され得る。具体的には、弾性部材20の両端部は、唇側にさらに反り得、それにより、軸95は、肩部74、76と肩部86、88及び対応するテーパ状翼部44、46の間の接触位置との間の距離に関する量だけ、第2丸突部分60の軸62の唇側にさらに変位され得る。弾性部材20の弾性変形の大きさが増加するにしたがって、より大型のアーチワイヤ(所定の最大値まで)をアーチワイヤスロット16内に挿入し得るので、対応する大型のアーチワイヤそれぞれにかかる付勢力は、増大することを理解されたい。これは、
図11Aと
図12Aとの間で比較として示されており、弾性部材20は、
図11Aにおいてアーチワイヤスロット16内にあるアーチワイヤ18と比較してアーチワイヤスロット16内にある大型のアーチワイヤ160のおかげで、
図11Aにおけるよりも
図12Aにおいてより大きい度合いまで変形される。
【0088】
回動運動中の弾性部材20の縦方向の弾性変形に加え、弾性部材20は、同様に、その横断面において弾性変形し得る。これを
図11及び
図12の比較として最もよく示される。結紮スライド14が肩部74、76上にあると、弾性部材20は、その横断面において若干のみ弾性変形され得る。結紮スライド14を
図11に示す位置から
図12に示す完全に回動させた位置に向けて上昇させるにしたがって、弾性部材20は、その横断面にわたって弾性圧縮され得、唇側−舌側方向の直径寸法は、圧縮され、咬合側−歯肉側方向の直径寸法は、対応して伸長される。
図12に示すように、結紮スライド14がその最大回転位置に達すると、弾性部材20は、楕円状または卵状の横断面構成(
図12において拡大して示される)へ変形され得る。この横断面変形は、孔92、94及び開口部52のすぐ近くの領域に局所化され得る。結紮スライド14を完全に回動させると、弾性部材20は、アーチワイヤスロット16内にあるアーチワイヤに最大付勢を生じさせることを理解されたい。
【0089】
様々な実施形態の説明によって本発明を示しており、これら実施形態をいくらか詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲の領域をこのような詳細に制限するまたは限定することは、発明者等の意図ではない。このため、さらなる利点及び変更は、当業者にすでに明らかである。本発明の様々な特徴は、必要性及びユーザの実行に応じて、単独でまたは任意で組み合わせて使用されてもよい。