特許第6681725号(P6681725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6681725固定体、配線ボックスの固定方法、および保護カバーの固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681725
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】固定体、配線ボックスの固定方法、および保護カバーの固定方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 15/00 20060101AFI20200406BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20200406BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   F16B15/00 Z
   H02G3/08
   F16B37/14 Z
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-16618(P2016-16618)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-133681(P2017-133681A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】川村 裕一
(72)【発明者】
【氏名】川端 誠規
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−025912(JP,U)
【文献】 特開平07−293532(JP,A)
【文献】 実開昭59−040612(JP,U)
【文献】 特開2009−264585(JP,A)
【文献】 実開平03−075397(JP,U)
【文献】 実開平02−076214(JP,U)
【文献】 特開2006−071066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 15/00−15/08
F16B 23/00−43/02
H02G 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釘打ち工具から射出される釘により、固定対象に固定される固定体であって、
本体部と、その本体部から突出する筒状部とを備え、かつ、
前記筒状部と前記本体部とを順に貫通して前記固定対象に打ち込まれる前記釘の頭部によって、前記筒状部が圧潰されて形成される筒状部圧潰片を、前記釘の頭部とともに覆い隠すカバー体を備え、
前記カバー体は、前記釘の打ち込みを妨げない開放位置と、前記筒状部圧潰片と前記釘の頭部とを覆い隠すように前記本体部に設置される設置位置との間を移動可能となっており、かつ、
前記カバー体は、前記本体部から突出する前記筒状部との干渉により、前記本体部に対して設置不能に形成されている、固定体。
【請求項2】
並置された複数の釘と各釘を保持して繋がる複数の釘保持部とを備える釘連結体における、端に位置する釘保持部が分離して、釘打ち工具からその分離した釘保持部とともに射出される釘により、固定対象に固定される固定体であって、
本体部と、その本体部から突出する筒状部とを備え、かつ、
前記筒状部と前記本体部順に貫通して前記固定対象に打ち込まれる前記釘の頭部によって、前記釘保持部が圧潰されて形成される釘保持部圧潰片と、前記筒状部が圧潰されて形成される筒状部圧潰片とを、前記釘の頭部とともに覆い隠すカバー体を備え、
前記カバー体は、前記釘の打ち込みを妨げない開放位置と、前記釘保持部圧潰片および前記筒状部圧潰片と前記釘の頭部とを覆い隠すように前記本体部に設置される設置位置との間を移動可能となっており、かつ、
前記カバー体は、前記本体部から突出する前記筒状部との干渉により、前記本体部に対して設置不能に形成されている、固定体。
【請求項3】
前記本体部には、その本体部を前記釘打ち工具の射出部に仮保持すべく、前記射出部と係合する仮保持部が設けられ、
前記カバー体は、前記設置位置にて前記仮保持部を覆い隠す大きさを有する、請求項1または2に記載の固定体。
【請求項4】
前記カバー体は、前記本体部に、裏面よりも表面側に片寄った位置に設けられた連結支持部を介して回動可能に連結され、その回動により、前記開放位置と前記設置位置との間を移動する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固定体。
【請求項5】
前記本体部は、被係合部を有し、前記カバー体は、係合部を有して、前記設置位置にて、前記係合部が前記被係合部に係合し、その係合により、前記カバー体が前記本体部に固定される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固定体。
【請求項6】
前記本体部の裏面は、平坦面である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の固定体。
