特許第6681716号(P6681716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681716
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20200406BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20200406BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20200406BHJP
   H01L 23/26 20060101ALN20200406BHJP
【FI】
   H01L23/34 A
   H03H9/02 A
   H01L23/02 J
   !H01L23/26
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-4672(P2016-4672)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-126645(P2017-126645A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】田家 良久
【審査官】 庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−293755(JP,A)
【文献】 特開平02−135763(JP,A)
【文献】 特開2015−038927(JP,A)
【文献】 特開平05−291388(JP,A)
【文献】 特開2012−146859(JP,A)
【文献】 特開2005−142442(JP,A)
【文献】 特開2010−056224(JP,A)
【文献】 特開2001−298131(JP,A)
【文献】 特開平07−078918(JP,A)
【文献】 特開2005−340738(JP,A)
【文献】 特開2008−078475(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0084761(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0049450(US,A1)
【文献】 米国特許第05323051(US,A)
【文献】 特開2013−110151(JP,A)
【文献】 特開平11−163044(JP,A)
【文献】 特開平07−050330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34
H01L 23/02
H03H 9/02
H01L 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板とリッド基板とを有するパッケージと、
前記パッケージに形成されたキャビティ内において、実装部材を介して前記ベース基板上に実装された電子素子と、
前記リッド基板の内側面に形成されており、前記電子素子の一方の表面に接触している少なくとも一つの放熱凸部と、
前記ベース基板上に形成されており、前記電子素子の他方の表面に接触可能な支持凸部と、
を備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記支持凸部の高さは、前記電子素子が実装されている状態の前記実装部材の高さよりも低いことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記放熱凸部が金属バンプによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記支持凸部が金属バンプによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記支持凸部が、めっき層によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記支持凸部が、金属バンプと、該金属バンプの表面に形成されためっき層によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記電子素子の上面視において、前記支持凸部が、前記電子素子の周縁に沿った位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記リッド基板は、ガラス材料、シリコン材料又は金属材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項9】
前記リッド基板は、側壁部分がガラス材料で形成され、主面部分がシリコン材料によって形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース基板とリッド基板とによって形成されるキャビティ内に電子素子が封入されている電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パッケージにキャビティ内においてベース基板上に電子素子が実装されている電子部品が提案されている。このような電子部品では、パッケージ外部から貫通電極等を介して電子素子に電力が供給されることで、電子素子が作動するように構成されている。
【0003】
しかしながら、電子部品に対しては小型化と高機能化の両立が求められており、これにより、電子素子からの発熱により、パッケージ内の温度が高温になりやすくなるといった課題がある。パッケージ内の温度が高温になってしまうと、電子素子の処理能力が顕著に低下し、電子部品の信頼性低下につながってしまう。
【0004】
そこで、電子素子からの発熱を放熱可能な構成が提案されている。例えば、キャビティ内において、電子素子に弾性変形可能な放熱部材を接触させて、電子素子からの発熱を放熱させる構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−178433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記従来技術には次の課題がある。