【請求項7】
前記カバー体は、前記設置位置にて、ほぼ全体が前記本体部上に位置する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固定体。
【請求項8】
前記本体部は、円盤状に形成され、前記カバー体は、その外縁が、前記設置位置にて、前記本体部の外縁と一致し、前記本体部と平面視円形状に重なり合う、請求項に記載の固定体。
【請求項9】
前記カバー体は、ドーム状に湾曲形成されている、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の固定体。
【請求項10】
前記カバー体には、配線・配管材を保持する配線・配管材保持部が設けられる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の固定体。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の固定体を用いた、配線ボックスの固定方法であって、
前記配線ボックスは、有底箱状に形成され、その配線ボックスの底壁を固定対象としての構造物に当接させるとともに、前記固定体の本体部を、前記底壁に当接するように配置し、
釘打ち工具により釘を打ち込んで、前記本体部とともに前記配線ボックスを、前記構造物に固定し、
前記カバー体を前記本体部に設置する、配線ボックスの固定方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の固定体を用いた保護カバーの固定方法であって、
前記保護カバーは、基台と蓋体とからなり、それら基台と蓋体とが組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成するものであって、その保護カバーの基台を固定対象としての構造物に当接させるとともに、前記固定体の本体部を、前記基台に当接するように配置し、
釘打ち工具により釘を打ち込んで、前記本体部とともに前記基台を、前記構造物に固定し、
前記カバー体を前記本体部に設置する、保護カバーの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、釘打ち工具から射出される釘により、固定対象に固定される固定体、および、その固定体を用いた、配線ボックスの固定方法および保護カバーの固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、釘打ち工具から射出される釘により、吊下金具等の留付け具を被打込み材に固定することがあった(例えば、特許文献1参照)。図11に示すように、留付け具21は、釘22が挿入される通孔21aを有していた。そして、通孔21aには、釘22をガイドするためのガイド部材21bが設けられた。また、釘22は、釘打ち工具の射出部23から射出される際には、一般に、他の釘との連結のための連結材24を伴って射出された。そこで、釘22がガイド部材21bを貫通して被打込み材(図示せず)に打ち込まれると、留付け具21上に、釘22の頭部22aによって潰された、連結材24とガイド部材21bとが残った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−224024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の留付け具21にあっては、釘22を被打込み材に打ち込んだ後に、留付け具21上に、潰れたガイド部材21bや連結材24が残り、見栄えが悪かった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、釘を打ち込んだ後の見栄えを損なうことがない、固定体、配線ボックスの固定方法、および保護カバーの固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る固定体、配線ボックスの固定方法、および保護カバーの固定方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る固定体は、釘打ち工具から射出される釘により、固定対象に固定される固定体である。この固定体は、本体部と、その本体部から突出する筒状部とを備える。さらに、固定体は、前記筒状部と前記本体部とを順に貫通して前記固定対象に打ち込まれる前記釘の頭部によって、前記筒状部が圧潰されて形成される筒状部圧潰片を、前記釘の頭部とともに覆い隠すカバー体を備える。そして、前記カバー体は、前記釘の打ち込みを妨げない開放位置と、前記筒状部圧潰片と前記釘の頭部とを覆い隠すように前記本体部に設置される設置位置との間を移動可能となっており、かつ、前記カバー体は、前記本体部から突出する前記筒状部との干渉により、前記本体部に対して設置不能に形成されている。
【0007】
この固定体によると、固定体は、本体部とカバー体とを備え、そのカバー体は、釘の打ち込みによって形成される筒状部圧潰片と、釘の頭部とを覆うように、本体部に設置される。こうして、カバー体により筒状部圧潰片と釘の頭部とが覆われることで、釘を打ち込んだ後の見栄えを損なうことがない。また、カバー体により筒状部圧潰片と釘の頭部とが覆われることで、周囲に配設される物が、筒状部圧潰片とか釘の頭部と接触するのを避けることができる。また、カバー体は、本体部から突出する筒状部との干渉により、本体部に対して設置不能に形成されおり、これによって、釘が打ち込まれる前には、カバー体を本体部に設置することはできず、釘の打ち込み漏れを防ぐことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る固定体は、並置された複数の釘と各釘を保持して繋がる複数の釘保持部とを備える釘連結体における、端に位置する釘保持部が分離して、釘打ち工具からその分離した釘保持部とともに射出される釘により、固定対象に固定される固定体である。この固定体は、本体部と、その本体部から突出する筒状部とを備える。さらに、固定体は、前記筒状部と前記本体部順に貫通して前記固定対象に打ち込まれる前記釘の頭部によって、前記釘保持部が圧潰されて形成される釘保持部圧潰片と、前記筒状部が圧潰されて形成される筒状部圧潰片とを、前記釘の頭部とともに覆い隠すカバー体を備える。そして、前記カバー体は、前記釘の打ち込みを妨げない開放位置と、前記釘保持部圧潰片および前記筒状部圧潰片と前記釘の頭部とを覆い隠すように前記本体部に設置される設置位置との間を移動可能となっており、かつ、前記カバー体は、前記本体部から突出する前記筒状部との干渉により、前記本体部に対して設置不能に形成されている。
【0009】
この固定体によると、固定体は、本体部とカバー体とを備え、そのカバー体は、釘の打込みによって形成される釘保持部圧潰片および筒状部圧潰片と、釘の頭部とを覆うように、本体部に設置される。こうして、カバー体により釘保持部圧潰片および筒状部圧潰片と釘の頭部とが覆われることで、釘を打ち込んだ後の見栄えを損なうことがない。また、カバー体により釘保持部圧潰片および筒状部圧潰片と釘の頭部とが覆われることで、周囲に配置される物が、釘保持部圧潰片とか筒状部圧潰片とか釘の頭部と接触するのを避けることができる。また、カバー体は、本体部から突出する筒状部との干渉により、本体部に対して設置不能に形成されおり、これによって、釘が打ち込まれる前には、カバー体を本体部に設置することはできず、釘の打ち込み漏れを防ぐことができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
また、請求項に記載の発明に係る固定体は、請求項1または2に記載の固定体において、前記本体部には、その本体部を前記釘打ち工具の射出部に仮保持すべく、前記射出部と係合する仮保持部が設けられる。そして、前記カバー体は、前記設置位置にて前記仮保持部を覆い隠す大きさを有する。
【0014】
また、請求項に記載の発明に係る固定体は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体において、前記カバー体は、前記本体部に、裏面よりも表面側に片寄った位置に設けられた連結支持部を介して回動可能に連結され、その回動により、前記開放位置と前記設置位置との間を移動する。
【0015】
また、請求項に記載の発明に係る固定体は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体において、前記本体部は、被係合部を有し、前記カバー体は、係合部を有して、前記設置位置にて、前記係合部が前記被係合部に係合し、その係合により、前記カバー体が前記本体部に固定される。
【0016】
また、請求項に記載の発明に係る固定体は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体において、前記本体部の裏面は、平坦面である。これにより、固定対象との間に、被固定物を介在させて、その被固定物を含めて固定する場合には、その固定に当たって、本体部を被固定物に面接触させることができ、安定する。
【0017】
また、請求項に記載の発明に係る固定体は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体において、前記カバー体は、前記設置位置にて、ほぼ全体が前記本体部上に位置する。
【0018】
また、請求項に記載の発明に係る固定体は、請求項に記載の固定体において、前記本体部は、円盤状に形成され、前記カバー体は、その外縁が、前記設置位置にて、前記本体部の外縁と一致し、前記本体部と平面視円形状に重なり合う。
【0019】
また、請求項に記載の発明に係る固定体は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体において、前記カバー体は、ドーム状に湾曲形成されている。
【0020】
また、請求項10に記載の発明に係る固定体は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体において、前記カバー体には、配線・配管材を保持する配線・配管材保持部が設けられる。
【0021】