電子素子に放熱部材を接触させる場合、放熱部材から受ける接触圧によって、電子素子の変形、位置ずれ等に起因する信頼性低下の課題がある。即ち、従来技術では、電子素子の放熱性を高めて、小型化、高機能化を図りつつ、かつ信頼性を向上させることが可能な電子部品の構成は何ら開示されていない。
【0007】
そこで本発明は、小型化かつ高性能化が可能であり、かつ信頼性を向上させることが可能な電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の電子部品は、
ベース基板とリッド基板とを有するパッケージと、前記パッケージに形成されるキャビティ内において、実装部材を介して前記ベース基板上に実装される電子素子と、前記リッド基板の内側面に形成されており、前記電子素子の一方の表面に接触する少なくとも一つの放熱凸部と、前記ベース基板上に形成されており、前記電子素子の他方の表面に接触可能な支持凸部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、放熱凸部が、電子素子に当接していることにより、電子素子で生じた熱を放熱凸部を介して効率よくパッケージ外部に放熱することができるので電子部品の小型化かつ高性能化を実現できる。さらに、電子素子の他方の表面に対して、支持凸部が接触可能に構成されているので、放熱凸部の接触によって電子素子の変形、位置ずれ等が生じても、支持凸部が電子素子に接触することによって電子素子の変形、位置ずれ等を低減できる。
【0010】
また、本発明にあっては、
前記支持凸部の高さは、前記電子素子が実装されている状態の前記実装部材の高さよりも低いと好適である。
【0011】
かかる構成によれば、電子素子の実装時において、支持凸部と電子素子の間にクリアランスを確保することができる。よって、変形時のみ支持凸部が接触することで、電子素子の耐久性を確保することができる。即ち、電子部品の信頼性向上を図ることが可能になる。
【0012】
また、本発明にあっては、
前記放熱凸部が金属バンプによって形成されていると好適である。
【0013】
かかる構成によれば、リッド基板に対して簡易に放熱凸部を形成することができる。また、バンプが金属材質であるので、例えば樹脂材料等と比較すると、放熱性をさらに向上させることができる。
【0014】
また、本発明にあっては、
前記支持凸部が金属バンプによって形成されていると好適である。
【0015】
かかる構成によれば、ベース基板に対して簡易に支持凸部を形成することができる。また、バンプが金属材質であるので、放熱機能も付加することが可能になる。即ち、電子素子と支持凸部との接触時に、電子素子での発熱を支持凸部から放熱することが可能になる。
【0016】
また、本発明にあっては、
前記支持凸部が、めっき層によって形成されていると好適である。
【0017】
かかる構成によれば、ベース基板に対して簡易に支持凸部を形成することができる。また、凸部が金属材質であるので、放熱機能も付加することが可能になる。即ち、電子素子と支持凸部との接触時に、電子素子での発熱を支持凸部から放熱することが可能になる。
さらに、パッケージの内外を貫通する貫通電極をめっきで形成する場合、貫通電極の形成工程と、支持凸部の形成工程とを同工程で行うことが出来るので、電子部品の生産効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明にあっては、
前記支持凸部が、金属バンプと、該金属バンプの表面に形成されためっき層によって形成されていることを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、めっき層を形成するための形成条件を変えることで、支持凸部の高さを自由に調整することができる。よって、実装する電子素子の特性、機能に応じて、支持凸部の高さを調整できるので、高機能化かつ小型化を実現できる。
【0020】
また、本発明にあっては、
前記電子素子の上面視において、前記支持凸部が、前記電子素子の周縁に沿った位置に形成されていることを特徴とする。
【0021】
かかる構成によれば、電子素子の変形、位置ずれを生じた際に、好適に変形、位置ずれを低減させることが可能になる。
【0022】
また、本発明にあっては、
前記リッド基板は、ガラス材料、シリコン材料又は金属材料によって形成されていることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、電子素子の特性、機能に応じて、リッド基板の材料を適宜選択することができるので、電子部品の高機能化かつ小型化を達成することができる。
【0024】
また、本発明にあっては、
前記リッド基板は、側壁部分がガラス材料で形成され、主面部分がシリコン材料によって形成されることを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、リッド基板の主面部分をシリコン材料とすることで、主面部分をガラス材料で形成する場合と比較すると、電子素子の放熱性を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、小型化かつ高性能化が可能であり、かつ信頼性を向上させることが可能な電子部品を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態におけるリッド基板の概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る電子部品の概略構成図である。
図3】第2実施形態に係る電子部品の概略構成図である。
図4】第3実施形態におけるリッド基板の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0029】
[第1実施形態]
図1図2を参照して、本発明に係る第1実施形態について説明する。
【0030】
(1:リッド基板の構成)
図1に、本実施形態におけるリッド基板10の概略構成を示す。リッド基板10の内側面には、複数の凸部12(放熱凸部)が形成されている。本実施形態では、金属製のリッド基板10に対して、金属製の凸部12が一体的に形成されている。また、凸部12は、根元の幅と比較して先端の幅が細くなる形状を有している。なお、リッド基板10の材料は金属材料に限定されるものではなく、ガラス材料やシリコン材料であってもよい。
【0031】
凸部12の表面には、ゲッター膜11が成膜されている。本実施形態では、ゲッター膜11が凸部12の表面だけではなく、リッド基板10のほぼ全面を覆うように成膜されている。ゲッター膜11は、金属材料によって形成される膜であり、加熱されることにより活性化し、酸素や水素などを吸着するゲッタリング機能を有している。
【0032】
なお、本実施形態では、断面視コの字状のリッド基板10を用いているが、本発明におけるリッド基板10の形状はこれに限られるものではなく、平板状のリッド基板10であってもよい。また、凸部12はリッド基板10の内側面に少なくとも一つ形成されていればよい。
【0033】
(2:電子部品の構成)
図2を参照して、本実施形態に係る電子部品1の構成を説明する。
本実施形態に係る電子部品1は、上述したリッド基板10とベース基板30とを有し、これらの基板の間に形成されるキャビティ内に電子素子20(半導体素子、水晶振動子、MEMS素子など)が封入されている。なお、リッド基板10とベース基板30との接合方法は、接着剤等による接合、陽極接合方法による接合、電子ビームによる接合、ろう材を溶融させることによる接合など、基板の材料等に応じて種々の接合方法を採用することができる。
【0034】
また、キャビティ内に封入されている電子素子20は、ベース基板30上に形成された電極パターン22上に実装部材として金属バンプ21によって実装されている。
【0035】
ベース基板30には貫通孔33が形成されており、貫通孔33の内側面には導電膜32が成膜されている。導電膜32は、貫通孔33の一端において上述の電極パターン22と接続しており、貫通孔33の他端において、外部電極31と接続している。また、貫通孔33の内部は、めっきによって封止されており、これによって貫通電極が形成されている。
【0036】
かかる構成により、外部電極31とベース基板30上に実装された電子素子20とを電気的に接続しつつ、キャビティ内を確実に封止することができる。なお、本実施形態では、導電膜32とめっきによって貫通電極を構成しているが、本発明における貫通電極の構成はこれに限られるものではなく、金属部材(金属ピン、金属ワイヤなど)を貫通孔33に挿入し、ベース基板30を溶融させることで貫通孔33を封止する構成であってもよい。
【0037】
電子素子20がベース基板30上に実装されている状態において、リッド基板10に形成された凸部12の先端は電子素子20表面(一方の表面)に当接している。本実施形態では、凸部12の表面にゲッター膜11が成膜されているので、凸部12の先端は、ゲッター膜11を介して電子素子20表面に当接していることになる。
【0038】
かかる構成により、外部電極31から電圧が印加されることによって電子素子20で生じた熱を、凸部12を経由してリッド基板10から外部に放熱することが可能になる。これにより、電子素子20の動作温度を適温に保つことが可能になり、電子部品1の高機能化を実現することができる。
【0039】
なお、凸部12の材質は特に限定されるものではないが、熱伝導率のよいAu、又はCuを用いることができる。また、Inを用いることも可能である。Inは比較的柔らかい材質であるので、凸部12としてInを用いることで、放熱性に加え、凸部12の緩衝性も期待することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、凸部12の表面にゲッター膜11が形成されているので、キャビティ内の真空度を高めることができる。その結果、電子部品1のさらなる高機能化を実現することが可能になる。
【0041】
また、凸部12の表面にゲッター膜11が形成されていることにより、ゲッター膜11の成膜面積を大きくすることができる。よって、より好適にキャビティ内の真空度を高めることが可能になる。
【0042】
さらに本実施形態では、ベース基板30上に電子素子の裏面(他方の表面)に接触可能な支持凸部23が形成されている。支持凸部23は、電子素子20の上面視(不図示)において、電子素子20の周縁部に沿った位置に複数設けられている。
これにより、電子素子20を実装後、リッド基板10とベース基板30の接合時に、上述の凸部12が電子素子20に接触することになるが、凸部12が電子素子20に接触する際の接触圧に伴う変形、位置ずれを、支持凸部23が電子素子20に接触することによって低減できる。
【0043】
ここで支持凸部23に関して詳述する。
本実施形態では、支持凸部23を金属バンプ(Auバンプなど)によって形成している。さらには、上述の凸部12と同材料によって形成することで、製造プロセスの簡略化を図ることができる。
しかしながら、支持凸部23の材料はこれに限られるものではない。例えば、Cu、Crなどのめっき層によって形成してもよい。さらには、CuやAuの金属バンプの先端にこれらのめっき層を形成することで、支持凸部23としてもよい。この場合は、めっき層を形成することよって支持凸部23の高さを調整することができるので、電子素子20の特性や機能に応じて、適切な高さを有する支持凸部23を簡易に形成することが可能になる。
【0044】
また、本実施形態では、導電膜32とめっきによって貫通電極を構成しているが、支持凸部23にめっきを用いる場合は、貫通電極のめっき工程と、支持凸部23のめっき工程とを同工程で行うことで、製造プロセスの簡略化を図ることが可能になる。
【0045】
また、支持凸部23の高さは、電子素子20が実装されている状態の金属バンプ21の高さよりも低く、支持凸部23の先端と、電子素子20の裏面との間のクリアランスが5〜10μmとなるように、支持凸部23が形成されている。
これにより、支持凸部23は常に電子素子20裏面と接触しないことになり、例えば、外部衝撃に起因して、凸部12から接触圧を受け、電子素子20が変形、位置ずれを起こした際にのみ、支持凸部23が電子素子20に接触することができる。よって、支持凸部23の接触に起因する電子素子20への応力集中を回避できる。
【0046】
以上より、本実施形態によれば、リッド基板10に対して凸部12を形成し、その凸部12の少なくとも先端を電子素子20に当接させることで、電子素子20で生じた熱を効率的に放熱して電子部品1の高機能化かつ小型化を実現できる。