また、請求項11に記載の発明に係る配線ボックスの固定方法は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体を用いた、配線ボックスの固定方法である。ここで、前記配線ボックスは、有底箱状に形成される。そこで、その配線ボックスの底壁を固定対象としての構造物に当接させるとともに、前記固定体の本体部を、前記底壁に当接するように配置する。そして、釘打ち工具により釘を打ち込んで、前記本体部とともに前記配線ボックスを、前記構造物に固定する。次いで、前記カバー体を前記本体部に設置する。
【0022】
また、請求項12に記載の発明に係る保護カバーの固定方法は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定体を用いた保護カバーの固定方法である。ここで、前記保護カバーは、基台と蓋体とからなり、それら基台と蓋体とが組み付けられて内部に配線・配管材の配設経路を形成するものである。そこで、その保護カバーの基台を固定対象としての構造物に当接させるとともに、前記固定体の本体部を、前記基台に当接するように配置する。そして、釘打ち工具により釘を打ち込んで、前記本体部とともに前記基台を、前記構造物に固定する。次いで、前記カバー体を前記本体部に設置する。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係る固定体、配線ボックスの固定方法、および保護カバーの固定方法によれば、カバー体によって、圧潰片と釘の頭部とが覆われることで、釘を打ち込んだ後の見栄えを損なうことがなく、また、周囲に配置される物が、圧潰片とか釘の頭部と接触するのを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の一実施の形態の、固定体および釘打ち工具の射出部を示す断面図である。
図2】同じく、固定体の斜視図である。
図3】同じく、固定体の正面図である。
図4】同じく、固定体の平面図である。
図5】同じく、釘連結体の正面図である。
図6】同じく、保護カバーの基台を構造物に固定した状態を示す斜視図である。
図7】同じく、保護カバーの基台を構造物に固定し、固定体におけるカバー体を本体部に設置した状態を示す斜視図である。
図8】この発明の他の実施の形態の、固定体の分解斜視図である。
図9】同じく、固定体の本体部を固定対象に固定した状態を示す斜視図である。
図10】同じく、固定体の本体部を固定対象に固定し、固定体のカバー体を本体部に設置した状態を示す斜視図である。
図11】従来の留付け具および釘打ち工具の射出部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明に係る固定体、配線ボックスの固定方法、および保護カバーの固定方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1図7は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、固定対象を示す。2aは、釘打ち工具の射出部を示し、釘打ち工具は、ガス、圧縮空気、電気、火薬等を用いた動力により作動する。3は、釘打ち工具(詳しくは、釘打ち工具の射出部2a)から射出される釘を示す。4は、釘連結体を示す。5は、固定体を示し、この固定体5は、例えば、全体が合成樹脂製からなり、前記釘3により、固定対象1に固定される。
【0027】
ここで、固定体5は、本体部6と、その本体部6から突出する筒状部7とを備える。さらに、固定体5は、カバー体8を備える。このカバー体8は、筒状部7と本体部6とを順に貫通して固定対象1に打ち込まれる釘3の頭部3aによって、筒状部7が圧潰されて形成される筒状部圧潰片701を、釘3の頭部3aとともに覆い隠すものである。そこで、カバー体8は、釘3の打ち込みを妨げない開放位置(図1図6参照)と、筒状部圧潰片701と釘3の頭部3aとを覆い隠すように本体部6に設置される設置位置(図7参照)との間を移動可能となっている。また、カバー体8は、本体部6から突出する筒状部7との干渉により、本体部6に対して設置不能に形成されている。
【0028】
詳細には、釘3は、単独で釘打ち工具から射出されるのではなく、釘保持部4aとともに射出される。すなわち、釘3は、並置された複数の釘3、3と各釘3を保持して繋がる複数の釘保持部4a、4aとを備える釘連結体4(図5参照)における、端に位置する釘保持部4aが分離して、釘打ち工具からその分離した釘保持部4aとともに射出される。そこで、固定体5は、その釘保持部4aとともに射出される釘3により、固定対象1に固定される。そして、カバー体8は、本体部6を貫通して(図示実施の形態においては、筒状部7と本体部6とを順に貫通して)固定対象1に打ち込まれる前記釘3の頭部3aによって、釘保持部4aが圧潰されて形成される釘保持部圧潰片401を(図示実施の形態においては、その釘保持部圧潰片401と前記筒状部圧潰片701とを)、釘3の頭部3aとともに覆い隠す。そこで、カバー体8は、釘3の打ち込みを妨げない開放位置と、釘保持部圧潰片401(図示実施の形態においては、釘保持部圧潰片401および筒状部圧潰片701)と釘3の頭部3aとを覆い隠すように本体部6に設置される設置位置との間を移動可能となっている。