さらに、ベース基板30上に、複数の支持凸部23を形成することで、凸部12から応力を受けることで電子素子20の変形、位置ずれが生じた際も、支持凸部23が凸部12の反対側から電子素子20に接触するので、これらの変形、位置ずれを低減することができる。よって、電子部品1の信頼性を向上させることができる。
【0047】
[第2実施形態]
図3を参照して、第2実施形態に係る電子部品2について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成に関しては、図1図2と同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態では、リッド基板10が主面部分10aと側壁部分10bとを有しており、主面部分10aがシリコン材料によって形成されており、側壁部分10bがガラス材料によって形成されていることを特徴とする。なお、主面部分10aと側壁部分10bとが予め接合されたリッド基板10を用いてもよいし、側壁部分10bを枠状部材によって構成し、主面部分10aを平板状のリッド基板によって構成してもよい。
【0049】
そして凸部12は、主面部分10aの内側面に形成されている。なお、凸部12の構成は第1実施形態で説明したものと同一であるので、ここでは説明を省略する。また、ゲッター膜11は主面部分10aと側壁部分10bの両方に形成されている。
【0050】
かかる構成によれば、側壁部分10bをガラス材料によって形成しているので、側壁部分10bにおいてレーザ光を透過させることができる。よって、レーザ光によってゲッター膜11を加熱してゲッター膜のゲッタリング機能をさらに高めることも可能になる。即ち、小型化かつ高性能化に対応した電子部品を低コストに提供することが可能になる。
【0051】
[第3実施形態]
図4を参照して、第3実施形態に係る電子部品のリッド基板10について説明する。なお、リッド基板10以外の構成は第1実施形態、又は第2実施形態で説明した構成を適宜採用することが可能であるので、ここではその説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、リッド基板10の内側側面に形成された凸部12が金属バンプによって形成されており、さらにその表面にめっき層18が形成されていることが特徴である。なお、めっき層18の表面には、第1実施形態で説明したゲッター膜11が形成されている。
【0053】
かかる構成によれば凸部12の先端と電子素子20の表面との間隔が広く、凸部12の先端を電子素子20の表面に接触させることが困難な場合であっても、めっき層18を形成することで、めっき層18を介して凸部12と電子素子20とを当接させることが可能になる。よって、確実に電子素子20の発熱を放熱させることが可能になる。
【0054】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態は、上述した第1実施形態〜第3実施形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0055】
本実施形態では、電子素子20の上面視において、支持凸部23を、凸部12と対向する位置に形成している点が特徴である。これによれば、電子素子20が凸部12から応力を受けた場合に、より効果的に、電子素子20の変形、位置ずれを低減することが可能になる。例えば、電子素子20の表面中央領域に接触するように、凸部12を4点形成する場合は、それと同様に、ベース基板30上に支持凸部23を、凸部12と対向するように4点形成すればよい。
なお、支持凸部23の数を、凸部12の数と同数にする必要はなく、少なくとも一つの支持凸部23が形成されていれば、上述の本発明の効果を得ることは可能である。
【0056】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態は、上述した第1実施形態〜第5実施形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0057】
支持凸部23を設ける位置は、上述の実施形態で説明した位置に限られるものではない。例えば、電子素子20の上面視において、電子素子20の周縁部に沿う位置であって、かつ、一部が電子素子20の周縁部よりも外側にあるように、支持凸部23を設けてもよい。これによれば、電子素子20の実装時に、支持凸部23を基準位置として、電子素子20を適切な位置に実装することが可能になる。よって、実装精度の高い電子部品を提供することができる。
【0058】
[その他の実施形態]
本発明の実施形態は、上記第1実施形態〜第5実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、リッド基板10の裏面全面にゲッター膜11が形成されている構成が開示されているが、本発明の構成はこれに限られるものではない。十分な真空度が確保されているのであれば、ゲッター膜11を設けない構成であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、電子素子20の実装部材として金属バンプ21を用いているが、金属バンプ21以外、例えば導電性接着剤等を実装部材として用いることも可能である。
【0060】
また、上記実施形態では、支持凸部23を複数設ける場合、これらの高さが全て同じ例を開示しているが、支持凸部23の高さはこれに限られるものではない。即ち、電子素子20の変形度合いに応じて、支持凸部23の高さを変える構成であってもよい。具体的には、最も顕著に変形する領域、例えば、凸部12が密集している領域に対向する支持凸部23の高さは低くし、変形度合いが小さな領域、例えば、凸部12が形成されていない領域に対向する支持凸部23の高さを高くするような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1・・・電子部品、10・・・リッド基板、11・・・ゲッター膜、12・・・凸部、20・・・電子素子、23・・・支持凸部、30・・・ベース基板
図1
図2
図3
図4