【0029】
具体的には、本体部6と固定対象1との間には、被固定物11が介在する。釘連結体4は、釘保持部4aが、釘3の軸部3bの中間部分を取り囲むようにしてその釘3を保持する。そして、各釘3を保持する釘保持部4aが、薄肉の分断可能な連結部4bを介して繋がっている。
【0030】
固定体5においては、カバー体8は、前記設置位置にて、ほぼ全体が本体部6上に位置する。ここで、本体部6は、その裏面が平坦面となっている。そして、本体部6は、円盤状に形成される。そこで、カバー体8は、その外縁が、前記設置位置にて、本体部6の外縁と一致し、本体部6と平面視円形状に重なり合う。そして、このカバー体8は、ドーム状に湾曲形成されている。
【0031】
本体部6から突出する前記筒状部7は、釘打ち工具から射出される釘3をガイドし、また、射出の衝撃を緩和するものである。この筒状部7は、本体部6の中央から垂直に起立し、筒内が、釘3の軸部3bが通る釘挿通孔となっている。詳細には、筒状部7は、筒本体7aと、その筒本体7aの周面からひれ状に突出する複数の突片7a、7aとを備え、その突片7aは、筒本体7aを一方(図示実施の形態においては時計回り方向)に回る側に湾曲形成されている。
【0032】
また、本体部6には、その本体部6を釘打ち工具の射出部2aに仮保持すべく、その射出部2aと係合する仮保持部9が設けられている。そして、カバー体8は、前記設置位置にて仮保持部9を覆い隠す大きさを有する。詳細には、仮保持部9は、本体部6から突出するリブ9aからなり、このリブ9aは、筒状部7を取り囲み、かつ、その筒状部7と同心となる円形形状に形成されている。そして、このリブ9aが、釘打ち工具の射出部2aの内側に嵌まることで、本体部6は、射出部2aに仮保持される。また、本体部6には、その周縁から突出する周縁リブ6aが設けられ、カバー体8は、前記設置位置にて、その外周端部が、前記周縁リブ6aと合わせられる。
【0033】
また、カバー体8は、本体部6に、ヒンジ部等の連結支持部10(図示実施の形態においては、裏面よりも表面側に片寄った位置に設けられた連結支持部)を介して回動可能に連結され、その回動により、前記開放位置と前記設置位置との間を移動する。詳細には、この連結支持部10は、本体部6とカバー体8とのそれぞれの周縁部分を繋ぐ薄肉部からなる。
【0034】
また、本体部6は、被係合部6bを有し、カバー体8は、係合部8aを有して、前記設置位置にて、係合部8aが被係合部6bに係合し、その係合により、カバー体8が本体部6に固定される。詳細には、被係合部6bは、本体部6の、連結支持部10とは反対側に設けられた、凹部からなる。そして、係合部8aは、カバー体8の、連結支持部10とは反対側に設けられて、被係合部6bとなる凹部に圧入されるようにして嵌まる凸部からなる。
【0035】
次に、この固定体5を用いた保護カバー12の固定方法について説明する。保護カバー12は、底壁を備えた基台12aと蓋体12bとからなり、それら基台12aと蓋体12bとが組み付けられて内部に配線・配管材13(配線材または配管材)の配設経路を形成するものである。そこで、保護カバー12の固定方法は、被固定物11としての基台12a(詳しくは、基台12aの底壁の外面)を固定対象1としての構造物1a(例えば、建物の壁とか床とか天井等)に当接させるとともに、固定体5の本体部6を、基台12a(詳しくは、基台12aの底壁の内面)に当接するように配置する。そして、釘打ち工具により釘3を打ち込んで、本体部6とともに基台12aを、構造物1aに固定する(図6参照)。その後、カバー体8を本体部6に設置する。そして、基台12aと蓋体12bとの間に配線・配管材13を収容するようにして、蓋体12bを基台12aに組み付ける(図7参照)。なお、保護カバー12とは、直線状のカバーに限るものではなく、曲がりや分岐等の各種付属カバーを含むものである。
【0036】
また、この固定体5を用いた配線ボックスの固定方法は、前記保護カバー12の固定方法と同様であり、図示を省略する。ここで、配線ボックスは、底壁を有する有底箱状に形成されている。そこで、被固定物11としての配線ボックスの底壁(詳しくは、底壁の外面)を固定対象1としての構造物(例えば、壁内の横桟等の構造物)に当接させるとともに、固定体5の本体部6を、配線ボックスの底壁(詳しくは、底壁の内面)に当接するように配置する。そして、釘打ち工具により釘3を打ち込んで、本体部6とともに配線ボックスを、構造物に固定する。その後、カバー体8を本体部6に設置する。
【0037】
次に、以上の構成からなる固定体5、その固定体5を用いた固定方法の作用効果について説明する。固定体5は、本体部6とカバー体8とを備え、そのカバー体8は、釘3の打ち込みによって形成される釘保持部圧潰片401(図示実施の形態においては、釘保持部圧潰片401および筒状部圧潰片701)と、釘3の頭部3aとを覆うように、本体部6に設置される。こうして、カバー体8により釘保持部圧潰片401(図示実施の形態においては、釘保持部圧潰片401および筒状部圧潰片701)と釘3の頭部3aとが覆われることで、釘3を打ち込んだ後の見栄えを損なうことがない。また、カバー体8により釘保持部圧潰片401(図示実施の形態においては、釘保持部圧潰片401および筒状部圧潰片701)と釘3の頭部3aとが覆われることで、周囲に配設される物(配線材、配管材、あるいはその他の物)が、釘保持部圧潰片401とか(図示実施の形態においては、釘保持部圧潰片401とか筒状部圧潰片701とか)釘3の頭部3aと接触するのを避けることができる。
【0038】
すなわち、この固定体5、およびこの固定体5を用いた固定方法によれば、カバー体8によって、圧潰片401、701と釘3の頭部3aとが覆われることで、釘3を打ち込んだ後の見栄えを損なうことがなく、また、周囲に配置される物が、圧潰片401、701とか釘3の頭部3aと接触し傷つくのを避けることができる。さらには、周囲にケーブル(配線材)を配設した場合であって、本体部6に加えてカバー体8が、合成樹脂製である場合には、そのカバー体8によって、金属製の釘3とケーブル(配線材)との間の絶縁を的確に行うことができる。
【0039】
また、カバー体8は、本体部6から突出する筒状部7との干渉により、本体部6に対して設置不能に形成されている。これによって、釘3が打ち込まれる前には、筒状部7に干渉して、カバー体8を本体部6に設置することはできず、釘3の打ち込み漏れを防ぐことができる。また、こうして、釘3が打ち込まれる前には、カバー体8は、本体部6に設置されていないことから、カバー体8を移動する必要もなく、そのまま釘3を打ち込むことができる。
【0040】
また、本体部6とカバー体8とを繋ぐ連結支持部10は、本体部6の裏面よりも表面側に片寄った位置に設けられており、これによって、カバー体8を容易に前記開放位置に位置させることができる。
【0041】
また、本体部6の裏面は、平坦面となっている。これにより、固定対象1との間に、被固定物11(保護カバー12の基台12aとか、配線ボックスとか、その他の固定対象1に固定される物)を介在させて、その被固定物11を含めて固定する場合に、その固定に当たって、本体部6を被固定物11に面接触させることができ、安定する。つまり、本体部6の裏面は、被固定物11に面接触すればよく、その裏面が突起を有して被固定物11と部分的に当接するのでなければ、その裏面に多少の凹部があっても構わない。
【0042】
また、本体部6には、その本体部6を釘打ち工具の射出部2aに仮保持するための仮保持部9が設けられている。これにより、釘打ち工具の射出部2aに本体部6を仮保持した状態で、本体部6を被固定物11(図1および図6参照)あるいは固定対象1(後述する図9参照)の所定の位置に当接させて、釘3を射出することができる。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、図8図10に示すように、カバー体8には、配線・配管材(配線材または配管材)を保持する配線・配管材保持部14が設けられてもよい。ここで、配線・配管材保持部14は、配線・配管材を取り囲むようにループ状に形成されるとともに、その一部に、開口14aを有する。そして、開口14aを挟む各側に、第1掛止部14bと第2掛止部14cとが設けられ、それら第1掛止部14bと第2掛止部14cとが掛かり合うことで、開口14aが閉じるようになっている。そして、この図に示す例においては、本体部6と固定対象1との間に被固定物が介在することはなく、本体部6が直接固定対象1に固定される。
【0044】
また、この図8図10に示すように、カバー体8は、本体部6とは別体に設けられ、開放位置(図8図9参照)では、カバー体8は、本体部6とは分離していてもよい(勿論、この図示実施の形態において、既述した実施の形態と同様に、カバー体8は、本体部6に、ヒンジ部等の連結支持部を介して回動可能に連結され、その回動により、開放位置と設置位置との間を移動するようになっていてもよい。)。図示実施の形態においては、設置位置(図10参照)にて、カバー体8に設けられた係合部8a(詳しくは、凸部)が、本体部6に設けられた被係合部6b(詳しくは、凹部)に係合し、その係合により、カバー体8が本体部6に固定される。
【0045】
また、固定体5は、本体部6から突出する筒状部7を備え、釘3は、釘保持部4aを伴って射出されるが、これら筒状部7と釘保持部4aのいずれか一方は、設けられなくともよい。
【0046】
また、本体部6には、仮保持部9が設けられ、その仮保持部9は、本体部6から突出するリブ9aからなっているが、このリブ9aに換えて、筒状部7に設けられる突片7aを、仮保持部9としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 固定対象
1a 構造物
2a 釘打ち工具の射出部
3 釘
3a 頭部
4 釘連結体
4a 釘保持部
401 釘保持部圧潰片
5 固定体
6 本体部
6b 被係合部
7 筒状部
701 筒状部圧潰片
8 カバー体
8a 係合部
9 仮保持部
10 連結支持部
12 保護カバー
12a 基台
12b 蓋体
13 配線・配管材
14 配線・配管材保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11